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JP6191337B2 - 記録装置及び記録方法 - Google Patents

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JP6191337B2 JP2013179107A JP2013179107A JP6191337B2 JP 6191337 B2 JP6191337 B2 JP 6191337B2 JP 2013179107 A JP2013179107 A JP 2013179107A JP 2013179107 A JP2013179107 A JP 2013179107A JP 6191337 B2 JP6191337 B2 JP 6191337B2
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Description

本発明は、記録装置及び記録方法に関する。
従来から、第1層の上に液体を用いて第2層を形成する記録装置が使用されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、第1層形成用のホワイトインクと第2層形成用のカラーインクとを用いて記録可能な記録装置が開示されている。
また、特許文献3には、布帛に記録可能な記録装置であって、前処理、ホワイトインクでの第1層形成、カラーインクでの第2層形成が可能な記録装置が開示されている。
特開2009−55600号公報 特開2009−29079号公報 特開2008−75215号公報
このような、第1層の上に液体を用いて第2層を形成する従来の記録装置においては、第2層形成用のカラーインクが定着する際に、該カラーインクで構成される第2層が割れ、下地層である第1層が第2層の割れ目から見えてしまい画像品質が低下する場合があった。
なお、上記特許文献1から3には、第2層が割れて下地層である第1層が第2層の割れ目から見えてしまい画像品質が低下するという課題に関する記載及び示唆はなく、この課題を解決できる構成にはなっていない。
そこで、本発明の目的は、第1層の上に液体を用いて第2層を形成する場合において、前記液体が定着する際に前記第2層が割れることを抑制することである。
上記課題を解決するための本発明の第1の記録方法は、第1液体を用いて第1層を被記
録媒体に形成する第1層形成工程と、第2液体を用いて前記第1層の少なくとも一部に重
ねて第2層を形成する第2層形成工程と、を有し、前記第1層のうち前記第2層が重なる
部分の前記第1液体の単位面積当たりの量、該部分に前記第2層形成工程において重ね
られる前記第2液体の単位面積当たりの量に応じて決める決定工程を有することを特徴とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、前記第2層の割れには、前記第1液体の単位面積当た
りの量と前記第2液体の単位面積当たりの量とが関係していることがわかった。したがっ
て、前記第1層のうち前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量
該部分に前記第2層形成工程において重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量に応
じて決める決定工程を有することで、前記第2層の割れを低減させることができるということがわかった。
本態様によれば、前記第2層形成工程において重ねられる前記第2液体の単位面積当た
りの量に応じて、前記第1層のうち前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当
たりの量を決定することができる。このため、前記第2層の割れを低減させることができ
る。
また、単位面積の一例としてmg/inch2やmg/cm2を用いることができる。
本発明の第2の態様の記録方法は、前記第1の態様において、前記部分が、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が第1の量である第1領域と、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が前記第1の量よりも少ない第2領域と、を有する場合、前記第1領域の前記第1液体の単位面積当たりの量は、前記第2領域の前記第1液体の単位面積当たりの量以下に決められていることを特徴とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、前記第2層形成工程において重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が多い場合、前記第1層のうち前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を多くすると前記第2層が割れやすいということが分かった。
本態様によれば、前記第1領域の前記第1液体の単位面積当たりの量は、前記第2領域の前記第1液体の単位面積当たりの量以下に決められている。すなわち、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が多い部分を、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が少ない部分よりも、前記第1液体の単位面積当たりの量を同等以下にする。このため、前記第2層全体にわたり該第2層が割れることを効果的に抑制することができる。
本発明の第3の態様の記録方法は、前記第1又は第2の態様において、前記第1層のうち、前記第2液体が重ねられない部分の前記第1液体の単位面積当たりの量は、前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量以上に決められていることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1層のうち、前記第2液体が重ねられない部分の前記第1液体の単位面積当たりの量は、前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量以上に決められている。このため、前記第2層が割れることを効果的に抑制するとともに、前記第2液体が重ねられない部分において前記第1層に求められる効果を高く発揮できる。
本発明の第4の態様の記録方法は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記第1層のうち、前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量は60mg/inch以下に決められていることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1層のうち、前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量は60mg/inch以下に決められている。このため、前記第2層が割れることを効果的に抑制することができる。
本発明の第5の態様の記録方法は、前記第1から第4のいずれか1つの態様において、前記被記録媒体は布帛であることを特徴とする。
前記被記録媒体が布帛である場合、前記第2層は割れやすいが、本態様によれば、前記被記録媒体が布帛であっても、前記第2層が割れることを抑制することができる。
本発明の第6の態様の記録方法は、前記第1から第5のいずれか1つの態様において、前記第2層を形成する前記第2液体を定着させる定着工程を有し、前記定着工程は接触式加熱装置を用いて前記被記録媒体を加熱する工程であることを特徴とする。
ここで、「接触式加熱装置」とは、前記被記録媒体と接触して前記被記録媒体を加熱する装置を意味し、その構造は特に限定されない。
接触式加熱装置を用いて被記録媒体を加熱して前記第2液体を定着させる場合、前記第2層は割れやすいが、本態様によれば、前記定着工程に前記接触式加熱装置を用いても、前記第2層が割れることを抑制することができる。
本発明の第7の態様の記録方法は、前記第1から第6のいずれか1つの態様において、前記第1液体は、水とグリセリンとホワイト顔料とを含有することを特徴とする。
前記第1液体が水とグリセリンとホワイト顔料とを含有する液体である場合、前記第2層は割れやすいが、本態様によれば、前記第1液体が水とグリセリンとホワイト顔料とを含有する液体であっても、前記第2層が割れることを抑制することができる。
本発明の第8の態様の記録方法は、前記第1から第7のいずれか1つの態様において、前記第1層形成工程の前に、前記被記録媒体に対する前処理工程を行うことを特徴とする。
ここで、「前処理」とは、前記被記録媒体に対して前記第1層を形成する前に行う処理であれば特に限定されない。例えば、被記録媒体が布帛である場合の下地処理剤の塗布等が挙げられる。
本態様によれば、前記第1層形成工程の前に前記被記録媒体に対する前処理工程を行う場合であっても、前記第2層が割れることを抑制することができる。
本発明の第9の態様の記録装置は、第1液体を用いて第1層を被記録媒体に形成する第1層形成部と、第2液体を用いて前記第1層の少なくとも一部に重ねて第2層を形成する第2層形成部と、前記第1層のうち、前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を、前記部分に重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量に応じて決める決定部と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1層のうち前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を前記部分に重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量に応じて決める決定部を備える。このため、例えば、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が多い場合、前記部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を少なくすることができる。すなわち、前記第2液体が定着する際に前記第2層が割れることを抑制することができる。一方、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が少ない場合、前記第1層に求められる効果を高く発揮できるよう、前記部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を多くすることができる。
本発明の一実施例に係る記録装置を表す概略斜視図。 本発明の一実施例に係る記録装置のブロック図。 第1液体を用いて記録する記録画像を表す図。 第2液体を用いて記録する記録画像を表す図。 第1液体を用いて図3の記録画像を記録した後に第2液体を用いて図4の記録画像を記録した状態を表す図。 Duty確認工程で選択した、第2液体のDutyに対する第1液体のDutyをプロットした図。 本発明の記録方法の一実施例に係るフローチャート。
以下に、本発明の実施例に係る記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
下記の実施例では、記録装置として記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置を用いて説明しているが、本発明はインクジェット記録装置に限定されるわけではない。例えば、本発明は転写式の記録装置なども含む。
また、本発明の記録装置は、記録ヘッドに対して被記録媒体の支持部(媒体支持部)を移動する構成である。ただし、本発明の記録装置には媒体支持部を移動させずに、該媒体支持部に対して記録ヘッドを移動させて記録する構成のものも含まれる。更に、記録ヘッドと媒体支持部の両者を移動する構成のものも含まれる。
また、下記の実施例ではいずれも被記録媒体として布帛であるTシャツを用いて説明しているが、本発明で使用可能な被記録媒体はTシャツに限定されず布帛に限定されるわけでもない。
[記録装置の実施例](図1、図2)
図1は、本発明の一実施例に係る記録装置の概略斜視図である。
本実施例の記録装置1は、図1に示すように、媒体支持部4を備えている。搬送部3は、搬送方向Aに媒体支持部4を移動することにより、被記録媒体を搬送する。
装置本体2には、記録ヘッド6が備えられている。記録装置1は、キャリッジ5を介して搬送方向Aと交差する走査方向Bに記録ヘッド6を往復移動させながら、記録ヘッド6のインク吐出面Fから被記録媒体にインクを吐出させて所望の画像を形成する。
ここで、本実施例の記録装置1は、第1液体としてのホワイトインクと、第2液体としてのカラーインク(ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインク)と、を用いて記録可能である。そして、ホワイトインクを用いて第1層を被記録媒体に形成する第1層形成工程を行った後に、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを用いて前記第1層の少なくとも一部に重ねて第2層を形成する第2層形成工程を行うことが可能である。
ただし、このような構成に限定されず、例えば、第1液体としてメタリックインクを用いることができ、第2液体としてその他の色のインクを用いることができる。
次に、本実施例の記録装置1における電気的な構成について説明する。
図2は、本実施例の記録装置1のブロック図である。
制御部10には、記録装置1の全体の制御を司るCPU7が設けられている。CPU7は、システムバス8を介して、CPU7が実行する各種制御プログラムやメンテナンスシーケンス等を格納したROM9と、データを一時的に格納可能なRAM11と、不揮発性メモリーであるEEPROM12と、に接続されている。
また、CPU7は、システムバス8を介して、記録ヘッド6を駆動するためのヘッド駆動部13と接続されている。
また、CPU7は、システムバス8を介して、キャリッジ5を移動させるためのキャリッジモーター14及び被記録媒体を搬送するために搬送部3に設けられた搬送モーター15を駆動させるためのモーター駆動部16と接続されている。
さらに、CPU7は、システムバス8を介して、記録データ等をPC17等の外部装置から入力する等のための入出力部18と接続されている。
上記のように、本実施例の記録装置1は、ホワイトインクを用いて第1層を被記録媒体に形成した後に、カラーインクを用いて前記第1層の少なくとも一部に重ねて第2層を形成することが可能である。
そして、前記第1層のうち前記第2層が重なる部分のホワイトインクの単位面積当たりの量を、前記部分に重ねられるカラーインクの単位面積当たりの量に応じて決めることが可能な構成になっている。制御部10は、この決められたホワイトインクの単位面積当たりの量になるように、該ホワイトインクを用いて記録を行う際の制御をする。
本実施例の記録装置1は、被記録媒体として布帛を使用することができる。
被記録媒体として布帛を使用する場合、前記第2層は割れやすいが、本実施例の記録装置1によれば、被記録媒体として布帛を使用した場合であっても、前記第2層が割れることを抑制することができる。
本実施例の記録装置1を用いて前記第1層及び前記第2層の記録を行った後、前記第2層を形成するカラーインクを定着させる定着工程を行うことができる。この定着工程として、接触式加熱装置を用いて前記被記録媒体を加熱することができる。
ここで、「接触式加熱装置」とは、前記被記録媒体と接触して前記被記録媒体を加熱する装置を意味し、その構造は特に限定されない。
接触式加熱装置を用いて被記録媒体を加熱してカラーインクを定着させる場合、前記第2層は割れやすいが、本実施例の記録装置1によれば、前記定着工程に前記接触式加熱装置を用いても、前記第2層が割れることを抑制することができる。
本実施例の第1液体としてのホワイトインクは、水とグリセリンとホワイト顔料とを含有する。
前記第1液体が水とグリセリンとホワイト顔料とを含有する液体である場合、前記第2層は割れやすいが、本実施例の記録装置1によれば、前記第1液体が水とグリセリンとホワイト顔料とを含有する液体であっても、前記第2層が割れることを抑制することができる。
なお、第1液体及び第2液体についての好ましい実施例を以下に詳細に説明する。
1.1.第1液体
第1液体は、顔料と樹脂とを含有していてもよい。
第1液体は、カラーインク等の第2液体を付着させるための下地層を形成するために好ましく用いることができる。例えば、第2液体と被記録媒体としての布帛の色相が近い場合や、明度の低い布帛(例えば黒色や濃紺の布帛)を用いる場合には、第2液体からなる画像を布帛に形成しても、画像が認識しにくい場合がある。このような場合に、第2液体と色相の異なる第1液体を用いて、布帛に第1液体からなる下地層を形成することで、下地層の上に形成される第2液体からなる画像の視認性を向上できる。上記の点で、第1液体と第2液体は、互いに色相あるいは明度が異なる液体が好ましい。例えば、第2液体として、カラー顔料を含有するカラーインク(イエローインク、マゼンタインク、シアンインク等)や、ブラック顔料を含有するブラックインクを使用する場合、布帛が黒色であると、第2液体からなる画像が認識しにくくなる。そうした場合に、例えば、ホワイト顔料を含む第1液体からなる画像(下地層:第1層)を布帛に形成しておくことで、第2液体からなる画像(第2層)の視認性を高めることができる。
あるいは、下地層は、第2液体からなる画像の密着性や発色性などを向上させるために形成するものであってもよい。このとき、下地層の形成に用いられる第1液体は、色材を含まないか少量(液体中の0.1質量%以下)しか含まず、クリアインクと呼ばれるものであってもよく、この場合、第1液体と第2液体とがお互いに色相あるいは明度が異なる液体でなくてもよい。
本発明において、「色相が異なる」とは、CIELAB色空間において定義される色相角h°が30°以上である場合をいう。
また、「明度の低い布帛」とは、CIELAB色空間において定義されるL値(明度)が50以下である布帛のことをいう。なお、L値は、例えばGretag Macbeth Spectrolino(商品名、X−RITE社製)等に準ずる測色機を用いて測定できる。
具体的には、インク(液体)同士の色相あるいは明度が異なるとは、白色の被記録媒体(エプソン社製写真用紙<光沢>)にDuty100%でインクを記録したパターン(被記録媒体の地が全てインクで覆われているパターン)を上記方法で測定した場合の色相あるいは明度を言う。また、インクの色名が異なる場合も、インク同士の色相あるいは明度が異なる場合に相当する。なお、本明細書におけるDutyとは、被記録媒体の単位面積当たりに吐出するインク量であり、本実施例におけるDuty100%とは、通常の記録モードで被記録媒体の単位面積を覆うことができるインク量を意味している。
ここで、CIELAB色空間とは、国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage:略称CIE)が1976年に推奨した近似的な均等色空間のことであり、同委員会では、これをCIE1976(L
)と呼ぶものである。
以下、第1液体に好ましく含まれる成分について、詳細に説明する。
1.1.1.顔料
第1液体に含まれる顔料は、有機顔料および無機顔料のいずれも使用することができる。第1液体に含まれる顔料は、上述した第2液体と色相が異なるように選択されるのであれば、白色系の顔料、白色系の顔料以外の顔料のいずれの色の顔料も用いることができる。
このように、第1液体には、いずれの色の顔料を使用してもよいが、本実施例の記録装置1が明度の低い布帛に対して記録する場合には、第1液体には白色系の顔料を用いることが好ましい。これにより、第1液体により記録される画像上に形成される第2液体からなる画像の視認性が高くなるためである。
白色系の顔料としては、以下に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、及び酸化ジルコニウム等の白色無機顔料が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、中空樹脂粒子及び高分子粒子などの白色有機顔料を使用することもできる。
白色系の顔料のカラーインデックス(C.I.)としては、以下に限定されないが、例えば、C.I.Pigment White 1(塩基性炭酸鉛)、4(酸化亜鉛)、5(硫化亜鉛と硫酸バリウムの混合物)、6(酸化チタン)、6:1(他の金属酸化物を含有する酸化チタン)、7(硫化亜鉛)、18(炭酸カルシウム)、19(クレー)、20(雲母チタン)、21(硫酸バリウム)、22(天然硫酸バリウム)、23(グロスホワイト)、24(アルミナホワイト)、25(石膏)、26(酸化マグネシウム・酸化ケイ素)、27(シリカ)、28(無水ケイ酸カルシウム)などが挙げられる。これらの中でも、発色性、隠蔽性、及び視認性(明度)に優れ、かつ、良好な分散粒径が得られるため、酸化チタンが好ましい。
上記酸化チタンの中でも、白色系の顔料として一般的なルチル型の酸化チタンが好ましい。このルチル型の酸化チタンは、自ら製造したものであってもよく、市販されているものであってもよい。ルチル型の酸化チタン(粉末状)を自ら製造する場合の工業的製造方法として、従来公知の硫酸法及び塩素法が挙げられる。ルチル型の酸化チタンの市販品としては、例えば、Tipaque(登録商標) CR−60−2、CR−67、R−980、R−780、R−850、R−980、R−630、R−670、PF−736等のルチル型(以上、石原産業社製、商品名)が挙げられる。
酸化チタンの50%平均粒子径(以下、「D50」ともいう。)は、50nm以上500nm以下であることが好ましく、150nm以上350nm以下であることがより好ましい。D50が上記の範囲内にあると、インクの耐擦性に優れ、また、記録された画像の視認性を優れたものとすることも可能であるので、高画質の画像を形成することができる。
ここで、本明細書における「酸化チタンの50%平均粒子径」は、インクを調製する前における酸化チタンのD50でなく、インク中に存在する酸化チタンのD50を意味する。また、本明細書における「50%平均粒子径」とは、動的光散乱法による球換算50%平均粒子径を意味し、以下のようにして得られる値である。
分散媒中の粒子に光を照射し、この分散媒の前方・側方・後方に配置された検出器によって、発生する回折散乱光を測定する。得られた測定値を利用して、本来は不定形である粒子を、球形であると仮定し、当該粒子の体積と等しい球に換算された粒子集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その際の累積値が50%となる点を、「動的光散乱法による球換算50%平均粒子径(D50)」とする。
白色系の顔料として酸化チタンを使用する場合は、光触媒作用を抑制するために、アルミナシリカで表面処理されたものが好ましい。その際の表面処理量(アルミナシリカの量)は、表面処理されたホワイト顔料の総質量(100質量%)に対して、5〜
20質量%程度であるとよい。
白色系の顔料以外の顔料とは、上述した白色系の顔料を除く顔料のことをいう。白色系の顔料以外の顔料としては、以下に限定されないが、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、及びニトロソ系などの有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等)、コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、及びニッケル等の金属類、金属酸化物及び硫化物、並びにファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、さらには黄土、群青、及び紺青等の無機顔料を用いることができる。
更に詳しくは、ブラック系の顔料として使用できるカーボンブラックとしては、例えば、MCF88、No.2300、2200B、900、33、40、45、52、MA7、8、100等(以上、三菱化学社製、商品名)、Raven 5750、5250、5000、3500、1255、700等(以上、コロンビアカーボン社製、商品名)、Rega1 400R、330R、660R、Mogul L、Monarch 700、800、880、900、1000、1100、1300、1400等(以上、キャボット社製、商品名)、Color Black FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、Printex 35、U、V、140U、Special Black 6、5、4A、4等(以上、デグッサ社製、商品名)等が挙げられる。
イエロー系の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
マゼンタ系の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、C.I.ピグメントバイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
シアン系の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66等が挙げられる。
マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7、10、C.I.ピグメント
ブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメント オレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
以上述べた顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1液体に含まれる顔料の含有量は、使用する顔料種により異なるものの良好な発色性を確保することなどから、第1液体の全質量に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上12質量%以下がさらに好ましい。中でも、第1液体に含まれる顔料として酸化チタンを用いる場合には、酸化チタンの含有量は、沈降し難いとともに、(特に明度の低い布帛上での)隠蔽性及び色再現性に優れるため、第1液体の全質量に対して、3質量%以上25質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
顔料は、インク中での分散性を高めるという観点から、表面処理を施した顔料であってもよいし、分散剤等を利用した顔料であってもよい。
表面処理を施した顔料とは、物理的処理または化学的処理によって顔料表面に親水性基(カルボキシル基、スルホン酸基等)を、直接または間接的に結合させて水性溶媒中に分散可能としたものである(以下、「自己分散型の顔料」ともいう。)。
また、分散剤を利用した顔料とは、界面活性剤や樹脂により顔料を分散させたものであり(以下、「ポリマー分散型顔料」ともいう。)、界面活性剤や樹脂としてはいずれも公知の物質を使用することが可能である。また、「ポリマー分散型顔料」の中には、樹脂により被覆された顔料も含まれる。樹脂により被覆された顔料は、酸析法、転相乳化法、及びミニエマルション重合法などにより得ることができる。
1.1.2.樹脂
第1液体は、樹脂を含有する。樹脂を含有することにより、第1液体と布帛の密着性を向上できるので、第1液体により形成される画像の耐擦性を向上できる。
本実施例の記録装置1は、布帛のような伸縮しやすい記録媒体に対する記録に用いられることが多い。このことから、記録される画像(すなわちインクにより形成されるインク膜)が伸縮しやすい(伸張しやすい)ものであることが好ましい。すなわち、インク膜が布帛の伸縮に追随して伸縮できる伸度を有することにより、インク膜の破断、ひび割れを防ぎ、洗濯・摩擦堅牢度を確保することができる。こうした観点から、第1液体に含まれる樹脂の皮膜伸度は、400%以上1200%以下であることが好ましく、500%以上1200%以下であることがより好ましく、600%以上1200%以下であることがさらに好ましく、700%以上1200%以下であることが特に好ましい。樹脂の皮膜伸度が上記範囲内、とりわけ下限を下回らずにあることで、布帛の伸縮に対して追従性の良好な画像を形成できる。また、樹脂の皮膜伸度が上記範囲内、とりわけ上限を超えずにあることで、インク膜の粘性を適度な範囲に保ち、布帛に対するアンカー効果の低下を抑制できるので、定着性の低下を抑制しつつ、洗濯・摩擦堅牢度(耐擦性)にも良好な画像を形成できる。
ここで、樹脂の皮膜伸度は、次のようにして測定したものである。まず、乾燥後の膜厚が500μmになるように、ポリテトラフルオロエチレンシート上に樹脂を塗布し、常温(20℃)・常圧(65%RH)で15時間乾燥し、さらに80℃で6時間、および120℃で20分の乾燥を行った後、シートから剥離して、樹脂フィルムを作成する。そして、引っ張り試験機を用いて、測定温度20℃、測定スピード200mm/minの条件で、得られた樹脂フィルムの皮膜伸度を測定する。皮膜伸度の測定は、樹脂フィルムを伸長させて樹脂フィルムが破断するまでに伸長する長さを測定し、その割合をパーセントで皮膜伸度として表す。なお、引っ張り試験機としては、例えば、テンシロン万能試験機RTC−
1225A(商品名、(株)オリエンテック製)や、これに準ずるものを使用できる。
また、第1液体に含まれる樹脂は、インク膜の破断、ひび割れを防ぎ、洗濯・摩擦堅牢度を確保することができる点で、ガラス転移点(Tg)が、0℃以下が好ましく、−10℃以下がより好ましい。また、ガラス転移点(Tg)の下限は、−80℃以上が好ましい。また、第1液体に含まれる樹脂は、インク膜の破断、ひび割れを防ぎ、洗濯・摩擦堅牢度を確保することができる点で、最低像膜温度(MFT)が、0℃以下が好ましく、−10℃以下がより好ましい。また、最低像膜温度の下限は、−80℃以上が好ましい。
第1液体に含まれる樹脂は、皮膜の耐擦性、密着性、第1液体の保存安定性を向上できる等の観点から、エマルジョンであることが好ましい。第1液体に含まれる樹脂は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよいが、例えば前処理液と第1液体との反応を阻害しにくくするという観点から、乳化剤を含まない自己乳化型分散体(自己乳化型のエマルジョン)であることが好ましい。
樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これらの中でも、設計の自由度が高く、それゆえ所望の皮膜物性(上記の皮膜伸度)を得やすいことから、ウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、ウレタン系樹脂を用いることがより好ましい。
ウレタン系樹脂としては、ウレタン骨格を有し水分散性を有するものであれば特に限定はされず、例えば、スーパーフレックス 460、460s、840(商品名、第一工業製薬株式会社製)、レザミン D−1060、D−2020、D−4080、D−4200、D−6300、D−6455(商品名、大日精化工業株式会社製)、タケラック WS−6021、W−512−A−6(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、サンキュアー2710(商品名、LUBRIZOL社製)、などの市販品を用いてもよい。
また、ウレタン系樹脂は、記録ヘッド6への材質適合性の観点や、後述する前処理剤に多価金属化合物を含む場合にこれとの反応性を向上させるという観点から、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等のアニオン性の官能基を有する、アニオン性のウレタン系樹脂であることが好ましい。上述の市販品のうち、アニオン性のウレタン樹脂としては、第一工業製薬(株)製のスーパーフレックス460、460s、840等;三井化学ポリウレタン(株)製のタケラックWS−6021、W−512−A−6等が挙げられる。
また、ウレタン樹脂としては、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂、などを使用でき好ましい。これらのウレタン樹脂は、複数種を組み合わせて使用することができる。
アクリル系樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸エステルなどのアクリル系単量体の重合体や、アクリル系単量体と他の単量体との共重合体などが使用可能であり、他の単量体としてはスチレンなどのビニル系単量体があげられる。アクリル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えばモビニール702、7502、7525、7320(日本合成化学株式会社製)などがあげられる。
第1液体中における樹脂の含有量は、第1液体の全質量に対して、固形分換算で、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。第1液体中における樹脂の含有量が上記範囲内、とりわけ下限を下回らずにあることで、樹脂がインクの定着性を向上させる効果を十分に発揮できるので、記録される画像の耐擦性が向上する。また、上限を超えずにあることで、樹脂に起因する凝集物の発生が抑制できるので、インクの保存安定性や吐出安定性が優れたものとなる。
1.1.3.その他の成分
第1液体は、水、有機溶剤、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤・防かび剤等を含有してもよい。
<水>
水は、インクの主となる媒体であり、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。第1液体に含まれる水の含有量としては、特に限定されるものではないが、第1液体の全質量に対して、例えば50質量%以上であることができ、さらには50質量%以上95質量%以下であることができる。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、例えば、1,2−
アルカンジオール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、布帛等の記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れているため、滲みの少ない画像を記録できる。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量は、第1液体の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることができる。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−
ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類は、ヘッドのノズル面におけるインクの乾燥固化を抑制して目詰まりや吐出不良等を低減できるという観点から好ましく用いることができる。多価アルコール類を含有する場合には、その含有量が、第1液体の全質量に対して、2質量%以上20質量%以下であることができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルや、アルキレングリコールジエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
グリコールエーテル類は、記録媒体に対するインクの濡れ性や浸透速度を制御できるため、鮮明な画像を記録することができる。グリコールエーテル類を含有する場合には、第1液体全質量に対して、0.05質量%以上6質量%以下であることができる。
<界面活性剤>
界面活性剤は、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals.Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
<防腐剤・防かび剤>
防腐剤・防かび剤としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。
<その他>
第1液体を用いて下地層である第1層を形成する前に、第1層を形成する布帛の領域に、多価金属化合物を含有する前処理剤を付与する場合がある。このように前処理剤を付与しておくと、第1液体を布帛に付着させた際に、前処理剤に含まれる多価金属化合物と第1液体に含まれる樹脂や顔料が反応することで、第1液体に含まれるこれら成分を凝集させ凝集体とすることができる。これにより、第1液体からなる第1層(下地層)の被記録媒体上での発色性が向上して、布帛を良好に隠蔽することができる。
一方、後述する第2液体に含まれる特定の乳化剤(一般式(1)で表されるアニオン性乳化剤、および、HLB値が12以上の一般式(2)で表されるノニオン性乳化剤)が第1液体に所定量以上含まれていると、これらの乳化剤が前処理剤に含まれる多価金属化合物と第1液体に含まれる樹脂や顔料との反応を阻害してしまうことがある。その結果、凝集体の生成が阻害され布帛に顔料が浸透してしまい布帛の隠蔽性が著しく低下する傾向にある。
このような観点から、第1液体には、第2液体に含まれる特定の乳化剤(一般式(1)で表されるアニオン性乳化剤、および、HLB値が12以上の一般式(2)で表されるノニオン性乳化剤)の含有量が所定量未満であることが好ましい。
なお、特定の乳化剤の含有量が所定量未満とは、上記の不具合を生じさせない範囲で特定の乳化剤を含有しないという意味であり、具体的には、0.03質量%以上含有しないこと、言い換えると、特定の乳化剤の含有量が0.03質量%未満であること(0質量%も含む)をいい、特定の乳化剤を実質的に含有しないともいう。
なお、第1液体に含まれる顔料が酸化チタンなどのホワイト顔料であると、記録装置1のインク流路において、ホワイト顔料が沈降しやすい。そのため、顔料の沈降物を解消することを目的として、第1液体をノズルへ供給するインク流路や第1液体を吐出するためのノズルを定期的に洗浄することが行われたり、沈降を防止するためにインクを循環させる機構が設けたりすることが多い。この場合、インク流路の洗浄に伴い樹脂に由来する凝集物が除去されたり、インクの循環中に樹脂に起因する凝集物が再溶解して減少することにより、ホワイト顔料以外の顔料を用いる場合に比べて、凝集物が問題にならないことがある。したがって、第1液体に含まれる顔料がホワイト顔料である場合には、第1液体は特定の乳化剤を実質的に含有しなくてもよい。
1.2.第2液体
本実施例の第2液体は、顔料と、樹脂と、乳化剤と、を含有する。
第2液体は、第1液体により形成された画像上に付着させて用いられるため、上述したように、視認性に優れた画像を形成できる。
以下、第2液体に含まれる成分について、詳細に説明する。
1.2.1.顔料
第2液体に含まれる顔料は、有機顔料および無機顔料のいずれも使用することができる。第2液体に含まれる顔料は、上述した第1液体と色相が異なるように選択されるのであれば、上述した白色系の顔料(ホワイト顔料)、および白色系の顔料以外の顔料のいずれの色の顔料も用いることができる。
このように第2液体には、いずれの顔料も用いることができるが、本実施例の記録装置1が明度の低い布帛に対する記録に使用される場合には、第1液体には白色系の顔料を用い、第2液体には白色系の顔料以外の顔料を用いることが好ましい。こうすることで、明度の低い布帛を用いた場合であっても、第2液体より形成される画像の視認性を向上できる。
第2液体に使用可能な顔料の具体例は、第1液体で例示したものと同様であるので、その説明を省略する。第2液体に含む顔料は、カラー顔料、例えばカラー有機顔料や、ブラック顔料、例えばカーボンブラック顔料が好ましい。
第2液体に含まれる顔料の含有量は、使用する顔料種により異なるものの良好な発色性を確保することなどから、第2液体の全質量に対して、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
1.2.2.樹脂
第2液体は、樹脂を含有する。樹脂を含有することにより、第2液体と布帛の密着性を向上できるので、第2液体により形成される画像の耐擦性を向上できる。
第2液体に含まれる樹脂の種類、その特性および効果等については、上記「1.1.2.樹脂」で説明した第1液体に含まれる樹脂と同様であるので、その説明を省略する。
第2液体に含まれる樹脂の含有量は、第2液体の全質量に対して、固形分換算で、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。第2液体中における樹脂の含有量が上記範囲内、とりわけ下限を下回らずにあることで、樹脂がインクの定着性を向上させる効果を十分に発揮できるので、記録される画像の耐擦性が向上する。また、上限を超えずにあることで、樹脂に起因する凝集物(異物)の発生が抑制できるので、インクの保存安定性や吐出安定性が優れたものとなる。
1.2.3.乳化剤
本実施例の第2液体は、下記一般式(1)で表されるアニオン性乳化剤(以下、「乳化剤A」ともいう。)、および、HLB値が12以上の後述する一般式(2)で表されるノニオン性乳化剤(以下、「乳化剤B」ともいう。)から選択される少なくとも一種の乳化剤を含有する。
乳化剤Aおよび乳化剤Bはいずれも、樹脂に起因する凝集物の発生を抑制するという機能を有する。詳細なメカニズムは未だ明らかになっていないが、乳化剤Aおよび乳化剤Bが樹脂に吸着することで、凝集物の発生の原因となる樹脂の皮膜化(特に気液界面における樹脂の皮膜化)を遅延させて、樹脂に起因する凝集物(異物)の発生を抑制できると推測される。
第2液体に含まれる乳化剤の含有量は、インクの全質量に対して、0.03質量%以上0.3質量%以下であることが好ましく、0.04質量%以上0.29質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上0.29質量%以下であることがさらに好ましい。第2液体に含まれる乳化剤の含有量が上記範囲内、とりわけ下限を下回らずにあることで、樹脂に起因する凝集物の発生を十分に抑制できる。また、上限を超えずにあることで、第1液体からなる画像に対する第2液体の浸透力を抑えることができるので、滲みの少ない画像を得ることができる。
<乳化剤A>
乳化剤Aは、下記一般式(1)で表される構造のアニオン性乳化剤である。
−O−(CH−CH−O)n−A ・・・(1)
一般式(1)中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数18以上の炭化水素基を表し、Aは、−SOM基、−POHM基または−CHCOOM基を表し、Mは、アルカリ金属、アンモニウムまたはアルカノールアミンを表し、nは、2以上20以下の整数を表す。
一般式(1)において、Rを表す炭化水素基の炭素数は、18以上であり、好ましくは18以上30以下であり、さらに好ましくは炭素数18以上25以下である。Rの炭素数が18以上であると、樹脂に起因する凝集物の発生を十分に抑制することができる。また、Rが30以下であると、インクの粘度を適正な範囲に保つことができ、インクの吐出安定性を良好にできる。一方、Rの炭素数が18未満であると、樹脂に起因する凝集物の発生を抑制できず、インクの吐出安定性が低下する傾向にある。
を表す炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等の飽和もしくは不飽和の炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、不飽和の炭化水素基であることが、凝集物の発生の抑制の点で好ましい。
また、Rを表す炭化水素基は、水素原子の一部が置換基で置換されていてもよく、置換基としては、例えば、エーテル基、エステル基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
Aは、−SOM基、−POHM基または−CHCOOM基を表すが、インクの保存安定性等の観点から、−SOM基であることが好ましい。
Mを表すアルカリ金属の具体例としては、Na、K等が挙げられ、Mを表すアルカノールアミンの具体例としては、トリエタノールアミン等が挙げられる。
nは、2以上20以下の整数であり、好ましくは2以上15以下の整数であり、さらに好ましくは2以上10以下の整数である。nが上記範囲内にあることで、第2液体の保存安定性等の低下を抑制できる傾向にある。一方、nが20を超えると、親水性が高まることで、発泡しやすくなったり、破泡性が低下したりする等の不具合が生じることがある。
乳化剤Aとしては、市販品を用いることができ、例えば、ラテムル WX、レベノール WX(以上商品名、花王株式会社製)等が挙げられる。
<乳化剤B>
乳化剤Bは、HLB値が12以上であり、かつ、一般式(2)で表される化学構造のノニオン性乳化剤である。
−O−(CH−CH−O)m−H ・・・(2)
一般式(2)中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数16以上の炭化水素基を表し、mは、2以上20以下の整数を表す。
一般式(2)において、Rを表す炭化水素基の炭素数は、16以上であり、好ましくは16以上30以下であり、さらに好ましくは18以上25以下である。Rの炭素数が16以上であると、樹脂に起因する凝集物の発生を十分に抑制することができる。また、R2が30以下であると、インクの粘度を適正な範囲に保つことができ、インクの吐出安定性を良好にできる。一方、Rの炭素数が16未満であると、樹脂に起因する凝集物の発生を抑制できず、インクの吐出安定性が低下する傾向にある。
を表す炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等の飽和もしくは不飽和の炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、凝集物の発生の抑制の点で不飽和の炭化水素基であることが好ましい。
また、Rを表す炭化水素基は、水素原子の一部が置換基で置換されていてもよく、置換基としては、例えば、エーテル基、エステル基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
mは、2以上20以下の整数であり、より好ましくは2以上15以下の整数であり、さらに好ましくは2以上10以下の整数である。mが上記範囲内にあることで、第2液体の保存安定性等の低下を抑制できる傾向にある。一方、mが20を超えると、親水性が高まることで、発泡しやすくなったり、破泡性が低下したりする等の不具合が生じることがある。
乳化剤Bは、上記の化学構造を備えつつ、HLB値が12以上であり、好ましくは12以上18以下、より好ましくは12以上17以下である。HLB値が12以上であることで、樹脂に起因する凝集物の発生を十分に抑制することができる。また、Rが18以下であることで、インク中での乳化剤の分散性が良好になり、保存安定性の良好なインクが得られる。一方、HLB値が12未満であると、樹脂に起因する凝集物の発生を抑制できず、インクの吐出安定性が低下する傾向にある。
なお、本明細書におけるHLB値とは、有機概念図における無極性値(I)と有機性値(O)との比(以下、単に「I/O値」ともいう)から下記式(3)により算出された値である。
HLB値=(無極性値(I)/有機性値(O))×10 ・・・(3)
具体的には、I/O値は、藤田穆著、「系統的有機定性分析混合物編」、風間書房、1974年;黒木宣彦著、「染色理論化学」、槙書店、1966年;井上博夫著、「有機化合物分離法」、裳華房、1990年、の各文献に基づいて算出することができる。
乳化剤Bとしては、市販品を用いることができ、例えば、ニューコール1860、ニューコール1210(以上商品名、日本乳化剤株式会社製)等が挙げられる。
1.2.4.その他の成分
第2液体は、水、有機溶剤、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤・防かび剤等の成分を含有することができる。これらの成分は、上記「1.1.3.その他の成分」で例示した成分を用いることができ、含有量も同様の範囲とすることができるので、その説明を省略する。
1.3.調製方法
本実施例の各インク(第1液体および第2液体)は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
1.4.物性
本実施例の各インク(第1液体および第2液体)は、画像品質とインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施例の各インク(第1液体および第2液体)の20℃における粘度は、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
本実施例の記録装置1を用いて前記第1層形成工程を行う前に、前記被記録媒体に対する前処理工程を行うことができる。このような場合であっても、本実施例の記録装置1を用いれば前記第2層が割れることを抑制することができる。
ここで、「前処理」とは、前記被記録媒体に対して前記第1層を形成する前に行う処理であれば特に限定されない。例えば、被記録媒体が布帛である場合の下地処理剤の塗布等が挙げられる。
[記録方法の実施例]
次に、本発明の記録方法の実施例について説明する。なお、特に、第1層のうち第2層が重なる部分のホワイトインクの単位面積当たりの量の決定方法の実施例について詳細に説明する。
図3は第1液体を用いて記録する記録画像を表す図であり、図4は第2液体を用いて記録する記録画像を表す図である。図5は第1液体を用いて図3の記録画像を記録した後に第2液体を用いて図4の記録画像を記録した状態を表す図である。
また、図6は、Duty確認工程で選択した、第2液体のDutyに対する第1液体のDutyをプロットした図である。
また、図7は、本発明の記録方法の一実施例に係るフローチャートである。
図3から図5で表される記録画像は何れも正方形のパッチPが、X方向に10個、Y方向に10個、合計100個配置された記録画像である。なお、X方向は記録ヘッドの往復移動方向Bに対応し、Y方向は被記録媒体の搬送方向Aに対応している。
ここで、図3は、第1液体を用いて記録する記録画像を表す図であり、X方向のDutyは等しく、Y方向に10%ずつ10%Dutyから100%DutyまでDutyが高くなるように、パッチPが並べられている。
また、図4は、第2液体を用いて記録する記録画像を表す図であり、Y方向のDutyは等しく、X方向に10%ずつ10%Dutyから100%DutyまでDutyが高くなるように、パッチPが並べられている。
本実施例では、まず、ホワイトインクを用いて図3で表される記録画像を記録することにより各パッチPに対応して第1層を形成する。次に、ホワイトインクを用いて記録された各パッチPに重なるように、カラーインクを用いて図4で表される記録画像を記録することにより第2層を形成する。
図5は、こうして構成された記録画像であり、別の表現をすると、ホワイトインクを用いて図3の記録画像を記録した後にカラーインクを用いて図4の記録画像を記録した状態を表す図である。
図5で表される記録画像をカラーインクの色(ブラック、シアン、マゼンタ及びイエロー)毎に形成する。さらに、これらのカラーインクを複数用いて構成される各複次色(例えばブラック+シアンの2次色)に対応して、図5で表される記録画像を該複次色毎に形成する。なお、複次色に対応する図5で表される記録画像を形成する際は、該複次色を構成する各カラーインクの比率を、例えば1:1とすることができる。
こうして形成された図5で表される記録画像は、ホワイトインクがY方向に10%ずつ10%Dutyから100%DutyまでDutyが振られ、カラーインクがX方向に10%ずつ10%Dutyから100%DutyまでDutyが振られた記録画像になる。
そして、夫々のカラーインク及び複次色の図5で表される記録画像を記録した被記録媒体を、例えば、接触式加熱装置を用いて前記被記録媒体を加熱することにより、カラーインクを定着させる。
そして、夫々のカラーインク及び複次色毎に、さらにそれらの夫々のDuty毎に、どのDutyのホワイトインクと重ねられたところまでカラーインクの割れが発生していないかを目視により確認する。
カラーインクのDutyが高くなるほど、ホワイトインクのDutyが低い段階でカラーインクの割れが発生する傾向になる。
一般的に、ホワイトインクのDutyが高いほど、ホワイトインクに求められる効果を高められるため、カラーインクの割れが発生していない最大DutyとなるパッチPを夫々のカラーインク及び複次色毎に、さらにそれらの夫々のDuty毎に、選択する。
なお、図3及び図4で表される記録画像の記録からここまでの確認作業を本明細書では割れ確認工程S10(図7参照)とする。
次に、PC17等を用いて、割れ確認工程S10で選択した、第2液体(カラーインク)のDutyに対する第1液体(ホワイトインク)のDutyをプロットする。図6はDuty確認工程で選択した、第2液体のDutyに対する第1液体のDutyをプロットした図である。ここで、図6(A)はブラックインク、図6(B)はシアンインク、図6(C)はマゼンタインク、図6(D)はイエローインクに対応する。
そして、PC17等を用いて、Duty確認工程S10で選択した、カラーインクのDutyに対するホワイトインクのDutyのプロット結果から、夫々のカラーインク及び複次色毎に、最小二乗法等を用い近似直線を演算する。図6には、夫々の色毎にこの演算結果が記載されている。なお、該近似直線を従来から行われている所定の方法等で補正をしてもよい。また、近似直線の代わりに近似曲線を演算してもよい。
そして、その夫々のカラーインク及び複次色毎の演算結果をROM9又はEEPROM12等に格納する。
第2液体のDutyに対する第1液体のDutyのプロットから演算結果の格納までの工程を、Duty決定工程S20(図7参照)とする。
Duty決定工程S20の後、第1液体を用いて下地層である第1層を形成する前に、第1層を形成する被記録媒体の領域に、多価金属化合物を含有する前処理剤を付与する前処理工程S30を行う。
その後、Duty決定工程S20における演算結果に基づいて、本実施例の記録装置1を用いて、第1液体を用いて所望の第1層を被記録媒体に形成する第1層形成工程S40(図7参照)と、第2液体を用いて所望の前記第1層の少なくとも一部に重ねて第2層を形成する第2層形成工程S50(図7参照)とを行う。
なお、「Duty決定工程S20における演算結果に基づいて」とは、例えば、第1層形成工程S40において、前記近似直線を超えない最大のDutyとなるようにホワイトインクを用いて第1層を被記録媒体に形成することが挙げられる。
そして、第2層形成工程S50終了後、前記第2層を形成する前記第2液体を定着させる定着工程S60(図7参照)を行い、本実施例の記録方法を終了する。なお、定着工程S60では、第2層形成工程S50が終了した被記録媒体を、例えば、接触式加熱装置を用いて前記被記録媒体を加熱することにより、カラーインクを定着させる工程である。
上記本実施例の記録方法をまとめると、第1液体を用いて第1層を被記録媒体に形成す
る第1層形成工程と、第2液体を用いて前記第1層の少なくとも一部に重ねて第2層を形
成する第2層形成工程と、を有し、前記第1層のうち前記第2層が重なる部分の前記第1
液体の単位面積当たりの量、該部分に前記第2層形成工程において重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量に応じて決める決定工程を有することを特徴とする記録方法であると表現できる。
本発明者らが鋭意検討した結果、第2層形成工程S50において重ねられる前記第2液
体の単位面積当たりの量が多い場合、第1層形成工程S40における前記第1層のうち前
記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を多くすると前記第2層が割
れやすいということが分かった。
本実施例の記録方法は、上記割れ確認工程S10及びDuty決定工程S20を行うこ
とにより、第1層形成工程S40における前記第1層のうち前記第2層が重なる部分の前
記第1液体の単位面積当たりの量、該部分に第2層形成工程S50において重ねられる
前記第2液体の単位面積当たりの量に応じて決める決定工程を有するといえる。別の表現をすると、第2層形成工程S50において重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量に応じて、前記第1層のうち前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を決定することができる。
このため、例えば、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が多い場合、前記第
1層のうち前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を少なくするこ
とができる。すなわち、前記第2液体が定着する際に前記第2層が割れることを抑制する
ことができる。一方、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が少ない場合、前記
第1層に求められる効果を高く発揮できるよう、前記第1層のうち前記第2層が重なる部
分の前記第1液体の単位面積当たりの量を多くすることができる。
また、本実施例の記録方法は、前記第2層を形成する前記第2液体を定着させる定着工程S60を有し、前記第1層のうち前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量は、定着工程S60における前記第2層の割れを抑制する方向の関係を持って決められているといえる。このため、前記第2層が割れることを効果的に抑制することができる。
なお、「前記第2層の割れを抑制する」とは、前記第2層の割れを完全になくすことまでは要さず、前記第2層の割れが目視で目立たない程度に抑制されていれば足りる意味である。
また、本実施例の記録方法は、上記割れ確認工程S10及びDuty決定工程S20において、前記第1層のうち前記第2層が重なる部分が、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が第1の量である第1領域と、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が前記第1の量よりも少ない第2領域と、を有する場合、前記第1領域の前記第1液体の単位面積当たりの量は、前記第2領域の前記第1液体の単位面積当たりの量以下に決めることができる。こうすることにより、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が多い部分を、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が少ない部分よりも、前記第1液体の単位面積当たりの量を同等以下にすることができる。すなわち、前記第2層全体にわたり該第2層が割れることを効果的に抑制することができる。
また、本実施例の記録方法は、上記割れ確認工程S10及びDuty決定工程S20において、前記第1層ののうち、前記第2液体が重ねられない部分の前記第1液体の単位面積当たりの量は、前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量以上に決めることができる。こうすることにより、前記第2液体が重ねられない部分の前記第1液体の単位面積当たりの量は、前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量以上にすることができる。すなわち、前記第2層が割れることを効果的に抑制するとともに、前記第2液体が重ねられない部分において前記第1層に求められる効果を高く発揮させることができる。この場合、前記第1液体の単位面積当たりの量を150〜200mg/inchとすると、媒体の色を遮蔽するという点でより好ましい。
また、本実施例の記録方法は、上記割れ確認工程S10及びDuty決定工程S20において、前記第1層のうち、前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量は60mg/inch以下に決めることができる。こうすることにより、前記第2層が割れることを効果的に抑制することができる。
なお、本実施例で使用した被記録媒体は布帛であったが、透明な被記録媒体を使用してもよい。例えば、バックプリントフィルムなどの透明な被記録媒体を使用する場合において、上記実施例における第1層を形成するインクと第2層を形成するインクの記録順序が逆になる場合がある。すなわち、例えば、透明な被記録媒体を使用する場合において、最初に記録するインク(第2層を形成するインク)としてカラーインクを用い、次に記録するインク(第1層を形成するインク)としてホワイトインクを用いる場合がある。
このような場合も、本発明に含まれ、カラーインクにより形成された第2層とホワイトインクにより形成された第1層とが重なる部分のホワイトインクの単位面積当たりの量は、該部分のカラーインクの単位面積当たりの量に応じて決めることができる。
また、上記実施例では、定着手段として接触式加熱装置を用いていたが、非接触式の加熱装置を用いてもよい。また、加熱装置等の定着手段は、記録装置1に内蔵されていても、別体として設けられていても良い。
また、上記実施例では、第1層(下地層)は第1液体により形成された単層であったが、第1液体により形成された複数の層で形成されていても良い。例えば、ホワイトインクで2層の第1層としての下地層を形成し、その上にカラーインクで第2層としての画像層を形成してもよい。
1 記録装置、2 装置本体、3 搬送部、4 媒体支持部、5 キャリッジ、
6 記録ヘッド、7 CPU、8 システムバス、9 ROM、10 制御部、
11 RAM、12 EEPROM、13 ヘッド駆動部、
14 キャリッジモーター、15 搬送モーター、16 モーター駆動部、
17 PC、18 入出力部、P パッチ

Claims (8)

  1. 第1液体を用いて第1層を被記録媒体に形成する第1層形成工程と、
    第2液体を用いて前記第1層の少なくとも一部に重ねて第2層を形成する第2層形成工
    程と、を有し、
    前記第1層のうち前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量、該
    部分に前記第2層形成工程において重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量に応じ
    て決める決定工程を有し、
    前記決定工程は、前記第1層のうち、前記第2液体が重ねられない部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を、前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量以上に決めることを特徴とする記録方法。
  2. 請求項1に記載の記録方法において、
    前記部分が、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が第1の量である第1領域
    と、重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量が前記第1の量よりも少ない第2領域
    と、を有する場合、
    前記第1領域の前記第1液体の単位面積当たりの量は、前記第2領域の前記第1液体の
    単位面積当たりの量以下に決められていることを特徴とする記録方法。
  3. 請求項1ないし2のいずれか1項に記載の記録方法において、
    前記第1層のうち前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量
    は60mg/inch2以下に決められていることを特徴とする記録方法。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載の記録方法において、
    前記被記録媒体は布帛であることを特徴とする記録方法。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の記録方法において、
    前記第2層を形成する前記第2液体を定着させる定着工程を有し、
    前記定着工程は接触式加熱装置を用いて前記被記録媒体を加熱する工程であることを特
    徴とする記録方法。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載の記録方法において、
    前記第1液体は、水とグリセリンとホワイト顔料とを含有することを特徴とする記録方
    法。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載の記録方法において、
    前記第1層形成工程の前に、前記被記録媒体に対する前処理工程を行うことを特徴とす
    る記録方法。
  8. 第1液体を用いて第1層を被記録媒体に形成する第1層形成部と、
    第2液体を用いて前記第1層の少なくとも一部に重ねて第2層を形成する第2層形成部
    と、
    前記第1層のうち、前記第2層が重なる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を、
    前記部分に重ねられる前記第2液体の単位面積当たりの量に応じて決める決定部と、
    を備え
    前記決定部は、前記第1層のうち、前記第2液体が重ねられない部分の前記第1液体の単位面積当たりの量を、前記第2液体が重ねられる部分の前記第1液体の単位面積当たりの量以上に決めることを特徴とする記録装置。
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