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JP4870106B2 - 魚釣用スピニングリール - Google Patents

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JP4870106B2 JP2008040361A JP2008040361A JP4870106B2 JP 4870106 B2 JP4870106 B2 JP 4870106B2 JP 2008040361 A JP2008040361 A JP 2008040361A JP 2008040361 A JP2008040361 A JP 2008040361A JP 4870106 B2 JP4870106 B2 JP 4870106B2
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本発明は、スプールの回転に抵抗を与えるドラグ機構を設けた魚釣用スピニングリールに関する。
魚釣用スピニングリールの中には、釣糸が巻回されるスプールに回転抵抗を与えるドラグ機構を、作動状態(スプールに対してドラグ力が作用する状態)と、非作動状態(スプールフリー状態;スプールが完全にフリーになる状態とサブドラグ機構によってドラグ力が作用する状態を含む)とに切換える切換機構を備えたものが知られている。例えば、特許文献1には、切換機構を、スプールとスプール軸との間に設けて、リール本体内における各種駆動機構系統の簡素化を図り、リール本体の小型・軽量化を可能にした魚釣用スピニングリールが開示されている。
この公知技術の切換機構は、スプールの前部中央に押しボタン式の操作部材を設け、この操作部材を後方に向けて押圧操作することで、ドラグ作動状態の連結系統を解除してスプールフリー状態に切換えるよう構成されている。また、この公知の魚釣用スピニングリールは、ハンドルの回転操作に連動するロータの巻き取り方向の回転によって、スプールフリー状態からドラグ作動状態に復帰させる復帰機構を備えている。
特開平3−53836号
上記した切換機構は、スプールの前部の中央部に、操作部材を前後方向に進退可能に収容する構成となるため、ドラグ機構を装備するスペースが制約されてしまい、十分なドラグ力を維持できないという問題があり、これに対してドラグ力を強化しようとすると、スプール回りが大型・重量化してしまうという問題が生じてしまう。
また、操作部材を構成するボタンの移動ストロークの分、前後方向にスペースが必要となるため、リール全体が大型化してしまう。さらに、実用時や釣場移動時、或いは携帯時等に、ボタンに他物が当たって誤動作(ドラグ作動状態→フリー状態)してしまう可能性がある。
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、スプールに回転抵抗を与えるドラグ機構を作動状態から非作動状態に切換える切換機構を設けた構成において、スプール回りを大型・重量化することなく、十分なドラグ力を発揮することが可能な魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用スピニングリールは、スプール軸に設置され、釣糸が巻回されるスプールと、ハンドルの巻き取り操作で回転し、釣糸案内部を介して前記スプールに釣糸を巻回可能とするロータと、前記スプールとスプール軸との間に設けられ、前記スプールをドラグ作動状態とフリー状態に切換える切換機構と、を有する構成において、前記スプール軸に対して、軸方向に一体的に移動可能であると共に回転可能に操作部材を設け、前記スプールのドラグ作動状態時に、前記操作部材を回転させることで、前記切換機構の連結状態を解除して前記スプールをフリー状態に切換可能としたことを特徴とする。
上記した構成の魚釣用スピニングリールでは、スプール軸に装着されるスプールに対して、所望のドラグ力を付与することが可能となる。このドラグ作動状態時において、操作部材を回転操作することで、スプールとスプール軸との間に設置される切換機構の連結状態が解除されることから、スプールは、ドラグ力が作用しないフリー状態となる。このように、スプール軸に対して回転可能に設けられる操作部材の回転操作により、ドラグ非作動状態に切換えることができるため、スプール軸方向に沿って進退する押しボタン等を設置する必要がなくなり、スプール回りが大型・重量化するようなことがなくなる。
本発明によれば、スプールに回転抵抗を与えるドラグ機構を作動状態から非作動状態に切換える切換機構を設けた構成において、スプール回りを大型・重量化することなく、十分なドラグ力を発揮することが可能な魚釣用スピニングリールが得られる。
以下、本発明に係る魚釣用スピニングリールの実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1から図4は、本発明に係る魚釣用スピニングリールの第1の実施形態を示す図であり、図1は、魚釣用スピニングリールの内部構成を示す図(ドラグ作動状態)、図2は、スプールが前方側に移動した状態を示す図、図3は、図1及び図2の主要部を拡大した図、そして、図4は、図1乃至図3のA−A線に沿った断面図であり、(a)は、ドラグ作動状態を示す図、(b)は、スプールフリー状態を示す図である。
魚釣用スピニングリールのリール本体1には、釣竿に装着されるリール脚1Aが一体形成されており、その前方には、回転可能に支持され、釣糸案内部2aを装着した一対のアーム部2Aを具備するロータ2と、ロータ2の回転運動と同期して前後動可能に支持され、釣糸が巻回されるスプール3が配設されている。
リール本体1内には、ハンドル軸(駆動軸)4が回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドル5が取り付けられている。また、ハンドル軸4には、ハンドル軸4に取り付けられ、内歯が形成されたドライブギヤ7と、このドライブギヤ7に噛合すると共にハンドル軸4と直交する方向に延出し、内部に軸方向に延出する空洞部が形成されたピニオンギヤ9とを備えた巻き取り駆動機構が係合している。
前記ピニオンギヤ9は、軸受9a,9bを介してリール本体内に回転可能に支持されており、その先端側において固定部材9cによって前記ロータ2を固定し、ロータ2を一体回転するように連結している。そして、その空洞部には、ハンドル軸4と直交する方向に延出し、先端側に前記スプール3を装着したスプール軸3aが軸方向に移動可能に挿通されている。また、前記ピニオンギヤ9には、スプール3(スプール軸3a)を前後往復動させるための公知の往復動装置10が係合している。
前記往復動装置10は、リール本体内に回転可能に支持され、スプール軸3aと平行に延出する螺軸(ウォームシャフト)12と、前記スプール軸3aの後部に回転不能で軸方向移動可能に係合される摺動子13とを備えている。前記螺軸12の前端部には、前記ピニオンギヤ9と噛合する連動歯車15が設けられており、前記ハンドル5を回転操作することで、螺軸12は、前記ドライブギヤ7、ピニオンギヤ9及び連動歯車15を介して回転駆動される。そして、前記螺軸12の周面には、軸方向に沿って螺旋状のカム溝12aが形成されており、このカム溝12aに、前記摺動子13に収容保持された係合ピンが係合することで、スプール軸3a(スプール3)は、ハンドル5の巻き取り操作により前後に往復動される。
また、リール本体1内には、ロータ2の逆回転を防止する逆転防止機構が設置されている。この逆転防止機構は、公知のように、前記ピニオンギヤ9の外周側に設置される転がり式の一方向クラッチ16と、転がり式一方向クラッチの外輪の外周に回り止め固定されたラチェット17とを備えており、リール本体1の後方側に設置された切換レバー18を切換操作することで、ラチェット17を回転可能/回転不能状態に切換え、これによりロータ2を正逆転可能状態/逆転防止状態に切換えるようになっている。
上記した構成により、ハンドル5を巻き取り操作すると、ロータ2は、ドライブギヤ7及びピニオンギヤ9を介して回転駆動され、かつ、スプール3は、ドライブギヤ7、ピニオンギヤ9及び往復動装置10を介して前後方向に往復駆動され、スプール3には、回転するロータ2の釣糸案内部2aを介して均等に釣糸が巻回される。
前記スプール3とスプール軸3aとの間には、スプール3が釣糸繰り出し方向に回転した際、その回転に制動力を付与する公知のドラグ機構(フロントドラグ機構)20が設置されている。このドラグ機構20は、スプール3とスプール軸3aを所定の摩擦力で連結状態にして、スプール3のスプール軸3aに対する回転に制動力を付与する構成となっている。
具体的には、ドラグ機構20は、スプール3の内部空間領域(凹部3A)に設置されており、スプール前端側に回転可能に支持された制動力調整用の調整ツマミ(粗調整ツマミ)20Aと、この調整ツマミ20Aと後述する切換機構30を構成する摩擦作動体33との間に介在される制動部材21と、を備えている。そして、前記摩擦作動体33は、切換機構30によって、スプール軸3aに対して固定状態からフリー状態に切換えられるようになっている。
ここで、切換機構30の構成について説明する。この場合、切換機構30は、スプール3を、ドラグ作動状態と非作動状態(スプールフリー状態)に切換えるように構成されていれば良く、本実施形態では、以下に詳述するように、スプール軸3aに、軸方向に一体的に移動可能であると共に回転可能に支持された操作部材100を設け、スプール3のドラグ作動状態時に、操作部材100を回転操作することで、切換機構30の連結状態(スプール3とスプール軸3aとの間の連結状態)を解除してスプール3をフリー状態に切換可能とするよう構成されている。
前記切換機構30は、前記スプール軸3aに対して回り止め固定されると共に、軸方向の移動が規制された円板状の支持部材31と、この支持部材31の前方側に配設され、支持部材31に対して連結状態となる摩擦作動体33と、前記支持部材31と摩擦作動体33との間に位置して両者の連結状態を継脱する継脱機構40とを備えており、スプール3のドラグ作動状態時に、操作部材100を回転操作することで切換機構30の連結状態が解除され、スプール3をフリー状態に切換えられるようになっている。
前記摩擦作動体33は、図3に示すように、スプール軸3aに対してフリー回転可能に支持される本体部33Aと、本体部33Aから前方に向けて延出する円筒部33Bとを備えている。この場合、円筒部33Bは、スプール軸3aとの間に所定の空間が生じるような形状となっており、その空間内には、後述するサブドラグ機構25が収容されている。
前記摩擦作動体33の円筒部33Bの外周と、スプール3の凹部3Aとの間には、前記ドラグ機構20を構成する前記制動部材21が配設されている。制動部材21は、ドラグ機構として一般的に知られているように、スプール3の凹部3Aを規定する内周面3B、及び前記摩擦作動体33の円筒部33Bの外周面に対して回り止めされる複数枚のワッシャ、及び、各ワッシャの間に介在されるライニング材等を備えた構成となっており、前記調整ツマミ20Aを回転操作することで、軸方向に移動可能なナット23a及び付勢バネ23bを介して軸方向に移動する押圧体22を制動部材21に対して所定の押圧力で当接させ、これにより、制動部材21を介して、スプール軸3aに対して固定状態となった摩擦作動体33とスプール3との間に所望の制動力を作用させる。
また、前記摩擦作動体33の円筒部33Bの内側の空間内に収容されるサブドラグ機構25は、後述するように、スプール3がフリー状態に切換えられても、スプール3に対して補助的にドラグ力を作用させることを可能にするものである。
具体的には、サブドラグ機構25は、スプール前端側に回転可能に支持された前記調整ツマミ(粗調整ツマミ)20Aの径方向内側に回転可能に支持され、スプール軸3aに対して、回転可能でかつ軸方向に沿って摺動可能に支持された微調整ツマミ25Aと、この微調整ツマミ25Aの先端側に設けられた押圧部27によって押圧される制動部材26とを備えている。この場合、制動部材26は、ドラグ機構として一般的に知られているように、前記摩擦作動体33の円筒部33Bの底面に対して押圧付勢される複数枚のスプリングワッシャ、及びライニング材等を備えた構成となっており、微調整ツマミ25Aを回転操作することで、軸方向に移動可能なナット部材27a及び付勢バネ27bを介して前記押圧部27を制動部材26に対して所定の押圧力で当接させる。これにより、制動部材26、摩擦作動体33、及び前記制動部材21を介して、スプール軸3aとスプール3との間に、補助的に所望の制動力を作用させる。
前記切換機構30を構成する支持部材31は、スプール軸3aに対して回り止め固定されており、前記摩擦作動体33との間に設置される継脱機構40により、支持部材31と摩擦作動体33の連結状態を継脱するようにしている。この場合、本実施形態の継脱機構40は、支持部材31と摩擦作動体33との間に介在される転がり式一方向クラッチ80を備えた構成となっている。
具体的に、摩擦作動体33の本体部33Aには、スプール軸3aに対して回転可能に配設される軸部33dが形成されており、支持部材31には、ドラグ機構側に向けて延出する円筒部31dが形成されており、前記転がり式一方向クラッチ80は、軸部33dと円筒部31dとの間に介在されている。なお、転がり式一方向クラッチ80は、公知のように、軸部33dと一体化される内輪(本実施形態では軸部33dが内輪とされる)と、円筒部31dに嵌入される外輪80aと、前記内輪33dと外輪80aとの間で転がり部材80bを保持する保持器80cとを備えた構成となっている。
前記転がり部材80bは、保持器80cによって、外輪80aの内周側に形成された楔領域とフリー回転領域のいずれかに位置付けられ、転がり部材80bが楔領域に移動されると、内輪と外輪(軸部33dと円筒部31d)は一体化され、摩擦作動体33と支持部材31は連結状態となる。また、転がり部材80bがフリー回転領域に移動されると、内輪と外輪(軸部33dと円筒部31d)はフリーとなり、摩擦作動体33と支持部材31との連結状態は解除される(フリー回転状態に切換えられる)。
図4に示すように、前記転がり式一方向クラッチ80には、保持器80cを一体回転させる作動アーム81(保持器と一体形成されていても良いし、別体であっても良い)が設けられており、この作動アーム81を揺動させることで、保持器に保持される転がり部材を、楔領域又はフリー回転領域に移動できるよう構成されている。この作動アーム81には、係合孔82が形成されており、この係合孔82には、以下に説明する作動カム85に突出形成された第3作動突部85cが係合されている。
前記支持部材31には、継脱機構40を構成する作動カム85が支軸85Aを中心にして回動可能に支持されている。この作動カム85には、リール本体側に向けて第1作動突部85aが突出形成されており、この第1作動突部85aには、操作部材100に設けられる係合突部100aが当接可能となっている。
ここで、操作部材100の構成について説明する。
操作部材100は、スプール軸3aに、軸方向に一体的に移動可能であると共に回転可能に支持されている。すなわち、図3に示すように、スプール軸3aに対してフリー回転可能に挿通されると共に、止め輪3dによって軸方向の移動が規制されて前記支持部材31との間に介在される略円板形状の本体部100Aと、この本体部100Aからリール本体側に向けて延出し、スプール3のスカート3Cの後方側で、スカートの表面と略面一状に配される円筒状の操作部100Bとを備えている。
釣人は、後述する切換操作を行う際には、円筒状の操作部100Bを把持し、この部分を回転操作する。このため、操作部100Bの露出面には、回転操作するに際して、滑りが生じないように、周方向に沿って凹凸部(ローレット目などで構成されていても良い)100cが形成されている。
なお、上記した操作部材100の本体部100Aは、スプール軸3aに対してフリー回転可能となるように配設されていても良いが、図に示すように、スプール軸3aの外周面に周方向に沿って凹凸3eを形成しておき、この部分に、バネ103によって付勢される係合突起104を配した構成であっても良い。このようにすることで、操作部材100の回転操作に対して、適度な節度感を与えることができ、また、操作部材100が不用意に回転してしまうことが抑制される。
前記本体部100Aには、その径方向外側において、ドラグ機構側に向けて係合突部100aが突出形成されており、操作部材100を回転操作した際、前記作動カム85に形成された第1作動突部85aと当接可能となっている。この場合、本実施形態では、係合突部100aは、略90°間隔で4箇所形成されている。
また、前記本体部100Aには、係合突部100aの径方向内側において、ドラグ機構側に向けて復帰用突部(復帰体)100dが突出形成されている。この復帰用突部100dは、スプール3を、フリー状態から、ドラグ作動状態に復帰させるための復帰機構110を構成するものであり、本実施形態では、略90°間隔で4箇所形成されており、スプールフリー状態時において、後述する復帰用連結部材90の係合ピン95に当接可能となっている。なお、復帰用突部100dには、回転した際、係合ピン95を径方向外側に向けて案内するように、周方向の両側に案内用の傾斜面100eが形成されている。
そして、前記作動カム85には、支軸85Aを中心として前記第1作動突部85aと対向する位置に第2作動突部85bが突出形成されている。この第2作動突部85bは、支持部材31に、支持部90aを中心にして回動可能に支持され、前記復帰機構110を構成する復帰用連結部材90の一端側に形成された係合部91に当接されている。この場合、復帰用連結部材90は、その一端側に形成された係合部91が、常時作動カム85の第2作動部85bに当て付くように、付勢バネ94によって回動付勢されている。
また、前記復帰用連結部材90の他端側には、リール本体側に向けて、係合ピン95が突出形成されており、この係合ピン95は、支持部材31に形成された長溝31eに入り込んで、支持部材31の裏面から突出している。この係合ピン95は、復帰用連結部材90が、図4(a)に示す状態から支軸90aを中心にして時計回り方向に回動されると、図4(b)に示すように、前記操作部材100の本体部100Aに形成された復帰用突部100dの回転軌跡内に移動する。
さらに、前記作動カム85には、前記転がり式一方向クラッチ80に設けられた作動アーム81の係合孔82内に位置するように、第3作動突部85cが形成されている。この第3作動突部85cは、作動カム85が、操作部材100の係合突部100aの当接によって反時計回り方向に回動されると、作動アーム81を図4(b)に示す位置に回動させ、転がり式一方向クラッチ80の転がり部材80bをフリー回転領域に移動させる。
なお、前記作動カム85には、支持部材31との間に振分けバネ97が設置されており、作動カム85を、図4(a)に示す位置、図4(b)に示す位置に振分け保持する。
以上のように構成される魚釣用スピニングリールの作用について説明する。
通常、魚釣用スピニングリールは、ドラグ作動状態として使用される。このとき、スプール3、すなわち繰り出される釣糸には、ドラグ機構20によって所定のドラグ力が作用した状態となる。この状態で、調整ツマミ20Aを回転操作することで、押圧体22の制動部材21に対する押圧力が可変されるため、スプール3に所望のドラグ力を作用させることができる。
なお、ドラグ作動状態では、図4(a)に示すように、摩擦作動体33と、スプール軸3aに固定された支持部材31とは、前記転がり式一方向クラッチ80の楔作用によって連結された状態となっており、スプール3に作用する釣糸繰り出し方向の回転力は、上記した制動部材21とスプール軸3aに固定された支持部材31との関係で、所望の制動力が作用する状態となる。
そして、図4(a)に示す状態から、操作部材100を一方向(釣糸の引き出し方向と反対方向;矢印D方向)に回転操作すると、上記した継脱機構40によって、スプールフリー状態(スプールにドラグ機構20の制動力が作用しない状態)に切換えられる。
すなわち、図4(a)において、操作部材100(操作部100B)を矢印D方向に回転操作すると、本体部100Aに形成された係合突部100aが作動カム85の第1作動突部85aに当接し、作動カム85を、支軸85Aを中心にして反時計回り方向に回動させる。そして、作動カム85が振分けバネ97のデッドポイントを超えると、図4(b)に示す位置に保持され、転がり式一方向クラッチ80は、第3作動突部85c及び作動アーム81によって、転がり部材80bがフリー回転領域に移動し、これにより、摩擦作動体33と、スプール軸3aに固定された支持部材31との連結状態は解除されて、スプール3はフリー状態に切換えられる。
スプールフリー状態では、前記復帰用連結部材90に突出形成された係合ピン95は、復帰用連結部材90の回動により、作動部材100の本体部100Aに形成された復帰用突部100dの回転軌跡内に移動する。また、このようなスプールフリー状態において、サブドラグ機構25の微調整ツマミ25Aを回転操作することで、フリー状態になっているスプール3に対して、制動部材26による補助的な制動力を作用させておくことも可能となる。
そして、実釣時において、上記のようなスプールフリー状態からドラグ作動状態に復帰させる場合は、操作部材100の操作部100Bを回転操作(矢印D,D1のいずれの方向に回転操作しても良い)する。操作部材100を回転操作すると、復帰用突部100dも一体的に回転され、周方向の両側に設けられた案内用の傾斜面100eが係合ピン95をキックし、復帰用連結部材90を、支持部90aを中心にして反時計回り方向に回動させる。これにより、復帰用連結部材90の係合部91は、第2作動突部85bを介して作動カム85を、支持部85Aを中心にして時計回り方向に回動させる。
そして、作動カム85が振分けバネ97のデッドポイントを超えると、図4(a)に示す位置に保持され、転がり式一方向クラッチ80は、第3作動突部85c及び作動アーム81によって、転がり部材80bが楔領域に移動し、これにより、摩擦作動体33と、スプール軸3aに固定された支持部材31とは連結状態(ドラグ作動状態)に復帰される。
上記したような切換機構30の構成によれば、スプール軸方向に沿って進退するような操作部材を設ける必要がなくなり、ドラグ機構20は勿論、サブドラグ機構25についても設置スペースに制約が生じることはない。この結果、十分なドラグ力を発揮することができ、スプール回りを大型・重量化するようなこともない。また、公知技術のように、実釣時に誤ってボタンを押圧操作したり、他物に当たって切換機構を誤作動させてしまう可能性もない。
また、上記した復帰機構110を構成する復帰用突部100dは、スプール軸3aと連動して前後動する操作部材100の本体部100Aに設けられる構成であることから、前後動するスプール3のストロークを考慮して前後動方向に沿って長く形成する必要がなくなる。このため、復帰機構110の復帰作動体(復帰用突部100d)を、スプール軸方向に沿ってコンパクト化することが可能となり、スプール回りが大型・重量化するようなことがなくなる。
さらに、本実施形態では、切換機構30を構成する継脱機構40に、転がり式一方向クラッチ80を用いているため、切換機構全体の構造が簡略化されると共に、スプール内部に設置される継脱機構の組み込み性の向上が図れるようになる。また、復帰作動体の構成も簡略化することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5及び図6は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、図5は、スプール部分を拡大して示す図、図6(a),(b)は、図5のB−B線に沿った断面図であり、(a)は、ドラグ作動状態を示す図、(b)は、スプールフリー状態を示す図、そして、図6(c)は、図5のC−C線に沿った断面図である。なお、この実施形態では、前記実施形態と同一の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明については、簡略ないしは省略する。
本実施形態では、スプール3のドラグ作動状態に復帰させる復帰機構110を、ハンドルの巻き取り操作によって行えるよう構成している。
すなわち、本実施形態の復帰機構110Aは、ロータ2に一体形成される一対のアーム部2Aとスプール軸3aとの間に設置される公知の糸落ち防止部材(ラインガードとも称する)61に関連して設けられている。
この糸落ち防止部材61は、前記スプール軸3aに対して回転可能に支持されると共に、スプール軸3aに設けられた止め輪3fによって、軸方向に移動しないように位置決め保持されている。そして、糸落ち防止部材61は、前記一対のアーム部2Aのそれぞれの内面側に形成された長手溝2dに係合する係合部62を具備しており、ロータ2が回転した際、ロータ2と共に一体回転し、かつスプール軸3aの往復動に伴って軸方向に一体的に往復動し、スプール3に巻回される釣糸がスプール3内に入り込むこと、及びスプール軸3aに絡み付くことを防止している。
前記糸落ち防止部材61の本体61Aのドラグ機構側の表面部には、上記した実施形態と同様な構成の復帰用突部(復帰体)110dが、周方向に所定間隔をおいて4箇所、突出形成されている。
そして、この糸落ち防止部材61の本体61Aの外周には、上記した実施形態と同様な構成の操作部材100が回転可能に支持されている。この場合、操作部材100は、糸落ち防止部材61の本体61Aとの間に配設される軸方向付勢バネ112によって、常時、リール本体側に向けて付勢された状態となっている。
また、操作部材100は、糸落ち防止部材61の本体61Aに対して、周方向付勢バネ115を介在させることで、所定範囲回転可能に支持されている。すなわち、図6(c)に示すように、本体61Aの外周領域の一部には、周方向に沿って円弧状の凹所61dが形成されており、この凹所61d内に操作部材100に形成された突片100fを配設して周方向付勢バネ115を介在させている。
これにより、操作部材100は、糸落ち防止部材61の本体61Aに対してフリーに回転するのではなく、糸落ち防止部材61と共に回転できる構成となっている。もちろん、操作部材100は、上記した周方向付勢バネ115を介在させることなく、糸落ち防止部材61の本体61Aに対して、回転可能に支持されていても良い。
上記した構成では、操作部材100の操作部100Bを把持し、軸方向付勢バネ112の付勢力に抗して、操作部材100をドラグ機構側にシフトし、この状態で周方向付勢バネ115の付勢力に抗して図6(a)の矢印D方向に回転操作することで、操作部材100の係合突部100aを作動カム85の第1作動突部85aに当接させることができる。このとき、作動カム85は、支軸85Aを中心にして反時計回り方向に回動され、スプール3はドラグ作動状態からフリー状態に切換えられる。フリー状態に切換操作した後、操作部材100を離すと、操作部材100は、軸方向付勢バネ112によりリール本体側にシフトし、かつ、周方向付勢バネ115により本体61Aに対して図6(c)に示す位置に戻る。そして、この状態で、ハンドル5を巻き取り駆動すると、図6(b),(c)に示す糸落ち防止部材61は、矢印D1方向に回転することから、それに形成された復帰用突部(復帰体)100dが係合ピン95をキックし、復帰用連結部材90を、支持部90aを中心にして反時計回り方向に回動させる。これにより、復帰用連結部材90の係合部91は、第2作動突部85bを介して作動カム85を、支持部85aを中心にして時計回り方向に回動させる。
そして、作動カム85が振分けバネ97のデッドポイントを超えると、図6(a)に示す位置に保持され、転がり式一方向クラッチ80は、第3作動突部85c及び作動アーム81によって、転がり部材80bが楔領域に移動し、これにより、摩擦作動体33と、スプール軸3aに固定された支持部材31とは連結状態(ドラグ作動状態)に自動復帰される。
上記した構成によれば、切換機構30の復帰動作を、ハンドル5の巻き取り駆動によって行うことができるため、操作性の向上が図れるようになる。また、操作部材100は、周方向付勢バネ115を介して、糸落ち防止部材61と共に一体回転可能に支持されていることから、操作部材100の支持状態の安定化を図ることができる。
なお、上記したように、操作部材100は、糸落ち防止部材61に対して周方向付勢バネ115を介在させて、所定の角度、回転可能に支持された状態にあるので、操作部材100の操作部100Bを把持し、操作部材100を、図6(c)の矢印D1方向に回転操作することで、スプール3をドラグ作動状態に自動復帰させることもでき、操作性をより向上することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
本発明は、スプール軸3aに対して、軸方向に一体的に移動可能で回転可能に設けた操作部材(スプール軸に対して直接的に支持されていても良いし、例えば、糸落ち防止部材のような別部材を介して間接的に支持されていても良い)を回転操作することで、スプール3とスプール軸3aとの間に設けられる切換機構30の連結状態を解除してスプールフリー状態にできるよう構成されていれば良い。このため、その内部に設置される継脱機構40については、上述した実施形態のような転がり式一方向クラッチ80に限定されることはなく、例えば、ラチェット方式にする等、種々変形することが可能である。また、切換機構30の構成、及び、操作部材100の構成については、上述した実施形態の構造に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
本発明に係る魚釣用スピニングリールの第1の実施形態を示す図であり、内部構成を示す図(ドラグ作動状態)。 スプールが前方側に移動した状態を示す図。 図1及び図2の主要部を拡大した図。 図1乃至図3のA−A線に沿った断面図であり、(a)は、ドラグ作動状態を示す図、(b)は、スプールフリー状態を示す図。 本発明の第2の実施形態を示す図であり、スプール部分を拡大して示す図。 (a),(b)は、図5のB−B線に沿った断面図であり、(a)は、ドラグ作動状態を示す図、(b)は、スプールフリー状態を示す図、そして、(c)は、図5のC−C線に沿った断面図。
符号の説明
1 リール本体
2 ロータ
3 スプール
3a スプール軸
20 ドラグ機構
30 切換機構
31 支持部材
33 摩擦作動体
40 継脱機構
61 糸落ち防止部材
80 転がり式一方向クラッチ
100 操作部材

Claims (4)

  1. スプール軸に設置され、釣糸が巻回されるスプールと、ハンドルの巻き取り操作で回転し、釣糸案内部を介して前記スプールに釣糸を巻回可能とするロータと、前記スプールとスプール軸との間に設けられ、前記スプールをドラグ作動状態とフリー状態に切換える切換機構と、を有する魚釣用スピニングリールにおいて、
    前記スプール軸に対して、軸方向に一体的に移動可能であると共に回転可能に操作部材を設け、
    前記スプールのドラグ作動状態時に、前記操作部材を回転させることで、前記切換機構の連結状態を解除して前記スプールをフリー状態に切換可能としたことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
  2. 前記切換機構は、前記ドラグ機構を介して駆動される摩擦作動体と、前記スプール軸に対して固定される支持部材との間に介在される転がり式一方向クラッチを備えており、
    前記転がり式一方向クラッチは、前記操作部材を回転させた際、前記摩擦作動体と支持部材とをフリー回転状態に切換可能としたことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
  3. 前記操作部材は、前記ロータと一体回転する糸落ち防止部材に対して支持されており、
    前記糸落ち防止部材には、前記切換機構の連結状態が解除された状態で前記ロータが釣糸巻き取り方向に回転した際、前記切換機構を連結状態に復帰させる復帰体が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用スピニングリール。
  4. 前記操作部材は、前記糸落ち防止部材に対して、周方向付勢バネを介在させて一体回転可能に支持されていることを特徴とする請求項3に記載の魚釣用スピニングリール。
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