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JP5382327B2 - 金属電解コンデンサ - Google Patents

金属電解コンデンサ Download PDF

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JP5382327B2 JP2009132939A JP2009132939A JP5382327B2 JP 5382327 B2 JP5382327 B2 JP 5382327B2 JP 2009132939 A JP2009132939 A JP 2009132939A JP 2009132939 A JP2009132939 A JP 2009132939A JP 5382327 B2 JP5382327 B2 JP 5382327B2
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Description

本発明は、電子機器等に使用される金属製の電解コンデンサに関し、特に内圧が上昇して爆発することを防止する防爆弁を備える金属製の電解コンデンサに関する。
アルミ電解コンデンサは、過電圧や逆電圧が印加されたり、寿命故障等によって過大な電流が流れたりすると、温度上昇によりコンデンサ素子に含浸された駆動用電解液を構成する有機溶媒が気化し又は電解液が熱分解して気化ガスが発生したり、電解液が電気化学反応により分解して水素ガスや気化ガスが発生したりするため、アルミニウムよりなる金属ケースの内圧が上昇する。
このとき、ガスの逃げ道がないと、金属ケースの内圧が金属ケースによる封口力を上回ることで爆発に至るため、従来のアルミ電解コンデンサでは、通常、金属ケースの天板部に薄肉部よりなる防爆弁が設けられている。
このように、金属ケースの内圧が異常に上昇したときには、この防爆弁が開弁して前述した金属ケース内における駆動用電解液を構成する有機溶媒のガスや水素ガスが外部に流出するため、電解コンデンサは爆発することなく、安全に故障に至るのである。
しかしながら、上記構成によれば、駆動用電解液が外部に噴出するため、この電解コンデンサをセットした基板や他の電子部品に駆動用電解液が付着して、ショートやトラッキング等の電気的異常が引き起こされるという問題点がある。また、防爆弁から噴出する駆動用電解液の気化ガスや異臭は、使用者に発火によるものであるかの誤解を与える可能性もある。
上記問題点を解決するために、伸縮可能なキャップを取り付けた電解コンデンサが提案されている(特許文献1参照)。また、電解コンデンサの防爆弁の上方に駆動用電解液を吸収する性質及び通気性を有し、かつ難燃化処理を施した吸収材を配置したアルミ電解コンデンサが提案されている(特許文献2参照)。さらに、防爆弁の上方に駆動用電解液をゲル化する性質を有する粒状のゲル化剤を配置したアルミ電解コンデンサも提案されている(特許文献3参照)。
特開2006−286969号公報 特開平6−89835号公報 特開平5−13289号公報
しかしながら、特許文献1に記載された電解コンデンサは、単に伸縮可能なキャップを設けて駆動用電解液の気化ガスや水素ガスを吸収する空間を設けただけであるため、十分な量のガスを収容できず、キャップ内の内圧が上昇して破損することがあり、また、冷却後は駆動用電解液が液体に戻ってしまうため、漏洩のおそれがあるという問題点がある。
また、特許文献2及び特許文献3に記載された電解コンデンサは、駆動用電解液の気化ガスを吸収したりゲル化したりすることで固定化するものであるが、気化ガスの吸収速度又はゲル化速度が十分に速くないため、噴出するガス量によってはガスの吸収が間に合わず漏洩する場合があり、また水素ガス等の吸収には適しないという問題点がある。
上記課題に鑑み、本発明は、防爆弁の作動時に噴出する駆動用電解液の気化ガス等を迅速に吸収して固定化することで、駆動用電解液等の漏洩を大幅に低減することの可能な金属電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、駆動用電解液を含浸させたコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を内蔵する有底筒状の金属ケースと、前記コンデンサ素子より導出された一対のリード線とを備え、前記金属ケースの天板部に防爆弁を形成し、電気的異常時に前記防爆弁が開成して駆動用電解液等を噴出する金属電解コンデンサにおいて、前記防爆弁の上方に、前記駆動用電解液を吸収する吸収材と水を内包する物質とを配置したことを特徴とする金属電解コンデンサを提供する(請求項1)。
金属電解コンデンサに過電圧や逆電圧が印加されたり、寿命故障等によって過大な電流が流れたりすると、温度上昇によりコンデンサ素子に含浸された駆動用電解液を構成する有機溶媒が気化し又は電解液が熱分解して気化ガスが発生したり、電解液が電気化学反応により分解されて水素ガスや気化ガスが発生したりし、これにより金属ケースの内圧が上昇すると、防爆弁が作動し、この防爆弁より気化した駆動用電解液と水素等のガスとが大量に噴出されることになるが、上記発明(請求項1)によれば、金属ケースの天板部に設けられた防爆弁の上方に駆動用電解液等の吸収材を配置しているため、これらは迅速に吸収材に吸収・保持される。さらに、気化した駆動用電解液は150℃以上の温度になるが、吸収材とともに水を内包する物質を配置しているため、この水を内包する物質が気化した駆動用電解液から気化熱を奪うことで噴出物温度を低下させ、液化させることができ、これにより噴出物量の容積を低減させることができる。このように、上記発明(請求項1)によれば、気化した駆動用電解液の外部への流出量を大幅に低減することができる。
上記発明(請求項1)においては、前記吸収材と水を内包する物質とが、前記防爆弁の上方に取り付けられたケーシング内に内在されているのが好ましい(請求項2)。
上記発明(請求項2)によれば、防爆弁より噴出した駆動用電解液の気化ガスや水素等のガスをケーシング内に封じ込めるとともに、水を内包する物質の水分により気化熱が奪われて液化した駆動用電解液をケーシングに留めることで駆動用電解液の外部への流出量をさらに低減することができる。
上記発明(請求項2)においては、前記ケーシングに、駆動用電解液等の噴出に伴う内圧上昇を緩和するための小孔が形成されているのが好ましい(請求項3)。
上記発明(請求項3)によれば、防爆弁より噴出した駆動用電解液の気化ガスや水素等のガスがケーシング内に封じ込められた場合に、当該ケーシング内が所定の内圧を超えたら小孔から少しずつ排出されるため、ケーシング内が過度の圧力になって破損したり、金属ケースから外れたりするのを防止することができる。
上記発明(請求項1〜3)においては、前記吸収材が前記駆動用電解液と分子化合物を形成することで、前記駆動用電解液等の噴出を低減するのが好ましい(請求項4)。
上記発明(請求項4)によれば、駆動用電解液との分子化合物を形成する反応は迅速であるため、駆動用電解液の気化ガスを素早く固定化して、外部への流出を好適に抑制することができる。
上記発明(請求項1〜4)においては、前記吸収材が、有機系、無機系、又は有機・無機複合系素材であるのが好ましい(請求項5)。特に、前記吸収材が、無機系多孔質素材であるのが好ましい(請求項6)。
上記発明(請求項1〜6)においては、前記水を内包する物質が、水分子化合物であるのが好ましい(請求項7)。かかる発明(請求項7)によれば、水を内包する物質として水和物等の水分子化合物を用いることで、水分を固体として、吸収材とともに配置することができ、水分により気化熱を奪いコンデンサからの噴出物温度を低下させることで、噴出物量を低減させることができる。
本発明の金属電解コンデンサによれば、金属ケースの天板部に設けられた防爆弁の上方に、駆動用電解液等を吸収する吸収材を配置しているため、駆動用電解液を構成する有機溶媒が気化したり電気化学反応により水素ガスが発生したりして噴出されたとしても、これらを吸収材に迅速に吸収・保持させることができる。さらに、気化した駆動用電解液は150℃以上の温度になるが、吸収材とともに水を内包する物質を配置しているため、気化した駆動用電解液から気化熱を奪うことで噴出物温度を低下させ、液化させることができ、これにより、噴出物量の容積を低減させることができる。このようにして、駆動用電解液の外部への流出量を大幅に低減することができる。このような本発明の金属電解コンデンサは、回路基板を汚したりすることなく、各種電気機器や電子機器に好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る金属電解コンデンサを示す部分破断斜視図である。 同実施形態に係る金属電解コンデンサを示す縦断面である。 同実施形態に係る金属電解コンデンサを示す平面面である。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1〜図3は、本発明の一実施形態に係る金属電解コンデンサを示す。
図1〜図3において、1はアルミ電解コンデンサ本体であり、このコンデンサ本体1は、アルミニウムよりなる有底筒状の金属ケース2内にコンデンサ素子を内蔵してなる。コンデンサ素子は、粗面化したアルミ箔よりなる陽極箔の表面に誘電体酸化皮膜を形成し、この陽極箔及び陰極箔をセパレータとともに巻回することにより構成されており、当該コンデンサ素子には、駆動用電解液が含浸されている。また、このコンデンサ素子からは、一対のリード線3a,3bが導出されている。なお、本実施形態においては、金属ケース2の天板部2aには、略十字形状の薄肉部からなる防爆弁4が形成されているが、この防爆弁4は、略K字形状、略Y字形状、略X字形状、略T字形状、略V字形状等の様々な形状の薄肉部により形成されていてもよい。
このようなコンデンサ本体1に、上方からケーシングとして有底円筒形状のキャップ6を取り付ける。このキャップ6としては、電気的異常時にコンデンサ本体1の内容物である駆動用電解液が噴出する温度で分解しないものであれば特に制限はなく、例えば、金属ケース2と同じアルミニウム合金等を用いることができる。
このキャップ6の天板部(有底部)6aには、複数個の小孔7,7・・・が形成され、かつキャップ6とコンデンサ本体1の天板部2aとの間の空間部Sには、不織布、濾紙等の透過性繊維素材8により包まれた吸収材と水を内包する物質たる水分子化合物との混合物9が配置されている。
このキャップ6の大きさは、コンデンサ本体1に対してあまり大きすぎると、コンデンサ自体が大きくなりすぎて、規格及び設計上商品価値が低下してしまうため、できるだけ小さい方が好ましいが、これは混合物9の量に依存することになる。
したがって、コンデンサ本体1から噴出する駆動用電解液の噴出量と吸収材の吸収能とから、必要な吸収材の量及び水分子化合物の量を算出し、これに基づいて混合物9の量を決定すればよい。具体的には、コンデンサ本体1から噴出する駆動用電解液100質量部に対して、吸収材を10〜500質量部及び水分子化合物を10〜500質量部とすればよい。なお、図1においては、便宜上混合物9については図示を省略している。
上述した構成を有する金属電解コンデンサにつき、その動作を説明する。アルミ電解コンデンサ本体1に過電圧や逆電圧が印加されると、コンデンサ本体1内のコンデンサ素子は発熱し、そして、この発熱により、駆動用電解液は気化するとともに、水素等のガスが発生し、金属ケース2の内圧を上昇させる。
この内圧の上昇により金属ケース2の天板部2aに形成した防爆弁4が作動して、この防爆弁4より気化した駆動用電解液と水素等のガスが空間部S内に大量に噴出する。そして、この気化した駆動用電解液の大半は、混合物9中の吸収材に吸収されて固定化される。
これとともに、気化した駆動用電解液は150℃以上の温度になるが、混合物9中の水分子化合物が気化した駆動用電解液から気化熱を奪うことで噴出物温度を低下させ、液化させることができ、これにより噴出物量の容積を低減させることができる。
一方、噴出する内容物でキャップ6内の内圧が上昇するため、この内圧に対して完全な耐性を持たせるには、キャップ6を大きくしたり、キャップ6の壁厚を大きくしたりする必要がある。
しかしながら、本実施形態においては、キャップ6の天板部6aには複数個の小孔7,7・・・が形成されているため、キャップ6の内圧が過度に大きくなった分だけ気化した駆動用電解液がわずかに噴出する構造となっている。これらにより、気化した駆動用電解液の外部への流出を最小限に抑制することが可能となっている。
なお、小孔7,7・・・に圧力弁を設けて、キャップ6の内圧が所定の圧力より大きくなったら圧力弁が開成して、小孔7,7・・・が現われるような構成としてもよい。
このようなコンデンサにおいて、混合物9を構成する吸収材としては、駆動用電解液や水素ガス等と分子化合物を形成するものである。ここで、分子化合物とは、単独で安定に存在することのできる化合物の2種類以上の化合物が水素結合やファンデルワールス力等に代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物であり、水和物、溶媒化物、付加化合物、包接化合物等が含まれる。このような分子化合物は、分子化合物を形成する化合物とアルミ電解コンデンサからの噴出物との接触反応により形成することができ、噴出物を固体状の化合物に変化させることができる。
上述したような分子化合物としては、ホスト化合物とコンデンサ本体1からの駆動用電解液等の噴出物との接触反応により、噴出物をホスト化合物で包接してなる包接化合物が挙げられる。
分子化合物のうち、駆動用電解液等の噴出物を包接した包接化合物を形成するホスト化合物としては、有機化合物、無機化合物及び有機・無機複合化合物よりなるものが知られており、また、有機化合物において単分子系、多分子系、高分子系ホスト等が知られている。
単分子系ホストとしては、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、クリプタンド類、シクロファン類、アザシクロファン類、カリックスアレン類、シクロトリベラトリレン類、スフェランド類、環状オリゴペプチド類等が挙げられる。
また、多分子系ホストとしては、尿素類、チオ尿素類、デオキシコール酸類、コール酸類、ペルヒドロトリフェニレン類、トリ−o−チモチド類、ビアンスリル類、スピロビフルオレン類、シクロフォスファゼン類、モノアルコール類、ジオール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、アセチレンアルコール類、フェノール類、ビスフェノール類、トリスフェノール類、テトラキスフェノール類、ポリフェノール類、ナフトール類、ビスナフトール類、ジフェニルメタノール類、カルボン酸アミド類、チオアミド類、ビキサンテン類、カルボン酸類、イミダゾール類、ヒドロキノン類等が挙げられる。
さらに、高分子系ホストとしては、キチン類、キトサン類、1,1,2,2−テトラキスフェニルエタンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類、α,α,α’,α’−テトラキスフェニルキシレンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類等が挙げられる。
さらにまた、その他、有機りん化合物、有機ケイ素化合物等も挙げられる。
無機系ホスト化合物としては、酸化チタン、グラファイト、アルミナ、遷移金属ジカルゴゲナイト、フッ化ランタン、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、銀塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ゼオライト、酸化マグネシウム、シリカ、多孔質ガラス等が挙げられるが、特に多孔質になっている無機多孔質系素材が有効であり、シリカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルミナ、ゼオライト、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム等の多孔質物質が好ましい。
さらに、有機金属化合物にもホスト化合物としての性質を示すものがあり、例えば、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物、有機インジウム化合物、有機ガリウム化合物、有機テルル化合物、有機スズ化合物、有機ジルコニウム化合物、有機マグネシウム化合物等が挙げられる。また、有機カルボン酸の金属塩や有機金属錯体等を用いることも可能であるが、有機金属化合物であれば、特にこれらに限定されるものではない。
これらのホスト化合物は、吸収材として1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。具体的には、駆動用電解液の溶媒としては、エチレングリコール、メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)、γ−ブチロラクトン、N−メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート等が用いられることから、吸収材としては、1つの吸収材が複数の溶媒を包接できる多様性のある吸収材を用いるのが好ましく、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン等のシクロデキストリン類、カリックスアレン類、尿素、デオキシコール酸、コール酸、1,1,6,6−テトラフェニルヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール等のアセチレンアルコール類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類、ビス−β−ナフトール等のナフトール類、ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)等のカルボン酸アミド類、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等のヒドロキノン類、キチン、キトサン、シリカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルミナ、ゼオライト、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、有機金属化合物等が好適である。
また、本発明において、混合物9を構成する水を内包した物質としては、多孔質物質に水を含有させたもの;硫酸マグネシウム・7HO、硫酸鉄(II)・7HO、硫酸鉄(III)・nHO、カリウムミョウバン・12HO、ナトリウムミョウバン・12HO、硫酸アルミニウム・16HO、硫酸ニッケル・6HO、硫酸マンガン・5HO、リン酸マグネシウム・8HO、リン酸鉄(II)・8HO等の無機水和物;酢酸マグネシウム・4HO、クエン酸マグネシウム・9HO等の有機水和物;シクロデキストリン等のホスト化合物に水が包接された水包接化合物等を用いることができる。これらの中では、特に無機水和物及び有機水和物が好ましい。
上述した本実施形態に係る金属電解コンデンサは、気化した駆動用電解液の外部への流出量を大幅に低減することができるため、回路基板に実装することができる。これにより、汚れや発火等のない安全性の高い回路基板とすることができる。また、上記回路基板は、各種電気機器や電子機器用の回路基板として好適に用いることができる。
以上本発明について添付図面を参照して説明してきたが、本発明は前記実施形態限らず種々の変形実施が可能である。例えば、キャップ6は、本実施形態のようにコンデンサ本体1の上部に載せて、テープ、接着剤、かしめ等で固定する以外に、コンデンサ本体1の根元まであるキャップ6を用意し、根元でかしめて固定化してもよい。また、混合物9は、不織布、濾紙等の透過性繊維素材8に包装せずに、キャップ6の空間部Sに粉体のまま入れてもよいし、この粉体を錠剤化して入れてもよい。この場合には、小孔7に臨んで、濾紙等を設ければよい。
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
〔参考例1〕
φ16mm×31.5mm、400V、33μFの規格の市販のアルミ電解コンデンサを使用し、このアルミ電解コンデンサに電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4が開成し、駆動用電解液等の激しい噴出が見られた。
〔実施例1〕
参考例1のアルミ電解コンデンサをコンデンサ本体1として、このコンデンサ本体1に該コンデンサ本体1の金属ケース2の約1.4倍の高さのキャップ6をテープで固定装着してコンデンサとした。このとき、キャップ6には、吸収材としての多孔質シリカ0.42gと、水を内包した物質としての硫酸マグネシウム・7HO0.51gとを体積比で8:2となるように充填した。
このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。
〔比較例1〕
実施例1において、キャップ6に多孔質シリカ及び硫酸マグネシウム・7HOを充填しなかった以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、キャップ6の小孔7から気化した駆動用電解液等の激しい噴出が激しい噴出が見られ、キャップ6を設けただけでは駆動用電解液等の流出を防止することができないことがわかった。
〔比較例2〕
実施例1において、多孔質シリカ0.52gのみを充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、キャップ6の小孔7からわずかに気化した駆動用電解液等の噴出が認められた。その量は、前述した比較例1よりは明らかに低減しており吸収材として多孔質シリカを用いただけでもある程度の効果が得られるが、実施例1よりは駆動用電解液等の漏洩防止能の点で劣ることがわかった。
〔実施例2〕
実施例1において、キャップ6に吸収材としての1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン0.90gと、水を内包した物質としての硫酸マグネシウム・7HO0.51gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン1.12gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例3〕
実施例1において、キャップ6に吸収材としての多孔質ケイ酸カルシウム0.20gと、水を内包した物質としてのカリウムミョウバン・12HO0.51gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質ケイ酸カルシウム0.25gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例4〕
実施例1において、キャップ6に吸収材としての多孔質メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.84gと、水を内包した物質としての硫酸アルミニウム・16HO0.36gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.03gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例5〕
実施例1において、キャップ6に吸収材としての多孔質アルミナ1.14gと、水を内包した物質としての硫酸ニッケル・6HO0.63gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質アルミナ1.43gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例6〕
実施例1において、キャップ6に吸収材としての多孔質酸化マグネシウム0.54gと、水を内包した物質としての硫酸マンガン・5HO0.92gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質酸化マグネシウム0.67gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例7〕
実施例1において、キャップ6に吸収材としての多孔質ケイ酸マグネシウム0.90gと、水を内包した物質としての硫酸鉄(II)・7HO0.61gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質ケイ酸マグネシウム1.12gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例8〕
実施例1において、キャップ6に吸収材としての多孔質ケイ酸アルミニウム1.01gと、水を内包した物質としての硫酸鉄(III)・nHO0.81gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から電気を100V、1Aで逆印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質ケイ酸アルミニウム1.32gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔参考例2〕
参考例1のアルミ電解コンデンサに、電源装置から600V、2Aの過電圧を印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4が開成し、駆動用電解液等の激しい噴出が見られた。
〔実施例9〕
実施例1において、キャップ6に吸収材としての多孔質シリカ0.42gと、水を内包した物質としての硫酸マグネシウム・7HO0.75gとを体積比で7:3となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から600V、2Aの過電圧を印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質シリカ0.52gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例10〕
実施例9において、キャップ6に吸収材としての1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン0.90gと、水を内包した物質としての硫酸マグネシウム・7HO0.51gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から600V、2Aの過電圧を印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン1.12gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例11〕
実施例9において、キャップ6に吸収材としての多孔質ケイ酸カルシウム0.20gと、水を内包した物質としてのカリウムミョウバン・12HO0.51gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から600V、2Aの過電圧を印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質ケイ酸カルシウム0.25gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例12〕
実施例9において、キャップ6に吸収材としての多孔質メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.84gと、水を内包した物質としての硫酸アルミニウム・16HO0.36gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から600V、2Aの過電圧を印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質メタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.03gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例13〕
実施例9において、キャップ6に吸収材としての多孔質アルミナ1.14gと、水を内包した物質としての硫酸ニッケル・6HO0.63gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から600V、2Aの過電圧を印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質アルミナ1.43gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例14〕
実施例9において、キャップ6に吸収材としての多孔質酸化マグネシウム0.54gと、水を内包した物質としての硫酸マンガン・5HO0.92gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から600V、2Aの過電圧を印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質酸化マグネシウム0.67gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例15〕
実施例9において、キャップ6に吸収材としての多孔質ケイ酸マグネシウム0.90gと、水を内包した物質としての硫酸鉄(II)・7HO0.61gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から600V、2Aの過電圧を印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質ケイ酸マグネシウム1.12gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
〔実施例16〕
実施例9において、キャップ6に吸収材としての多孔質ケイ酸アルミニウム1.01gと、水を内包した物質としての硫酸鉄(III)・nHO0.81gとを体積比で8:2となるように充填した以外は、同様にしてコンデンサを作製し、このコンデンサに対し、電源装置から600V、2Aの過電圧を印加したところ、コンデンサ本体1の防爆弁4は開成したが、駆動用電解液等の噴出量は極めて少量噴出する程度に低減されることがわかった。このときの噴出は、キャップ6に多孔質ケイ酸アルミニウム1.32gのみを充填した場合よりも低減されることがわかった。
1…アルミ電解コンデンサ本体
2…金属ケース
2a…天板部
4…防爆弁
6…キャップ
6a…天板部(有底部)
7…小孔
8…透過性繊維素材
9…吸収材と水分子化合物との混合物

Claims (7)

  1. 駆動用電解液を含浸させたコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を内蔵する有底筒状の金属ケースと、前記コンデンサ素子より導出された一対のリード線とを備え、前記金属ケースの天板部に防爆弁を形成し、電気的異常時に前記防爆弁が開成して駆動用電解液等を噴出する金属電解コンデンサにおいて、
    前記防爆弁の上方に、前記駆動用電解液を吸収する吸収材と水を内包する物質とを配置したことを特徴とする金属電解コンデンサ。
  2. 前記吸収材と水を内包する物質とが、前記防爆弁の上方に取り付けられたケーシング内に内在されていることを特徴とする請求項1に記載の金属電解コンデンサ。
  3. 前記ケーシングに、駆動用電解液等の噴出に伴う内圧上昇を緩和するための小孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の金属電解コンデンサ。
  4. 前記吸収材が前記駆動用電解液と分子化合物を形成することで、前記駆動用電解液等の噴出を低減することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属電解コンデンサ。
  5. 前記吸収材が、有機系、無機系、又は有機・無機複合系素材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属電解コンデンサ。
  6. 前記吸収材が、無機系多孔質素材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属電解コンデンサ。
  7. 前記水を内包する物質が、水分子化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属電解コンデンサ。
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