JP5163931B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような定着ベルトを用いた装置は、定着部材としての定着ベルト(無端状ベルト)、定着ベルトを張架・支持する複数のローラ部材、複数のローラ部材のうち1つのローラ部材に内設されたヒータ、加圧ローラ(加圧部材)、等で構成されている。ヒータは、ローラ部材を介して定着ベルトを加熱する。そして、定着ベルトと加圧ローラとの間に形成されたニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像は、ニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着される。
オンデマンド方式の定着装置は、定着部材としての定着フィルム(エンドレスフィルム)、加圧ローラ(加圧部材)、セラミックヒータ等のヒータ、等で構成されている。ヒータは、定着フィルムの内部に設置され、定着フィルムを介して加圧ローラに当接してニップ部を形成するとともに、定着フィルムを加熱する。そして、ニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像は、ニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着される。
さらに、ヒータは、定着フィルムを介して加圧ローラに圧接しているために、圧接力が大きくなったときにヒータが破損したり、定着フィルムに摺接する力が大きくなったときに定着フィルムやヒータに大きな磨耗が生じたりする可能性があった。このような問題は、装置を高速化した場合に、良好な定着性を確保するためにニップ部における圧接力を大きく設定する必要が生じたり、ヒータと定着フィルムとの摩擦力が大きくなったりするために、特に無視できない問題になっていた。
図1〜図3にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着部材としての定着ベルト、31は定着装置20に設置された加圧部材としての加圧ローラ、を示す。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写部7で、レジストローラにより搬送された記録媒体P上に転写される。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2は、定着装置20を示す構成図である。図3は、定着装置20を幅方向にみた図である。
図2に示すように、定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21、当接部材22、抵抗発熱体23、加圧部材としての加圧ローラ31、温度センサ40、ガイド板35、37、等で構成される。
定着ベルト21の基材は、層厚が30〜50μmであって、ニッケル、ステンレス等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成されている。
定着ベルト21の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、等のゴム材料で形成されている。弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。
定着ベルト21の離型層は、層厚が10〜50μmであって、PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等の材料で形成されている。離型層を設けることで、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保される。
定着ベルト21の内部(内周面側)には、当接部材22、抵抗発熱体23、等が固設されている。定着ベルト21は、当接部材22に押圧されて、加圧ローラ31との間にニップ部を形成する。
図2を参照して、当接部材22は、加圧ローラ31との対向面が、加圧ローラ31の曲率にならうように形成されている。これにより、記録媒体Pは加圧ローラ31の曲率にならうようにニップ部から送出されるために、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21に吸着して分離しない不具合を抑止することができる。
なお、本実施の形態1における当接部材22は、不導体で形成されている。具体的に、当接部材22は、樹脂材料や、セラミック、ガラス等の絶縁体で形成することができる。これにより、抵抗発熱体23に印加される電圧によって当接部材22が発熱されないことになる。これについては、後で詳しく説明する。
また、当接部材22は、加圧ローラ31による加圧力を受けても大きく撓むことがないように、ある程度剛性のある材料で形成することが好ましい。さらに、当接部材22と定着ベルト21とが摺接しても定着ベルト21の磨耗が軽減されるように、当接部材22の摺接面を摩擦係数の低い材料で形成することが好ましい。
なお、電源50の出力制御は、定着ベルト21表面に対向するサーミスタ等の温度センサ40によるベルト表面温度の検知結果に基いておこなわれる。また、このような電源50の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定することができる。
具体的に、抵抗発熱体23をアルミニウムで形成する場合には、その厚さを0.05〜0.2mmに設定することが好ましい。また、抵抗発熱体23をステンレスで形成する場合には、その厚さを0.01〜0.2mmに設定することが好ましい(さらに好ましくは0.1mm以下である。)。これにより、定着ベルト21を効率的に加熱することができる。
これにより、抵抗発熱体23と定着ベルト21とが摺接して定着ベルト21が大きく磨耗する不具合を抑止するとともに、抵抗発熱体23と定着ベルト21とが離れ過ぎて定着ベルト21の加熱効率が低下する不具合を抑止することができる。さらに、抵抗発熱体23が定着ベルト21に近設されることで、可撓性を有する定着ベルト21の円形姿勢がある程度維持されるため、定着ベルト21の変形による劣化・破損を軽減することができる。
特に、本実施の形態1では、定着ベルト21の基材(内周面)が金属材料で形成されているときであっても、抵抗発熱体23が定着ベルト21の内周面に対して圧接しないように配設されているために、双方の部材21、23間で電気的な短絡(リーク)が生じる不具合が抑止される。また、このような双方の部材21、23間の短絡を確実に防止するために、双方の部材21、23のいずれかの対向面に絶縁層を設けることが好ましい。
これにより、定着ベルト21の一部のみが局所的に加熱されることなく、抵抗発熱体23によって定着ベルト21が周方向にわたってほぼ全体的に加熱されることになるために、装置を高速化した場合であっても定着ベルト21が充分に加熱されて定着不良の発生を抑止することができる。
これにより、当接部材22に電流が流れることがなく、定着ベルト21の基材(内周面)が金属材料で形成されているときであっても、当接部材22と定着ベルト21の内周面との圧接により双方の部材21、22間に短絡(リーク)が生じることがない。
また、抵抗発熱体23が定着ベルト21を積極的に加熱して、当接部材22が定着ベルト21を積極的に加熱しないように構成している。したがって、定着ベルト21は、ニップ部に達するまでに抵抗発熱体23によって充分に加熱されて、定着可能な温度に達する。一方、ニップ部では積極的な熱供給がないので、定着ベルト21の熱量は記録媒体P上の未定着画像に与えられて(トナーを溶融・定着させるエネルギーに使用されて)、定着ベルト21の温度が下がることになる。このとき、定着ベルト21と画像面との界面の温度が定着温度よりも低い温度になった状態で、記録媒体Pはニップ部から送出される。したがって、トナーの粘着力が低下した状態で、記録媒体Pは定着ベルト21から良好に分離されることになる。すなわち、当接部材22が定着ベルト21を積極的に加熱しないように構成することで、ニップ部から送出される記録媒体Pの分離性が向上する。
なお、本実施の形態1では、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径と同等になるように形成したが、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径よりも小さくなるように形成することもできる。その場合、ニップ部における定着ベルト21の曲率が加圧ローラ31の曲率よりも小さくなるために、ニップ部から送出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離され易くなる。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、電源50から電極51を介して抵抗発熱体23に電力が供給されるとともに、加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、加圧ローラ31との摩擦力によって、定着ベルト21も図2中の矢印方向に従動(回転)する。
その後、給紙部12〜14から記録媒体Pが給送されて、作像部4にて記録媒体P上に未定着画像が担持される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、ガイド板35に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。
そして、抵抗発熱体23によって加熱された定着ベルト21による加熱と、当接部材22(定着ベルト21)及び加圧ローラ31の押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
図4及び図5にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図4は、実施の形態2における定着装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。図5は、実施の形態2における定着装置を幅方向にみた図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。
本実施の形態2における定着装置は、金属熱伝導体24、補強部材25、断熱部材27を設けている点と、ニップ部の形状を略平面としている点と、が前記実施の形態1のものとは相違する。
金属熱伝導体24は、略パイプ状に形成され、定着ベルト21の内周面側に固設されている。金属熱伝導体24は、定着ベルト21を介して加圧ローラ31に当接してニップ部を形成している。金属熱伝導体24は、アルミニウム、銅、鉄等の熱伝導性を有する金属材料で形成されている。
このように、本実施の形態1では、抵抗発熱体23の内周面側に金属熱伝導体24が設けられているために、抵抗発熱体23の幅方向や周方向の温度ムラが小さくなって、定着ベルト21の温度が安定化する。特に、小サイズ紙が連続的に通紙された場合等であっても、抵抗発熱体23から金属熱伝導体24への熱移動があるために、定着ベルト21の幅方向両端部が過昇温する不具合が抑止される。
なお、本実施の形態2では、ニップ部においても金属熱伝導体24によって定着ベルト21を積極的に加熱しているために、定着ベルト21に弾性層を設けなくてもよい。すなわち、ニップ部においても定着ベルト21を積極的に加熱しているために、ニップ部におけるニップ量(ニップ幅)が比較的小さくても、定着不良の発生を抑止することができる。
ところが、本実施の形態1では、金属熱伝導体24の変形を制限する位置に補強部材25が設置されているために、金属熱伝導体24を薄肉化した場合であっても、金属熱伝導体24の撓みを軽減することができる。これにより、金属熱伝導体24が撓んで定着ベルト21の内周面が強くこすれる不具合や、金属熱伝導体24が撓んで定着ベルト21の駆動トルクが増加する不具合等が抑止される。
なお、補強部材25は、上述した機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが好ましい。さらには、加圧ローラ31による加圧方向に沿って横長の断面を有するように補強部材25を形成することで、断面係数が大きくなって補強部材25の機械的強度を高めることができる。
これにより、ニップ部において金属熱伝導体24の熱が補強部材25に伝わって定着ベルト21に対する加熱効率が低下して定着不良が生じる不具合を抑止することできる。
図6にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図6は、実施の形態3における定着装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態3における定着装置は、金属熱伝導体24、当接部材22と金属熱伝導体24との間に間隙を設けている点が、前記実施の形態2のものとは相違する。
当接部材22は、断熱材料で形成されるか、又は、その表面(定着ベルト21に当接する対向面である。)に断熱層が形成されていて、断熱部材27としても機能する。これにより、定着ベルト21の熱が当接部材22に移動して定着ベルト21の加熱効率が低下する不具合が抑止される。
これにより、双方の部材22、24間の空気層が断熱層として機能して、金属熱伝導体24の熱が当接部材22に伝わって定着ベルト21の加熱効率が低下する不具合を抑止することできる。すなわち、当接部材22に伝わる分の熱が定着ベルト21に伝わるために、抵抗発熱体23及び金属熱伝導体24によって定着ベルト21のほぼ全域(ニップ部を除く領域である。)が効率よく加熱される。
図7にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図7は、実施の形態4における定着装置の抵抗発熱体を幅方向にみた図である。本実施の形態4における定着装置は、抵抗発熱体23A、23Bが幅方向に複数設けられている点が、前記実施の形態2のものとは相違する。
図8にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図8は、実施の形態5における定着装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態5における定着装置は、抵抗発熱体23が周方向全域に設けられている点が、抵抗発熱体23がニップ部を除く範囲に設けられている前記実施の形態1のものとは相違する。
また、本実施の形態5では、第2の抵抗発熱体23aと定着ベルト21との間に絶縁層27が設けられているために、定着ベルト21の基材(内周面)が金属材料で形成されているときであっても、ニップ部の圧接力によって双方の部材21、23a間で短絡(リーク)が生じる不具合が抑止される。
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材)、
22 当接部材、
23 抵抗発熱体、
23a 第2の抵抗発熱体、
24 金属熱伝導体、
25 補強部材、
27 断熱部材(断熱層)、
31 加圧ローラ(加圧部材)、
40 温度センサ、 P 記録媒体。
Claims (5)
- 所定方向に走行してトナー像を加熱して溶融するとともに、可撓性を有する無端状の定着部材と、
前記定着部材の内周面側に固設されるとともに、当該定着部材を介して加圧部材に当接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する当接部材と、
前記定着部材の内周面側に固設されて当該定着部材を加熱する抵抗発熱体と、
を備え、
前記抵抗発熱体は、略パイプ状に形成されて、前記定着部材の内周面に対してニップ部を除く範囲全域で対向するように配設されるとともに、周方向において前記ニップ部に近い部分が前記定着部材の内周面に対して所定圧力以下で接触するように配設され、
前記当接部材は、前記定着部材の側に絶縁層を具備した第2の抵抗発熱体であって、前記抵抗発熱体と一体的に形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記抵抗発熱体は、所定のキューリー点を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記抵抗発熱体は、前記定着部材における幅方向の発熱分布を可変するように設置された複数の抵抗発熱体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記定着部材は、定着ベルト又は定着フィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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