JP6644241B2 - 高純度ビニレンカーボネート - Google Patents
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Description
ビニレンカーボネートは、リチウム二次電池用電解液の溶媒及び添加剤として有用である。
このため、粗ビニレンカーボネートの精製方法についても、今迄に幾つかの方法が提案されている。
また、クロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を高沸点溶媒中で行う方法については、高価な溶媒の回収が容易ではなく、工業的に満足できるものではない。
一方、融液晶析による方法については、高品質の製品を得ようとすれば、回収率を低くしなければならず、経済的に満足できるものではない。
できる方法を提供しようとするものである。
即ち、本発明の要旨は、純度99.5%以上であり、塩素化合物の含有量が全塩素量として500ppm以下であるビニレンカーボネート、にある。
本発明の対象となる粗ビニレンカーボネートについては、その製造方法が限定されるものではないが、不純物として塩素化合物を含むものが好ましく、例えば前述したクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応(M.S.Newman and R.W.Addor,J.Am.Chem.Soc.,75,1263(1953)、J.Am.Chem.Soc.,77,3789(1955))により得られたものが好ましい。
粗ビニレンカーボネートを溶解させる溶媒としては、極性溶媒及び/又は芳香族炭化水素溶媒、即ち、極性溶媒及び芳香族炭化水素溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒が用いられる。かかる溶媒は単独でも二種以上の混合物でもよい。なお、本発明でいう「溶解」とは、粗ビニレンカーボネートと上記溶媒とがエマルジョン様に懸濁状態にあるものをも包含する。
なお、粗ビニレンカーボネート中に含まれる塩素化合物とは、ビニレンカーボネートがクロロエチレンカーボネートの脱塩酸により製造された場合には、例えばクロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、クロロアセトアルデヒド、クロロエタノール、ジメトキシメチルクロライド、反応溶媒の塩素化物のような有機塩素化合物である。
また、芳香族炭化水素溶媒の具体例としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン、トルエン、キシレンが好ましく、トルエンが特に好ましい。
かかる溶媒の使用量については、特に限定はされないが、粗ビニレンカーボネートに対して、通常、0.5〜20重量倍、好ましくは0.7〜5重量倍、より好ましくは0.8〜3重量倍である。
ビニレンカーボネートの回収率は使用する溶媒に対する溶解度に依存し、温度、溶媒量で任意に設定することが出来るが、通常ビニレンカーボネートの回収率が60%以上、好ましくは80%以上になるように設定される。
このような方法により高純度のビニレンカーボネートを得ることができる。
なお、この方法でも充分な品質のビニレンカーボネートが得られるが、更に高品質なものが必要である場合には本発明の方法を繰り返して使用することが出来る。
なお、分析はガスクロマトグラフィーで実施した。純度は溶媒が残存している場合は溶媒をカットした数値を使用した。
純度=(ビニレンカーボネート面積)/(全面積−残留溶媒ピーク面積)
実施例1〜10
撹拌機能を備えた500mlの四つ口フラスコに、ビニレンカーボネート(VC)と溶媒を仕込み、撹拌しながら、1時間当り2℃の速度で冷却した。ある温度(温度A)まで冷却すると固体が析出するので、その温度で1時間撹拌した後、所定の温度(温度B)まで1時間当り2℃の速度で冷却し、更に1時間撹拌した。固体を濾別し、5℃のヘキサンで2回洗浄した後、加熱融解し、液体を回収した。以下の表1に結果を示した。
撹拌機能を備えた50mlの三つ口フラスコに、ビニレンカーボネート(純度99.24%、全塩素6270ppm)10g、溶媒10gを仕込み、撹拌しながら冷却したところ固体が析出した。5℃で1時間撹拌した後、撹拌を停止し、−5℃で12時間静置した。固体を濾別し、5℃のヘキサンで2回洗浄した後、加熱融解し、液体を回収した。結果を以下の表2に示した。
撹拌機能を備えた250L反応器に、ビニレンカーボネート(純度98.69%、全塩素3160ppm)40.0kgとトルエン40.0kg、ヘキサン40.0kgを仕込み撹拌しながら冷却した。14.7℃で種晶40gを添加し30分撹拌した後、14.3〜5℃で6時間撹拌し、更に4時間かけて4.0℃まで冷却した。固体を濾別し、5℃のヘキサン40kgで2回洗浄し、VCを固体で得た。回収率93.2%、純度99.94%、全塩素11ppm。
掻き取り翼付きの250L反応器に、ビニレンカーボネート(純度98.69%、全塩素3160ppm)50.0kgとトルエン50.0kg、ヘキサン50.0kgを仕込み撹拌しながら冷却した。14.7℃で種晶50gを添加し30分撹拌した後、2.5時間かけて4.0℃まで冷却した。固体を濾別し、5℃のヘキサン50kgで2回洗浄し、VCを固体で得た。回収率93.3%、純度99.94%、全塩素15ppm。
ビニレンカーボネート100g(純度99.24%、全塩素6270ppm)を4段の蒸留塔を使用し、還流比5〜10で2回精密蒸留した。収率69%、純度99.80%、全塩素量530ppm。
Claims (7)
- 純度95%以上であり、塩素化合物を含む粗ビニレンカーボネートと、前記粗ビニレンカーボネートに対して0.5〜2重量倍の量の芳香族炭化水素溶媒とを含む、精製されたリチウム二次電池用電解液用ビニレンカーボネートを製造するための組成物であって、
0〜20℃の温度まで冷却し、その温度で1〜2時間撹拌する工程A、及び
工程Aの後、更に温度を5〜15℃低い温度まで、0.1〜10℃/時の速度で下げ、その温度で1〜2時間撹拌する工程B
を含む晶析に供される組成物。 - 前記粗ビニレンカーボネートの塩素化合物の含有量が全塩素量として2880〜6270ppmである、請求項1に記載の組成物。
- 前記粗ビニレンカーボネートの純度が98.24〜98.69%である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記芳香族炭化水素溶媒がトルエンである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記粗ビニレンカーボネートに対して0.1〜1重量倍の量の前記芳香族炭化水素溶媒以外の非極性溶媒を更に含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記非極性溶媒がヘキサン及び/又はヘプタンである、請求項5に記載の組成物。
- 前記精製されたリチウム二次電池用電解液用ビニレンカーボネートは、純度99.9%以上であり、塩素化合物の含有量が全塩素量として15ppm以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組成物。
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