JP6040597B2 - 1,4−ブタンジオールの製造方法 - Google Patents
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Description
従来より、1,4BGを工業的に製造する方法は公知であり、例えばブタジエンのジアセトキシ化により得た1,4−ジアセトキシ−2−ブテンの水素化、加水分解による1,4BGの製造法、或いは無水マレイン酸を原料として、それらを水素化して1,4BGを含む粗水素化生成物を得る方法、アセチレンを原料してホルムアルデヒド水溶液と接触させて得られるブチンジオールを水素化して1,4BGを製造する方法、プロピレンの酸化を経由して得られる1,4BG、発酵法により得たコハク酸を水添する方法、発酵法により糖から直接製造される方法などが知られている。
[1]2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを0.01〜0.5重量%含み、且つ1重量%〜25重量%の水分を含有する粗1,4−ブタンジオールを、アミンの存在下で80℃以上に加熱して、精製された1,4−ブタンジオールを得る、1,4ブタンジオールの製造方法。
[2]2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを0.01〜0.5重量%含む粗1,4−ブタンジオールを、アミン及び該粗1,4BGに対して1〜25重量%の水分の存在下で80℃以上に加熱し、精製された1,4−ブタンジオールを得る、1,4−ブタンジオールの製造方法。
[3]前記粗1,4−ブタンジオールのpHが7以上であることを特徴とする[1]又[2]に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
[4]前記アミンの量が粗1,4−ブタンジオールに対して1重量ppm以上1重量%以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
[5]前記粗1,4−ブタンジオールを蒸留塔内で80℃以上に加熱することを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
[6]前記粗1,4−ブタンジオールを80℃以上に加熱し、得られる精製された1,4−ブタンジオールを蒸留する工程を更に有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
本発明で使用する粗1,4BGは、公知の方法により得ることができる。例えばブタジエンのジアセトキシ化により得た1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを水素化、加水分解を行って得た1,4−ブタンジオールを使用することができる。或いは無水マレイン酸の水素化により得た1,4−ブタンジオール、レッペ法によりアセチレンから誘導した1,4−ブタンジオール、プロピレンの酸化を経由して得られる1,4−ブタンジオール、発酵法により得たコハク酸を水添して得られる1,4−ブタンジオール、発酵法により糖から直接製造される1,4−ブタンジオールなどが使用可能である。これらの1,4−ブタ
ンジオール製造法では、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを副生する。なお、ブタジエンのジアセトキシ化により得た1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを水素化、加水分解を行って得られる1,4−ブタンジオール、プロピレンの酸化を経由して得られる1,4−ブタンジオール、発酵法により得たコハク酸を水添して得られる1,4−ブタンジオール、発酵法により糖から直接製造される1,4−ブタンジオールなどは製造プロセスの抜き出し液をそのまま使用することもできる。なお、これらの方法によって得られた粗1,4BGに含まれる2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランや水を別の目的によって、その量を低減したり、増加したりしたものを使用してもよい。レッペ法によりアセチレンから誘導される1,4−ブタンジオールは水を添加して本発明の粗1,4BGとして使用することができる。
本発明では、粗1,4−ブタンジオールに1〜25重量%の水分を存在させるが、好ましくは2〜20重量%であり、更に好ましくは5〜16重量%である。水分濃度が高すぎた場合には、ポリエステルやテトラヒドロフラン製造時のエネルギーコストの増大あるいは反応速度の低下により製造コストが悪化してしまう。一方、水分濃度が少なすぎた場合には、本発明の効果が低減する傾向にある。
2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4
−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,
5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アミノフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などである。
なお、粗1,4BGと式(1)に示されるアミン系化合物とを混合する場合の粗1,4BG中のアミンの存在形態は、混合した化合物自体でも、混合した式(1)に示されるアミン系化合物から分解されたアミンであってもよい。
ルモルホリン、プロリノール、3−ヒドロキシピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、テトラヒドロフルフリルアミン、3−アミノテトラヒドロピラン等の環状アミンが好ましい。更に、大気圧下での沸点温度が、160〜260℃である化合物が好ましく用いられる点で、1-アミノデカン、ジヘキシルアミン、プロリノール、3−ヒドロキシピペリジ
ン、4−ヒドロキシピペリジン、4−アミノブタノール、テトラヒドロフルフリルアミンなどが特に好ましいものとして挙げられる。
なお、以下の実施例において、水分の分析はカールフィッシャー法を用いて行った。2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランの分析はガスクロマトグラフィーにより行い、面積百分率により算出した。尚、100重量%から水分濃度を差し引いた値を算出し、残る重量%分をガスクロマトグラフィーの各成分の面積百分率により計算した。陰イオン交換樹脂から1,4BG中に溶出されるアミン量は、試料をアルゴン・酸素雰囲気内で燃焼させ、発生した燃焼ガスを燃焼・減圧化学発光法を用いた微量窒素計(三菱化学アナリテック社製、TN−10型)により窒素原子換算での濃度を算出した。また、アミン系化合物を添加した際のアミンの量(窒素原子換算の濃度)は、混合したアミン系化合物そのものの量から算出した。
1Lのガラス製フラスコに市販の1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)を300g、N−H結合を有するポリエチレンジアミン骨格を有する化合物を含む固体の弱塩基性陰イオン交換樹脂(登録商標:ダイヤイオン、型式:WA20)を30.0g仕込み、45℃で2時間攪拌し、攪拌後に陰イオン交換樹脂を濾別した。得られた溶液0.3gを市販の1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)9.7gで希釈し、水を1.8g添加し、粗1,4BGを得た。粗1,4BG中の2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度を測定した結果、2545重量ppmであった。水分濃度は21.3重量%、pHは8.2、陰イオン交換樹脂から溶出したエチレンアミン由来の構成単位を2〜20含有するポリアミンは、窒素原子換算濃度で9重量ppmであった。
た。結果を表−1に示す。
実施例1において、得られた溶液1.7gを市販の1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)8.3gで希釈し、水を2.3g添加して粗1,4BGを得た以外は全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度が2374重量ppm、水分濃度が24.7重量%、pHは9.2、アミンの量は窒素原子換算の濃度で50重量ppmであった。
加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランが1751重量ppmであった。結果を表−1に示す。
100mLのガラス製フラスコに市販の1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)を40g、ポリエチレンジアミン骨格を有する化合物を含む固体の弱塩基性陰イオン交換樹脂(登録商標:ダイヤイオン、型式:WA20)を4.0g仕込み、室温で2時間攪拌し、攪拌後に陰イオン交換樹脂を濾別した。得られた溶液10gに水を1.8g添加し、粗1,4BGを得た。粗1,4BG中の2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度を測定した結果、2315重量ppmであった。水分濃度は21.5重量%、pHは9.1、陰イオン交換樹脂から溶出したエチレンアミン由来の構成単位を2〜20含有するポリアミンは、窒素原子換算濃度で110重量ppmであった。
実施例1において、得られた溶液10.0gを市販の1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)で希釈せず、水を1.4g添加して粗1,4BGを得た以外は全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度が1977重量ppm、水分濃度が24.7重量%、pHは9.5、アミンの量は窒素原子換算の濃度で300重量ppmであった。
加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランが1266重量ppmであった。結果を表−1に示す。
実施例1において、得られた溶液5.0gを市販の1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)5.0gで希釈して粗1,4BGを得た以外は全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度が3159重量ppm、水分濃度が4.8重量%、pHは9.2、アミンの量は窒素原子換算の濃度で150重量ppmであった。
加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランが3052重量ppmであった。結果を表−1に示す。
実施例1において、得られた溶液5.0gを市販の1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)5.0gで希釈し、水を0.4g添加して粗1,4BGを得た以外は全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度が3069重量ppm、水分濃度が10.4重量%、pHは9.2、アミンの量は窒素原子換算の濃度で150重量ppmであった。
加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランが2606重量ppmであった。結果を表−1に示す。
実施例1において、得られた溶液5.0gを市販の1,4−ブタンジオール(三菱化学株式会社製)5.0gで希釈し、水を1.0g添加して粗1,4BGを得た以外は全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度が3198重量ppm、水分濃度が14.4重量%、pHは9.3、アミンの量は窒素原子換算の濃度で150重量ppmであった。
加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランが2485重量ppmであった。結果を表−1に示す。
実施例3において、市販の1,4BGと陰イオン交換樹脂とを接触させず、N,N‘−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(9.0mg)を市販の1,4BGに添加した以外は全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度は2315重量ppm、水分濃度は21.5重量%、pHは10.8、アミンの量は窒素原子換算の濃度で175重量ppmであった。
加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランが1805重量ppmであった。結果を表−1に示す。
実施例3において、市販の1,4BGと陰イオン交換樹脂とを接触させず、D,L−プロリノール(9.0mg)を市販の1,4BGに添加した以外は、全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度は2315重量ppm、水分濃度は21.5重量%、pHは10.7、アミンの量は窒素原子換算の濃度で96重量ppmであった。
加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランが2203重量ppmに低減した。結果を表−1に示す。
実施例3において、市販の1,4BGと陰イオン交換樹脂とを接触させず、4−アミノ−1−ブタノール(9.0mg)を市販の1,4BGに添加した以外全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度は2315重量ppm、水分濃度は21.5重量%、pHは10.8、アミンの量は窒素原子換算の濃度で94重量ppmであった。
加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランが2116重量ppmに低減した。結果を表−1に示す。
実施例3において、市販の1,4BGと陰イオン交換樹脂とを接触させなかった以外は全て同様に行った。粗1,4BG中のアミンの量は検出限界以下であり、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度は2315重量ppm、水分濃度は21.5重量%、pHは5.5であった。加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランは2580重量ppmに増加した。結果を表−1に示す。
実施例10において、水の添加量を50mgとした以外は全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度は3098重量ppm
、水分濃度は0.5重量%、pHは10.8、窒素原子濃度は94重量ppmであった。加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランは3453重量ppmに増加した。結果を表−1に示す。
実施例3において、水を添加しなかった以外は全て同様に行った。粗1,4BGの2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度は2315重量ppm、水分濃度は0重量%、pHは10.9、窒素原子濃度は123重量ppmであった。加熱後に得られた1,4BGの分析を行った結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランは3140重量ppmに増加した。結果を表−1に示す。
Claims (8)
- 2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを0.01〜0.5重量%含み、且つ2重量%〜25重量%の水分を含有する粗1,4−ブタンジオールを、アミンの存在下で80℃以上に加熱して、精製された1,4−ブタンジオールを得る、1,4ブタンジオールの製造方法。
- 2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを0.01〜0.5重量%含む粗1,4−ブタンジオールを、アミン及び該粗1,4BGに対して2〜25重量%の水分の存在下で80℃以上に加熱し、精製された1,4−ブタンジオールを得る、1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記粗1,4−ブタンジオールのpHが7以上であることを特徴とする請求項1又2に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記アミンの量が粗1,4−ブタンジオールに対して1重量ppm以上1重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記粗1,4−ブタンジオールを蒸留塔内で80℃以上に加熱することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記粗1,4−ブタンジオールを80℃以上に加熱し、得られる精製された1,4−ブタンジオールを蒸留する工程を更に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
- 前記式(1)に示されるアミン系化合物が、少なくとも1つのN−H結合を持つ1級又は2級のアミン系化合物、又は前記式(1)で示される窒素含有化合物のR 1 〜R 3 のいずれか1以上がアルキル基である化合物に由来する構成単位を2〜20含有する重合体を含有する陰イオン交換樹脂の溶出分である、請求項7に記載の1,4−ブタンジオールの製造方法。
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