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JP6171678B2 - 炭化珪素半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、炭化珪素半導体装置およびその製造方法に関するものであり、特に、ゲート絶縁膜を有する炭化珪素半導体装置およびその製造方法に関するものである。
広く用いられている電力用半導体装置であるSi(シリコン)MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に関して、耐圧の主な決定要因は、耐圧保持領域をなすドリフト層が耐え得る電界強度の上限である。Siから作られたドリフト層は、0.3MV/cm程度以上の電界が印加された箇所で破壊し得る。このためMOSFETのドリフト層全体において電界強度を所定の値未満に抑えることが必要である。最も単純な方法はドリフト層の不純物濃度を低くすることである。しかしながらこの方法ではMOSFETのオン抵抗が大きくなるという短所がある。このように、オン抵抗と耐圧との間には、通常、トレードオフ関係が存在する。
特開平9−191109号公報において、典型的なSi MOSFETについて、Siの物性値から得られる理論限界を考慮しつつ、オン抵抗と耐圧との間のトレードオフ関係の説明がなされている。そしてこのトレードオフを解消するために、ドレイン電極上のn型基板の上のnベース層中において、下側のp型埋込層と、上側のp型埋込層とを付加することが開示されている。下側のp型埋込層および上側の埋込層によってnベース層は、各々等しい厚さを有する下段と中段と上段とに区分される。この公報によれば、3つの段の各々によって等しい電圧が分担され、各段の最大電界が限界電界強度以下に保たれる。
特開平9−191109号公報
上述したトレードオフをより改善するための方法として、近年、Siに代わりSiC(炭化珪素)を用いることが検討されている。SiCはSiと異なり0.4MV/cm以上の電界強度にも十分に耐え得る材料である。
このように高い電界が印加され得る場合は、MOSFET構造における特定位置での電界集中に起因した破壊が問題となる。たとえばトレンチ型MOSFETの場合、トレンチの底部、特に角部、における、ゲート絶縁膜中での電界集中に起因したゲート絶縁膜の破壊現象が、耐圧の主な決定要因である。このように耐圧の決定要因がSi半導体装置とSiC半導体装置との間で異なる。このため、Siの使用を前提としていると考えられる上記公報の技術をSiC半導体装置の耐圧を向上させるために単純に適用したとすると、SiCの物性上の利点を十分に利用した耐圧の改善を行うことができない。
本発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、高い耐圧と低いオン抵抗とを有する炭化珪素半導体装置およびその製造方法を提供することである。
本発明の炭化珪素半導体装置は、ドリフト層と、ボディ領域と、ソース領域と、緩和領域と、高濃度領域と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、第1の電極と、第2の電極とを有する。ドリフト層は、第1の主面と第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有する。ボディ領域は、ドリフト層の第2の主面上に設けられており、第1の導電型と異なる第2の導電型を有する。ソース領域は、ボディ領域によってドリフト層から隔てられるようにボディ領域上に設けられており、第1の導電型を有する。緩和領域は、第1の主面および第2の主面の各々から離れてドリフト層中に埋め込まれており、第2の導電型を有する。緩和領域には、第1の導電型を有する領域によって第1の主面と第2の主面とが厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられている。高濃度領域は、第1の主面および第2の主面の各々から離れており、少なくとも部分的に緩和領域の開口部中に位置している。高濃度領域は、第1の導電型を有し、ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する。ゲート絶縁膜は、ドリフト層とソース領域とをつなぐようにボディ領域上に設けられている。ゲート電極はゲート絶縁膜上に設けられている。第1の電極はソース領域上に設けられている。第2の電極は、ドリフト層と電気的に接続されており、ドリフト層を介して第1の電極と対向している。
本発明の炭化珪素半導体装置の製造方法は、以下の工程を有する。
第1の主面と第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有するドリフト層が形成される。ドリフト層を形成する工程は、第1の主面をなす第1の層を形成する工程と、第1の層上に第2の主面をなす第2の層を形成する工程とを含む。
第1の層を形成した後かつ第2の層を形成する前に第1の層上に、第1の導電型と異なる第2の導電型を有する緩和領域と、第1の導電型を有する高濃度領域とが形成される。緩和領域は第1の主面および第2の主面の各々から離れてドリフト層中に埋め込まれる。緩和領域には、第1の導電型を有する領域によって第1の主面と第2の主面とが厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられる。高濃度領域は、第1の主面および第2の主面の各々から離れ、少なくとも部分的に緩和領域の開口部中に位置し、ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する。
ドリフト層の第2の主面上に、第2の導電型を有するボディ領域が形成される。ボディ領域によってドリフト層から隔てられるようにボディ領域上に、第1の導電型を有するソース領域が形成される。ドリフト層とソース領域とをつなぐようにボディ領域上にゲート絶縁膜が形成される。ゲート絶縁膜上にゲート電極が形成される。ソース領域上に第1の電極が形成される。ドリフト層と電気的に接続され、ドリフト層を介して第1の電極と対向する第2の電極が形成される。
本発明によれば、緩和領域によって炭化珪素半導体装置の耐圧が高められる。また緩和領域からその開口部中への空乏化の進展が高濃度領域によって抑制されることで、オン抵抗が低くされる。これにより高い耐圧と低いオン抵抗とが得られる。
本発明の実施の形態1における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置が有する炭化珪素層の形状を概略的に示す部分斜視図である。 図1の炭化珪素半導体装置が有する炭化珪素層の形状を概略的に示す部分上面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第3工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第4工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第5工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第6工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第7工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第8工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第9工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第10工程を概略的に示す部分断面図である。 図1の炭化珪素半導体装置の製造方法の第11工程を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態2における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態3における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図16の炭化珪素半導体装置が有する炭化珪素層の形状を概略的に示す部分上面図である。 本発明の実施の形態4における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図18の炭化珪素半導体装置が有する炭化珪素層の形状を概略的に示す部分上面図である。 本発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図20の炭化珪素半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。 図20の炭化珪素半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。 炭化珪素半導体装置が有する炭化珪素層の表面の微細構造を概略的に示す部分断面図である。 ポリタイプ4Hの六方晶における(000−1)面の結晶構造を示す図である。 図24の線XXV−XXVに沿う(11−20)面の結晶構造を示す図である。 図23の複合面の表面近傍における結晶構造を(11−20)面内において示す図である。 図23の複合面を(01−10)面から見た図である。 巨視的に見たチャネル面および(000−1)面の間の角度と、チャネル移動度との関係の一例を、熱エッチングが行われた場合と行われなかった場合との各々について示すグラフ図である。 チャネル方向および<0−11−2>方向の間の角度と、チャネル移動度との関係の一例を示すグラフ図である。 図23の変形例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。また、本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また結晶学上の指数が負であることは、通常、”−”(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、本明細書中では数字の前に負の符号を付している。
はじめに概要について、以下の(i)〜(xv)において説明する。
(i) 炭化珪素半導体装置201〜205は、ドリフト層81と、ボディ領域82と、ソース領域83と、緩和領域61〜65と、高濃度領域71〜75と、ゲート絶縁膜91と、ゲート電極92と、第1の電極94と、第2の電極98とを有する。ドリフト層81は、第1の主面P1と第1の主面P1に厚さ方向において対向する第2の主面P2とを有し、第1の導電型を有する。ボディ領域82は、ドリフト層81の第2の主面P2上に設けられており、第1の導電型と異なる第2の導電型を有する。ソース領域83は、ボディ領域82によってドリフト層81から隔てられるようにボディ領域82上に設けられており、第1の導電型を有する。緩和領域61〜65は、第1の主面P1および第2の主面P2の各々から離れてドリフト層81中に埋め込まれており、第2の導電型を有する。緩和領域61〜65には、第1の導電型を有する領域によって第1の主面P1と第2の主面P2とが厚さ方向に沿ってつながるように開口部OPが設けられている。高濃度領域71〜75は、第1の主面P1および第2の主面P2の各々から離れており、少なくとも部分的に緩和領域61〜65の開口部OP中に位置している。高濃度領域71〜75は、第1の導電型を有し、ドリフト層81の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する。ゲート絶縁膜91は、ドリフト層81とソース領域83とをつなぐようにボディ領域82上に設けられている。ゲート電極92はゲート絶縁膜91上に設けられている。第1の電極94はソース領域83上に設けられている。第2の電極98は、ドリフト層81と電気的に接続されており、ドリフト層81を介して第1の電極94と対向している。
この炭化珪素半導体装置201〜205によれば、耐圧が緩和領域61〜65によって高められる。また緩和領域61〜65からその開口部OP中への空乏化の進展が高濃度領域71〜75によって抑制されることで、オン抵抗が低くされる。これにより、高い耐圧と低いオン抵抗とが得られる。
なお本明細書において「不純物濃度」とは導電型不純物の実効的な濃度のことを意味する。具体的には、ドナーおよびアクセプタのいずれか一方のみが添加されている場合はドナーおよびアクセプタの濃度のことを意味し、ドナーおよびアクセプタの両方が添加されている場合は両者の差分の濃度のことを意味する。また「開口部中に位置して」とは、平面視(図3)において開口部OP中に位置し、かつ断面視(図1)においても開口部OP中に位置するとを意味する。断面視において開口部OP中に位置するということは、厚さ方向において緩和領域61〜65と同様の位置を有することを意味する。
(ii) 上記(i)において、緩和領域61〜65は高濃度領域71〜75の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有してもよい。これにより緩和領域61〜65の完全空乏化を抑制することができる。
(iii) 上記(i)または(ii)において、炭化珪素半導体装置201〜205は第1の電極94および第2の電極98の間に600V以上の電圧を印加可能に構成されていてもよい。これにより、オン抵抗を低くしつつ、耐圧を600V以上とすることができる。
(iv) 上記(i)〜(iii)において、高濃度領域71〜75は第1の主面P1に向かって緩和領域61〜65よりも延びていてもよい。これにより、空乏化が開口部OPの第1の主面P1側においても抑制されるので、オン抵抗がより低くされる。
(v) 上記(i)〜(iv)において、高濃度領域72は第2の主面P2に向かって緩和領域62よりも延びていてもよい。これにより、空乏化が開口部OPの第2の主面P2側においても抑制されるので、オン抵抗がより低くされる。
(vi) 上記(i)〜(v)において、高濃度領域71〜73、75は緩和領域61〜63、65に接していてもよい。これにより、空乏化が開口部OPの端部においても抑制されるので、オン抵抗がより低くされる。
(vii) 上記(vi)において、緩和領域63は、高濃度領域73に接する接触部63bと、厚さ方向に直交する方向において接触部63bによって高濃度領域73から隔てられた分離領域63aとを有してもよい。接触部63bは分離領域63aの不純物濃度よりも低い不純物濃度を有してもよい。これにより、緩和領域63と高濃度領域73との界面近傍における緩和領域63の不純物濃度が低くされる。この結果、この界面近傍での電界集中を抑制し得る。
(viii) 上記(vi)において、高濃度領域75は、緩和領域65と第1の主面P1とを隔てるように延びていてもよい。これにより、高濃度領域75と第1の主面P1とが隔てられないように高濃度領域75をパターニングする必要がない。
(ix) 上記(i)〜(v)において、高濃度領域74は緩和領域64から離れていてもよい。これにより、高濃度領域74と緩和領域64との界面が形成されないので、このような界面での電界集中の発生が防止される。
(x) 上記(i)〜(ix)において、炭化珪素半導体装置201〜205には、ゲート絶縁膜91に覆われた側壁面SWを有するトレンチTRが設けられていてもよい。これにより、トレンチ型において特に生じやすいゲート絶縁膜91の絶縁破壊に起因した耐圧の低下が抑制される。
(xi) 上記(x)において、トレンチTRの側壁面SW上においてボディ領域82には、面方位{0−33−8}を有する第1の面S1を含む表面が設けられていてもよい。これにより、チャネル抵抗が低くなることで、オン抵抗をより低くし得る。
(xii) 上記(xi)において、表面は第1の面S1を微視的に含んでもよく、表面はさらに、面方位{0−11−1}を有する第2の面S2を微視的に含んでもよい。これにより、チャネル抵抗がより低くなることで、オン抵抗をより低くし得る。
(xiii) 上記(xii)において、表面の第1および第2の面S1、S2は、面方位{0−11−2}を有する複合面SRを構成していてもよい。これにより、チャネル抵抗がより低くなることで、オン抵抗をより低くし得る。
(xiv) 上記(xiii)において、表面は{000−1}面に対して、巨視的に62°±10°のオフ角を有してもよい。これにより、チャネル抵抗がより低くなることで、オン抵抗をより低くし得る。
(xv) 炭化珪素半導体装置201〜205の製造方法は、以下の工程を有する。
第1の主面P1と第1の主面P1に厚さ方向において対向する第2の主面P2とを有し、第1の導電型を有するドリフト層81が形成される。ドリフト層81を形成する工程は、第1の主面P1をなす第1の層81aを形成する工程と、第1の層81a上に第2の主面P2をなす第2の層81bを形成する工程とを含む。
第1の層81aを形成した後かつ第2の層81bを形成する前に第1の層81a上に、第1の導電型と異なる第2の導電型を有する緩和領域61〜65と、第1の導電型を有する高濃度領域71〜75とが形成される。緩和領域61〜65は第1の主面P1および第2の主面P2の各々から離れてドリフト層81中に埋め込まれる。緩和領域61〜65には、第1の導電型を有する領域によって第1の主面P1と第2の主面P2とが厚さ方向に沿ってつながるように開口部OPが設けられる。高濃度領域71〜75は、第1の主面P1および第2の主面P2の各々から離れ、少なくとも部分的に緩和領域61〜65の開口部OP中に位置し、ドリフト層81の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する。
ドリフト層81の第2の主面P2上に、第1の導電型と異なる第2の導電型を有するボディ領域82が形成される。ボディ領域82によってドリフト層81から隔てられるようにボディ領域82上に、第1の導電型を有するソース領域83が形成される。ドリフト層81とソース領域83とをつなぐようにボディ領域82上にゲート絶縁膜91が形成される。ゲート絶縁膜91上にゲート電極92が形成される。ソース領域83上に第1の電極94が形成される。ドリフト層81と電気的に接続され、ドリフト層81を介して第1の電極94と対向する第2の電極98が形成される。
この製造方法によれば、炭化珪素半導体装置201〜205の耐圧が緩和領域61〜65によって高められる。また緩和領域61〜65からその開口部OP中への空乏化の進展が高濃度領域71〜75によって抑制されることで、オン抵抗が低くされる。これにより、高い耐圧と低いオン抵抗とが得られる。
次に、より詳細な内容について、以下の実施の形態1〜5において説明する。
(実施の形態1)
図1に示すように、本実施の形態のMOSFET201(炭化珪素半導体装置)は、単結晶基板80と、エピタキシャル層101(炭化珪素層)と、ゲート酸化膜91(ゲート絶縁膜)と、ゲート電極92と、層間絶縁膜93と、ソース電極94(第1の電極)と、ソース配線層95と、ドレイン電極98(第2の電極)とを有する。MOSFET201は、ソース電極94およびドレイン電極98の間に600V以上の電圧を印加可能に構成されていること、言い換えれば600V以上の耐圧を有することが好ましい。すなわちMOSFET201は、高耐圧を有する電力用半導体装置であることが好ましい。
エピタキシャル層101(図2)は、単結晶基板80上にエピタキシャルに成長させられた炭化珪素層である。エピタキシャル層101は、ポリタイプ4Hの六方晶の結晶構造を有することが好ましい。エピタキシャル層101は、n-ドリフト層81(ドリフト層)と、pボディ領域82と、nソース領域83と、p+コンタクト領域84と、埋込p+領域61(緩和領域)と、埋込n領域71(高濃度領域)とを有する。
-ドリフト層81は、下面P1(第1の主面)と上面P2(第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面)とを有する。n-ドリフト層81は下層81a(第1の層)および上層81b(第2の層)を有する。下層81aはn-ドリフト層81の下面P1をなしており、上層81bはn-ドリフト層81の上面P2をなしている。下層81aの、下面P1と反対の面側には、埋込p+領域61および埋込n領域71の各々が部分的に設けられている。上層81bは埋込p+領域61および埋込n領域71の各々を覆っている。n-ドリフト層81はn型(第1の導電型)を有する。n-ドリフト層81のドナー濃度は、好ましくは1×1015cm-3以上5×1016cm-3以下であり、たとえば8×1015cm-3である。下層81aの不純物濃度は、上層81bの不純物濃度と同様であってもよく、上層81bの不純物濃度未満であってもよい。
pボディ領域82はn-ドリフト層81の上面P2上に設けられている。pボディ領域82はp型(第1の導電型と異なる第2の導電型)を有する。pボディ領域82の不純物濃度は、好ましくは1×1017cm-3以上5×1018cm-3以下であり、たとえば1×1018cm-3である。
nソース領域83は、pボディ領域82によってn-ドリフト層81から隔てられるようにpボディ領域82上に設けられている。nソース領域83はn型を有する。p+コンタクト領域84はp型を有する。p+コンタクト領域84はpボディ領域82につながっている。nソース領域83はp+コンタクト領域84と共にエピタキシャル層101の一方の主面(図中、上面)をなしている。
MOSFET201にはトレンチTRが設けられている。トレンチTRはエピタキシャル層101の上面に設けられている。トレンチTRは側壁面SWおよび底面BTを有する。側壁面SWはnソース領域83およびpボディ領域82を貫通して、n-ドリフト層81の上層81bに至っている。側壁面SWはpボディ領域82上において、MOSFET201のチャネル面を含む。側壁面SWはゲート酸化膜91に覆われている。
側壁面SWはエピタキシャル層101の上面に対して傾斜していることが好ましく、この場合、トレンチTRは底面BTに向かってテーパ状に狭まっている。側壁面SWの面方位は、{0001}面に対して50°以上65°以下傾斜していることが好ましく、(000−1)面に対して50°以上65°以下傾斜していることがより好ましい。好ましくは側壁面SWは、特にpボディ領域82上の部分において、所定の結晶面(特殊面とも称する)を有する。特殊面の詳細については後述する。なお側壁面SWの向きは特に限定されるものではなく、たとえば、側壁面SWはエピタキシャル層101の上面に対して垂直であってもよい。
底面BTはn-ドリフト層81の上層81b上に位置している。底面BTは、図中に示すようにエピタキシャル層101の上面とほぼ平行な平坦な形状を有してもよく、あるいはU字状またはV字状の形状を有してもよい。底面BTと側壁面SWとがつながる部分はトレンチTRの角部を構成している。本実施の形態においてはトレンチTRは、平面視(図3)において、ハニカム構造を有する網目を構成するように延びている。エピタキシャル層101の上面は、この網目によって囲まれた六角形状を有する。
埋込p+領域61はp型を有する。埋込p+領域61の不純物濃度は、たとえば1×1018cm-3程度である。埋込p+領域61は、下面P1および上面P2の各々から離れてn-ドリフト層81中に埋め込まれている。埋込p+領域61は、上層81bによってpボディ領域82から隔てられている。また埋込p+領域61はトレンチTRの側壁面SWおよび底面BTの各々から離れている。埋込p+領域61は埋込n領域71の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有することが好ましい。
埋込p+領域61には、n型を有する領域によって下面P1と上面P2とが厚さ方向に沿ってつながるように開口部OPが設けられている。本実施の形態においては開口部OPは、図3に示すように、埋込p+領域61に設けられた六角形状の貫通穴である。なお本実施の形態においては開口部OPの周りを埋込p+領域61の存在する領域が完全に取り囲んでいるが、埋込p+領域61の存在する領域は「開口部」の周りを必ずしも完全に取り囲んでいる必要はない。「開口部」とは、厚さ方向に垂直な面に沿って拡がる層がこの面において(すなわち平面視において)パターンを有する場合における、パターンの非形成部である。パターンの形成部は、たとえば、非形成部を完全に取り囲むことで非形成部を貫通穴として構成してもよく、あるいは形成部が島状に存在することで非形成部を網状に構成してもよい。
埋込p+領域61の不純物ドーズ量は好ましくは1×1013cm-2以上である。ここで、形成済みの埋込p+領域61に関しての不純物ドーズ量とは、埋込p+領域61の単位面積当たりの不純物濃度を意味する。埋込p+領域61は、n-ドリフト層81の下面P1から5μm以上離れていることが好ましい。埋込p+領域61の不純物ドーズ量は、n-ドリフト層81の下層81aのうち下面P1と埋込p+領域61との間の部分の厚さと、n-ドリフト層81の下層81aの不純物濃度との積よりも大きいことが好ましい。
好ましくは、埋込p+領域61はpボディ領域82から1μm以上5μm以下離れている。埋込p+領域61の単位体積当たりの不純物濃度を厚さ方向(図1の縦方向)に積分した値は、埋込p+領域61を形成するためのイオン注入のドース量に対応する。このドース量は、好ましくは1×1012cm-2以上1×1015cm-2以下であり、たとえば1×1013cm-2である。埋込p+領域61が有する不純物は、たとえばアルミニウムである。埋込p+領域61は少なくとも部分的に、トレンチTRの底面BTの位置よりも深い位置に設けられている。好ましくは埋込p+領域61は、図1に示すように、トレンチTRの底面BTの位置よりも深い位置にのみ設けられている。
埋込p+領域61とトレンチTRの底面BTとの間の距離は4μm以下であることが好ましい。具体的には、トレンチTRは側壁面SWと底面BTとがなす角部を有し、この角部と埋込p+領域61との間の距離が4μm以下であることが好ましい。
-ドリフト層81の下面P1と上面P2とは、開口部OPを介して、n型を有する領域によって厚さ方向(図1の縦方向)に沿ってつながっている。本実施の形態においては、下面P1と上面P2とは開口部OP中の埋込n領域71によって厚さ方向に沿ってつながっている。
埋込n領域71は、下面P1および上面P2の各々から離れており、少なくとも部分的に埋込p+領域61の開口部OP中に位置している。埋込n領域71は、埋込p+領域61に開口部OPにおいて接している。埋込n領域71は、下面P1に向かって埋込p+領域61よりも延びていることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下延びていることがより好ましく、たとえば0.3μm程度伸びている。
埋込n領域71はn型を有する。埋込n領域71は、n-ドリフト層81の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有し、好ましくはn-ドリフト層81の不純物濃度の1.5倍以上の不純物濃度を有する。また埋込n領域71の不純物濃度は埋込p+領域61よりも低い不純物濃度を有することが好ましい。埋込n領域71の不純物濃度は、たとえば、埋込n領域71の不純物濃度は4×1016cm-3程度である。
ゲート酸化膜91は、トレンチTRの側壁面SWおよび底面BTの各々を覆っている。ゲート酸化膜91は、n-ドリフト層81とnソース領域83とをつなぐようにpボディ領域82上に設けられている。ゲート電極92はゲート酸化膜91上に設けられている。
単結晶基板80は、炭化珪素からなり、n型を有する。単結晶基板80はエピタキシャル層101を支持している。単結晶基板80は、n-ドリフト層81の下面P1とドレイン電極98との間に設けられ、下面P1とドレイン電極98との各々に接している。単結晶基板80は、下層81aの不純物濃度よりも大きい不純物濃度を有する。好ましくは単結晶基板80の不純物濃度は下層81aの不純物濃度の50倍以上であり、この場合、単結晶基板80は耐圧保持機能を実質的に有しない。
ソース電極94は、nソース領域83およびp+コンタクト領域84の上に設けられており、nソース領域83およびp+コンタクト領域84の各々に接している。ソース配線層95はソース電極94に接している。ソース配線層95は、たとえばアルミニウム層である。層間絶縁膜93はゲート電極92とソース配線層95との間を絶縁している。
ドレイン電極98は、n-ドリフト層81と電気的に接続されており、n-ドリフト層81を介してソース電極94と対向している。
本実施の形態によれば、第1に、トレンチ型MOSFETにおいて特に生じやすいゲート酸化膜91の絶縁破壊が、埋込p+領域61によって抑制される。これによりMOSFET201の耐圧が高められる。第2に、埋込n領域71によって、オン状態におけるMOSFET201のオン抵抗が低くされる。これは、埋込p+領域61からその開口部OP中への空乏化の進展が、埋込n領域71によって抑制されるためである。このようにして高い耐圧と低いオン抵抗とをともに有するMOSFET201が得られる。
埋込p+領域61は埋込n領域71の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有することが好ましい。埋込p+領域61の不純物濃度が十分に大きくされることにより、MOSFET201がオフ状態とされることでドレイン電極98およびソース電極94間の電圧が高まった際に、埋込p+領域61からn-ドリフト層81の下面P1へ空乏層が十分に延びる前に埋込p+領域61が完全に空乏化してしまうことが防止される。これにより埋込p+領域61と下面P1との間に、十分な長さを有する空乏層が形成され得る。よって、ドレイン電極98およびソース電極94間の電圧について、埋込p+領域61と下面P1との間の部分で負担される割合が高められる。言い換えれば、埋込p+領域61よりも浅い部分(図1におけるより上方の部分)で負担される電圧が軽減される。これにより、埋込p+領域61よりも浅い部分での電界強度を小さくすることができる。言い換えれば、電界集中によって破壊が生じやすい部分での電界強度を小さくすることができる。これにより、破壊が生じることなくドレイン電極98とソース電極94との間により高い電圧を印加することができる。つまりMOSFET201の耐圧がより高められる。
MOSFET201はソース電極94およびドレイン電極98の間に600V以上の電圧を印加可能に構成されていることが好ましい。これにより、オン抵抗を低くしつつ、耐圧を600V以上とすることができる。
埋込n領域71は下面P1に向かって埋込p+領域61よりも延びていることが好ましい。これにより、空乏化が開口部OPの下面P1側においても抑制されるので、オン抵抗がより低くされる。また埋込n領域71は埋込p+領域61に接している。これにより、空乏化が開口部OPの端部においても抑制されるので、オン抵抗がより低くされる。
電界緩和構造としての埋込p+領域61(図1)は、トレンチTRの側壁面SWから離れている。これにより電界緩和構造がチャネル構造へ及ぼす影響を小さくすることができる。また埋込p+領域61がn-ドリフト層81の上層81bによってpボディ領域82から隔てられている。すなわち埋込p+領域61がn-ドリフト層81の内部に埋め込まれている。これにより埋込p+領域61を十分に深い位置に容易に設けることができる。よって十分に効果を有する電界緩和構造を容易に設けることができる。
なお本実施の形態においては、ソース電位が印加されるソース部を構成するソース電極94およびソース配線層95と、埋込p+領域61とが、エピタキシャル層101によって隔てられている。変形例として、このソース部と埋込p+領域61とが互いに直接接続された構造が用いられてもよい。
次にMOSFET201(図1)の製造方法について、以下に説明する。
図4に示すように、n-ドリフト層81(図1)の一部となりかつその下面P1をなす下層81aが単結晶基板80上に形成される。具体的には、単結晶基板80上におけるエピタキシャル成長によって下層81aが形成される。このエピタキシャル成長は、たとえば原料ガスとしてシラン(SiH4)とプロパン(C38)との混合ガスを用い、キャリアガスとしてたとえば水素ガス(H2)を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法により行うことができる。この際、不純物として、たとえば窒素(N)やリン(P)を導入することが好ましい。
図5に示すように、下層81a上における、注入マスク(図示せず)を用いたアクセプタイオン(第2の導電型を付与するための不純物イオン)の注入(図中矢印IA)により、埋込p+領域61が形成される。また下層81a上における、別の注入マスク(図示せず)を用いたドナーイオン(第1の導電型を付与するための不純物イオン)の注入(図中矢印IB)により、埋込n領域71が形成される。
図6に示すように、埋込p+領域61および埋込n領域71が形成された後に、下層81a上に上層81bが形成される。この上層81bの形成と、前述した下層81aの形成とによって、n-ドリフト層81が形成される。埋込p+領域61および埋込n領域71は、下面P1および上面P2の各々から離れてn-ドリフト層81中に埋め込まれる。上層81bは下層81aの形成方法と同様の方法によって形成され得る。
図7に示すように、n-ドリフト層81の上面P2上にpボディ領域82およびnソース領域83が形成される。図8に示すように、pボディ領域82上にp+コンタクト領域84が形成される。これらの形成は、たとえばn-ドリフト層81(図6)上へのイオン注入により行い得る。pボディ領域82およびコンタクト領域84を形成するためのイオン注入においては、たとえばアルミニウム(Al)などの、p型を付与するための不純物がイオン注入される。またnソース領域83を形成するためのイオン注入においては、たとえばリン(P)などの、n型を付与するための不純物がイオン注入される。なおイオン注入の代わり、不純物の添加をともなうにエピタキシャル成長が用いられてもよい。
次に、不純物を活性化するための熱処理が行われる。この熱処理の温度は、好ましくは1500℃以上1900℃以下であり、たとえば1700℃程度である。熱処理の時間は、たとえば30分程度である。熱処理の雰囲気は、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、たとえばAr雰囲気である。
図9に示すように、nソース領域83およびp+コンタクト領域84からなる面上に、開口部を有するマスク層40が形成される。マスク層40として、たとえばシリコン酸化膜などを用いることができる。開口部はトレンチTR(図1)の位置に対応して形成される。
図10に示すように、マスク層40の開口部において、nソース領域83と、pボディ領域82と、n-ドリフト層81の一部とがエッチングにより除去される。エッチングの方法としては、たとえば反応性イオンエッチング(RIE)、特に誘導結合プラズマ(ICP)RIEを用いることができる。具体的には、たとえば反応ガスとしてSF6またはSF6とO2との混合ガスを用いたICP−RIEを用いることができる。このようなエッチングにより、トレンチTR(図1)が形成されるべき領域に、厚さ方向にほぼ沿った側壁を有する凹部TQが形成される。
次に、凹部TQにおいて熱エッチングが行われる。熱エッチングは、たとえば、少なくとも1種類以上のハロゲン原子を有する反応性ガスを含む雰囲気中での加熱によって行い得る。少なくとも1種類以上のハロゲン原子は、塩素(Cl)原子およびフッ素(F)原子の少なくともいずれかを含む。この雰囲気は、たとえば、Cl2、BCL3、SF6、またはCF4である。たとえば、塩素ガスと酸素ガスとの混合ガスを反応ガスとして用い、熱処理温度を、たとえば700℃以上1000℃以下として、熱エッチングが行われる。
なお、反応ガスは、上述した塩素ガスと酸素ガスとに加えて、キャリアガスを含んでいてもよい。キャリアガスとしては、たとえば窒素(N2)ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどを用いることができる。そして、上述のように熱処理温度を700℃以上1000℃以下とした場合、SiCのエッチング速度はたとえば約70μm/時になる。また、この場合に、酸化珪素から作られたマスク層40は、SiCに対する選択比が極めて大きいので、SiCのエッチング中に実質的にエッチングされない。
図11に示すように、上記の熱エッチングにより、エピタキシャル層101の上面上にトレンチTRが形成される。トレンチTRは、nソース領域83およびpボディ領域82を貫通してn-ドリフト層81に至る側壁面SWと、n-ドリフト層81上に位置する底面BTとを有する。側壁面SWおよび底面BTの各々は埋込p+領域61から離れている。好ましくは、トレンチTRの形成時、側壁面SW上、特にpボディ領域82上において、特殊面が自己形成される。次にマスク層40がエッチングなど任意の方法により除去される。
図12に示すように、トレンチTRの側壁面SWおよび底面BTの各々を覆うゲート酸化膜91が形成される。ゲート酸化膜91は、たとえば熱酸化により形成され得る。この後に、雰囲気ガスとして一酸化窒素(NO)ガスを用いるNOアニールが行われてもよい。温度プロファイルは、たとえば、温度1100℃以上1300℃以下、保持時間1時間程度の条件を有する。これにより、ゲート酸化膜91とpボディ領域82との界面領域に窒素原子が導入される。その結果、界面領域における界面準位の形成が抑制されることで、チャネル移動度を向上させることができる。なお、このような窒素原子の導入が可能であれば、NOガス以外のガスが雰囲気ガスとして用いられてもよい。このNOアニールの後にさらに、雰囲気ガスとしてアルゴン(Ar)を用いるArアニールが行われてもよい。Arアニールの加熱温度は、上記NOアニールの加熱温度よりも高く、ゲート酸化膜91の融点よりも低いことが好ましい。この加熱温度が保持される時間は、たとえば1時間程度である。これにより、ゲート酸化膜91とpボディ領域82との界面領域における界面準位の形成がさらに抑制される。なお、雰囲気ガスとして、Arガスに代えて窒素ガスなどの他の不活性ガスが用いられてもよい。
図13に示すように、ゲート酸化膜91上にゲート電極92が形成される。具体的には、トレンチTRの内部の領域をゲート酸化膜91を介して埋めるように、ゲート酸化膜91上にゲート電極92が形成される。ゲート電極92の形成方法は、たとえば、導体またはドープトポリシリコンの成膜とCMP(Chemical Mechanical Polishing)とによって行い得る。
図14を参照して、ゲート電極92の露出面を覆うように、ゲート電極92およびゲート酸化膜91上に層間絶縁膜93が形成される。層間絶縁膜93およびゲート酸化膜91に開口部が形成されるようにエッチングが行われる。この開口部によりnソース領域83およびp+コンタクト領域84の各々が露出される。次にnソース領域83およびnコンタクト領域84の各々に接するソース電極94が形成される。n-ドリフト層81の下面P1上に単結晶基板80を介してドレイン電極98が形成される。
再び図1を参照して、ソース配線層95が形成される。これにより、MOSFET201が得られる。
(実施の形態2)
図15に示すように、本実施の形態のMOSFET202はエピタキシャル層102を有する。エピタキシャル層102は埋込p+領域62および埋込n領域72を有する。埋込p+領域62は、n-ドリフト層81の下層81aおよび上層81bの界面(図中、破線)から離れて下層81a中に埋め込まれている。このような構成は、たとえば、イオンビーム(図5:矢印IA)のエネルギーを高めることにより得られる。この結果、埋込n領域72は上面P2に向かって埋込p+領域62よりも延びている。
なお上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
本実施の形態によれば、空乏化が開口部OPの上面P2側においても抑制されるので、オン抵抗がより低くされる。
(実施の形態3)
図16および図17に示すように、MOSFET203はエピタキシャル層103を有する。エピタキシャル層103は埋込p+領域63および埋込n領域73を有する。埋込p+領域63は、埋込n領域73に接する接触部63bと、厚さ方向に直交する方向において接触部63bによって埋込n領域73から隔てられた分離領域63aとを有する。
接触部63bは、分離領域63aのアクセプタ濃度と同様のアクセプタ濃度と、埋込n領域73のドナー濃度と同様のドナー濃度とを有する。この結果、接触部63bにおいては、アクセプタの一部がドナーによって相殺されることで、p型に寄与する実効的な不純物濃度が、分離領域63aの不純物濃度よりも低くされている。分離領域63aは、たとえば、ドナーイオンビーム(図5:矢印IA)が照射される領域と、アクセプタイオンビーム(図5:矢印IB)が照射される領域とが一部重複することによって形成される。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1または2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
本実施の形態によれば、埋込p+領域63と埋込n領域73との界面近傍における埋込p+領域63の不純物濃度が低くされる。この結果、この界面近傍での電界集中を抑制し得る。
(実施の形態4)
図18および図19に示すように、MOSFET204はエピタキシャル層104を有する。エピタキシャル層104は埋込p+領域64および埋込n領域74を有する。埋込n領域74は埋込p+領域64から離れている。これにより、埋込n領域74と埋込p+領域64との界面が形成されないので、このような界面での電界集中の発生が防止される。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1または2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
(実施の形態5)
図20に示すように、MOSFET205はエピタキシャル層105を有する。エピタキシャル層105は埋込p+領域65および埋込n領域75を有する。
埋込n領域75は埋込p+領域65に接している。これにより、空乏化が開口部OPの端部においても抑制されるので、オン抵抗がより低くされる。また埋込n領域75は、埋込p+領域65と下面P1とを隔てるように延びている。これにより、埋込n領域75と下面P1とが隔てられないように埋込n領域75をパターニングする必要がない。
埋込領域75は、イオン注入(図5のIB)の注入範囲を拡げることによって形成され得る。あるいは、図21に示すように埋込領域75をエピタキシャル成長によって形成し得る。この場合は、埋込領域75の形成後に、図22に示すように、イオン注入によって埋込p+領域65が形成される。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1または2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
(特殊面)
上述した側壁面SWは、特にpボディ領域82上の部分において、特殊面を有する。特殊面を有する側壁面SWは、図23に示すように、面方位{0−33−8}を有する面S1(第1の面)を含む。言い換えれば、トレンチTRの側壁面SW上においてpボディ領域82には、面方位{0−33−8}を有する面S1(第1の面)を含む表面が設けられている。面S1は好ましくは面方位(0−33−8)を有する。
より好ましくは、側壁面SWは面S1を微視的に含み、側壁面SWはさらに、面方位{0−11−1}を有する面S2(第2の面)を微視的に含む。ここで「微視的」とは、原子間隔の2倍程度の寸法を少なくとも考慮する程度に詳細に、ということを意味する。このように微視的な構造の観察方法としては、たとえばTEM(Transmission Electron Microscope)を用いることができる。面S2は好ましくは面方位(0−11−1)を有する。
好ましくは、側壁面SWの面S1および面S2は、面方位{0−11−2}を有する複合面SRを構成している。すなわち複合面SRは、面S1およびS2が周期的に繰り返されることによって構成されている。このような周期的構造は、たとえば、TEMまたはAFM(Atomic Force Microscopy)により観察し得る。この場合、複合面SRは{000−1}面に対して巨視的に62°のオフ角を有する。ここで「巨視的」とは、原子間隔程度の寸法を有する微細構造を無視することを意味する。このように巨視的なオフ角の測定としては、たとえば、一般的なX線回折を用いた方法を用い得る。好ましくは複合面SRは面方位(0−11−2)を有する。この場合、複合面SRは(000−1)面に対して巨視的に62°のオフ角を有する。
好ましくは、チャネル面上においてキャリアが流れる方向(すなわちMOSFETの厚さ方向(図1などにおける縦方向))であるチャネル方向CDは、上述した周期的繰り返しが行われる方向に沿っている。
次に複合面SRの詳細な構造について説明する。
一般に、ポリタイプ4Hの炭化珪素単結晶を(000−1)面から見ると、図24に示すように、Si原子(またはC原子)は、A層の原子(図中の実線)と、この下に位置するB層の原子(図中の破線)と、この下に位置するC層の原子(図中の一点鎖線)と、この下に位置するB層の原子(図示せず)とが繰り返し設けられている。つまり4つの層ABCBを1周期としてABCBABCBABCB・・・のような周期的な積層構造が設けられている。
図25に示すように、(11−20)面(図24の線XXV−XXVの断面)において、上述した1周期を構成する4つの層ABCBの各層の原子は、(0−11−2)面に完全に沿うようには配列されていない。図25においてはB層の原子の位置を通るように(0−11−2)面が示されており、この場合、A層およびC層の各々の原子は(0−11−2)面からずれていることがわかる。このため、炭化珪素単結晶の表面の巨視的な面方位、すなわち原子レベルの構造を無視した場合の面方位が(0−11−2)に限定されたとしても、この表面は、微視的には様々な構造をとり得る。
図26に示すように、複合面SRは、面方位(0−33−8)を有する面S1と、面S1につながりかつ面S1の面方位と異なる面方位を有する面S2とが交互に設けられることによって構成されている。面S1および面S2の各々の長さは、Si原子(またはC原子)の原子間隔の2倍である。なお面S1および面S2が平均化された面は、(0−11−2)面(図25)に対応する。
図27に示すように、複合面SRを(01−10)面から見て単結晶構造は、部分的に見て立方晶と等価な構造(面S1の部分)を周期的に含んでいる。具体的には複合面SRは、上述した立方晶と等価な構造における面方位(001)を有する面S1と、面S1につながりかつ面S1の面方位と異なる面方位を有する面S2とが交互に設けられることによって構成されている。このように、立方晶と等価な構造における面方位(001)を有する面(図24においては面S1)と、この面につながりかつこの面方位と異なる面方位を有する面(図24においては面S2)とによって表面を構成することは4H以外のポリタイプにおいても可能である。ポリタイプは、たとえば6Hまたは15Rであってもよい。
次に図28を参照して、側壁面SWの結晶面と、チャネル面の移動度MBとの関係について説明する。図28のグラフにおいて、横軸は、チャネル面を有する側壁面SWの巨視的な面方位と(000−1)面とのなす角度D1を示し、縦軸は移動度MBを示す。プロット群CMは側壁面SWが熱エッチングによる特殊面として仕上げられた場合に対応し、プロット群MCはそのような熱エッチングがなされない場合に対応する。
プロット群MCにおける移動度MBは、チャネル面の表面の巨視的な面方位が(0−33−8)のときに最大となった。この理由は、熱エッチングが行われない場合、すなわち、チャネル表面の微視的な構造が特に制御されない場合においては、巨視的な面方位が(0−33−8)とされることによって、微視的な面方位(0−33−8)、つまり原子レベルまで考慮した場合の面方位(0−33−8)が形成される割合が確率的に高くなったためと考えられる。
一方、プロット群CMにおける移動度MBは、チャネル面の表面の巨視的な面方位が(0−11−2)のとき(矢印EX)に最大となった。この理由は、図26および図27に示すように、面方位(0−33−8)を有する多数の面S1が面S2を介して規則正しく稠密に配置されることで、チャネル面の表面において微視的な面方位(0−33−8)が占める割合が高くなったためと考えられる。
なお移動度MBは複合面SR上において方位依存性を有する。図29に示すグラフにおいて、横軸はチャネル方向と<0−11−2>方向との間の角度D2を示し、縦軸はチャネル面の移動度MB(任意単位)を示す。破線はグラフを見やすくするために補助的に付してある。このグラフから、チャネル移動度MBを大きくするには、チャネル方向CD(図23)が有する角度D2は、0°以上60°以下であることが好ましく、ほぼ0°であることがより好ましいことがわかった。
図30に示すように、側壁面SWは複合面SRに加えてさらに面S3(第3の面)を含んでもよい。より具体的には、面S3および複合面SRが周期的に繰り返されることによって構成された複合面SQを側壁面SWが含んでもよい。この場合、側壁面SWの{000−1}面に対するオフ角は、理想的な複合面SRのオフ角である62°からずれる。このずれは小さいことが好ましく、±10°の範囲内であることが好ましい。このような角度範囲に含まれる表面としては、たとえば、巨視的な面方位が{0−33−8}面となる表面がある。より好ましくは、側壁面SWの(000−1)面に対するオフ角は、理想的な複合面SRのオフ角である62°からずれる。このずれは小さいことが好ましく、±10°の範囲内であることが好ましい。このような角度範囲に含まれる表面としては、たとえば、巨視的な面方位が(0−33−8)面となる表面がある。
このような周期的構造は、たとえば、TEMまたはAFMにより観察し得る。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。たとえば、上記各実施の形態においては第1の導電型がn型であり第2の導電型がp型であるが、これらの導電型が入れ替えられもよい。この場合、上記説明におけるドナーおよびアクセプタも入れ替えられる。なお、より高いチャネル移動度を得るためには、第1導電型がn型であることが好ましい。また炭化珪素半導体装置は、必ずしも単結晶基板を有する必要はなく、単結晶基板が省略されてもよい。
40 マスク層
61〜65 埋込p+領域61(緩和領域)
63a 分離領域
63b 接触部
71〜75 埋込n領域(高濃度領域)
80 単結晶基板
81 n-ドリフト層(ドリフト層)
81a 下層(第1の層)
81b 上層(第2の層)
82 pボディ領域
83 nソース領域
84 p+コンタクト領域
91 ゲート酸化膜(ゲート絶縁膜)
92 ゲート電極
93 層間絶縁膜
94 ソース電極(第1の電極)
95 ソース配線層
98 ドレイン電極(第2の電極)
101〜105 エピタキシャル層
201〜205 MOSFET(炭化珪素半導体装置)
BT 底面
OP 開口部
P1 下面(第1の主面)
P2 上面(第2の主面)
S1 面(第1の面)
S2 面(第2の面)
SQ,SR 複合面
SW 側壁面
TQ 凹部
TR トレンチ

Claims (15)

  1. 炭化珪素半導体装置であって、
    第1の主面と前記第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有するドリフト層と、
    前記ドリフト層の前記第2の主面上に設けられ、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有するボディ領域と、
    前記ボディ領域によって前記ドリフト層から隔てられるように前記ボディ領域上に設けられ、前記第1の導電型を有するソース領域と、
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れて前記ドリフト層中に埋め込まれ、前記第2の導電型を有する緩和領域とを備え、前記緩和領域には、前記第1の導電型を有する領域によって前記第1の主面と前記第2の主面とが前記厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられており、さらに
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れ、少なくとも部分的に前記緩和領域の前記開口部中に位置し、前記第1の導電型を有し、前記ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する高濃度領域と、
    前記ドリフト層と前記ソース領域とをつなぐように前記ボディ領域上に設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    前記ソース領域上に設けられた第1の電極と、
    前記ドリフト層と電気的に接続され、前記ドリフト層を介して前記第1の電極と対向する第2の電極とを備え
    前記緩和領域は前記高濃度領域の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する、炭化珪素半導体装置。
  2. 前記第1の電極および前記第2の電極の間に600V以上の電圧を印加可能に構成されている、請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
  3. 炭化珪素半導体装置であって、
    第1の主面と前記第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有するドリフト層と、
    前記ドリフト層の前記第2の主面上に設けられ、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有するボディ領域と、
    前記ボディ領域によって前記ドリフト層から隔てられるように前記ボディ領域上に設けられ、前記第1の導電型を有するソース領域と、
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れて前記ドリフト層中に埋め込まれ、前記第2の導電型を有する緩和領域とを備え、前記緩和領域には、前記第1の導電型を有する領域によって前記第1の主面と前記第2の主面とが前記厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられており、さらに
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れ、少なくとも部分的に前記緩和領域の前記開口部中に位置し、前記第1の導電型を有し、前記ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する高濃度領域と、
    前記ドリフト層と前記ソース領域とをつなぐように前記ボディ領域上に設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    前記ソース領域上に設けられた第1の電極と、
    前記ドリフト層と電気的に接続され、前記ドリフト層を介して前記第1の電極と対向する第2の電極とを備え、
    前記高濃度領域は前記第1の主面に向かって前記緩和領域よりも延びている炭化珪素半導体装置。
  4. 炭化珪素半導体装置であって、
    第1の主面と前記第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有するドリフト層と、
    前記ドリフト層の前記第2の主面上に設けられ、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有するボディ領域と、
    前記ボディ領域によって前記ドリフト層から隔てられるように前記ボディ領域上に設けられ、前記第1の導電型を有するソース領域と、
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れて前記ドリフト層中に埋め込まれ、前記第2の導電型を有する緩和領域とを備え、前記緩和領域には、前記第1の導電型を有する領域によって前記第1の主面と前記第2の主面とが前記厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられており、さらに
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れ、少なくとも部分的に前記緩和領域の前記開口部中に位置し、前記第1の導電型を有し、前記ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する高濃度領域と、
    前記ドリフト層と前記ソース領域とをつなぐように前記ボディ領域上に設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    前記ソース領域上に設けられた第1の電極と、
    前記ドリフト層と電気的に接続され、前記ドリフト層を介して前記第1の電極と対向する第2の電極とを備え、
    前記高濃度領域は前記第2の主面に向かって前記緩和領域よりも延びている炭化珪素半導体装置。
  5. 前記高濃度領域は前記緩和領域に接している、請求項1〜のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
  6. 炭化珪素半導体装置であって、
    第1の主面と前記第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有するドリフト層と、
    前記ドリフト層の前記第2の主面上に設けられ、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有するボディ領域と、
    前記ボディ領域によって前記ドリフト層から隔てられるように前記ボディ領域上に設けられ、前記第1の導電型を有するソース領域と、
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れて前記ドリフト層中に埋め込まれ、前記第2の導電型を有する緩和領域とを備え、前記緩和領域には、前記第1の導電型を有する領域によって前記第1の主面と前記第2の主面とが前記厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられており、さらに
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れ、少なくとも部分的に前記緩和領域の前記開口部中に位置し、前記第1の導電型を有し、前記ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する高濃度領域と、
    前記ドリフト層と前記ソース領域とをつなぐように前記ボディ領域上に設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    前記ソース領域上に設けられた第1の電極と、
    前記ドリフト層と電気的に接続され、前記ドリフト層を介して前記第1の電極と対向する第2の電極とを備え、
    前記高濃度領域は前記緩和領域に接し、
    前記緩和領域は、前記高濃度領域に接する接触部と、前記厚さ方向に直交する方向において前記接触部によって前記高濃度領域から隔てられた分離領域とを有し、前記接触部は前記分離領域の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有する炭化珪素半導体装置。
  7. 炭化珪素半導体装置であって、
    第1の主面と前記第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有するドリフト層と、
    前記ドリフト層の前記第2の主面上に設けられ、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有するボディ領域と、
    前記ボディ領域によって前記ドリフト層から隔てられるように前記ボディ領域上に設けられ、前記第1の導電型を有するソース領域と、
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れて前記ドリフト層中に埋め込まれ、前記第2の導電型を有する緩和領域とを備え、前記緩和領域には、前記第1の導電型を有する領域によって前記第1の主面と前記第2の主面とが前記厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられており、さらに
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れ、少なくとも部分的に前記緩和領域の前記開口部中に位置し、前記第1の導電型を有し、前記ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する高濃度領域と、
    前記ドリフト層と前記ソース領域とをつなぐように前記ボディ領域上に設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    前記ソース領域上に設けられた第1の電極と、
    前記ドリフト層と電気的に接続され、前記ドリフト層を介して前記第1の電極と対向する第2の電極とを備え、
    前記高濃度領域は前記緩和領域に接し、
    前記高濃度領域は、前記緩和領域と前記第1の主面とを隔てるように延びている炭化珪素半導体装置。
  8. 炭化珪素半導体装置であって、
    第1の主面と前記第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有するドリフト層と、
    前記ドリフト層の前記第2の主面上に設けられ、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有するボディ領域と、
    前記ボディ領域によって前記ドリフト層から隔てられるように前記ボディ領域上に設けられ、前記第1の導電型を有するソース領域と、
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れて前記ドリフト層中に埋め込まれ、前記第2の導電型を有する緩和領域とを備え、前記緩和領域には、前記第1の導電型を有する領域によって前記第1の主面と前記第2の主面とが前記厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられており、さらに
    前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れ、少なくとも部分的に前記緩和領域の前記開口部中に位置し、前記第1の導電型を有し、前記ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する高濃度領域と、
    前記ドリフト層と前記ソース領域とをつなぐように前記ボディ領域上に設けられたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
    前記ソース領域上に設けられた第1の電極と、
    前記ドリフト層と電気的に接続され、前記ドリフト層を介して前記第1の電極と対向する第2の電極とを備え、
    前記高濃度領域は前記緩和領域から離れている炭化珪素半導体装置。
  9. 前記ゲート絶縁膜に覆われた側壁面を有するトレンチが設けられた、請求項1〜のいずれかに記載の炭化珪素半導体装置。
  10. 前記トレンチの前記側壁面上において前記ボディ領域には、面方位{0−33−8}を有する第1の面を含む表面が設けられている、請求項に記載の炭化珪素半導体装置。
  11. 前記表面は前記第1の面を微視的に含み、前記表面はさらに、面方位{0−11−1}を有する第2の面を微視的に含む、請求項10に記載の炭化珪素半導体装置。
  12. 前記表面の前記第1および第2の面は、面方位{0−11−2}を有する複合面を構成している、請求項11に記載の炭化珪素半導体装置。
  13. 前記表面は{000−1}面に対して、巨視的に62°±10°のオフ角を有する、請求項12に記載の炭化珪素半導体装置。
  14. 炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
    第1の主面と前記第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有するドリフト層を形成する工程を備え、前記ドリフト層を形成する工程は、前記第1の主面をなす第1の層を形成する工程と、前記第1の層上に前記第2の主面をなす第2の層を形成する工程とを含み、さらに
    前記第1の層を形成する工程の後かつ前記第2の層を形成する工程の前に前記第1の層上に、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有する緩和領域と、前記第1の導電型を有する高濃度領域とを形成する工程を備え、前記緩和領域は前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れて前記ドリフト層中に埋め込まれ、前記緩和領域には、前記第1の導電型を有する領域によって前記第1の主面と前記第2の主面とが前記厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられ、前記高濃度領域は、前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れ、少なくとも部分的に前記緩和領域の前記開口部中に位置し、前記ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有し、さらに
    前記ドリフト層の前記第2の主面上に、前記第2の導電型を有するボディ領域を形成する工程と、
    前記ボディ領域によって前記ドリフト層から隔てられるように前記ボディ領域上に、前記第1の導電型を有するソース領域を形成する工程と、
    前記ドリフト層と前記ソース領域とをつなぐように前記ボディ領域上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
    前記ソース領域上に第1の電極を形成する工程と、
    前記ドリフト層と電気的に接続され、前記ドリフト層を介して前記第1の電極と対向する第2の電極を形成する工程とを備え、
    前記緩和領域は前記高濃度領域の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する、炭化珪素半導体装置の製造方法。
  15. 炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
    第1の主面と前記第1の主面に厚さ方向において対向する第2の主面とを有し、第1の導電型を有するドリフト層を形成する工程を備え、前記ドリフト層を形成する工程は、前記第1の主面をなす第1の層を形成する工程と、前記第1の層上に前記第2の主面をなす第2の層を形成する工程とを含み、さらに
    前記第1の層を形成する工程の後かつ前記第2の層を形成する工程の前に前記第1の層上に、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有する緩和領域と、前記第1の導電型を有する高濃度領域とを形成する工程を備え、前記緩和領域は前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れて前記ドリフト層中に埋め込まれ、前記緩和領域には、前記第1の導電型を有する領域によって前記第1の主面と前記第2の主面とが前記厚さ方向に沿ってつながるように開口部が設けられ、前記高濃度領域は、前記第1の主面および前記第2の主面の各々から離れ、少なくとも部分的に前記緩和領域の前記開口部中に位置し、前記ドリフト層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有し、さらに
    前記ドリフト層の前記第2の主面上に、前記第2の導電型を有するボディ領域を形成する工程と、
    前記ボディ領域によって前記ドリフト層から隔てられるように前記ボディ領域上に、前記第1の導電型を有するソース領域を形成する工程と、
    前記ドリフト層と前記ソース領域とをつなぐように前記ボディ領域上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
    前記ソース領域上に第1の電極を形成する工程と、
    前記ドリフト層と電気的に接続され、前記ドリフト層を介して前記第1の電極と対向する第2の電極を形成する工程とを備え
    前記高濃度領域は前記第1の主面に向かって前記緩和領域よりも延びている、炭化珪素半導体装置の製造方法。
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