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JP6305421B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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JP6305421B2
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Description

本発明は、制御部を備える加熱調理器に関する。
肉、魚又は野菜等の食材、調味料等が収容される鍋状容器が調理器本体に設置されて、これらの被加熱物が加熱調理される加熱調理器が、従来から提案されている。特許文献1には、炊飯鍋内と外部とを接続する排気通路を備え、この排気通路を閉塞するリリーフ弁を制御して保温調整が行われる炊飯器が開示されている。特許文献1は、保温工程において、炊飯鍋内が予め設定された基準温度以下の状態で、蓋体の閉塞状態が所定時間以上継続して検出されると、ソレノイドを動作させて排気通路がリリーフ弁で閉塞される。これにより、この従来技術は、炊飯鍋内を効果的に保湿しようとするものである。
特開2008−67843号公報(請求項1、第6頁)
しかしながら、特許文献1に開示された炊飯器は、保温工程において、炊飯鍋内が予め設定された基準温度以下の状態で、蓋体の閉塞状態が所定時間以上継続して検出されると、ソレノイドを動作させて排気通路がリリーフ弁で閉塞され、炊飯鍋内が密閉される。このため、炊飯鍋内の温度が低下する間に、炊飯器の周囲の空気中に存在する微生物が排気通路を通って炊飯鍋内に混入してしまう可能性がある。
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたもので、鍋状容器に収容される被加熱物の貯留状態を最適化し、鍋状容器内への微生物等の混入を抑制する加熱調理器を提供するものである。
本発明に係る加熱調理器は、調理器本体と、調理器本体に設置され、被加熱物が収容される鍋状容器と、鍋状容器を加熱する加熱部と、鍋状容器に載置され、鍋状容器内の蒸気が排出される通気口を備える蓋体と、通気口を開閉し、通気口を閉じたときに鍋状容器を密閉する通気弁と、加熱部の火力を制御する制御部と、を有し、調理モードの終了後に行われる保存モードとして、調理モードの終了後に被加熱物を常温保存する常温保存モード、又は、調理モードの終了後に被加熱物を加温保存する加温保存モードを備え、制御部は、常温保存モードの場合、調理モードの終了後に加熱部による加熱を停止するものであり、通気口が閉じられた状態において被加熱物が常温保存されており、加温保存モードの場合、調理モードの終了後に被加熱物を予め設定された温度で加温するように加熱部を制御するものであり、調理モードの終了後に行われる保存モードに応じて、調理モードにおける加熱部の加熱制御を変更するものである。
本発明によれば、モード設定部によって保存モードを設定することができるため、この保存モードが設定されているとき、電力を消費せず、省エネに資する。
実施の形態1に係る加熱調理器1を示す側面図である。 実施の形態1に係る加熱調理器1の通気口7が開いている状態を示す側面図である。 実施の形態1に係る加熱調理器1の通気口7が閉じている状態を示す側面図である。 実施の形態1に係る加熱調理器1を示すブロック図である。 実施の形態1における調理モードC時の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1における常温保存モードP時の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1における加温保存モードK時の動作を示すフローチャートである。 実施の形態2における再加熱モードR時の動作を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る加熱調理器1を示す側面図である。 実施の形態3における調理モードC時の動作を示すフローチャートである。 実施の形態4における再加熱モードR時の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る加熱調理器の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器1を示す正面図である。この図1に基づいて、加熱調理器1について説明する。図1に示すように、加熱調理器1は、調理器本体2と、調理器本体2に設置された鍋状容器3とを備えている。
(調理器本体2)
加熱調理器1は、肉、野菜等の食材52及び煮汁53といった被加熱物51が収容される鍋状容器3を、調理器本体2に設けられた加熱部4で加熱することにより、被加熱物51を調理するものである。調理器本体2は、加熱部4のほかに、容器カバー11、モード設定部5、容器温度検知部12、時間計測部13及び制御部21を備えている。
(加熱部4)
加熱部4は、例えば、加熱コイルからなり、制御部21により加熱コイルへの通電が制御されて、鍋状容器3を誘導加熱するものである。なお、加熱部4は、加熱コイルのほかに、シースヒータ等の電気ヒータとしてもよい。
(容器カバー11)
また、容器カバー11は、調理器本体2の上面を覆うものであり、容器カバー11上に、鍋状容器3が着脱自在に載置される。そして、この容器カバー11の中央部には、孔部11aが設けられており、この孔部11aから、容器温度検知部12が挿入されて、鍋状容器3の底面に容器温度検知部12が取り付けられている。
(モード設定部5)
モード設定部5は、例えば調理器本体2の前面(矢印Y1方向)に設けられており、使用者からの操作入力を受け付ける操作機能と、操作入力に関する情報及び加熱調理器1の動作状態等を表示する表示機能とを併せ持った操作表示部(タッチパネル)である。このモード設定部5で操作設定可能な項目としては、例えば、調理の開始及び取り消し、調理予約、加熱時間、火力の強弱、食材の種類、調理方法又は自動調理メニュー等が挙げられる。このうち、食材の種類としては、肉、魚及び野菜等が挙げられる。また、調理方法の例としては、煮る、蒸す及び焼く等が挙げられる。更に、自動調理メニューとは、指定のレシピを自動で調理するものであり、この自動調理メニューの例としては、カレー、シチュー及び豚の角煮等が挙げられる。
モード設定部5では、上記の項目のほかに、保存モード、即ち、常温保存モードP又は加温保存モードKの設定が行われ、更に、再加熱モードRの設定が行われる。ここで、常温保存モードPとは、被加熱物51を加熱して調理する調理モードCの終了後に、被加熱物51を常温保存するモードであり、加温保存モードKとは、調理モードCの終了後に、被加熱物51を加温保存するモードである。そして、再加熱モードRとは、一度調理された被加熱物51を再度加熱するモードである。また、モード設定部5で表示される項目としては、例えば、調理中又は予約待機中等の加熱調理器1の状態、設定されている調理メニューの内容、調理終了の予定時刻及び現在時刻等が挙げられる。なお、モード設定部5の具体的な構成は、上記の例に限られない。例えば、操作表示機能を有する操作表示部を別途設け、モード設定部5は、調理メニュー等に応じて、制御部21で自動的に設定されるように構成してもよい。
(容器温度検知部12)
容器温度検知部12は、例えばサーミスタで構成されており、前述の如く、容器カバー11の孔部11aに挿入されて、鍋状容器3の底面に取り付けられる。これにより、容器温度検知部12は、鍋状容器3の鍋底温度を検知する。この容器温度検知部12は、バネ等の弾性部材(図示せず)によって上方(矢印Z1方向)に付勢されており、容器カバー11に収容された鍋状容器3の底面に接している。そして、この容器温度検知部12によって検知された鍋状容器3の温度に関する情報は、制御部21に出力される。なお、温度検知部の具体的な構成は、サーミスタに限定されず、鍋状容器3に接触して温度を検知する接触式温度センサとしてもよい。また、そのほかに、容器温度検知部12として、鍋状容器3の温度を非接触で検知する非接触式温度センサ、例えば赤外線センサ等としてもよい。
(時間計測部13)
時間計測部13は、制御部21からの指示信号に基づいて、経過時間をカウントする。そして、この時間計測部13によって計測された時間は、制御部21に出力される。時間計測部13で計測される時間としては、例えば、加熱部4による加熱時間、常温保存モードPにおける保存時間又は再加熱モードRにおける再加熱時間等が挙げられる。
(制御部21)
制御部21は、モード設定部5、容器温度検知部12又は時間計測部13からの出力に基づいて、加熱部4に通電する高周波電流の供給量を制御するものである。そして、制御部21は、これ以外に、加熱調理器1における様々な動作を制御する。この制御部21は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウエアで構成することが可能であるが、そのほかに、マイコン又はCPU等の演算装置と、それらで実行されるソフトウエアとで構成することも可能である。
(鍋状容器3)
次に、鍋状容器3について説明する。鍋状容器3は、例えば、加熱部4における誘導加熱により発熱する磁性体金属を含む材料で構成されており、有底円筒形状をなしている。そして、この鍋状容器3の上端周縁部には、フランジ3aが設けられており、また、鍋状容器3の側部には、例えば樹脂製の把手部3bが2個取り付けられている。この鍋状容器3の内部に、例えば肉、野菜等の食材52及び煮汁53といった被加熱物51が収容される。
(蓋体6)
鍋状容器3には、蓋体6が載置されている。この蓋体6は、例えばステンレス等の金属で構成されており、蓋体6の周縁部には、蓋パッキン6aが形成されている。この蓋パッキン6aは、鍋状容器3の上端周縁部に設けられたフランジ3aとの密閉性を確保するシール材である。また、この蓋体6には、その中央に蓋つまみ6bが設けられている。
(通気口7及び通気弁8)
蓋体6には、鍋状容器3内の蒸気が排出される通気口7が設けられており、この通気口7には、通気口7を開閉する通気弁8が設置されている。この通気弁8は、例えば弾性を備えるゴム状パッキンからなる。図2は、実施の形態1に係る加熱調理器1の通気口7が開いている状態を示す側面図、図3は、実施の形態1に係る加熱調理器1の通気口7が閉じている状態を示す側面図である。鍋状容器3が加熱されると、鍋状容器3に収容された被加熱物51から発生する水蒸気、又は膨張した空気によって、鍋状容器3内の圧力が上昇する。この圧力によって、通気弁8が押し上げられ、図2に示すように、通気口7が開いた状態になる。このとき、鍋状容器3内の水蒸気W等は、通気口7を通って、鍋状容器3の外に排出される。
一方、鍋状容器3の加熱が停止されると、鍋状容器3内の水蒸気又は空気が冷え、鍋状容器3内の圧力が低下する。この圧力の低下により、通気弁8を押し上げる力が働かなくなり、図3に示すように、通気口7が閉じて、鍋状容器3の内部と外部との通気が遮断された状態になる。その後、鍋状容器3内の温度が低下することによって、鍋状容器3内の圧力が低下する。これにより、通気弁8と通気口7との密着性が高まるため、鍋状容器3内の気密性が向上する。なお、蓋体6の通気口7の開閉は、上記の例に限定されず、実施の形態3のように、通電状態に応じて、通気口7の開閉を行うようにしてもよい。
次に、制御部21について詳細に説明する。図4は、実施の形態1に係る加熱調理器1を示すブロック図である。図4に示すように、制御部21は、モード設定部5によって各種の操作が行われると、モード設定部5から入力された信号に基づいて、入力された加熱時間の長さ、火力の強さ等に適合する加熱プログラムに従って、加熱部4を動作させて、被加熱物51を加熱して調理する調理モードCを実行する。また、前述の如く、制御部21は、容器温度検知部12又は時間計測部13から入力された信号に基づいて、加熱部4に駆動信号を出力し、加熱部4の動作を制御する。
(記憶部24)
また、加熱調理器1は、記憶部24を備えており、この記憶部24は、例えばモード設定部5で常温保存モードP又は加温保存モードKが設定されたことを記憶するものである。そのほかに、この記憶部24は、加温保存モードKで行われる加温保存における予め設定された温度、各種調理メニューに適合する加熱プログラム等を記憶している。
(判定手段22)
そして、制御部21は、判定手段22及びモード実行手段23を備えている。このうち、判定手段22は、モード設定部5で常温保存モードP又は加温保存モードKが設定されていることを判定するものである。
(モード実行手段23)
また、モード実行手段23は、判定手段22で常温保存モードPが設定されていると判定された場合と、判定手段22で加温保存モードKが設定されていると判定された場合とで、夫々異なる動作を実行する。
(常温保存モードP)
判定手段22で常温保存モードPが設定されていると判定された場合、加熱部4が停止して調理モードCが終了した後に、通気口7が閉じられた状態において、制御部21が加熱部4を停止して被加熱物を常温保存する。なお、制御部21が、通気弁8を制御して通気口7を閉じるように構成してもよい。これにより、被加熱物51が常温保存、即ち、通常では微生物繁殖の可能性が高い温度帯である60℃未満の状態でも保存される。本実施の形態1では、通気口7の開閉は、前述の如く、加熱部4への通電の有無に基づいた鍋状容器3内の圧力の変動によって、自動的に行われる。
(加温保存モードK)
また、制御部21は、判定手段22で加温保存モードKが設定されていると判定された場合、加熱部4が停止して調理モードCが終了した後に、加熱部4を再度起動させ、記憶部24に記憶された設定温度で動作させる。これにより、被加熱物51が加温保存される。
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1の動作について説明する。先ず、使用者によって、肉、野菜等の食材52と、水、酒又は醤油等の調味料からなる煮汁53とが、鍋状容器3に収容される。そして、これらの被加熱物51が収容された鍋状容器3が、調理器本体2の容器カバー11に載置され、蓋体6が閉じられる。その後、モード設定部5における設定キーによって、例えば、「火力・強」、「加熱時間10分」、「常温保存」と設定される。この状態で、スタートスイッチが押下され、加熱開始の動作が指示されると、制御部21は、調理モードCによる調理を開始する。なお、「常温保存」と設定されると、その後、モード実行手段23によって常温保存モードPが実行され、また、「加温保存」と設定されると、その後、モード実行手段23によって加温保存モードKが実行される。
(調理モードC)
先ず、調理モードCにおける加熱調理器1の動作について説明する。図5は、実施の形態1における調理モードC時の動作を示すフローチャートである。調理モードCが開始されると、図5に示すように、加熱部4に通電される(ステップS1)。このとき、モード設定部5で設定された「火力・強」に基づいた設定電力で通電される。そして、時間計測部13によって、加熱を開始したときからの経過時間である加熱時間thの計測が開始される(ステップS2)。その後、加熱時間thが、予め設定された時間t1を過ぎたか否かが判断される(ステップS3)。前述の如く、モード設定部5で「加熱時間10分」と設定されているため、この場合、t1は10分である。
そして、ステップS3において、加熱時間thがt1を過ぎていない場合、ステップS2に戻る(ステップS3のNo)。一方、加熱時間thがt1を過ぎると、次のステップS4に進み、加熱部4が停止され、調理モードCが終了する。このように、制御部21は、時間計測部13で計測された時間に基づいて、加熱部4の停止を判定する。その後、判定手段22によって、常温保存モードPが設定されているか加温保存モードKが設定されているかが判定される(ステップS5)。そして、判定手段22によって常温保存モードPが設定されていると判定されると、ステップAに進み、判定手段22によって加温保存モードKが設定されていると判定されると、ステップBに進む。
(常温保存モードP)
次に、常温保存モードPにおける加熱調理器1の動作について説明する。図6は、実施の形態1における常温保存モードP時の動作を示すフローチャートである。図5のステップS5からステップAに進むと、図6に示すように、先ず、常温保存モードPが開始されたときからの経過時間である保存時間tpの計測が開始される(ステップS11)。このとき、加熱部4は停止されたままであるため、鍋状容器3内の水蒸気又は空気が冷え、鍋状容器3内の圧力が低下する。この圧力の低下により、通気弁8が降下し、通気口7が閉じる(ステップS12)。その後、保存時間tpが、予め設定された時間t2未満であるか否かが判断される(ステップS13)。このt2は、例えば24時間である。保存時間tpがt2を過ぎていない場合、次のステップS14に進む(ステップS13のYes)。
このステップS14では、モード設定部5における常温保存モードPを終了するスイッチが押下されたか否かが判断される。このスイッチが押下されていなければ、ステップS13に戻る(ステップS14のNo)。一方、常温保存モードPを終了するスイッチが押下されていれば、常温保存モードPが終了する(ステップS14のYes)。また、ステップS13において、保存時間tpがt2を過ぎている場合(ステップS13のNo)、そのことが使用者に報知される(ステップS15)。この報知手段として、例えばモード設定部5にLEDを設け、このLEDを点灯させるようにしてもよい。また、そのほかに、加熱調理器1に音声発生部を設け、この音声発生部からブザーを鳴らしてもよい。使用者への報知後、常温保存モードPが終了する。
(加温保存モードK)
次に、加温保存モードKにおける加熱調理器1の動作について説明する。図7は、実施の形態1における加温保存モードK時の動作を示すフローチャートである。図5のステップS5からステップBに進むと、図7に示すように、先ず、加熱部4に通電される(ステップS21)。次に、容器温度検知部12によって検知された鍋底温度θが、予め設定された温度θ1以下であるか否かが判断される(ステップS22)。鍋底温度θがθ1以下と判断された場合(ステップS22のYes)、即ち、鍋底温度θがθ1に達していないとき、温度が不足していると判断され、加熱部4に供給される電力を増加させる(ステップS23)。その後、モード設定部5における加温保存モードKを終了するスイッチが押下されたか否かが判断される(ステップS24)。このスイッチが押下されていなければ、ステップS22に戻る(ステップS24のNo)。一方、加温保存モードKを終了するスイッチが押下されていれば、加温保存モードKが終了する(ステップS24のYes)。
また、ステップS22において、鍋底温度θがθ1よりも大きいと判断された場合(ステップS22のNo)、更に、鍋底温度θが温度θ2よりも大きいものであるか否かが判断される(ステップS25)。このθ2は、θ1よりも高温に設定されている(θ2>θ1)。そして、鍋底温度θがθ2よりも大きい場合(ステップS25のYes)、温度が過剰であると判断され、加熱部4が停止される(ステップS26)。このように、制御部21は、容器温度検知部12で検知された鍋状容器3の鍋底温度θに基づいて、加熱部4の停止を判定する。その後、ステップS24に進む。また、鍋底温度θがθ2以下である場合(ステップS25のNo)、即ち、鍋底温度θが、θ1<θ≦θ2を満たす場合、加温保存が適切に行われていると判断され、ステップS24に進む。
このように、加熱調理器1は、常温保存モードPにおいて、加熱調理後、加熱部4を停止することによって通気口7が閉じ、加熱部4を停止したまま、鍋状容器3を自然冷却の状態で貯留するため、衛生的に保存することができる。即ち、先ず、調理時の加熱によって腐敗又は食中毒の原因となる菌が殺菌され、その後、鍋状容器3は密閉され、被加熱物51が保存される。これにより、被加熱物51の保存中に、鍋状容器3に菌が混入することを抑制することもできるため、その結果、菌によって被加熱物51が汚染されることを抑制することができる。また、加熱中において、鍋状容器3内は、被加熱物51から発生する水蒸気で満たされ、その後直ちに密閉することによって、保存している間に水蒸気が冷えて、鍋状容器3内が真空に近い状態となる。これにより、保存中において、被加熱物51が酸化することによる劣化、例えば変色を抑制することができる。
また、被加熱物51の保存中は、加熱部4を停止しているため、省エネに資する。また、加温保存するのではなく、徐々に鍋状容器3内の被加熱物51が自然冷却されるため、ソレー効果により被加熱物51に味が染み込み易くなる。このように被加熱物51が常温保存されることにより、加熱調理の直後よりも、更に良好な味が得られるという効果を奏する。また、加温保存モードKにおいては、被加熱物51の温め直しを行う手間を省き、既に熱せられた状態の被加熱物51を食すことができる。以上のように、加熱調理器1は、調理後に常温保存するか、又は加温保存するかを使用者が適宜設定することができるため、使い勝手が極めて良好である。
なお、本実施の形態1では、加熱開始前に使用者がモード設定部5で設定した「火力・強」、「加熱時間10分」、「常温保存」という情報に基づいて、制御部21が調理モードCを実行し、その後、常温保存モードPを実行しているが、自動で指定のレシピを調理する自動調理メニュー、例えば「カレー」と、「常温保存」という内容を設定することによって、制御部21が調理モードCと常温保存モードPとを実行してもよい。また、自動調理メニューに限らず、食材の種類又は調理方法が設定されてもよい。
また、常温保存モードPにおいて、調理モードCが終了した直後は、余熱により被加熱物51が熱せられる。このため、モード設定部5で自動調理メニュー、食材の種類又は調理方法が設定されたときの調理モードCにおいては、「常温保存」、即ち常温保存モードPが設定されているか否かによって、加熱時間を変更してもよい。例えば、「常温保存」が設定されている場合は、余熱により被加熱物51が過剰に熱せられることを防ぐため、加熱時間を短くしてもよい。具体的には、自動調理メニューの「カレー」のみが設定されてスタートスイッチが押下された場合は、加熱時間を40分とする。これに対し、自動調理メニューの「カレー」と、「常温保存」とが設定されてスタートスイッチが押下された場合は、加熱時間を25分とし、40分よりも短くする。このように、常温保存モードPは、余熱によって被加熱物51を加熱することができるため、更に省エネを達成することができる。また、この予熱による加熱は、鍋状容器3内の対流が小さいため、被加熱物51の煮崩れが防止され、その結果、味が良好になる。
また、常温保存モードPにおいて、保存時間が、予め設定された時間を過ぎた場合は、報知手段によって使用者に報知される。これにより、使用者は、保存したことを不注意で忘れても、保存していることに気付くことができる。また、被加熱物51の品質上の問題で、保存に適する限度の時間を過ぎた場合に報知するように設定しておけば、被加熱物51が無駄にならず且つ安心して食すことができる。なお、予め設定された時間を過ぎた場合に報知することに代えて、常温保存モードPが開始されてからの保存時間を、モード設定部5に表示させてもよい。これにより、常温保存モードPが開始されてからの保存時間を、使用者が認識し易くなる。このため、使用者が必要以上に被加熱物51を保存することを抑制することができ、従って、更に安心感が得られ、また利便性を高めることができる。
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る加熱調理器1について説明する。図8は、実施の形態2における再加熱モードR時の動作を示すフローチャートである。本実施の形態2は、調理後直ちに常温保存モードP又は加温保存モードKに移行するのではなく、調理後に再加熱モードRが実行されてから、常温保存モードP又は加温保存モードKに移行する点で、実施の形態1と相違し、加熱調理器1の構成は、実施の形態1と同様である。本実施の形態2では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
(再加熱モードR)
再加熱モードRは、例えば、調理された食材52を食した際に、食材52が余った場合、この余った食材52を鍋状容器3に貯留したい場合に有効である。先ず、肉じゃが、カレー、味噌汁といった被加熱物51が収容された鍋状容器3が、使用者によって調理器本体2の容器カバー11に載置され、蓋体6が閉じられる。その後、モード設定部5における設定キーによって、「再加熱」、「常温保存」と設定される。この状態で、スタートスイッチが押下され、再加熱開始の動作が指示されると、制御部21は、再加熱モードRを実行する。
再加熱モードRが開始されると、図8に示すように、加熱部4に通電され、鍋状容器3に対する加熱が行われる(ステップS31)。次に、容器温度検知部12によって検知された鍋底温度θが、予め設定された温度θ3より大きいものであるか否かが判断される(ステップS32)。鍋底温度θがθ3以下であると判断された場合、温度が不足していると判断され、ステップS31に戻り、加熱部4への通電が継続される(ステップS32のNo)。一方、鍋底温度θがθ3より大きいと判断された場合(ステップS32のYes)、時間計測部13によって、鍋底温度がθ3を超えてからの経過時間である再加熱時間trの計測が開始される(ステップS33)。
次に、容器温度検知部12によって検知された鍋底温度θが、予め設定された温度θ4以下であるか否かが判断される(ステップS34)。なお、θ4は、θ3よりも高温に設定されている(θ4>θ3)。そして、鍋底温度θがθ4以下と判断された場合(ステップS34のYes)、即ち、鍋底温度θがθ4に達していないとき、温度が不足していると判断され、加熱部4に供給される電力を増加させる(ステップS35)。その後、再加熱時間trが、予め設定された時間t3を過ぎたか否かが判断される(ステップS36)そして、ステップS36において、再加熱時間trがt3を過ぎていないと判断された場合、ステップS34に戻る(ステップS36のNo)。一方、再加熱時間trがt3を過ぎると、次のステップS37に進み、加熱部4が停止され、再加熱モードRが終了する。
また、ステップS34において、鍋底温度θがθ4よりも大きいと判断された場合(ステップS34のNo)、更に、鍋底温度θがθ5よりも大きいものであるか否かが判断される(ステップS38)。このθ5は、θ4よりも高温に設定されている(θ5>θ4)。そして、鍋底温度θがθ5よりも大きい場合(ステップS38のYes)、温度が過剰であると判断され、加熱部4が停止される(ステップS39)。その後、ステップS36に進む。また、鍋底温度θがθ5以下である場合(ステップS38のNo)、即ち、鍋底温度θが、θ4<θ≦θ5を満たす場合、加熱が適切な温度で行われていると判断され、ステップS36に進む。ここで、適切な温度とは、鍋状容器3内の被加熱物51を、殺菌が可能な温度で且つ被加熱物51が焦げない程度の温度である。ステップS37において、加熱部4が停止された後は、実施の形態1と同様に、判定手段22によって、常温保存モードPが設定されているか加温保存モードKが設定されているかが判定される(ステップS5)。なお、これらの常温保存モードP及び加温保存モードKにおける動作も、実施の形態1と同様である。
このように、食後に鍋状容器3内に残った被加熱物51も、常温保存モードPにおいては、再加熱後に、加熱部4を停止することによって通気口7が閉じ、加熱部4を停止したまま、鍋状容器3を気密状態に保つため、鍋状容器3に収容された被加熱物51を、衛生的に保存することができる。鍋状容器3内の被加熱物51を皿に載せるときに、腐敗又は食中毒の原因となる菌が混入したり、蓋体6を開閉する際に空気中に浮遊する菌が混入したりする虞がある。しかし、調理終了後から再加熱を行うまでの間に、鍋状容器3内に菌が混入しても、再加熱により菌が殺菌され、その後鍋状容器3は密閉され、被加熱物51が保存される。これにより、被加熱物51の保存中に、鍋状容器3に菌が混入することを抑制することもできるため、その結果、菌によって被加熱物51が汚染されることを抑制することができる。
また、実施の形態1と同様に、保存中は、加熱部4を停止しているため、省エネに資する。また、加温保存するのではなく、徐々に鍋状容器3内の被加熱物51が自然冷却されるため、ソレー効果により被加熱物51に味が染み込み易くなる。このように被加熱物51が常温保存されることにより、加熱調理の直後よりも、更に良好な味が得られるという効果を奏する。
また、容器温度検知部12の検知温度に基づいて鍋状容器3を加熱することによって、被加熱物51、特に鍋状容器3内の食材52を、殺菌が可能な温度で且つこの食材52が焦げない程度の温度で加熱することができる。従って、衛生性と良好な味との両立を図ることができる。また、殺菌を適切に行うためには、被加熱物51を、一定温度以上の状態で一定時間以上保持する必要があるが、本実施の形態2では、殺菌が可能な温度θ3に到達してからの再加熱時間をカウントして加熱を行っている。このため、更に適切に殺菌することができる。なお、この再加熱モードRの動作を、調理モードCで行ってもよい。また、常温保存モードPの経過時間が予め設定された時間を超える毎に、再加熱モードRの動作を行ってもよい。定期的に再加熱することによって、更に衛生性を確保することができる。
なお、加熱調理器1は、再加熱を実行するタイミングを自ら判断するように構成してもよい。例えば、加熱調理器1は、蓋体6が開いているか否かを判定する蓋判定部を有しており、制御部21は、蓋判定部において蓋体6が開いていると判定された場合、被加熱物を再度加熱するように加熱部4を制御する。蓋体6が開くと、大気中に浮遊する微生物が、鍋状容器3の内部に混入する虞があるが、制御部21は、蓋体6が開いている場合に被加熱物を再度加熱するため、混入した微生物の繁殖を抑制することができる。なお、蓋判定部としては、マグネット式の蓋開閉センサを適用することができる。
更に、制御部21は、通気口7が閉じられた状態で被加熱物を再度加熱するように構成してもよい。通気口7が通気弁8で閉じられた状態において常温保存されると、鍋状容器3の内部は、略真空状態になる。この状態から、再加熱が実行されると、沸点が100℃よりも低くなり、100℃より低温でも沸騰する。これにより、加熱が開始された後、鍋状容器3の内部が大気圧である場合よりも早い段階で対流が促進されるため、再加熱における加熱ムラを抑制することができる。
また、制御部21は、鍋状容器3の内部の圧力が大気圧以上になるまで、通気口7が閉じられた状態で再加熱するように構成してもよい。常温保存して鍋状容器3の内部が略真空状態になっている場合、通気弁8が動作して通気口7が開かれると、外気が通気口7から急速に取り込まれ、鍋状容器3の内部が大気圧に戻る。このとき、外気と共に、大気中に浮遊する微生物も取り込まれる虞がある。制御部21は、鍋状容器3の内部が大気圧以上になるまで、通気口7が閉じられたまま再加熱するため、微生物が取り込まれることを抑制することができる。
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係る加熱調理器1について説明する。図9は、実施の形態3に係る加熱調理器1を示す側面図である。本実施の形態3は、加熱調理器1が、大気圧よりも高い圧力で加熱することができる加熱調理器1である点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態3では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図9に示すように、加熱調理器1は、調理器本体2と、調理器本体2に設置された鍋状容器3と、これらの調理器本体2及び鍋状容器3に載置される蓋体6とを備えている。
(調理器本体2)
調理器本体2は、加熱部4、容器カバー11、容器温度検知部12、ヒンジ部14、時間計測部13及び制御部21を備えており、有底円筒状をなしている。なお、この調理器本体2に、加熱調理器1を運搬するためのハンドル(図示せず)を設けてもよい。ハンドルは、蓋体6を跨ぐような形状とし、その両端部が、調理器本体2の上部且つ側部に軸支されるようにする。そして、ハンドルの回転方向を、蓋体6の回転方向と一致させる。これにより、使用者が加熱調理器1を運搬する際に、ハンドルの軸支点の直上で把手されるようにハンドルを回転させ、このハンドルだけを握持して、加熱調理器1を運搬することができる。
(加熱部4)
加熱部4は、例えば、加熱コイルからなり、制御部21により加熱コイルへの通電が制御されて、鍋状容器3を誘導加熱するものである。なお、加熱部4は、加熱コイルのほかに、シースヒータ等の電気ヒータとしてもよい。また、図9では、加熱部4が、調理器本体2における鍋状容器3の底面と対向する位置に設けられているが、これに加え、鍋状容器3の側面と対向する位置に設けられてもよい。
(容器カバー11)
また、容器カバー11は、調理器本体2の内壁を覆うものであり、調理器本体2の内壁に沿って、有底円筒状に形成されている。そして、この容器カバー11の内部に鍋状容器3が着脱自在に収容される。そして、この容器カバー11の中央部には、孔部11aが設けられており、この孔部11aから、容器温度検知部12が挿入されて、鍋状容器3の底面に容器温度検知部12が取り付けられる。
(容器温度検知部12)
容器温度検知部12は、例えばサーミスタで構成されており、前述の如く、容器カバー11の孔部11aに挿入されて、鍋状容器3の底面に取り付けられる。これにより、容器温度検知部12は、鍋状容器3の鍋底温度を検知する。この容器温度検知部12は、バネ等の弾性部材(図示せず)によって上方(矢印Z1方向)に付勢されており、容器カバー11に収容された鍋状容器3の底面に接している。そして、この容器温度検知部12によって検知された鍋状容器3の温度に関する情報は、制御部21に出力される。なお、温度検知部の具体的な構成は、サーミスタに限定されず、鍋状容器3に接触して温度を検知する接触式温度センサとしてもよい。また、そのほかに、容器温度検知部12として、鍋状容器3の温度を非接触で検知する非接触式温度センサ、例えば赤外線センサ等としてもよい。
(ヒンジ部14)
ヒンジ部14は、調理器本体2の上端縁部に設けられており、蓋体6を開閉自在に支持するものである。
(時間計測部13)
時間計測部13は、制御部21からの指示信号に基づいて、経過時間をカウントする。そして、この時間計測部13によって計測された時間は、制御部21に出力される。時間計測部13で計測される時間としては、例えば、加熱部4による加熱時間、常温保存モードPにおける保存時間又は再加熱モードRにおける再加熱時間等が挙げられる。
(制御部21)
制御部21は、モード設定部5、容器温度検知部12又は時間計測部13からの出力に基づいて、加熱部4に通電する高周波電流の供給量を制御するものである。そして、制御部21は、これ以外に、加熱調理器1の様々な動作を制御する。この制御部21は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウエアで構成することが可能であるが、そのほかに、マイコン又はCPU等の演算装置と、それらで実行されるソフトウエアとで構成することも可能である。
(鍋状容器3)
次に、鍋状容器3について説明する。鍋状容器3は、例えば、加熱部4における誘導加熱により発熱する磁性体金属を含む材料で構成されており、有底円筒形状をなしている。そして、この鍋状容器3の上端周縁部には、フランジ3aが設けられている。なお、鍋状容器3に、樹脂製の把手部(図示せず)を設けてもよい。これにより、調理直後の熱い鍋状容器3を食卓に移動させるとき、ミトン等を使用しなくとも、素手で鍋状容器3を移動させることができる。
(蓋体6)
次に、蓋体6について説明する。蓋体6は、外蓋6cと内蓋6dとを備えている。外蓋6cは、蓋体6の上部及び側部を構成するものであり、外蓋6cには、カートリッジ15が着脱自在に取り付けられ、また、外蓋6cの上面には、モード設定部5が設けられている。内蓋6dは、外蓋6cの下面、即ち、鍋状容器3に対向する面に、係止材6fを介して着脱自在に設けられており、この内蓋6dは、例えばステンレス等の金属で構成されている。そして、この内蓋6dの周縁部には、蓋パッキン6aが形成されている。この蓋パッキン6aは、鍋状容器3の上端周縁部に設けられたフランジ3aとの密閉性を確保するシール材である。なお、この内蓋6dと外蓋6cとの間には、容器内温度検知部16が設けられている。また、内蓋6dの中央には開口6eが形成されており、この開口6eに圧力調整部31が設けられている。
(圧力調整部31)
次に、圧力調整部31について説明する。圧力調整部31は、鍋状容器3内の圧力を調整するものであり、調圧弁32と、この調圧弁32を駆動する調圧装置33とを備えている。
(調圧弁32)
調圧弁32は、通気口である調圧口7aが形成された弁座34と、弁座34の上面に載置されたボール状の通気弁である弁体8aと、弁体8aを収容する弁室36を形成するフレーム35とを備えている。このうち、弁座34は、内蓋6dの中央に形成された開口6eに取り付けられており、蓋体6が閉じている状態では、調圧口7aを介して鍋状容器3の内部と外部とが通気され、鍋状容器3内の蒸気は、調圧口7aを通って外部に流出する。また、弁体8aは、弁座34の上面において位置が変更され、その位置に応じて調圧口7aを開閉する。調圧口7aの直上に弁体8aが位置しているとき、弁体8aはその自重により調圧口7aを塞ぎ、鍋状容器3を予め設定された圧力に保つ。また、弁体8aは、調圧装置33から受けた力により、調圧口7aの直上以外の位置に移動すると、調圧口7aを開放し、鍋状容器3の圧力を低下する。そして、フレーム35は、弁体8aの周囲を囲んでおり、これにより、弁体8aが弁座34から脱落することを抑制している。
また、調圧弁32は、内蓋6dの上面から、外蓋6cに向かって突出しており、内蓋6dが外蓋6cに取り付けられた状態では、外蓋6cの下面に設けられた調圧室37に調圧弁32が挿入された状態になっている。この調圧室37は、外蓋6cの下面に取り付けられた調圧空間パッキン38と、外蓋6cと、内蓋6dとで囲まれた空間であり、この調圧空間パッキン38は、調圧室37内の蒸気が、外蓋6cと内蓋6dとの間で且つ調圧室37の外部に漏れ出ることを抑制するものである。
(調圧装置33)
調圧装置33は、制御部21によって制御されており、調圧弁32を動作させるものである。調圧装置33は、ソレノイド(図示せず)と、ソレノイドへの通電により駆動するプランジャ(図示せず)と、プランジャの先端に固定され弁体8aと対向する位置に取り付けられた作動体(図示せず)と、作動体を弁体8aの方向に付勢するバネ(図示せず)とを備えている。ソレノイドは、制御部21からの信号により通電され、その通電の有無(オン又はオフ)に応じてプランジャ及び作動体の位置が切り換わる。
ソレノイドへの通電がなされていないとき、プランジャ及び作動体は、バネに付勢されて、弁体8aに向けて(矢印Y2方向)突出した状態となる。これにより、弁体8aは、作動体に押圧されて調圧口7aから外れ、鍋状容器3の内部と外部とが通気される。よって、鍋状容器3内の圧力は上昇しない。これに対し、ソレノイドへの通電が行われると、プランジャ及び作動体は、弁体8aとは反対側の方向(矢印Y1方向)に吸引される。これにより、弁体8aは、作動体からの押圧を受けず、調圧口7aを塞ぎ、鍋状容器3の内部と外部とが遮断される。なお、圧力調整部31は、上記構成に限らず、鍋状容器3内の圧力を大気圧の状態又は大気圧よりも高い高圧状態に切り換えることができれば、その構成は適宜変更することができる。
(カートリッジ15)
カートリッジ15は、鍋状容器3からの吹き零れを緩和するものであり、蒸気取入口15aと蒸気排出口15bとを備えている。蒸気取入口15aは、調理中に発生する蒸気圧に応じて上下動する弁(図示せず)を備えており、蓋体6の内部に設けられた調圧室37に接続されている。また、蒸気排出口15bは、この蒸気排出口15bを通って、蒸気取入口15aの弁を通過した蒸気が外部に排出されるものである。調圧弁32を通過して調圧室37内に流入した蒸気は、蒸気取入口15aからカートリッジ15に進入し、カートリッジ15内を流れ、蒸気排出口15bからカートリッジ15の外部に流出する。これにより、万が一、鍋状容器3内から被加熱物51が吹き零れてこようとしても、このカートリッジ15によって、その吹き零れを緩和することができる。
(モード設定部5)
モード設定部5は、例えば外蓋6cに設けられており、使用者からの操作入力を受け付ける操作機能と、操作入力に関する情報及び加熱調理器1の動作状態等を表示する表示機能とを併せ持った操作表示部である。このモード設定部5で操作設定可能な項目としては、例えば、調理の開始及び取り消し、調理予約、調理メニュー、圧力の有無、圧力の強弱又は加熱時間等が挙げられる。このうち、調理メニューの例としては、自動で指定のレシピを調理する自動調理メニュー(例えば、カレー、シチュー、豚の角煮等)に関するもの、煮物、蒸し物、焼き物等の調理方法に関するもの、肉、魚、野菜等の食材に関するもの等が挙げられる。
モード設定部5では、上記の項目のほかに、常温保存モードP、加温保存モードK又は再加熱モードRの設定が行われる。ここで、常温保存モードPとは、被加熱物51を加熱して調理する調理モードCの終了後に、被加熱物51を常温保存するモードであり、加温保存モードKとは、調理モードCの終了後に、被加熱物51を加温保存するモードである。そして、再加熱モードRとは、一度調理された被加熱物51を再度加熱するモードである。また、モード設定部5で表示される項目としては、例えば、調理中又は予約待機中等の加熱調理器1の状態、設定されている調理メニューの内容、調理終了の予定時刻及び現在時刻等が挙げられる。なお、モード設定部5の具体的な構成は、上記の例に限られない。例えば、操作表示機能を有する操作表示部を別途設け、モード設定部5は、調理メニュー等に応じて、制御部21で自動的に設定されるように構成してもよい。この際、判定手段22は、加熱プログラム中に常温保存モードP又は加温保存モードKが含まれているかを判定し、含まれていれば、モード実行手段23が上記制御を行う。
なお、制御部21は、このモード設定部5によって、各種の操作が行われると、モード設定部5から入力された信号に基づいて、調理メニュー、圧力の有無、圧力の強弱、加熱時間の長さ等に適合する加熱プログラムに従って、加熱部4及び調圧装置33を動作させて、被加熱物51を加熱して調理する調理モードCを実行する。
(容器内温度検知部16)
容器内温度検知部16は、外蓋6cの下面に取り付けられており、鍋状容器3内の温度を検知するものである。この容器内温度検知部16の一部は、内蓋6dに接しており、容器内温度検知部16は、内蓋6dを介して鍋状容器3内の温度を検知する。この容器内温度検知部16は、例えばサーミスタで構成されており、容器内温度検知部16によって検知された鍋状容器3内の温度に関する情報は、制御部21に出力される。
次に、本実施の形態3に係る加熱調理器1の動作について説明する。先ず、使用者によって、肉、野菜等の食材52と、水、酒又は醤油等の調味料からなる煮汁53とが、鍋状容器3に収容される。そして、これらの被加熱物51が収容された鍋状容器3が、調理器本体2の容器カバー11に収容され、蓋体6が閉じられる。その後、モード設定部5における設定キーによって、例えば、「火力・強」、「加熱時間10分」、「常温保存」と設定される。この状態で、スタートスイッチが押下され、加熱開始の動作が指示されると、制御部21は、調理モードCによる調理を開始する。なお、「常温保存」と設定されると、その後、モード実行手段23によって常温保存モードPが実行され、また、「加温保存」と設定されると、その後、モード実行手段23によって加温保存モードKが実行される。
図10は、実施の形態3における調理モードC時の動作を示すフローチャートである。調理モードCが開始されると、図10に示すように、先ず、制御部21は、調圧装置33に信号を出力し、弁体8aで調圧口7aを閉塞させる(ステップS41)。その後、ステップS1に進むが、これ以降の動作は、調理モードC、常温保存モードP及び加温保存モードKのいずれも、実施の形態1と同様である。
このように、本実施の形態3は、加熱部4による加熱を行うとき、調圧口7aを閉じているため、鍋状容器3内は、大気圧よりも高い圧力になっており、この状態で被加熱物51が加熱される。このため、大気圧の状態で被加熱物51が加熱されるよりも、高温で加熱される。従って、鍋状容器3内の菌を更に適切に殺菌することができ、その結果、衛生性が更に向上する。また、高い圧力で被加熱物51が加熱されるため、短時間で被加熱物51に火が通る。このため、加熱部4による加熱時間が減り、省エネに資する。
実施の形態4.
次に、実施の形態4に係る加熱調理器1について説明する。図11は、実施の形態4における再加熱モードR時の動作を示すフローチャートである。本実施の形態4は、調理後直ちに常温保存モードP又は加温保存モードKに移行するのではなく、調理後に再加熱モードRが実行されてから、常温保存モードP又は加温保存モードKに移行する点で、実施の形態3と相違し、加熱調理器1の構成は、実施の形態3と同様である。本実施の形態4では、実施の形態1、3と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1、3との相違点を中心に説明する。
先ず、肉じゃが、カレー、味噌汁といった被加熱物51が収容された鍋状容器3が、使用者によって調理器本体2の容器カバー11に載置され、蓋体6が閉じられる。その後、モード設定部5における設定キーによって、「再加熱」、「常温保存」と設定される。この状態で、スタートスイッチが押下され、再加熱開始の動作が指示されると、制御部21は、再加熱モードRを実行する。
再加熱モードRが開始されると、図11に示すように、先ず、制御部21は、調圧装置33に信号を出力し、弁体8aで調圧口7aを閉塞させる(ステップS42)。そして、加熱部4に通電され、鍋状容器3に対する加熱が行われる(ステップS43)。次に、容器内温度検知部16によって検知された内部温度γが、予め設定された温度γ1より大きいものであるか否かが判断される(ステップS44)。内部温度γがγ1以下であると判断された場合、温度が不足していると判断され、ステップS43に戻り、加熱部4への通電が継続される(ステップS44のNo)。一方、内部温度γがγ1より大きいと判断された場合(ステップS44のYes)、時間計測部13によって、内部温度がγ1を超えてからの経過時間である再加熱時間trの計測が開始される(ステップS33)。なお、これ以降の動作は、再加熱モードR、常温保存モードP及び加温保存モードKのいずれも、実施の形態3と同様である。なお、制御部21は、容器内温度検知部16で検知された内部温度γに基づいて、加熱部4の停止を判定するように構成してもよい。
このように、本実施の形態4は、実施の形態3と同様に、鍋状容器3内の被加熱物51を高温で加熱することができるため、殺菌効果を高め、衛生性が更に向上する。また、容器内温度検知部16の検知温度が、殺菌が可能な温度γ1に到達してからの再加熱時間をカウントして加熱を行っている。このため、容器温度検知部12による鍋底温度検知による殺菌よりも、更に適切に殺菌することができる。また、容器内温度検知部16の検知温度に基づいて鍋状容器3を加熱することによって、被加熱物51、特に鍋状容器3内の食材52を、殺菌が可能な温度で且つ食材52が焦げない程度の温度で加熱することができる。従って、衛生性と良好な味との両立を図ることができる。
なお、加熱調理器1は、再加熱を実行するタイミングを自ら判断するように構成してもよい。例えば、加熱調理器1は、蓋体6が開いているか否かを判定する蓋判定部を有しており、制御部21は、蓋判定部において蓋体6が開いていると判定された場合、被加熱物を再度加熱するように加熱部4を制御する。蓋体6が開くと、大気中に浮遊する微生物が、鍋状容器3の内部に混入する虞があるが、制御部21は、蓋体6が開いている場合に被加熱物を再度加熱するため、混入した微生物の繁殖を抑制することができる。なお、蓋判定部としては、マグネット式の蓋開閉センサを適用することができる。
また、制御部21は、容器内温度検知部16で検知された温度に基づいて、被加熱物を再度加熱するように加熱部4を制御してもよい。この場合、制御部21は、検知された温度自体を用いて制御してもよいし、検知された温度の勾配を用いて制御してもよい。更に、蓋判定部として、容器内温度検知部16を使用してもよい。このように、容器内温度検知部16で検知された温度に基づいて、蓋体6が開いているか否かを判定することによって、別途、蓋開閉センサを設ける手間が省け、また小型で安価な加熱調理器1を実現することができる。
更に、制御部21は、通気口である調圧口7aが閉じられた状態で被加熱物を再度加熱するように構成してもよい。調圧口7aが通気弁である弁体8aで閉じられた状態において常温保存されると、鍋状容器3の内部は、略真空状態になる。この状態から、再加熱が実行されると、沸点が100℃よりも低くなり、100℃より低温でも沸騰する。これにより、加熱が開始された後、鍋状容器3の内部が大気圧である場合よりも早い段階で対流が促進されるため、再加熱における加熱ムラを抑制することができる。
また、制御部21は、鍋状容器3の内部の圧力が大気圧以上になるまで、調圧口7aが閉じられた状態で再加熱するように構成してもよい。常温保存して鍋状容器3の内部が略真空状態になっている場合、弁体8aが動作して調圧口7aが開かれると、外気が調圧口7aから急速に取り込まれ、鍋状容器3の内部が大気圧に戻る。このとき、外気と共に、大気中に浮遊する微生物も取り込まれる虞がある。制御部21は、鍋状容器3の内部が大気圧以上になるまで、調圧口7aが閉じられたまま再加熱するため、微生物が取り込まれることを抑制することができる。
なお、本発明は、上記で説明した構成に限られない。例えば、制御部21が、時間計測部13で計測された時間に基づいて、加熱部4を制御して被加熱物を再度加熱するように構成してもよい。これは、調理モードが終了してからの経過時間に基づくものでもよいし、また、再加熱モードが終了してからの経過時間に基づくものでもよい。
更に、モード設定部5が、調理器本体2の動作状態を表示する機能を有するように構成してもよい。例えば、モード設定部5は、調理開始からの経過時間、調理開始の時刻、調理終了からの経過時間、調理終了の時刻を表示する。これにより、いつから食品が鍋状容器3内に投入されたかを把握することができる。このため、鍋状容器3内の食品が保存されたまましばらく放置されて、いつ調理されたものか忘れてしまうことを防止することができる。
また、例えば、モード設定部5は、直前の再加熱開始からの経過時間、直前の再加熱開始の時刻、直前の再加熱終了からの経過時間、直前の再加熱終了の時刻、再加熱の回数を表示する。これにより、加熱調理器1の使用者が、鍋状容器3内の食品を保存し続けるか否かを判断し易くなり、加熱調理器1の使い勝手が向上する。このように、モード設定部5は、調理開始からの経過時間、調理開始の時刻、調理終了からの経過時間、調理終了の時刻、直前の再加熱開始からの経過時間、直前の再加熱開始の時刻、直前の再加熱終了からの経過時間、直前の再加熱終了の時刻、再加熱の回数という情報のうち、少なくとも1つ以上を表示するように構成してもよい。
1 加熱調理器、2 調理器本体、3 鍋状容器、3a フランジ、3b 把手部、4 加熱部、5 モード設定部、6 蓋体、6a 蓋パッキン、6b 蓋つまみ、6c 外蓋、6d 内蓋、6e 開口、6f 係止材、7 通気口、7a 調圧口、8 通気弁、8a 弁体、11 容器カバー、11a 孔部、12 容器温度検知部、13 時間計測部、14 ヒンジ部、15 カートリッジ、15a 蒸気取入口、15b 蒸気排出口、16 容器内温度検知部、21 制御部、22 判定手段、23 モード実行手段、24 記憶部、31 圧力調整部、32 調圧弁、33 調圧装置、34 弁座、35 フレーム、36 弁室、37 調圧室、38 調圧空間パッキン、51 被加熱物、52 食材、53 煮汁。

Claims (12)

  1. 調理器本体と、
    前記調理器本体に設置され、被加熱物が収容される鍋状容器と、
    前記鍋状容器を加熱する加熱部と、
    前記鍋状容器に載置され、前記鍋状容器内の蒸気が排出される通気口を備える蓋体と、
    前記通気口を開閉し、前記通気口を閉じたときに前記鍋状容器を密閉する通気弁と、
    前記加熱部の火力を制御する制御部と、を有し、
    調理モードの終了後に行われる保存モードとして、前記調理モードの終了後に前記被加熱物を常温保存する常温保存モード、又は、前記調理モードの終了後に前記被加熱物を加温保存する加温保存モードを備え、
    前記制御部は、
    前記常温保存モードの場合、前記調理モードの終了後に前記加熱部による加熱を停止するものであり、前記通気口が閉じられた状態において前記被加熱物が常温保存されており、前記加温保存モードの場合、前記調理モードの終了後に前記被加熱物を予め設定された温度で加温するように前記加熱部を制御するものであり、
    前記調理モードの終了後に行われる前記保存モードに応じて、前記調理モードにおける前記加熱部の加熱制御を変更するものである
    加熱調理器。
  2. 前記常温保存モード又は前記加温保存モードを設定する機能を備えるモード設定部を更に有し、
    前記モード設定部は、
    前記調理器本体の動作状態を表示する機能を有しており、
    調理開始からの経過時間、調理開始の時刻、調理終了からの経過時間、調理終了の時刻、直前の再加熱開始からの経過時間、直前の再加熱開始の時刻、直前の再加熱終了からの経過時間、直前の再加熱終了の時刻、再加熱の回数という情報のうち、少なくとも1つ以上を表示するものである請求項1記載の加熱調理器。
  3. 前記鍋状容器内の圧力を調整する圧力調整部を更に有し、
    前記制御部は、
    前記調理モードの実行時に、前記圧力調整部に、前記鍋状容器内の圧力を大気圧以上の圧力に調整させるものである請求項1又は2記載の加熱調理器。
  4. 前記鍋状容器の温度を検知する容器温度検知部を更に有し、
    前記制御部は、
    前記容器温度検知部で検知された温度に基づいて、前記加熱部の停止を判定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  5. 前記鍋状容器内の温度を検知する容器内温度検知部を更に有し、
    前記制御部は、
    前記容器内温度検知部で検知された温度に基づいて、前記加熱部の停止を判定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  6. 前記制御部は、
    前記容器内温度検知部で検知された温度に基づいて、前記被加熱物を再度加熱するように前記加熱部を制御するものである請求項5記載の加熱調理器。
  7. 前記制御部は、
    前記通気口が閉じられた状態で前記被加熱物を再度加熱するように前記加熱部を制御するものである請求項6記載の加熱調理器。
  8. 経過時間をカウントする時間計測部を更に有し、
    前記制御部は、
    前記時間計測部で計測された時間に基づいて、前記加熱部の停止を判定する請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  9. 経過時間をカウントする時間計測部を更に有し、
    前記時間計測部は、前記調理モードが終了してからの経過時間の計測を行うものであり、
    前記制御部は、
    前記時間計測部で計測された時間に基づいて、前記被加熱物を再度加熱するように前記加熱部を制御するものである請求項1〜8のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  10. 前記調理モードの終了後に、調理された前記被加熱物を再度加熱する再加熱モードを設定できるものである請求項1〜9のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  11. 経過時間をカウントする時間計測部を更に有し、
    前記時間計測部は、前記再加熱モードが終了してからの経過時間の計測を行うものであり、
    前記制御部は、
    前記時間計測部で計測された時間に基づいて、前記被加熱物を再度加熱するように前記加熱部を制御するものである請求項10記載の加熱調理器。
  12. 前記蓋体が開いているか否かを判定する蓋判定部を更に有し、
    前記制御部は、
    前記蓋判定部において前記蓋体が開いていると判定された場合、前記被加熱物を再度加熱するように前記加熱部を制御するものである請求項1〜11のいずれか1項に記載の加熱調理器。
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