JP5664011B2 - インクジェット記録方法、インクセットおよび記録物 - Google Patents
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Description
以下、本発明の一実施形態を、記録装置としてインクジェット式プリンターを用いた例により、図面に基づいて説明する。
1.2.1.樹脂インクの層の形成工程
本実施形態にかかるインクジェット記録方法における樹脂インクの層の形成工程(以下、適宜形成工程という)は、後述の樹脂インクを記録媒体に対して層を形成する工程である。形成手段については特に制限はなく、公知の技術を選択することができる。例えば、前述のインクジェット記録装置を用いてヘッド9によって形成しても良く、または、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、スプレーコーター、スリットコーター等の従来から利用されているアナログコーターによって塗布しても良い。インクジェット記録装置を用いた場合には、任意の箇所に層を形成可能である点で優れている。一方アナログコーターの場合は、樹脂インクの粘度の制限範囲が広く、高速で塗布できる点で優れている。アナログコーターの市販品としては、たとえばKハンドコーター(松尾産業株式会社製)、バーコーター(第一理化株式会社製)、Capilary Coater小型基板&小容量タイプ(株式会社ヒラノテクシード製)、No579バーコーター(株式会社安田精機製作所製)などがある。
duty(%)=実記録ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実記録ドット数」は単位面積当たりの実記録ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
本実施形態にかかるインクジェット記録方法における光輝性層を形成する工程は、上述のインクジェット記録装置を用い、下地層の上に、光輝性インクの液滴を吐出して、記録媒体に付着させて行われる。本工程で形成される光輝性層の機能の一つとしては、記録媒体に光輝性面を形成することが挙げられる。光輝性層の膜厚は、好ましくは0.02〜10μmであり、より好ましくは0.05〜5μmである。光輝性層の膜厚が0.02μm未満であると、光輝性層表面の反射光より透過光の割合が多くなる為、結果として十分な光輝性が得られなくなる場合がある。
本実施形態では、記録対象となる記録媒体は、特に限定されず、例えば、インク非吸収性および低吸収性の記録媒体、ならびに粗面を有する記録媒体であっても好適に用いることが可能である。
塗工紙は、表面に塗料を塗布し、美感や平滑さを高めた紙。塗料は、タルク、パイロフィライト、クレー(カオリン)、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの顔料と、デンプン、ポリビニルアルコールなどの接着剤を混合して作る。塗料は、紙の製造工程の中でコーターという機械を使って塗布する。コーターには、抄紙機と直結することで抄紙・塗工を1工程とするオンマシン式と、抄紙とは別工程とするオフマシン式がある。主に記録に用いられ、経済産業省の「生産動態統計分類」では印刷用塗工紙に分類される。
本願発明にかかるインクジェット記録用のインクセットは、記録媒体に対し、インクジェット記録装置を用いて、光輝性を有する画像の記録に用いられるインクセットであって、樹脂インクと、非水系光輝性顔料インク(以下、光輝性インクともいう)とを備える。また、上記インクセットとして、少なくとも上記樹脂インクおよび非水系光輝性顔料インクを備えたものを例示する。上記の各インクをそれぞれ単独または複数備えたインクセットとしてもよいし、さらに一または複数の他のインクを含むインクを備えたインクセットとしてもよい。インクセットに備えることができる他のインクとしては、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロー、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレット等のカラーインク、ブラックインク、ライトブラックインク等が挙げられる。
本実施形態にかかる水系樹脂インクは、水溶性樹脂溶剤と、樹脂成分として、前記水溶性樹脂溶剤には相溶する樹脂を含んでいる。相溶とは、前記水溶性樹脂溶剤中に樹脂を混ぜると溶解あるいは粒子が膨潤する組み合わせを指す。なお、本発明において樹脂インクは、水系のインク(水分含有量が50%以上)、非水系(水分含有量が50%未満)のインクのいずれであってもよい。以下、水系のインクの場合を具体例にして各成分を説明する。
水は、水性インクの主な媒体であり、好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。また、紫外線照射、又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いた水性インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
水溶性樹脂溶剤は、樹脂インクに同時に添加している樹脂と相溶する水溶性溶剤から選ばれる。用いる樹脂によって最適な組み合わせはあるが、例えば、水溶性の複素環式化合物、水溶性のアルキレングリコールアルキルエーテル等が好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、および2−ピロリドン等のピロリドン類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ε−カプロラクタム等のラクタム類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、および乳酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のオキシアルキレングリコールエーテル類、1,4−ジオキサン等の環式エーテル類が好ましい。特に、樹脂インクの保存安定性、十分な乾燥速度、と下地層の皮膜化促進の点で、ピロリドン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類が特に好ましい。
樹脂は、水溶性樹脂溶剤と相溶することで、樹脂インクの乾燥後に強固な樹脂膜を形成することができ、かつ樹脂の元々のガラス転移温度より低い温度で造膜することができる。
水系樹脂インクは、さらにワックスを添加してもよい。これにより、乾燥後のインク膜表面の摩擦抵抗を低減する特性を有する。このようなワックスを構成する成分としては、例えばカルナバワックス、キャンデリワックス、みつろう、ライスワックス、ラノリン等の植物・動物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物系ワックス;カーボンワックス、ヘキストワックス、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸アミド等の合成ワックス類、α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体等の天然・合成ワックスエマルジョンや配合ワックス等を単独あるいは複数種を混合して用いることができる。この中で好ましいワックスの種類としては、ポリオレフィンワックス、特にポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスであり、さらには、インク非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対する耐擦性の観点から、ポリエチレンワックスがより好ましい。ワックスとしては市販品をそのまま利用することもでき、例えばノプコートPEM17(商品名、サンノプコ株式会社製)、ケミパールW4005(商品名、三井化学株式会社製)、AQUACER515、AQUACER593(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
その他の成分として、樹脂インクは、必要に応じて、水溶性溶剤や、界面活性剤を含む。これらの添加量は、記録媒体やインクの種類に応じて適宜調整できる。さらに必要に応じて添加するものとして、保湿剤、防腐剤・防かび剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、金属トラップ剤などがあげられる。
水溶性溶剤は、後述する界面活性剤と相乗して、記録媒体に対する樹脂インクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用を有する。そのため、樹脂インクに水溶性溶剤を含有させることは、均一に下地層を形成できるという観点から好ましい。このような水溶性溶剤としては、1価アルコール、または多価アルコールおよびその誘導体が挙げられる。
界面活性剤は、上述した水溶性溶剤と相乗して、記録媒体に対する色インクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用を有する。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤とアセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
保湿剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2,3−ブタンジオール等の多価アルコール、または糖類および糖アルコール等が挙げられる。
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などが挙げられる。
pH調整剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類及びそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩類その他燐酸塩等があげられる。
溶解助剤としては、尿素、チオ尿素、ジメチル尿素、テトラエチル尿素などがあげられる。
酸化防止剤・紫外線吸収剤としては、アロハネート、メチルアロハネート、などのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物等があげられる。
金属トラップ剤としては、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム等のキレート剤などがあげられる。
樹脂インクは、活性化エネルギー線により重合反応により硬化させる場合には、従来より用いられている重合性化合物、重合開始剤等を有していても良い。重合開始剤としては、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、ベンジル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ポリ塩化ポリフェニル、ヘキサクロロベンゼン等が挙げられる。
非水系光輝性インク(以下、適宜光輝性インクという)は、光輝性顔料と、有機溶剤とを含有する。以下に非水系光輝性インクに含有される成分について説明する。
光輝性インクに含有される光輝性顔料としては、インクジェット記録方法によって当該インクの液滴を吐出できる範囲内で、任意のものを用いることができる。光輝性顔料は、光輝性インクが樹脂インクの層の上に付着したときに、光輝性を付与する機能を有し、また、付着物に光輝性を付与することもできる。このような光輝性顔料としては、パール顔料や光輝性顔料があげられる。パール顔料の代表例としては、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。一方光輝性顔料としてはアルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などの粒子を挙げることができ、これらの単体またはこれらの合金およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
CV値=粒度分布の標準偏差/粒子径の平均値×100 (式1)
前記有機溶剤としては、好ましくは極性有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、又はフッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、又はプロピオン酸エチル等)、又はエーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、又はジオキサン等)等を用いることができる。特に、前記有機溶剤は、常温常圧下で液体であるアルキレングリコールエーテルを1種類以上含む、ことが好ましい。
前記インクに用いられる定着用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(例えば、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルブチラール、ポリアクリルポリオール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。
前記インクは、少なくとも1種類以上のグリセリン、ポリアルキレングリコール、又は糖類を含むことが好ましい。これら1種類以上のグリセリン、ポリアルキレングリコール、又は糖類の合計量は、インク中0.1質量%以上10質量%以下添加されることが好ましい。このような好ましい構成とすることにより、インクの乾燥を抑え、目詰まりを防止しつつ、インクの吐出を安定化し、記録物の画像品質を良好にすることができる。ポリアルキレングリコールとしては、主鎖中にエーテル結合の繰り返し構造を有する線状高分子化合物であり、例えば環状エーテルの開環重合等によって製造される。
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、これらは、本発明の範囲を限定するものではない。
樹脂インクは、表1に記載の組成になるように、樹脂成分、水溶性有機溶媒、界面活性剤、ワックス、およびイオン交換水を混合し調製した。その後、常温で1時間混合撹拌して、表1に記載の樹脂インク1〜4を得た。
表1中で示した成分は、下記の通りである。なお、表中の単位は質量%である。
(1)樹脂成分
・スチレン−アクリル酸共重合体(熱可塑性樹脂粒子、平均粒子径50nm、分子量55000、ガラス転移温度80℃、酸価130)
・ポリウレタン(レザミンD−2020、大日精化社製)
(2)水溶性有機溶媒
・1,2−ヘキサンジオール
・2−ピロリドン
・プロピレングリコール
(3)界面活性剤
・シリコン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−348」、ポリエーテル変性シロキサン)
・アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名「サーフィノール104PG−50」)
(4)ポリオレフィンワックス
・ポリエチレンワックス(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「AQUACER−515」)
光輝性顔料インクに添加される光輝性顔料を得るために、まず以下のように光輝性顔料分散液を作成した。
(1)光輝性顔料(固形分)
(2)有機溶剤
・ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)
・テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDM)
・γ−ブチロラクトン
・テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGMB)
(3)樹脂成分
・セルロースアセテートブチレート(CAB、関東化学社製;ブチル化率35〜39%)
(4)界面活性剤
・BYK−UV3500(商品名、ビックケミー・ジャパン社製)
乾燥工程を含む第1下地層形成工程を用いた下地層と、乾燥工程を含まない第2下地層形成工程を用いた下地層の2種類の下地層を形成した。上記の2種類の下地層について、それぞれ光輝性層を付与した。以下に詳細を説明する。
実施例および比較例の各試料は、インクジェット記録装置として、インクジェットプリンターSP−300V(ローランドDG社製)を用いて作成した。該プリンターのシアンインクの代わりに上述の樹脂インクを、イエローインクの代わりに光輝性顔料インクを充填して使用した。なお、マゼンタインク、ブラックインクはそのままとした。また、該プリンターは、印字位置において、記録媒体を加熱することができるように、温度調節可能なローラーを取り付ける改造を行った。
(1)PET1:リンテック社製、商品名「PET50A」
(2)PET2:リンテック社製、商品名「K2411
(3)合成紙:PP延伸加工フィルム、リンテック社製、商品名「ユポ80」
(4)キャスト紙:王子タック社製、商品名「Oミラー73/F41/U8C」
(5)コート紙:リンテック社製、商品名「NPコート_PW8E」
(6)普通紙:富士ゼロックス社製、商品名「XeroxP」
(7)上質紙:リンテック社製、商品名「55PW8R」
(8)PVC:ローランド社製、商品名「LLEX」
なお、上記の記録媒体において、PET1、PET2、合成紙、キャスト紙、およびコート紙は「インク非吸収性もしくは低吸収性の記録媒体」であり、普通紙、および上質紙は「インクを記録する面の算術平均粗さRaが20μm以上である記録媒体」に該当する。
上記普通紙および上質紙に、乾燥工程を含まない第2下地層形成工程によって下地層を形成したほかは、上記の「4.3.1.第1下地層形成工程を用いた評価用試料の作成」項と同様にして、評価用試料の作成を行った(実施例6Eおよび7E)。結果を表4に示す。
(1)光沢度の評価
前記各実施例および各比較例、各参考例に係る記録物の記録面について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
S :光沢度が401以上。
A :光沢度が291以上401未満。
B :光沢度が171以上291未満。
C :光沢度が51以上171未満。
D :光沢度が51未満。
乾燥後の記録物を学振型摩耗堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業株式会社製)にセットし、接触部に白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子(荷重;300g)にて10回擦ることで、耐摩耗性評価を実施した。そして、樹脂インクの層を付与しなかった場合に対して、耐擦性の向上が見られた場合は「○」とし、耐擦性の変化が見られなかったものは「−」とした。
これらの結果を合わせて表3および4に示した。
表3および4から明らかなように、本発明のインクジェット記録方法によって得られた記録物では、光輝性または耐擦性に優れていたのに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
上述の実施例1A〜3A、5A、および7A、ならびに比較例1〜3、5、7にかかる下地層について、上述の「(1)光沢度の評価」と同様の測定を行った。結果を表5に示す。なお、表5中、「光輝性層の60°光沢度」は表3に示した当該実施例および比較例の60°光沢度である。また、表5に示した「光輝性層の60°光沢度」を横軸とし、「下地層の60°光沢度」を縦軸にプロットした相関図を図2に示す。なお、実施例1A〜3A、5A、および7Aにかかる「光輝性層の60°光沢度」および「下地層の60°光沢度」から最小2乗法を用いて算出した近似式および相関係数を併せて示す。
Claims (9)
- インクジェット法により、光輝性顔料が分散した非水系光輝性インクを、記録媒体に記録するインクジェット記録方法であって、
前記記録媒体の、少なくとも前記非水系光輝性インクを記録する部位に、樹脂成分が分散媒に分散または溶解した樹脂インクを付与し、下地層を形成する下地層形成工程と、
前記下地層上に、前記非水系光輝性インクを記録する光輝性インク記録工程と、を有し、かつ、
前記記録媒体が、インク非吸収性もしくは低吸収性の記録媒体、または前記樹脂インクを記録する面の算術平均粗さRaが20μm以上である記録媒体であり、
前記下地層形成工程として、下地層を乾燥させる乾燥工程を含む第1下地層形成工程と、乾燥工程を含まずに下地層を形成する第2下地層形成工程と、を備える、
インクジェット記録方法。 - 前記下地層の算術平均粗さRaは20μm以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記下地層の60°光沢度が20以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記樹脂インクが、シリコン系界面活性剤を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記乾燥工程における乾燥温度は、30℃以上120℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記樹脂インクが、シリコン系界面活性剤と、HLB値が6以下のアセチレングリコール系界面活性剤と、を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記樹脂成分は、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1ないし6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェット記録方法に用いられる、前記光輝性インクと前記樹脂インクとを備えることを特徴とするインクセット。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載のインクジェット記録方法によって記録されたことを特徴とする記録物。
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