WO2016013081A1 - 表示装置、表示方法及び表示プログラム - Google Patents

Abstract

　観察者に向けて画像を表示する表示装置は、１つの表示器と、光学素子と、反射手段とを備える。表示器は、表示面の第１領域に第１画像を表示し、表示面の第２領域に第２画像を表示する。光学素子は、表示面の第１領域と観察者との間に配置され、第１領域から射出される第１画像を構成する光が入射する第１の面と、第１の面と対向する第２の面とを有する。反射手段は、表示面の前記第２領域から射出される第２画像を構成する光を、光学素子の第２の面に向けて反射する。光学素子は、第１の面に入射する第１画像を構成する光を観察者に向けて透過するとともに、反射手段により反射されて第２の面に入射する光を観察者に向けて反射する。

Description

表示装置、表示方法及び表示プログラム

　本発明は、実像と虚像を用いて情報を表示する手法に関する。

　実像と虚像を組み合わせて情報を表示する手法が提案されている。例えば、特許文献１に記載の表示装置は、運転者側に向けて配置された実像用表示ユニットと、運転者とは反対側に向けて配置された虚像用表示ユニットと、実像用表示ユニットと虚像用表示ユニットとの間に介在し、実像用表示ユニットから出射される表示光を運転者側に透過させるとともに虚像用表示ユニットから出射される表示光を運転者側に反射させるハーフミラーとを備える。この表示装置では、運転者は、ハーフミラーを透過する実像とハーフミラーにより反射された虚像とが並設された状態で表示された情報を視認する。

特開２０１４－５５８４７号公報

　上記の表示装置は、実像用表示ユニットと虚像用表示ユニットの２つの表示ユニットが必要であり、高価なシステムとなっていた。また、虚像用表示ユニットを、ハーフミラーを挟んで実像用表示ユニットの反対側に配置する必要があったため、システムの小型化が困難であった。

　本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、１つの表示器により実像用画像と虚像用画像を表示することが可能な、安価で小型の表示装置を提供することを目的とする。

　請求項に記載の発明は、観察者に向けて画像を表示する表示装置であって、表示面の第１領域に第１画像を表示し、前記表示面の第２領域に第２画像を表示する１つの表示器と、前記表示面の第１領域と前記観察者との間に配置され、前記第１領域から射出される前記第１画像を構成する光が入射する第１の面と、前記第１の面と対向する第２の面とを有する光学素子と、前記表示面の前記第２領域から射出される前記第２画像を構成する光を、前記光学素子の前記第２の面に向けて反射する反射手段と、を備え、前記光学素子は、前記第１の面に入射する前記第１画像を構成する光を前記観察者に向けて透過するとともに、前記反射手段により反射されて前記第２の面に入射する光を前記観察者に向けて反射することを特徴とする。

第１実施例に係る表示装置の構成を示す。 表示装置による表示画像の例を示す。 実像と虚像で表示する情報を走行速度に応じて決定した例を示す。 低速時と中速時の表示画像の例を示す。 第２実施例に係る表示装置の構成を示す。 第３実施例に係る表示装置の構成を示す。 第４、第５実施例に係る表示装置の構成を示す。 第６実施例に係る表示装置の構成を示す。

　本発明の好適な実施形態では、観察者に向けて画像を表示する表示装置は、表示面の第１領域に第１画像を表示し、前記表示面の第２領域に第２画像を表示する１つの表示器と、前記表示面の第１領域と前記観察者との間に配置され、前記第１領域から射出される前記第１画像を構成する光が入射する第１の面と、前記第１の面と対向する第２の面とを有する光学素子と、前記表示面の前記第２領域から射出される前記第２画像を構成する光を、前記光学素子の前記第２の面に向けて反射する反射手段と、を備え、前記光学素子は、前記第１の面に入射する前記第１画像を構成する光を前記観察者に向けて透過するとともに、前記反射手段により反射されて前記第２の面に入射する光を前記観察者に向けて反射する。

　上記の表示装置において、表示器の第１領域に表示された第１画像を構成する光は、光学素子を透過して観察者に至る。これにより、第１画像の実像が観察者に視認される。一方、表示器の第２領域に表示された第２画像を構成する光は、反射手段により反射され、さらに光学素子の第２の面により反射されて観察者に至る。これにより、第２画像の虚像が観察者に視認される。その結果、観察者は第１画像の実像と第２画像の虚像とを含む画像を視認することができる。１つの表示器により実像と画像とを表示することができるので、安価で小型の表示装置を提供することができる。

　上記の表示装置の一態様では、前記表示器は、前記第１画像及び前記第２画像を構成する光として第１回転方向の円偏光を射出し、前記反射手段は、前記第２画像を構成する光である前記第１回転方向の円偏光を反射することで、前記第２画像を構成する光を前記第１回転方向と反対の回転方向である第２回転方向の円偏光となるように反転させ、前記光学素子は、前記第１の面に入射する前記第１回転方向の円偏光を前記観察者に向けて透過するとともに、前記第２の面に入射する前記第２回転方向の円偏光を前記観察者に向けて反射する。この場合の好適な例では、前記光学素子はコレステリック液晶を含む。

　上記の表示装置の他の一態様では、前記表示器は、前記第１画像を構成する光として第１方向の直線偏光を射出するとともに、前記第２画像を構成する光として前記第１方向と直交する第２方向の直線偏光を射出し、前記反射手段は、前記第２画像を構成する光である前記第２方向の直線偏光を、偏光方向を変えずに反射し、前記光学素子は、前記第１の面に入射する前記第１方向の直線偏光を前記観察者に向けて透過するとともに、前記第２の面に入射する前記第２方向の直線偏光を前記観察者に向けて反射する。この場合の好適な例では、前記光学手段は偏光ビームスプリッタを含む。

　上記の表示装置の他の一態様では、表示装置は車両に搭載され、搭載される車両に関する情報を取得する車両情報取得手段と、交通情報及び目的地への経路を含むナビゲーションに関する情報を取得するナビゲーション情報取得手段と、前記車両に関する情報を前記第１画像及び前記第２画像の一方として表示するとともに、前記ナビゲーションに関する情報を前記第１画像又は前記第２画像の他方として表示するように前記表示器を制御する表示制御部と、を備える。この態様では、車両に関する情報とナビゲーション情報の一方が第１画像として実像で表示され、他方が第２画像として虚像で表示される。

　上記の表示装置の他の一態様では、表示装置は車両に搭載され、搭載される車両の走行速度を取得する速度取得手段と、前記走行速度に応じて、前記表示器に前記第１画像及び前記第２画像としてそれぞれ表示させる情報の組み合わせを決定する表示制御部と、を備える。この態様では、車両の速度に応じて、実像で表示される第１画像と虚像で表示される第２画像の内容が適切に決定される。

　本発明の他の実施形態では、上記の表示装置により実行される表示方法は、前記第１領域に第１画像を表示し、前記第２領域の第２画像を表示するように前記表示器を制御する表示制御工程を有する。これにより、観察者は第１画像の実像と第２画像の虚像とを含む画像を視認することができる。

　本発明の他の実施形態では、上記の表示装置により実行される表示プログラムは、前記第１領域に第１画像を表示し、前記第２領域の第２画像を表示するように前記表示器を制御する表示制御手段として前記表示装置を機能させる。これにより、観察者は第１画像の実像と第２画像の虚像とを含む画像を視認することができる。

　以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。

　［第１実施例］
　図１は、第１実施例に係る表示装置１の構成を示す。本実施例では、表示装置１は車両の運転席のインスツルメントパネルに設けられるものとする。図１（Ａ）に示すように、表示装置１は、観察者としての運転者Ｘに対して実像と虚像とを含む表示画像を視認させるものであり、表示器１０と、ミラー２０と、コンバイナ３０と、遮蔽部材４０と、表示制御部５０とを備える。

　表示器１０は、その表示面に画像を表示するものであり、本実施例では液晶ディスプレイが使用される。表示器１０は、Ｒ（赤）、Ｇ（緑）、Ｂ（青）の発光画素を持ち、フルカラー画像を表示することができる。なお、液晶ディスプレイ以外に、有機ＥＬディスプレイ、リアプロジェクタなどを表示器１０とすることもできる。リアプロジェクタを使用する場合には、画像が投射されるスクリーンが表示器１０の表示面に相当する。

　図１（Ｂ）は、表示器１０を運転者Ｘ側から見た図である。表示器１０は、その表示部の上側に第１領域１０ａを有し、下側に第２領域１０ｂを有する。第１領域は運転者Ｘに視認させる実像に対応する第１画像を表示する領域であり、第２領域は運転者Ｘに視認させる虚像に対応する第２画像を表示する領域である。表示器１０の第１領域に表示される第１画像及び第２領域に表示される第２画像は、表示制御部５０により制御される。

　表示器１０の表示面には１／４波長板（λ／４板）１１が設けられる。通常の液晶ディスプレイの表示面からは直線偏光の光が射出されるが、１／４波長板１１を設けることにより、表示面から射出された直線偏光は左の回転方向を持つ円偏光（以下、「左円偏光」と呼ぶ。）に変換される。

　表示器１０の運転者Ｘ側には、ミラー２０が配置される。より詳しくは、ミラー２０は、表示器１０の第２領域と略対向する位置に配置される。ミラー２０は、第２領域に表示される第２画像を構成する光を反射して、運転者Ｘ側からコンバイナ３０に入射させる。

　また、表示器１０の運転者Ｘ側、即ち、表示器１０と運転者Ｘとの間にはコンバイナ３０が配置される。コンバイナ３０は、ガラス又はプラスチックなどの透明な材料により構成される。コンバイナ３０は、背面側（即ち、表示器１０側）から入射される第１画像を構成する光を透過し、正面側（即ち、運転者Ｘ側）から入射される第２画像を構成する光を反射することで、第１画像に第２画像を重畳させる。コンバイナ３０は、運転者Ｘ側から見て、表示器１０の第１領域の少なくとも一部を覆うように配置される。即ち、コンバイナ３０は、表示器１０の第１領域の全面を覆ってもよいし、第１領域のうち虚像を重畳させたい領域のみを覆っても良い。コンバイナ３０は、典型的には正面側が凹んだ凹面状の反射面を有し、これにより第２画像を拡大するとともに第２画像を虚像として遠方に結像させる。なお、コンバイナ３０の表示器１０側の面が本発明の第１の面に相当し、運転者Ｘ側の面が第２の面に相当する。

　コンバイナ３０の運転者Ｘ側の面上には選択反射ミラー３１が設けられている。選択反射ミラー３１は、画像を構成する光を効率よく透過及び反射させるために、所定の条件を満たす光だけを選択的に反射する光学素子である。具体的に、選択反射ミラー３１は、コンバイナ３０の基材の表面に形成され、右回転の円偏光を選択的に反射する性質を有する。

　選択反射ミラー３１の代表的な例はコレステリック液晶である。コレステリック液晶は、それぞれの層において棒状分子が一定方向に配列した複数の層により形成されるものであり、複数の層は棒状分子の配列方向が螺旋状に変化するように集積されている。コレステリック液晶には、波長が螺旋のピッチと等しく、かつ、螺旋の回転方向と同じ回転方向の円偏光を選択的に反射するという性質がある。本実施例では、表示部１０がフルカラー画像を表示するため、選択反射ミラー３１として、ＲＧＢの各波長に等しい配列ピッチを有する３層のコレステリック液晶をコンバイナ３０の凹面上に形成すればよい。

　遮蔽部材４０は、表示器１０と運転者Ｘとの間に配置され、運転者Ｘが表示器１０の第２領域に表示された第２画像を直接視認することを防止する役割、言い換えると第２画像を構成する光が直接運転者Ｘに至るのを遮る役割を有する。なお、遮蔽部材４０は例えば遮蔽板などにより構成されるが、その材質、大きさ、形状などに特に制限はない。

　表示制御部５０は、表示器１０に表示すべき第１画像及び第２画像を決定し、第１画像及び第２画像のデータを表示器１０に供給してそれぞれ第１領域及び第２領域に表示させる。なお、表示制御部５０による制御については後述する。

　上記の構成において、ミラー２０は本発明の反射手段の一例であり、コンバイナ３０は本発明の光学素子の一例である。また、表示制御部５０は、本発明の車両情報取得手段、ナビゲーション情報取得手段、速度取得手段、表示制御手段の一例である。

　次に、表示装置１による画像の表示について図１（Ａ）を参照して説明する。前述のように、表示器１０の表示面には１／４波長板１１が設けられており、表示面から射出する光は左円偏光となる。表示器１０の第１領域から射出された第１画像を構成する光（左円偏光）は、コンバイナ１０を透過し、運転者Ｘに至る。こうして、運転者Ｘは、表示器１０の第１領域に表示された第１画像を実像として視認する。

　一方、表示器１０の第２領域から射出された第２画像を構成する光（左円偏光）Ｌ１は、ミラー２０により反射される。ミラー２０は全反射ミラーであり、左円偏光の光Ｌ１は、ミラー２０で反射されるときに回転方向が反転し、右円偏光となる。即ち、第２画像を構成する左円偏光の光Ｌ１は、ミラー２０で反射されて右円偏光の光Ｌ２としてコンバイナ３０に入射する。コンバイナ３０に設けられた選択反射ミラー３１は右円偏光のみを選択的に反射するので、第２画像を構成する右円偏光の光Ｌ２は選択反射ミラー３１で反射されて光Ｌ３として運転者Ｘへ至る。こうして、運転者Ｘは、表示器１０の背後に第２画像の虚像ＶＩを視認する。その結果、運転者Ｘは、第１画像の実像に第２画像の虚像が重畳された画像を視認することになる。

　上記の例では、全反射のミラー２０を１枚使用しているが、その代わりに奇数個のミラーを配置し、光Ｌ１が奇数回の反射後にコンバイナ３０に入射するようにしてもよい。左円偏光の光Ｌ１は奇数回の反射により最終的に右円偏光に変換され、コンバイナ３０の一部である選択反射ミラー３１により運転者Ｘの方向へ反射される。このようにすると、光路長が長くなるため、見かけ上、虚像ＶＩを運転者Ｘからより遠くに表示することが可能となる。

　また、上記の例では、表示器１０が左円偏光を射出し、コンバイナ３０の選択反射ミラー３１が右円偏光のみを選択的に反射するように構成しているが、その代わりに、表示器１０が右円偏光を射出し、選択反射ミラー３１が左円偏光のみを選択的に反射するように構成してもよい。

　さらに、上記の例では、コンバイナ３０を凹面形状のものとしているが、コンバイナ３０を平面形状のものとしてもよい。

　次に、表示装置１による表示例について説明する。図２は、表示装置１による表示画像の例、即ち、運転者Ｘが視認する画像の例を示す。表示装置１の表示器１０に表示される画像は、表示制御部５０の制御により決定され、表示される。運転者Ｘは、コンバイナ３０を通して、表示器１０の第１領域１０ａの位置に実像と虚像とを含む画像を視認する。図２の例では、表示器１０の第１領域に表示される第１画像は、タコメータ７１と、シフトポジション７２と、燃料計７３と、走行速度７４とを含み、これらが実像として運転者Ｘに視認される。また、表示器１０の第２領域に表示される第２画像は走行速度８０を含み、これが虚像として運転者Ｘに視認される。その結果、第１画像の実像に第２画像の虚像が重畳されてなる画像が運転者Ｘに視認される。

　運転者からの見かけ上、虚像は実像に比べてより遠方に表示されるため、運転者Ｘが虚像に目の焦点を合わせた場合には、実像はぼやけてしまい、実像を画像として視認しにくくなる。逆に、運転者Ｘが実像に目の焦点を合わせた場合には、虚像はぼやけて視認しにくくなる。このため、図２に示すように実像と虚像とが重ねて表示されていても、運転者は目の焦点を合わせることで両者を識別することができる。例えば、運転者が走行速度を確認したい場合を考える。前方風景を見た直後であれば、運転者は虚像に焦点を合わせるようにする方が目の焦点の調整が容易になる。一方、車内の機器を目視しながら操作した直後であれば、運転者は実像に焦点を合わせる方が目の焦点の調整が容易になる。

　図２の例では、表示制御部５０は走行速度を実像と虚像の両方で表示しているが、他の情報を実像と虚像の両方で表示することとしてもよい。例えば、警告灯、エンジン回転数、燃料残量、ドライブポジション、時刻などを実像と虚像の両方で表示することとしてもよい。

　また、表示制御部５０は、種類の異なる情報を実像と虚像とに割り当てて表示しても良い。例えば、車両に関する情報（走行速度、エンジン回転数、燃料残量など）を実像で表示し、ナビゲーション装置から取得したナビゲーションに関する情報（交通情報、目的地、目的地への経路、経路の方向、車線減少、落下物ありなど）を虚像で表示してもよい。この際、図２のように、実像と虚像が重なるように表示してもよい。運転者は同じ方向を見ながらも、目の焦点を遠方に合わせることでナビゲーションに関する情報を視認し、目の焦点を近傍に合わせることで車両に関する情報を視認することができる。図２のように、ナビゲーションに関する情報を車両に関する情報に重ねて大きく表示すれば、車両に関する情報が表示されている場合であっても、運転者は走行中にナビゲーションに関する情報を容易に視認することができる。なお、その代わりに、車両に関する情報を虚像で表示し、ナビゲーション情報を実像で表示することとしても構わない。

　さらに、表示制御部５０は、表示装置１が搭載された車両の走行速度に応じて、実像及び虚像で表示する情報の組み合わせを変更してもよい。具体的には、走行速度が所定速度より速い場合には、運転者の目の焦点が遠方にあることが多いので虚像で表示する情報を増やし、走行速度が所定速度より遅い場合には虚像で表示する情報を減らしてもよい。なお、表示制御部５０は車両又は車両に搭載されたナビゲーション装置から走行速度を取得すればよい。図３は、走行速度に応じて実像で表示する情報と虚像で表示する情報とを決定した例を示す。

　また、図４は、走行速度に応じて実像と虚像で表示する情報を変更する例を示す。図４（Ａ）は低速時の表示画像の例であり、図２と同様に、スピードメータ、シフトポジション、燃料計、走行速度などが実像として表示されている。また、設定されている経路における次の案内地までの距離８１と、次の案内地における進行方向８２とが虚像で表示されている。

　一方、図４（Ｂ）は中速時の表示画像の例である。実像で表示される画像は低速時と同様であるが、設定されている経路における次の案内地までの距離８１及び次の案内地における進行方向８２に加えて、走行速度８３が虚像で表示されている。

　また、表示制御部５０は、走行速度に応じて、虚像として表示する情報の大きさを変化させてもよい。具体的には、走行速度が速くなるほど、運転者による視認性を向上させるために、虚像として表示する情報を大きく表示するようにしてもよい。図４（Ａ）、（Ｂ）の例では、次の案内地までの距離８１及び次の案内地における進行方向８２は、低速時に比べて中速時の方が大きく表示されている。

　また、表示制御部５０は、実像と虚像とで同じ情報を表示する場合に、虚像で表示する情報を実像で表示する情報よりも大きく表示してもよい。運転者が遠方を見ているときには目の焦点が遠方にあるため、虚像のサイズを大きくした方が目の焦点を合わせやすくなる。具体的に、図４（Ｂ）の例では、走行速度が実像と虚像の両方で表示されているが、虚像で表示されている走行速度を、実像で表示されている走行速度より大きくしている。

　また、表示制御部５０は、実像と虚像とで同じ情報を表示する場合に、それらの情報が重なるように表示してもよい。具体的には、図４（Ｂ）に示すように、実像の走行速度と虚像の走行速度が重なるように表示する。こうすると、運転者は走行速度が表示されている領域に視点を持っていき、そのときの目の焦点位置に応じて、実像と虚像のうち焦点を合わせやすい方に焦点を合わせればよいので、運転者の目の焦点調整が容易になる。

　［第２実施例］
　図５は、本発明の第２実施例に係る表示装置１Ａの構成を示す。なお、第１実施例と同様の構成要素には同様の符号を付し、重複した説明は省略する。また、便宜上、表示制御部５０の図示は省略する。

　第２実施例の表示装置１Ａは、コンバイナ３０に選択反射ミラー３１の代わりに偏光素子３２を設けた点で第１実施例と異なる。偏光素子３２は、例えば偏光ビームスプリッタ（ＰＢＳ：Ｐｏｌａｒｉｚｉｎｇ　Ｂｅａｍ　Ｓｐｌｉｔｔｅｒ）であり、電界振動方向が第１方向である直線偏光を透過し、電界振動方向が第１方向に直交する第２方向である直線偏光を反射する光学素子である。

　また、第２実施例では、表示器１０の表示面の第１領域から射出される光は電界振動方向が垂直方向の直線偏光（以下、「垂直偏光」と呼ぶ。）となり、第２領域から射出される光は電界振動方向が水平方向の直線偏光（以下、「水平偏光」と呼ぶ。）となるように構成される。表示器１０を構成する液晶ディスプレイに２種類の偏光方向を持たせる方法としては、例えば液晶ディスプレイが垂直偏光を射出するものであれば、第２領域のみに１／２波長板（λ／２板）１２を積層すればよい。なお、本実施例において、ミラー２０は本発明の反射手段の一例であり、コンバイナ３０は本発明の光学素子の一例である。

　第２実施例では、表示器１０の第１領域から射出した第１画像を構成する光は垂直偏光であり、コンバイナ３０及び偏光素子３２を透過して運転者Ｘに至る。一方、表示器１０の第２領域から射出した第２画像を構成する光Ｌ１は水平偏光であり、ミラー２０で反射されて光Ｌ２として偏光素子３２に入射する。本実施例では、偏光素子３２は、垂直偏光を透過し、水平偏光を反射する性質を有するので、水平偏光の光Ｌ２は偏光素子３２で反射されて光Ｌ３として運転者Ｘに至る。その結果、運転者Ｘは、第１画像の実像と第２画像の虚像とが重畳された画像を視認する。

　なお、上記の例では、第１領域から射出する光を垂直偏光とし、第２領域から射出する光を水平偏光としているが、これらを逆にしてもよい。その場合には、偏光素子３２は、垂直偏光を反射し、水平偏光を透過するものとすればよい。

　また、上記の例では、コンバイナ３０を凹面形状のものとしているが、コンバイナ３０を平面形状のものとしてもよい。

　［第３実施例］
　第１実施例のコンバイナ３０に代えて、コンバイナを凹面ハーフミラー、フレネルハーフミラー、反射型ホログラムなどとしてもよい。この場合、第１領域及び第２領域から射出される光の偏光方向は任意でよい。よって、いずれの場合も、コンバイナに凹面ミラーと同様の特性を持たせることにより、第２画像を拡大して遠方に虚像ＶＩとして表示することができる。この構成では、第１実施例と比較して画像を構成する光の透過及び反射効率は落ちるが、表示装置をより安価にすることができる。

　図６（Ａ）は、第３実施例に係る表示装置１Ｂとして、フレネルハーフミラー３３を利用した構成を示す。本実施例では、表示器１０には１／４波長板１１は設けられない。なお、第１実施例と同様の構成要素には同様の符号を付し、重複した説明は省略する。また、便宜上、表示制御部５０の図示は省略する。本実施例において、ミラー２０は本発明の反射手段の一例であり、フレネルハーフミラー３３は本発明の光学素子の一例である。

　第３実施例では、表示器１０の第１領域から射出した第１画像を構成する光はフレネルハーフミラー３３を透過して運転者Ｘに至る。一方、表示器１０の第２領域から射出した第２画像を構成する光Ｌ１は、ミラー２０で反射されて光Ｌ２としてフレネルハーフミラー３３に入射し、さらにフレネルハーフミラー３３で反射されて光Ｌ３として運転者Ｘに至る。その結果、運転者Ｘは、第１画像の実像と第２画像の虚像とが重畳された画像を視認する。

　なお、第３実施例では、運転者Ｘはフレネルハーフミラー３３を透過して第１画像を視認するので、フレネル構造により像の変形が生じる。そこで、その影響を補正するように予め変形させた画像を第１画像とする必要がある。即ち、表示制御部５０は、フレネルハーフミラー３３を通して視認した際に正しく見えるように予め変形した画像を第１画像として使用する。

　また、このように第１画像を予め変形させる代わりに、図６（Ｂ）に示すように、フレネルハーフミラー３３の材料と屈折率が近い樹脂３４でフレネルハーフミラー３３のフレネル面をコーティングしてもよい。これによっても、フレネル構造が第１画像に与える影響を除去することができる。

　［第４実施例］
　図７（Ａ）は、本発明の第４実施例に係る表示装置１Ｄの構成を示す。なお、第１実施例と同様の構成要素には同様の符号を付し、重複した説明は省略する。また、便宜上、表示制御部５０の図示は省略する。

　第１実施例では、ミラー２０を平面形状とし、コンバイナ３０を凹面形状としている。その代わりに、第４実施例では、ミラー２１を凹面鏡とし、コンバイナ３５を平面形状とする。コンバイナ３５には、第１実施例と同様に、運転者Ｘ側の面に選択反射ミラー３６を設ける。選択反射ミラー３６は、左円偏光を透過し、右円偏光を反射するものとする。本実施例において、ミラー２１は本発明の反射手段の一例であり、コンバイナ３５は本発明の光学素子の一例である。

　第４実施例では、表示器１０の第１領域から射出した第１画像を構成する左円偏光の光がコンバイナ３５及び選択反射ミラー３６を透過して運転者Ｘに至る。一方、表示器１０の第２領域から射出した第２画像を構成する左円偏光の光Ｌ１は、凹面鏡２１で反射されて右円偏光の光Ｌ２となり、選択反射ミラー３６で反射されて光Ｌ３として運転者に至る。その結果、運転者Ｘは、第１画像の実像と第２画像の虚像とが重畳された画像を視認する。

　［第５実施例］
　図７（Ｂ）は、本発明の第５実施例に係る表示装置１Ｅの構成を示す。なお、第１実施例と同様の構成要素には同様の符号を付し、重複した説明は省略する。また、便宜上、表示制御部５０の図示は省略する。

　第５実施例では、第４実施例と同様にコンバイナ３５を平面形状とする。これに加えて、ミラーを平面形状のハーフミラー２２とし、そのハーフミラー２２を表示器１０の第１領域を覆うように延在させる。ハーフミラー２２は、表示器１０の第２領域から射出した第２画像を構成する光をコンバイナ３５に向けて反射する。なお、本実施例において、ハーフミラー２２は本発明の反射手段の一例であり、コンバイナ３５は本発明の光学素子の一例である。

　第５実施例では、表示器１０の第１領域から射出した、第１画像を構成する左円偏光の光がコンバイナ３５及び選択反射ミラー３６を透過して運転者Ｘに至る。一方、表示器１０の第２領域から射出した、第２画像を構成する左円偏光の光Ｌ１は、ハーフミラー２２で反射されて右円偏光の光Ｌ２となり、さらに選択反射ミラー３６で反射されて光Ｌ３として運転者に至る。その結果、運転者Ｘは、第１画像の実像と第２画像の虚像とが重畳された画像を視認する。本実施例では、ハーフミラー２２により表示器１０の表示面全体が覆われるため、表示画像に継ぎ目がなく、デザイン性に優れた表示装置が提供できる。

　［第６実施例］
　図８は、本発明の第６実施例に係る表示装置１Ｆの構成を示す。なお、第１実施例と同様の構成要素には同様の符号を付し、重複した説明は省略する。また、便宜上、表示制御部５０の図示は省略する。

　第１実施例では、選択反射ミラー３１をコンバイナ３０に重ねて配置している。その代わりに、第６実施例では、コンバイナ３０を除去し、選択反射ミラー３７を表示器１０の第１領域に重ねて配置する。選択反射ミラー３７は、左円偏光を透過し、右円偏光を反射するものとする。これにより、表示装置１Ｆ全体の奥行きを小さくすることができる。

　また、第１実施例のミラー２０の代わりに、凹面形状のハーフミラー２３を、運転者Ｘから見て第１領域を覆うように配置する。即ち、ハーフミラー２３は、その凹面が表示器１０側を向くように配置される。ハーフミラー２３を凹面形状とすることにより、第２画像を拡大するとともに遠方に虚像として表示することができる。なお、本実施例において、ハーフミラー２３は本発明の反射手段の一例であり、選択反射ミラー３７は本発明の光学素子の一例である。

　第６実施例では、表示器１０の第１領域から射出した、第１画像を構成する左円偏光の光が選択反射ミラー３７を透過して運転者Ｘに至る。一方、表示器１０の第２領域から射出した、第２画像を構成する左円偏光の光Ｌ１は、ハーフミラー２３により反射されて右円偏光の光Ｌ２となり、選択反射ミラー３７で反射されて光Ｌ３として運転者に至る。その結果、運転者Ｘは、第１画像の実像と第２画像の虚像とが重畳された画像を視認する。

　［変形例］
　上記の各実施例では、表示器１０の表示面において、実像を表示する第１領域を上側、虚像を表示する第２領域を下側に配置しているが、これらを上下反対としてもよい。

　本発明は、車両のインスツルメントパネルに設ける表示装置の他、ゲーム機、家電製品などの各種表示装置に利用することができる。

　１、１Ａ～１Ｆ　表示装置
　１０　表示器
　２０　ミラー
　２２、２３　ハーフミラー
　３０、３５　コンバイナ
　３１、３６、３７　選択反射ミラー
　３２　偏光素子
　３３　フレネルハーフミラー
　４０　遮蔽部材
　５０　表示制御部

Claims (9)

1. 　観察者に向けて画像を表示する表示装置であって、
   　表示面の第１領域に第１画像を表示し、前記表示面の第２領域に第２画像を表示する１つの表示器と、
   　前記表示面の第１領域と前記観察者との間に配置され、前記第１領域から射出される前記第１画像を構成する光が入射する第１の面と、前記第１の面と対向する第２の面とを有する光学素子と、
   　前記表示面の前記第２領域から射出される前記第２画像を構成する光を、前記光学素子の前記第２の面に向けて反射する反射手段と、を備え、
   　前記光学素子は、前記第１の面に入射する前記第１画像を構成する光を前記観察者に向けて透過するとともに、前記反射手段により反射されて前記第２の面に入射する光を前記観察者に向けて反射することを特徴とする表示装置。
2. 　前記表示器は、前記第１画像及び前記第２画像を構成する光として第１回転方向の円偏光を射出し、
   　前記反射手段は、前記第２画像を構成する光である前記第１回転方向の円偏光を反射することで、前記第２画像を構成する光を前記第１回転方向と反対の回転方向である第２回転方向の円偏光となるように反転させ、
   　前記光学素子は、前記第１の面に入射する前記第１回転方向の円偏光を前記観察者に向けて透過するとともに、前記第２の面に入射する前記第２回転方向の円偏光を前記観察者に向けて反射することを特徴とする請求項１に記載の表示装置。
3. 　前記光学素子は、コレステリック液晶を含むことを特徴とする請求項２に記載の表示装置。
4. 　前記表示器は、前記第１画像を構成する光として第１方向の直線偏光を射出するとともに、前記第２画像を構成する光として前記第１方向と直交する第２方向の直線偏光を射出し、
   　前記反射手段は、前記第２画像を構成する光である前記第２方向の直線偏光を、偏光方向を変えずに反射し、
   　前記光学素子は、前記第１の面に入射する前記第１方向の直線偏光を前記観察者に向けて透過するとともに、前記第２の面に入射する前記第２方向の直線偏光を前記観察者に向けて反射することを特徴とする請求項１に記載の表示装置。
5. 　前記光学手段は、偏光ビームスプリッタを含むことを特徴とする請求項４に記載の表示装置。
6. 　車両に搭載され、
   　搭載される車両に関する情報を取得する車両情報取得手段と、
   　交通情報及び目的地への経路を含むナビゲーションに関する情報を取得するナビゲーション情報取得手段と、
   　前記車両に関する情報を前記第１画像及び前記第２画像の一方として表示するとともに、前記ナビゲーションに関する情報を前記第１画像又は前記第２画像の他方として表示するように前記表示器を制御する表示制御部と、
   　を備えることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の表示装置。
7. 　車両に搭載され、
   　搭載される車両の走行速度を取得する速度取得手段と、
   　前記走行速度に応じて、前記表示器に前記第１画像及び前記第２画像としてそれぞれ表示させる情報の組み合わせを決定する表示制御部と、
   　を備えることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の表示装置。
8. 　請求項１乃至５のいずれか一項に記載の表示装置により実行される表示方法であって、
   　前記第１領域に第１画像を表示し、前記第２領域の第２画像を表示するように前記表示器を制御する表示制御工程を有することを特徴とする表示方法。
9. 　請求項１乃至５のいずれか一項に記載の表示装置により実行される表示プログラムであって、
   　前記第１領域に第１画像を表示し、前記第２領域の第２画像を表示するように前記表示器を制御する表示制御手段として前記表示装置を機能させることを特徴とする表示プログラム。

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