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JP6008888B2 - 加熱調理器及び加熱制御方法 - Google Patents

加熱調理器及び加熱制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、米等の食品を入れた鍋状容器を加熱調理する加熱調理器及び加熱制御方法に関するものである。
健康志向の高まりに伴い玄米食が見直されて久しいが、玄米には皮(種皮や果皮)があるため、「炊飯時間が長い」、「皮がボソボソして美味しくない」といった点で好まれないことが多い。
そこで従来、短時間に炊飯し、白米ご飯と同等の食感に炊き上げることを目的に、玄米に水を吸水させる前炊き工程と、玄米の糊化を促進する加熱工程を含む炊飯工程を有し、前記加熱工程において水を加える工程を設けて炊飯する炊飯器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−206364号公報(例えば、請求項1等参照)
しかしながら、特許文献1に記載のように、加熱工程である沸騰中の状態で水を加えると、玄米の皮が破れるのと同時に米粒が割れたりすることで玄米内部の胚乳部のデンプンが炊飯液に溶出し、炊きあがったときには皮と胚乳部が分離してしまい、皮の口当たりが悪くて美味しくないという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、短時間に美味しい玄米ご飯を炊飯することが可能な加熱調理器及び加熱制御方法を提供することを目的としている。
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を収容する鍋状容器を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記鍋状容器に前記被加熱物として玄米が収容され、前記玄米を炊き上げる玄米用の炊飯工程で実行される吸水工程において、前記被加熱物の温度が前記玄米の皮の軟化温度以上に到達すると、前記加熱手段への入力を停止し、その後、前記被加熱物の温度を糊化温度以上で保持するものである。
本発明に係る加熱制御方法は、玄米を炊き上げる玄米用の炊飯工程を備えた加熱制御方法であって、前記炊飯工程で実行される吸水工程において、鍋状容器に収容された被加熱物の温度が玄米の皮の軟化温度以上に到達すると、前記鍋状容器を加熱する加熱手段への入力を停止し、前記加熱手段への入力停止後、前記被加熱物の温度が予め定めた設定温度より低下した場合、前記鍋状容器の温度及び前記被加熱物の温度のいずれか1つの温度情報に基づいて前記被加熱物の温度を予め定めた糊化温度以上で保持するものである。
本発明の加熱調理器及び加熱制御方法によれば、玄米の皮を軟化させて吸水工程を実行することで、短時間に玄米を炊飯することができ、且つ、炊き上がりが美味しい玄米ご飯になる。
本発明の実施の形態に係る家庭用IH式炊飯器の構成の一例を概略的に示す断面模式図である。 本発明の実施の形態に係る家庭用IH式炊飯器の炊飯工程と、被加熱物温度、鍋状容器温度、加熱コイルへの通電電力の推移の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る家庭用IH式炊飯器の炊飯工程を説明するフローチャートである。 本実施の形態とは異なる温度履歴で加熱した吸水工程終了直後の玄米の状態を示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る家庭用IH式炊飯器の吸水工程終了直後の玄米の状態を示すイメージ図である。 本発明の実施の形態に係る家庭用IH式炊飯器の炊飯工程と、被加熱物温度、鍋状容器温度、加熱コイルへの通電電力の推移の他の一例を示す図である。
以下、本発明に係る加熱調理器及び加熱制御方法の実施の形態について、家庭用IH式炊飯器に適用した場合を例に図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係る家庭用IH式炊飯器(以下、炊飯器100と称する)の構成の一例を概略的に示す断面模式図である。図1に基づいて、炊飯器100について説明する。この炊飯器100は、被加熱物(本実施の形態では米200及び水201)を入れた鍋状容器5を加熱コイル3で加熱することで被加熱物を炊き上げるものである。
図1に示すように、炊飯器100は、例えば外観が有底筒状の本体1と、本体1に取り付けられ、本体1の上部開口部を開閉する蓋体10と、を備えている。
(本体1)
本体1は、容器カバー2と、加熱手段としての加熱コイル3と、鍋底温度センサー4と、蓋体10を開閉自在に支持するヒンジ部6と、時間計測手段7と、各部及び各装置を駆動制御して炊飯工程を実行する制御手段8とを備えている。
容器カバー2は、有底筒状に形成されていて、その内部に鍋状容器5が着脱自在に収容されるものである。容器カバー2の底部中央には、鍋底温度センサー4が挿入される孔部2aが設けられている。
なお、鍋状容器5は、誘導加熱により発熱する磁性体の金属を含む材料で構成され、有底円筒形状である。鍋状容器5の上端部外周には、フランジ部5aが形成されている。
加熱コイル3は、制御手段8により通電制御され、鍋状容器5を誘導加熱するものである。なお、加熱手段として、加熱コイル3に代えてシーズヒーター等の電気ヒーターを設けてもよい。また、図1の例では、鍋状容器5の底面近傍に加熱コイル3を配置しているが、加熱コイル3の配置は図示のものに限定されず、例えば鍋状容器5の底面近傍に加えて鍋状容器5の側面に沿って加熱コイル3を設けてもよい。加熱コイル3が、本発明の「加熱手段」に相当する。
鍋底温度センサー4は、例えばサーミスタで構成され、鍋状容器5の温度を検知するものである。鍋底温度センサー4は、バネ等の弾性手段によって上方に付勢されており、容器カバー2に収容された鍋状容器5の底面に接するように構成されている。鍋底温度センサー4が検知した鍋状容器5の温度に関する情報は、制御手段8に出力される。なお、鍋底温度センサー4の具体的構成はサーミスタに限定されず、鍋状容器5に接触して温度を検知する接触式温度センサーのほか、例えば赤外線センサー等の鍋状容器5の温度を非接触で検知する非接触式温度センサーを採用してもよい。
ヒンジ部6は、本体1の上部の一端側(紙面左側)に設けられ、蓋体10を開閉自在に支持するものである。
なお、本体1に、炊飯器100を運搬するためのハンドル(図示省略)を設けておいてもよい。ハンドルを設ける場合には、ハンドルを本体1の側面上部の略前後中央に軸支し、ハンドルの回転方向を蓋体10の回動方向と一致させるとよい。そうすれば、炊飯器100を運搬する際には、使用者はハンドルの軸支点のほぼ直上に位置するようにハンドルを回転させて持ち上げ、ハンドルのみを持って炊飯器100を運搬することが可能となる。
時間計測手段7は、制御手段8に指示されて経過時間をカウントするようになっている。そして、時間計測手段7がカウントした経過時間は、制御手段8に出力される。
制御手段8は、鍋底温度センサー4、並びに蓋体10に設けられた操作表示部15及び内部温度センサー16からの出力に基づいて、加熱コイル3に通電する高周波電流を制御する。そのほか、制御手段8は、炊飯器100の動作全般を制御する。制御手段8は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
(蓋体10)
蓋体10は、外蓋11と、内蓋12と、を有している。外蓋11には、後述するカートリッジ14が着脱自在に設けられ、外蓋11の上面には操作表示部15が設けられている。
外蓋11は、蓋体10の上部及び側部を構成し、その下面(鍋状容器5に対向する面)には、内蓋12が着脱自在に取り付けられている。
内蓋12は、例えばステンレスなどの金属で構成されており、外蓋11の本体1側の面に係止材13を介して取り付けられている。内蓋12の周縁部には、鍋状容器5の上端部外周に形成されたフランジ部5aとの密閉性を確保するためのシール材の蓋パッキン9が取り付けられている。また、内蓋12には、内部温度センサー16を挿入させる孔部12aが設けられている。さらに、内蓋12には、鍋状容器5内で発生した蒸気が出入する蒸気口12bが設けられ、後述するカートリッジ14の蒸気取入口14aと通じている。
なお、外蓋11には、内蓋12の孔部12aに挿入された内部温度センサー16の外周の隙間を塞ぐパッキン11aが取り付けられている。
(カートリッジ14)
カートリッジ14は、外蓋11の上面に着脱自在に設けられている。カートリッジ14には、炊飯中に発生する蒸気圧に応じて上下動する弁(図示せず)を備えた蒸気取入口14aと、蒸気取入口14aの弁を通過した蒸気を外部へ排出する蒸気排出口14bとが設けられている。蒸気取入口14aは蒸気口12bに通じており、蒸気は、蒸気口12bを通過して蒸気取入口14aからカートリッジ14内に入ってカートリッジ14内を流れ、蒸気排出口14bからカートリッジ14の外へ流出する。カートリッジ14内を流れる過程において蒸気は冷却されて復水するので、炊飯器100の外へ流出する蒸気量を減らすことができる。
(操作表示部15)
操作表示部15は、外蓋11の上面に設けられている。この操作表示部15は、使用者からの各種指示(例えば、炊飯の開始、取り消し、予約など)を受け付けるとともに、各種情報(例えば、操作入力に関する情報、炊飯器100の動作状態など)、を表示するものである。操作表示部15に対して設定可能な項目としては、例えば、炊飯の開始、取り消し、炊飯予約、炊飯メニューがある。炊飯メニューの具体例としては、白米炊飯又は玄米炊飯等の米の種類に関するもの、標準炊飯又は早炊き炊飯等の炊飯時間に関するもの、かため又はやわらかめ等の炊き上がりの米飯のかたさに関するもの等が挙げられる。操作表示部15が表示する項目としては、例えば、炊飯中又は予約待機中等の炊飯器100の状態、設定されている炊飯メニューの内容、炊き上がりの予定時刻、現在時刻、炊飯する米の量等が挙げられる。なお、ここで示した操作表示部15の具体的構成は一例であり、本発明を限定するものではない。
操作表示部15に対して使用者が操作入力を行うと、本体1に内蔵された制御手段8は、入力された炊飯メニュー及び炊飯する米の量に合わせた炊飯プログラムに従って、加熱コイル3を動作させて炊飯工程を実行する。
(内部温度センサー16)
内部温度センサー16は、鍋状容器5内の温度を検知する温度検知手段であり、外蓋11に取り付けられている。内部温度センサー16の一部は内蓋12の孔部12aに挿入されており、内部温度センサー16は孔部12aを介して鍋状容器5内の温度を検知するようになっている。内部温度センサー16は、例えばサーミスタで構成することができる。内部温度センサー16が検知した鍋状容器5内の温度に関する情報は、制御手段8に出力される。
次に、炊飯器100の炊飯工程の動作について説明する。
図2は、炊飯器100の炊飯工程と、被加熱物温度、鍋状容器温度、加熱コイルへの通電電力の推移の一例を示す図である。図3は、炊飯器100の炊飯工程を説明するフローチャートである。以下、炊飯器100の炊飯工程を、図2及び図3を参照して説明する。なお、本実施の形態では、被加熱物温度、すなわち鍋状容器5の内部温度を、内部温度センサー16の検出値に基づいて検出する。また、鍋状容器温度(鍋状容器5の温度)を、鍋底温度センサー4の検出値に基づいて検出する。
まず、炊飯器100の炊飯工程を構成する各工程について大まかに説明する。
図2、図3に示すように、炊飯器100の炊飯工程は、吸水工程(ステップS1)と、昇温工程(ステップS7)と、沸騰維持工程(ステップS8)と、蒸らし工程(ステップS9)とを含んでいる。
吸水工程とは、米の内部にまで吸水を促す工程である。その次の昇温工程とは、吸水工程終了後から鍋状容器5内の水が沸騰するまでの工程である。鍋状容器5内の水が沸騰すると、制御手段8は、次の沸騰維持工程に移行する。この沸騰維持工程では、鍋状容器5内の温度が沸騰温度を保持するように加熱し、米のデンプンの糊化を促進する。最後の蒸らし工程とは、鍋状容器5内の米を蒸らすことにより米粒中心部まで糊化を進行させ、且つ、米粒内の水分の分布を均一にする工程である。
次に、炊飯器100の炊飯工程の動作について説明する。
まず、使用者が、米200と水201を入れた鍋状容器5を、本体1内の容器カバー2に収納し、蓋体10を閉じ、操作表示部15で炊飯メニューを玄米炊飯と設定し、炊飯スイッチ(図示せず)を押下して、炊飯器100に動作指示を与える。炊飯器100は、炊飯スイッチが使用者によって押下され、動作指示が与えられることで制御手段8は炊飯工程を開始する。
加熱が開始されると、ステップS1の吸水工程が実行される。制御手段8は、時間計測手段7で経過時間tの計測を開始させ(ステップS2)、予め設定された電力Pで加熱コイル3に通電し、鍋状容器5の加熱を行う(ステップS3)。
次に、制御手段8は、内部温度センサー16が検知する被加熱物の温度Tが、玄米の皮の軟化温度であるT2(たとえば80℃)以上であるか否かを判定する(ステップS4)。内部温度センサー16が検知する温度TがT2以上であると判定すると(ステップS4;Yes)、制御手段8は、加熱コイル3への通電を遮断する(ステップS5)。そして、制御手段8は、時間計測手段7がカウントする経過時間tが予め設定された経過時間t2以上であるか否かを判定する(ステップS6)。経過時間tが予め設定された経過時間t2以上であると判定すると(ステップS6;Yes)、制御手段8は、次の昇温工程に進み、順次、沸騰維持工程、蒸らし工程を実行し炊飯が終了する。
以上のように、炊飯器100によれば、被加熱物を皮が軟化する温度まで到達すると、加熱コイル3への通電を遮断し、被加熱物の温度を低下させることで、短時間に美味しく炊飯することができるという効果を奏する。
図4は、本実施の形態とは異なる温度履歴で加熱した吸水工程終了直後の玄米の状態を示すイメージ図である。図5は、炊飯器100の吸水工程終了直後の玄米の状態を示すイメージ図である。図4及び図5を参照しながら、玄米の炊き上がり状態について説明する。
吸水工程において、被加熱物の温度を低温(たとえば30℃)に保持しても玄米の皮が軟らかくならず、内部のデンプンへの吸水が進まない。低温で吸水させるためには1晩以上の時間を要する。吸水が不十分なまま昇温工程、沸騰維持工程、蒸らし工程と炊飯工程を進めても、皮と胚乳部がなかなか軟らかくならない。水の量を増やして長時間沸騰維持させると胚乳部だけが過剰に吸水してぐちゃぐちゃになり、皮と胚乳部が分離して皮の口当たりが悪く美味しくない。
そこで、炊飯器100では、吸水工程で玄米を高温にさらすことで玄米の皮が軟化し、且つデンプンの吸水も進むため、短時間で美味しく炊飯できるようにしている。実験により70℃付近から玄米の皮の軟化が起こり始め、温度が高いほど、特に80℃以上で軟化が進みやすいことが分かった。さらに、単純に軟化温度を維持するように加熱を続けるのではなく、本実施の形態のように皮の軟化温度以上に到達したら加熱手段への入力を停止し被加熱物の温度を低下させることで、粒の形状をきれいに保持した状態で炊きあがり、好ましい食感の美味しい玄米ご飯になることが分かった。
皮の軟化温度のまま加熱を続けると、皮に生じた裂け目から胚乳部のデンプンが急激に、且つ、過剰に吸水して膨らみ、結果、その裂け目から一部のデンプンがはみ出す状態となって、吸水工程終了時には米粒がいびつな形状となる(図4参照)。この状態で炊き上げると、皮からはみ出したデンプン部分がぐちゃぐちゃして食感が悪くなり美味しくない。
しかし、本実施の形態のように軟化温度に到達すると加熱手段への入力を停止し、被加熱物の温度を低下させることで胚乳部のデンプンの過剰吸水を抑制できる。そして、一旦は軟化温度以上の高温にさらすことで皮が軟化して組織構造が緩みつつ、余熱で徐々に胚乳部のデンプンの吸水も進むため、皮と胚乳部がほぼ同時進行で膨らむ。そのため、図5のように米粒の形状を保持したままの状態で吸水工程を終了することができ、この状態で炊き上げると、飯粒の食感が良く美味しい玄米ごはんとなる。
なお、ステップS4において内部温度センサー16で被加熱物の温度を検知して加熱コイル3への通電、遮断を判断したが、鍋底温度センサー4で鍋底温度T1を検知することにより、被加熱物の温度を予測して判断するようにしてもよい。鍋底温度センサー4で鍋底温度T1を検知することにより、鍋底部の玄米が過加熱状態になって焦げてしまうことを抑止することができる。
ただし、内部温度センサー16で被加熱物の温度を推測して判断することにより、被加熱物全体が十分に皮の軟化温度に到達したことを判断することができる。
また、温度検知手段の情報に基づくのではなく、予め設定された電力Pで予め設定された時間t1だけ加熱するようにしてもよい。
外気温が高い場合や炊飯量が多い場合は、加熱コイル3への通電を遮断してもなかなか温度が下がらないことがある。その場合は、前述したように胚乳部のデンプンが急激に、且つ、過剰に吸水して膨らみ、美味しくない玄米ご飯につながってしまう。そのため、冷却手段として炊飯器100に給水手段を設けるようにしてもよい(図示せず)。たとえば、ステップS4で内部温度センサー16が検知する温度TがT2以上であると判定すると(ステップS4;Yes)、制御手段8は、給水手段を動作させ鍋状容器5内に水を供給し被加熱物の温度を低下させる。また、冷却手段としてファンを設け、ファンによって風をあてることで冷却するようにしてもよい。
逆に、外気温が低い場合や炊飯量が少ない場合は、加熱コイル3への通電を遮断するとすぐに温度が下がり所望の温度(予め定めた設定温度)よりも低下することがある。デンプンは温度が高ければ高いほど吸水が進むため、ここで温度が下がりすぎると玄米の中心部まで水が行き渡らず、芯のある炊き上がりにつながってしまう。その場合は、図6に示すように鍋底温度センサー4及び内部温度センサー16の少なくとも1つからの情報に基づいて所望の温度帯(予め定めた温度帯、この場合は、温度T4〜T3の間)を保持するように加熱コイル3へ通電するようにしてもよい。または,所望の温度帯を保持するような所定の電力で加熱コイル3へ通電するようにしてもよい。図6は、炊飯器100の炊飯工程と、被加熱物温度、鍋状容器温度、加熱コイルへの通電電力の推移の他の一例を示す図である。
なお、温度T3が糊化温度以上の場合、より短時間に吸水が進むため炊飯時間の短縮につながるという効果がある。
一方、温度T3が糊化温度未満の場合、胚乳部のデンプンが過剰に吸水することがないため、炊き上がりの食感が悪くなるのを防ぐことができる。また、吸水時間を長時間実施することが可能となり、その結果、糊化温度以下の温度帯で酵素活性が高いGABA生成酵素の働きにより、健康に良いといわれるGABA(γ−アミノ酪酸)を多く含んだ玄米ご飯を炊き上げることができるという効果がある。
そのため、吸水工程の時間を予め設定された時間t2だけ実行するのではなく、内部温度センサー16または鍋底温度センサー4の情報に基づいて判断してもよい。また、温度の低下は前述のとおり外気温や炊飯量に依存するため、外気温検知手段や炊飯量判定手段の情報に基づき、吸水工程の時間を判断してもよい。もしくは、予め設定された時間t2で判断するのではなく、皮の軟化温度以上に到達したと判断した後の時間(すなわち、時間t2−t1)を所定の時間とするようにしてもよい。皮の軟化温度以上まで到達させた後の工程は吸水が進みやすいため、到達後の時間を所定の時間とすることで炊飯するたびに吸水工程での吸水ばらつきが発生することなく、毎回同一の仕上がりの玄米ご飯を供することができる。
なお、本実施の形態では本発明に係る加熱調理器及び加熱制御方法を家庭用IH式炊飯器を例にして、炊飯器における玄米の炊飯について述べたが、炊飯器に限るものではなく、たとえばIHクッキングヒーターやガスコンロなどの加熱調理器を用いた加熱制御方法に適用してもよい。IHクッキングヒーターやガスコンロなどの加熱調理器であれば、炊飯器100が備える本体1や容器カバー2がない状態で炊飯することになるため、加熱手段への入力を停止すると鍋状容器内の被加熱物の温度が早く冷えるため、外気温が高い場合や炊飯量が多い場合であっても冷却手段が不要で図2に示すような理想的な温度履歴で炊飯が可能となる。
なお、これまで玄米での炊飯について述べてきたが、皮がついた状態のまま食する穀類、たとえばアワなどにも適用することで美味しく炊飯することができる。
1 本体、2 容器カバー、2a 孔部、3 加熱コイル、4 鍋底温度センサー、5 鍋状容器、5a フランジ部、6 ヒンジ部、7 時間計測手段、8 制御手段、9 蓋パッキン、10 蓋体、11 外蓋、11a パッキン、12 内蓋、12a 孔部、12b 蒸気口、13 係止材、14 カートリッジ、14a 蒸気取入口、14b 蒸気排出口、15 操作表示部、16 内部温度センサー、100 炊飯器、200 米、201 水。

Claims (4)

  1. 被加熱物を収容する鍋状容器を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記鍋状容器に前記被加熱物として玄米が収容され、前記玄米を炊き上げる玄米用の炊飯工程で実行される吸水工程において、前記被加熱物の温度が前記玄米の皮の軟化温度以上に到達すると、前記加熱手段への入力を停止し、その後、前記被加熱物の温度を糊化温度以上で保持する
    ことを特徴とする加熱調理器。
  2. 冷却手段を有し、
    前記制御手段は、
    前記吸水工程において、前記被加熱物の温度が前記玄米の皮の軟化温度に到達すると、前記冷却手段を制御して前記被加熱物を冷却する
    ことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 前記冷却手段として前記鍋状容器内に水を供給する給水手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記吸水工程において、前記被加熱物の温度が前記玄米の皮の軟化温度に到達すると、前記給水手段を動作させて前記鍋状容器内に水を供給させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
  4. 玄米を炊き上げる玄米用の炊飯工程を備えた加熱制御方法であって、
    前記炊飯工程で実行される吸水工程において、
    鍋状容器に収容された被加熱物の温度が玄米の皮の軟化温度以上に到達すると、前記鍋状容器を加熱する加熱手段への入力を停止し、前記加熱手段への入力停止後、前記被加熱物の温度が予め定めた設定温度より低下した場合、前記鍋状容器の温度及び前記被加熱物の温度のいずれか1つの温度情報に基づいて前記被加熱物の温度を予め定めた糊化温度以上で保持する
    ことを特徴とする加熱制御方法。
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