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JP6717262B2 - 助手席用エアバッグ装置 - Google Patents

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JP6717262B2 JP2017108721A JP2017108721A JP6717262B2 JP 6717262 B2 JP6717262 B2 JP 6717262B2 JP 2017108721 A JP2017108721 A JP 2017108721A JP 2017108721 A JP2017108721 A JP 2017108721A JP 6717262 B2 JP6717262 B2 JP 6717262B2
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Description

本発明は、助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて車両後方側に向かって突出するように膨張し、乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える助手席用エアバッグ装置に関する。
従来、助手席用エアバッグ装置としては、エアバッグが、膨張完了時の後面側を、乗員を保護可能な乗員保護部として構成され、この乗員保護部が、車両の前突時の乗員の頭部を保護可能な前突用拘束面と、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時の乗員の頭部を保護可能な斜突用拘束面と、を備えるとともに、前突用拘束面と斜突用拘束面との間に、乗員の頭部を進入させて拘束させるための拘束用凹部を、前方に凹ませるようにして、配置させる構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。この従来の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグの内部に、膨張完了時の拘束用凹部の後方への移動を抑制するためのテザーが、拘束用凹部の凹みの先端側に接続されるようにして、配設される構成であった。
特開2016−132385公報
しかし、この従来の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグの内部に配設されるテザーが、膨張完了時に、拘束用凹部の先端から左右に延びて、左端を、右端よりも後側に位置させるように、左右方向に対して傾斜するように、配置される構成であった。このエアバッグは、拘束用凹部側を外方へ大きく張り出すようにして、膨張完了形状を左右非対称としており、詳細には、斜突用拘束面を、前突用拘束面から後方に向かって突出させるように、拘束用凹部を備えている外方へ大きく張り出している領域を、後方へも突出させる構成である。そのため、このテザーによって、膨張完了時の拘束用凹部の後方への移動は規制できるものの、内部に膨張用ガスを流入させて、収納部位から後方へ向かって突出する際の展開膨張形状を規制し難く、エアバッグを、展開膨張時に、左右にバランスよく膨張させる点に、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、展開膨張時に、エアバッグを、左右にバランスよく膨張させることができ、迅速に膨張完了させることが可能な助手席用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る助手席用エアバッグ装置は、助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて車両後方側に向かって突出するように膨張し、乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える助手席用エアバッグ装置であって、
エアバッグが、膨張完了時の前端側を収納部位に取り付けられるとともに、膨張完了時の後面側を、乗員を保護可能な乗員保護部として構成され、
乗員保護部が、
車両の前突時に前進移動する乗員の頭部を保護可能な前突用拘束面と、
車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を保護可能に、前突用拘束面の左右の少なくとも一方側に形成される斜突用拘束面と、
を備える構成とされるとともに、
前突用拘束面と斜突用拘束面との間に、乗員の頭部を進入させて拘束させるための拘束用凹部を、前方に凹ませるようにして、構成され、
エアバッグの内部に、
膨張完了時に、前後方向に対して傾斜して配置されて、拘束用凹部の凹みの先端側と、エアバッグの前端側と、を連結するテザーと、
前突用拘束面における拘束用凹部から離れた左右方向側での端縁側と、エアバッグの前端側と、を連結する補助テザーと、
を、備え、
テザーと補助テザーとは、収納部位への取付中心付近を中心として、左右に延びるように、略左右対称として、配設されていることを特徴とする。
本発明の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグが、前突用拘束面の左右の少なくとも一方側に、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を保護可能な斜突用拘束面を備える構成としており、換言すれば、斜突用拘束面を備える側の部位を、大きく張り出させるように、構成されているが、本発明の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグが、前突用拘束面と斜突用拘束面との間に配置される拘束用凹部の先端側とエアバッグの前端側とを連結するテザーに加えて、前突用拘束面における拘束用凹部から離れた左右方向側での端縁側とエアバッグの前端側とを連結する補助テザーを、備える構成とされている。そして、このテザーと補助テザーとは、エアバッグの膨張完了時に、収納部位への取付中心付近を中心として、左右に延びるように、略左右対称として、配設されている。すなわち、本発明の助手席用エアバッグ装置では、前突用拘束面の左右両縁側が、拘束用凹部を介したテザーと、補助テザーと、によって、それぞれ、エアバッグの前端側に連結されることから、エアバッグの展開膨張時に、収納部位から車両後方側に向かって突出するエアバッグの前突用拘束面の左右両縁側を、それぞれ、テザーと補助テザーとによって、後方に過度に突出することを規制でき、エアバッグを、左右でバランスよく膨張させることができる。また、前突時におけるエアバッグの膨張完了後において、前進移動する乗員の頭部を、前突用拘束面の左右の略中央の領域によって受け止めた際に、前突用拘束面は、左右方向の略中央を凹ませて、左右両縁側の部位を後方へ突出させる態様となるが、本発明の助手席用エアバッグ装置では、前突用拘束面の左右両縁側が、テザーと補助テザーとによって連結されている。そのため、乗員の頭部を受け止めた前突用拘束面が、左右の中央側の領域を凹ませる際に、これらのテザー(拘束用凹部も含む)と補助テザーとに、略同等のテンションを発生させるような態様となり、乗員の頭部を、前突用拘束面におけるテザーと補助テザーとの間の領域で、左右のバランスよく、クッション性を良好として、円滑に受け止めることができる。
したがって、本発明の助手席用エアバッグ装置では、展開膨張時に、エアバッグを、左右にバランスよく膨張させることができ、迅速に膨張完了させることができ、さらに、前突時に、バランスよく乗員の頭部を受け止めることができる。
そしてさらに、本発明の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグの膨張完了時に、テザーによって、拘束用凹部の凹んだ状態を的確に維持することができ、また、エアバッグの展開膨張時における拘束用凹部の前後移動(前後の揺動)も、防止することができる。そのため、迅速に拘束用凹部を所定位置に配置させることができて、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を、拘束用凹部内に進入させるようにして、的確に受け止めることができる。
また、本発明の助手席用エアバッグ装置において、斜突用拘束面を、前突用拘束面から後方に向かって突出するように、形成する構成とすれば、エアバッグの膨張完了時に、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を、拘束用凹部より後方に突出して配置される斜突用拘束面によって受け止め、この斜突用拘束面に沿って前方に移動させることにより、拘束用凹部側に案内させることができることから、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を、拘束用凹部によって一層安定して受け止めることが可能となって、好ましい。
さらに、上記構成の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグの内部に、前突用拘束面の左右方向の略中央と、エアバッグの前端側と、を連結して、膨張完了時の前突用拘束面の後方側への移動を抑制可能な前後テザーを、膨張完了時に前後方向に略沿うように、配設させる構成とすれば、エアバッグの膨張初期に、前突用拘束面が過度に後方に突出するように膨張することを、抑制でき、また、膨張完了時の前突用拘束面の後方への移動を抑制できて、好ましい。
本発明の一実施形態である助手席用エアバッグ装置を車両に搭載させた状態を示す概略縦断面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置を車両に搭載させた状態の概略平面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後右上方から見た状態の斜視図である。 図3のエアバッグの概略縦断面図であり、前後テザーの部位での断面図である。 図3のエアバッグの概略縦断面図であり、拘束用凹部の部位での断面図である。 図3のエアバッグの概略横断面図である。 実施形態のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。 実施形態のエアバッグを構成する基布の残りを示す平面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略横断面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置において、膨張を完了させたエアバッグが、斜め前方に向かって移動する乗員を受け止めた状態を示す概略断面図である。 本発明の他の実施形態であるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後右上方から見た状態の斜視図である。 図11のエアバッグの概略横断面図である。 図11のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。 図11のエアバッグを構成する基布の残りを示す平面図である。 本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグを単体で膨張させた状態の概略横断面図である。 本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグを単体で膨張させた状態の概略横断面図である。 本発明の実施形態であるエアバッグに使用可能なテザー用基布の変形例を示す平面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の助手席用エアバッグ装置Mは、図1,2に示すように、車両Vにおける助手席PSの前方において、インストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)1の上面2の内部に配置されるトップマウントタイプとされている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Vの前後・上下・左右の方向と一致するものである。
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mは、図1に示すように、折り畳まれたエアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ15及びインフレーター8を収納保持する収納部位としてのケース12と、エアバッグ15及びインフレーター8をケース12に取り付けるためのリテーナ9と、折り畳まれたエアバッグ15の上方を覆うエアバッグカバー6と、を備えて構成されている。
エアバッグカバー6は、合成樹脂製のインパネ1と一体的に形成されて、エアバッグ15の展開膨張時に、前後二枚の扉部6a,6bを、エアバッグ15に押されて開くように、構成されている。また、エアバッグカバー6における扉部6a,6bの周囲には、ケース12に連結される連結壁部6cが、形成されている。
インフレーター8は、図1に示すように、複数のガス吐出口8bを有した略円柱状の本体部8aと、インフレーター8をケース12に取り付けるためのフランジ部8cと、を備えて構成されている。インフレーター8は、実施形態の場合、車両Vの前面衝突と、斜め衝突と、オフセット衝突と、の際に、作動するように構成されている。
収納部位としてのケース12は、上端側に長方形状の開口を有した板金製の略直方体形状に形成され、図1に示すように、インフレーター8を下方から挿入させて取り付ける略長方形状の底壁部12aと、底壁部12aの外周縁から上方に延びてエアバッグカバー6の連結壁部6cを係止する周壁部12bと、を備えて構成されている。実施形態の場合、エアバッグ15とインフレーター8とは、エアバッグ15内に配置させたリテーナ9の各ボルト9aを取付手段として、エアバッグ15におけるガス流入口21の周縁、ケース12の底壁部12a、及び、インフレーター8のフランジ部8cを、貫通させて、ナット10止めすることにより、ケース12の底壁部12aに連結される構成である。具体的には、ケース12は、図2に示すように、左右方向側を幅広として構成されるもので、底壁部12aにおける左右方向の略中央となる位置に、インフレーター8を取り付ける構成とされている。また、ケース12の底壁部12aには、車両Vのボディ側に連結される図示しないブラケットが、配設されている。
エアバッグ15は、図3〜6に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体16と、バッグ本体16内に配置されてバッグ本体16の膨張完了形状を規制するテザー41,47,53と、を備える構成とされている。
バッグ本体16は、可撓性を有したシート体から形成される袋状とされるもので、実施形態の場合、図3〜6に示すように、本体膨張部17と、膨張完了時の本体膨張部17の後面側から部分的に後方に突出するように配置される突出膨張部29と、を備えている。
本体膨張部17は、図1の二点鎖線に示すように、膨張完了時に、インパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置可能な構成とされている。具体的には、本体膨張部17は、図3〜5に示すように、膨張完了時の形状を、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱状とされるもので、膨張完了時の前端17a側に、ケース12に取り付けられる取付部20を、備える構成とされている(図3,6参照)。すなわち、実施形態のエアバッグ15では、本体膨張部17は、膨張完了時の前端17a側をケース12に取り付けられて、膨張完了時に、図9に示すように、左側の領域を、若干、運転席DS側に張り出させるように、配置される構成である。この本体膨張部17は、膨張完了時に乗員MP側である後面側に配置される後側壁部26と、後側壁部26の周縁から前方に延びるとともに前端17a側にかけて上下の幅寸法を小さくするように収束される先細り形状の周壁部18と、を備えている。
周壁部18は、エアバッグ15の膨張完了時に、主にインパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置される部位であり、上下方向側で対向して配置される上壁部18a,下壁部18bと、左右方向側で対向して配置される左壁部18c,右壁部18dと、を備えている。実施形態のエアバッグ15では、周壁部18における膨張完了時の前端側の部位が、エアバッグ15をケース12に取り付けるための取付部20とされている。実施形態の場合、取付部20は、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を、ケース12の左右方向側の幅寸法より大きく設定されて、膨張完了時に、ケース12よりも左右の外方に張り出すように配置される(図9参照)。この取付部20における膨張完了時の下面側(下壁部18b側)には、内部に膨張用ガスを流入可能に略円形に開口して形成されるガス流入口21と、ガス流入口21の周縁においてリテーナ9のボルト9aを挿通させるための複数(実施形態の場合、4個)の取付孔22と、が、形成されて、ガス流入口21の周縁をケース12の底壁部12aに取り付けられる構成である。ガス流入口21は、取付部20の左右の略中央となる位置に、配置されるもので、実施形態では、エアバッグ15は、このガス流入口21の中心を、取付中心C(図6参照)とし、この取付中心Cを助手席PSの左右方向の中心と略一致させるようにして、ケース12に取り付けられ、車両Vに搭載されている(図9参照)。また、周壁部18における左壁部18cと右壁部18dとには、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気させるためのベントホール24,24が、形成されている。そして、実施形態の場合、本体膨張部17は、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を、前端側の取付部20から、後面側(後側壁部26側)にかけて略一定として、構成され、左壁部18cと右壁部18dとは、本体膨張部17の膨張完了時に、前後方向に略沿うようにして、配置されることとなる(図6,9参照)。
後側壁部26は、エアバッグ15の膨張完了時に、乗員MP側となる後面側において、上下方向に略沿うように配置されている。実施形態の場合、後側壁部26は、図1の二点鎖線及び図4に示すように、下端側を後方にずらすように上下方向に対して僅かに傾斜して、配置されている。また、この後側壁部26は、左上隅側の部位を除いて、エアバッグ15の膨張完了時の前後方向に沿った横断面において、左右方向に略沿うように、配置されている(図6参照)。この後側壁部26において、左右の中央(取付中心Cを通る前後方向に沿った中心線CL)より左側の端縁側の領域には、エアバッグ15の膨張完了時に、後側壁部26より後方に突出するように膨張する突出膨張部29が、配置されている。この突出膨張部29は、後側壁部26の膨張完了時の左上端側の部位に形成されるもので、エアバッグ15の膨張完了時に、助手席PSに着座した乗員MPの頭部MHの左斜め前方となる位置に、配置されることとなる(図9参照)。
この突出膨張部29は、膨張完了時の前端29c側で本体膨張部17と連通されて、この前端29c側の連通部30を経て、本体膨張部17から内部に膨張用ガスを流入させる構成であり(図9参照)、膨張完了時の外形形状を、厚さ方向を左右方向に沿わせるように配置される略板状として、左右方向側から見て略台形状とされている(図3,5,6参照)。具体的には、突出膨張部29は、左右方向側から見た膨張完了形状を、図5に示すように、本体膨張部17側となる前端29c側を幅広として、後端29d側にかけて狭幅とするような台形状とされている。この突出膨張部29は、膨張完了時に、左右方向側で対向するように配置される左壁部29aと右壁部29bとを備える構成とされており、左壁部29aは、本体膨張部17における周壁部18の左壁部18cから連なるように、構成されている(図6参照)。この突出膨張部29は、エアバッグ15の膨張完了時における前後方向に沿った横断面において、取付中心Cを通る前後方向に沿った中心線CLよりも左側(運転席DS側)の領域に形成されるもので(図6参照)、詳細には、車両搭載時における前後方向に沿った横断面において、ケース12よりも左方となる位置に配置される構成である(図9参照)。また、突出膨張部29は、エアバッグ15の膨張完了時において、前端29c側の部位の上下方向側の幅寸法L1を、本体膨張部17における後側壁部26の部位の上下方向側の幅寸法L2の2/3程度に設定され(図5参照)、左右方向側の幅寸法L3を、本体膨張部17の後端側の部位の左右方向側の幅寸法L4の3/10程度に、設定されている(図6参照)。さらに、突出膨張部29は、後側壁部26からの突出量(前後方向側の幅寸法L5)を、膨張完了時の本体膨張部17の前後方向側の幅寸法L6の1/4程度に設定されている(図6参照)。このような突出膨張部29の外形寸法(大きさ)は、エアバッグ15の膨張完了時において、右壁部29b(後述する斜突用拘束面34)に、左斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを接触させた際に、この乗員MPの頭部MHを、的確に受け止め、かつ、右壁部29b(斜突用拘束面34)によって、乗員MPの頭部MHを、後述する拘束用凹部35に向かって、円滑に案内可能な寸法に、設定されている。
そして、実施形態のエアバッグ15では、突出膨張部29と、本体膨張部17における後側壁部26と、が、エアバッグ15の膨張完了時に乗員MPを保護可能な乗員保護部32を構成している。乗員保護部32は、車両Vの前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な前突用拘束面33と、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な斜突用拘束面34と、を備える構成とされており、また、前突用拘束面33と斜突用拘束面34との間には、乗員MPの頭部MHを進入させて拘束させるための拘束用凹部35が、形成されている。
実施形態の場合、前突用拘束面33は、後側壁部26の上側の領域から構成されるもので、膨張完了時のエアバッグ15において、後側壁部26における突出膨張部29の右側に配置される領域から、構成されている。すなわち、実施形態の場合、前突用拘束面33は、取付中心Cを通る前後方向に沿った中心線CLをから左側(運転席DS側)と右側(運転席DSから離れた側)とに延びる領域を備える構成とされるもので、前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを支障なく保護可能に構成されている。実施形態の場合、前突用拘束面33は、エアバッグ15の膨張完了時に、前後方向に略沿った横断面において、中心線CL上となる左右の中央付近を前方側に向かって僅かに凹ませるように、構成されている(図6参照)。
斜突用拘束面34は、突出膨張部29の右壁部29bから構成されている。すなわち、斜突用拘束面34は、前突用拘束面33から後方に向かって突出するように形成されるもので、実施形態の場合、斜突用拘束面34の運転席DS側となる左側のみに、配置されている。実施形態の場合、斜突用拘束面34は、エアバッグ15の膨張完了時に、前後方向に略沿うように、配置される。また、実施形態のエアバッグ15において、後側壁部26における下側の領域は、前突時や斜突時、オフセット衝突時等に前進移動する乗員MPが頭部MHを乗員保護部32に拘束された際に、主に、乗員MPの胸部を受け止めることとなる。
前突用拘束面33と斜突用拘束面34との間に形成される拘束用凹部35は、乗員MPの頭部MHを進入させて拘束するためのものであり、実施形態の場合、突出膨張部29の右側の領域と、本体膨張部17における後側壁部26と、の境界部位に、上下方向に略沿うようにして、形成されるとともに、図5,6に示すように、後端側を開口させて、ポケット状に前方に凹む構成とされている。すなわち、拘束用凹部35は、前突用拘束面33の左縁33a側に、形成されている。詳細には、拘束用凹部35は、左右方向側から見て、上下に幅広とした略長方形状の左側壁37と右側壁38との上縁相互、下縁相互、前縁相互を、それぞれ、結合(縫着)させることにより、後端側を開口させた略ポケット状に、構成されている(図5参照)。すなわち、拘束用凹部35は、前端35a側(凹みの先端側)にかけて、幅寸法を一定として、構成されている。この拘束用凹部35は、上下方向側の長さ寸法(開口36の開口幅寸法)を、乗員MPの頭部MHを円滑に進入させることが可能な寸法に、設定されている。具体的には、拘束用凹部35の上下方向側の長さ寸法L7(開口36の開口幅寸法)は、突出膨張部29の前端29c側の部位の上下方向側の幅寸法L1よりも小さく設定されて、400mm程度に設定されている(図5参照)。また、拘束用凹部35の前後方向側の幅寸法(深さ)L8は、乗員MPの頭部MHの前側の領域を進入可能な寸法に設定されており、具体的には、50〜100mm程度に設定されている(図5参照)。この拘束用凹部35は、突出膨張部29と、上下の中央を略一致させるように、配置されている。
また、実施形態のエアバッグ15では、拘束用凹部35は、凹みの先端側(前端35a側)を、バッグ本体16内に配置される凹部用テザー47(テザー)に連結されて、エアバッグ15の膨張完了時に、凹部用テザー47(テザー)によって、凹みの先端側(前端35a側)を前方に牽引された状態で、配置されることとなる(図5,6参照)。実施形態の場合、拘束用凹部35は、エアバッグ15の膨張完了時に、左側壁37と右側壁38とを略全域にわたって接触させるように、後端35b側の開口36の口開きを抑制された状態で、突出膨張部29の右壁部29bから連なるように、前後方向に略沿って配置されることとなる(図6参照)。
バッグ本体16内には、図4〜6に示すように、テザー41,47,53が、配置されている。具体的には、本体膨張部17の領域内に、前後テザー41と、凹部用テザー47(テザー)と、補助テザー53と、が、配置されている。
前後テザー41は、前突用拘束面33の左右方向の略中央と、エアバッグ15(本体膨張部17)の前端17a側と、を連結するもので、図6に示すように、エアバッグ15の膨張完了時に、中心線CL上に位置するように配置されて、ガス流入口21の周縁から延びる前側部位42と、後側壁部26側から延びる後側部位43と、を連結させるようにして、構成されている(図4参照)。
前側部位42は、ガス流入口21の周縁から延びるように配置されるとともに、実施形態の場合、図7に示す前側部位用基材44を折って構成されるもので、左右対称形として、バッグ本体16の膨張完了時における外形形状を、前端側を左右方向に略沿わせ、後端側を上下方向に略沿わせるような略三角錐形状に近似した立体形状とされている。前側部位用基材44は、長手方向を前後方向側に沿わせて構成される帯状とされている。実施形態の場合、前側部位42は、図4,6,7に示すように、前端側の領域を、バッグ本体16への連結部42aとして、この連結部42aにガス流入口21及び取付孔22に対応する開口(図符号省略)を配置させて、ガス流入口21の周縁の部位で、本体膨張部17における取付部20の下面側の部位に縫着されている。そして、前側部位42において、ガス流入口21から後方に延びる領域が、本体部42bを構成し、この本体部42bの外形形状を、略三角錐形状に近似した立体形状としている(図4参照)。本体部42bは、後側部位43の前端43a側に縫着される後端42c側の部位の上下の幅寸法を、後側部位43における前端43a側の部位の上下の幅寸法と、略一致させるように構成されている。
後側部位43は、シート状として、実施形態の場合、本体膨張部17における後側壁部26を構成する後左パネル67の右縁67d,後右パネル69の左縁69cから延びて、後左パネル67及び後右パネル69と一体的に構成される延設部67e,69eから、構成されている(図6,8参照)。換言すれば、後側部位43は、左右方向側で重ねられた二枚重ね状として、構成されている。詳細には、実施形態の場合、後側部位43は、前側部位42に連結される前端43a側を狭幅として、後端43b側にかけて上下に拡開されるような略台形状として、構成されており、実施形態の場合、後側壁部26の上下の略中央となる位置に、連結されている。
この前後テザー41は、エアバッグ15の膨張完了時に、後側壁部26において前面衝突時に乗員MPを保護するための保護中心、すなわち、取付中心Cを通る前後方向に沿った中心線CLと交差する部位と、ガス流入口21の周縁部位と、の離隔距離を規制するもので、換言すれば、前突用拘束面33の左右方向の略中央と、エアバッグ15(本体膨張部17)の前端17a側とを連結する構成である。そして、この前後テザー41は、エアバッグ15の膨張初期における前突用拘束面33の過度の後方への突出や、膨張完了時の前突用拘束面33の後方移動を、抑制するために、配置されている。また、実施形態では、後側壁部26は、この前後テザー41に牽引されるようにして、エアバッグ15の膨張完了時に、中心線CL上となる位置を、上下の略全域にわたって、僅かに車両前方側に向かって凹ませて、配設されることとなる(図6参照)。
凹部用テザー47(テザー)は、エアバッグ15の膨張完了時に、図6に示すように、本体膨張部17の領域内において、拘束用凹部35の凹みの先端側と、エアバッグ15(本体膨張部17)の前端17a側と、を連結するように、配置されている。実施形態の場合、凹部用テザー47は、図7に示すテザー用基材49から構成されるもので、テザー用基材49は、帯状の本体部51と、本体部51の前端51a側において右側に突出するように形成される連結部50と、を備えている。そして、凹部用テザー47は、このテザー用基材49の前端側の連結部50を、ガス流入口21の周縁に結合(縫着)させ、ガス流入口21の左側から延びる本体部51の後端51b側を、拘束用凹部35の前端35a側に連結させることにより、エアバッグ15の膨張完了時に、前端51aを右方に位置させ、後端51bを左方に位置させるように、前後方向に対して、傾斜して配置される構成である(図6参照)。この凹部用テザー47は、長さ寸法を、エアバッグ15の膨張完了時に、前後方向に略沿って配置される拘束用凹部35を前方に牽引可能とし、換言すれば、拘束用凹部35を介して前突用拘束面33の左縁33a側の後方移動を規制可能に、設定されている。
補助テザー53は、エアバッグ15の膨張完了時に、図6に示すように、本体膨張部17の領域内において、前突用拘束面33における拘束用凹部35から離れた右縁33b側と、エアバッグ15(本体膨張部17)の前端17a側と、を連結するように、配置されている。実施形態の場合、この補助テザー53は、図7に示すように、凹部用テザー47を構成するテザー用基材49と略左右対称形とされるテザー用基材55から構成されるもので、テザー用基材55は、帯状の本体部57と、本体部57の前端57a側において左側に突出するように形成される連結部56と、を備えている。そして、補助テザー53は、テザー用基材55の前端側の連結部56を、ガス流入口21の周縁に結合(縫着)させ、ガス流入口21の右側から延びる本体部57の後端57b側を、後側壁部26と右壁部18dとの境界部位付近(前突用拘束面33の右縁33b側)から延びる連結片部58に連結させることにより、エアバッグ15の膨張完了時に、前端57aを左方に位置させ、後端57bを右方に位置させるように、前後方向に対して、傾斜して配置される構成である(図6参照)。この連結片部58は、実施形態の場合、後側壁部26を構成する後右パネル69の右縁69dと、右壁部18dを構成する右パネル65の後縁66cと、から突出するように形成される連結タブ65d,69fから、構成されている。
この補助テザー53は、図6に示すように、エアバッグ15の膨張完了状態において、上下方向側から見て、凹部用テザー47に対して、略左右対称形として構成され、凹部用テザー47と補助テザー53とは、取付中心Cを中心として、左右に延びるように、配置されることとなる。この補助テザー53は、連結片部58を含めた長さ寸法を、エアバッグ15の膨張完了時に、前突用拘束面33の右縁33b側の後方移動を規制可能に、設定されている。また、この凹部用テザー47と補助テザー53とは、エアバッグ15の膨張完了時に後方から見た状態においても、後端51b,57bのバッグ本体16への結合位置を、左右で略一致させて、後側壁部26の上下の中央よりやや上方となる位置に配置させ、略左右対称形とされている(図3,8参照)。すなわち、実施形態では、凹部用テザー47と補助テザー53との後端51b,57bのバッグ本体16(後側壁部26、すなわち、前突用拘束面33)への結合位置は、上下方向側においての位置(高さ位置)を、前後テザー41における後側部位43の後端43b側の領域内に配置される構成である。
バッグ本体16は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて袋状に構成されるもので、実施形態の場合、図7,8に示すように、膨張完了時に前側に配置される前パネル60、膨張完了時に左側に配置される左パネル61、膨張完了時に右側に配置される右パネル65、膨張完了時に後側に配置される後左パネル67,後右パネル69、及び、突出膨張部29の右壁部29bを構成する突出部用右パネル71、の6枚の基布から構成されている。
前パネル60は、外形形状を、長手方向を前後方向に略沿わせた略帯状として構成されるもので、膨張完了時の本体膨張部17における上壁部18aから下壁部18bにかけての領域を、構成している。
左パネル61は、膨張完了時の本体膨張部17における左壁部18cから、突出膨張部29の左壁部29aにかけての部位を、構成するもので、図8に示すように、本体膨張部17の左壁部18cの領域を構成する略三角形状の本体部62の後端側に、突出膨張部29の左壁部29aを構成する略台形状の突出部63を、連結させて構成されている。右パネル65は、膨張完了時の本体膨張部17における右壁部18dの領域を構成するもので、外形形状を、左パネル61における本体部62の外形形状と略同一とした略三角形状とされている。また、右パネル65の後縁65c側には、補助テザー53を連結させる連結片部58を構成する連結タブ65dが、形成されている。
後左パネル67,後右パネル69は、膨張完了時の本体膨張部17における後側壁部26の部位を、左右で分割するように構成されるもので、それぞれ、長手方向を上下方向に略沿わせた帯状として構成されている。また、後左パネル67の右縁67d側と、後右パネル69の左縁69c側と、には、それぞれ、前後テザー41の後側部位43を構成する延設部67e,69eが、形成されている。さらに、後右パネル69の右縁69a側には、補助テザー53を連結させる連結片部58を構成する連結タブ69fが、形成されている。さらにまた、後左パネル67の左縁67cの上端側には、拘束用凹部35の右側壁38を構成する凹部用部位68が、部分的に突出するように、形成されている。凹部用部位68の前縁68cには、凹部用テザー47の後端51bを連結させる連結タブ68dが、突出して形成されている。
突出部用右パネル71は、膨張完了時の突出膨張部29における右壁部29bの部位を構成するもので、外形形状を、左パネル61の突出部63の外形形状と略同一とした略台形状とされている。また、突出部用右パネル71の前縁71c側には、拘束用凹部35の左側壁37を構成する凹部用部位72が、突出して、形成されている。凹部用部位72の前縁72cには、凹部用テザー47の後端51bを連結させる連結タブ72dが、突出して形成されている。
実施形態では、バッグ本体16を構成する前パネル60,左パネル61,右パネル65,後左パネル67,後右パネル69,突出部用右パネル71、前後テザー41の前側部位42を構成する前側部位用基材44、及び、凹部用テザー47,補助テザー53をそれぞれ構成するテザー用基材49,55は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。
そして、実施形態のバッグ本体16は、図3〜8に示すように、前パネル60,左パネル61,右パネル65,後左パネル67,後右パネル69,突出部用右パネル71の対応する縁部相互を、縫合糸を用いて縫着(結合)させることにより、袋状とされている。具体的には、前パネル60の後上縁60aは、後左パネル67,後右パネル69の上縁67a,69aと結合され、後下縁60bは、後左パネル67,後右パネル69の下縁67b,59bと結合される。前パネル60の左縁60cは、左パネル61における本体部62の上縁62aから下縁62bにかけてと結合され、前パネル60の右縁60dは、右パネル65の上縁65aから下縁65bにかけてと結合される。後左パネル67の左縁67cは、左パネル61における本体部62の後縁62c及び突出部用右パネル71の前縁71cと結合される。後左パネル67の右縁67dは、後右パネル69の左縁69cと結合される。後右パネル69の右縁69dは、右パネル65の後縁65cと結合される。左パネル61における突出部63の上縁63a,下縁63b,後縁63cは、それぞれ、突出部用右パネル71の上縁71a,下縁71b,後縁71dと結合される。後左パネル67に形成される凹部用部位68の上縁68a,下縁68b,前縁68cは、それぞれ、突出部用右パネル71に形成される凹部用部位72の上縁72a,下縁72b,前縁72cと結合される。
次に、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明をする。まず、エアバッグ15を、リテーナ9を内部に収納させた状態で、ケース12内に収納可能に折り畳み、折り畳んだエアバッグ15の周囲を、折り崩れしないように、破断可能な図示しないラッピングシートによりくるむ。次いで、折り畳んだエアバッグ15をケース12の底壁部12aに載置させる。インフレーター8の本体部8aを、底壁部12aの下方から、ケース12内に挿入させるとともに、底壁部12aから下方に突出しているリテーナ9のボルト9aを、インフレーター8のフランジ部8cに挿通させる。その後、インフレーター8のフランジ部8cから突出した各ボルト9aにナット10を締結させれば、折り畳んだエアバッグ15とインフレーター8とを、ケース12に取り付けることができる。
そして、車両Vに搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー6の連結壁部6cに、ケース12の周壁部12bを係止させ、ケース12の図示しないブラケットを、車両Vのボディ側に固定させれば、助手席用エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、車両Vに搭載した状態で、車両Vの前面衝突時、斜め衝突時、若しくは、オフセット衝突時に、インフレーター8のガス吐出口8bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ15が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開かせることとなる。そして、エアバッグ15は、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開いて形成される開口を経て、ケース12から上方へ突出するとともに、車両後方側に向かって突出しつつ展開膨張して、図1,2の二点鎖線及び図9に示すように、インパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように、膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、エアバッグ15が、前突用拘束面33の左側に、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な斜突用拘束面34を備える構成としており、換言すれば、斜突用拘束面34を備える側の部位を、大きく張り出させるように(実施形態の場合、突出膨張部29を部分的に後方に突出させるように)、構成されているが、実施形態では、エアバッグ15は、前突用拘束面33と斜突用拘束面34との間に配置される拘束用凹部35の先端(前端35a)側とエアバッグ15の前端17a側とを連結するテザーとしての凹部用テザー47に加えて、前突用拘束面33における拘束用凹部35から離れた左右方向側での端縁(右縁33b)側とエアバッグ15の前端17a側とを連結する補助テザー53を、備える構成とされている。そして、この凹部用テザー47と補助テザー53とは、図9に示すように、エアバッグ15の膨張完了時に、収納部位としてのケース12への取付中心C付近を中心として、左右に延びるように、略左右対称として、配設されている。すなわち、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、前突用拘束面33の左縁33a側と右縁33b側とが、拘束用凹部35を介した凹部用テザー47と、補助テザー53と、によって、それぞれ、エアバッグ15(本体膨張部17)の前端17a側に連結されることから、エアバッグ15の展開膨張時に、ケース12から車両後方側に向かって突出するエアバッグ15の前突用拘束面33(後側壁部26)の左縁33a側と右縁33b側とを、それぞれ、凹部用テザー47と補助テザー53とによって、後方に過度に突出することを規制でき、エアバッグ15を、左右でバランスよく膨張させることができる。また、前突時におけるエアバッグ15の膨張完了後において、前進移動する乗員MPの頭部MHを、前突用拘束面33の左右の略中央の領域によって受け止めた際に(図9の二点鎖線参照)、前突用拘束面33は、左右方向の略中央を前方へ凹ませて、左縁33a側と右縁33b側との部位を後方へ突出させる態様となるが、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、前突用拘束面33の左縁33a側と右縁33b側とが、凹部用テザー47と補助テザー53とによって連結されている。そのため、乗員MPの頭部MHを受け止めた前突用拘束面33が、左右の中央側の領域を凹ませる際に、これらの凹部用テザー47(拘束用凹部35も含む)と補助テザー53とに、略同等のテンションを発生させるような態様となり、乗員MPの頭部MHを、前突用拘束面33における凹部用テザー47と補助テザー53との間の領域で、左右のバランスよく、クッション性を良好として、円滑に受け止めることができる。
したがって、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、展開膨張時に、エアバッグ15を、左右にバランスよく膨張させることができ、迅速に膨張完了させることができ、さらに、前突時にバランスよく乗員MPの頭部MHを受け止めることができる。
そしてさらに、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、エアバッグ15の膨張完了時に、凹部用テザー47によって、拘束用凹部35の凹んだ状態を的確に維持することができ、また、エアバッグ15の展開膨張時における拘束用凹部35の前後移動(前後の揺動)も、防止することができる。そのため、迅速に拘束用凹部35を所定位置に配置させることができて、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを、拘束用凹部35内に進入させるようにして、的確に受け止めることができる。
また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、斜突用拘束面34が、前突用拘束面33から後方に向かって突出するように、形成される構成である。そのため、エアバッグ15の膨張完了時に、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを、図10に示すように、拘束用凹部35より後方に突出して配置される斜突用拘束面34によって受け止め、この斜突用拘束面34に沿って前方に移動させることにより、拘束用凹部35側に案内させることができることから、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを、拘束用凹部35によって一層安定して受け止めることができる。なお、このような点を考慮しなければ、エアバッグとして、突出膨張部を備えず、斜突用拘束面を、拘束用凹部を間にして、前突用拘束面と略面一に配置させるようにして、乗員保護部を構成しているものを、使用してもよい。
さらに、実施形態の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグ15(バッグ本体16)の内部に、前突用拘束面33の左右方向の略中央と、エアバッグ15の前端17a側と、を連結して、膨張完了時の前突用拘束面33の後方側への移動を抑制可能な前後テザー41が、膨張完了時に前後方向に略沿うように、配設される構成である。そのため、エアバッグ15の膨張初期に、前突用拘束面33が過度に後方に突出するように膨張することを、抑制でき、また、膨張完了時の前突用拘束面33の後方への移動を抑制できる。特に、実施形態では、凹部用テザー47と補助テザー53とが、前突用拘束面33(後側壁部26)に対する結合位置を、上下の略中央として、前後テザー41の前突用拘束面33(後側壁部26)に対する結合位置と左右で略一致させて構成されており、換言すれば、前突用拘束面33は、上下の略中央付近となる部位を、左縁33a側と右縁33b側と左右の中央の左右方向側で離れた三箇所において、凹部用テザー47と補助テザー53と前後テザー41とによって、牽引されることとなる。そのため、展開膨張時のエアバッグ15における前突用拘束面33(後側壁部26)の挙動を安定させることができ、迅速に、前突用拘束面33(後側壁部26)を、乗員の前方に配置させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、図11,12に示すエアバッグ15Aや、図16に示すエアバッグ15Cのように、内部に前後テザーを配置させない構成としてもよい。
図11,12に示すエアバッグ15Aは、前後テザーを備えない構成である以外は、前述のエアバッグ15と同様の構成であることから、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。このエアバッグ15Aでは、バッグ本体16Aは、図13,14に示すように、メインパネル75、左パネル61A、右パネル65A、及び、突出部用右パネル71A、の4枚の基布から構成されている。メインパネル75は、外形形状を、長手方向を前後方向に略沿わせた略帯状として構成されるもので、膨張完了時の本体膨張部17における上壁部18aから後側壁部26を経て、下壁部18bにかけての領域を、構成する部位である。実施形態の場合、メインパネル75は、詳細には図示しないが、短辺75a,75b相互を、後側壁部26Aと下壁部18bとの境界部位付近において、結合させるように、構成されている。メインパネル75の左縁75c側には、拘束用凹部35Aの右側壁38Aを構成する凹部用部位68Aが、部分的に突出するように、形成されている。また、メインパネル75の右縁75d側には、補助テザー53Aの後端を連結させる連結片部58Aを構成する連結タブ75eが、突出して形成されている。
図11,12に示すエアバッグ15Aは、前後テザーを備えない構成としていても、前突用拘束面33Aの左縁33a側と右縁33b側とを、それぞれ、拘束用凹部35Aを介した凹部用テザー47Aと、補助テザー53Aと、によって、それぞれ、エアバッグ15(本体膨張部17)の前端17a側に連結させる構成であることから、エアバッグ15Aの展開膨張時に、ケース12から車両後方側に向かって突出するエアバッグ15Aの前突用拘束面33A(後側壁部26A)の左縁33a側と右縁33b側とを、それぞれ、凹部用テザー47Aと補助テザー53Aとによって、後方に過度に突出することを支障なく規制でき、エアバッグ15Aを、左右でバランスよく膨張させることができる。
また、上記構成のエアバッグ15では、凹部用テザー47と補助テザー53とは、連結部50,56をガス流入口21の周縁に結合させることにより、バッグ本体16(本体膨張部17)の前端17a側に連結される構成であるが、図15に示すエアバッグ15Bのように、凹部用テザー78と補助テザー79とを、前端78a,79aを、前後テザー41Bの前側部位42Bと後側部位43Bとの縫着部位において、共縫いして、エアバッグ15Bの前端側に連結させる構成としてもよい。すなわち、このエアバッグ15Bでは、凹部用テザー78と補助テザー79とは、ガス流入口21Bの後側となる領域で、前後テザー41Bの前側部位42Bを介して、エアバッグ15Bの前端17a側に、連結されるもので、凹部用テザー78と補助テザー79とは、取付中心C付近(取付中心Cの後方となる位置)を中心として左右に延びるように、略左右対称形として配置される構成である。さらに、このように、凹部用テザーと補助テザーとの前端側を、ガス流入口の後側の位置に配置させる場合、図16に示すエアバッグ15Cのごとく、前後テザーを配設させず、ガス流入口21Cの周縁から延びる連結部材80の後端に、凹部用テザー78Cと補助テザー79Cとの前端78a,79aを、共縫いさせるようにして、エアバッグ15Cの前端側に連結させる構成としてもよい。
さらに、上記構成のエアバッグ15では、凹部用テザー47,補助テザー53を構成するテザー用基布49,55が、前後テザー41の前側部位42を構成する前側部位用基材44と別体として、それぞれ、ガス流入口21の周縁に連結されている構成であるが、図17に示すテザー用基布85のごとく、前後テザーの前側部位42Dと、凹部用テザー47Dの本体部51Dと、補助テザー53Dの本体部57Dと、を、ガス流入口21周縁に結合(縫着)される連結部86を共用化して、それぞれ、連結部86から延びるように、一体化させた構成のものを、使用してもよい。
なお、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、斜突用拘束面34と拘束用凹部35とを、前突用拘束面33の運転席DS側(車内側となる左側)に配置させていることから、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、助手席PSに着座した乗員MPの頭部MHが、左右方向の中央側でかつ前方となる斜め前方側に移動する場合に、乗員MPの頭部MHを的確に保護することができる。なお、実施形態では、エアバッグ15の乗員保護部32が、斜突用拘束面34と拘束用凹部35とを、前突用拘束面33の運転席DS側(左側)のみに配置させている構成とされているが、勿論、上記のような点を考慮しなければ、斜突用拘束面と拘束用凹部とを、運転席側には設けず、前突用拘束面の車外側となる右側のみに配置させる構成としてもよく、さらには、斜突用拘束面と拘束用凹部とを、前突用拘束面の左右両側に配置させる構成としてもよい。斜突用拘束面と拘束用凹部とを、前突用拘束面の左右両側に配置させる構成とする場合、補助テザーも拘束用凹部の凹みの先端側に連結されて、拘束用凹部を介して前突用拘束面の端縁側を牽引することとなる。
1…インストルメントパネル(インパネ)、4…ウィンドシールド、8…インフレーター、12…ケース(収納部位)、15,15A,15B,15C…エアバッグ、20…取付部、21…ガス流入口、26…後側壁部、29…突出膨張部、32,32A,32B,32C…乗員保護部、33…前突用拘束面、33a…左縁、33b…右縁、34…斜突用拘束面、35…拘束用凹部、41,41B,41D…前後テザー、47,47A,47D,78,78C…凹部用テザー(テザー)、53,53A,53D,79,79C…補助テザー、C…取付中心、MP…乗員、MP…頭部、PS…助手席、V…車両、M…助手席用エアバッグ装置。

Claims (3)

  1. 助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて車両後方側に向かって突出するように膨張し、前記乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える助手席用エアバッグ装置であって、
    前記エアバッグが、膨張完了時の前端側を前記収納部位に取り付けられるとともに、膨張完了時の後面側を、前記乗員を保護可能な乗員保護部として構成され、
    該乗員保護部が、
    車両の前突時に前進移動する前記乗員の頭部を保護可能な前突用拘束面と、
    前記車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する前記乗員の頭部を保護可能に、前記前突用拘束面の左右の少なくとも一方側に形成される斜突用拘束面と、
    を備える構成とされるとともに、
    前記前突用拘束面と前記斜突用拘束面との間に、前記乗員の頭部を進入させて拘束させるための拘束用凹部を、前方に凹ませるようにして、構成され、
    前記エアバッグの内部に、
    膨張完了時に、前後方向に対して傾斜して配置されて、前記拘束用凹部の凹みの先端側と、前記エアバッグの前端側と、を連結するテザーと、
    前記前突用拘束面における前記拘束用凹部から離れた左右方向側での端縁側と、前記エアバッグの前端側と、を連結する補助テザーと、
    を、備え、
    前記テザーと前記補助テザーとは、前記収納部位への取付中心付近を中心として、左右に延びるように、略左右対称として、配設されていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
  2. 前記斜突用拘束面が、前記前突用拘束面から後方に向かって突出するように、形成されていることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグの内部に、前記前突用拘束面の左右方向の略中央と、前記エアバッグの前端側と、を連結して、膨張完了時の前記前突用拘束面の後方側への移動を抑制可能な前後テザーが、膨張完了時に前後方向に略沿うように、配設される構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の助手席用エアバッグ装置。
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