以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係るコンベヤシステムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すコンベヤシステム1は、コンベヤ装置2、上位コントローラ3(異常診断装置)、及び電源部PS1,PS2を備えている。上位コントローラ3は、異常診断装置の一例に相当している。
コンベヤ装置2は、その搬送経路が複数のゾーンZ1~Z11に分割されている。以下、ゾーンZ1~Z11を総称してゾーンZと称する。コンベヤ装置2は、パレット、コンテナ、トレイといった概ね一定の大きさの搬送物を搬送することを目的としている。各ゾーンZは、多くの場合、少なくとも一個の搬送物を載置可能な長さを有している。
各ゾーンZの種類には、搬送物を直進させる直進ゾーンと、搬送物を直進方向と交差する方向に搬送可能な方向転換ゾーンとが含まれている。直進ゾーンには、後述する駆動ローラ5aを1本備えた第一直進ゾーンと、駆動ローラ5aを二本備えた第二直進ゾーンとが含まれる。方向転換ゾーンには、直進と方向転換とを選択可能であって、搬送方向を分岐させることができる分岐ゾーンが含まれる。
図1では、各ゾーンの種類を矢印で示している。直進の矢印は直進ゾーンを示し、直進の矢印1本のゾーンは第一直進ゾーン、直進の矢印2本のゾーンは第二直進ゾーンを示している。方向が曲がっている矢印は方向転換ゾーンを示し、分岐している矢印は方向転換ゾーンのうちの分岐ゾーンを示している。なお、これらはゾーンZの種類の一例であり、他の種類のゾーンを含んでいてもむろんよい。
なお、図1に示す各種類のゾーンZの配置は、説明のために便宜的に記載したものであり、必ずしも実際の運用に適したゾーンZの配置を示すものではない。
ゾーンZ1~Z11は、それぞれ一台ずつの搬送モジュールM1~M11によって構成されている。以下、搬送モジュールM1~M11を総称して搬送モジュールMと称する。搬送モジュールMの種類には、直進ゾーンを構成する直進搬送モジュールMsと、方向転換ゾーンを構成する方向転換モジュールMtとが含まれる。
搬送モジュールM1~M11は、搬送機構と、搬送機構の動作を制御するローカルコントローラZC1~ZC11とを備えている。すなわち、ゾーンZ1~Z11は、それぞれ対応するローカルコントローラZC1~ZC11を備えている。
ローカルコントローラZC1~ZC11を総称してローカルコントローラZCと称する。また、各ゾーンZを構成する搬送モジュールMのことを含めて、単にゾーンZと称する。
ローカルコントローラZC1~ZC11と上位コントローラ3とは、通信ケーブル4を介してデータ送受信可能に接続されている。各ローカルコントローラZCと上位コントローラ3とは、例えばイーサネット(登録商標)等の通信方式によって通信可能にされていてもよく、通信ケーブル4を介さず無線通信可能にされていてもよく、その通信方式は限定されない。
電源部PS1,PS2は、各ゾーンZのモータを駆動するための駆動用電源電圧Vdを出力する電源装置である。例えば、電源部PS1は、電源ケーブルCBL1を介してゾーンZ1~Z5へ駆動用電源電圧Vdを供給し、電源部PS2は、電源ケーブルCBL2を介してゾーンZ6~Z11へ駆動用電源電圧Vdを供給する。駆動用電源電圧Vdは、例えば24Vである。
なお、各ローカルコントローラZCを動作させるための動作用電源電圧は、電源部PS1,PS2とは別の図略の電源系統から供給される。
図2は、直進ゾーンを構成する直進搬送モジュールMsの構成の一例を示す斜視図である。図2に示す直進搬送モジュールMsは、いわゆるローラコンベヤである。直進搬送モジュールMsは、搬送機構と、ローカルコントローラZCと、在荷センサ8とを備えている。搬送機構は、モータを内蔵する駆動ローラ5aと、駆動ローラ5aと従動回転する複数の従動ローラ5bと、駆動ローラ5a及び従動ローラ5bを所定間隔で軸支する一対のサイドフレーム6,6と、伝動ベルト7とを備えている。以下、駆動ローラ5a及び従動ローラ5bを総称して搬送ローラ5と称する。
直進搬送モジュールMs内の隣接する搬送ローラ5同士は伝動ベルト7で巻回されている。これにより、駆動ローラ5aの回転駆動力は伝動ベルト7を介して他の従動ローラ5bへ伝達され、各従動ローラ5bが駆動ローラ5aに対して従動回転する。搬送ローラ5の上面によって、搬送物の搬送路が形成されている。
駆動ローラ5aは、ローカルコントローラZCからの制御信号に応じて回転駆動する。これにより、ローカルコントローラZCは、直進搬送モジュールMsすなわちゾーンZにおける搬送物の搬送を制御可能とされている。
図2に示す直進搬送モジュールMsは、駆動ローラ5aを1本備えた第一直進ゾーン用の直進搬送モジュールMsである。第二直進ゾーン用の直進搬送モジュールMsは、駆動ローラ5aを二本備えている。以下、第一直進ゾーン用の直進搬送モジュールMsを直進搬送モジュールMs1と称し、第二直進ゾーン用の直進搬送モジュールMsを直進搬送モジュールMs2と称する。
なお、図2に示す直進搬送モジュールMsは一例であって、ゾーンZ毎の搬送ローラ5の本数は、任意に増減可能である。また、ゾーンZがローラコンベヤである例を示したが、ゾーンZは、ベルトコンベヤ等の、ローラコンベヤ以外の搬送機構によって構成されていてもよい。
在荷センサ8は、例えばサイドフレーム6,6上の下流端近傍に、配設されている。在荷センサ8は、例えば透過型の光電センサであり、サイドフレーム6,6の一方に発光側、他方に受光側が配置されており、発光側と受光側との一対で一つのセンサとして機能する。在荷センサ8は、直進搬送モジュールMsの搬送路上における搬送物の有無を検出し、その検出信号をローカルコントローラZCへ出力する。
以下、在荷センサ8及び後述の境界センサ9は、搬送物を検出したときオン、検出しないときオフするものとして説明する。オン、オフの論理は逆であってよい。
図3は、図1に示すゾーンZ1~Z3の構成の一例を示す斜視図である。図1に矢印で示すように、ゾーンZ1,Z2は第一直進ゾーン、ゾーンZ3は第二直進ゾーンであるから、ゾーンZ1,Z2は駆動ローラ5aを一本備えた直進搬送モジュールMs1によって構成され、ゾーンZ3は駆動ローラ5aを二本備えた直進搬送モジュールMs2によって構成され、直進搬送モジュールMs1,Ms1,Ms2が連結されて、ゾーンZ1~Z3が構成されている。
図4は、分岐ゾーンを含む方向転換ゾーンを構成する方向転換モジュールMtの構成の一例を示す斜視図である。図5は、図4に示す方向転換モジュールMtの分解斜視図である。図6は、図1に示すゾーンZ4,Z5,Z6,Z8が連結された状態を示す斜視図である。図4に示す方向転換モジュールMtは、搬入方向、及び搬出方向を切り替えることにより、搬送物の搬送方向を複数方向に切り替え可能となっている。
方向転換モジュールMtは、方向転換機構と、ローカルコントローラZCと、後述する昇降コントローラ21と、図略の在荷センサ8と、複数の境界センサ9とを備えている。方向転換機構は、図5に示す主搬送コンベヤ11、副搬送コンベヤ12、及び昇降装置13によって構成されている。主搬送コンベヤ11は、複数のベルト14と、複数のベルト14が掛け回された駆動ローラ15とを備えている。駆動ローラ15はモータを内蔵し、ローカルコントローラZCからの制御信号に応じて回転駆動する。複数のベルト14の上面が主搬送コンベヤ11の搬送路とされている。主搬送コンベヤ11の搬送方向は、コンベヤ装置2の搬送方向と一致している。
副搬送コンベヤ12は、いわゆるローラコンベヤである。副搬送コンベヤ12は、複数のローラ16と、これらのローラ16を連動回転させるベルト17とを備えている。複数のローラ16のうち一本は、例えばモータを内蔵した駆動ローラとされている。駆動ローラは、ローカルコントローラZCからの制御信号に応じて回転駆動する。
各ローラ16は、主搬送コンベヤ11のベルト14同士の間に位置するように、配置されている。各ローラ16の上面が副搬送コンベヤ12の搬送路とされている。副搬送コンベヤ12の搬送方向は、主搬送コンベヤ11の搬送方向すなわちコンベヤ装置2の搬送方向と直交する方向とされている。
昇降装置13は、一対の直動カム18と、昇降コントローラ21からの制御信号に応じて回転駆動する昇降モータ19と、昇降モータ19の駆動力により一対の直動カム18をスライド移動させるラックアンドピニオン機構20とを備える。直動カム18のスライド位置に応じて、主搬送コンベヤ11及び副搬送コンベヤ12が昇降する。
昇降モータ19は、図略のギヤ機構を介してラックアンドピニオン機構20を駆動して直動カム18を位置変更させることによって、主搬送コンベヤ11を副搬送コンベヤ12よりも上に突出させる直進姿勢と、副搬送コンベヤ12を主搬送コンベヤ11よりも上に突出させる方向転換姿勢とを切り替え可能とされている。
ローカルコントローラZCの後述する駆動制御部51bは、直進方向又は交差方向の搬送方向を示す方向指示信号を昇降コントローラ21へ出力することによって、昇降コントローラ21に姿勢変更を指示する。
ローカルコントローラZC(駆動制御部51b)は、昇降コントローラ21によって方向転換モジュールMtを直進姿勢にさせた状態で、主搬送コンベヤ11を駆動させることによって、搬送物を直進させる。また、ローカルコントローラZC(駆動制御部51b)は、昇降コントローラ21によって方向転換モジュールMtを方向転換姿勢にさせた状態で、副搬送コンベヤ12を駆動させることによって、搬送物を直進方向と交差する方向に搬送させる。これにより、方向転換モジュールMtは、搬送物の搬送方向を切り替え可能とされている。
なお、方向転換モジュールMtは、搬送物の搬送方向を切り替えることができればよく、必ずしも主搬送コンベヤ11と副搬送コンベヤ12との昇降制御によって、搬送方向を切り換える例に限らない。
以下、図2,図4に示すように、各搬送モジュールMの、搬送方向上流側の方向をD1、搬送方向下流側の方向をD2、搬送方向右側の方向をD3、搬送方向左側の方向をD4の各符号で示す。
図6に示すゾーンZ5の搬送方向上流側(方向D1)にはゾーンZ4、ゾーンZ5の搬送方向下流側(方向D2)にはゾーンZ6、ゾーンZ5の搬送方向右側(方向D3)にはゾーンZ8が連結されている。ゾーンZ5は方向転換モジュールMt、ゾーンZ4,Z6,Z8は直進搬送モジュールMs1である。
境界センサ9は、例えば在荷センサ8と同様の光電センサであり、発光側と受光側との一対で一つのセンサとして機能する。なお、在荷センサ8及び境界センサ9は、透過型光電センサに限られず、反射型光電センサ等であってもよい。
境界センサ9は、ゾーンZ5と隣接する他のゾーンZとの境界において、搬送物Wを検出し、その検出信号をゾーンZ5(方向転換モジュールMt)のローカルコントローラZCへ出力する。境界センサ9は、ゾーンZ5の方向転換モジュールMtの一部であるが、他のゾーンZとの境界で搬送物Wを検出することができればよく、例えば図6に示すように、ゾーンZ5と隣接する他のゾーンZ側に境界センサ9が配設されていてもよい。
図6では、ゾーンZ5の搬送方向左側(方向D4)には他のゾーンZが連結されていない例を示したが、方向D4にも他のゾーンZを連結してもよい。また、ゾーンZ7の搬送モジュールM7として、ゾーンZ5と同じ方向転換モジュールMtを用いることができる。
図7は、図1に示す上位コントローラ3の構成の一例を示すブロック図である。図7に示す上位コントローラ3は、演算部30、ディスプレイ34、キーボード35、マウス36、通信IF部37、レイアウト情報記憶部38(モータ情報記憶部、構成情報記憶部)、及び異常履歴を記憶する異常履歴記憶部39を備えている。
上位コントローラ3は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成されている。ディスプレイ34は、例えば液晶表示装置や有機EL(Electro-Luminescence)パネル等を用いた表示装置である。
通信IF部37は、例えばイーサネット(登録商標)等の通信インターフェイス回路である。通信IF部37は、通信ケーブル4を介して各ローカルコントローラZCとデータ送受信可能に構成されている。
レイアウト情報記憶部38には、各ゾーンZの配置を示す配置情報が予め記憶されている。また、レイアウト情報記憶部38には、各ゾーンZに対応付けて、各ゾーンZに付与されたアドレス(通信アドレス)、各ゾーンZのゾーン種別情報、及びモータ情報が予め記憶されている。また、レイアウト情報記憶部38には、各電源部PS1,PS2から、どのゾーンZに対して駆動用電源電圧Vdが供給されているかを示す電源系統情報が予め記憶されている。
配置情報は、例えば図1に示すコンベヤ装置2であれば、ゾーンZ1~Z7が直列に連結され、ゾーンZ5の方向D3(搬送方向右側)にゾーンZ8が連結され、ゾーンZ8の方向D2(搬送方向下流側)にゾーンZ9が連結され、ゾーンZ7の方向D3にゾーンZ10が連結され、ゾーンZ10の方向D2にゾーンZ11が連結されていることを表す情報である。
各ローカルコントローラZCのローカル通信部57(後述)には、自己を識別するためのアドレスが付与されている。ローカル通信部57に付与されたアドレスは、そのローカル通信部57を備えるローカルコントローラZC及びゾーンZのアドレスでもある。レイアウト情報記憶部38には、各ゾーンZのアドレスが予め記憶されている。
図1に示す例では、各ゾーンZの符号の添え字がアドレスを表しているものとする。例えば、ゾーンZ1のアドレスは1、ゾーンZ9のアドレスは9である。
配置情報及び各ゾーンZのアドレスを記憶するレイアウト情報記憶部38は、構成情報記憶部の一例に相当している。
ゾーン種別情報は、各ゾーンZの種類を示す情報である。各ゾーンZの種類には、直進ゾーン(第一直進ゾーン、第二直進ゾーン)、及び方向転換ゾーン等がある。図1に示す例では、ゾーンZ1,Z2,Z4,Z6,Z8~Z11は第一直進ゾーン、ゾーンZ3は第二直進ゾーン、ゾーンZ5,Z7は方向転換ゾーンである。
モータ情報は、各ゾーンZにおけるモータ61の接続の態様を示す情報である。具体的には、各ゾーンZには、モータ61を接続するためのコネクタCN1が複数設けられており、モータ情報は、各コネクタCN1にモータ61を接続すべきか否かを示している。
演算部30は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶装置、タイマ回路、及びこれらの周辺回路等を用いて構成されている。
上述の記憶装置には、例えば本発明の一実施形態に係る異常診断プログラム等が記憶されている。この記憶装置は、レイアウト情報記憶部38及び異常履歴記憶部39としても用いられる。演算部30は、上述の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって、搬送制御部31、異常診断部32、及び異常履歴記録処理部33として機能する。
搬送制御部31は、通信IF部37を介して各ローカルコントローラZCへ指示又はデータ等を送信し、各ローカルコントローラZCから通信IF部37を介してデータ等を受信することにより、コンベヤ装置2の動作を制御する。以下、演算部30(異常診断部32、搬送制御部31、異常履歴記録処理部33)が、通信IF部37を介してゾーンZと通信することを、単に演算部30(異常診断部32等)が通信する、取得する、アクセスする、等と記載する。
また、演算部30(異常診断部32等)が、各ゾーンZのローカルコントローラZCに要求して、各ゾーンZにおける、設定値記憶部58、プログラム記憶部59の情報や、端子電圧検出部63、駆動電圧検出部64等の検出値等を、ローカルコントローラZCから送信させて取得することを、単に、演算部30(異常診断部32等)が、各ゾーンZの設定値記憶部58等の構成要素にアクセスして取得する、というように記載する。
異常診断部32は、各ゾーンZで検出された異常の種類に基づいて、その検出された種類の異常の原因を診断するための手掛かりとなる手掛情報を取得し、その取得された手掛情報に基づきその検出された異常の原因を推定する。
異常診断部32は、誘起電圧エラー(第一エラー)、ジャムエラー(第二エラー)、モータ電源オフエラー(第三エラー)、モータ未接続エラー(第四エラー)、昇降エラー(第五エラー)、低電圧エラー(第六エラー)、モータロックエラー(第七エラー)、基板サーマルエラー(第八エラー)、モータサーマルエラー(第九エラー)、及びローカル間通信エラー(第十エラー)についての原因推定等の処理を実行する。
すなわち異常診断部32は、誘起電圧エラー処理、ジャムエラー処理、モータ電源オフエラー処理、モータ未接続エラー処理、昇降エラー処理、低電圧エラー処理、モータロックエラー処理、基板サーマルエラー処理、モータサーマルエラー処理、及びローカル間通信エラー処理を実行する。
異常履歴記録処理部33は、各ゾーンZで検出された異常と、その検出された異常に対応して異常診断部32によって推定された異常の原因とを対応付けて異常履歴記憶部39に累積的に記録する。
図8、図9は、図1に示すゾーンZの電気的構成の一例を示すブロック図である。図8は直進ゾーンに用いられる直進搬送モジュールMsの構成を示し、図9は方向転換ゾーンに用いられる方向転換モジュールMtの構成を示している。
図8を参照して、直進搬送モジュールMsは、ローカルコントローラZC、モータブロック60、及び在荷センサ8を備える。ローカルコントローラZCは、制御部50、ローカル通信部57、設定値記憶部58、及びプログラム記憶部59を備える。モータブロック60は、モータ61、モータ駆動回路62、端子電圧検出部63、駆動電圧検出部64、電流検出部66、回路温度検出部67、モータ温度検出部68、及びホール素子H1,H2,H3を備える。
ローカル通信部57は、上位コントローラ3の通信IF部37と同じ通信方式の通信インターフェイス回路である。ローカル通信部57は、通信ケーブル4を介して他のローカルコントローラZC及び上位コントローラ3とデータ送受信可能に構成されている。ローカル通信部57には、自己のアドレスが設定されている。
以下、制御部50(駆動制御部51a,51b、速度制御部52、モータ接続検出部53、回転検出部54、ローカル異常検出部56a,56b)が、ローカル通信部57を介して他のゾーンZ及び上位コントローラ3と通信することを、単に制御部50(駆動制御部51a,51b、速度制御部52、モータ接続検出部53、回転検出部54、ローカル異常検出部56a,56b)が通信する、取得する、アクセスする、等と記載する。
設定値記憶部58には、速度設定、ジャム判定時間tj、モータ接続情報、切替監視時間tlm、電流制限値Ilim、回路温度判定値Tcref、及びローカルアドレス情報が記憶されている。設定値記憶部58は、速度設定記憶部、ジャム判定時間記憶部、モータ接続情報記憶部、切替監視時間記憶部、電流制限値記憶部、回路温度判定値記憶部、及びローカル通信設定記憶部の一例に相当している。
設定値記憶部58に記憶されている情報は、上位コントローラ3からの指示に応じて上位コントローラ3へ送信可能とされ、上位コントローラ3からの指示に応じて変更可能とされている。
速度設定は、自己のゾーンZが搬送物を搬送すべき速度を示している。ジャム判定時間tjは、在荷センサ8が搬送物を検出している時間に基づき荷詰まりを判定するための判定時間である。
モータ接続情報は、自己のゾーンZが備える一又は複数のモータブロック60において、それぞれのコネクタCN1に対して、モータ61が接続されるべきか否かを示す情報である。便宜上、例えば各コネクタCN1にポート番号1,2・・・が付与されているとすると、ポート番号1に対応してモータ61を接続すべき、ポート番号2に対応してモータ61の接続無し、のようにコネクタCN1に対して、モータ61が接続されるべきか否かを示している。
切替監視時間tlmは、昇降エラーを判定するための判定時間である。電流制限値Ilimは、モータ61に流れるモータ電流の上限値である。回路温度判定値Tcrefは、モータ駆動回路62の回路温度の異常を判定するための判定値である。
ローカルアドレス情報は、自己のゾーンに隣接する他のゾーンZに付与されたアドレスを示す情報である。
プログラム記憶部59には、制御部50が実行するためのプログラムと、プログラム記憶部59に記憶されているプログラムが第一プログラムP1なのか第二プログラムP2なのか、そのプログラムを識別するプログラム識別情報とが予め記憶されている。
直進搬送モジュールMsのプログラム記憶部59には、第一プログラムP1と、第一プログラムP1を示すプログラム識別情報とが記憶される。後述する方向転換モジュールMtのプログラム記憶部59には、第二プログラムP2と、第二プログラムP2を示すプログラム識別情報とが記憶される。プログラム識別情報は、例えばプログラムの名前であってもよく、コード番号や記号であってもよい。
直進搬送モジュールMsのローカルコントローラZCと、方向転換モジュールMtのローカルコントローラZCとは、同じハードウェアを用いている。ローカルコントローラZCは、プログラム記憶部59に第一プログラムP1を記憶させることで、直進搬送モジュールMs用のローカルコントローラZCとして機能し、プログラム記憶部59に第二プログラムP2を記憶させることで、方向転換モジュールMt用のローカルコントローラZCとして機能するようになっている。
制御部50は、例えば所定の演算処理を実行するCPU、データを一時的に記憶するRAM、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子、タイマ回路、及びこれらの周辺回路等を用いて構成されている。上述の記憶素子等によって、設定値記憶部58及びプログラム記憶部59が構成されている。
そして、制御部50は、プログラム記憶部59に記憶された第一プログラムP1を実行することによって、駆動制御部51a、速度制御部52、モータ接続検出部53、回転検出部54、及びローカル異常検出部56a(第一の異常検出部)として機能する。
駆動制御部51aは、モータ駆動回路62を介してモータ61の駆動を制御することによって、自己のゾーンZによる搬送物の搬送を制御する。
速度制御部52は、自己のゾーンZにおける搬送物の搬送速度が、設定値記憶部58に記憶されている速度設定で示される速度になるように、モータ駆動回路62へ指示信号を出力してモータ61の回転速度を制御する。
図10は、図8、図9に示すローカル異常検出部56a,56bの異常検出処理を説明するための説明図である。図8に示すローカル異常検出部56aは、誘起電圧エラー検出処理、ジャムエラー検出処理、モータ電源オフエラー検出処理、モータ未接続エラー検出処理、低電圧エラー検出処理、モータロックエラー検出処理、基板サーマルエラー検出処理、モータサーマルエラー検出処理、及びローカル間通信エラー検出処理を実行する。
直進搬送モジュールMs(図8)では、モータ61は、駆動ローラ5aを駆動する(駆動ローラ5aに内蔵される)モータである。図8ではモータブロック60を一つ記載しているが、モータブロック60は搬送駆動用のモータ61の数だけ設けられ、駆動ローラ5aを二つ備える第二直進ゾーンではモータブロック60は二つ設けられる。
なお、第一直進ゾーンであっても、モータブロック60におけるモータ61以外の部分は予め複数備えておき、必要に応じてモータ61のみ増減する構成としてもよい。これにより、使用されるモータ61の数が異なるゾーンZに対しても、モータブロック60のモータ61以外の部分の共用化率が向上する。
モータ駆動回路62は、いわゆるモータドライバ回路である。モータ駆動回路62は、制御部50からの制御信号に応じてモータ61を駆動する。
端子電圧検出部63、駆動電圧検出部64はいわゆる電圧検出回路であり、例えば分圧抵抗とアナログデジタルコンバータとを用いて構成することができる。電流検出部66は、いわゆる電流検出回路であり、例えばシャント抵抗とアナログデジタルコンバータとを用いて構成することができる。回路温度検出部67、モータ温度検出部68としては、例えば熱電対等の温度センサを用いることができる。
図11は、図8,図9に示すモータブロック60を、模式的に示した説明図である。モータ61の一方の端子はコネクタCN1の端子T1と電流検出部66とを介してモータ駆動回路62と接続され、モータ61の他方の端子はコネクタCN1の端子T2を介してモータ駆動回路62と接続されている。これにより、電流検出部66は、モータ61に流れるモータ電流Imを検出し、その検出値を制御部50へ出力する。
端子T1と端子T2との間には端子電圧検出部63が接続されている。これにより、端子電圧検出部63は、モータ61の端子電圧Vtを検出し、その検出値を制御部50へ出力する。
モータ駆動回路62は、コネクタCN2の端子T6,T7と、電源ケーブルCBL1又は電源ケーブルCBL2とを介して電源部PS1又は電源部PS2と接続されている。モータ駆動回路62は、電源部PS1又は電源部PS2から供給された駆動用電源電圧Vdを、制御部50からの制御信号に応じてスイッチング等してモータ61へ供給する。
駆動電圧検出部64は、モータ駆動回路62の入力端子間の電圧、すなわち電源部PS1又は電源部PS2からモータ駆動回路62へ供給された駆動用電源電圧Vdを検出し、その検出値を制御部50へ出力する。
図11では、モータ61を軸方向と垂直に切断し、モータ61の回転子61aの外周面側の極性を、N,Sで示している。ホール素子H1,H3は、回転子61aの同じ極性の磁石と対向し、ホール素子H2は、ホール素子H1,H3とは異なる極性の磁石と対向するように配置されている。ホール素子H1,H2,H3は、コネクタCN1の端子T3,T4,T5を介して制御部50と接続されている。
これにより、例えばホール素子H1,H2,H3が、N極を検知した場合にHレベルを出力する場合、図11の状態では、ホール素子H1,H2,H3の出力信号は(H,L,H)となる。モータ61が回転すると、ホール素子H1,H2,H3の出力信号は、(L,H,L)、(H,L,H)、(L,H,L)、(H,L,H)・・・のように、(H,L,H)の信号パターンと、(L,H,L)の信号パターンとを交互に繰り返すことになる。なお、ホール素子H1,H2,H3は、S極を検知した場合にHレベルを出力するものであってもむろんよい。
回転検出部54は、ホール素子H1,H2,H3の出力信号パターンが、(H,L,H)と(L,H,L)とを繰り返す場合にモータ61が回転していると判定することによって、モータ61の回転状態を検出する。なお、回転検出部54は、モータ61の回転状態を検出可能であればよく、ホール素子H1,H2,H3の出力信号に基づきモータ61の回転状態を検出するものに限らない。
モータ接続検出部53は、ホール素子H1,H2,H3がすべて同じ信号であった場合、すなわち信号パターンが(L,L,L)又は(H,H,H)であった場合、コネクタCN1が接続されていないと判定する。すなわち、コネクタCN1が接続され、ホール素子H1,H2,H3の出力信号が制御部50へ出力された場合、ホール素子H1,H2,H3の出力信号は、(H,L,H)又は(L,H,L)のいずれかになるはずである。従って、ホール素子H1,H2,H3の出力信号がすべて同じ信号であった場合、モータ接続検出部53は、モータ61のコネクタCN1が接続されていないと判定することができる。
なお、モータ61のコネクタCN1が接続されていない場合には、コネクタCN1の接触不良も含まれる。
モータ温度検出部68は、モータ61に付設されてモータ61のモータ温度Tmを検出し、その検出値を制御部50へ出力する。回路温度検出部67は、モータ駆動回路62の回路基板に付設されてモータ駆動回路62の回路温度Tcを検出し、その検出値を制御部50へ出力する。
なお、一枚の回路基板に複数のモータ駆動回路62が形成されていてもよい。この場合、複数のモータブロック60を用いる場合であっても、回路温度検出部67は一つでよい。
図9を参照して、方向転換モジュールMtは、直進搬送モジュールMsとは、境界センサ9と、昇降モータ19と、昇降コントローラ21(切替応答信号出力部)とをさらに備える点で異なる。また、方向転換モジュールMtのローカルコントローラZCは、直進搬送モジュールMsのローカルコントローラZCとは、プログラム記憶部59に第二プログラムP2が記憶され、制御部50が駆動制御部51a及びローカル異常検出部56aの代わりに駆動制御部51b及びローカル異常検出部56b(第二の異常検出部)として機能する点で異なる。以下、駆動制御部51a,51bを総称して駆動制御部51と称する。
駆動制御部51は、設定値記憶部58に記憶された電流制限値Ilimを読み出して、モータ61に流れるモータ電流が、電流制限値Ilimを超えないように、モータ駆動回路62を制御する。
その他の点では方向転換モジュールMtは、電気的には直進搬送モジュールMsと同様に構成されているのでその説明を省略し、方向転換モジュールMtの特徴的な点について説明する。
方向転換モジュールMtの昇降コントローラ21は、いわゆるマイクロコンピュータを用いて構成されている。昇降コントローラ21は、制御部50からの搬送方向の指示を示す方向指示信号に応じて昇降モータ19を駆動することにより、方向転換モジュールMtを、直進姿勢と方向転換姿勢との間で姿勢変更させる。昇降コントローラ21は、姿勢変更が完了した後、搬送方向の切り替えが行われたことを示す切替応答信号を制御部50へ出力する。
昇降コントローラ21は、切替応答信号出力部の一例に相当している。切替応答信号は、変更後の搬送方向、すなわち主搬送コンベヤ11と副搬送コンベヤ12のうちどちらが上になっているかの姿勢を示す信号を兼ねていてもよい。
方向転換モジュールMt(図9)は、モータブロック60を二つ備えている。一方のモータブロック60のモータ61は主搬送コンベヤ11の駆動ローラ15を駆動するモータであり、他方のモータブロック60のモータ61は副搬送コンベヤ12のローラ16を駆動するモータである。
駆動制御部51bは、主搬送コンベヤ11の駆動ローラ15、副搬送コンベヤ12のローラ16、及び昇降コントローラ21を制御することによって、各方向への搬送を制御する。
ローカル異常検出部56bは、ローカル異常検出部56aと同様のエラー検出処理に加えて、さらに昇降エラー検出処理を実行する。以下、ローカル異常検出部56a,56bを総称してローカル異常検出部56と称する。各ゾーンZに設けられた複数のローカル異常検出部56全体が、異常検出部の一例に相当している。
なお、各ゾーンZにローカル異常検出部56を設ける例に限らない。例えば、上位コントローラ3が、各ゾーンZの異常を検出する異常検出部を備えてもよい。各ゾーンZは、ローカル異常検出部56を備えず、異常検出に必要な情報を上位コントローラ3へ送信してもよい。
次に、上述のように構成されたコンベヤシステム1の動作について説明する。以下、異常の種類毎に説明する。
<誘起電圧エラー(第一エラー)>
誘起電圧エラーに関する処理について説明する。図12、図13は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1による誘起電圧エラー検出処理、及び誘起電圧エラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCのローカル異常検出部56は、端子電圧検出部63によって検出された端子電圧Vtと、モータを駆動するための駆動用電源電圧Vdの設定値(無負荷正常時の電圧値)よりも高い電圧に予め設定された端子判定電圧Vtrefとを比較する(ステップS1)。
電源部PS1,PS2は、無負荷正常時、駆動用電源電圧Vdとして例えば24Vを出力する。端子判定電圧Vtrefは、24Vより高い電圧、例えば40V、60Vといった電圧に設定されている。
端子電圧Vtが端子判定電圧Vtrefを超えていたとき(ステップS1でYES)、ローカル異常検出部56は、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類が誘起電圧エラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共に誘起電圧エラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS2)。
ステップS1,S2は、誘起電圧エラー検出処理の一例に相当している。誘起電圧エラー検出処理によれば、モータ61が外部からの力により回転させられ、発電している状態を検出することができる。また、ステップS1,S2の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難な、端子電圧Vtに基づいて、モータ61が外部からの力により回転させられている誘起電圧エラーを容易に検出することができる。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわち誘起電圧エラーが検出されたゾーンにおいて、誘起電圧エラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS3)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力すると(ステップS4でYES)、異常診断部32は、ステップS5以降の誘起電圧エラー処理を実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS4でNO)処理を終了する。
ステップS5において、異常診断部32は、対象ゾーン及び対象ゾーンよりも搬送方向上流側の複数のゾーンの設定値記憶部58にアクセスし、対象ゾーンの速度設定Aと、対象ゾーンよりも搬送物の搬送方向上流側の複数のゾーンの速度設定Bとを手掛情報として取得する(ステップS5:(a1))。
次に、異常診断部32は、対象ゾーンの速度設定Aと対象ゾーンの上流側に隣接する隣接ゾーンの速度設定Bとを比較する(ステップS6)。そして、隣接ゾーンの速度設定Bが、速度設定A以下の速度のとき(ステップS6でNO)、異常診断部32は、搬送物が外部から押されている旨のメッセージ(第二推定原因)と、搬送物が外部から押されないようにすべき旨のメッセージ(第二対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS7:(a3))、処理を終了する。
一方、隣接ゾーンの速度設定Bの方が、速度設定Aよりも速度が速いとき(ステップS6でYES)、対象ゾーンの速度設定Aが不適切である旨のメッセージ(第一推定原因)と、対象ゾーンと上流側のゾーンの速度設定を一致させるなどして修正すべき旨のメッセージ(第一対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知する(ステップS11:(a2))。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて自動修正の指示を入力すると(ステップS12でYES)、異常診断部32は、ステップS5で得られた複数の速度設定Bのうち、設定された速度が同じ速度設定の数が最も多い速度設定を探索する(ステップS13:(a4))。
次に、異常診断部32は、探索された速度設定の速度を、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスして新たな速度設定として記憶させ(ステップS14:(a5))、処理を終了する。
ステップS13において、例えば対象ゾーンがゾーンZ5であって、複数の上流側ゾーンがゾーンZ1~Z4のときに、ゾーンZ1,Z2,Z4の速度設定が秒速30cm、ゾーンZ3の速度設定が秒速40cmであった場合、秒速30cmの速度設定の数は三つ、秒速40cmの速度設定の数は一つである。この場合、最も数が多い速度設定は、秒速30cmの速度設定である。従って、秒速30cmが探索される。そして、ステップS14において、対象ゾーンZ5の設定値記憶部58には秒速30cmが設定されることになる。
対象ゾーンの上流に隣接するゾーンの速度設定Bの方が、対象ゾーンの速度設定Aよりも速度が速いとき(ステップS6でYES)、上流から対象ゾーンに送られてきた搬送物は、慣性で対象ゾーンの搬送ローラ5の搬送速度よりも速い速度で対象ゾーンに送り込まれる。
その結果、駆動ローラ5aが搬送物によって強制的に回転され、駆動ローラ5aのモータ61が強制的に回転させられる。この場合、モータ61は発電機となって、モータ61の端子電圧Vtには、駆動用電源電圧Vdに発電電圧が重畳され、端子判定電圧Vtrefを超えて誘起電圧エラーが発生する。
従って、速度設定Bの方が、速度設定Aよりも速度が速いとき(ステップS6でYES)、上記第一推定原因及び第一対処方法を判断することができる(ステップS11)。
また、速度設定Bが速度設定A以下であるにもかかわらず、誘起電圧エラーが発生した場合、上流から対象ゾーンに送られてきた搬送物の慣性によってモータ61が発電することはない。従って、ユーザが手で押すなどして搬送物が外部から押されていると考えられる。その結果、上記第二推定原因及び第二対処方法を判断することができる(ステップS7)。
また、一連のゾーンZの搬送速度は、ゾーン相互間の速度差が大きいと、スムーズに搬送が行えないから、多くの場合、一連の各ゾーンZの速度設定は同じ速度である可能性が高い。そこで、ステップS13,S14の処理によって、対象ゾーンの速度設定を適切な速度に修正することができる。
以上、ステップS1~S14の処理によれば、誘起電圧エラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS13,S14によれば、誘起電圧エラーの発生原因を自動的に解消することができる。
ステップS1~S14の処理によれば、誘起電圧エラーが検出された場合、異常診断部32による誘起電圧エラー処理が実行され、隣接ゾーンの速度設定Bの方が、速度設定Aよりも速度が速いとき(ステップS6でYES)、新たな速度設定が記憶される。また、ステップS1~S14の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難な端子電圧Vtに基づいて、誘起電圧エラーを検出し、その原因又は対処方法を知らせることができ、あるいはその発生原因を自動的に解消することができる。従って、専門知識の無いユーザであっても、異常に対処することが容易となる。
なお、ステップS4,S12を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS5では搬送方向上流側で対象ゾーンと隣接するゾーンの速度設定Bを一つだけ取得し、ステップS12~S14を実行しなくてもよい。また、ステップS7を実行しなくてもよく、ステップS11を実行しなくてもよい。
<ジャムエラー(第二エラー)>
ジャムエラーに関する処理について説明する。図14、図15は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1によるジャムエラー検出処理、及びジャムエラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCのローカル異常検出部56は、在荷センサ8を参照し、在荷センサ8のオンが設定値記憶部58に記憶されたジャム判定時間tjを超えて継続したとき(ステップS21でYES)、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類がジャムエラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共にジャムエラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS22)。
ステップS21,S22は、ジャムエラー検出処理の一例に相当している。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわちジャムエラーが検出されたゾーンにおいて、ジャムエラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS23)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力すると(ステップS24でYES)、異常診断部32は、ステップS25以降のジャムエラー処理を実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS24でNO)処理を終了する。
ステップS25において、異常診断部32は、レイアウト情報記憶部38を参照し、対象ゾーンのゾーン種別情報を手掛情報として取得する(ステップS25:(b1))。なお、異常診断部32は、対象ゾーンにアクセスしてゾーン種別情報を取得してもよい。
次に、異常診断部32は、ゾーン種別情報に基づき対象ゾーンが方向転換ゾーンであるか否かを判定し(ステップS26:(b1))、対象ゾーンが方向転換ゾーンでなかった場合(ステップS26でNO)、ステップS31へ処理を移行する。
対象ゾーンが方向転換ゾーンであった場合(ステップS26でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンのローカルコントローラZCにアクセスし、各境界センサ9の検出状態を手掛情報として取得する(ステップS27:(b2))。
そして、各境界センサ9のうちオンしている境界センサ9の数が0か1であったとき(ステップS28でNO)、ステップS31へ移行する。
一方、複数の境界センサ9がオンしているとき(ステップS28でYES)、対象ゾーンと他のゾーンとの境界のうち複数に搬送物が存在する旨のメッセージ(第三推定原因)と、方向転換ゾーンにおける搬送物を、手動で移動させる旨のメッセージ(第三対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS29:(b3))、処理を終了する。
ここで、対象ゾーンが方向転換ゾーンであった場合(ステップS26でYES)、方向転換ゾーンの複数の境界センサ9がオンしている場合には、互いに交差する方向の複数の境界センサ9、例えば方向D1の境界センサ9と方向D3の境界センサ9とがオンしている場合と、直進方向の二つの境界センサ9、例えば方向D1,D2の境界センサ9がオンしている場合とが考えられる。
互いに交差する方向の複数の境界センサ9がオンしている場合、二つの搬送物が方向転換ゾーンで干渉して引っ掛かって荷詰まりが生じていると考えられる。直進方向の二つの境界センサ9がオンしている場合、搬送物の長さが方向転換モジュールMtの搬送方向長さよりも長いことが考えられる。方向転換モジュールMtの搬送方向長さよりも長い搬送物は、交差方向(方向D3,D4)へ送り出そうとすると、搬送機構と干渉して引っ掛かって荷詰まりが生じてしまう。
従って、複数の境界センサ9がオンしているとき(ステップS28でYES)、第三推定原因及び第三対処方法を判断することができる。
他方、ステップS31において、異常診断部32は、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスしてジャム判定時間tjを手掛情報として取得する(ステップS31:(c1))。
次に、異常診断部32は、取得されたジャム判定時間tjを予め設定されたジャム基準時間t0と比較し(ステップS32)、ジャム判定時間tjがジャム基準時間t0に満たない場合(ステップS32でYES)、対象ゾーンのジャム判定時間tjが不適切である旨のメッセージ(第四推定原因)と、対象ゾーンのジャム判定時間tjを変更すべき旨のメッセージ(第四対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知する(ステップS33:(c2))。
ジャム基準時間t0は、荷詰まりを判断するために最小限必要な時間が予め設定されている。各ゾーンZのジャム判定時間tjは、ユーザが任意に変更可能にされている。そのため、ジャム判定時間tjがジャム基準時間t0に満たない場合(ステップS32でYES)、ジャム判定時間tjとして不適切な時間が設定されていたり、ジャム判定時間tjが設定されていないために0になっていたりしていると考えられる。従って、上記第四推定原因及び第四対処方法を判断することができる(ステップS33)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて自動修正の指示を入力すると(ステップS34でYES)、異常診断部32は、複数のゾーンZの設定値記憶部58にアクセスし、ジャム判定時間tjを手掛情報として取得し(ステップS35:(c4))、得られた複数のジャム判定時間tjのうち、時間が同じジャム判定時間tjの数が最も多いジャム判定時間tjを探索する(ステップS36:(c4))。
次に、異常診断部32は、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスし、探索されたジャム判定時間tjを、その設定値記憶部58に新たなジャム判定時間tjとして記憶させ(ステップS37:(c5))、処理を終了する。
ステップS36において、取得された複数のジャム判定時間tjが、例えば30秒、30秒、50秒、30秒、50秒であった場合、30秒のジャム判定時間tjは三つ、50秒のジャム判定時間tjは二つである。この場合、最も数が多いジャム判定時間tjは、30秒である。従って、対象ゾーンの設定値記憶部58には30秒が設定されることになる。従って、ステップS35~S37によれば、ジャムエラーの発生原因を自動的に解消することができる。
なお、ステップS35~S37の代わりに、異常診断部32は、ジャム判定時間tjの適切な初期値(デフォルト値)として予め設定された初期ジャム判定時間を、対象ゾーンの設定値記憶部58に、新たなジャム判定時間tjとして記憶させてもよい(c3)。
これにより、ユーザがジャム判定時間tjとして不適切な時間を設定した場合であっても、ジャム判定時間tjを初期値に初期化することによって、ジャムエラーの発生原因を自動的に解消することが可能となる。
一方、ステップS32において、ジャム判定時間tjがジャム基準時間t0以上の場合(ステップS32でNO)、異常診断部32は、推定原因は搬送物が搬送路に詰まっている又は在荷センサ8の誤検知である旨のメッセージと、対処方法は搬送物の除去又は在荷センサ8の確認である旨のメッセージとをディスプレイ34に表示させるなどして報知する(ステップS38)。
ジャム判定時間tjがジャム基準時間t0以上の場合(ステップS32でNO)、ジャム判定時間tjが原因でジャムエラーが検出されたわけではないので、実際に搬送物が搬送路に荷詰まりしているか、在荷センサ8が誤検知でオンした可能性がある。在荷センサ8の誤検知が生じる原因としては、例えば在荷センサ8の発光部の光軸と受光部の位置とがずれている場合や、在荷センサ8そのものの故障などが考えられる。そのため、ステップS38の推定原因と対処方法を判断することができる。
以上、ステップS21~S38の処理によれば、ジャムエラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS27~S29の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難な、境界センサ9の検出状態に基づいてユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、専門知識のないユーザであっても、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。
ステップS21~S38の処理によれば、ジャムエラーが検出された場合、異常診断部32によりステップS25~S38のジャムエラー処理が実行され、ジャム判定時間tjがジャム基準時間t0に満たないとき(ステップS32でYES)、新たなジャム判定時間tjが記憶される。
なお、ステップS24,S34を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS25~S29を実行せず、ステップS24でYESからステップS31へ移行してもよい。また、ステップS33を実行しなくてもよく、ステップS38を実行しなくてもよく、ステップS34~S37を実行しなくてもよく、ステップS31~S38を実行しなくてもよい。
また、方向転換ゾーン(方向転換モジュールMt)のローカル異常検出部56bは、ステップS21において、複数の境界センサ9がオンしているとき(ステップS21でYES)、ステップS22へ移行してジャムエラーを検出してもよい。
<モータ電源オフエラー(第三エラー)>
モータ電源オフエラーに関する処理について説明する。図16、図17は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1によるモータ電源オフエラー検出処理、及びモータ電源オフエラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCのローカル異常検出部56は、自己の駆動電圧検出部64によって検出された駆動用電源電圧Vdが、実質的に0Vか否かをチェックする(ステップS41)。実質的に0Vとは、駆動電圧検出部64の検出誤差又はノイズ電圧程度の電圧は、0Vとみなすことを意味する。
駆動用電源電圧Vdが実質的に0Vであったとき(ステップS41でYES)、ローカル異常検出部56は、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類がモータ電源オフエラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共にモータ電源オフエラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS42)。
ステップS41,S42は、モータ電源オフエラー検出処理の一例に相当している。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわちモータ電源オフエラーが検出されたゾーンにおいて、モータ電源オフエラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS43)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力すると(ステップS44でYES)、異常診断部32は、ステップS45以降のモータ電源オフエラー処理を実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS44でNO)処理を終了する。
ステップS45において、異常診断部32は、対象ゾーンと同じ電源部から電源電圧の供給を受けている別のゾーンZの駆動電圧検出部64にアクセスして、当該別のゾーンZの駆動用電源電圧Vdを手掛情報として取得する(ステップS45:(d1))。
図1を参照して、例えば対象ゾーンがゾーンZ1であった場合、レイアウト情報記憶部38に記憶されている電源系統情報に基づいて、同じ電源部PS1から電源供給を受けているゾーンZ2~Z5のうちいずれかのゾーンZの駆動用電源電圧Vdを取得すればよい。
次に、異常診断部32は、ステップS45で取得された別のゾーンの駆動用電源電圧Vdが実質的に0Vか否かをチェックし(ステップS46)、実質的に0Vであったとき(ステップS46でYES)、対象ゾーンに電源を供給する電源部が駆動用電源電圧Vdを出力していない旨のメッセージ(第五推定原因1)、電源部から対象ゾーンに駆動用電源電圧Vdを供給するためのケーブルが断線している旨のメッセージ(第五推定原因2)、対象ゾーンに電源を供給する電源部を確認すべき旨のメッセージ(第五対処方法1)、及び電源部から対象ゾーンに駆動用電源電圧Vdを供給するためのケーブルを確認すべき旨のメッセージ(第五対処方法2)をディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS47:(d2))、処理を終了する。
対象ゾーンとは別のゾーンでも駆動用電源電圧Vdが実質的に0Vであった場合(ステップS46でYES)、対象ゾーンと別のゾーンとで共通する部分、すなわち、電源部又は電源ケーブルに異常があると推定できる。従って、上記第五推定原因1,2、及び第五対処方法1,2を判断することが可能となる。
一方、ステップS45で取得された別のゾーンの駆動用電源電圧Vdが実質的に0Vでなかったとき(ステップS46でNO)、異常診断部32は、対象ゾーンのコネクタCN2が外れている、又はコネクタCN2が接触不良である旨のメッセージ(第六推定原因)、対象ゾーンのコネクタCN2を接続、又は脱着すべき旨のメッセージをディスプレイ34に表示させるなどして報知する(ステップS48:(d3))。
対象ゾーンとは別のゾーンでは駆動用電源電圧Vdが実質的に0Vでなかった場合(ステップS46でNO)、対象ゾーンのみの電源系統に原因があると推定できる。従って、上記第六推定原因、及び第六対処方法を判断することが可能となる。
以上、ステップS41~S48の処理によれば、モータ電源オフエラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS41~S48の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難な、複数のゾーンの駆動用電源電圧Vdに基づいて、モータ電源オフエラーが発生した原因又は対処方法を知らせることができる。従って、専門知識の無いユーザであっても、異常に対処することが容易となる。
ステップS41~S48の処理によれば、モータ電源オフエラーが検出された場合、異常診断部32によるモータ電源オフエラー処理が実行される。なお、ステップS44を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS47を実行しなくてもよく、ステップS48を実行しなくてもよい。
なお、各ゾーンZのローカル異常検出部56は、駆動用電源電圧Vdが実質的に0Vであった場合は、それぞれ、ステップS41,S42でモータ電源オフエラーを検知する。従って、ステップS46において、別のゾーンの駆動用電源電圧Vdが実質的に0Vか否かをチェックする代わりに、別のゾーンにおいてモータ電源オフエラーが検出されているか否かをチェックし、検出されていた場合にステップS46でYESとしてステップS47へ移行し、検出されていなかった場合にステップS46でNOとしてステップS48へ移行してもよい。
<モータ未接続エラー(第四エラー)>
モータ未接続エラーに関する処理について説明する。図18、図19は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1によるモータ未接続エラー検出処理、及びモータ未接続エラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCのローカル異常検出部56は、モータ接続検出部53による各コネクタCN1へのモータ61の接続の有無の検出結果を参照し、自己の設定値記憶部58に記憶されたモータ接続情報でモータ接続すべきとされているコネクタCN1に、モータ61が接続されているか否かをチェックする(ステップS51)。
そして、モータ接続すべきであるのにモータ61が接続されていないコネクタCN1があったとき(ステップS52でYES)、ローカル異常検出部56は、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類がモータ未接続エラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共にモータ未接続エラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS53)。
ステップS51~S53は、モータ未接続エラー検出処理の一例に相当している。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわちモータ未接続エラーが検出されたゾーンにおいて、モータ未接続エラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS54)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力すると(ステップS55でYES)、異常診断部32は、ステップS56以降のモータ未接続エラーを実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS55でNO)処理を終了する。
ステップS56において、異常診断部32は、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスし、モータ接続情報を手掛情報として取得する(ステップS56:(e1))。
次に、異常診断部32は、対象ゾーンのモータ接続情報が、上位コントローラ3のレイアウト情報記憶部38に記憶されたモータ情報で示されるモータ61の接続の態様と整合しているか否かを確認する(ステップS57:(e2))。具体的には、対象ゾーンのモータ接続情報が接続無しとしているコネクタCN1は、レイアウト情報記憶部38のモータ情報でも接続無しとされているか否かを確認する。
そして、整合していなかったとき(ステップS61でNO:(e2))、対象ゾーンのモータ接続情報が誤っていると考えられるから、対象ゾーンのモータ接続情報が不適切である旨のメッセージ(第七推定原因)と、対象ゾーンのモータ接続情報を変更すべき旨のメッセージ(第七対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS62:(e2))、処理を終了する。
一方、整合しているとき(ステップS61でYES)、接続されるべきモータ61が接続されていないと考えられるから、推定原因として対象ゾーンのモータ接続すべきコネクタCN1にモータ61が接続されていない旨のメッセージと、対処方法として対象ゾーンのコネクタCN1にモータ61を接続すべき旨のメッセージとをディスプレイ34に表示させるなどして報知する(ステップS63)。
以上、ステップS51~S63の処理によれば、モータ未接続エラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS51~S63の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難なモータ61の接続の有無に基づいて、モータ未接続エラーを検出し、その原因又は対処方法を知らせることができる。従って、専門知識の無いユーザであっても、異常に対処することが容易となる。
ステップS51~S63の処理によれば、モータ未接続エラーが検出された場合、異常診断部32によるモータ未接続エラー処理が実行される。なお、ステップS55を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS62を実行しなくてもよく、ステップS63を実行しなくてもよい。
<昇降エラー(第五エラー)>
昇降エラーに関する処理について説明する。図20、図21は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1による昇降エラー検出処理、及び昇降エラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCにおける方向転換ゾーン(方向転換モジュールMt)用の駆動制御部51bが、搬送物の送り先に応じた姿勢に方向転換モジュールMtを姿勢変更させるべく、姿勢変更を指示する方向指示信号を昇降コントローラ21へ出力する。
次に、ローカル異常検出部56bは、駆動制御部51bが方向指示信号を出力してからの経過時間を計時する。ローカル異常検出部56bは、駆動制御部51bが方向指示信号を出力してから切替監視時間tlm経過前に、制御部50が切替応答信号を受信するか否かを監視する(ステップS72)。そして、切替監視時間tlm経過前に、切替応答信号が受信されない場合(ステップS72でNO)、ローカル異常検出部56bは、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類が昇降エラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共に昇降エラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS73)。
ステップS72,S73は、昇降エラー検出処理の一例に相当している。昇降エラー検出処理によれば、方向転換モジュールMtにおける方向転換が正常に完了したか否かを知ることができるので、方向転換が正常に完了していない状態で搬送物を誤った方向に搬送したり、搬送物を詰まらせたりすることを防止することが容易である。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわち昇降エラーが検出されたゾーンにおいて、昇降エラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS74)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力すると(ステップS75でYES)、異常診断部32は、ステップS76以降の昇降エラー処理を実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS75でNO)処理を終了する。
ステップS76において、異常診断部32は、対象ゾーンの種別を示すゾーン種別情報を、レイアウト情報記憶部38から読み出して手掛情報として取得する(ステップS76:(f1))。そして、対象ゾーンのゾーン種別情報が方向転換ゾーンとは異なる種別を示す場合(ステップS77でNO)、異常診断部32は、対象ゾーンのプログラム記憶部59に記憶されたプログラムが誤っている旨のメッセージ(第八推定原因)と、対象ゾーンのプログラム記憶部59に記憶されたプログラムを正しいプログラムに変更すべき旨のメッセージ(第八対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS78:(f1))、処理を終了する。
ステップS72において、切替応答信号を出力するのは、方向転換ゾーンの方向転換モジュールMtのみが備える昇降コントローラ21である。一方、ステップS77において、対象ゾーンが方向転換ゾーンでなかった場合(ステップS77でNO)、対象ゾーンには昇降コントローラ21は存在しないのであるから、ステップS72で切替応答信号が受信されないのは当然である。
また、対象ゾーンが方向転換ゾーンでなければ、ステップS71において方向転換ゾーンの駆動制御部51bが方向指示信号を出力している処理、及びステップS72,S73において方向転換ゾーンのローカル異常検出部56bが昇降エラーを検出している処理が、誤って実行されていることになる。
ここで、上述したように、方向転換ゾーンのローカルコントローラZCでは、プログラム記憶部59に方向転換ゾーン用の第二プログラムP2が記憶されることによって、制御部50が駆動制御部51b、ローカル異常検出部56bとして機能する。一方、プログラム記憶部59に直進ゾーンの第一プログラムP1が記憶された場合には、制御部50は駆動制御部51a、ローカル異常検出部56aとして機能し、ステップS71~S73は実行されない。
このことから、ステップS77において、対象ゾーンが方向転換ゾーンでなかった場合(ステップS77でNO)、方向転換ゾーンではないゾーンZのプログラム記憶部59に、誤って方向転換ゾーン用の第二プログラムP2が記憶されたために、誤って昇降エラーが検出されたと考えられる。従って、上記第八推定原因及び第八対処方法を判断することができる(ステップS78)。
一方、ステップS77において、対象ゾーンのゾーン種別情報が方向転換ゾーンを示す場合(ステップS77でYES)、異常診断部32は、ステップS81へ処理を移行する。
ステップS81において、異常診断部32は、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスし、対象ゾーンの設定値記憶部58に記憶された切替監視時間tlmを手掛情報として取得する(ステップS81:(f2))。
次に、異常診断部32は、取得された切替監視時間tlmと、初期切替監視時間tlm0とを比較する(ステップS82)。初期切替監視時間tlm0としては、昇降コントローラ21が方向指示信号を受信してから切替応答信号を出力するまでに必要とされる時間が予め設定されている。設定値記憶部58には、初期切替監視時間tlm0を予めデフォルト値として記憶しておくことが好ましい。
そして、切替監視時間tlmが初期切替監視時間tlm0より短い場合(ステップS82でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンの切替監視時間tlmが不適切である旨のメッセージ(第九推定原因)と、対象ゾーンの切替監視時間tlmを変更すべき旨のメッセージ(第九対処方法)とを、ディスプレイ34に表示させるなどして報知する(ステップS83:(f3))。
切替監視時間tlmが初期切替監視時間tlm0より短い場合(ステップS82でYES)、ユーザが設定値記憶部58に記憶された切替監視時間tlmを、不適切な値に変更したか、あるいは切替監視時間tlmが設定値記憶部58に記憶(設定)されていない可能性が高い。従って、上記第九推定原因及び第九対処方法を判断することができる(ステップS83)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて自動修正の指示を入力すると(ステップS84でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスして、初期切替監視時間tlm0を、新たな切替監視時間tlmとして記憶させる(ステップS85)。これにより、昇降エラーを自動的に解消することが可能となる。
一方、切替監視時間tlmが初期切替監視時間tlm0以上の場合(ステップS82でNO)、切替監視時間tlmは原因ではないと考えられるから、推定原因は対象ゾーンの、方向転換モジュールMtの動作不良又はローカルコントローラZCの不良である旨のメッセージと、対処方法は対象ゾーンの電源再投入又はローカルコントローラZC交換である旨のメッセージとをディスプレイ34に表示させるなどして報知する(ステップS86)。
以上、ステップS71~S86の処理によれば、昇降エラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS85によれば、昇降エラーの発生原因を自動的に解消することができる。
ステップS71~S86の処理によれば、昇降エラーが検出された場合、異常診断部32による昇降エラー処理が実行される。
なお、ステップS75,S84を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS78を実行しなくてもよく、ステップS83を実行しなくてもよく、ステップS86を実行しなくてもよい。また、ステップS81~S86を実行しなくてもよい。また、ステップS76~S78を実行せず、ステップS75でYESのとき、ステップS81へ移行してもよい。しかしながら、ステップS71~S86を実行し、ステップS76,S77の判断を優先的に先に実行した後にステップS81~S86を実行することによって、より適切な原因又は対処方法の判断が可能になる点で、より好ましい。
<低電圧エラー(第六エラー)>
低電圧エラーに関する処理について説明する。図22~図24は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1による低電圧エラー検出処理、及び低電圧エラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCのローカル異常検出部56は、自己の駆動電圧検出部64によって検出された駆動用電源電圧Vdと、予め設定された駆動判定電圧Vdrefとを比較する(ステップS91)。駆動判定電圧Vdrefは、無負荷正常時に電源部PS1,PS2から出力される駆動用電源電圧Vdよりも低い電圧、例えば15Vに設定されている。
駆動用電源電圧Vdが駆動判定電圧Vdrefに満たないとき(ステップS91でYES)、ローカル異常検出部56は、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類が低電圧エラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共に低電圧エラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS92)。
ステップS91,S92は、低電圧エラー検出処理の一例に相当している。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわち低電圧エラーが検出されたゾーンにおいて、低電圧エラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS93)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力すると(ステップS94でYES)、異常診断部32は、ステップS95以降の低電圧エラー処理を実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS94でNO)処理を終了する。
ステップS95において、異常診断部32は、対象ゾーンの駆動電圧検出部64にアクセスし、駆動電圧検出部64によって新たに検出された駆動用電源電圧Vdを手掛情報として取得する(ステップS95:(g1))。
そして、異常診断部32は、新たに検出された駆動用電源電圧Vdが実質的に0のとき(ステップS96でYES)、モータ駆動回路62の異常が生じている旨のメッセージ(第十推定原因)と、モータ駆動回路62の交換又は修理をすべき旨のメッセージ(第十対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS97:(g2))、処理を終了する。
ここで、モータ駆動回路62にヒューズが設けられている場合、モータ駆動回路62の異常にはヒューズ切れが含まれ、モータ駆動回路62の修理にはヒューズ交換が含まれる。
一方、新たに検出された駆動用電源電圧Vdが実質的に0でない場合(ステップS96でNO)、ステップS101へ移行する。ステップS101において、異常診断部32は、新たに検出された駆動用電源電圧Vdと駆動判定電圧Vdrefとを比較する(ステップS101)。
そして、駆動用電源電圧Vdが駆動判定電圧Vdrefに満たないとき(ステップS101でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンのモータ駆動回路62へ駆動用電源電圧Vdを供給する電源部の容量不足である旨のメッセージ(第11推定原因)と、対象ゾーンのモータ駆動回路62へ駆動用電源電圧Vdを供給する電源部の容量を増大すべき旨のメッセージ(第11対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知する(ステップS102:(g3))。
一方、ステップS101において、駆動用電源電圧Vdが駆動判定電圧Vdref以上のとき(ステップS101でNO)、異常診断部32は、対象ゾーンの搬送物の除去を促すメッセージをディスプレイ34に案内表示させるなどして報知する(ステップS103:(g4))。
ユーザが案内表示に応じて対象ゾーンから搬送物を除去し、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて低電圧エラー処理の続行指示を入力すると(ステップS104でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンのローカルコントローラZCに指示し、モータ駆動回路62によってモータ61を駆動させつつ、電流検出部66によって検出されたモータ電流Imを手掛情報として取得する(ステップS105:(g5))。
この場合、搬送物の搬送により生じる負荷がモータ61にかからない低負荷状態でのモータ電流が、モータ電流Imとして得られることになる。
次に、異常診断部32は、モータ電流Imとモータ61の定格電流値Isとを比較する(ステップS111)。定格電流値Isとしては、モータ61のカタログ値を用いることができる。
そして、モータ電流Imが定格電流値Isを超えるとき(ステップS111でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンのモータ61に異常が生じている旨のメッセージ(第12推定原因)と、対象ゾーンのモータ61を交換すべき旨のメッセージ(第12対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS112:(g6))、処理を終了する。
コンベヤ装置2は、搬送物を搬送する稼働状態で、モータ61に流れる電流が定格電流値Is以下になるように設計されている。従って、低負荷であるにもかかわらず、モータ電流Imが定格電流値Isを超えたとき(ステップS111でYES)、設計上、起こらないはずの事象が発生していることになる。従って、上記第12推定原因及び第12対処方法を判断することができる。
一方、モータ電流Imが定格電流値Is以下のとき(ステップS111でNO)、モータ電流Imは設計上の想定内に収まっていることになる。そこで、モータ電流Imが定格電流値Is以下のとき(ステップS111でNO)、異常診断部32は、対象ゾーンのモータ61の過負荷が生じている旨のメッセージ(第13推定原因)と、対象ゾーンの搬送物の重量軽減、又はモータ61の追加を行うべき旨のメッセージ(第13対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS113:(g7))、処理を終了する。
過負荷は、正常範囲内でモータ電流を増加させる主な要因であり、搬送物の重量軽減は、モータ61の負荷を低減させる手段であり、モータ61の追加は、モータ61一つ当たりの負荷を軽減する手段である。従って、上記第13推定原因及び第13対処方法を判断することができる。図3に示す直進搬送モジュールMs2は、直進搬送モジュールMs1にモータ61を内蔵した駆動ローラ5aを追加することによりモータ61を追加した例に相当している。
以上、ステップS91~S113の処理によれば、低電圧エラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS91~S102の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難な駆動用電源電圧Vdに基づいて、低電圧エラーを検出し、その原因又は対処方法を知らせることができる。また、ステップS105~S113の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難なモータ電流Imに基づいて、異常の原因又は対処方法を知らせることができる。従って、専門知識の無いユーザであっても、異常に対処することが容易となる。
ステップS91~S113の処理によれば、低電圧エラーが検出された場合、異常診断部32による低電圧エラー処理が実行され、ステップS103で案内を報知した後、ステップS105以降の処理が実行される。
なお、ステップS94,S104を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS97を実行しなくてもよく、ステップS102を実行しなくてもよく、ステップS112を実行しなくてもよく、ステップS113を実行しなくてもよく、ステップS103~S113を実行しなくてもよい。
<モータロックエラー(第七エラー)>
モータロックエラーに関する処理について説明する。図25、図26は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1によるモータロックエラー検出処理、及びモータロックエラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCのローカル異常検出部56は、駆動制御部51がモータ61を回転させるべく制御している期間中であって、回転検出部54によってモータ61が回転していないことが検出される状態の継続時間tcを計時する(ステップS121)。そして、ローカル異常検出部56は、継続時間tcと、予め設定された回転判定時間trrefとを比較し(ステップS122)、継続時間tcが回転判定時間trrefを超えたとき(ステップS122でYES)、ローカル異常検出部56は、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類がモータロックエラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共にモータロックエラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS123)。
ステップS121~S123は、モータロックエラー検出処理の一例に相当している。モータロックエラー検出処理によれば、モータ61を回転させようとしているにもかかわらず、モータ61が回転しない状態を検出することができる。また、ステップS121~S123の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難な継続時間tcに基づいて、モータ61を回転させようとしても回転させることができないモータロックエラーを容易に検出することができる。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわちモータロックエラーが検出されたゾーンにおいて、モータロックエラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS124)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力すると(ステップS125でYES)、異常診断部32は、ステップS126以降のモータロックエラー処理を実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS125でNO)処理を終了する。
ステップS126において、異常診断部32は、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスし、対象ゾーンの設定値記憶部58に記憶された電流制限値Ilimを手掛情報として取得する(ステップS126:(h1))。
次に、異常診断部32は、取得された電流制限値Ilimと予め設定された初期電流制限値Ilim0とを比較する(ステップS127)。電流制限値Ilimが、初期電流制限値Ilim0より小さいとき(ステップS127でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンの電流制限値Ilimの設定が不適切である旨のメッセージ(第14推定原因)と、対象ゾーンの電流制限値Ilimの設定を変更すべき旨のメッセージ(第14対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS128:(h2))、処理を終了する。
初期電流制限値Ilim0は、例えば電流制限値Ilimのデフォルト値として設定値記憶部58に記憶される電流値である。電流制限値Ilimが、初期電流制限値Ilim0より小さいとき(ステップS127でYES)、ユーザが設定値記憶部58に記憶された電流制限値Ilimを、不適切な値に変更した可能性が高い。従って、上記第14推定原因及び第14対処方法を判断することができる(ステップS128)。
一方、電流制限値Ilimが、初期電流制限値Ilim0以上のとき(ステップS127でNO)、異常診断部32は、処理をステップS131へ移行する。
ステップS131において、異常診断部32は、対象ゾーンの在荷センサ8を参照し、在荷センサ8のオンが設定値記憶部58に記憶されたジャム判定時間tjを超えて継続しているか否か、すなわち対象ゾーンに荷詰まりが発生しているか否かの情報を手掛情報としてチェックする(ステップS131:(h3))。
そして、在荷センサ8のオンがジャム判定時間tjを超えて継続している場合(ステップS131でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンで荷詰まりが発生している旨のメッセージ(第15推定原因)と、対象ゾーンから搬送物を除去すべき旨のメッセージ(第15対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS132:(h4))、処理を終了する。
一方、対象ゾーンに荷詰まりが発生していない場合(ステップS131でNO)、異常診断部32は、推定原因として対象ゾーンのモータ61の異常が生じている旨のメッセージと、対処方法として対象ゾーンのモータ61を交換すべき旨のメッセージとをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS133)、処理を終了する。
以上、ステップS121~S133の処理によれば、モータロックエラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS121~S133の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難な継続時間tcに基づいて、モータロックエラーを検出し、その原因又は対処方法を知らせることができる。従って、専門知識の無いユーザであっても、異常に対処することが容易となる。
ステップS121~S133の処理によれば、モータロックエラーが検出された場合、異常診断部32によるモータロックエラー処理が実行される。
なお、ステップS125を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS128を実行しなくてもよく、ステップS132を実行しなくてもよく、ステップS133を実行しなくてもよく、ステップS131~S133を実行しなくてもよい。
<基板サーマルエラー(第八エラー)>
基板サーマルエラーに関する処理について説明する。図27~図29は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1による基板サーマルエラー検出処理、及び基板サーマルエラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCのローカル異常検出部56は、回路温度検出部67によって検出されたモータ駆動回路62の回路温度Tcと、設定値記憶部58に予め記憶された回路温度判定値Tcrefとを比較する(ステップS141)。回路温度Tcが回路温度判定値Tcrefを超えていたとき(ステップS141でYES)、ローカル異常検出部56は、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類が基板サーマルエラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共に基板サーマルエラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS142)。
ステップS141,S142は、基板サーマルエラー検出処理の一例に相当している。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわち基板サーマルエラーが検出されたゾーンにおいて、基板サーマルエラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS143)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力する(ステップS144でYES)と、異常診断部32は、ステップS145以降の基板サーマルエラー処理を実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS144でNO)処理を終了する。
ステップS145において、異常診断部32は、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスし、設定値記憶部58に記憶された回路温度判定値Tcrefを手掛情報として取得する(ステップS145)。
次に、異常診断部32は、対象ゾーンの回路温度判定値Tcrefと、初期回路温度判定値Tcref0とを比較する(ステップS146)。そして、回路温度判定値Tcrefが初期回路温度判定値Tcref0よりも低い温度を示すとき(ステップS146でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンの回路温度判定値Tcrefの設定が不適切である旨のメッセージ(第16推定原因)と、対象ゾーンの回路温度判定値Tcrefを高い温度に変更すべき旨のメッセージ(第16対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS147:(i1))、処理を終了する。
初期回路温度判定値Tcref0は、例えば回路温度判定値Tcrefのデフォルト値として設定値記憶部58に記憶される電流値である。回路温度判定値Tcrefが、初期回路温度判定値Tcref0より低いとき(ステップS147でYES)、ユーザが設定値記憶部58に記憶された回路温度判定値Tcrefを、不適切な値に変更した可能性が高い。従って、上記第16推定原因及び第16対処方法を判断することができる(ステップS147)。
一方、回路温度判定値Tcrefが初期回路温度判定値Tcref0以上のとき(ステップS146でNO)、異常診断部32は、ステップS151へ処理を移行する。
ステップS151において、異常診断部32は、対象ゾーンのローカルコントローラZCにアクセスして、現時点で対象ゾーンのローカル異常検出部56によって基板サーマルエラーが新たに検出されるか否かを手掛情報として取得する(ステップS151:(i2))。
基板サーマルエラーが新たに検出された場合(ステップS152でYES)、すなわち基板サーマルエラーが解除できなかった場合、ステップS141,S142で基板サーマルエラーが検出されたときから現時点までの時間が経過してもなお回路温度Tcが低下せず、すなわちモータ駆動回路62の異常高温状態が継続していることを意味する。そうすると、回路温度Tcが高温になっている原因は、対象ゾーンの稼働状態に伴う一時的な温度上昇などではなく、モータ駆動回路62自体の短絡故障等の異常、あるいは回路温度検出部67の故障等の異常である可能性が高いと考えられる。
そこで、基板サーマルエラーが新たに検出された場合(ステップS152でYES)、異常診断部32は、推定原因として対象ゾーンのモータ駆動回路62又は回路温度検出部67の異常を示す旨のメッセージと、対処方法として対象ゾーンのモータ駆動回路62又は回路温度検出部67の修理をすべき旨のメッセージとをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS153)、処理を終了する。
回路温度検出部67の異常には、回路温度検出部67を制御部50に接続するケーブルの断線も含まれる。回路温度検出部67の修理には、回路温度検出部67を交換すること、及び回路温度検出部67を制御部50に接続するケーブルの修理、交換等も含まれる。
一方、基板サーマルエラーが新たに検出されなかった場合(ステップS152でNO)、すなわち基板サーマルエラーが解除できた場合、異常診断部32は、対象ゾーンの搬送物の除去を促すメッセージをディスプレイ34に案内表示させるなどして報知する(ステップS154:(i3))。
ユーザが案内表示に応じて対象ゾーンから搬送物を除去し、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて基板サーマルエラー処理の続行指示を入力すると(ステップS155でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンのローカルコントローラZCに指示し、モータ駆動回路62によってモータ61を駆動させつつ、電流検出部66によって検出されたモータ電流Imを手掛情報として取得する(ステップS156:(i4))。
この場合、モータ61には搬送物の搬送により生じる負荷がかからない低負荷状態での、モータ電流がモータ電流Imとして得られることになる。
次に、異常診断部32は、モータ電流Imとモータ61の定格電流値Isとを比較する(ステップS161)。
そして、モータ電流Imが定格電流値Isを超えるとき(ステップS161でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンのモータ61の搬送物に起因しない過負荷、又はモータ61の異常が生じている旨のメッセージ(第17推定原因)と、対象ゾーンのモータ61の搬送物に起因しない負荷の軽減、又はモータ61の交換をすべき旨のメッセージ(第17対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS162:(i5))、処理を終了する。
ステップS156では、対象ゾーンから搬送物を取り除き、対象ゾーンを空運転しているときのモータ電流Imを検出しているから、このモータ電流Imが、設計上超えないはずの定格電流値Isを超えた場合(ステップS161でYES)、搬送物が重すぎることによる過負荷等の搬送物に起因する過負荷が原因で基板サーマルエラーが発生しているのではないと判断できる。
搬送物を取り除いた空運転で生じる搬送物に起因しない過負荷としては、例えば、駆動ローラ5a一つ当たりで駆動される従動ローラ5bの数が、過剰になっている場合がある。あるいは、搬送機構の不具合により、駆動ローラ5a及び従動ローラ5bを駆動する際の駆動抵抗が異常に増大している場合がある。
また、モータ61が故障等の異常状態になっている場合にも、モータ電流Imが定格電流値Isを超える可能性がある。従って、上記第17推定原因及び第17対処方法を判断することができる。
一方、モータ電流Imが定格電流値Isを超えないとき(ステップS161でNO)、モータ電流Imは設計上の想定範囲内に収まっていることになり、搬送物が除去されたことによって、モータ駆動回路62の温度上昇の原因となる過電流が解消されたと考えられる。従って、対象ゾーンで発生した基板サーマルエラーは、搬送物が重すぎることによる過負荷等の搬送物に起因する過負荷が原因で発生した可能性が高いと考えられる。
そこで、モータ電流Imが定格電流値Isを超えないとき(ステップS161でNO)、異常診断部32は、推定原因として対象ゾーンにおけるモータ61の搬送物に起因する過負荷を示す旨のメッセージと、対処方法として対象ゾーンのモータ61の、搬送物に起因する負荷の軽減をすべき旨のメッセージとをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS163)、処理を終了する。搬送物に起因する負荷を軽減するためには、搬送物を軽くすればよい。
以上、ステップS141~S163の処理によれば、基板サーマルエラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS141~S154の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難な回路温度Tcに基づいて、基板サーマルエラーを検出し、その原因又は対処方法を知らせることができる。従って、専門知識の無いユーザであっても、異常に対処することが容易となる。また、ステップS156~S163の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難なモータ電流Imに基づいて、異常の原因又は対処方法を知らせることができる。従って、専門知識の無いユーザであっても、異常に対処することが容易となる。
ステップS141~S163の処理によれば、基板サーマルエラーが検出された場合、異常診断部32による基板サーマルエラー処理が実行される。なお、ステップS144,S155を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS153を実行しなくてもよく、ステップS162を実行しなくてもよく、ステップS163を実行しなくてもよく、ステップS151~S163を実行しなくてもよい。また、ステップS145~S147を実行せず、ステップS144でYESのとき、ステップS151へ移行してもよい。
<モータサーマルエラー(第九エラー)>
モータサーマルエラーに関する処理について説明する。図30、図31は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1によるモータサーマルエラー検出処理、及びモータサーマルエラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCのローカル異常検出部56は、モータ温度検出部68によって検出されたモータ61のモータ温度Tmと、設定値記憶部58に予め記憶されたモータ温度判定値Tmrefとを比較する(ステップS171)。モータ温度Tmがモータ温度判定値Tmrefを超えていたとき(ステップS171でYES)、ローカル異常検出部56は、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類がモータサーマルエラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共にモータサーマルエラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS172)。
ステップS171,S172は、モータサーマルエラー検出処理の一例に相当している。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわちモータサーマルエラーが検出されたゾーンにおいて、モータサーマルエラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS173)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力すると(ステップS174でYES)、異常診断部32は、ステップS175以降のモータサーマルエラー処理を実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS174でNO)処理を終了する。
ステップS175において、異常診断部32は、対象ゾーンのローカルコントローラZCにアクセスして、現時点で対象ゾーンのローカル異常検出部56によってモータサーマルエラーが新たに検出されるか否かを手掛情報として取得する(ステップS175:(j1))。
モータサーマルエラーが新たに検出された場合(ステップS176でYES)、すなわちモータサーマルエラーが解除できなかった場合、ステップS171,S172でモータサーマルエラーが検出されたときから現時点までの時間が経過してもなおモータ温度Tmが低下せず、すなわちモータ61の異常高温状態が継続していることを意味する。そうすると、モータ温度Tmが高温になっている原因は、対象ゾーンの稼働状態に伴う一時的な温度上昇などではなく、モータ61自体の短絡故障等の異常、あるいはモータ温度検出部68の故障等の異常である可能性が高いと考えられる。
そこで、モータサーマルエラーが新たに検出された場合(ステップS176でYES)、異常診断部32は、推定原因として対象ゾーンのモータ61又はモータ温度検出部68の異常を示す旨のメッセージと、対処方法として対象ゾーンのモータ61又はモータ温度検出部68の修理をすべき旨のメッセージとをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS177)、処理を終了する。
モータ温度検出部68の異常には、モータ温度検出部68を制御部50に接続するケーブルの断線も含まれる。モータ温度検出部68の修理には、モータ温度検出部68を交換すること、及びモータ温度検出部68を制御部50に接続するケーブルの修理、交換等も含まれる。
一方、モータサーマルエラーが新たに検出されなかった場合(ステップS176でNO)、すなわちモータサーマルエラーが解除できた場合、異常診断部32は、対象ゾーンの搬送物の除去を促すメッセージをディスプレイ34に案内表示させるなどして報知する(ステップS181:(j2))。
ユーザが案内表示に応じて対象ゾーンから搬送物を除去し、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いてモータサーマルエラー処理の続行指示を入力すると(ステップS182でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンのローカルコントローラZCに指示し、モータ駆動回路62によってモータ61を駆動させつつ、電流検出部66によって検出されたモータ電流Imを手掛情報として取得する(ステップS183:(j3))。
この場合、モータ61には搬送物の搬送により生じる負荷がかからない低負荷状態でのモータ電流が、モータ電流Imとして得られることになる。
次に、異常診断部32は、モータ電流Imとモータ61の定格電流値Isとを比較する(ステップS184)。
そして、モータ電流Imが定格電流値Isを超えるとき(ステップS184でYES)、異常診断部32は、対象ゾーンのモータ61の搬送物に起因しない過負荷、又はモータ61の異常が生じている旨のメッセージ(第18推定原因)と、対象ゾーンのモータ61の搬送物に起因しない負荷の軽減、又はモータ61の交換をすべき旨のメッセージ(第18対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS185:(j4))、処理を終了する。
ステップS183では、対象ゾーンから搬送物を取り除き、対象ゾーンを空運転しているときのモータ電流Imを検出しているから、このモータ電流Imが、設計上超えないはずの定格電流値Isを超えた場合(ステップS184でYES)、搬送物が重すぎることによる過負荷等の搬送物に起因する過負荷が原因でモータサーマルエラーが発生しているのではないと判断できる。
搬送物を取り除いた空運転で生じる搬送物に起因しない過負荷としては、例えば、駆動ローラ5a一つ当たりで駆動される従動ローラ5bの数が、過剰になっている場合がある。あるいは、搬送機構の不具合により、駆動ローラ5a及び従動ローラ5bを駆動する際の駆動抵抗が異常に増大している場合がある。
また、モータ61が故障等の異常状態になっている場合にも、モータ電流Imが定格電流値Isを超える可能性がある。従って、上記第18推定原因及び第18対処方法を判断することができる。
一方、モータ電流Imが定格電流値Isを超えないとき(ステップS184でNO)、モータ電流Imは設計上の想定範囲内に収まっていることになり、搬送物が除去されたことによって、モータ61の温度上昇の原因となる過電流が解消されたと考えられる。従って、対象ゾーンで発生したモータサーマルエラーは、搬送物が重すぎることによる過負荷等の搬送物に起因する過負荷が原因で発生した可能性が高いと考えられる。
そこで、モータ電流Imが定格電流値Isを超えないとき(ステップS184でNO)、異常診断部32は、推定原因として対象ゾーンにおけるモータ61の搬送物に起因する過負荷を示す旨のメッセージと、対処方法として対象ゾーンのモータ61の、搬送物に起因する負荷の軽減をすべき旨のメッセージとをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS186)、処理を終了する。搬送物に起因する負荷を軽減するためには、搬送物を軽くすればよい。
以上、ステップS171~S186の処理によれば、モータサーマルエラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS171~S181の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難なモータ温度Tmに基づいて、モータサーマルエラーを検出し、その原因又は対処方法を知らせることができる。また、ステップS183~S186の処理によれば、専門知識が無ければ調べることが困難なモータ電流Imに基づいて、異常の原因又は対処方法を知らせることができる。従って、専門知識の無いユーザであっても、異常に対処することが容易となる。
ステップS171~S186の処理によれば、モータサーマルエラーが検出された場合、異常診断部32によるモータサーマルエラー処理が実行される。なお、ステップS174,S182を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS177を実行しなくてもよく、ステップS185を実行しなくてもよく、ステップS186を実行しなくてもよく、ステップS181~S186を実行しなくてもよい。
<ローカル間通信エラー(第十エラー)>
ローカル間通信エラーに関する処理について説明する。まず、各ゾーンZの設定値記憶部58に記憶されているローカルアドレス情報について説明する。図32は、ゾーンZ5の設定値記憶部58に記憶されているローカルアドレス情報A5の一例を示す表形式の説明図である。
ゾーンZ5は、図1に示すように、方向D1側にゾーンZ4が隣接し、方向D2側にゾーンZ6が隣接し、方向D3側にゾーンZ8が隣接している。ローカルアドレス情報A5は、このようなゾーンZの配置に対応して、隣接方向D1とアドレス4、隣接方向D2とアドレス6、隣接方向D3とアドレス8とを対応付けている。他のゾーンZのローカルアドレス情報も、ローカルアドレス情報A5と同様、自ノードに対する隣接方向と、隣接する他のゾーンZのアドレスとを対応付ける。
なお、図32では、送信用と受信用とを分けずに表しているが、ローカルアドレス情報は、送信用のデータテーブルと受信用のデータテーブルとから構成されていてもよい。
各ゾーンZのローカル通信部57は、自ゾーンの設定値記憶部58を参照し、設定値記憶部58に記憶されているローカルアドレス情報に基づいて、他のゾーンと通信を実行する。各ローカル通信部57は、他のゾーンのローカル通信部57と通信を実行する際、送信してからレスポンスが返信されるまでの応答時間を監視し、応答時間が所定の応答監視時間を超えたとき、すなわち通信ができないとき、タイムアウトとする。
図33、図34は、本発明の一実施形態に係る異常診断プログラムを用いたコンベヤシステム1によるローカル間通信エラー検出処理、及びローカル間通信エラー処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ローカルコントローラZCのローカル異常検出部56は、ローカル通信部57でタイムアウトが発生したとき(ステップS191でYES)、自己のゾーンである対象ゾーンにおいて、種類がローカル間通信エラーの異常を検出し、自己のゾーンを示す情報と共にローカル間通信エラーを示す情報を上位コントローラ3へ送信する(ステップS192)。
ステップS191,S192は、ローカル間通信エラー検出処理の一例に相当している。
次に、上位コントローラ3では、異常診断部32は、対象ゾーン、すなわちローカル間通信エラーが検出されたゾーンにおいて、ローカル間通信エラーが発生した旨のメッセージを例えばディスプレイ34に表示させることによって報知する(ステップS193)。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて調査の指示を入力すると(ステップS194でYES)、異常診断部32は、ステップS195以降のローカル間通信エラー処理を実行する一方、ユーザの調査指示がなかった場合(ステップS194でNO)処理を終了する。
ステップS195において、異常診断部32は、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスし、その設定値記憶部58に記憶されているローカルアドレス情報を手掛情報として取得する(ステップS195:(k1))。
次に、異常診断部32は、対象ゾーンのローカルアドレス情報と、レイアウト情報記憶部38に記憶された配置情報及び各ゾーンのアドレスとの整合性を判定し(ステップS196:(k2))、整合しているとき(ステップS197でYES)、異常診断部32は、推定原因として通信ケーブル4の断線又は通信相手先ゾーンに動作用電源電圧が供給されていない電源オフである旨のメッセージと、対処方法として通信ケーブル4の接続確認又は通信相手先ゾーン(対象ゾーンの隣接ゾーン)への動作用電源電圧の供給の確認をすべき旨のメッセージとをディスプレイ34に表示させるなどして報知し(ステップS198)、処理を終了する。通信ケーブル4の断線には、通信コネクタの未接続又は接触不良も含まれる。
レイアウト情報記憶部38には、図1に示すような、ゾーンZ1~Z11の配置を示す配置情報と、ゾーンZ1~Z11のアドレス1~11を示すアドレス情報とが記憶されている。従って、異常診断部32は、例えば対象ゾーンがゾーンZ5であった場合、図32に示すローカルアドレス情報A5と、図1に示すような配置情報及びアドレス情報とを照合することによって、整合性を判定することができる。
一方、ステップS197において、整合していないと判定された場合(ステップS197でNO)、異常診断部32は、対象ゾーンのローカルアドレス情報が不適切である旨のメッセージ(第19推定原因)と、対象ゾーンのローカルアドレス情報を修正すべき旨のメッセージ(第19対処方法)とをディスプレイ34に表示させるなどして報知する(ステップS201:(k3))。
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて自動修正の指示を入力すると(ステップS202でYES)、異常診断部32は、レイアウト情報記憶部38に記憶された配置情報及び各ゾーンのアドレスとに基づいて対象ゾーンのローカルアドレス情報を新たに生成する(ステップS203:(k4))。
図1に示すような配置情報及びアドレス情報によれば、例えば対象ゾーンがゾーンZ5の場合、方向D1側にアドレス4のゾーンZ4が隣接し、方向D2側にアドレス6のゾーンZ6が隣接し、方向D3側にアドレス8のゾーンZ8が隣接していることが判る。従って、異常診断部32は、図32に示す正しいローカルアドレス情報A5を、レイアウト情報記憶部38に記憶された配置情報及び各ゾーンのアドレスとに基づいて生成することができる。
次に、異常診断部32は、生成された新たなローカルアドレス情報を、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスして新たなローカルアドレス情報として記憶させる(ステップS204:(k4))。
以上、ステップS191~S204の処理によれば、ローカル間通信エラーが発生した場合に、ユーザに対してその推定原因と対処方法とを知らせることができるので、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易となる。また、ステップS203,S204によれば、ローカル間通信エラーの発生原因を自動的に解消することができる。
ステップS191~S204の処理によれば、ローカル間通信エラーが検出された場合、異常診断部32によるローカル間通信エラー処理が実行され、対象ゾーンのローカルアドレス情報が整合していないとき(ステップS197でNO)、新たなローカルアドレス情報が生成されて対象ゾーンに記憶される。
なお、ステップS194,S202を実行せず、ユーザの確認操作を待つことなく処理を続行してもよい。また、ステップS198を実行しなくてもよく、ステップS201を実行しなくてもよく、ステップS202~S204を実行しなくてもよい。
なお、ステップS7,S11,S29,S33,S38,S47,S48,S62,S63,S78,S83,S86,S97,S102,S112,S113,S128,S132,S133,S147,S153,S162,S163,S177,S185,S186において、推定原因及び対処方法のうちいずれか一方のみを報知してもよい。
また、上述のメッセージは、それらのメッセージと略同様の意味を有していればよく、それらのメッセージの表現そのものに限定されるものではない。また、異常診断部32による報知は、ディスプレイ34に表示させることに限られず、例えば通信で外部に送信することによって報知してもよく、種々の報知方法を採用することができる。
また、低電圧エラー(第六エラー)、モータロックエラー(第七エラー)、基板サーマルエラー(第八エラー)、及びモータサーマルエラー(第九エラー)に係る処理は、複数のゾーンに分割されていないコンベヤ装置を用いたコンベヤシステムにも適用可能である。
また、ローカル異常検出部56は、誘起電圧エラー(第一エラー)、ジャムエラー(第二エラー)、モータ電源オフエラー(第三エラー)、モータ未接続エラー(第四エラー)、昇降エラー(第五エラー)、低電圧エラー(第六エラー)、モータロックエラー(第七エラー)、基板サーマルエラー(第八エラー)、モータサーマルエラー(第九エラー)、及びローカル間通信エラー(第十エラー)のうち少なくとも一つを検出可能であればよい。また、異常診断部32は、上記第一~第十エラーのうち少なくとも一つに関する処理を実行可能であればよい。
異常履歴記録処理部33は、上述のように各ゾーンZで検出された異常と、その検出された異常に対応して異常診断部32によって推定された異常の推定原因及び対処方法の少なくとも一方とを対応付けて、異常履歴として異常履歴記憶部39に累積的に記録する。
このようにして異常履歴記憶部39に記憶された異常履歴は、各異常の発生原因の解析に用いることができ、コンベヤシステム1の改善に役立てることが容易である。
このような構成のコンベヤシステム、異常診断装置、異常診断プログラム、及び異常診断プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、異常が発生した場合に、その原因又は対処方法を知ることが容易である。
この出願は、2019年4月5日に出願された日本国特許出願特願2019-073017を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、本発明は、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではない。