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JP6975585B2 - 車両の空調装置 - Google Patents

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JP6975585B2
JP6975585B2 JP2017172639A JP2017172639A JP6975585B2 JP 6975585 B2 JP6975585 B2 JP 6975585B2 JP 2017172639 A JP2017172639 A JP 2017172639A JP 2017172639 A JP2017172639 A JP 2017172639A JP 6975585 B2 JP6975585 B2 JP 6975585B2
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Description

本発明は、たとえば自動車といった車両の車室内で空気を循環させる装置に関する。
自動車といった車両では、運転手を含む乗員が乗車する車室内を暖房または冷却するために車室空調装置が用いられている。
また、直射日光にさらされる自動車においては、車室内を暖房または冷却するために、その空間と比べて性能が高い車室空調装置が使用されることが一般的である。
その結果、車室空調装置のコンプレッサなどを動作させるために大量の電力などを使用する必要がある。
このことは、電気を動力として用いる自動車においては燃費性能に直接的に影響することになる。(特許文献1、2)
特開昭57−205212号公報 特開昭58−022709号公報
しかしながら、このように高性能な車室空調装置を用いたとしても、その吹出口はダッシュボードの下側の足下や上部に設けられる。特許文献1、2においてもステアリングコラムの上側に車室空調装置の吹出口を追加しているだけである。
この場合、シートに着座した乗員の上体に対しては上側の吹出口から直接的に空気流を吹き付けることが可能であるが、乗員の下肢に対して空気流を直接的に吹き付けることは難しい。
車室空調装置は、乗員の下肢に対しては、車室の温度を調整することによってはじめて間接的に調温等ができるだけである。
また、上側の吹出口から乗員の上体へ直接的に空気流を吹き付けた場合、顔にあたる空気流が乗員に不快と感じさせることがある。
このように、車両では、シートに着座した乗員についての下肢を含む全体的な快適性を改善することが求められている。
本発明に係る車両の空調装置は、車両の車室に両端が開口して前記車室内の空気を吸排気する連通路と、前記車室のシートの座面より上側に設けられて前記シートに着座した乗員についての少なくとも膝または腿の上方に位置するカバー部材と、を有し、少なくとも膝または腿の上方に位置する前記カバー部材には、前記シートに着座した乗員の腹部の方向へ向いて形成され、前記連通路の一端の開口として機能する第1開口部が形成される。
好適には、前記カバー部材には、前記連通路と通じる第2開口部が、前記シートに着座した乗員の腹部の方向へ向けて形成され、前記第1開口部と前記第2開口部とは、前記カバー部材において車幅方向に沿って配列され、一方が吸気で他方が排気する、とよい。
好適には、前記連通路は、前記カバー部材において前記第1開口部についての車幅方向の両側に配列された第2開口部および第3開口部と、前記シートに着座した乗員の足下に設けられた前記車室の空調装置の吐出口の近くに開口する前下開口部と、を有し、前記第1開口部、前記第2開口部、前記第3開口部および前記前下開口部の吸排気を個別に制御できる制御部を有する、とよい。
好適には、前記制御部は、前記車室の暖房が開始された場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を中央の前記第1開口部から排気するとともに両側の前記第2開口部および前記第3開口部から吸気する、または、足元の前記前下開口部から吸気した空気を両側の前記第2開口部および前記第3開口部から排気するとともに中央の前記第1開口部から吸気する、とよい。
好適には、前記制御部は、前記車室の暖房が進んだ場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を車幅方向外側の前記第2開口部から排気するとともに中央の前記第1開口部および車幅方向内側の前記第3開口部から吸気するように切り替える、とよい。
好適には、前記制御部は、前記カバー部材が設けられた前記シートの後側に乗員が存在する状態で前記車室の暖房が開始された場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を両側の前記第2開口部および前記第3開口部から排気するとともに中央の前記第1開口部から吸気する、とよい。
好適には、前記制御部は、前記車室の暖房が進んだ場合、足元の前記前下開口部の吸排気を停止し、両側の前記第2開口部および前記第3開口部から排気するとともに中央の前記第1開口部から吸気するように切り替える、とよい。
好適には、前記制御部は、前記車室の冷房が開始された場合、前記第1開口部、前記第2開口部および前記第3開口部から吸気した空気を、足元の前記前下開口部から排気する、とよい。
好適には、前記制御部は、前記車室の冷房が進んだ場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を、前記第1開口部、前記第2開口部および前記第3開口部から排気するように切り替える、とよい。
好適には、前記制御部は、前記カバー部材が設けられた前記シートの後側に乗員が存在する状態で前記車室の冷房が開始された場合、中央の前記第1開口部から吸気した空気を、両側の前記第2開口部および前記第3開口部並びに足元の前記前下開口部から排気する、とよい。
好適には、前記制御部は、前記車室の冷房が進んだ場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を、前記第1開口部、前記第2開口部および前記第3開口部から排気するように切り替える、とよい。
本発明では、車両の車室には、シートの座面より上側においてシートに着座した乗員の少なくとも膝または腿の上方に位置するようにカバー部材が設けられる。そして、カバー部材には、シートに着座した乗員の腹部の方向に向いて第1開口部が形成される。第1開口部は、連通路と通じて、連通路の一端の開口として機能する。
よって、車室内の空調された空気を第1開口部から連通路へ吸排気することにより、シートに着座した乗員の膝または腿の周囲において、車室内の空調された空気を流動させることができる。シートに着座した乗員の膝や腿を、流動する空調空気により直接的に暖めたり冷却したりできる。
しかも、第1開口部は、膝または腿の上方に位置するカバー部材においてシートに着座した乗員の腹部の方向へ向けて設けられている。よって、たとえば第1開口部から吸排気される空気の一部は、シートに着座した乗員の腹部を直接的に空調でき、乗員の腹部および胸部に沿って流れる空気流を生成できる。
特に、第1開口部と第2開口部とを、カバー部材において、シートに着座した乗員の腹部の方向へ向けて車幅方向に沿って配列して、一方を吸気して他方から排気することにより、第1開口部と第2開口部とシートに着座した乗員の腹部との間には、第1開口部と第2開口部との間に空気流を形成し得る。
このため、たとえば第1開口部から多くの空気流を排気させたとしても、その殆どを第2開口部で吸い込んで乗員の膝から腹部の間の部分に対して効果的な空調を実施しつつ、乗員の上体に沿って上へ漏れる空気流を抑えることができる。
乗員の顔へ向かって下から吹き上がる空気流を抑制できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車の模式的な説明図である。 図2は、図1の車室空調装置の要部構成の説明図である。 図3は、第1実施形態に係る空調装置の要部構成の説明図である。 図4は、第2実施形態に係る空調装置の要部構成の説明図である。 図5は、第3実施形態に係る空調装置の要部構成の説明図である。 図6は、第3実施形態での暖房時の流路切替制御の一例を示すフローチャートである。 図7は、図6の各制御状態での連通路の吸排気パターンの説明図である。 図8は、第3実施形態での冷房時の流路切替制御の一例を示すフローチャートである。 図9は、図8の各制御状態での連通路の吸排気パターンの説明図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車1の模式的な説明図である。
図1の自動車1の車体は、乗員が乗車する車室2と、その前後に配置される前室3および後室4と、を有する。車室2には、乗車した乗員が着座するシート5が前後二列で設けられる。また、前右のシート5の前には、ダッシュボード6から後向きにシート5に着座した乗員へ向けて突出させて、ステアリングコラム7が設けられる。ステアリングコラム7には、シート5に着座した乗員により操作されるステアリング8が配置される。
図2は、図1の車室空調装置10の要部構成の説明図である。
図2の車室空調装置10は、温度センサ11、日射センサ12、湿度センサ13、車室空調制御部14、ブロアファン15、コンプレッサ16、エバボレータ17、ヒータ18、空調ダクト19、を有する。
温度センサ11は、車室2の温度を検出する。
日射センサ12は、ウィンドウガラスを通じて車室2へ照射される日射量を検出する。
湿度センサ13は、車室2の温度を検出する。
コンプレッサ16は、エバボレータ17および図示外のコンデンサと連結され、これらの間で冷媒を循環させる。
ブロアファン15、エバボレータ17、ヒータ18は、車室2に通じる空調ダクト19に配置される。空調ダクト19は、たとえば車室2外から吸気し、図1に示すようにダッシュボード6の上部の吹出口20およびダッシュボード6の下側の吹出口20から車内へ空気を排気する。
ブロアファン15は、空調ダクト19内に空気流を生成する。
エバボレータ17は、冷媒により冷却され、空調ダクト19を通過する空気を冷却する。
ヒータ18は、空調ダクト19を通過する空気を加熱する。
車室空調制御部14には、温度センサ11、日射センサ12、湿度センサ13、ブロアファン15、コンプレッサ16、ヒータ18、が接続される。
車室空調制御部14は、温度センサ11、日射センサ12および湿度センサ13により検出された値と制御目標値との関係に応じて、ブロアファン15、コンプレッサ16およびヒータ18の動作を制御する。
これにより、車室空調装置10は、空調ダクト19の吹出口20から車室2へ、加熱または冷却された空気流を吹き出すことができる。そして、たとえば車室2の検出温度が目標温度になるように、車室2の全体の温度を制御する。
ところで、このような車室空調装置10が設けられることにより、車室2の温度は適切に調整され得る。
また、直射日光にさらされる自動車1においては、車室2内を暖房または冷却するために、その空間と比べて性能が高い車室空調装置10が使用されることが一般的である。
その結果、車室空調装置10のコンプレッサなどを動作させるために大量の電力などを使用する必要がある。
このことは、電気を動力として用いる自動車1においては燃費性能に直接的に影響することになる。
しかも、このように高性能な車室空調装置10を用いたとしても、その吹出口20はダッシュボード6の下側の足下や上部に設けられている。
よって、シート5に着座した乗員の上体に対しては上側の吹出口20から直接的に空気流を吹き付けることが可能であるが、乗員の下肢に対して空気流を直接的に吹き付けることは難しい。
車室空調装置10は、乗員の下肢に対しては、車室2の温度を調整することによって始めて間接的に調温等ができるだけである。
また、上側の吹出口20から乗員の上体へ直接的に空気流を吹き付けた場合、顔にあたる空気流が乗員に不快と感じさせることがある。
このように、自動車1では、シート5に着座した乗員についての下肢を含む全体的な快適性を改善することが求められている。
図3は、第1実施形態に係る個別空調装置30の要部構成の説明図である。
図3の個別空調装置30は、仕切り板31、連通路34、強制送風装置35、制御部38、を有する。また、図3には、車室空調装置10の温度センサ11、日射センサ12、湿度センサ13、および車室空調制御部14と、タイマ39と、が図示されている。なお、個別空調装置30は、個別空調装置30とは別に、温度センサ11、日射センサ12、湿度センサ13といった独自のセンサを有してもよい。
仕切り板31は、シート5に対応する幅で、ダッシュボード6の後端から後向きに突出して設けられる。仕切り板31の後縁は、シート5の座面より上側において、シート5の前縁より後側に位置する。これにより、仕切り板31は、シート5に着座した乗員の膝および腿の上方に離間して位置し、車室2を上下に仕切るようになる。
なお、仕切り板31は、シート5に着座した乗員の膝の上方に離間して位置してもよい。
また、仕切り板31の後面についての左右方向の中央部には、すなわちシート5に着座した乗員の腹部の前方となる面の中央部には、第1開口部41が形成される。第1開口部41は、シート5に着座した乗員の腹部の方向へ向いて、シート5の幅方向中央に対応する位置に形成される。
連通路34は、ダッシュボード6の下面に沿って、下前から上後に延在するように設けられる。
連通路34は、第1開口部41と連通する。第1開口部41は、連通路34の一端の上後開口部として機能する。
連通路34の下前側の端部には、下前開口部44が設けられる。下前開口部44は、ダッシュボード6の下側に位置する。下前開口部44の前近くには、車室空調装置10の空調ダクト19の吹出口20が位置する。
このように、
強制送風装置35は、連通路34の中央部分に設けられる。強制送風装置35のたとえばファンを回転させることにより、連通路34の内部で空気流が生成される。車内の空気は、強制送風装置35のファンの正逆の回転方向に応じて、第1開口部41および下前開口部44の一方から連通路34に吸気され、他方から排気される。
個別空調装置30は、連通路34の両端から車内の空気を吸排気することにより、車内の空気を強制的に循環させることができる。
制御部38には、温度センサ11、日射センサ12、湿度センサ13、車室空調制御部14、タイマ39、強制送風装置35、が接続される。
そして、制御部38は、車室2の温度、湿度、日射量、動作時間、および車室空調装置10の動作状態に応じて、強制送風装置35の動作を制御する。
具体的にはたとえば、制御部38は、車室空調装置10が車室2を暖房するためにダッシュボード6の下側の吹出口20から暖気を吹き出す場合、強制送風装置35を動作させる。強制送風装置35により、連通路34では、下前開口部44から第1開口部41へ向かう空気流が生成される。
これにより、個別空調装置30は、ダッシュボード6の下側の吹出口20から車室2へ吹き出された暖気の一部を連通路34に吸気し、第1開口部41から排気する。
第1開口部41から排気された暖気は、主に、シート5に着座した乗員の膝および腿へ向かい、乗員の下肢を暖めることができる。
また、第1開口部41から排気された暖気の一部は、後向きに流れ、シート5に着座した乗員の腹部を暖める。乗員の腹部を暖めた暖気の一部は、乗員の上体の前面に沿って上へ吹き上がる。
これにより、シート5に着座した乗員の下肢から上体までの全体を暖気で包み込むことができる。
この他にもたとえば、制御部38は、車室空調装置10が車室2を冷房するためにダッシュボード6の上部の吹出口20から冷気を吹き出す場合、強制送風装置35を動作させる。強制送風装置35により、連通路34では、第1開口部41から下前開口部44へ向かう空気流が生成される。
これにより、個別空調装置30は、ダッシュボード6の上部の吹出口20から車室2へ吹き出された冷気の一部を第1開口部41から連通路34へ吸気し、下前開口部44から排気する。
下前開口部44から排気された冷気は、シート5に着座した乗員のつま先側から膝や腿へ向かって流れ、乗員の下肢を冷却できる。
これにより、シート5に着座した乗員の下肢の全体を励起で包み込むことができる。
以上のように、本実施形態では、自動車1の車室2には、シート5の座面より上側においてシート5に着座した乗員の少なくとも膝または腿の上方に位置するように仕切り板31が設けられる。そして、仕切り板31には、腹部の前方となる面にシート5に着座した乗員の腹部の方向に向いて第1開口部41が形成される。第1開口部41は、連通路34と通じて、連通路34の一端の開口として機能する。
よって、車室2内の空調された空気を第1開口部41から連通路34へ吸排気することにより、シート5に着座した乗員の膝または腿の周囲において、車室2内の空調された空気を流動させることができる。シート5に着座した乗員の膝や腿を、流動する空調空気により直接的に暖めたり冷却したりできる。
しかも、第1開口部41は、膝または腿の上方に位置する仕切り板31においてシート5に着座した乗員の腹部の方向へ向けて設けられている。よって、たとえば第1開口部41から吸排気される空気の一部は、シート5に着座した乗員の腹部を直接的に空調でき、乗員の腹部および胸部に沿って流れる空気流を生成できる。この空気流は、第1開口部41に設けられたたとえばファンの回転の方向および速度により制御し得る。気流を調整することにより、シート5に着座した乗員の顔へ向かって下から上がる気流を調整できる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る個別空調装置30を説明する。以下の説明では、第1実施形態と同一の符号を使用し、主に第1実施形態との相違点について説明する。
図4は、第2実施形態に係る個別空調装置30の要部構成の説明図である。
仕切り板31の後面には、第1開口部41および第2開口部42が車幅方向に沿って配列して形成される。第1開口部41および第2開口部42は、シート5に着座した乗員の腹部の方向へ向いて形成される。第1開口部41および第2開口部42は、連通路34と通じる。
第1強制送風装置51は、外側の第1開口部41に設けられた送風部材として第1ファンを有する。
第2強制送風装置52は、内側の第2開口部42に設けられた送風部材として第2ファンを有する。
下前強制送風装置54は、下前開口部44に設けられた送風部材として下前ファンを有する。
第1強制送風装置51、第2強制送風装置52および下前強制送風装置54は、制御部38に接続され、個別に吸排気の方向、流量および停止が制御される。
車室空調装置10が車室2を暖房するためにダッシュボード6の下側の吹出口20から暖気を吹き出す場合、制御部38は、第1強制送風装置51、第2強制送風装置52および下前強制送風装置54の動作を個別に制御する。
たとえば図4(A)に示すように、下前強制送風装置54を吸気とし、第1強制送風装置51を排気とし、第2強制送風装置52を吸気とする。
これにより、ダッシュボード6の下側の吹出口20から吹き出された暖気を下前開口部44から吸気して第1開口部41から排気させて、シート5に着座した乗員の下肢を急速に暖めることができる。
しかも、第1開口部41から排気される暖気の少なくとも一部は、第2開口部42から吸気される。よって、乗員の腹部から上体に沿って上がる暖気の量を抑えることができる。
車室空調装置10が車室2を冷房するためにダッシュボード6の上部の吹出口20から暖気を吹き出す場合、制御部38は、第1強制送風装置51、第2強制送風装置52および下前強制送風装置54の動作を個別に制御する。
たとえば図4(B)に示すように、下前強制送風装置54を排気とし、第1強制送風装置51を排気とし、第2強制送風装置52を吸気とする。
これにより、ダッシュボード6の上部の吹出口20から吹き出された冷気を第2開口部42から吸気して下前開口部44から排気させて、シート5に着座した乗員の足先から下肢に沿って循環させ下肢を急速に冷やすことができる。
しかも、第1開口部41から排気される冷気により、シート5に着座した乗員の上体周りに冷気を循環させることができる。
しかも、第1開口部41から排気された冷気の一部は、第2開口部42から吸気され得る。よって、乗員の腹部から上体に沿って上がる冷気の量を抑えることができる。
以上のように、本実施形態では、第1開口部41と第2開口部42とを、仕切り板31において、シート5に着座した乗員の腹部の方向へ向けて車幅方向に沿って配列している。
そして、一方を吸気して他方から排気することにより、第1開口部41と第2開口部42とシート5に着座した乗員の腹部との間には、第1開口部41と第2開口部42との間に空気流を形成し得る。
このため、たとえば第1開口部41から多くの空気流を排気させたとしても、その殆どを第2開口部42で吸い込んで乗員の膝から腹部の間の部分に対して効果的な空調を実施しつつ、乗員の上体に沿って上へ漏れる空気流を抑えることができる。
第1開口部41から排気された空気流がそのまま乗員の顔へ向かって下から吹き上がることが起き難くなる。顔に吹き上がる空気流により乗員が不快に感じることが起き難くなる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る個別空調装置30を説明する。以下の説明では、第1実施形態と同一の符号を使用し、主に第1実施形態との相違点について説明する。
図5は、第3実施形態に係る個別空調装置30の要部構成の説明図である。
仕切り板31の後面には、外側の第2開口部42、中央の第1開口部41、および内側の第3開口部43が車幅方向に沿って配列して形成される。第1開口部41、第2開口部42および第3開口部43は、シート5に着座した乗員の腹部の方向へ向いて形成される。第1開口部41、第2開口部42および第3開口部43は、連通路34と通じる。
第1開口部41は、シート5の幅方向の中央に対応する位置に設けられる。第2開口部42と第3開口部43とは、第1開口部41の左右において対称な位置に設けられる。第2開口部42と第3開口部43とは、シート5の幅方向の縁に対応する位置に設けられてもよい。
第1強制送風装置51は、中央の第1開口部41に設けられた送風部材として第1ファンを有する。
第2強制送風装置52は、外側の第2開口部42に設けられた送風部材として第2ファンを有する。
第3強制送風装置53は、内側の第3開口部43に設けられた送風部材として第3ファンを有する。
下前強制送風装置54は、前下側の下前開口部44に設けられた送風部材として下前ファンを有する。
第1強制送風装置51、第2強制送風装置52、第3強制送風装置53および下前強制送風装置54は、制御部38に接続され、個別に吸排気の方向、流量および停止が制御される。
図6は、第3実施形態での暖房時の流路切替制御の一例を示すフローチャートである。
図7は、図6の各制御状態での連通路34の吸排気パターンの説明図である。
車室空調装置10が車室2を暖房するためにダッシュボード6の下側の吹出口20から暖気を吹き出す場合(ステップST1)、制御部38は、まず、後側のシート5の乗員の有無について確認する(ステップST2)。後側のシート5の乗員の有無は、たとえば図示外の車内カメラの画像により確認すればよい。
後側のシート5に乗員が不在である場合、制御部38は、仕切り板31が設けられた前側のシート5の乗員に対する暖房時制御を開始する(ステップST3)。
この暖房時制御において、制御部38は、まず、暖房開始時の制御を実行する。具体的には、図7(A)に示すように、中央の第1開口部41および下前開口部44を吸気とし、内側の第3開口部43および外側の第2開口部42を排気とする。
これにより、ダッシュボード6の下側の吹出口20から吹き出された暖気の一部は、下前開口部44から吸気されて、左右両側の第2開口部42および第3開口部43から排気される。
また、第2開口部42および第3開口部43から排気された暖気の一部は、第1開口部41から吸気されるように、シート5に着座した乗員の中央へ向かって流れる。
これにより、シート5に着座した乗員の下肢を暖気で暖めつつ、その一部を上体に沿って上へ上げて顔への吹上を抑制できる。顔への吹上を不快にさせることなく、シート5に着座した乗員の下肢から上体までを暖気で包み込むことができる。
室温が温まっていない状態でも、乗員を全体的に暖めることができる。
その後、室温が安定した温度となるように暖房が進むと(ステップST4)、制御部38は、暖房時の制御を切り替える(ステップST5)。具体的には、図7(B)に示すように、中央の第1開口部41、内側の第3開口部43、および下前開口部44を吸気とし、外側の第2開口部42を排気とする。
これにより、ダッシュボード6の下側の吹出口20から吹き出された暖気の一部による乗員の暖めを継続しつつ、乗員の外側に対して優先的に暖気を排気できる。これにより、自動車1の窓などの近くの冷気を暖め、冷気が乗員へ向かい難くできる。ドアの寒さなどを抑制できる。
後側のシート5に乗員が存在する場合、制御部38は、仕切り板31が設けられた前側のシート5の乗員および後側のシート5の乗員に対する暖房時制御を開始する。
この暖房時制御において、制御部38は、まず、暖房開始時の制御を実行する(ステップST6)。具体的には、図7(C)に示すように、中央の第1開口部41および下前開口部44を吸気とし、内側の第3開口部43および外側の第2開口部42を強い排気とする。
これにより、ダッシュボード6の下側の吹出口20から吹き出された暖気の一部は、下前開口部44から吸気されて、左右両側の第2開口部42および第3開口部43から強く排気される。排気された暖気の一部は、前側のシート5の左右両側を通じて後へ流れ、後側のシート5に着座した乗員の周囲に送られる。
これにより、前側のシート5の乗員だけでなく、後側のシート5の乗員についても暖気で早期に暖めることができる。
室温が温まっていない状態でも、前後の乗員を全体的に暖めることができる。
その後、室温が安定した温度となるように暖房が進むと(ステップST7)、制御部38は、暖房時の制御を切り替える(ステップST8)。具体的には、図7(D)に示すように、中央の第1開口部41を吸気とし、左右両側の第2開口部42および第3開口部43を排気とし、下前開口部44を停止する。
これにより、ダッシュボード6の上部の吹出口20から吹き出された暖気の一部を、中央の第1開口部41から吸気し、左右両側の第2開口部42および第3開口部43から排気できる。
このため、前側のシート5の乗員だけでなく、後側のシート5の乗員についても暖気で適当に暖め続けることができる。
図8は、第3実施形態での冷房時の流路切替制御の一例を示すフローチャートである。
図9は、図8の各制御状態での連通路34の吸排気パターンの説明図である。
車室空調装置10が車室2を冷房するためにダッシュボード6の下側の吹出口20から冷気を吹き出す場合(ステップST11)、制御部38は、まず、後側のシート5の乗員の有無について確認する(ステップST12)。
後側のシート5に乗員が不在である場合、制御部38は、仕切り板31が設けられた前側のシート5の乗員に対する冷房時制御を開始する。
この冷房時制御において、制御部38は、まず、冷房開始時の制御を実行する(ステップST13)。具体的には、図9(A)に示すように、中央の第1開口部41および左右両側の第2開口部42および第3開口部43を吸気とし、下前開口部44を排気とする。
これにより、ダッシュボード6の上部の吹出口20から吹き出された冷気の一部は、第1開口部41、第2開口部42および第3開口部43から吸気されて、下前開口部44から排気される。
これにより、シート5に着座した乗員の足先から腿にかけての冷気の流れを生成できる。この冷気により、乗員の下肢を全体的に冷やすことができる。
室温が温まっていない状態でも、乗員の下肢を全体的に冷やすことができる。
その後、室温が安定した温度となるように冷房が進むと(ステップST14)、制御部38は、冷房時の制御を切り替える(ステップST15)。具体的には、図9(B)に示すように、下前開口部44を吸気とし、中央の第1開口部41、内側の第3開口部43、および外側の第2開口部42を排気とする。
これにより、足元に冷気が溜まらないようにできる。
後側のシート5に乗員が存在する場合、制御部38は、仕切り板31が設けられた前側のシート5の乗員および後側のシート5の乗員に対する冷房時制御を開始する。
この冷房時制御において、制御部38は、まず、冷房開始時の制御を実行する(ステップST16)。具体的には、図9(C)に示すように、中央の第1開口部41を吸気とし、下前開口部44を排気とし、両側の第3開口部43および第2開口部42を強い排気とする。
これにより、ダッシュボード6の上部の吹出口20から吹き出された冷気の一部は、第1開口部41から吸気されて、左右両側の第2開口部42および第3開口部43から強く排気される。排気された暖気の一部は、前側のシート5の左右両側を通じて後へ流れ、後側のシート5に着座した乗員の周囲に送られる。
これにより、前側のシート5の乗員だけでなく、後側のシート5の乗員についても冷気で早期に冷やすことができる。
室温が冷えていない状態でも、前後の乗員を全体的に冷却することができる。
その後、室温が安定した温度となるように冷房が進むと(ステップST17)、制御部38は、冷房時の制御を切り替える(ステップST17)。具体的には、図9(D)に示すように、下前開口部44を吸気とし、第1開口部41、第2開口部42および第3開口部43を排気とする。
これにより、前側の乗員の足元に冷気が溜まらないようにできる。また、その冷気を、前側のシート5の乗員だけでなく、後側のシート5の乗員に対しても送ることができる。
以上のように、本実施形態では、仕切り板31において第1開口部41の両側に第2開口部42および第3開口部43が配列され、制御部38がこれらの吸排気の方向および流量および停止を個別に制御できる。
よって、仕切り板31の下側においてシート5に着座した乗員についての膝または腿から腹部にかけて、所望の空気の流れを生成できる。
しかも、連通部にはさらに、シート5に着座した乗員の足下に開口する下前開口部44が設けられ、この吸排気の方向および流量および停止を個別に制御できるので、シート5に着座した乗員の足先から腿までの下肢全体に対して所望の空気の流れを生成できる。
これにより、シート5に着座した乗員の下肢の周囲に所望の空気流を形成し、また、仕切り板31の後縁より後側から上体に沿って上に漏れ出る空気流を調整できる。シート5に着座した乗員の全体を、所望の空気流で包み込むことができる。
また、本実施形態では、車室2の暖房が開始された場合、足元の下前開口部44から吸気した空気を、両側の第2開口部42および第3開口部43から排気する。これにより、温まっていないシート5に着座した乗員の膝、腿および腹部を暖めることができる。
しかも、中央の第1開口部41は、吸気する。これにより、第2開口部42および第3開口部43から排気された空気の一部は、中央の第1開口部41により吸気され、シート5に着座した乗員の腹部から上体に沿って吹き上がる気流を抑制できる。
なお、中央の第1開口部41から排気するとともに両側の第2開口部42および第3開口部43から吸気しても、同様の効果を期待できる。
そして、車室2の暖房が進んだ場合には、足元の下前開口部44から吸気した空気を車幅方向外側の第2開口部42から排気するとともに中央の第1開口部41および車幅方向内側の第3開口部43から吸気するように切り替える。
よって、冷気が侵入し易い車幅方向外側を暖めて、シート5に着座した乗員の膝、腿および腹部へ冷気が向き難くできる。温まった乗員の下肢を快適な状態に維持する効果を期待できる。
また、本実施形態では、仕切り板31が設けられたシート5の後側に乗員が存在する状態で車室2の暖房が開始された場合、足元の下前開口部44から吸気した空気を両側の第2開口部42および第3開口部43から排気するとともに中央の第1開口部41から吸気する。
これにより、温まっていないシート5に着座した乗員だけでなく、その後ろに乗車した乗員についても暖めることができる。
そして、車室2の暖房が進んだ場合には、足元の下前開口部44の吸排気を停止し、両側の第2開口部42および第3開口部43から排気するとともに中央の第1開口部41から吸気するように切り替える。
これにより、車室2の暖房が進んで車室2の空調装置が上部の吹出口20のみから暖気を吹き出す状態において、その暖気を、後側へ送ることができる。
また、本実施形態では、車室2の冷房が開始された場合、第1開口部41、第2開口部42および第3開口部43から吸気した空気を、足元の下前開口部44から排気する。
よって、冷房の開始の際に車室2の空調装置が上部の吹出口20のみから冷気を吹き出す場合であっても、その冷気の一部を足下から吹き出させることができる。
シート5に着座した乗員の下肢に沿って冷気を循環させることができる。
そして、車室2の冷房が進んだ場合、足元の下前開口部44から吸気した空気を、第1開口部41、第2開口部42および第3開口部43から排気するように切り替える。
これにより、足元が冷えすぎないようにできる。
また、本実施形態では、仕切り板31が設けられたシート5の後側に乗員が存在する状態で車室2の冷房が開始された場合、中央の第1開口部41から吸気した空気を、両側の第2開口部42および第3開口部43並びに足元の下前開口部44から排気する。
よって、冷房の開始の際に車室2の空調装置が上部の吹出口20のみから冷気を吹き出す場合であっても、その冷気の一部を足下から吹き出させることができる。
シート5に着座した乗員の下肢に沿って冷気を循環させることができる。
そして、車室2の冷房が進んだ場合、足元の下前開口部44から吸気した空気を、第1開口部41、第2開口部42および第3開口部43から排気するように切り替える。
これにより、足元が冷えすぎないようにできる。
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
たとえば上記実施形態では、仕切り板31の後端部分において車幅方向に配列された複数の開口部に、個別に吸排気を制御可能な複数のファンが配置されている。
この他にもたとえば、仕切り板31の後端部分には車幅方向に長い1つの開口部が設けられ、この1つの開口部の内部に、個別に吸排気を制御可能な複数のファンが配列されてもよい。この場合でも、ファンごとに個別の開口部が形成されることになる。
また、上記実施形態では、仕切り板31の後端部分において複数の開口部を形成し、この複数の開口部での吸排気の組み合わせにより、気流を制御している。
この他にもたとえば、仕切り板31の後端部分において1つの開口部を形成し、この1つの開口部での吸排気を細かく切り替えることにより、気流を制御してもよい。
1…自動車(車両)、2…車室、3…前室、4…後室、5…シート、6…ダッシュボード、7…ステアリングコラム、8…ステアリング、10…車室空調装置、11…温度センサ、12…日射センサ、13…湿度センサ、14…車室空調制御部、15…ブロアファン、16…コンプレッサ、17…エバボレータ、18…ヒータ、19…空調ダクト、20…吹出口、30…個別空調装置(空調装置)、31…仕切り板、34…連通路、35…強制送風装置、38…制御部、39…タイマ、41…第1開口部、42…第2開口部、43…第3開口部、44…下前開口部、51…第1強制送風装置、52…第2強制送風装置、53…第3強制送風装置、54…下前強制送風装置

Claims (10)

  1. 車両の車室に両端が開口して前記車室内の空気を吸排気する連通路と、
    前記車室のシートの座面より上側に設けられて前記シートに着座した乗員の少なくとも膝または腿の上方に位置するカバー部材と、
    を有し
    記カバー部材には、
    前記シートに着座した乗員の腹部の方向へ向いて形成され、前記連通路の一端の開口として機能する第1開口部が形成され、
    前記シートに着座した乗員の腹部の方向へ向けて形成され、前記連通路と通じる第2開口部が形成され、
    前記第1開口部と前記第2開口部とは、前記カバー部材において車幅方向に沿って配列され、一方が吸気で他方が排気する、
    車両の空調装置。
  2. 車両の車室に両端が開口して前記車室内の空気を吸排気する連通路と、
    前記車室のシートの座面より上側に設けられて前記シートに着座した乗員の少なくとも膝または腿の上方に位置するカバー部材と、
    を有し、
    前記カバー部材には、
    前記シートに着座した乗員の腹部の方向へ向いて形成され、前記連通路の一端の開口として機能する第1開口部が形成され、
    前記連通路は、
    前記カバー部材において前記第1開口部についての車幅方向の両側に配列された第2開口部および第3開口部と、
    前記シートに着座した乗員の足下に設けられた前記車室の空調装置の吐出口の近くに開口する前下開口部と、を有し、
    前記第1開口部、前記第2開口部、前記第3開口部および前記前下開口部の吸排気を個別に制御できる制御部を有する、
    車両の空調装置。
  3. 前記制御部は、
    前記車室の暖房が開始された場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を中央の前記第1開口部から排気するとともに両側の前記第2開口部および前記第3開口部から吸気する、または、足元の前記前下開口部から吸気した空気を両側の前記第2開口部および前記第3開口部から排気するとともに中央の前記第1開口部から吸気する、
    請求項記載の車両の空調装置。
  4. 前記制御部は、
    前記車室の暖房が進んだ場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を車幅方向外側の前記第2開口部から排気するとともに中央の前記第1開口部および車幅方向内側の前記第3開口部から吸気するように切り替える、
    請求項記載の車両の空調装置。
  5. 前記制御部は、
    前記カバー部材が設けられた前記シートの後側に乗員が存在する状態で前記車室の暖房が開始された場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を両側の前記第2開口部および前記第3開口部から排気するとともに中央の前記第1開口部から吸気する、
    請求項からのいずれか一項記載の車両の空調装置。
  6. 前記制御部は、
    前記車室の暖房が進んだ場合、足元の前記前下開口部の吸排気を停止し、両側の前記第2開口部および前記第3開口部から排気するとともに中央の前記第1開口部から吸気するように切り替える、
    請求項記載の車両の空調装置。
  7. 前記制御部は、
    前記車室の冷房が開始された場合、前記第1開口部、前記第2開口部および前記第3開口部から吸気した空気を、足元の前記前下開口部から排気する、
    請求項記載の車両の空調装置。
  8. 前記制御部は、
    前記車室の冷房が進んだ場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を、前記第1開口部、前記第2開口部および前記第3開口部から排気するように切り替える、
    請求項記載の車両の空調装置。
  9. 前記制御部は、
    前記カバー部材が設けられた前記シートの後側に乗員が存在する状態で前記車室の冷房が開始された場合、中央の前記第1開口部から吸気した空気を、両側の前記第2開口部および前記第3開口部並びに足元の前記前下開口部から排気する、
    請求項およびのいずれか一項記載の車両の空調装置。
  10. 前記制御部は、
    前記車室の冷房が進んだ場合、足元の前記前下開口部から吸気した空気を、前記第1開口部、前記第2開口部および前記第3開口部から排気するように切り替える、
    請求項記載の車両の空調装置。
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