JP5765485B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents
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Description
この発明は、車両の駆動力源から出力された動力を伝達するための装置に関し、特に無段変速機を含む伝動経路と、その伝動経路に対して並列に設けられた他の伝動経路とを備えている動力伝達装置に関するものである。
車両の駆動力源として一般に用いられている内燃機関は、回転数の増大に応じて出力トルクが大きくなる特性を有しているのに対して、車両に要求される駆動力は、低車速で大きく、高車速で相対的に小さいのが一般的である。すなわち、車両においては、内燃機関の出力特性に基づくトルクとは反対のトルクが要求される。また、内燃機関の効率の良い運転点は限られている。そのため、内燃機関を駆動力源とする車両では、変速比を適宜に変化させることのできる変速機が搭載され、車速やアクセル開度などの車両の走行状態に基づいて変速比を適宜に設定し、必要とする駆動力を得るとともに内燃機関を効率の良い運転点で運転している。さらに、変速比に段差があると、熱効率の良い運転点がそれらの変速比の間の変速比で設定できる回転数にある場合には、一方の変速比から他方の変速比に切り替わるまでの間の運転状態では熱効率(あるいは燃費)が悪化する。そこで最近では、有段変速機に替えて無段変速機が使用されるようになってきている。
車両用の無段変速機としてベルト式無段変速機とトロイダル型無段変速機とが広く知られている。前者のベルト式無段変速機は、ベルトを巻き掛ける溝の幅を変化させることに伴ってベルトの巻き掛け半径が大小に変化する一対のプーリを有しており、一方のプーリの溝幅を広げてベルトの巻き掛け半径を減少させ、それに伴って他方のプーリの溝幅が小さくなってベルト巻き掛け半径が増大するように構成されている。また、後者のトロイダル型無段変速機は、向かい合わせて配置されている一対のディスクの間にパワーローラを挟み込み、そのパワーローラの各ディスクに対する接触点を結んだ線が、ディスクの回転中心軸線に対して傾斜することにより、各ディスク同士の回転数に差を生じさせ、その傾斜角度(傾転角度)が大きいほど、ディスク同士の回転数の差すなわち変速比が「1」から離れるように構成されている。
これらの無段変速機では、変速比を連続的に変化させることができるようにするために、プーリとベルトとの間の摩擦力、あるいはディスクとパワーローラとの間の摩擦力を利用してトルクを伝達している。摩擦力は、二つの部材の接触箇所における摩擦係数と垂直荷重(もしくは法線方向の荷重)との積であるから、伝達するべきトルクに応じて垂直荷重を大きくすることになる。その垂直荷重は車両用のベルト式無段変速機では、プーリがベルトを挟み付ける荷重であり、これは例えばプーリに油圧アクチュエータを一体に形成し、その油圧アクチュエータに供給する油圧によって発生させている。
一方、車両においては発進時に大きい駆動力が要求され、これに対して定常的な走行状態すなわち巡航時に要求される駆動力は発進時に比較して小さい。そのため、上記の摩擦力を発生させるための垂直荷重は発進時に大きくする必要があり、ベルト式無段変速機では挟圧力を発生させるための油圧を発進時に高くすることになる。車両の駆動状態として比較的短時間である発進時に備えて、大きい油圧を発生させる油圧機器を設けるとすれば、駆動装置やそのための油圧装置が大型化し、また高油圧を発生させることに伴って燃費が悪化する可能性がある。
このような課題を解消することのできる装置が、特開2005−308041号公報や特開2004−076876号公報あるいは特開2000−130548号公報などに記載されている。これらのうち特開2005−308041号公報に記載された装置は、前後進切替機構を構成しているシングルピニオン型遊星歯車機構のサンギヤに、エンジンが出力した動力が伝達され、そのサンギヤをベルト式無段変速機のプライマリープーリと一体の入力軸に連結するクラッチが設けられている。その入力軸の外周側にワンウェイクラッチを介して入力ギヤが嵌合されており、この入力ギヤが前後進切替機構におけるリングギヤに連結されている。なお、そのワンウェイクラッチは、前進回転方向で入力軸がその外周側の入力ギヤより高速で回転する場合に係合するように構成されている。また、セカンダリープーリと一体の出力軸の外周側には他のワンウェイクラッチを介して出力ギヤが嵌合されており、前記入力ギヤとの間にアイドルギヤが配置され、入力ギヤと出力ギヤとがこのアイドルギヤに噛み合っている。すなわち、入力ギヤと出力ギヤとが共に同方向に回転するように構成されている。これら入力ギヤと出力ギヤとのギヤ比(変速比)は、上記の各プーリとこれらに巻き掛けられたベルトとからなる無段変速機で設定できる最も大きい変速比より僅かに小さい変速比に設定されている。そして、当該他のワンウェイクラッチは、前進回転方向で、出力軸が出力ギヤより高速で回転する場合に係合するように構成されている。また、当該他のワンウェイクラッチと並列に摩擦式のクラッチが設けられている。さらに、後進状態を設定するために、前後進切替機構におけるキャリヤを固定するブレーキが設けられている。
したがって特開2005−308041号公報に記載された装置では、例えば前進走行するために発進する場合、サンギヤと入力軸とがクラッチによって連結され、無段変速機を主体とする主変速経路に入力軸を介してトルクが伝達され、上記の各ギヤを主体とする副変速経路にワンウェイクラッチが係合することによりトルクが伝達される。その場合、ギヤ列による変速比が無段変速機の最大変速比より幾分小さいので、出力ギヤが出力軸より高速で回転し、出力軸側のワンウェイクラッチが解放状態になり、トルクはギヤ列を介して駆動輪に伝達される。すなわち、無段変速機には発進時の大きいトルクが掛からない。発進後、車速の増大に従って無段変速機の変速比を次第に小さくするとセカンダリプーリと一体の出力軸の回転数がその外周側に設けられている出力ギヤの回転数に達し、変速比の低下によってその回転数が更に増大する。その結果、出力軸側のワンウェイクラッチが係合状態になり、駆動輪には無段変速機を介してトルクが伝達される。なお、その場合、入力軸側のワンウェイクラッチは解放状態になるので、インターロック状態は生じない。
また、特開2004−076876号公報に記載された装置は、エンジンが出力した動力を伝達する入力軸と、ベルト式無段変速機におけるプライマリープーリとの間に、シングルピニオン型遊星歯車機構からなる前後進切替機構が設けられ、その前後進切替機構におけるリングギヤとプライマリープーリとが一体となって回転するように連結され、またサンギヤに入力軸が連結されている。したがって、サンギヤとリングギヤとをクラッチによって連結することにより前進状態となり、キャリヤをブレーキによって固定することにより後進状態となる。さらに、入力軸と、セカンダリープーリに一体化されている出力軸との間には、無段変速機による最大変速比より大きい変速比のギヤ列が設けられており、そのギヤ列を構成している入力ギヤが入力軸に一体化され、またその入力軸にアイドルギヤを介して連結されている出力ギヤは、出力軸に回転可能に嵌合させられるとともに、出力ギヤと出力軸との間に、ワンウェイクラッチと摩擦クラッチとが直列に配列されている。
したがって、前進状態で発進する場合、入力軸をプライマリープーリに連結するためのクラッチを解放しておき、また出力軸側のクラッチを係合させておくと、入力軸からギヤ列およびワンウェイクラッチならびにこれと直列に配列されているクラッチを介して出力軸にトルクが伝達される。その状態から入力軸とプライマリープーリとをクラッチによって連結すると、無段変速機の最大変速比がギヤ列による変速比より幾分小さいから、セカンダリプーリおよびこれと一体の出力軸が従前より大きい回転数、より具体的には出力ギヤより高回転数になってワンウェイクラッチが解放する。すなわち、トルクは無段変速機を介して出力軸に伝達される。このように、発進時はギヤ列がトルクの伝達を行うので、無段変速機に発進時の大きいトルクが掛かることがない。
そして、特開2000−130548号公報には、上述した特開2004−076876号公報に記載されている装置と同様の構成の変速装置が記載されており、この特開2000−130548号公報に記載された変速装置においても、発進時にトルクを伝達するギヤ列における出力側のギヤと、セカンダリープーリに一体化されている出力軸との間に、ワンウェイクラッチと摩擦クラッチとが並列に配列されている。
これらいずれの公報に記載された装置であっても、ベルト式無段変速機と並列にギヤ列が設けられ、主として発進時にそのギヤ列を介して、発進のためのトルクを伝達するように構成されている。そして、前進走行状態では無段変速機を介してトルクを伝達するようにするために、トルクの伝達経路を切り替えており、その切り替えをワンウェイクラッチを使用して行うように構成されている。しかしながら、ワンウェイクラッチはトルクの伝達方向が一方向に限られるのに対して、車両が実際に走行する際には、正逆いずれの方向にもトルクを伝達する必要があり、またトルクの伝達経路の構成によってはワンウェイクラッチを機能させないようにする必要もあり、そのため上述した各公報に記載されているように、ワンウェイクラッチと摩擦クラッチとを併用する必要がある。したがって、上述した各公報に記載されている構成では、発進時の大きいトルクが無段変速機に作用することを回避もしくは抑制できるとしても、装置の全体としての構成が大型化し、車載性が損なわれる可能性がある。
また、特開2005−308041号公報に記載された装置および特開2004−076876号公報に記載された装置は遊星歯車機構からなる前後進切替機構を備えているが、前者の特開2005−308041号公報に記載された構成では、ベルト式無段変速機によってトルクを伝達して走行している場合、そのサンギヤにはエンジンからのトルクが伝達され、またリングギヤにはギヤ列からのトルクが伝達されるので、サンギヤおよびピニオンギヤならびにリングギヤの間に大きい回転数差が生じ、これが動力の損失や潤滑油の劣化、あるいは騒音もしくは振動の原因になる可能性がある。また、後者の特開2004−076876号公報に記載された構成では、ギヤ列がトルクを伝達して走行している場合に、前後進切替機構を構成している遊星歯車機構のサンギヤにエンジンからのトルクが伝達され、かつリングギヤには出力軸側から無段変速機を介してトルクが伝達される。その結果、上記の特開2005−308041号公報に記載された装置におけるのと同様に、サンギヤおよびピニオンギヤならびにリングギヤの間に大きい回転数差が生じ、これが動力の損失や潤滑油の劣化、あるいは騒音もしくは振動の原因になる可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、無段変速機を備えた車両用動力伝達装置であって、無段変速機で設定可能な最大変速比もしくは最小変速比を超える変速比を設定でき、しかも小型化が容易でかつ耐久性に優れた車両用動力伝達装置を提供することを目的とするものである。
この発明は、上記の課題を解決するために、駆動力源が出力したトルクが入力される入力軸とトルクを出力する出力軸との間に、変速比を連続的に変化させる無段変速機と、前記無段変速機で設定できない少なくとも一つの変速比を有するギヤ列とが前記入力軸と前記出力軸との間でトルクを伝達できるように設けられた車両用動力伝達装置において、入力要素と、出力要素と、回転が止められることにより前記入力要素と出力要素とを互いに反対方向に回転させる反力要素との三つの回転要素によって差動作用を行う前後進切替機構が前記入力軸と同一軸線上に配置され、これら三つの回転要素の少なくともいずれか二つの回転要素を連結する第1クラッチ機構と、前記反力要素の回転を止めるブレーキ機構とが設けられ、前記入力要素と前記出力軸とが前記無段変速機を介して連結されるとともに、前記入力軸から無段変速機を経由して前記出力軸に到る第1トルク伝達経路にトルクの伝達と遮断とを行う第2クラッチ機構が設けられ、前記出力要素と前記出力軸とが前記ギヤ列を介して連結されるとともに、その出力要素から前記ギヤ列を経由して前記出力軸に到る第2トルク伝達経路にトルクの伝達と遮断とを行う第3クラッチ機構が設けられ、その第3クラッチ機構が噛み合い式のクラッチによって構成され、前記無段変速機は、前記入力軸からトルクが伝達される駆動側部材と前記出力軸にトルクを出力する出力側部材とを有し、前記第2クラッチ機構は、前記出力側部材と前記出力軸との間に設けられて前記出力側部材と前記出力軸とを選択的に連結するように構成されていることを特徴とするものである。
そのギヤ列は、複数のギヤによって、前記無段変速機の最大変速比より大きい変速比、もしくは最小変速比より小さい変速比を設定するように構成されていてよい。
さらに、この発明においては、前記第1クラッチ機構と前記第2クラッチ機構とは、それぞれ摩擦クラッチによって構成されていてよい。
この発明における前記ギヤ列は、より具体的には、前記出力要素に一体的に連結された駆動ギヤと、中間軸と、前記中間軸上に設けられた一つのアイドルギヤもしくは互いに一体となって回転する複数のアイドルギヤと、前記アイドルギヤを介して前記駆動ギヤからトルクが伝達されかつ前記出力軸と同一軸線上に配置された従動ギヤとを含み、前記第3クラッチ機構は、前記従動ギヤと前記出力軸との連結と解除とを行うように構成されていてよい。
あるいはまた、この発明における前記ギヤ列は、前記出力要素と同一軸線上に設けられた駆動ギヤと、中間軸と、前記中間軸上に設けられた一つのアイドルギヤもしくは互いに一体となって回転する複数のアイドルギヤと、前記アイドルギヤを介して前記駆動ギヤからトルクが伝達されかつ前記出力軸と同一軸線上に配置された従動ギヤとを含み、前記第3クラッチ機構は、前記出力要素と前記駆動ギヤとの連結と解除とを行うように構成することができる。
さらにまた、この発明における前記ギヤ列は、前記出力要素に一体的に連結された駆動ギヤと、前記出力軸上に配置されて前記出力軸に連結された従動ギヤと、中間軸と、前記中間軸上に前記中間軸に対して回転可能に設けられかつ前記駆動ギヤに噛み合っている第1アイドルギヤと、前記中間軸上に前記中間軸と共に回転するように設けられかつ前記従動ギヤに噛み合っている第2アイドルギヤとを含み、前記第3クラッチ機構は、前記第1アイドルギヤと前記中間軸との連結と解除とを行うように構成されていてよい。
そしてまた、この発明における前記ギヤ列は、前記出力要素に一体的に連結された駆動ギヤと、前記出力軸上に配置されて前記出力軸に連結された従動ギヤと、中間軸と、前記中間軸上に前記中間軸と共に回転するように設けられかつ前記駆動ギヤに噛み合っている第1アイドルギヤと、前記中間軸上に前記中間軸に対して回転可能に設けられかつ前記従動ギヤに噛み合っている第2アイドルギヤとを含み、前記第3クラッチ機構は、前記第2アイドルギヤと前記中間軸との連結と解除とを行うように構成されていてよい。
また他方、この発明における前記前後進切替機構は、外歯歯車であるサンギヤと、前記サンギヤと同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤと、前記サンギヤに噛み合っている第1ピニオンギヤと、前記第1ピニオンギヤおよび前記リングギヤに噛み合っている第2ピニオンギヤと、前記第1ピニオンギヤおよび前記第2ピニオンギヤを自転かつ公転可能に保持しているキャリヤとを備えたダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成することができる。
この発明では、前後進切替機構を上記のように構成した場合、前記サンギヤは前記入力軸および前記無段変速機に連結され、前記キャリヤは前記ギヤ列に連結され、前記リングギヤは前記ブレーキ機構によって回転が止められるように構成されていてよい。
これとは異なり、この発明では、前記キャリヤは前記入力軸および前記無段変速機に連結され、前記サンギヤは前記ギヤ列に連結され、前記リングギヤは前記ブレーキ機構によって回転が止められるように構成されていてよい。
また、この発明における前記前後進切替機構は、外歯歯車であるサンギヤと、前記サンギヤと同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤと、前記サンギヤおよび前記リングギヤに噛み合っているピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを自転かつ公転可能に保持しているキャリヤとを備えたシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成することができ、その場合、前記リングギヤは前記入力軸および前記無段変速機に連結され、前記サンギヤは前記ギヤ列に連結され、前記キャリヤは前記ブレーキ機構によって回転が止められるように構成されていてよい。
そして、この発明における前記前後進切替機構は、前記各要素を互いに平行な線で示しかつそれぞれの回転数を、前記線に直交する基線との交点からの長さで示す共線図によって表すことのできる遊星歯車機構であってよく、前記反力要素は前記共線図における中央に位置する線で表される要素であり、前記入力要素は前記共線図における左右いずれか一方の線で表される要素であり、さらに前記出力要素は前記共線図における左右いずれか一方の線で表される要素であってよい。
したがってこの発明によれば、前後進切替機構における少なくとも二つの回転要素を第1クラッチによって連結することにより、前後進切替機構の全体が一体となって回転し、入力軸からギヤ列および無段変速機にトルクが伝達される。したがって、その状態で第2クラッチ機構を解放させ、かつ第3クラッチ機構を係合させることにより、出力軸に対して無段変速機が遮断され、かつギヤ列が出力軸に連結されるので、入力軸と出力軸とがギヤ列を介して連結される。そのギヤ列による変速比は、無段変速機で設定することのできない変速比であって、無段変速機での最大変速比より大きい変速比、もしくは最小変速比より小さい変速比であるから、動力伝達装置の全体としての変速比幅が、無段変速機での変速比幅より広くなる。
また、第1クラッチ機構に替えてブレーキ機構を係合させれば、反力要素の回転が止められて出力要素が入力要素に対して反対方向に回転するので、後進走行することができる。その場合、トルクは出力要素からギヤ列および第3クラッチ機構を介して出力軸に伝達されるので、その変速比は無段変速機では設定することのできない大きい変速比とすることができ、この点においても動力伝達装置の全体としての変速比幅を広くすることができる。
さらに、車両の減速時には出力軸側からトルクが入力されるが、第2クラッチ機構を無段変速機の従動側部材と出力軸との間に設けてその第2クラッチ機構を解放しておくことにより、出力軸から無段変速機に入力するトルクを遮断して無段変速機を連れ回すことを回避することができる。
そして、無段変速機をその変速比がギヤ列での変速比に近くなるように制御した状態で第1クラッチ機構を解放するとともに、第2クラッチ機構を係合させれば、入力軸と出力軸とが無段変速機および第2クラッチ機構を介して連結され、ギヤ列は入力軸に対して遮断される。したがって無段変速機によって適宜に変速比を設定することができる。その場合、第1クラッチ機構および第2クラッチ機構が摩擦クラッチによって構成されていれば、第1クラッチ機構および第2クラッチ機構で受け持つトルクの量を次第に変化させることにより、出力軸のトルクの変化を滑らかにすることができ、こうすることにより変速ショックや駆動力の変化に起因する違和感を防止もしくは抑制することができる。
この状態で第3クラッチ機構を解放すれば、ギヤ列は出力軸に対しても遮断されるから、無段変速機によってトルクを伝達して走行している場合にギヤ列を連れ回したり、前後進切替機構の入力要素だけでなく出力要素からもトルクが入力されて各要素の回転数差が大きくなるなどの事態を解消でき、その結果、動力の損失を低減できるだけでなく、耐久性を向上させ、また騒音や振動を抑制することができる。その第3クラッチ機構を噛み合い式のクラッチとすることにより、動力伝達装置の全体としての構成を簡素化、小型化でき、またトルクが殆ど掛かっていない状態で係合あるいは解放させるので、その係合および解放の動作に支障が生じることはない。
そして、この発明によれば、第1ないし第3の各クラッチ機構やブレーキ機構を摩擦式あるいは噛み合い式のクラッチやブレーキなど、それぞれ単一の機構によって構成することが可能になるので、動力伝達装置の全体としての構成を簡素化、小型化できる。特に前後進切替機構をシングルピニオン型あるいはダブルピニオン型の遊星歯車機構によって構成することにより、動力伝達装置の全体としての軸長を短くし、車載性を向上させることができる。
この発明に係る動力伝達装置は、エンジンやモータなどの駆動力源が出力した動力を駆動輪に伝達するための装置であって、変速機能のある装置である。すなわち、一般にはトランスミッションあるいはトランスアクスルと称されている装置である。特にこの発明で対象とする装置は、入力軸と出力軸との間に互いに並列に配列された無段変速機と所定の変速比(ギヤ比)のギヤ列とを有する動力伝達装置である。その無段変速機は、従来知られているベルト式の無段変速機やトロイダル型無段変速機であってよく、ベルト式無段変速機はFF車(フロントエンジン・フロントドライブ車)に搭載する動力伝達装置に適しており、トロイダル型無段変速機はFR車(フロントエンジン・リヤドライブ車)に搭載する動力伝達装置に適している。また、ギヤ列は、要は、入力軸から出力軸にトルクを伝達できるギヤであればよいが、この発明では、無段変速機では設定できない変速比をギヤ列で設定するから、ギヤ列は複数のギヤを噛み合わせて構成され、そのギヤ比(歯数の比)は、無段変速機での最大変速比より大きい変速比あるいは最小変速比より小さい変速比を設定できるように構成されている。なお、車両が発進する際の大きいトルクが無段変速機に掛からないようにするためには、ギヤ列は無段変速機での最大変速比より大きい変速比を設定できるように構成することが好ましい。また、走行中における駆動力源の回転数を低くして燃費を低下させるためには、ギヤ列は無段変速機での最小変速比より小さい変速比を設定できるように構成することが好ましい。
その具体例を図1に示してある。ここに示す例はFF車に適するように構成した例であり、したがって無段変速機1としてベルト式の無段変速機が採用されており、また駆動力源はガソリンエンジンなどの内燃機関(E/G。以下、エンジンと記す。)2によって構成されている。
エンジン2の出力軸(クランク軸)にロックアップクラッチ付のトルクコンバータ3が連結されている。このトルクコンバータ3は従来広く知られている構成のものであって、フロントカバー4と一体のポンプインペラー5に対向してタービンランナー6が配置され、これらポンプインペラー5とタービンランナー6との間には、図示しない一方向クラッチを介して保持されたステータ7が配置されている。そのタービンランナー6と一体となって回転するロックアップクラッチ8がフロントカバー4の内面に対向して配置され、ロックアップクラッチ8を挟んだ両側の圧力差に応じてロックアップクラッチ8がフロントカバー4の内面に接触してトルクを伝達する係合状態になり、また反対にフロントカバー4の内面から離れてトルクの伝達を遮断する解放状態になるように構成されている。そして、そのタービンランナー6に入力軸9が連結されている。
入力軸9と同一軸線上に前後進切替機構10が配置されている。この前後進切替機構10は、入力軸9から伝達されたトルクをその方向を変えずに伝達する前進状態と、入力軸9から伝達されたトルクをその方向を反転して伝達する後進状態とに切り替えるための機構であり、この発明では三つの回転要素が互いに差動作用をなすいわゆる差動機構によって構成されている。この種の差動機構は従来、種々知られており、この発明ではいずれの差動機構も採用することができる。図1に示す例では、ダブルピニオン型の遊星歯車機構によって前後進切替機構10が構成されている。
ダブルピニオン型の遊星歯車機構は外歯歯車であるサンギヤ11と、そのサンギヤ11と同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ12と、サンギヤ11に噛み合っている第1ピニオンギヤ13と、その第1ピニオンギヤ13ならびにリングギヤ12に噛み合っている第2ピニオンギヤ14と、これら第1および第2のピニオンギヤ13,14を自転かつ公転可能に保持しているキャリヤ15とを備えている。そのサンギヤ11に入力軸9が連結されていてサンギヤ11が入力要素となっている。また、リングギヤ12の回転を選択的に止めるブレーキ機構Bが設けられ、したがってリングギヤ12が反力要素となっている。このブレーキ機構Bは、リングギヤ12とケーシングなどの固定部16との間に設けられており、多板ブレーキなどの摩擦式ブレーキや噛み合い式のブレーキによって構成することができる。
そして、キャリヤ15が出力要素となっており、このキャリヤ15とサンギヤ11もしくは入力軸9との間にこれらキャリヤ15およびサンギヤ11とを連結して遊星歯車機構の全体を一体回転させるための第1クラッチ機構C1が設けられている。この第1クラッチ機構C1は前進走行状態を設定するためのものであって、フォワードクラッチと称することのできるクラッチである。この第1クラッチ機構C1は要はトルクの伝達および遮断を選択的に行うことができるものであればよいので、摩擦クラッチや噛み合いクラッチのいずれであってもよいが、係合力に応じて伝達トルク容量が次第に増大もしくは減少する湿式もしくは乾式の摩擦クラッチによって構成されていることが好ましい。また、第1クラッチ機構C1は、入力軸9のトルクを出力要素であるキャリヤ15に直接伝達するように構成されていることが好ましいが、要は、前後進切替機構10を構成している遊星歯車機構における三つの回転要素のうちの少なくとも二つの回転要素を連結して遊星歯車機構の全体を一体化させるように構成されていればよい。
なお、前後進切替機構10を構成している遊星歯車機構は、共線図によって表すことができ、図1に示す前後進切替機構10を表す共線図の例を図2に示してある。この図2から知られるように、サンギヤ11およびリングギヤ12ならびにキャリヤ15が互いに平行な線で表され、サンギヤ11を示す線とキャリヤ15を示す線とが左右の両端に位置し、その中央に反力要素であるリングギヤ12を示す線が配置される。そして、サンギヤ11を示す線とキャリヤ15を示す線との間隔を「1」とした場合、リングギヤ12を示す線とキャリヤ15を示す線との間隔が、サンギヤ11の歯数とリングギヤ12の歯数との比(すなわちギヤ比)に相当する値に設定される。各線の基線Oからの距離がそれぞれの回転要素の回転数を示し、したがって第1クラッチ機構C1を係合させた場合には、前後進切替機構10の全体が一体となって回転するので、各回転要素の回転数は直線Lfで示すようになり、これに対してブレーキ機構Bによってリングギヤ12を固定した場合には各回転要素の回転数および回転方向は直線Lrで示すようになる。すなわち、キャリヤ15がサンギヤ11に対して反対方向に回転する。
無段変速機1は、従来知られているように、駆動側部材であるプライマリープーリ17と、従動側部材であるセカンダリープーリ18と、これらのプーリ17,18に巻き掛けられたベルト19とを備えており、各プーリ17,18はベルト19が巻き掛けられている溝の幅を広狭に変化させることによりベルト19の巻き掛け半径が大小に変化するように構成されている。すなわち、ベルト19が巻き掛けられている溝幅を変化させて変速比を変更するように構成されている。
プライマリープーリ17は入力軸9と同一の軸線上で、上記の前後進切替機構10を挟んでエンジン2とは反対側に配置されており、プライマリープーリ17と一体のプライマリーシャフト20が前後進切替機構10における入力要素であるサンギヤ11に連結されている。また、セカンダリープーリ18は、その回転中心軸線が上記のプライマリープーリ17の回転中心軸線と平行になるように配置されており、その回転中心軸線に沿うように設けられたセカンダリーシャフト21を備えている。そのセカンダリーシャフト21と同一軸線上に出力軸22が配置されており、したがって出力軸22は前述した入力軸9と平行になっている。
そして、この出力軸22とセカンダリーシャフト21との間に、これら出力軸22とセカンダリーシャフト21とを選択的に連結する第2クラッチ機構C2が設けられている。この第2クラッチ機構C2は要はセカンダリープーリ18と出力軸22との間でのトルクの伝達および遮断を選択的に行うことができるものであればよいので、摩擦クラッチや噛み合いクラッチのいずれであってもよいが、係合力に応じて伝達トルク容量が次第に増大もしくは減少する湿式もしくは乾式の摩擦クラッチによって構成されていることが好ましい。
つぎに上記の無段変速機1と並列に配置されているギヤ列23について説明する。このギヤ列23は、無段変速機1での最大変速比より大きい変速比を設定する減速機構、もしくは無段変速機1での最小変速比より小さい変速比を設定する増速機構であって、図1に示す例におけるギヤ列23は、減速機構として構成されている。そして、入力軸9と出力軸22との回転方向を同一にするために、アイドルギヤが設けられている。
すなわち、入力軸9および出力軸22に対して平行に、この発明における中間軸に相当するカウンタシャフト24が配置されており、前後進切替機構10における出力要素であるキャリヤ15に駆動ギヤ25が一体的に連結されるとともに、この駆動ギヤ25に噛み合っているカウンタドリブンギヤ26がカウンタシャフト24に一体化されて設けられている。このカウンタドリブンギヤ26は駆動ギヤ25よりも大径であって、駆動ギヤ25からカウンタドリブンギヤ26に向けてトルクを伝達する場合には減速作用を生じるように構成されている。カウンタシャフト24にはカウンタドリブンギヤ26よりも径の小さいカウンタドライブギヤ27が取り付けられており、このカウンタドライブギヤ27に噛み合っている従動ギヤ28が出力軸22上に出力軸22に対して相対回転できるように配置されている。したがって、カウンタドリブンギヤ26およびカウンタドライブギヤ27がこの発明におけるアイドルギヤに相当している。
従動ギヤ28はカウンタドライブギヤ27よりも大径であって、カウンタドライブギヤ27から従動ギヤ28に向けてトルクを伝達する場合には減速作用が生じるように構成されている。したがって、ギヤ列23の変速比(ギヤ比)は、上記の駆動ギヤ25とカウンタドリブンギヤ26との間の変速比(ギヤ比)と、カウンタドライブギヤ27と従動ギヤ28との間の変速比(ギヤ比)を乗算した変速比(ギヤ比)となり、図1に示すギヤ列23は、その値が無段変速機1での最大変速比より大きくなるように構成されている。
図1に示す例では、従動ギヤ28を出力軸22に連結し、またその連結を解くための第3クラッチ機構C3が設けられている。したがって、ギヤ列23の入力軸9側に第1クラッチ機構C1が設けられ、かつ出力軸22側には第3クラッチ機構C3が設けられ、かつ第1クラッチ機構C1が摩擦式のクラッチであってよいから、第3クラッチ機構C3は係合と解放との二つの状態に切り替わる構成のものでよく、伝達トルク容量が0%と100%との間の値を取る必要がない。そのため、第3クラッチ機構C3は、ドグクラッチやシンクロナイザーなどの噛み合い式のクラッチによって構成することができる。図1には、従動ギヤ28のボス部に形成されたスプラインと、出力軸22のハブに形成したスプラインとにスリーブ29を嵌合させることにより従動ギヤ28を出力軸22に連結するシンクロナイザーによって第3クラッチ機構C3を構成した例を示してある。
図1に示す例は、前述したようにFF車に適するように構成した例であり、したがって出力軸22から終減速機であるフロントデファレンシャル30にトルクを出力するように構成されている。すなわち、出力軸22に出力ギヤ31が取り付けられ、この出力ギヤ31に噛み合っている大径ギヤ32が減速ギヤシャフト33に取り付けられている。この減速ギヤシャフト33には小径ギヤ34が取り付けられており、この小径ギヤ34がフロントデファレンシャル30のリングギヤ35に噛み合っている。そして、フロントデファレンシャル30はそのリングギヤ35を介して伝達されたトルクを左右のドライブシャフト36から駆動輪(図示せず)に伝達するように構成されている。
この発明に係る上記の動力伝達装置は、前進方向に発進する場合および後進走行する場合に、ギヤ列23を備えたトルク伝達経路(この発明における第2トルク伝達経路)を経由して出力軸22にトルクを伝達し、ある程度車速が増大した状態での前進走行時には無段変速機1を備えたトルク伝達経路(この発明における第1トルク伝達経路)を経由して入力軸9から出力軸22にトルクを伝達するように制御される。例えば、図示しないシフト装置もしくはシフトレバーによってドライブポジション(ドライブレンジ)が選択されると、第1クラッチ機構C1と第3クラッチ機構C3とが係合させられ、また第2クラッチ機構C2とブレーキ機構Bとが解放させられる。図3にはこのような係合および解放の状態を表にまとめて示してある。なお、図3で「ON」は係合していることを示し、「OFF」は解放していることを示す。また、括弧を付した「ON」は過渡的に係合状態になることを示している。
前進方向への発進時に、各クラッチ機構およびブレーキ機構をこのように設定することにより、エンジン2が出力したトルクは入力軸9を介して前後進切替機構10のサンギヤ11に伝達され、また第1クラッチ機構C1を介してキャリヤ15に伝達される。言い換えれば、前後進切替機構10はその二つの回転要素が第1クラッチ機構C1によって連結されているので、前後進切替機構10の全体が一体化されている。したがって前後進切替機構10は増減速作用を生じずに、入力されたトルクをキャリヤ15から駆動ギヤ25に伝達する。また、ギヤ列23における従動ギヤ28が、第3クラッチ機構C3によって出力軸22に連結されているので、入力軸9のトルクはギヤ列23を介して出力軸22に伝達される。そして、出力ギヤ31から減速ギヤ列およびフロントデファレンシャル30を介して左右の駆動輪にトルクが伝達され、車両が発進する。なお、無段変速機1は入力軸9もしくはサンギヤ11に常時連結されているので、エンジン2が出力したトルクが無段変速機1のプライマリープーリ17に伝達されるが、発進時には第2クラッチ機構C2が解放状態になっていて無段変速機1と出力軸22とはトルクの伝達が生じないように切り離されているので、入力軸9と出力軸22との間で無段変速機1を経由したトルクの伝達は生じず、いわゆるインターロック状態となることはない。
発進時には上述のようにしてギヤ列23を経由して入力軸9から出力軸22にトルクが伝達されてギヤ列23が減速作用を行い、その変速比は無段変速機1で設定できる最大変速比より大きい変速比となる。その結果、車両としては大きい駆動力を得ることができる。また、無段変速機1には発進時の大きいトルクが掛からないので、伝達トルク容量を設定する油圧を高くする必要がなく、そのため油圧を発生させるための動力の消費が少なくなって燃費を改善することができ、また無段変速機1の耐久性を向上させることができる。なお、第1クラッチ機構C1および第3クラッチ機構C3を係合させた状態で減速する場合、車両の走行慣性力に基づくトルクが出力軸22に作用するが、出力軸22とセカンダリープーリ18とは第2クラッチ機構C2が解放状態になっていて遮断されているから、減速時のいわゆる逆入力トルクが無段変速機1に掛かることがなく、その結果、無段変速機1に不必要に作用するトルクを低減し、かつ不必要な回転を抑制して無段変速機1の耐久性を向上させることができる。
発進後、予め決められている所定の車速にまで増速した際に、無段変速機1の変速比を最大値もしくはそれに近い変速比に設定した状態で、第1クラッチ機構C1を解放するとともに、第2クラッチ機構C2を係合させる。前後進切替機構10は、ブレーキ機構Bが解放されている状態で、更に第1クラッチ機構C1が解放されるので、いわゆる自由回転する状態になり、その結果、入力軸9とギヤ列23との連結が解かれる。これに対して、セカンダリープーリ18が第2クラッチ機構C2によって出力軸22に連結されるので、結局、入力軸9と出力軸22とは無段変速機1を経由してトルクを伝達するように連結される。したがって、無段変速機1による変速比を徐々に減少させ、あるいは車速とアクセル開度とに応じて変化させることにより、エンジン回転数を燃費の良い回転数に設定することができる。
このようにギヤ列23を経由するトルクの伝達状態から無段変速機1を経由するトルクの伝達状態に切り替える場合、ギヤ列23による変速比が無段変速機1の最大変速比より大きいから、変速比あるいは駆動力が変化することになる。したがって、第1クラッチ機構C1を解放しかつ第2クラッチ機構C2を係合させる場合、過渡的にそれらのクラッチ機構C1,C2を滑り制御する。すなわち、第2クラッチ機構C2の係合圧を徐々に増大させてその伝達トルク容量を次第に増大させ、これに併せて第1クラッチ機構C1の係合圧を徐々に低下させてその伝達トルク容量を次第に減少させる。この制御は、従来、クラッチ・ツウ・クラッチ制御として知られている制御であり、こうすることにより、出力軸22のトルクが滑らかに変化して変速ショックや違和感が生じることを回避もしくは抑制することができる。
第1クラッチ機構C1が解放し、かつ第2クラッチ機構C2が完全に係合して、無段変速機1を経由したトルクの伝達が安定的に行われる状態になった後、第3クラッチ機構C3が解放される。すなわち、ギヤ列23が出力軸22に対しても切り離される。その結果、前後進切替機構10におけるサンギヤ11に入力軸9からトルクが伝達されるが、リングギヤ12およびキャリヤ15が自由に回転できる状態になるため、前後進切替機構10の全体が一体となって回転するなど、前後進切替機構10を構成している各回転要素同士の間の回転数差が小さくなる。そのため、前後進切替機構10での動力損失や耐久性の低下、あるいは騒音もしくは振動を抑制することができる。なお、第3クラッチ機構C3を解放させる場合、既に第1クラッチ機構C1が解放されてギヤ列23にはトルクが掛かっていないので、第3クラッチ機構C3が噛み合い式のクラッチによって構成されていても、走行中に第3クラッチ機構C3を解放させることができる。言い換えれば、上述した構成となっていることにより、第3クラッチ機構C3を噛み合い式のクラッチによって構成することができる。
一方、後進走行する場合には、図3に示すように、第1クラッチ機構C1および第2クラッチ機構C2を解放するとともに、第3クラッチ機構C3およびブレーキ機構Bを係合させる。前後進切替機構10においては、リングギヤ12がブレーキ機構Bによって固定された状態でサンギヤ11にエンジン2からのトルクが入力されるので、キャリヤ15がサンギヤ11に対して反対方向に回転する。したがって、前進走行の際の発進時と同様に、ギヤ列23を経由して、入力軸9から出力軸22にトルクが伝達され、かつ出力軸22が後進走行する方向に回転する。この場合の変速比は、ギヤ列23による変速比と、前後進切替機構10を構成している遊星歯車機構による変速比とを乗算した変速比となる。そして、出力ギヤ31から減速ギヤ列およびフロントデファレンシャル30を介して左右の駆動輪にトルクが伝達され、後進走行する。なお、第2クラッチ機構C2が解放していて出力軸22が無段変速機1に対して遮断されているので、入力軸9と出力軸22との間で無段変速機1を経由したトルクの伝達は生じず、いわゆるインターロック状態となることはない。
上述したように、この発明に係る上記の動力伝達装置によれば、前進方向への発進時や後進走行する場合、無段変速機1では設定することのできない大きい変速比を設定できるので、発進加速性を向上させることができ、また後進走行時にゆっくりとした走行を行うことができる。また、これらの場合に無段変速機1は走行のためのトルクの伝達には関与しないので、無段変速機1でのベルト挟圧力を高くする必要がなく、その結果、挟圧力を発生させるための動力の消費を少なくして動力損失を低減でき、また無段変速機1の耐久性を向上させることができる。また、この発明に係る動力伝達装置では、各クラッチ機構を摩擦クラッチや噛み合いクラッチなどの単一の構成のものとすることができるので、必要とする構成部品を少なくして、動力伝達装置の全体としての構成を簡素化し、また小型化することができる。
ところで、この発明に係る動力伝達装置は、ギヤ列23を備えたトルク伝達経路を介して入力軸9から出力軸22にトルクを伝達する場合には、無段変速機1を備えたトルク伝達経路は入力軸9もしくは出力軸22から切り離され、また反対に無段変速機1を備えたトルク伝達経路を介して入力軸9と出力軸22との間でトルクを伝達する場合には、ギヤ列23を備えたトルク伝達経路は入力軸9もしくは出力軸22から切り離される。そのためのクラッチ機構は上述した図1に示す位置に設けられている必要は特にはないのであって、それぞれの本来の機能を損なわない範囲で適宜な位置に設けることができる。以下、その例を説明する。
図4はその一例を示すスケルトン図であって、ここに示す動力伝達装置は、図1に示す構成のうち第1ないし第3のクラッチ機構C1,C2,C3が入力軸9と同一の軸線上に配置され、その他は図1に示す例と同様に構成されている。したがって、図4の構成のうち図1と異なる部分のみ説明し、図1と同様の構成の部分には図4に図1と同じ符号を付してその説明を省略する。まず、第2クラッチ機構C2について説明すると、図4に示す例では、第2クラッチ機構C2はサンギヤ11とプライマリーシャフト20との間に配置されている。すなわち、第2クラッチ機構C2は、前進方向への発進時および後進走行時に解放させられてサンギヤ11とプライマリープーリ17とを遮断し、発進後に車速が増大した際に係合させられてサンギヤ11とプライマリープーリ17とを連結するように構成されている。また、噛み合い式のクラッチである第3クラッチ機構C3は、入力軸9もしくはプライマリーシャフト20と同一軸線上に配置され、前後進切替機構10における出力要素であるキャリヤ15と駆動ギヤ25とを選択的に連結し、またその連結を解くように構成されている。図1に示す構成に対して第1および第3のクラッチ機構C1,C3の配置を上記のように変更したことに伴って、セカンダリーシャフト21と出力軸22とが直結され、またギヤ列23における従動ギヤ28が出力軸22に一体となって回転するように取り付けられている。
この図4に示すように構成された動力伝達装置においても、各クラッチ機構C1,C2,C3およびブレーキ機構Bは、前進方向への発進時および前進走行中ならびに後進走行時に前述した図3に示すように係合もしくは解放させられる。そして、図1に示す構成の動力伝達装置におけるのと同様にしてギヤ列23によるトルク伝達経路(この発明における第2トルク伝達経路)を介したトルクの伝達、および無段変速機1を主体とするトルク伝達経路(この発明における第1トルク伝達経路)を介したトルクの伝達がおこなわれ、図1に示す動力伝達装置と同様に作用させ、また同様の効果を得ることができる。
また、図4に示すように構成した場合、前進走行中に入力軸9側から第2クラッチ機構C2に掛かるトルクは、トルクコンバータ3以外では増減速作用を受けていないトルクになる。すなわち、駆動状態においては、入力軸9におけるトルク以上のトルクが第2クラッチ機構C2に掛かることがないので、図1に示す構成と比較して第2クラッチ機構C2をトルク容量が小さく、また小型のクラッチとすることができる。これと同様に、ギヤ列23を介して出力軸22にトルクを伝達する場合、ギヤ列23は第3クラッチ機構C3の出力側で減速作用を行うことになるので、第3クラッチ機構C3にはギヤ列23で増大させられたトルクが掛かることがなく、したがって図1に示す構成と比較して第3クラッチ機構C3をトルク容量が小さく、また小型のクラッチとすることができる。なお、第1クラッチ機構C1およびブレーキ機構Bが互いに同一軸線上に配置されて前後進切替機構10についての制御を行うように構成されていることにより、これら第1クラッチ機構C1およびブレーキ機構Bにおけるいわゆる引き摺りを低減できることは、図1に示すように構成した場合と同様である。
図5に示す例は、図1に示す構成のうち第2クラッチ機構C2を入力軸9と同一の軸線上に配置し、他の構成は図1に示す構成と同じにした例である。したがって、図5の構成のうち図1と異なる部分のみ説明し、図1と同様の構成の部分には図5に図1と同じ符号を付してその説明を省略する。なお、図5に示す構成では、第2クラッチ機構C2を入力軸9もしくはプライマリーシャフト20と同一の軸線上に配置したことに伴って、セカンダリーシャフト21と出力軸22とが直結されている。したがって、図5に示す構成では、第2クラッチ機構C2が無段変速機1のいわゆる入力側に配置されているので、上記の図4の例について説明したように、エンジン2の動力で前進走行している場合には、エンジン2から入力軸9に伝達されたトルク以上のトルクが第2クラッチ機構C2に掛かることがない。そのため、図5に示す構成であっても第2クラッチ機構C2をトルク容量が小さく、また小型のクラッチとすることができる。
また、車両が停止に向けて減速している場合、再発進に備えて第3クラッチ機構C3を解放状態から係合状態に切り替えることがある。この切替制御は車速の低下に伴って無段変速機1による変速比を最大変速比程度に増大させた状態で実行される。ギヤ列23の変速比は無段変速機1における最大変速比よりも大きいが、その最大変速比に近い値に設定されている。したがって第3クラッチ機構C3を上記のように解放状態から係合状態に切り替える場合、第1クラッチ機構C1を先行して係合させておくことにより、出力軸22と従動ギヤ28との回転数差が小さくなり、第3クラッチ機構C3がたとえ噛み合い式のクラッチであっても容易に係合させることができる。なお、図5に示すように構成した場合であっても、前述した図1に示す構成の動力伝達装置と同様の作用・効果を得られることはもちろんである。
図6に示す例は、上述した図4あるいは図5に示す構成のうち、カウンタドリブンギヤ26をカウンタシャフト24に回転自在に取り付け、かつ第3クラッチ機構C3をカウンタシャフト24と同一の軸線上に配置し、カウンタドリブンギヤ26をカウンタシャフト24に連結し、またその連結を解くように構成し、他の構成は図4あるいは図5に示す構成と同じにした例である。したがって、図6の構成のうち図1と異なる部分のみ説明し、図1と同様の構成の部分には図6に図1と同じ符号を付してその説明を省略する。なお、図6に示す構成では、第2クラッチ機構C2を入力軸9もしくはプライマリーシャフト20と同一の軸線上に配置したことに伴って、セカンダリーシャフト21と出力軸22とが直結されている。
したがって、図6に示す構成では、第2クラッチ機構C2が無段変速機1のいわゆる入力側に配置されているので、上記の図4の例について説明したように、エンジン2の動力で前進方向に走行している場合には、エンジン2から入力軸9に伝達されたトルク以上のトルクが第2クラッチ機構C2に掛かることがない。そのため、図6に示す構成であっても第2クラッチ機構C2をトルク容量が小さく、また小型のクラッチとすることができる。また、図6に示す構成では、第3クラッチ機構C3がギヤ列23の中間に配置されているので、エンジン2を駆動して発進する場合に第3クラッチ機構C3に掛かるトルクは、駆動ギヤ25とカウンタドリブンギヤ26との間で増幅されたトルクになる。したがって、図6に示す構成では、第3クラッチ機構C3を図4に示す構成の場合より容量の大きいものとする必要があるものの、図5に示す構成の場合より小さいものとすることができる。また、図6に示すように構成した場合であっても、前述した図1あるいは図4もしくは図5に示す構成の動力伝達装置と同様の作用・効果を得られることはもちろんである。
なお、第3クラッチ機構C3をカウンタシャフト24上に配置する場合、第3クラッチ機構C3は図6に示す構成以外の構成とすることができる。例えば、カウンタドリブンギヤ26とカウンタドライブギヤ27とをカウンタシャフト24によって回転可能に支持し、それらのカウンタドリブンギヤ26とカウンタドライブギヤ27との間に第3クラッチ機構C3を配置して、その第3クラッチ機構C3によってカウンタドリブンギヤ26とカウンタドライブギヤ27とを連結し、またその連結を解くように構成することができる。あるいは、カウンタドリブンギヤ26をカウンタシャフト24に一体となって回転するように取り付けるとともに、カウンタドライブギヤ27をカウンタシャフト24に回転可能に取り付け、第3クラッチ機構C3によってそのカウンタドライブギヤ27とカウンタシャフト24とを連結し、またその連結を解くように構成することができる。
つぎに図7に示す例について説明すると、図7に示す動力伝達装置は、前述した図1に示す構成のうち第3クラッチ機構C3を、図4を参照して説明したのと同様に、入力軸9あるいはプライマリーシャフト20と同一軸線上に配置して、キャリヤ15と駆動ギヤ25とをその第3クラッチ機構C3によって係合し、またその係合を解くように構成されている。この図7に示すように構成した場合であっても、各クラッチ機構C1,C2,C3およびブレーキ機構Bは、上述した各具体例におけるのと同様に係合あるいは解放させられる。そして、図7に示す構成では、第3クラッチ機構C3を容量の小さい小型のものとすることができることは図4に示す構成の場合と同様である。また、図1に示す構成の動力伝達装置と同様に、ギヤ列23を介して入力軸9と出力軸22とを連結している状態で減速する場合、第2クラッチ機構C2によって無段変速機1が出力軸22に対して遮断されるので、無段変速機1に過大なトルクが作用することを回避することができ、その結果、無段変速機1の耐久性を向上させることができる。
なお、上述した各クラッチ機構C1,C2,C3やギヤの軸線方向での位置は、設計上適宜に決めることができ、上述した各具体例における構成部材のうち隣接する構成部材同士の位置を軸線方向で相互に入れ替えることもできる。その一例を図8に示してあり、ここに示す例は、前述した図1に示す構成のうち、第3クラッチ機構C3を第2クラッチ機構C2側に配置し、これに対して従動ギヤ28を出力ギヤ31側に配置した例である。
さらに、図9は図1に示す構成のうち第3クラッチ機構C3をカウンタシャフト24上に配置し、他の構成は図1に示す構成と同様にした例を示している。したがって図9に示す構成では、第3クラッチ機構C3がギヤ列23の中間に配置されていることによりその容量を小さくし小型化できることは、図6に示す例の場合と同様である。そして、図9に示す構成であっても、前述した図1に示す構成の動力伝達装置と同様の作用・効果を得られることはもちろんである。
上述した各具体例は、ギヤ列23による変速比を無段変速機1での最大変速比より大きくした例であるが、この発明は、要は、無段変速機1で設定できない変速比をギヤ列23によって設定するように構成されていればよいのであり、したがってギヤ列23による変速比を無段変速機1での最小変速比よりも小さくしてよい。このように構成すれば、エンジン2を低負荷で運転して走行する場合にエンジン回転数を、無段変速機1によるよりも低回転数にすることができるので、燃費を更に向上させることができる。
前述したように、この発明に係る動力伝達装置は、入力軸から無段変速機を介して出力軸にトルクを伝達する第1トルク伝達経路と、入力軸から差動作用のある前後進切替機構およびギヤ列を介して出力軸にトルクを伝達する第2トルク伝達経路とを選択できるように構成されていればよい。したがって第2トルク伝達経路を、トルクを伝達できない遮断状態にする第3クラッチ機構C3や入力軸9と前後進切替機構10との連結状態は、前述した各具体例に示す構成以外の構成とすることができる。その例を図10に示してある。
図10に示す動力伝達装置では、前述した各具体例とは異なり、入力軸9が前後進切替機構10におけるキャリヤ15に連結されている。また、第3クラッチ機構C3は、カウンタシャフト24上に配置され、かつカウンタドライブギヤ27をカウンタシャフト24に連結し、またその連結を解くように構成されている。前述した各具体例に対するこのような構成の変更に伴って他の適宜な変更が施されている。具体的に説明すると、入力軸9は、無段変速機1におけるプライマリーシャフト20に一体となって回転するように連結されるとともに、前後進切替機構10を構成している遊星歯車機構におけるキャリヤ15に一体となって回転するように連結されている。したがって、図10に示す例では、キャリヤ15が入力要素となっている。また、サンギヤ11には中空軸であるサンギヤ軸11Sが一体化されており、そのサンギヤ軸11Sの内部を入力軸9が貫通し、サンギヤ軸11と入力軸9とは相対回転できるように支持されている。さらに、サンギヤ軸11Sは、エンジン2側(図10では右側)に延びており、このサンギヤ軸11Sの延長部分に、駆動ギヤ25が一体となって回転するように設けられている。
この駆動ギヤ25と前後進切替機構10との間に第1クラッチ機構C1が配置されている。この第1クラッチ機構C1は、図10に示す例では、サンギヤ軸11Sとキャリヤ15とを連結し、またその連結を解くように構成されている。なお、リングギヤ12とケーシングなどの固定部16との間にブレーキ機構Bが設けられており、このブレーキ機構Bによってリングギヤ12の回転を止め、またリングギヤ12の回転停止を解除するように構成されている。したがって、図10に示す構成では、外径が大きい前後進切替機構10や第1クラッチC1が、プライマリープーリ17に隣接して配置されている。そのため、動力伝達装置としての外径の大きい部分の軸長が短くなり、少なくとも入力軸9側での軸長を短縮化することが可能になる。
入力軸9およびサンギヤ軸11Sに対して平行に配置されたカウンタシャフト24には、上記の駆動ギヤ25に噛み合っているカウンタドリブンギヤ26が設けられている。このカウンタドリブンギヤ26は、スプライン(図示せず)などによってカウンタシャフト24に対して、一体となって回転するように取り付けられている。また、図10に示す例では、減速作用が生じるように、カウンタドリブンギヤ26は駆動ギヤ25よりも大径に形成されている。カウンタシャフト24には、更に、カウンタドライブギヤ27が回転可能に取り付けられている。このカウンタドライブギヤ27は、カウンタドリブンギヤ26よりも無段変速機1側に配置されており、その位置は、より具体的には、例えば上記の第1クラッチ機構C1の半径方向での外側の位置である。カウンタドライブギヤ27は上記のカウンタドリブンギヤ26より小径のギヤであるから、外径の大きい第1クラッチ機構C1の外周側に配置することにより、外径の大きい部材が半径方向に並ぶことを回避して動力伝達装置の全体としての外径が大きくなることを抑制し、また軸長が長くなることを抑制できる。
そして、カウンタシャフト24上でカウンタドリブンギヤ26とカウンタドライブギヤ27との間に、噛み合いクラッチである第3クラッチ機構C3が配置されている。この第3クラッチ機構C3は、例えば同期連結機構(シンクロナイザー)によって構成され、カウンタドライブギヤ27をカウンタシャフト24に連結し、またその連結を解くように構成されている。
図10に示す構成では、出力軸22は中空軸によって構成されていて、上記の入力軸9やカウンタシャフト24に対して平行でかつセカンダリープーリ18と同一軸線上に回転可能に配置されている。なお、セカンダリーシャフト21は出力軸22の内部に、出力軸22に対して回転できるように挿入されている。この出力軸22には、上記のカウンタドライブギヤ27に噛み合っている従動ギヤ28が、一体となって回転するように設けられている。この従動ギヤ28はカウンタドライブギヤ27より大径のギヤであり、したがってカウンタドライブギヤ27から従動ギヤ28にトルクを伝達する場合に減速作用が生じるようになっている。
上記のカウンタドライブギヤ27が第1クラッチ機構C1の外周側に配置され、従動ギヤ28はそのカウンタドライブギヤ27に噛み合っているから、従動ギヤ28はセカンダリープーリ18に隣接して配置されている。そして、このセカンダリープーリ18と従動ギヤ28との間に第2クラッチ機構C2が配置されている。この第2クラッチ機構C2は、無段変速機1を含むトルク伝達経路をトルク伝達可能にするためのものであり、出力軸22をセカンダリープーリ18もしくはセカンダリーシャフト21に連結し、またその連結を解くように構成されている。この第2クラッチ機構C2は、例えば、図10に模式的に示すように、セカンダリープーリ18を構成している一方のシーブ(特に油圧室を形成しているドラム18D)と従動ギヤ28とを連結し、またその連結を解くように構成することができる。
図10に示す構成では、外径の大きい各プーリ17,18が半径方向に並んで配置されているのに対応して、それぞれ外径の大きい前後進切替機構10および第1クラッチ機構C1と、第2クラッチ機構C2および従動ギヤ28とが半径方向にほぼ並んで配置されている。そのため、外径の大きい部材を軸線方向での一端部側にまとめて配置でき、それに伴って動力伝達装置の全体としての外形形状は、大径部分の軸長が比較的短い形状とすることができ、それに伴って車載性を向上させることができる。
上記の円筒軸である出力軸22は、セカンダリープーリ18とは反対の方向に延びており、その延長部分に出力ギヤ31が設けられ、この出力ギヤ31から大径ギヤ32および減速ギヤシャフト33ならびに小径ギヤ34およびリングギヤ35を介してフロントデファレシャル30にトルクを伝達するように構成されている。この出力ギヤ31からフロントデファレンシャル30に到るトルクの伝達経路の構成は、前述した各具体例における構成と同様である。なお、図10において、特に説明していない構成で前述した各具体例と同様の構成の部分には、前述した各具体例と同様の符号を図10に付してある。
図10に示すように構成された動力伝達装置は、前述した各具体例の動力伝達装置と同様に、第1ないし第3のクラッチ機構C1,C2,C3およびブレーキ機構Bを前掲の図3に示すように係合あるいは開放させることにより、前進状態および所定の変速比ならびに後進状態を設定することができる。すなわち、第1クラッチ機構C1と第3クラッチ機構C3とを係合させることにより、入力軸9からギヤ列23を介して出力軸22にトルクを伝達することができる。そのギヤ列23のギヤ比が、無段変速機1での最大変速比より大きいから、発進時の駆動トルクを大きくすることができる。
また、第2クラッチ機構C2のみを係合させることにより、入力軸9から無段変速機1を介して出力軸22にトルクが伝達される。その場合の変速比は、無段変速機1におけるベルト19の各プーリ17,18に対する巻き掛け半径を適宜に変更することにより、変更される。その場合、出力軸22に一体化されている従動ギヤ28から、その従動ギヤ28に噛み合っているカウンタドリブンギヤ27にトルクが伝達されるが、第3クラッチ機構C3が開放させられていてカウンタシャフト24とカウンタドライブギヤ27との間のトルク伝達が遮断されているので、カウンタシャフト24に出力軸22側からトルクが伝達されることはない。特にギヤ列23が減速ギヤ列として構成されている場合、出力軸22側からトルクが入力されると、ギヤ列23が増速ギヤ列として機能してしまうので、カウンタドライブギヤ27の回転数が従動ギヤ28の回転数より大きくなる。しかしながら、第3クラッチ機構C3が開放されていることにより、カウンタシャフト24に対して出力軸22側からトルクが伝達されることがないので、カウンタシャフト24の回転数が高回転数になることがない。その結果、図10に示す構成では、無段変速機1を使用して前進走行している場合のカウンタシャフト24の回転数が高回転数になることを防止できるので、カウンタシャフト24を回転可能に支持している軸受部分での動力損失を低減でき、ひいては動力伝達装置の全体としての動力伝達効率を向上させることができる。また、カウンタシャフト24を回転可能に支持している軸受は、特に高回転数に耐え得る高級かつ高コストのものではなくてよく、その結果、動力伝達装置の全体としての構成を小型化でき、また低コスト化することが可能になる。
なお、無段変速機1を介して入力軸9から出力軸22にトルクを伝達して前進走行している場合に、第1クラッチ機構C1を係合させてもよい。その場合、駆動ギヤ25およびこれに噛み合っているカウンタドリブンギヤ26を介してカウンタシャフト24にトルクが伝達されて、カウンタシャフト24が回転する。しかしながら、駆動ギヤ25とカウンタドリブンギヤ26との間では減速作用が生じ、カウンタシャフト24の回転数は入力軸9よりも低回転数になる。そのため、カウンタシャフト24を回転可能に支持している軸受を高級かつ大型のものとする必要性は特には生じない。
後進状態は、前述した各具体例と同様に、ブレーキ機構Bと第3クラッチ機構C3とを係合させることにより設定される。すなわち、前後進切替機構10の反力要素であるリングギヤ12を固定し、入力要素であるキャリヤ15にトルクを入力することにより、出力要素であるサンギヤ11をキャリヤ15に対して反対方向に回転させ、さらにそのサンギヤ11からギヤ列23および第3クラッチ機構C3を介して出力軸22にトルクを伝達する。その場合、図10に示す構成では、前述した各具体例とは異なり、キャリヤ15が入力要素となり、かつサンギヤ11が出力要素となっているので、後進状態の前後進切替機構10で生じる変速比が、上述した各具体例での変速比とは異なることになる。すなわち、前後進切替機構10を構成している遊星歯車機構のギヤ比(サンギヤ11の歯数のリングギヤ12の歯数に対する比率)を「ρ」とすると、図10に示す構成では、後進状態での前後進切替機構10による変速比が「(1−ρ)/ρ」となり、これに対して前述した各具体例では、後進状態での前後進切替機構10による変速比が「ρ/(1−ρ)」となる。
なお、この発明における前後進切替機構10は、上述したダブルピニオン型の遊星歯車機構に替えてシングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成することができ、その例を図11に記載してある。シングルピニオン型の遊星歯車機構を使用する場合、サンギヤ11を出力要素とし、キャリヤ15を反力要素とし、さらにリングギヤ12を入力要素とすることができる。したがってキャリヤ15がブレーキ機構Bに連結され、サンギヤ11に駆動ギヤ25が連結される。そして、入力軸9がリングギヤ12に連結されるとともに、リングギヤ12とサンギヤ11との間にこれらを連結する第1クラッチ機構C1が設けられる。
また、上述した各具体例では、一つの変速比(ギヤ比)を有するギヤ列を用いた構成を示したが、この発明におけるギヤ列は、二以上の変速比(ギヤ比)を有し、それらの変速比を選択して設定できるギヤ列を含む。さらに、この発明における第1クラッチ機構は、差動作用を行う前後進切替機構の全体を一体化するためのものであり、したがって上記の各具体例で示したように、サンギヤ11とキャリヤ15との二つの回転要素を互いに連結する構成以外に、サンギヤ11とキャリヤ15とリングギヤ12との三つの回転要素を連結するように構成されていてもよい。
さらに、この発明では、前述した図1および図4ないし図9に示す前後進切替機構10の構成は、図10に示す前後進切替機構10の構成に置き換えてもよい。すなわち、図1および図4ないし図9に示す前後進切替機構10において、キャリヤ15を入力軸9に一体となって回転するように連結するとともに、そのキャリヤ15とサンギヤ11との間に第1クラッチ機構C1を設け、またサンギヤ11と駆動ギヤ25とを一体となって回転するように連結してもよい。
1…無段変速機、 2…内燃機関(E/G)、 9…入力軸、 10…前後進切替機構、 11…サンギヤ、 11S…サンギヤ軸、 12…リングギヤ、 13…第1ピニオンギヤ、 14…第2ピニオンギヤ、 15…キャリヤ、 B…ブレーキ機構、 C1…第1クラッチ機構、 17…プライマリープーリ、 18…セカンダリープーリ、 18D…ドラム、 19…ベルト、 20…プライマリーシャフト、 21…セカンダリーシャフト、 22…出力軸、 23…ギヤ列、 24…カウンタシャフト、 25…駆動ギヤ、 26…カウンタドリブンギヤ、 27…カウンタドライブギヤ、 28…従動ギヤ、 C3…第3クラッチ機構、 29…スリーブ、 30…フロントデファレンシャル、 31…出力ギヤ、 32…大径ギヤ、 33…減速ギヤシャフト、 34…小径ギヤ、 35…リングギヤ、 36…ドライブシャフト。
Claims (13)
- 駆動力源が出力したトルクが入力される入力軸とトルクを出力する出力軸との間に、変速比を連続的に変化させる無段変速機と、前記無段変速機で設定できない少なくとも一つの変速比を有するギヤ列とが前記入力軸と前記出力軸との間でトルクを伝達できるように設けられた車両用動力伝達装置において、
入力要素と、出力要素と、回転が止められることにより前記入力要素と出力要素とを互いに反対方向に回転させる反力要素との三つの回転要素によって差動作用を行う前後進切替機構が前記入力軸と同一軸線上に配置され、
これら三つの回転要素の少なくともいずれか二つの回転要素を連結する第1クラッチ機構と、前記反力要素の回転を止めるブレーキ機構とが設けられ、
前記入力要素と前記出力軸とが前記無段変速機を介して連結されるとともに、前記入力軸から無段変速機を経由して前記出力軸に到る第1トルク伝達経路にトルクの伝達と遮断とを行う第2クラッチ機構が設けられ、
前記出力要素と前記出力軸とが前記ギヤ列を介して連結されるとともに、その出力要素から前記ギヤ列を経由して前記出力軸に到る第2トルク伝達経路にトルクの伝達と遮断とを行う第3クラッチ機構が設けられ、かつ
前記第3クラッチ機構は、噛み合い式のクラッチによって構成され、
前記無段変速機は、前記入力軸からトルクが伝達される駆動側部材と前記出力軸にトルクを出力する出力側部材とを有し、
前記第2クラッチ機構は、前記出力側部材と前記出力軸との間に設けられて前記出力側部材と前記出力軸とを選択的に連結するように構成されている
ことを特徴とする車両用動力伝達装置。 - 前記ギヤ列は、複数のギヤによって、前記無段変速機の最大変速比より大きい変速比、もしくは最小変速比より小さい変速比を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
- 前記第1クラッチ機構と前記第2クラッチ機構とは、それぞれ摩擦クラッチによって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用動力伝達装置。
- 前記ギヤ列は、前記出力要素に一体的に連結された駆動ギヤと、中間軸と、前記中間軸上に設けられた一つのアイドルギヤもしくは互いに一体となって回転する複数のアイドルギヤと、前記アイドルギヤを介して前記駆動ギヤからトルクが伝達されかつ前記出力軸と同一軸線上に配置された従動ギヤとを含み、
前記第3クラッチ機構は、前記従動ギヤと前記出力軸との連結と解除とを行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。 - 前記ギヤ列は、前記出力要素と同一軸線上に設けられた駆動ギヤと、中間軸と、前記中間軸上に設けられた一つのアイドルギヤもしくは互いに一体となって回転する複数のアイドルギヤと、前記アイドルギヤを介して前記駆動ギヤからトルクが伝達されかつ前記出力軸と同一軸線上に配置された従動ギヤとを含み、
前記第3クラッチ機構は、前記出力要素と前記駆動ギヤとの連結と解除とを行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。 - 前記ギヤ列は、前記出力要素に一体的に連結された駆動ギヤと、前記出力軸上に配置されて前記出力軸に連結された従動ギヤと、中間軸と、前記中間軸上に前記中間軸に対して回転可能に設けられかつ前記駆動ギヤに噛み合っている第1アイドルギヤと、前記中間軸上に前記中間軸と共に回転するように設けられかつ前記従動ギヤに噛み合っている第2アイドルギヤとを含み、
前記第3クラッチ機構は、前記第1アイドルギヤと前記中間軸との連結と解除とを行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。 - 前記ギヤ列は、前記出力要素に一体的に連結された駆動ギヤと、前記出力軸上に配置されて前記出力軸に連結された従動ギヤと、中間軸と、前記中間軸上に前記中間軸と共に回転するように設けられかつ前記駆動ギヤに噛み合っている第1アイドルギヤと、前記中間軸上に前記中間軸に対して回転可能に設けられかつ前記従動ギヤに噛み合っている第2アイドルギヤとを含み、
前記第3クラッチ機構は、前記第2アイドルギヤと前記中間軸との連結と解除とを行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。 - 前記前後進切替機構は、外歯歯車であるサンギヤと、前記サンギヤと同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤと、前記サンギヤに噛み合っている第1ピニオンギヤと、前記第1ピニオンギヤおよび前記リングギヤに噛み合っている第2ピニオンギヤと、これら第1ピニオンギヤおよび前記第2ピニオンギヤを自転かつ公転可能に保持しているキャリヤとを備えたダブルピニオン型遊星歯車機構を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
- 前記サンギヤは前記入力軸および前記無段変速機に連結され、
前記キャリヤは前記ギヤ列に連結され、
前記リングギヤは前記ブレーキ機構によって回転が止められるように構成されている
ことを特徴とする請求項8に記載の車両用動力伝達装置。 - 前記キャリヤは前記入力軸および前記無段変速機に連結され、
前記サンギヤは前記ギヤ列に連結され、
前記リングギヤは前記ブレーキ機構によって回転が止められるように構成されている
ことを特徴とする請求項8に記載の車両用動力伝達装置。 - 前記前後進切替機構は、外歯歯車であるサンギヤと、前記サンギヤと同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤと、前記サンギヤおよび前記リングギヤに噛み合っているピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを自転かつ公転可能に保持しているキャリヤとを備えたシングルピニオン型遊星歯車機構を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
- 前記リングギヤは前記入力軸および前記無段変速機に連結され、
前記サンギヤは前記ギヤ列に連結され、
前記キャリヤは前記ブレーキ機構によって回転が止められるように構成されている
ことを特徴とする請求項11に記載の車両用動力伝達装置。 - 前記前後進切替機構は、前記各要素を互いに平行な線で示しかつそれぞれの回転数を、前記線に直交する基線との交点からの長さで示す共線図によって表すことのできる遊星歯車機構を含み、
前記反力要素は前記共線図における中央に位置する線で表される要素であり、前記入力要素は前記共線図における左右いずれか一方の線で表される要素であり、さらに前記出力要素は前記共線図における左右いずれか一方の線で表される要素である
ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の車両用動力伝達装置。
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