JP4893949B2 - 車両の後部車体構造 - Google Patents
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Description
車両の乗員室と車体後部の荷室とを仕切るパーティションパネルに車両前後方向に開口する開口部を設けてある車両の後部車体構造に関する。
そして、両仕様の車両とも車体の共通化のためにパーティションパネルに大きな開口部が形成されている。パーテーションパネルは、シートバックの後ろ側に位置する縦姿勢のパーティションフロントパネルと、パーティションフロントパネルの上端部から車両後方側に延びるほぼ水平姿勢のパーティションリヤパネルとから成り、前記開口部はパーティションフロントパネルに形成されている。
上記のシートバック固定仕様の車両では、前記開口部を利用することはないのであり、開口部の形成に起因する車両の後部車体の剛性の低下を抑制して剛性を強くすることが望まれる。開口部周りのパーティションパネル部分には、板状の樹脂部品であるパーティションボードがクリップ固定されて開口部を塞いでいるが、パーティションボードで後部車体の剛性を強くすることはできない。
そこで後部車体の剛性を強くする手段として、従来、開口部を塞ぐ金属製の補強板の周縁部をフロアパネルやリヤデッキに溶接固着する第1の技術や、X字状の補強バーの各端部を車体に車両前後方向でボルト固定する第2の技術(特許文献1参照)があった。
本発明の目的は、車両の乗員室と車体後部の荷室とを仕切るパーティションパネルに車両前後方向に開口する開口部を設けてある車両の後部車体構造であって、前記開口部を利用することがないシートバック固定仕様の車両の後部車体構造の剛性をより強くする点にある。
冒頭に記載した車両の後部車体構造において、
X字状に形成した補強バーの4個の端部のうち、上側の左右一対の端部にそれぞれ設けた上側取付け部を、前記パーティションパネルの前面の上部に設けた左右一対の上側被取付け部に車両前方側から各別に取付け固定し、
前記4個の端部のうち、下側の左右一対の端部にそれぞれ設けた下側取付け部を、フロアパネルの上面に設けた左右一対の下側被取付け部に上側から各別に取付け固定してあり、
ホイールハウスインナパネル側のフロアパネル部分の下側に、車両前後方向に延びる上側開放コの字状のリヤサイドメンバーを配置して、前記リヤサイドメンバーの一側壁を前記ホイールハウスインナパネルに固着するとともに、他側壁の上端部を前記フロアパネル部分の下面に固着し、
前記ホイールハウスインナパネルに前記フロアパネル部分の一側部を固着し、
前記フロアパネル部分の下面に第2リーンフォースを重合し、
前記下側被取付け部を前記フロアパネル部分と第2リーンフォースとに設け、
前記下側取付け部を前記フロアパネル部分の上面に重合して、前記下側取付け部とフロアパネル部分と第2リーンフォースとを第2取付けボルトで共締め固定してある点にある。
ところで車両が走行すると、サスペンション取付け部から車体に力が加わり、この力が車体をねじらせる方向の力となる。前記パーティションパネルはサスペンション取付け部に近い位置にあり、本発明の上記構成によれば、補強バーの上側取付け部を前記パーティションパネルの上側被取付け部に取付け固定するとともに、補強バーの下側取付け部をフロアパネルの下側被取付け部に取付け固定してあるから、サスペンション取付け部から加わるねじり力に対して十分抗することができるようになる。その結果、車体の剛性を向上させることができる。
また、パーティションパネルの上側被取付け部に対する補強バーの上側取付け部の取付け固定方向と、フロアパネルの下側被取付け部に対する補強バーの下側取付け部の取付け固定方向とが、車両前後方向と上下方向とであって互いに異なる方向であるから、サスペンション取付け部から車体にねじり力が加わっても、上側取付け部と上側被取付け部との取付け固定部、及び、下側取付け部と下側被取付け部との取付け固定部から力が逃げにくくなって、後部車体構造の剛性を十分強くすることができる。
そして、補強バーの前方側のシートバックを補強バーによって車両前後方向で保護することができる。すなわち、シートバック側に向かってくる荷室の荷物を補強バーで受止めてシートバックを保護することができるとともに、後ろ側からの衝突に対しても補強バーでシートバックを保護することができる。また、シートバックを補強バーで車両後方側から受止め支持することができる。
また、上側開放コの字状のリヤサイドメンバーと前記フロアパネル部分とで環状の断面(縦断面)が形成されてフロアパネル部分の剛性を強くすることができる。そして前記下側取付け部をフロアパネル部分の上面に重合して、下側取付け部とフロアパネル部分と第2リーンフォースとを第2取付けボルトで共締め固定してあるから、下側取付け部の下側被取付け部への取付け固定構造を強固にすることができる。
前記X字状の補強バーは、一対のパイプの長手方向中央部同士を連結して構成したX字状のバー本体部と、このバー本体部の各端部に溶接固着した取付けブラケットとから成り、左右一対の上側の取付けブラケットに前記上側取付け部をそれぞれ設け、左右一対の下側の取付けブラケットに前記下側取付け部をそれぞれ設けてあると、次の作用を奏することができる。
前記上側取付け部に、シートバックに設けた係合部を係合させる被係合部を設けてあると、次の作用を奏することができる。
前記被係合部は、前記係合部を上方から係合させる上側開放の係合溝から成ると、シートバックを上方から下降させながら、前記係合部を被係合部に係合させることができて、シートバックの取付け作業を簡単化することができる。
前記パーティションパネルは、シートバックの後ろ側に位置する縦姿勢のフロントパネルと、前記フロントパネルの上端部から車両後方側に延びるリヤパネルとから成り、
前記フロントパネルの上端部の裏側に、車幅方向に延びる断面L字形のパーティションメンバーを配置して、前記パーティションメンバーの縦壁の上端部を前記リヤパネルに固着するとともに、前記パーティションメンバーの横壁の前端部に形成した折り曲げ部を、フロントパネル部分の後面に重合して固着し、第1リーンフォースを前記折り曲げ部の後面に重合して固着し、
前記上側被取付け部を前記フロントパネル部分と折り曲げ部と第1リーンフォースとに設け、
前記上側取付け部を前記フロントパネル部分の前面に重合して、前記上側取付け部とフロントパネル部分と折り曲げ部と第1リーンフォースとを第1取付けボルトで共締め固定してあると、次の作用を奏することができる。
車両の乗員室と車体後部の荷室とを仕切るパーティションパネルに車両前後方向に開口する開口部を設けてある車両の後部車体構造であって、前記開口部を利用することがないシートバック固定仕様の車両に採用された後部車体構造の剛性をより強くすることができた。
図5にも示すように前記パーティションパネル1は、シートバック3の後ろ側に位置する縦姿勢のフロントパネル5(パーティションフロントパネル)と、フロントパネル5の上端部から車両後方側に延びるほぼ水平姿勢のリヤパネル4(パーティションリヤパネル)とから成る。詳しくは、フロントパネル5を前下がり傾斜姿勢に設定してその上端部を後ろ側に折曲してある。また、フロントパネル5の上端部の裏側に、車幅方向に延びる断面L字形のパーティションメンバー13を配置し、パーティションメンバー13の縦壁81の上端部に形成した後ろ側への第1折り曲げ部13Aを、リヤパネル4の前端部4Aに上側から重合して溶接固着し、第1折り曲げ部13Aに、フロントパネル5の後ろ側への第2折り曲げ部5Bの後端部5B1を上側から重合して溶接固着してある。
図6に示すように、ホイールハウスインナパネル6側のフロアパネル部分67の下側に、車両前後方向に延びる上側開放コの字状のリヤサイドメンバー19を配置して、リヤサイドメンバー19の一側壁60をホイールハウスインナパネル6に固着するとともに、他側壁61の上端部をフロアパネル部分67の下面に固着し、ホイールハウスインナパネル6にフロアパネル部分67の一側部を固着し、フロアパネル部分67の下面に第2リーンフォース35(シートベルトリーンフォース)を重合してある。
図2〜図4に示すように、X字状に形成したパーティションフロントバー10(補強バーに相当)をパーティションボード8の前方に間隔を空けて配置してある。そして、パーティションフロントバー10の4個の端部のうち、上側の左右一対の端部にそれぞれ設けた上側取付け部22を、フロントパネル5の前面の上部に設けた左右一対の上側被取付け部42に車両前方側から各別に取付け固定し、前記4個の端部のうち、下側の左右一対の端部にそれぞれ設けた下側取付け部32を、フロアパネル7の上面に設けた左右一対の下側被取付け部52に上側から各別に取付け固定してある。
パーティションフロントバー10は、金属製の一対の丸パイプ12の長手方向中央部同士を連結して構成したX字状のバー本体部11と、このバー本体部11の各端部に溶接固着した板金製の取付けブラケット20,30とから成る。
[1]上側取付け部22の上側被取付け部42への取付け固定構造
上側被取付け部42を前記フロントパネル部分63と第3折り曲げ部13Bと第1リーンフォース15とに設けてある。詳しくは、前述のようにフロントパネル部分63と第3折り曲げ部13Bと第1リーンフォース15とに一方の前記第1ボルト挿通孔を形成し、フロントパネル部分63と第1リーンフォース15とに他方の前記第1ボルト挿通孔を形成して前記上側被取付け部42を構成してある。そして、上側取付け部22をフロントパネル部分63の前面に重合して、上側取付け部22とフロントパネル部分63と第3折り曲げ部13Bと第1リーンフォース15とを、一方の第1ボルト挿通孔に挿通した第1取付けボルト55で共締め固定してある。また、上側取付け部22とフロントパネル部分63と第1リーンフォース15とを、他方の第1ボルト挿通孔に挿通した第1取付けボルト55で共締め固定してある。第1取付けボルト55は第1ナット95に螺合締結している。このようにして、パーティションフロントバー10の4個の端部のうち、上側の左右一対の端部にそれぞれ設けた上側取付け部22を、パーティションパネル1の前面の上部に設けた左右一対の上側被取付け部42に車両前方側から各別に取付け固定してある。
フロントパネル5の左右両側部は下方に延びて、車室内に膨出しているホイールハウスインナパネル6の上部に結合している。その結果、フロントパネル5の剛性が強くなっている。
前記下側被取付け部52を前記フロアパネル部分67と第2リーンフォース35とに設けてある。詳しくは、前述のようにフロアパネル部分67と第2リーンフォース35とに第2ボルト挿通孔を形成して前記下側被取付け部52を構成してある。そして、下側取付け部32をフロアパネル部分67の上面に重合して、下側取付け部32とフロアパネル部分67と第2リーンフォース35とを、第2ボルト挿通孔に挿通した第2取付けボルト56で共締め固定してある。第2取付けボルト56は第2ナット38に螺合締結している。このようにして、パーティションフロントバー10の4個の端部のうち、下側の左右一対の端部にそれぞれ設けた下側取付け部32を、フロアパネル7の上面に設けた左右一対の下側被取付け部52に上側から各別に取付け固定してある。
前記取付けブラケット20,30を設けることなく、パイプ12の両端部を扁平にプレス加工して、その扁平部に前記上側取付け部22と下側取付け部32を設けてあってもよい。
2 開口部
3 シートバック
4 リヤパネル(パーティションリヤパネル
5 フロントパネル(パーティションフロントパネル)
6 ホイールハウスインナパネル
7 フロアパネル
10 補強バー(パーティションフロントバー)
11 バー本体部
12 パイプ
13 パーティションメンバー
13B 折り曲げ部(第3折り曲げ部)
15 第1リーンフォース
19 リヤサイドメンバー
20 上側の取付けブラケット
22 上側取付け部
27 係合溝(被係合部)
30 下側の取付けブラケット
32 下側取付け部
35 第2リーンフォース
40A,40B 係合部
42 上側被取付け部
52 下側被取付け部
55 第1取付けボルト
56 第2取付けボルト
60 一側壁
61 他側壁
81 縦壁
82 横壁
63 フロントパネル部分
67 フロアパネル部分
Claims (5)
- 車両の乗員室と車体後部の荷室とを仕切るパーティションパネルに車両前後方向に開口する開口部を設けてある車両の後部車体構造であって、
X字状に形成した補強バーの4個の端部のうち、上側の左右一対の端部にそれぞれ設けた上側取付け部を、前記パーティションパネルの前面の上部に設けた左右一対の上側被取付け部に車両前方側から各別に取付け固定し、
前記4個の端部のうち、下側の左右一対の端部にそれぞれ設けた下側取付け部を、フロアパネルの上面に設けた左右一対の下側被取付け部に上側から各別に取付け固定してあり、
ホイールハウスインナパネル側のフロアパネル部分の下側に、車両前後方向に延びる上側開放コの字状のリヤサイドメンバーを配置して、前記リヤサイドメンバーの一側壁を前記ホイールハウスインナパネルに固着するとともに、他側壁の上端部を前記フロアパネル部分の下面に固着し、
前記ホイールハウスインナパネルに前記フロアパネル部分の一側部を固着し、
前記フロアパネル部分の下面に第2リーンフォースを重合し、
前記下側被取付け部を前記フロアパネル部分と第2リーンフォースとに設け、
前記下側取付け部を前記フロアパネル部分の上面に重合して、前記下側取付け部とフロアパネル部分と第2リーンフォースとを第2取付けボルトで共締め固定してある車両の後部車体構造。 - 前記X字状の補強バーは、一対のパイプの長手方向中央部同士を連結して構成したX字状のバー本体部と、このバー本体部の各端部に溶接固着した取付けブラケットとから成り、左右一対の上側の取付けブラケットに前記上側取付け部をそれぞれ設け、左右一対の下側の取付けブラケットに前記下側取付け部をそれぞれ設けてある請求項1記載の車両の後部車体構造。
- 前記上側取付け部に、シートバックに設けた係合部を係合させる被係合部を設けてある請求項1又は2記載の車両の後部車体構造。
- 前記被係合部は、前記係合部を上方から係合させる上側開放の係合溝から成る請求項3記載の車両の後部車体構造。
- 前記パーティションパネルは、シートバックの後ろ側に位置する縦姿勢のフロントパネルと、前記フロントパネルの上端部から車両後方側に延びるリヤパネルとから成り、
前記フロントパネルの上端部の裏側に、車幅方向に延びる断面L字形のパーティションメンバーを配置して、前記パーティションメンバーの縦壁の上端部を前記リヤパネルに固着するとともに、前記パーティションメンバーの横壁の前端部に形成した折り曲げ部を、フロントパネル部分の後面に重合して固着し、第1リーンフォースを前記折り曲げ部の後面に重合して固着し、
前記上側被取付け部を前記フロントパネル部分と折り曲げ部と第1リーンフォースとに設け、
前記上側取付け部を前記フロントパネル部分の前面に重合して、前記上側取付け部とフロントパネル部分と折り曲げ部と第1リーンフォースとを第1取付けボルトで共締め固定してある請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両の後部車体構造。
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