JP5457647B2 - 高純度ビニレンカーボネート - Google Patents
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Description
ビニレンカーボネートは、リチウム二次電池用電解液の溶媒及び添加剤として有用である。
このため、粗ビニレンカーボネートの精製方法についても、今迄に幾つかの方法が提案されている。
また、クロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を高沸点溶媒中で行う方法については、高価な溶媒の回収が容易ではなく、工業的に満足できるものではない。
一方、融液晶析による方法については、高品質の製品を得ようとすれば、回収率を低くしなければならず、経済的に満足できるものではない。
できる方法を提供しようとするものである。
即ち、本発明の要旨は、純度99.5%以上であり、塩素化合物の含有量が全塩素量として500ppm以下であるビニレンカーボネート、にある。
本発明の対象となる粗ビニレンカーボネートについては、その製造方法が限定されるものではないが、不純物として塩素化合物を含むものが好ましく、例えば前述したクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応(M.S.Newman and R.W.Addor,J.Am.Chem.Soc.,75,1263(1953)、J.Am.Chem.Soc.,77,3789(1955))により得られたものが好ましい。
粗ビニレンカーボネートを溶解させる溶媒としては、極性溶媒及び/又は芳香族炭化水素溶媒、即ち、極性溶媒及び芳香族炭化水素溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒が用いられる。かかる溶媒は単独でも二種以上の混合物でもよい。なお、本発明でいう「溶解」とは、粗ビニレンカーボネートと上記溶媒とがエマルジョン様に懸濁状態にあるものをも包含する。
なお、粗ビニレンカーボネート中に含まれる塩素化合物とは、ビニレンカーボネートがクロロエチレンカーボネートの脱塩酸により製造された場合には、例えばクロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、クロロアセトアルデヒド、クロロエタノール、ジメトキシメチルクロライド、反応溶媒の塩素化物のような有機塩素化合物である。
t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘキサノール、4−メチル−4−ヘキサノール、2−メチル−4−ヘキサノール、4−メチル−2−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、レゾルシノール、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、1−フェニル−2−ブタノール、3−フェニル−1−ブタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、グリセロール等のアルコール類;エタノールアミン、プロパノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、t−ブチルアミン、1,2−エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,2−エチレンジアミン、ジ(n−ブチル)アミン、トリブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、N,N−ジメチルトルイジン等のアミン類;アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキサナール、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;ブタノン、アセトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸ブチル等のカルボン酸エステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類;フラン、ピロール、ピリジン、チオフェン等のヘテロ芳香族化合物;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボキシアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、プロモベンゼン等のハロ芳香族化合物;臭化エチル、塩化エチル、フッ化エチル、臭化ブチル、塩化ブチル、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル化合物;ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、1−ニトロブタン、2−ニトロブタン、ニトロベンゼン、2−ニトロトルエン、3−ニトロトルエン等のニトロ化合物が挙げられる。
また、芳香族炭化水素溶媒の具体例としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。これらの中、ベンゼン、トルエン、キシレンが好ましく、トルエンが特に好ましい。
かかる溶媒の使用量については、特に限定はされないが、粗ビニレンカーボネートに対して、通常、0.5〜20重量倍、好ましくは0.7〜5重量倍、より好ましくは0.8〜3重量倍である。
脂肪族炭化水素のようなビニレンカーボネートの溶解度の小さい溶媒を添加するとか、液体又は固体のビニレンカーボネートを添加する等して局所的な濃度分布を作るとか、或いは種晶等を加えることも好ましい。
ビニレンカーボネートの回収率は使用する溶媒に対する溶解度に依存し、温度、溶媒量で任意に設定することが出来るが、通常ビニレンカーボネートの回収率が60%以上、好ましくは80%以上になるように設定される。
このような方法により高純度のビニレンカーボネートを得ることができる。
なお、この方法でも充分な品質のビニレンカーボネートが得られるが、更に高品質なものが必要である場合には本発明の方法を繰り返して使用することが出来る。
なお、分析はガスクロマトグラフィーで実施した。純度は溶媒が残存している場合は溶媒をカットした数値を使用した。
純度=(ビニレンカーボネート面積)/(全面積−残留溶媒ピーク面積)
参考例1〜9、実施例1
撹拌機能を備えた500mlの四つ口フラスコに、ビニレンカーボネート(VC)と溶媒を仕込み、撹拌しながら、1時間当り2℃の速度で冷却した。ある温度(温度A)まで冷却すると固体が析出するので、その温度で1時間撹拌した後、所定の温度(温度B)まで1時間当り2℃の速度で冷却し、更に1時間撹拌した。固体を濾別し、5℃のヘキサンで2回洗浄した後、加熱融解し、液体を回収した。以下の表1に結果を示した。
撹拌機能を備えた50mlの三つ口フラスコに、ビニレンカーボネート(純度99.24%、全塩素6270ppm)10g、溶媒10gを仕込み、撹拌しながら冷却したところ固体が析出した。5℃で1時間撹拌した後、撹拌を停止し、−5℃で12時間静置した。固体を濾別し、5℃のヘキサンで2回洗浄した後、加熱融解し、液体を回収した。結果を以下の表2に示した。
撹拌機能を備えた250L反応器に、ビニレンカーボネート(純度98.69%、全塩素3160ppm)40.0kgとトルエン40.0kg、ヘキサン40.0kgを仕込み撹拌しながら冷却した。14.7℃で種晶40gを添加し30分撹拌した後、14.3〜5℃で6時間撹拌し、更に4時間かけて4.0℃まで冷却した。固体を濾別し、5℃のヘキサン40kgで2回洗浄し、VCを固体で得た。回収率93.2%、純度99.94%、全塩素11ppm。
掻き取り翼付きの250L反応器に、ビニレンカーボネート(純度98.69%、全塩素3160ppm)50.0kgとトルエン50.0kg、ヘキサン50.0kgを仕込み撹拌しながら冷却した。14.7℃で種晶50gを添加し30分撹拌した後、2.5時間かけて4.0℃まで冷却した。固体を濾別し、5℃のヘキサン50kgで2回洗浄し、VCを固体で得た。回収率93.3%、純度99.94%、全塩素15ppm。
ビニレンカーボネート100g(純度99.24%、全塩素6270ppm)を4段の蒸留塔を使用し、還流比5〜10で2回精密蒸留した。収率69%、純度99.80%、全塩素量530ppm。
Claims (3)
- 塩素化合物を含む粗ビニレンカーボネートを用いて得られるビニレンカーボネートであって、純度99.9%以上であり、塩素化合物の含有量が全塩素量として15ppm以下であることを特徴とするビニレンカーボネート。
- 請求項1に記載のビニレンカーボネートを含有するリチウム二次電池用電解液。
- 請求項2に記載のリチウム二次電池用電解液を用いたリチウム二次電池。
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