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JP5413000B2 - 止着テープ、止着テープの製造方法およびテープ型使い捨ておむつ - Google Patents

止着テープ、止着テープの製造方法およびテープ型使い捨ておむつ Download PDF

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Description

本発明は、止着テープ、止着テープの製造方法、およびテープ型使い捨ておむつに関する。更に詳しくは、フック材と基材との接着強度を向上できる止着テープ、止着テープの製造方法、およびテープ型使い捨ておむつに関する。
一般に、テープ型おむつは、例えば、図16に示すテープ型おむつ150のように、吸収体22と、吸収体22の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、吸収体22の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されており、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置され、前身頃2と後身頃6とを固定するための止着テープ110を更に備えている(例えば、特許文献1参照)。
このようなテープ型おむつ150によれば、着用者の排泄物はトップシート18の液透過性の部分(図中ではセンターシート18a)を透過して吸収体22に吸収されるとともに、通常、液不透過性の材料で構成されるバックシート20によって外部への漏洩が防止され、排泄物をおむつ内部に保持することができる。また、止着テープ110によっておむつの前身頃2と後身頃6とを相互に固定することで、着用者に容易に装着させることができるという利点をも有するものである。
このような止着テープ110としては、粘着剤の粘着力により固定を行う粘着ファスナーが汎用されていたが、近年では、凸部材(フック材)と凹部材(ループ材)の機械的結合により固定を行うメカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)への移行が進行しつつある。
このような止着テープ110は、図16に示すように、上記したメカニカルファスナーのフック材144を、基材148の表面に付設させることによって形成されている。
特開2003−275244号公報
基材148の素材としては、不織布が採用されることが一般的である。この種の不織布では、一般に、シート状に配置された繊維ウェブの表面積の8.5%〜13%を熱エンボス処理し、表裏面の繊維ウェブ同士を融着させた凹部分と繊維ウェブ同士が融着されずに隆起した凸部分とで構成されている。また、前身頃と後身頃を固定する際や、後身頃領域の位置を調整する際に、強く引張られることがあり、高強度が求められるため、不織布の目付がトップシート等に用いられる不織布の目付10g/m〜30g/mよりも高い50g/m〜150g/mに設定されている。このため、不織布の厚みに起因して表面の凹凸が顕著であり、しかも凸部分の表面も繊維ウェブによる微小な凹凸が生じ、フック材144との有効接着面積を十分に確保することが困難であった。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、基材とフック材との有効接着面積を十分に確保して基材とフック材との接着強度を高めることができる止着テープ、止着テープの製造方法およびテープ型使い捨ておむつを提供するものである。
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、基材の表面にはフック材の接着部位に対応してその表面の繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部を形成し、当該表面融着部にフック材を接着することによって、基材とフック材との有効接着面積を十分に確保して基材とフック材との接着強度を高めることによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の止着テープ、止着テープの製造方法及びテープ型おむつが提供される。
[1] おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いられる止着テープであって、
不織布からなる基材と、当該基材の表面の一部に接着されるメカニカルファスナーのフック材とを備え、前記基材の表面には、前記フック材の接着部位に対応して、当該基材の表面の繊維ウェブの微小凹凸及び前記繊維ウェブの表面処理として施された熱エンボス処理により形成される凹凸を少なくとも低減させるように、前記繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部が形成されており、当該表面融着部に前記フック材が接着されている止着テープであり、前記表面融着部は、テープ引張方向に対して前記フック材よりも幅狭であり、前記フック材は前記表面融着部及び前記表面融着部のテープ引張方向両側に位置する前記表面融着部の非形成部に接着されている止着テープ
おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いられる止着テープであって、
不織布からなる基材と、当該基材の表面の一部に接着されるメカニカルファスナーのフック材とを備え、前記基材の表面には、前記フック材の接着部位に対応して、当該基材の表面の繊維ウェブの微小凹凸及び前記繊維ウェブの表面処理として施された熱エンボス処理により形成される凹凸を少なくとも低減させるように、前記繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部が形成されており、当該表面融着部に前記フック材が接着されている止着テープであり、前記表面融着部は、テープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置された縞状であり、前記フック材は、前記表面融着部及び前記表面融着部間の前記表面融着部の非形成部に接着されている止着テープ。
おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いられる止着テープであって、
不織布からなる基材と、当該基材の表面の一部に接着されるメカニカルファスナーのフック材とを備え、前記基材の表面には、前記フック材の接着部位に対応して、当該基材の表面の繊維ウェブの微小凹凸及び前記繊維ウェブの表面処理として施された熱エンボス処理により形成される凹凸を少なくとも低減させるように、前記繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部が形成されており、当該表面融着部に前記フック材が接着されている止着テープであり、前記表面融着部は、テープ引張り方向およびテープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置されており、前記フック材は、前記表面融着部に接着され、かつ前記表面融着部間の前記表面融着部の非形成部に接着されている止着テープ。
] 帯状の長尺基材シートの表面の一部にその長手方向に沿って帯状の長尺フック材を重ね合わせて接着することにより長尺シート積層体を得るシート積層工程と、前記長尺シート積層体を所定の幅で切り離すことにより複数の止着テープを得る止着テープ切離工程とを含む止着テープの製造方法であって、前記シート積層工程に先立ち、前記長尺基材シートの表面に前記長尺フック材の接着部位に対応して、当該長尺基材シートの表面の繊維ウェブの微小凹凸及び前記繊維ウェブの表面処理として施された熱エンボス処理により形成される凹凸を少なくとも低減させるように、前記繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部を形成し、前記シート積層工程にて前記表面融着部に前記長尺フック材を重ね合わせて接着する止着テープの製造方法であって、前記表面融着部は、テープ引張方向に対して前記止着テープのフック材よりも幅狭であり、前記フック材は前記表面融着部及び前記表面融着部のテープ引張方向両側に位置する前記表面融着部の非形成部に接着されているか、前記表面融着部は、テープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置された縞状であり、前記フック材は、前記表面融着部に接着され、かつ前記表面融着部間の前記表面融着部の非形成部に接着されているか、前記表面融着部は、テープ引張り方向およびテープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置されており、前記長尺フック材は、前記表面融着部に接着され、かつ前記表面融着部間の前記表面融着部の非形成部に接着されている、止着テープの製造方法
] 上記[1]〜[]のいずれかに記載の止着テープを備えたテープ型使い捨ておむつ。
本発明によれば、基材の表面にはフック材の接着部位に対応してその表面の繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部が形成され、当該表面融着部にフック材が接着される。このため、表面融着部により、フック材の接着部での基材表面の凹凸が実質的に低くなるだけでなく、凸部分での繊維ウェブによる微小な凹凸も実質的に低くなり、この結果、基材とフック材との有効接着面積を十分に確保して基材とフック材との接着強度を高めることができる。
本発明の止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す模式的拡大図であり、図14に示すテープ型おむつの止着テープ部分を拡大して示す図である。 図1に示す止着テープのフック材が付設された部位を更に拡大した模式的拡大図である。 図2に示す止着テープをA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の他の止着テープのフック材が付設された部位を拡大した模式的拡大図である。 図4に示す止着テープをB−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 図4に示す止着テープをC−C’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の他の止着テープのフック材が付設された部位を拡大した模式的拡大図である。 図7に示す止着テープをD−D’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の他の止着テープのフック材が付設された部位を拡大した模式的拡大図である。 図9に示す止着テープをE−E’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。 本発明の止着テープ製造装置の一の実施形態の構成を模式的に示す説明図である。 図11に示す止着テープ製造装置のXに示す部分を拡大して示す一部概略斜視図である。 本発明の止着テープの製造方法の一の実施形態における、止着テープ切離工程を説明する平面図である。 本発明の止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す一部切り欠き断面図であり、テープ型おむつを展開し、トップシート側から見た状態を示す図である。 本発明の止着テープを用いたテープ型おむつを使用した状態を示す斜視図である。 従来のテープ型おむつの一の実施形態を示す一部切り欠き断面図であり、従来のテープ型おむつを展開し、トップシート側から見た状態を示す図である。
以下、本発明の止着テープ、止着テープの製造方法、及びテープ型使い捨ておむつを実施するための最良の形態について、具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える止着テープ等を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書中において「フック材」とは、メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)の凸部材であり、凹部材であるループ材との機械的結合により固定を行うことができるものである。このフック材は基材の表面に付設される。「フック材」としては、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成されたものが用いられる。
「基材」とは、一方の端部付近にフック材が付設され、且つ他方の端部が、例えば使い捨ておむつの後身頃の左右の各側縁に固定されることによって、止着テープの本体として機能するものである。
「テープ型おむつ」とは、図14に示すテープ型おむつ1のように、吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、液不透過性材料からなるバックシート20とを備えるとともに、前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部から構成されており、後身頃6の左右の各側縁6a,6bから延出するように配置され、後身頃6を前身頃2に対して固定するための止着テープ10を更に備えた使い捨ておむつを意味するものとする。
また、本明細書において、「前身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分、「股下部」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の股下を覆う部分、「後身頃」とは、着用者におむつを装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分を意味するものとする。
[1]止着テープ:
図14は、本発明の止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す一部切り欠き断面図であり、テープ型おむつを展開し、トップシート側から見た状態を示す図である。図1は、本発明の止着テープを用いたテープ型おむつの一の実施形態を示す模式的拡大図であり、図14に示すテープ型おむつの止着テープ部分を拡大して示す図である。図2は、図1に示す止着テープのフック材が付設された部位を更に拡大した模式的拡大図である。図3は、図2に示す止着テープをA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。図4は、本発明の他の止着テープのフック材が付設された部位を拡大した模式的拡大図である。図5は、図4に示す止着テープをB−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。図6は、図4に示す止着テープをC−C’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。図7は、本発明の他の止着テープのフック材が付設された部位を拡大した模式的拡大図である。図8は、図7に示す止着テープをD−D’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。図9は、本発明の他の止着テープのフック材が付設された部位を拡大した模式的拡大図である。図10は、図9に示す止着テープをE−E’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
本発明の止着テープは、図1〜図3に示される止着テープ10のように、おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いられる止着テープであって、不織布からなる基材48と、当該基材48の表面の一部に接着されるメカニカルファスナーのフック材44とを備え、基材48の表面には、フック材44の接着部位に対応してその表面の繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部50が形成されており、当該表面融着部50にフック材44が接着されている。また、図2に示すように、任意に凹部80が形成されていても良い。
「基材」は、フック材を付設し、且つ止着テープ10を後身頃6の左右の各側縁6a,6bに固定することによって、止着テープ10の本体として機能するものである。
この基材の素材としては、スパンボンド、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)、カードエンボス、レジンボンド等の各種不織布からなるシート材を用いることができる。テープ引張方向の強度の面を考慮すると、スパンボンド不織布からなるシート材を用いることが好ましい。
不織布の構成材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(いわゆるナイロン)、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を挙げることができる。この場合、合成繊維は単繊維であってもよいし、芯鞘構造等を有する複合繊維であってもよい。一般に、単繊維を使用する場合は、ポリオレフィンが多く用いられるが、引張強度の面を考慮すれば、ポリエステルを用いることが好ましい。
基材には、フック材を配置する面と反対側の面に、フック材と係合し易い不織布又はループ材(裏面側ループ材)を配置すれば、一方の止着テープ10の裏面側に、他方の止着テープ10を止着させることができる。
このような本発明の止着テープは、基材とフック材との接着部分に、例えば、おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いた場合には、フック材の止着テープ基材からの剥離が生じ難く、おむつの装着感を向上させることができる。
本発明において、「表面融着部」は、少なくとも不織布表面の繊維ウェブ同士を熱融着している状態をいう。また、表面融着部は、不織布表面の繊維ウェブ同士を熱融着し、その内層においては繊維ウェブがその繊維形状を維持している状態であってもよい。すなわち、一般的な不織布において、熱エンボス処理により、表裏面の繊維ウェブ同士を融着させた凹部分と繊維ウェブ同士が融着されずに隆起した凸部分が形成されるが、その後の後処理により、凸部分の表面にその繊維ウェブ同士を熱融着しその内層においては繊維ウェブがその繊維形状を維持した表面融着部が形成されていてもよい。
また、本発明において、表面融着部は、熱圧着又は超音波溶着によって形成することができる。このような方法は、広く知られており、これらの方法のための装置も入手が容易である。さらに、これらの方法によれば、経済的かつ迅速に十分な物性を有する表面融着部を形成することができる。
また、本発明において、表面融着部は、テープ引張方向に対してフック材よりも幅狭であり、フック材は表面融着部及び表面融着部のテープ引張方向両側に位置する表面融着部の非形成部に接着されていることが好ましい。図3に示される止着テープ10は、基材48の表面融着部50が、フック材44に対して、止着テープ10のテープ引張方向両端でWだけ内側に形成されている。
上記のような構成では、フック材44を表面融着部50よりも外側領域まで延在させる(基材48の表面融着部50が、フック材44に対して、止着テープ10のテープ引張方向両端でWだけ内側に形成させる)ため、フック材44が、基材48の止着テープのテープ引張方向への補強材として作用し、基材48の引張強度の低下を防ぐことができる。Wは1〜10mmに設定することが好ましい。Wが1mm未満であると、フック材44をテープ引張方向への補強材として有効に機能させることができない傾向にある。一方、Wが10mm以上であると、フック材44の有効接着面積が小さくなり、フック材44の接着強度を有効に向上できない傾向にある。
また、本発明において、表面融着部は、テープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置された縞状であり、フック材は、表面融着部に接着され、かつ表面融着部間の表面融着部の非形成部に接着されていることが好ましい。図4および図5に示される止着テープ10は、基材48の表面融着部50が、止着テープ10のテープ引張方向に沿った縞状に形成されている。このように形成することにより、基材48のテープ引張方向の引張強度と基材48とフック材44との強固な接着との両立を図ることができる。すなわち、基材48の表面融着部50が形成された部位は、表面融着部の非形成部に対して、フック材との接着強度が高い一方、引張り強度は低いという特徴を有する。そこで、上記の構成により、基材48のテープ引張方向に沿った縞状の表面融着部50が形成された部位で基材48とフック材44との強固な接着を確保しつつ基材48のテープ引張方向に沿った縞状の表面融着部の非形成部によってテープ引張方向の引張り強度を確保することができる。
また、本発明の他の実施形態においては、前記表面融着部は、テープ引張り方向およびテープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置されており、前記フック材は、前記表面融着部に接着され、かつ前記表面融着部間の前記表面融着部の非形成部に接着されていてもよい。図7および図8ならびに図9および図10に示される止着テープ10は、基材48の表面融着部50が、止着テープ10のテープ引張方向およびテープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置されている。このように形成することにより、基材48のテープ引張方向の引張強度と基材48とフック材44との強固な接着との両立を図ることができる。すなわち、基材48の表面融着部50が形成された部位は、表面融着部の非形成部に対して、フック材との接着強度が高い一方、引張り強度は低いという特徴を有する。そこで、上記の構成により、間欠的に配置された表面融着部50が形成された部位で基材48とフック材44との強固な接着を確保しつつ表面融着部の非形成部によってテープ引張方向の引張り強度を確保することができる。なお、この場合、図7および図8に示される止着テープ10のように表面融着部50をフック材44よりも幅狭とすることもできる一方、図9および図10に示される止着テープ10のように表面融着部50をフック材44よりも幅広とすることもできる。
本発明においてフック材の素材としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、脂肪族ポリアミド(いわゆるナイロン)、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維を用いることができる。
[2]止着テープの製造方法:
本発明の止着テープの製造方法の一の実施形態について説明する。本発明の止着テープの製造方法は、帯状の長尺基材シートの表面の一部にその長手方向に沿って帯状の長尺フック材を重ね合わせて接着することにより長尺シート積層体を得るシート積層工程と、長尺シート積層体を所定の幅で切り離すことにより複数の止着テープを得る止着テープ切離工程とを含む止着テープの製造方法であって、シート積層工程に先立ち、長尺基材シートの表面に長尺フック材の接着部位に対応してその表面の繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部を形成し、シート積層工程にて表面融着部に長尺フック材を重ね合わせて接着するものである。
ここで、長尺基材シートと長尺フック材とを長手方向を揃えて重ね合わせるとは、長尺フック材と長尺基材シートとがずれないように両者の長手方向を平行を保ちつつ重ね合わせることを指し、両者の幅方向の一端を揃えて重ね合わせる場合や両者の幅方向中心線を揃えて重ね合わせる場合等が含まれる。
このように構成することによって、止着テープを簡便且つ低コストに製造することができる。
以下、図11および図12に示す止着テープ製造装置90を用いて止着テープを製造する例について、各工程毎に更に具体的に説明する。ここで、図11は、本発明の止着テープの製造方法に用いられる止着テープ製造装置の構成を模式的に示す説明図である。図12は、図11に示す止着テープ製造装置のXに示す部分を拡大して示す一部概略斜視図である。
[2−1]表面融着部形成工程:
本発明の止着テープを製造する際には、まず、図11に示すように、ロールを加熱した加熱ロール101間に、長尺基材シート供給ロール118から巻き出された長尺基材シート78を通過させることにより、長尺基材シート78に長尺フック材74の接着部位に対応してその表面の繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部50を形成する。加熱ロール101は、プレーンロール同士であってもよく、エンボスロール同士、エンボスロールとプレーンロールの組み合わせであってもよく、表面融着部50の形状に合わせて適宜選択される。
表面融着部50は、少なくとも、長尺フック材74が接着される長尺基材シート78の表面側に形成されていればよく、長尺フック材74の接着面と反対側の長尺基材シート78の裏面側にも形成するようにしてもよい。
表面融着部50を長尺基材シート78の表面側にのみ形成する場合には、長尺フック材74が接着される長尺基材シート78の表面に接する側の加熱ロール101の加熱温度を長尺基材シート78の裏面に接する側の加熱ロール101の加熱温度よりも高く設定することにより、目的の長尺基材シート78を得ることができる。この場合には、長尺基材シート78は裏面側から表面側に段階的に繊維ウェブの融着が進行し、裏面側は繊維形状を残した状態となる。
また、表面融着部50を長尺基材シート78の表裏両面に形成する場合には、長尺フック材74が接着される長尺基材シート78の表面に接する側の加熱ロール101の加熱温度と長尺基材シート78の裏面に接する側の加熱ロール101の加熱温度とを同一に設定することにより、目的の長尺基材シート78を得ることができる。この場合には、長尺基材シート78は、基材中層から表裏面側に段階的に繊維ウェブの融着が進行し、基材中層は繊維形状を残した状態となっている。
[2−2]シート積層工程:
次に、図11に示すように、表面融着部50を形成した長尺基材シート78の一方の面に、長尺基材シート78の長手方向に沿って、長尺フック材供給ロール114から巻出された帯状の長尺フック材74を載置して長尺シート積層体71を得る。
長尺シート積層体71を得る場合には、図11に示すように、長尺基材シート78と長尺フック材74とを予め接着剤92によって接着又は、仮接着することが好ましい。図11に示す止着テープ製造装置90においては、接着剤塗布手段94によって、長尺フック材74の裏面に接着剤92を塗布し、接着剤92が塗布された裏面を長尺基材シート78に重ね合わせて長尺シート積層体71を形成している。長尺フック材74に塗布する接着剤の塗布量は、長尺フック材の材質および接着剤の種類に基づいて、適宜決定することができる。しかしながら、接着剤の塗布量は、フック材単位面積当たり10g/m〜50g/mとするのが好ましく、15g/m〜35g/mとするのが好ましい。このような塗布量とすることにより十分な接着強度を得ることができる。なお、長尺フック材74として、予め接着剤が塗布されたものを採用してもよい。
[2−3]接着工程:
次いで、長尺シート積層体71を接合ロール106により圧着する。
[2−4]その他の工程
(凹部形成工程)
次に、図11および図12に示すように、得られた長尺シート積層体71の長尺フック材74の両側縁部74aを、長尺フック材74の表面側から長尺基材シート78側に向けて所定の幅で押圧して凹部80を形成しても良い(凹部形成工程)。
上記した凹部80は、例えば、図12に示すような、その押圧面に凹部の形状に対応した凸部99が形成されたパターンロール98を用いて形成することができる。なお、図11および図12に示すように、凹部形成工程においては、長尺基材シート78の裏面側を押圧するロールとして、長尺基材シート78との接触面が平坦なプレーンロール100を用いることが好ましい。図11に示す止着テープ製造装置90では、パターンロール98とプレーンロール100とから押圧手段95が構成されている。このように押圧することで、フック材の接着強度を有効に高めることができる。
(止着テープ切離工程)
次に、凹部を形成した長尺シート積層体を、所定の幅で切り離すことにより複数の止着テープを得る(止着テープ切離工程)。上記のような方法によれば、多数の止着テープを簡便に効率よく製造することが可能となる。図11に示すテープ製造装置90は、押圧手段95によって凹部80を形成した後に、その長尺シート積層体71を、長尺シート積層体71の長手方向に沿ってS字カーブを描くように切断するシート切断手段132、及び、S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すシート切離手段138と、を更に備えている。
この止着テープ切離工程は、例えば、図12に示すように、長尺シート積層体71を、切断の軌跡が長尺シート積層体71の長手方向に沿ってS字カーブを描くように切断して2枚の止着テープ中間体72を得、得られた各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すことによって、複数の止着テープ10を得る方法を挙げることができる。
なお、このシートの切断方法としては、上記切断の軌跡が、長尺フック材74を幅方向に跨ぐようにS字状に切断方法を挙げることができる。このように構成することによって、各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された山部側に凹部80を有するフック材が、それぞれ配置されることとなる。
長尺シート積層体71の切断は連続的な形状に切断する限り特に制限はないが、通常は、図12に示すように、その軌跡が連続的なS字状、即ち、周期的な波型となるように切断することが好ましい。これにより、止着テープを一時に多数得ることが可能となる。
このようにして各止着テープ中間体を得た場合には、得られた各止着テープ中間体のS字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すことによって、複数の止着テープを得る。上記のような方法によれば、多数の止着テープを簡便に効率よく製造することが可能となる。
具体的には、図13に示すように、各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された側縁の谷部102と直線状に形成された側縁104との間を切り離すことによって、複数の止着テープ70を得る。図示の例では、各止着テープ中間体72のS字カーブ状に形成された側縁の谷部102と直線状に形成された側縁104との間を、側縁104と直交する方向に切り離すことによって、複数の止着テープ10を得ている。
このように止着テープ中間体を切り離すことによって、複数の止着テープを得ることができる。但し、この「切り離し」に先立って、フック材及び止着テープの仮止めを行っておくことが好ましい。自由端を有する止着テープが遊動している状態であると、連続的な生産を行う際に、その自由端が製造設備に引っかかる等の不具合の原因となるおそれがあるからである。
例えば、止着テープ中間体を、フック材が付設された部位と直線状に形成された側縁との間においてフック材を内側とするように折り返し、フック材を長尺基材シートの表面に仮止めをした後、S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すことが好ましい。S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離す前に仮止めをすることにより、複数の止着テープについての折り返し作業を一時に且つ連続的に行うことができ、「切り離し」の後に前記折り返し作業を行った場合と比較して、安定的且つ効率的に、前記折り返し作業を行うことができる。
図13に示す製造方法は、止着テープ中間体72を、フック材が付設された部位と直線状に形成された側縁104との間においてフック材84を内側とするように折り返し、フック材84を長尺基材シート78の表面に仮止めをした後(仮止め部86)、S字カーブ状に形成された側縁の谷部102と直線状に形成された側縁104との間を切り離した例である。
図11に示す止着テープ製造装置90は、長尺シート積層体71をS字状に切断するカッター等の切断手段132、フック材84が付設された部位と直線状に形成された側縁104との間においてフック材84を内側とするように折り返す折り返し手段134、折り返したフック材84を長尺基材シート78の表面に仮止めする仮止め手段136とを有している。なお、仮止め手段136は、折り返したフック材84の一部を長尺基材シート78の表面側に押圧するための凹凸が少なくとも一方に形成された、一対の仮止め用ロール136a,136bを有している。
また、図11に示す止着テープ製造装置90は、S字カーブ状に形成された側縁の谷部と直線状に形成された側縁との間を切り離すカッター等の切離手段138を有している。
[3]テープ型おむつ:
本発明のテープ型おむつは、その止着テープとして、既に説明した本発明の止着テープを備えるものである。より具体的には、吸収体と、吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の裏面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備えるとともに、前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成されており、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前身頃と後身頃とを固定するための止着テープを更に備え、その止着テープが、上記した本発明の止着テープであるテープ型おむつである。
[3−1]止着テープ:
本発明のテープ型おむつは、その止着テープとして、既に説明した本発明の止着テープを備えるものであれば、他の構成について制限はない。但し、後身頃の左右の各側縁に、本発明の止着テープが2個ずつ配置されていることが好ましい。
例えば、図14および図15に示すテープ型おむつ1は、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、本発明の止着テープ10が2個ずつ配置されたものである。このように、止着テープが2個ずつ配置されたテープ型おむつは、1個ずつ配置されたテープ型おむつと比較して、着用者の体型、具体的には、ウエスト周り、脚周りの寸法に合わせてテープ位置、締め付け具合を調節できるという点で優れている。
本発明のテープ型おむつは、本発明の止着テープが融着によっておむつ本体に接着されたものであることが好ましい。融着によって接着することで、接着剤を用いた接着等と比較して、強固な接着を図ることができ、おむつ本体から止着テープが脱落する事態を有効に防止することができる。例えば、図14に示すテープ型おむつ1は、おむつ本体の後身頃6の側縁6a,6b、より具体的にはサイドシート18bによって構成されるサイドフラップ8の両側縁に、超音波融着によって本発明の止着テープ10を接着した例である。
[3−2]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートとの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されることになる。吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装される。より具体的には、吸収体は少なくとも股下部に介装され、この吸収体が前身頃や後身頃にまで及んでいてもよい。
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。図14に示すテープ型おむつ1は、吸収体22として、砂時計型の吸収体を用いた例である。
なお、吸収体には、その表面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、着用者の姿勢等に起因して、トップシート裏面側の空間が十分に形成されないような場合でも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、或いはこれらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
[3−3]トップシート:
トップシートは、吸収体の表面(おむつの装着時において着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その裏面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。通常、少なくとも吸収体の表面近傍については、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性の材料によって構成される。少なくとも一部が液透過性材料により構成されている限り、必ずしもトップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フイルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば、吸収体の表面部に配置されるトップシートと、サイドフラップの部分に配置されるトップシートとを異なるシートによって構成する形態もよく利用される。図14に示すテープ型おむつ1は、おむつの中央部には液透過性材料からなるトップシート18(センターシート18a)を配置し、おむつのサイドフラップ8部分には液の透過に対して抵抗性を示す通気撥水性材料からなるトップシート18(サイドシート18b)を配置した例である。
[3−4]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時において着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
その配置方法については特に制限はないが、例えば、図14に示すテープ型おむつ1のように、おむつの外形と一致するように、バックシート20を配置する構成を採用することができる。但し、必ずしもこのような構成を採用する必要はなく、吸収体で吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の存在する部分に液不透過性材料からなるバックシートを配置してもよい。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フイルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフイルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフイルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、バックシートには、その外表面側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[3−5]立体ギャザー:
着用者の排泄した尿の横漏れを防止するため、立体ギャザーを備えていてもよい。立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防波堤となり、おむつの脚周り開口部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性のシート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
なお、立体ギャザーは、トップシートやバックシートとは全く別個のシート材により形成してもよいが、センターシートやサイドシート等のトップシートを折り返すことにより形成してもよい。例えば、図14に示すテープ型おむつ1は、サイドシート18bを折り返すことにより立体ギャザー26(26a,26b)を形成した例である。但し、立体ギャザーは、セカンドシート等のトップシート以外の部材を折り返すことにより形成してもよい。
この立体ギャザーは、股下部からの漏れを防止するため、少なくとも股下部に形成されていればよいが、前身頃や後身頃に形成されていてもよい。例えば、図14に示すテープ型おむつ1は、おむつの長手方向に沿って、股下部4から前身頃2と後身頃6の双方にかけて連続的に、一対の立体ギャザー26(26a,26b)が形成された例を示すものである。また、立体ギャザーは、少なくとも一対形成する必要があるが、二対以上形成してもよい。立体ギャザー26(26a,26b)には、立体ギャザー伸縮材36(36a,36b)が配置されている。
立体ギャザーはおむつの内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいし、おむつの外側に向かって傾倒する外倒しギャザーであってもよい。また、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)とすることもできる。例えば、図14に示すテープ型おむつ1は、立体ギャザー26(26a,26b)を内倒しギャザーとした例である。
[3−6]各種伸縮材:
テープ型おむつにおいては、脚周り伸縮材を配置し、ウエスト周り伸縮材を配置することが好ましい。
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また、脚周り伸縮材を配置すると、おむつを交換する際に吸収体の両側で脚周り伸縮材が収縮するため、股下部近傍が椀状に変形し、凹部が形成される。このため、尿や体液がその凹部に溜まり、尿や体液をこぼすことなく、容易におむつの交換を行うことができる。
例えば、図14に示すテープ型おむつ1は、おむつの長手方向に沿って、直線的に二本の脚周り伸縮材40を配置してレグギャザーを形成した例である。この脚周り伸縮材40は、糸ゴムによって構成されている。但し、脚周り伸縮材は、必ずしも直線的に配置する必要はなく、例えば、おむつの脚周り開口部のカーブに沿って曲線的に配置してもよい。
脚周り伸縮材は、例えば、図14に示すテープ型おむつ1のように、立体ギャザー26の起立線46より外側の部分に、脚周り伸縮材40が形成されていることが好ましい。このような構成とすると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、股下部の装用感・装着感を向上させることができる。
なお、図14に示すテープ型おむつ1は、脚周り伸縮材40の形状、配置位置、配置数等を左右対称とした例を示したが、これらが左右非対称なものも本発明の範囲に含まれる。そして、図14に示すテープ型おむつ1では、脚周り伸縮材40が片側につき二本配置された例を示したが、一本だけ配置されていてもよいし、三本以上配置されていてもよい。また、複数の脚周り伸縮材を用いる場合、その太さや伸張率等も目的に応じて適宜設定すればよく、全て同じものを用いる必要はない。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
なお、図14に示すテープ型おむつ1は、おむつの後身頃6の端縁に沿って帯状のウエスト周り伸縮材42を配置した例である。この帯状のウエスト周り伸縮材42は、ウレタンフォーム等の伸縮性フォームによって構成されている。図示の例では、後身頃(背側)のみにウエスト周り伸縮材42を配置しているが、前身頃(腹側)にウエスト周り伸縮材を配置してもよい。
なお、例えば、図14に示すテープ型おむつ1のように、後身頃6の左右の各側縁6a,6bに、止着テープ10をそれぞれ2個ずつ配置した場合には、後身頃6の端縁に沿ってウエスト周り伸縮材42が付設されるとともに、少なくとも股下部4の両側縁に沿って脚周り伸縮材40を付設することが好ましい。
前記のような構成により、2個の止着テープ10のうち上側に配置された止着テープ10とウエスト周り伸縮材42が一体となって、着用者のウエスト周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。また、2個の止着テープ10のうち下側に配置された止着テープ10と脚周り伸縮材40が一体となって、着用者の脚周りにおけるおむつのフィット性を向上させることができる。この効果は、上側に配置された止着テープ10を前身頃2の端縁と略同一方向に止め付け、下側に配置された止着テープ10を前身頃2の端縁側(おむつ上側)に向かって引き上げるように止め付けた場合に特に大きくなる。
これらの伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フイルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、110〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
前記のような伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
[4]テープ型おむつの製造方法:
以下、本発明のテープ型おむつの製造方法を、図14に示すテープ型おむつ1を製造する場合の例で説明する。まず、バックシート20の材料となる長尺のシート材(バックシート材)の表面に、親水性シートに包まれた吸収体22及び脚周り伸縮材40を載置し、更にその表面にトップシート18の材料となる長尺のシート材(トップシート材)を載置することにより、おむつの中間体となる積層体(おむつ連続体)を得る。この際、トップシート材は、センターシート18aに相当するトップシート材と、サイドシート18bに相当するトップシート材の2種類が使用される。サイドシート18bに相当するシート材には折り返し部分を設けることによって、立体ギャザー26が形成されている。
前記のようにして得られたおむつ連続体は、おむつの脚周り開口部に相当する部分を円弧状に切り抜いて切除し(Rカット)、脚周り開口部を形成する。最後に、おむつの後身頃6の側縁6a,6bに、本発明の止着テープ10を付設し、おむつ連続体を個々のおむつに切断することにより、テープ型おむつ1を製造する。この際、後身頃6の左右の各側縁部と止着テープ10の末端部とはヒートシール等の融着によって接着することが好ましい。
なお、上記のような方法の他、予めトップシート材に止着テープを付設しておき、バックシート材の表面に、親水性シートに包まれた吸収体及び脚周り伸縮材を載置し、更にその表面に止着テープが付設されたトップシート材を載置することにより、おむつ連続体を得てもよい。また、前記のような一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。例えば、長尺のシート材をローラーから連続的に送出する等の方法・装置を採用することにより、テープ型おむつの連続製造が可能となり、生産性の向上に資する。
本発明の止着テープは、おむつの前身頃と後身頃とを固定するための止着テープとして好適に利用することができる。また、本発明のテープ型おむつは、乳幼児用、或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用のおむつとして好適に利用することができる。
1,150:テープ型おむつ、2:前身頃、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、8:サイドフラップ、10、110:止着テープ、18:トップシート、18a:センターシート、19:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、26,26a,26b:立体ギャザー、36,36a,36b:立体ギャザー伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44,84:フック材、46:起立線、48:基材、50:表面融着部、54:突起、71:長尺シート積層体、72:止着テープ中間体、74:長尺フック材、74a:縁部、78:長尺基材シート、80:凹部、86:仮止め部、90:止着テープ製造装置、92:接着剤、94:接着剤塗布手段、95:押圧手段、98:パターンロール、99:凸部、100:プレーンロール、101:加熱ロール、102:谷部、104:側縁、106:接合ロール、114:長尺フック材供給ロール、118:長尺基材シート供給ロール、132,138:切断手段、134:折り返し手段、136:仮止め手段、136a,136b:仮止め用ロール、144:フック材、148:基材。

Claims (5)

  1. おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いられる止着テープであって、
    不織布からなる基材と、当該基材の表面の一部に接着されるメカニカルファスナーのフック材とを備え、
    前記基材の表面には、前記フック材の接着部位に対応して、当該基材の表面の繊維ウェブの微小凹凸及び前記繊維ウェブの表面処理として施された熱エンボス処理により形成される凹凸を少なくとも低減させるように、前記繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部が形成されており、当該表面融着部に前記フック材が接着されている止着テープであり、
    前記表面融着部は、テープ引張方向に対して前記フック材よりも幅狭であり、前記フック材は前記表面融着部及び前記表面融着部のテープ引張方向両側に位置する前記表面融着部の非形成部に接着されている止着テープ
  2. おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いられる止着テープであって、
    不織布からなる基材と、当該基材の表面の一部に接着されるメカニカルファスナーのフック材とを備え、
    前記基材の表面には、前記フック材の接着部位に対応して、当該基材の表面の繊維ウェブの微小凹凸及び前記繊維ウェブの表面処理として施された熱エンボス処理により形成される凹凸を少なくとも低減させるように、前記繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部が形成されており、当該表面融着部に前記フック材が接着されている止着テープであり、
    前記表面融着部は、テープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置された縞状であり、前記フック材は、前記表面融着部に接着され、かつ前記表面融着部間の前記表面融着部の非形成部に接着されている止着テープ。
  3. おむつの前身頃と後身頃とを固定するために用いられる止着テープであって、
    不織布からなる基材と、当該基材の表面の一部に接着されるメカニカルファスナーのフック材とを備え、
    前記基材の表面には、前記フック材の接着部位に対応して、当該基材の表面の繊維ウェブの微小凹凸及び前記繊維ウェブの表面処理として施された熱エンボス処理により形成される凹凸を少なくとも低減させるように、前記繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部が形成されており、当該表面融着部に前記フック材が接着されている止着テープであり、
    前記表面融着部は、テープ引張り方向およびテープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置されており、前記フック材は、前記表面融着部に接着され、かつ前記表面融着部間の前記表面融着部の非形成部に接着されている止着テープ。
  4. 帯状の長尺基材シートの表面の一部にその長手方向に沿って帯状の長尺フック材を重ね合わせて接着することにより長尺シート積層体を得るシート積層工程と、前記長尺シート積層体を所定の幅で切り離すことにより複数の止着テープを得る止着テープ切離工程とを含む止着テープの製造方法であって、
    前記シート積層工程に先立ち、前記長尺基材シートの表面に前記長尺フック材の接着部位に対応して、当該長尺基材シートの表面の繊維ウェブの微小凹凸及び前記繊維ウェブの表面処理として施された熱エンボス処理により形成される凹凸を少なくとも低減させるように、前記繊維ウェブ同士を熱融着した表面融着部を形成し、前記シート積層工程にて前記表面融着部に前記長尺フック材を重ね合わせて接着する止着テープの製造方法であって、
    前記表面融着部は、テープ引張方向に対して前記止着テープのフック材よりも幅狭であり、前記フック材は前記表面融着部及び前記表面融着部のテープ引張方向両側に位置する前記表面融着部の非形成部に接着されているか、
    前記表面融着部は、テープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置された縞状であり、前記フック材は、前記表面融着部に接着され、かつ前記表面融着部間の前記表面融着部の非形成部に接着されているか、
    前記表面融着部は、テープ引張り方向およびテープ引張方向と直交する方向へ間欠的に複数配置されており、前記長尺フック材は、前記表面融着部に接着され、かつ前記表面融着部間の前記表面融着部の非形成部に接着されている、止着テープの製造方法
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の止着テープを備えたテープ型使い捨ておむつ。
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