JP2012114335A - 電解コンデンサの電解液捕集容器、電解コンデンサ、及びこれを用いた電気機器及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電解コンデンサの破損等の心配がなく、防爆弁の作動時に噴出する駆動用電解液の気化ガス等を迅速に吸収することの可能な電解コンデンサに取り付けられる電解液の捕集容器を提供する。
【解決手段】 11はアルミ電解コンデンサであり、この電解コンデンサ11は、アルミニウムよりなる有底筒状の金属ケース12内にコンデンサ素子を内蔵してなる。この金属ケース12の天板部12aには略十字形状の薄肉部からなる防爆弁14が形成されている。このような電解コンデンサ11の防爆弁14を覆うように電解液捕集容器1を嵌合する。この電解液捕集容器1は、円筒状のケーシング2と、このケーシング2内に収容された吸収材3とからなる。このケーシング2の天板部(有底部)2aには複数個の小孔4,4・・・が形成されていて、このケーシング2と電解コンデンサ11の天板部12aとの間の空間部Sに、吸収材3が充填されている。
【選択図】 図3
【解決手段】 11はアルミ電解コンデンサであり、この電解コンデンサ11は、アルミニウムよりなる有底筒状の金属ケース12内にコンデンサ素子を内蔵してなる。この金属ケース12の天板部12aには略十字形状の薄肉部からなる防爆弁14が形成されている。このような電解コンデンサ11の防爆弁14を覆うように電解液捕集容器1を嵌合する。この電解液捕集容器1は、円筒状のケーシング2と、このケーシング2内に収容された吸収材3とからなる。このケーシング2の天板部(有底部)2aには複数個の小孔4,4・・・が形成されていて、このケーシング2と電解コンデンサ11の天板部12aとの間の空間部Sに、吸収材3が充填されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、電子機器等に使用される内圧が上昇して爆発することを防止する防爆弁を備える電解コンデンサに取り付けられる電解液の捕集容器に関する。また、本発明は、この捕集容器を備えた電解コンデンサ、及びこの電解コンデンサを有する電気機器及び電子機器に関する。
アルミ電解コンデンサは、過電圧や逆電圧が印加されたり、寿命故障等によって過大な電流が流れたりすると、温度上昇によりコンデンサ素子に含浸された駆動用電解液を構成する有機溶媒が気化し又は電解液が熱分解して気化ガスが発生したり、電解液が電気化学反応により分解して水素ガスや気化ガスが発生したりするため、アルミニウムよりなる金属ケースの内圧が上昇する。
このとき、ガスの逃げ道がないと、金属ケースの内圧が金属ケースによる封口力を上回れば爆発に至るため、従来のアルミ電解コンデンサでは、通常、金属ケースの天板部に薄肉部よりなる防爆弁が設けられている。
このように、金属ケースの内圧が異常に上昇したときには、この防爆弁が開弁して前述した金属ケース内における駆動用電解液の気化ガスや液滴、あるいは電気分解により発生した水素等のガスが外部に流出するため、電解コンデンサは爆発することなく、安全に故障に至るのである。
しかしながら、上記構成によれば、駆動用電解液が外部に噴出するため、噴出した駆動用電解液が、この電解コンデンサをセットした基板や他の電子部品に付着して、ショートやトラッキング等の電気的異常が引き起こされるという問題点がある。また、防爆弁から噴出する駆動用電解液の噴出は白煙のように視認されるので、使用者に発火によるものであるかの誤解を与える可能性もある。
上記問題点を解決するために、伸縮可能なキャップを取り付けた電解コンデンサが提案されている(特許文献1参照)。また、電解コンデンサの防爆弁の上方に駆動用電解液を吸収する性質および通気性を有し、かつ難燃化処理を施した吸収材を配置したアルミ電解コンデンサが提案されている(特許文献2参照)。さらに、防爆弁の上方に駆動用電解液をゲル化する性質を有する粒状のゲル化剤を配置したアルミ電解コンデンサも提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された電解コンデンサは、単に伸縮可能なキャップを設けて駆動用電解液の気化ガスや水素ガスを吸収する空間を設けただけであり、ガスの逃げ道がないので、キャップ内の内圧が上昇して破損することがあり、また、冷却後は駆動用電解液が液体に戻ってしまい、この電解液が逆流してショートを引き起こすおそれがあるという問題点がある。
また、特許文献2及び特許文献3に記載された電解コンデンサは、駆動用電解液の気化ガスを吸収したりゲル化したりすることで固定化するものであるが、気化ガスの吸収速度又はゲル化速度が十分に速くないため、噴出するガス量によってはガスの吸収が間に合わず漏洩する場合があり、また水素ガス等の吸収には適しないという問題点がある。
上記課題に鑑み、本発明は、電解コンデンサの破損等の心配がなく、防爆弁の作動時に噴出する駆動用電解液の気化ガス等を迅速に吸収することの可能な、電解コンデンサに取り付けられる電解液捕集容器を提供することを目的とする。また、本発明は、この捕集容器を備えた安全性の高い電解コンデンサ、及びこの電解コンデンサを有する電気機器及び電子機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第一に本発明は、駆動用電解液を含浸させたコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を内蔵する金属ケースと、前記コンデンサ素子より導出された一対のリード線とを備え、前記金属ケースの一側面に防爆弁を形成し、電気的異常時に前記防爆弁が開成して前記駆動用電解液を噴出する電解コンデンサから、前記駆動用電解液を捕集する電解液捕集容器であって、前記電解液捕集容器は、硬質材からなるケーシングと、前記ケーシング内に収容された、液状又はガス状物質を吸収可能な吸収材とを備えており、前記電解液捕集容器を、前記防爆弁を覆うように前記電解コンデンサに嵌め込むことにより、前記防爆弁の開成時に前記駆動用電解液を捕集することを特徴とする電解コンデンサの電解液捕集容器を提供する(発明1)。なお、防爆弁が開成したときに、電解コンデンサからは、電解液だけでなく、電解液に起因する各種ガスが噴出することがあるため、本発明に係る電解液捕集容器は、電解液及び/又は電解液に起因する各種ガスを捕集し得るものである。
上記発明(発明1)によれば、電解コンデンサに過電圧や逆電圧が印加されたり、寿命故障等によって過大な電流が流れたりすると、温度上昇によりコンデンサ素子に含浸された駆動用電解液を構成する有機溶媒が気化し又は電解液が熱分解して気化ガスが発生したり、電解液が電気化学反応により分解されて水素ガスや気化ガスが発生したりして、これらにより金属ケースの内圧が上昇すると、防爆弁が作動し、この防爆弁より気化した駆動用電解液と駆動用電解液の液滴と水素等のガスが大量に噴出されることになるが、金属ケースの天板部に設けられた防爆弁の上方に駆動用電解液などの吸収材を配置しているので、この金属電解コンデンサに定格より高い過電圧が印加され、温度上昇によりコンデンサ素子に含浸された駆動用の電解液を構成する有機溶媒が気化したり電気化学反応により水素ガスが発生したりして金属ケースの内圧は上昇すると防爆弁が作動し、この防爆弁より大量の駆動用電解液と大量の水素等のガスが噴出されることになるが、前記防爆弁を覆うように捕集容器を前記金属製の電解コンデンサに嵌め込んでいるので、該捕集容器のケーシング内に収容された吸収材に迅速に吸収され、固定化することができる。これにより電解液の逆流による短絡を予防することができる。
上記発明(発明1)においては、前記ケーシングが金属製であるのが好ましい(発明2)。
上記発明(発明2)によれば、内圧上昇に対して強度的にも破損等のおそれがなく、かつ耐熱性も高いので電解コンデンサの発熱によって変形したり変質したりすることもない。
上記発明(発明1,2)においては、前記吸収材が無機多孔質素材であるのが好ましい(発明3)。
上記発明(発明3)によれば、無機多孔質素材は、耐熱性が高く、電解コンデンサから噴出する150℃以上の高温の液状物質又はガス状物質に対しても安定した吸収性能を保つことができる。
上記発明(発明1〜3)においては、前記ケーシングに小孔またはスリットが形成されているのが好ましい(発明4)。
上記発明(発明4)によれば、防爆弁より噴出した駆動用電解液の気化ガスや水素等のガスがケーシング内に封じ込められた場合に、該ケーシング内が所定の内圧を超えたら小孔またはスリットからこれらが少しずつ排出されることにより、ケーシング内が過度の圧力になって破損したり、電解コンデンサから捕集容器が外れたりするのを防止することができる。
上記発明(発明1〜4)においては、前記電解液捕集容器と前記電解コンデンサとの嵌合部の少なくとも一部を被覆する弾性材を備えたことが好ましい(発明5)。
上記発明(発明5)によれば、前記捕集容器と前記電解コンデンサとの嵌合部との間のシール性が向上し、嵌合部からの電解液の漏洩を好適に抑制することができる。
第二に本発明は、前記電解液捕集容器(発明1〜5)を備えたことを特徴とする電解コンデンサを提供する(発明6)。
上記発明(発明6)によれば、電解コンデンサから気化した駆動用電解液の外部への流出が大幅に低減することができ、汚れや発火等のない安全性の高い電解コンデンサとすることができる。
第三に本発明は、前記電解コンデンサ(発明6)を備えたことを特徴とする電気機器を提供する(発明7)。そして、第四に本発明は、前記電解コンデンサ(発明6)を備えたことを特徴とする電子機器置を提供する(発明8)。
本発明の電解液の捕集容器を、電解コンデンサの防爆弁を覆うように嵌め込むことにより、電解コンデンサに過電圧や逆電圧が印加されたり、寿命故障等によって過大な電流が流れたりして、駆動用電解液を構成する有機溶媒が気化し又は電解液が熱分解して気化ガスが発生したり、電解液が電気化学反応により分解されて水素ガスや気化ガスが発生したりして、これらが噴出したとしても該捕集容器のケーシング内に収容された吸収材に水素ガスや気化ガスが迅速に吸収され、固定化することができるので、回路基板を汚したりすることがない。また、電解液等が白煙状に噴出することもなくなり、使用者に発火によるものであるかの誤解を与えることもない。このような本発明の捕集容器を装着した金属電解コンデンサは、照明器具や記録装置などの電気機器や、各種電子機器に好適である。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る電解液の捕集容器を示しており、図3は、この電解液の捕集容器を嵌め込んだ電解コンデンサを示している。図1乃至図3において、11はアルミ電解コンデンサであり、この電解コンデンサ11は、アルミニウムよりなる有底筒状の金属ケース12内にコンデンサ素子を内蔵してなる。コンデンサ素子は、粗面化したアルミ箔よりなる陽極箔の表面に誘電体酸化皮膜を形成し、この陽極箔と陰極箔をセパレータとともに巻回することにより構成されていて、該コンデンサ素子に駆動用電解液を含浸させている。また、このコンデンサ素子からは、一対のリード線13a,13bが導出されている。そして、前記金属ケース12の天板部12aには略十字形状の薄肉部からなる防爆弁14が形成されている。
このような電解コンデンサ11の防爆弁14を覆うように電解液捕集容器1を嵌合する。この電解液捕集容器1は、円筒状のケーシング2と、このケーシング2内に収容された吸収材3とからなる。ケーシング2は、金属製で厚さは、0.1〜1mm程度が好ましい。この金属材料としては特に制限はなく、ステンレス、鉄、銅、真鍮、アルミニウムなどの汎用的なものを用いることができ、特に安価で軽量である点でアルミニウムもしくはアルミニウム合金が好ましい。
このケーシング2の天板部(有底部)2aには複数個の小孔4,4,4・・・が形成されていて、このケーシング2と電解コンデンサ11の天板部12aとの間の空間部Sに、不織布、濾紙等の透過性繊維素材5が配置され、さらに吸収材3が充填されている。このケーシング2の大きさは、電解コンデンサ11に対してあまり大きすぎると、電解液捕集容器1を取り付けた後のコンデンサ自体が大きくなりすぎて、規格や設計上商品価値が低下するためできるだけ小さい方が好ましいが、これは吸収材3の量(吸収量)に依存することになる。したがって、電解コンデンサ11内に含まれている駆動用電解液の量と噴出量と吸収材3の吸収能とから必要な吸収材3の量を算出し、これに基づいて決定すればよい。具体的には、電解コンデンサ11内に含まれている駆動用電解液100重量部に対して、吸収材3を10〜500重量部とすればよい。なお、図1においては、便宜上吸収材3については図示を省略している。
このような電解液捕集容器1において、電解コンデンサ11と電解液捕集容器1の嵌合部(接触部)Kは、ゴムまたはエラストマー性の弾性材Gにより被覆されている。このゴムまたはエラストマー性の材質とは、室温において小さい応力で相当に大きい変形を起こし、応力から開放されると、その変形から急速にほとんどものと形状にまで復元する天然または合成の高分子化合物を意味する。このゴムまたはエラストマー性の材質としては、特に制限はないが、過電圧や逆電圧が印加された場合に電解コンデンサ11の金属ケース12の表面温度が150℃以上まで発熱することを考慮すると、シリコン系ゴム、フッ素系ゴムが好ましい。このように嵌合部(接触部)Kを、ゴムまたはエラストマー性の弾性材Gにより被覆することにより、電解コンデンサ11と電解液捕集容器1との間のシール性が向上し、嵌合部(接触部)Kからの液状又ガス状物質のショートパス(漏洩)を好適に抑制することができる。
上述した構成を有する金属電解コンデンサにつき、その動作を説明する。アルミ電解コンデンサ11に過電圧が印加されると、電解コンデンサ11内のコンデンサ素子は発熱し、そして、この発熱により、駆動用電解液は気化するとともに、水素等のガスが発生し、金属ケース12の内圧を上昇させる。
この内圧の上昇により金属ケース12の天板部12aに形成した防爆弁14が作動して、この防爆弁14より大量の気化した駆動用電解液と水素等のガスが空間部S内に大量に噴出する。そして、この気化した駆動用電解液の大半は、吸収材3に吸収されて固定化される。
一方、噴出物によりケーシング2内の内圧が上昇するため、この内圧に対して完全な耐性を持たせるには、ケーシング2を大きくしたりケーシング2の壁厚を大きくしたりする必要がある。
しかしながら、本実施形態においては、ケーシング2の天板部2aには複数個の小孔4,4・・・が形成されているので、ケーシング2の内圧が過度に大きくなった分だけ気化した駆動用電解液がわずかに噴出する構造となっている。小孔4の孔径は、当該作用を奏する大きさであれば特に制限されないが、通常は0.1〜2mm程度であることが好ましい。
このように、気化した駆動用電解液の外部への流出を最小限に抑制することが可能となっている。なお、小孔4,4・・・に圧力弁を設けて、ケーシング2の内圧が所定の圧力より大きくなったら圧力弁が開成して、小孔4,4・・・が現われるような構成としてもよい。
特に本実施形態においては、ケーシング2の天板部(有底部)2aに複数個の小孔4,4・・・が形成されていて、このケーシング2と電解コンデンサ11の天板部12aとの間の空間部Sには、不織布、濾紙等の透過性繊維素材5が配置されているので、コンデンサから液状又はガス状物質が噴出した勢いで、吸収材3が前記小孔4,4・・・より漏洩することを防止することができるようになっている。
このようなコンデンサにおいて、吸収材3としては、特に制限はないが、コンデンサから噴出する液状又はガス状物質が150℃以上の高温になることから、無機系の素材が好ましい。この無機系の素材としては、酸化チタン、グラファイト、アルミナ、遷移金属ジカルゴゲナイト、フッ化ランタン、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、珪藻土、銀塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ゼオライト、酸化マグネシウム、シリカ、多孔質ガラスなどが挙げられるが、特に多孔質になっている無機多孔質系素材が有効であり、シリカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルミナ、珪藻土、ゼオライト、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム等が好ましい。これらの素材は、通常、粉末状又は粒子状の形態でケーシング2内に充填されるが、これに限定されるものではない。
以上本発明について添付図面を参照して説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限らず種々の変形実施が可能である。例えば、ケーシング2の天板部2aに形成された小孔4の代わりにスリットを形成してもよいし、わずかな圧力で開弁する防爆弁としても良い。また、嵌合部Kの弾性材Gはクロロスルフォン化ポリエチレンやPTFEなどの樹脂で代用してもよい。また、不織布、濾紙等の透過性繊維素材5を配置せずに、吸収材3を錠剤化したりゲル化させたりしてケーシング2に充填してもよい。
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
<参考例>
φ16mm×31.5mm、400V、33μFの規格の市販のアルミ電解コンデンサを使用し、このアルミ電解コンデンサに電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、電解コンデンサ11の防爆弁14が開成し、駆動用電解液等の激しい噴出が見られた。
φ16mm×31.5mm、400V、33μFの規格の市販のアルミ電解コンデンサを使用し、このアルミ電解コンデンサに電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、電解コンデンサ11の防爆弁14が開成し、駆動用電解液等の激しい噴出が見られた。
<実施例1>
参考例1のアルミ電解コンデンサ11に多孔質シリカ1.20gを充填した電解液捕集容器1を被せた。この電解液捕集容器1は、内径16.15mmφ、長さ38mmで、厚さ0.30mmのアルミニウム製の円筒体をケーシング2とし、天板部2aには5個の小孔4(直径1.5mm)を形成した。また、電解液捕集容器1のケーシング2と電解コンデンサ11との嵌合部Kとなる内面側には、弾性材Gとしてシリコンゴムを被覆して嵌め込んだ。また、天板部2aの内面側には透過性繊維素材としての濾紙5Aを配置した。
参考例1のアルミ電解コンデンサ11に多孔質シリカ1.20gを充填した電解液捕集容器1を被せた。この電解液捕集容器1は、内径16.15mmφ、長さ38mmで、厚さ0.30mmのアルミニウム製の円筒体をケーシング2とし、天板部2aには5個の小孔4(直径1.5mm)を形成した。また、電解液捕集容器1のケーシング2と電解コンデンサ11との嵌合部Kとなる内面側には、弾性材Gとしてシリコンゴムを被覆して嵌め込んだ。また、天板部2aの内面側には透過性繊維素材としての濾紙5Aを配置した。
このコンデンサに対し、電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、電解コンデンサ11の防爆弁14は開成したが、駆動用電解液等の噴出はほとんど目視で確認できない程度に低減されることがわかった。
<比較例1>
実施例1において、多孔質シリカを充填しなかった以外は、同様にしてコンデンサを作製した。このコンデンサに対し、電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、参考例1よりは幾分緩やかであるものの駆動用電解液等が勢いよく噴出した。この結果、電解液捕集容器1には、液状又はガス状物質を吸収可能な吸収材3が必要であることが確認された。
実施例1において、多孔質シリカを充填しなかった以外は、同様にしてコンデンサを作製した。このコンデンサに対し、電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、参考例1よりは幾分緩やかであるものの駆動用電解液等が勢いよく噴出した。この結果、電解液捕集容器1には、液状又はガス状物質を吸収可能な吸収材3が必要であることが確認された。
<比較例2>
天然ゴム製の伸縮容器に、実施例1と同様に5個の小孔を形成し、多孔質シリカ1.20gを充填したものを参考例1のアルミ電解コンデンサ11に被せた。なお、天然ゴム製の容器は、不定形であるため実施例1のように5A濾紙を配置することはできなかった。
天然ゴム製の伸縮容器に、実施例1と同様に5個の小孔を形成し、多孔質シリカ1.20gを充填したものを参考例1のアルミ電解コンデンサ11に被せた。なお、天然ゴム製の容器は、不定形であるため実施例1のように5A濾紙を配置することはできなかった。
このコンデンサに対し、電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、すぐに多孔質シリカと駆動用電解液等が勢いよく噴出し、続いてコンデンサ11との接触部が発熱により溶融して、天然ゴム製の伸縮容器自体も吹き飛んだ。この結果、電解液捕集容器1の素材としては、硬質材、特にアルミウムなどの金属材料であることが必要であることがわかった。
<実施例2>
実施例1において、天板部2aに小孔4を形成しなかった以外は、同様にしてコンデンサを作製した。このコンデンサに対し、電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、初期においては駆動用電解液等の噴出を防止できたが、内圧の上昇に伴い電解液捕集容器1が吹き飛んだ。この結果、電解液捕集容器1のケーシング2には、小孔4を形成するのが好ましいことがわかった。
実施例1において、天板部2aに小孔4を形成しなかった以外は、同様にしてコンデンサを作製した。このコンデンサに対し、電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、初期においては駆動用電解液等の噴出を防止できたが、内圧の上昇に伴い電解液捕集容器1が吹き飛んだ。この結果、電解液捕集容器1のケーシング2には、小孔4を形成するのが好ましいことがわかった。
<実施例3>
実施例1において、電解液捕集容器1のケーシング2と電解コンデンサ11との嵌合部Kとなる内面側にシリコンゴムを被覆しなかった以外は、同様にしてコンデンサを作製した。このコンデンサに対し、電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、初期においては駆動用電解液等の噴出を防止できたが、内圧の上昇に伴い電解液捕集容器1のケーシング2と電解コンデンサ11との嵌合部Kから駆動用電解液等が勢いよく噴出した。この結果、電解液捕集容器1のケーシング2と電解コンデンサ11との嵌合部Kのシール性を保持するには、嵌合部Kをゴム製の弾性材料で被覆するのが好ましいことがわかった。
実施例1において、電解液捕集容器1のケーシング2と電解コンデンサ11との嵌合部Kとなる内面側にシリコンゴムを被覆しなかった以外は、同様にしてコンデンサを作製した。このコンデンサに対し、電源装置から電気を600V、1Aで印加したところ、初期においては駆動用電解液等の噴出を防止できたが、内圧の上昇に伴い電解液捕集容器1のケーシング2と電解コンデンサ11との嵌合部Kから駆動用電解液等が勢いよく噴出した。この結果、電解液捕集容器1のケーシング2と電解コンデンサ11との嵌合部Kのシール性を保持するには、嵌合部Kをゴム製の弾性材料で被覆するのが好ましいことがわかった。
本発明に係る電解液捕集容器は、防爆弁を有する電解コンデンサから駆動用電解液等を捕集する捕集容器として有用である。また、本発明に係る電解コンデンサは、照明器具や記録装置などの電気機器や、各種電子機器に好適である。
1…電解液捕集容器
2…ケーシング
2a…天板部
3…吸収材
4…小孔
5…透過性繊維素材
11…電解コンデンサ
12…金属ケース
13a,13b…リード線
14…防爆弁
K…嵌合部(接触部)
S…空間部
G…弾性材
2…ケーシング
2a…天板部
3…吸収材
4…小孔
5…透過性繊維素材
11…電解コンデンサ
12…金属ケース
13a,13b…リード線
14…防爆弁
K…嵌合部(接触部)
S…空間部
G…弾性材
Claims (8)
- 駆動用電解液を含浸させたコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を内蔵する金属ケースと、前記コンデンサ素子より導出された一対のリード線とを備え、前記金属ケースの一側面に防爆弁を形成し、電気的異常時に前記防爆弁が開成して前記駆動用電解液を噴出する電解コンデンサから、前記駆動用電解液を捕集する電解液捕集容器であって、
前記電解液捕集容器は、硬質材からなるケーシングと、前記ケーシング内に収容された、液状又はガス状物質を吸収可能な吸収材とを備えており、
前記電解液捕集容器を、前記防爆弁を覆うように前記電解コンデンサに嵌め込むことにより、前記防爆弁の開成時に前記駆動用電解液を捕集する
ことを特徴とする電解コンデンサの電解液捕集容器。 - 前記ケーシングが金属製であることを特徴とする請求項1に記載の電解液捕集容器。
- 前記吸収材が無機多孔質素材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解液捕集容器。
- 前記ケーシングに小孔またはスリットが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解液捕集容器。
- 前記電解液捕集容器と前記電解コンデンサとの嵌合部の少なくとも一部を被覆する弾性材を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解液捕集容器。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電解液捕集容器を備えたことを特徴とする電解コンデンサ。
- 請求項6に記載の電解コンデンサを備えたことを特徴とする電気機器。
- 請求項6に記載の電解コンデンサを備えたことを特徴とする電子機器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114792603A (zh) * | 2021-01-25 | 2022-07-26 | 华为数字能源技术有限公司 | 一种电容器组件及电子装置 |
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2010
- 2010-11-26 JP JP2010263553A patent/JP2012114335A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114792603A (zh) * | 2021-01-25 | 2022-07-26 | 华为数字能源技术有限公司 | 一种电容器组件及电子装置 |
CN114792603B (zh) * | 2021-01-25 | 2024-04-09 | 华为数字能源技术有限公司 | 一种电容器组件及电子装置 |
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