JP3827517B2 - 魚釣用スピニングリール - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣糸が巻回されるスプールに作用するドラグ力をON/OFFに切換える切換機構を組み込んだ魚釣用スピニングリールに関する。
【0002】
【従来の技術】
魚釣用スピニングリールの一つの形態として、スプールに作用するドラグ力をON/OFFに切換える切換機構(クラッチ機構)を組み込んだ構成がある。このような形態のスピニングリールは、餌に食いついた際に、釣糸の負荷が加わると餌を吐き出してしまうような魚を対象魚とする場合に効果的である。すなわち、ドラグ力をOFF状態にしておくことで、餌に食いついた際の釣糸の負荷を無くし、これにより、食い込みを確実にすると共に、魚を自由に走らせて口切れを効果的に防止することができる。
【0003】
上記したクラッチ機構を組み込んだスピニングリールとして、例えば、特開平7−115882号には、スプール軸の先端に第1ドラグ機構(フロントドラグ機構)を設けると共に、スプール軸と平行で、かつスプール軸とギヤを介して一体回転可能に配設された連動軸の後端部に第2ドラグ機構(サブドラグ機構)を設けた構成が開示されている。
【0004】
このスピニングリールでは、連動軸に係止歯車を設け、この係止歯車にクラッチ機構の作動部材を係合/非係合させることで、ドラグ力をON/OFFに切換えるように構成されている。すなわち、作動部材を係止歯車に非係合状態(クラッチOFF)とすることで、スプール軸をフリー回転状態として第1ドラグ機構のドラグ力が作用しないようにし、作動部材を係止歯車に係合状態(クラッチON)とすることで、スプール軸を非回転状態として第1ドラグ機構のドラグ力が作用するようにしている。なお、第2ドラグ機構は、スプール軸がフリー回転状態となったときに、スプール軸に対して制動力を与え、スプールの過回転によるバックラッシュを防止する機能を果たしている。
【0005】
上記したクラッチ機構は、クラッチ切換えレバーを操作することによってクラッチのON/OFFが切換えられると共に、ハンドル軸に取り付けられた駆動ギヤに復帰機構を設け、ハンドルを釣糸巻取り方向に回転した際に、クラッチ機構を自動的にOFFからONに復帰させるように構成されている。
【0006】
この場合、復帰機構は、駆動ギヤと一体回転するように設けられ、かつキック部を有するクラッチ復帰体と、クラッチ切換えレバーを回動させるための復帰作動体とを備えており、ハンドルを釣糸巻取り方向に回転した際、駆動ギヤと共に回転するクラッチ復帰体のキック部が、その回転軌跡内に位置する復帰作動体を押圧、回動させることで、クラッチ切換えレバーをON状態に復帰させるように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した構成のスピニングリールにおいて、クラッチがOFFの状態で、例えばロータに設けられている釣糸案内体の位置を調整するためにハンドルを釣糸繰出し方向に回転させる(逆回転させる)場合がある。
【0008】
上記したように、クラッチ復帰体は、駆動ギヤが回転した際に、その回転軌跡内に位置する復帰作動体を押圧、回動させる構成のため、ハンドルを釣糸繰出し方向に回転した際、復帰作動体を逆方向に押圧、回動させることとなる。この場合、ハンドルの逆回転を阻害するのを回避すべく、復帰作動体は、切換作動方向および逆方向にフリーに回動できるように構成する必要があるが、復帰作動体全体が回動できるための広いスペースが必要となってしまい、リール本体が大型化するという問題が生じる。なお、上記した公知例のスピニングリールでは、復帰作動体を逆方向にフリーに回動させるだけのスペースは設けられておらず、クラッチOFF状態でハンドルを逆回転させることができない構成になっている。
【0009】
また、復帰作動体は、一部品で構成されているため、キック部、復帰作動体、および復帰作動体と係合するクラッチ切換レバーの切換機構操作部の位置が必然的に決められてしまい、この結果、リール本体内部のレイアウトに自由度が無くなって、作動性を向上させることが困難になっている。
【0010】
この発明は、上記の問題に基づいてなされたものであり、ドラグ力をON/OFFに切換えるクラッチ機構を組み込んだ魚釣用スピニングリールにおいて、リール本体の小型化を図ると共に、クラッチをOFFからONに復帰させる復帰機構を合理的に組み込める構成を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の魚釣用スピニングリールは、ハンドルの回転に連動して前後に往復動するスプール軸の前部に支持されたスプールに制動力を付与するドラグ機構と、このドラグ機構によって設定された制動力がスプールに作用するドラグ作動状態とスプールフリー回転状態に夫々切換える切換機構と、前記スプールフリー回転状態にある切換機構を、ハンドルの釣糸巻取り方向の回転によってドラグ作動状態に切換える復帰機構と、を有しており、前記復帰機構は、前記切換機構の操作部と係合する第一係合部と、ハンドルの回転操作と共に一体回転するキック部と係合する第二係合部とを有する復帰作動体を備えており、この復帰作動体は、前記切換機構のスプールフリー回転状態におけるハンドル逆回転時に、第二係合部のみが独立して移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
上記した構成によれば、切換機構がスプールフリー回転状態となっているときに、ハンドルを逆回転(釣糸繰出し方向への回転)させると、キック部は復帰作動体の第二係合部と当接する。このとき、第二係合部は、復帰作動体の第一係合部とは独立して移動するため、第一係合部が移動するためのスペースを設ける必要がなくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る魚釣用スピニングリールの一実施の形態を添付図面に沿って具体的に説明する。
【0014】
図1および図2に示すように、魚釣用スピニングリール1は、釣竿に装着するための脚部2aが形成されたリール本体2と、リール本体前方に回転可能に配されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後方向に往復動可能に配されたスプール5とを有している。
【0015】
リール本体2内には、ハンドル軸7が回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドル(図示せず)が取り付けられている。ハンドル軸7には、内歯が形成された駆動ギヤ9が取り付けられており、この駆動ギヤ9には、ハンドル軸7と直交する方向に延出すると共に、内部に軸方向に延出する空洞部が形成されたピニオン10が噛合している。このピニオン10は、軸受を介して回転可能に支持されており、その空洞部には、ハンドル軸7と直交する方向に延出し、先端側にスプール5を取り付けたスプール軸11が、軸方向に移動可能で回転可能に挿通、支持されている。
【0016】
前記ピニオン10には、スプール軸11を前後動させるように、スプール軸と平行に延出するウオームシャフト12を備えたオシレーティング機構が係合している。ウオームシャフト12は、リール本体内に回転可能に支持されており、その外周面には螺旋溝12aが形成されている。一方、前記スプール軸11の後端部には、スプール軸と一体的に前後動し、かつスプール軸を回転可能に保持するスライダ13が取り付けられている。このスライダ13には、前記螺旋溝12aと係合する係合子15aを備えると共に、ウオームシャフト12と平行に配されたガイドシャフト16が挿通する案内体18が設けられている。
【0017】
そして、ウオームシャフト12の端部には、前記ピニオン10と噛合するウオームギヤ(図示せず)が取り付けられており、ウオームシャフト12がピニオン10とウオームギヤを介して回転駆動されることで、係合子15aは螺旋溝12a内に案内され、案内体18は、ガイドシャフト16によって回り止めされて往復動される。この結果、スプール軸11は、往復動される案内体18及びスライダ13を介して前後方向に往復動される。
【0018】
前記ピニオン10はスプール側に向けて延出しており、その先端部には前記ロータ3が取り付けられている。ロータ3には、スプール5の回りを回転する一対の腕部3aが設けられており、この一対の腕部3aの夫々の前端部には、ベール3bの基端部を取り付けたベール支持部材3cが、釣糸巻取り位置と釣糸放出位置との間で回動自在に支持されている。なお、ベール3bの一方の基端部は、ベール支持部材3cに一体的に設けられた釣糸案内体(図示せず)に取り付けられている。
【0019】
前記スプール5は、釣糸が巻回される巻回胴部5aを備えており、前記スプール軸11の先端側に取り付けられている。この場合、スプール軸11とスプール5との間には、公知のドラグ機構(第1ドラグ機構)が設けられており、ドラグノブ20を回転操作することでドラグ力が調整されるようになっている。
【0020】
そして、このドラグ機構によるドラグ力は、クラッチ機構(切換機構)によって、ON/OFF状態に切換えられるようになっている。以下、本実施の形態に係るスピニングリールに設けられているクラッチ機構の構成を、図2乃至図4を参照して説明する。
【0021】
回転可能に支持されたスプール軸11には、軸方向への移動が規制されると共に、スプール軸11と一体的に回転する伝動歯車22が取り付けられており、この伝動歯車22には、スプール軸11の上方側において、スプール軸と平行で回転可能に支持された連動軸23のスプール側端部に取り付けられた従動歯車25が噛合している。また、連動軸23の中間部分には、ラチェット(爪車)27が取り付けられており、ここに係合爪(ストッパ)28が係脱可能になっている。この場合、係合爪28は、リール本体内のフレームに支軸28aを介して回動可能に支持されており、付勢バネ29を介して、常時、時計回り方向に付勢された状態にある。また、係合爪28には、突起28bが形成されており、この突起に後述するクラッチレバーの支持板に形成された係合部が係合するようになっている。
【0022】
前記リール本体2の外部には、クラッチ機構のON/OFFを切換えるためのクラッチレバー(操作部)30が突出している。このクラッチレバー30の基端側には、リール本体内に位置する支持板31が形成されており、クラッチレバー30は、支軸31aを介して回動可能となっている。支持板31の端部には、リール本体のフレームとの間で振り分け保持バネ33が取り付けられており、クラッチレバー30を図3に示すクラッチON位置と、図4に示すクラッチOFF位置に振り分け保持するようになっている。
【0023】
前記支持板31には、図3に示す状態から、クラッチレバー30が図4に示す状態に回動された際、前記係合爪28の突起28bと係合する係合部31bが形成されている。この構成により、係合爪28は、付勢バネ29によってラチェット27と係合状態にあるが、クラッチレバー30を図4に示すように回動操作することで係合状態が外れ、連動軸23はフリー回転可能状態になる。
【0024】
連動軸23がフリー回転可能状態になることで、従動歯車25及び伝動歯車22を介して連動関係にあるスプール軸11もフリー回転可能状態となり、魚が掛かって釣糸が繰出されても前記ドラグ機構によるドラグ力が作用しない状態(クラッチOFF)となる。
【0025】
これに対して、クラッチレバー30を図4に示す位置から図3に示す位置に回動操作することで、係合部31bは突起28bから離れ、係合爪28は、付勢バネ29によってラチェット27と係合状態となり、連動軸23及びスプール軸11は回転不能状態になる。すなわち、スプール軸11が固定状態となるため、ドラグ機構を介して取り付けられたスプール5には、ドラグノブの回転操作による所定のドラグ力が作用する状態(クラッチON)となる。
【0026】
上述したクラッチ機構は、復帰機構によって、クラッチOFF状態において、ハンドルを巻取り操作することで、自動的にクラッチON状態に復帰するように構成されている。
【0027】
ここで、復帰機構の構成を、図2乃至図6を参照して具体的に説明する。
上述したハンドル軸7には、図5に示すように、駆動ギヤ9の内歯と反対面にクラッチ復帰体50が、駆動ギヤ9と一体的に回転するように回り止め固定されている。クラッチ復帰体50は、リテーナ50aによって抜け止めされていると共に、径方向に延出する3本の腕部(キック部)51を備えており、各腕部の先端は駆動ギヤ9の外周と略一致している。
【0028】
また、1本の腕部51と駆動ギヤ9の表面との間には、引張バネ53が取り付けられており、各腕部は、図中、反時計回りに付勢されている。なお、駆動ギヤ9の表面には、ボス55が形成されており、反時計回りに付勢されている腕部が当接して、その回動付勢状態を規制している。
【0029】
一方、リール本体内のフレームには、支軸60を介して、復帰作動体61が回動可能に取り付けられている。この復帰作動体は、支軸を中心として回動可能に保持された第一係合部62と、支軸を中心として、第一後係合部62と独立して移動(回動)できるように保持された第二係合部65とを備えている。
【0030】
第一係合部62は、付勢バネ62aによって、図5において時計回り方向に回動付勢されている。この場合、第一係合部62には、位置規制ピン62bが形成されており、これがリール本体のフレームに当て付くことで、その回動が規制されている。また、第一係合部62には、クラッチレバー30と一体的に回動可能に形成されたカム30cが係合可能となっており、クラッチレバー30が図5に示すクラッチON状態から、図4に示すクラッチOFF状態に回動操作された際に、カム30cは、時計回り方向に回動して第一係合部62に当て付き、第一係合部62を付勢バネ62aの付勢力に抗して反時計回りに回動させる。
【0031】
また、第二係合部65は、付勢バネ65aによって、常時、前記第一係合部62に形成された位置規制ピン62bに当て付けられていると共に、図4に示すように、クラッチOFF状態において、カム30cと当接する第一係合部62及び位置規制ピン62bによって、前記クラッチ復帰体50の腕部51の回転軌跡内に位置するようになっている。
【0032】
この結果、クラッチOFF状態において、ハンドルを巻取り操作すると、クラッチ復帰体50のいずれかの腕部51が第二係合部65を押圧して、クラッチレバー30は、クラッチON状態に自動的に復帰するようになる。
【0033】
また、本実施の形態の魚釣用スピニングリールは、図2に示すように、前記連動軸23の後端部に、補助ドラグ機構(第2ドラグ機構)70が取り付けられている。
【0034】
この補助ドラグ機構70は、連動軸23及びリール本体のフレーム間に配設される複数枚のワッシャ71と、各ワッシャ間に介在される摩擦板72とを備えており、リール本体から露出するノブ75を回動操作することで、その内部に設けられた押圧体77が軸方向に移動して摩擦板に所定の押圧力を加え、連動軸23の回転に所定の制動力を付与するようになっている。
【0035】
このような補助ドラグ機構70を設けておけば、スプールが過回転することによって生じるバックラッシュを効果的に防止することが可能となる。すなわち、クラッチ機構をOFFにすることで、スプール軸11はフリー回転状態となり、このような状態で、餌に食いついて走り回っている魚が停止すると、スプールが過回転してバックラッシュが発生する。しかし、スプール軸と一体回転する連動軸23に所定の制動力を加えておくことで、過回転を抑制することができ、バックラッシュの発生を防止することができる。
【0036】
次に、以上のように構成された本実施の形態の魚釣用スピニングリールの作用について説明する。
仕掛けを投入した状態において、ドラグ力をOFFにする場合、クラッチレバー30を図3に示す状態(クラッチON)から、図4に示す状態(クラッチOFF)に回動操作する。このクラッチレバー30の回動操作によって、リール本体内に延出する支持板31に形成された係合部31bは、時計回り方向に回動し、係合爪28の突起28bと係合する。これにより、突起28bは、付勢バネ29の付勢力に抗して支軸28aを中心として反時計回り方向に回動され、係合爪28はラチェット27から離脱し、連動軸23及びスプール軸11は、フリー回転可能状態になる。この結果、スプール軸に第1ドラグ機構を介して取り付けられているスプール5には、第1ドラグ機構によるドラグ力が作用しなくなる。
【0037】
なお、フリー回転状態にある連動軸23に対して、第2ドラグ機構70によって所定のドラグ力を付与しておくことで、スプール5の過回転を抑制することができ、バックラッシュを防止することが可能になる。
【0038】
そして、この状態で、クラッチレバー30を図4に示す状態から、図3に示す状態に復帰操作することで、再び係合爪28は、付勢バネ29の付勢力によってラチェット27と係合する。これによって、連動軸23及びスプール軸11の回転は阻止されるため、スプール5には、第1ドラグ機構によるドラグ力が作用するようになる。
【0039】
また、クラッチ機構は、上述した復帰機構によって、図示しないハンドルを巻取り駆動することで、クラッチOFFからクラッチONへ自動的に復帰させることが可能となっている。
【0040】
すなわち、図5に示したクラッチON状態から、クラッチレバー30をOFFにすべく、回動操作すると、カム30cが時計回り方向に回動され、図7に示すように、カム30cは、復帰作動体61の第一係合部62に当て付いて、第一係合部62を付勢バネ62aの付勢力に抗して反時計回り方向に回動させる。このとき、位置規制ピン62bも一体的に反時計回り方向に回動することから、それに当接、付勢されている第二係合部65も反時計回り方向に回動され、図7に示すように、クラッチOFF状態で、クラッチ復帰体50の腕部51の回転軌跡内に侵入する。
【0041】
そして、この状態でハンドルを巻取り駆動すると、第二係合部65は、駆動ギヤ9と共に一体回転する腕部51によって押圧される。このとき、腕部51は付勢バネ53の引張力に抗して時計回り方向の力を受けて、時計回り方向に回動しながら、第二係合部65を時計回り方向に回動させる(図8参照)。
【0042】
第二係合部65が時計回り方向に回動すると、位置規制ピン62bを介して第一係合部62も時計回り方向に回動され、カム30cを反時計回り方向に回動させる。そして、クラッチレバー30は、振り分け保持バネ33のデッドポイントを通過して、図5に示す状態に自動復帰される。なお、腕部51は、付勢バネ53によって反時計回り方向に回動し、ボス55に当て付いて初期状態に戻る。また、第二係合部65は、位置規制ピン62bがフレームに当て付くことで、その回動が規制される。
【0043】
上記したような復帰機構の復帰作動体61の構成によれば、以下のような効果が得られる。
クラッチがOFF状態になっているときに、ロータの位置、具体的には釣糸案内体の位置を変えたい場合がある。例えば、釣糸案内体が最下方に位置するとサミング操作がし難くなるため、ロータを半回転させて釣糸案内体をサミング操作し易い位置に合わせたい場合等がある。このような場合、ハンドルを釣糸巻取り方向に回転操作すると、クラッチ復帰体50の腕部51が第二係合部65を押圧して、クラッチ機構がONになってしまうため、ハンドルを釣糸繰出し方向に回転させる(逆回転させる)必然性が生じる。
【0044】
ハンドルを逆回転すると、クラッチ復帰体50の腕部51は、図9に示すように時計回り方向に回転し、復帰作動体61の第二係合部65に当接し、第二係合部65を図10に示すように反時計回り方向に回動させようとする。
【0045】
ところで、上述したように、第二係合部65は、第一係合部62と独立して移動可能になっているため、第二係合部65が回動力を受けても第一係合部62は何等移動することはない。
【0046】
すなわち、従来では、復帰作動体を単一の部材で構成していることから、上記したようなハンドルを逆回転した際の、復帰作動体のための移動スペースが必要となっていたが、上記したように復帰作動体を独立して移動可能な第一係合部および第二係合部で構成したことにより、第二係合部のみが単独で移動できることから、復帰作動体のための移動スペースが不要となって、リール本体をコンパクト化することが可能になる。
【0047】
また、復帰作動体61の第一係合部62と第二係合部65を別部品で構成したことにより、レイアウトの自由度が増し、復帰作動体を、配置スペースを選ぶことなく組み込むことが可能となる。すなわち、復帰作動体の作動に最適な位置に各部品を配置することが可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した魚釣用スピニングリールの構成は、一例を示したに過ぎず、種々変形することが可能である。例えば、第1ドラグ機構は、スプール軸の後端位置に設けたリヤドラグ方式にしても良い。また、第2ドラグ機構は、その配置個所、構成については、適宜変形することもでき、場合によっては削除しても良い。さらに、スプール軸の回転を停止状態、回転可能状態に切換える手段については、上記したような連動軸を設けることなく構成しても良い。
【0049】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、ドラグ力をON/OFFに切換えるクラッチ機構を組み込んだ魚釣用スピニングリールにおいて、ドラグ力をOFFからONに自動復帰させる復帰機構の復帰作動体を相互に独立して駆動される部材で構成したことによって、リール本体の小型化が図れると共に、復帰機構を合理的に組み込めるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る魚釣用スピニングリールの一実施の形態を示す図であり、その内部構造を示した部分断面図。
【図2】図1に示す魚釣用スピニングリールのリール本体内の拡大図(クラッチON状態)。
【図3】クラッチON状態を示すリール本体内の拡大図であり、ラチェットと係合爪の部分を示す図。
【図4】図3に示す状態から、クラッチをOFFにした状態を示すリール本体内の拡大図。
【図5】クラッチの復帰機構の構成を示すリール本体内の拡大図。
【図6】図5のA−A線に沿った断面図。
【図7】クラッチの自動復帰状態を示す図。
【図8】図7の続きを示し、クラッチの自動復帰状態を示す図。
【図9】クラッチOFF状態において、ハンドルを釣糸繰出し方向に回転する状態を示す図。
【図10】図9の続きを示し、ハンドルを釣糸繰出し方向に回転する状態を示す図。
【符号の説明】
1 魚釣用スピニングリール
2 リール本体
5 スプール
11 スプール軸
23 連動軸
30 クラッチレバー
50 クラッチ復帰体
51 腕部(キック部)
61 復帰作動体
62 第一係合部
65 第二係合部
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣糸が巻回されるスプールに作用するドラグ力をON/OFFに切換える切換機構を組み込んだ魚釣用スピニングリールに関する。
【0002】
【従来の技術】
魚釣用スピニングリールの一つの形態として、スプールに作用するドラグ力をON/OFFに切換える切換機構(クラッチ機構)を組み込んだ構成がある。このような形態のスピニングリールは、餌に食いついた際に、釣糸の負荷が加わると餌を吐き出してしまうような魚を対象魚とする場合に効果的である。すなわち、ドラグ力をOFF状態にしておくことで、餌に食いついた際の釣糸の負荷を無くし、これにより、食い込みを確実にすると共に、魚を自由に走らせて口切れを効果的に防止することができる。
【0003】
上記したクラッチ機構を組み込んだスピニングリールとして、例えば、特開平7−115882号には、スプール軸の先端に第1ドラグ機構(フロントドラグ機構)を設けると共に、スプール軸と平行で、かつスプール軸とギヤを介して一体回転可能に配設された連動軸の後端部に第2ドラグ機構(サブドラグ機構)を設けた構成が開示されている。
【0004】
このスピニングリールでは、連動軸に係止歯車を設け、この係止歯車にクラッチ機構の作動部材を係合/非係合させることで、ドラグ力をON/OFFに切換えるように構成されている。すなわち、作動部材を係止歯車に非係合状態(クラッチOFF)とすることで、スプール軸をフリー回転状態として第1ドラグ機構のドラグ力が作用しないようにし、作動部材を係止歯車に係合状態(クラッチON)とすることで、スプール軸を非回転状態として第1ドラグ機構のドラグ力が作用するようにしている。なお、第2ドラグ機構は、スプール軸がフリー回転状態となったときに、スプール軸に対して制動力を与え、スプールの過回転によるバックラッシュを防止する機能を果たしている。
【0005】
上記したクラッチ機構は、クラッチ切換えレバーを操作することによってクラッチのON/OFFが切換えられると共に、ハンドル軸に取り付けられた駆動ギヤに復帰機構を設け、ハンドルを釣糸巻取り方向に回転した際に、クラッチ機構を自動的にOFFからONに復帰させるように構成されている。
【0006】
この場合、復帰機構は、駆動ギヤと一体回転するように設けられ、かつキック部を有するクラッチ復帰体と、クラッチ切換えレバーを回動させるための復帰作動体とを備えており、ハンドルを釣糸巻取り方向に回転した際、駆動ギヤと共に回転するクラッチ復帰体のキック部が、その回転軌跡内に位置する復帰作動体を押圧、回動させることで、クラッチ切換えレバーをON状態に復帰させるように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した構成のスピニングリールにおいて、クラッチがOFFの状態で、例えばロータに設けられている釣糸案内体の位置を調整するためにハンドルを釣糸繰出し方向に回転させる(逆回転させる)場合がある。
【0008】
上記したように、クラッチ復帰体は、駆動ギヤが回転した際に、その回転軌跡内に位置する復帰作動体を押圧、回動させる構成のため、ハンドルを釣糸繰出し方向に回転した際、復帰作動体を逆方向に押圧、回動させることとなる。この場合、ハンドルの逆回転を阻害するのを回避すべく、復帰作動体は、切換作動方向および逆方向にフリーに回動できるように構成する必要があるが、復帰作動体全体が回動できるための広いスペースが必要となってしまい、リール本体が大型化するという問題が生じる。なお、上記した公知例のスピニングリールでは、復帰作動体を逆方向にフリーに回動させるだけのスペースは設けられておらず、クラッチOFF状態でハンドルを逆回転させることができない構成になっている。
【0009】
また、復帰作動体は、一部品で構成されているため、キック部、復帰作動体、および復帰作動体と係合するクラッチ切換レバーの切換機構操作部の位置が必然的に決められてしまい、この結果、リール本体内部のレイアウトに自由度が無くなって、作動性を向上させることが困難になっている。
【0010】
この発明は、上記の問題に基づいてなされたものであり、ドラグ力をON/OFFに切換えるクラッチ機構を組み込んだ魚釣用スピニングリールにおいて、リール本体の小型化を図ると共に、クラッチをOFFからONに復帰させる復帰機構を合理的に組み込める構成を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の魚釣用スピニングリールは、ハンドルの回転に連動して前後に往復動するスプール軸の前部に支持されたスプールに制動力を付与するドラグ機構と、このドラグ機構によって設定された制動力がスプールに作用するドラグ作動状態とスプールフリー回転状態に夫々切換える切換機構と、前記スプールフリー回転状態にある切換機構を、ハンドルの釣糸巻取り方向の回転によってドラグ作動状態に切換える復帰機構と、を有しており、前記復帰機構は、前記切換機構の操作部と係合する第一係合部と、ハンドルの回転操作と共に一体回転するキック部と係合する第二係合部とを有する復帰作動体を備えており、この復帰作動体は、前記切換機構のスプールフリー回転状態におけるハンドル逆回転時に、第二係合部のみが独立して移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
上記した構成によれば、切換機構がスプールフリー回転状態となっているときに、ハンドルを逆回転(釣糸繰出し方向への回転)させると、キック部は復帰作動体の第二係合部と当接する。このとき、第二係合部は、復帰作動体の第一係合部とは独立して移動するため、第一係合部が移動するためのスペースを設ける必要がなくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る魚釣用スピニングリールの一実施の形態を添付図面に沿って具体的に説明する。
【0014】
図1および図2に示すように、魚釣用スピニングリール1は、釣竿に装着するための脚部2aが形成されたリール本体2と、リール本体前方に回転可能に配されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後方向に往復動可能に配されたスプール5とを有している。
【0015】
リール本体2内には、ハンドル軸7が回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドル(図示せず)が取り付けられている。ハンドル軸7には、内歯が形成された駆動ギヤ9が取り付けられており、この駆動ギヤ9には、ハンドル軸7と直交する方向に延出すると共に、内部に軸方向に延出する空洞部が形成されたピニオン10が噛合している。このピニオン10は、軸受を介して回転可能に支持されており、その空洞部には、ハンドル軸7と直交する方向に延出し、先端側にスプール5を取り付けたスプール軸11が、軸方向に移動可能で回転可能に挿通、支持されている。
【0016】
前記ピニオン10には、スプール軸11を前後動させるように、スプール軸と平行に延出するウオームシャフト12を備えたオシレーティング機構が係合している。ウオームシャフト12は、リール本体内に回転可能に支持されており、その外周面には螺旋溝12aが形成されている。一方、前記スプール軸11の後端部には、スプール軸と一体的に前後動し、かつスプール軸を回転可能に保持するスライダ13が取り付けられている。このスライダ13には、前記螺旋溝12aと係合する係合子15aを備えると共に、ウオームシャフト12と平行に配されたガイドシャフト16が挿通する案内体18が設けられている。
【0017】
そして、ウオームシャフト12の端部には、前記ピニオン10と噛合するウオームギヤ(図示せず)が取り付けられており、ウオームシャフト12がピニオン10とウオームギヤを介して回転駆動されることで、係合子15aは螺旋溝12a内に案内され、案内体18は、ガイドシャフト16によって回り止めされて往復動される。この結果、スプール軸11は、往復動される案内体18及びスライダ13を介して前後方向に往復動される。
【0018】
前記ピニオン10はスプール側に向けて延出しており、その先端部には前記ロータ3が取り付けられている。ロータ3には、スプール5の回りを回転する一対の腕部3aが設けられており、この一対の腕部3aの夫々の前端部には、ベール3bの基端部を取り付けたベール支持部材3cが、釣糸巻取り位置と釣糸放出位置との間で回動自在に支持されている。なお、ベール3bの一方の基端部は、ベール支持部材3cに一体的に設けられた釣糸案内体(図示せず)に取り付けられている。
【0019】
前記スプール5は、釣糸が巻回される巻回胴部5aを備えており、前記スプール軸11の先端側に取り付けられている。この場合、スプール軸11とスプール5との間には、公知のドラグ機構(第1ドラグ機構)が設けられており、ドラグノブ20を回転操作することでドラグ力が調整されるようになっている。
【0020】
そして、このドラグ機構によるドラグ力は、クラッチ機構(切換機構)によって、ON/OFF状態に切換えられるようになっている。以下、本実施の形態に係るスピニングリールに設けられているクラッチ機構の構成を、図2乃至図4を参照して説明する。
【0021】
回転可能に支持されたスプール軸11には、軸方向への移動が規制されると共に、スプール軸11と一体的に回転する伝動歯車22が取り付けられており、この伝動歯車22には、スプール軸11の上方側において、スプール軸と平行で回転可能に支持された連動軸23のスプール側端部に取り付けられた従動歯車25が噛合している。また、連動軸23の中間部分には、ラチェット(爪車)27が取り付けられており、ここに係合爪(ストッパ)28が係脱可能になっている。この場合、係合爪28は、リール本体内のフレームに支軸28aを介して回動可能に支持されており、付勢バネ29を介して、常時、時計回り方向に付勢された状態にある。また、係合爪28には、突起28bが形成されており、この突起に後述するクラッチレバーの支持板に形成された係合部が係合するようになっている。
【0022】
前記リール本体2の外部には、クラッチ機構のON/OFFを切換えるためのクラッチレバー(操作部)30が突出している。このクラッチレバー30の基端側には、リール本体内に位置する支持板31が形成されており、クラッチレバー30は、支軸31aを介して回動可能となっている。支持板31の端部には、リール本体のフレームとの間で振り分け保持バネ33が取り付けられており、クラッチレバー30を図3に示すクラッチON位置と、図4に示すクラッチOFF位置に振り分け保持するようになっている。
【0023】
前記支持板31には、図3に示す状態から、クラッチレバー30が図4に示す状態に回動された際、前記係合爪28の突起28bと係合する係合部31bが形成されている。この構成により、係合爪28は、付勢バネ29によってラチェット27と係合状態にあるが、クラッチレバー30を図4に示すように回動操作することで係合状態が外れ、連動軸23はフリー回転可能状態になる。
【0024】
連動軸23がフリー回転可能状態になることで、従動歯車25及び伝動歯車22を介して連動関係にあるスプール軸11もフリー回転可能状態となり、魚が掛かって釣糸が繰出されても前記ドラグ機構によるドラグ力が作用しない状態(クラッチOFF)となる。
【0025】
これに対して、クラッチレバー30を図4に示す位置から図3に示す位置に回動操作することで、係合部31bは突起28bから離れ、係合爪28は、付勢バネ29によってラチェット27と係合状態となり、連動軸23及びスプール軸11は回転不能状態になる。すなわち、スプール軸11が固定状態となるため、ドラグ機構を介して取り付けられたスプール5には、ドラグノブの回転操作による所定のドラグ力が作用する状態(クラッチON)となる。
【0026】
上述したクラッチ機構は、復帰機構によって、クラッチOFF状態において、ハンドルを巻取り操作することで、自動的にクラッチON状態に復帰するように構成されている。
【0027】
ここで、復帰機構の構成を、図2乃至図6を参照して具体的に説明する。
上述したハンドル軸7には、図5に示すように、駆動ギヤ9の内歯と反対面にクラッチ復帰体50が、駆動ギヤ9と一体的に回転するように回り止め固定されている。クラッチ復帰体50は、リテーナ50aによって抜け止めされていると共に、径方向に延出する3本の腕部(キック部)51を備えており、各腕部の先端は駆動ギヤ9の外周と略一致している。
【0028】
また、1本の腕部51と駆動ギヤ9の表面との間には、引張バネ53が取り付けられており、各腕部は、図中、反時計回りに付勢されている。なお、駆動ギヤ9の表面には、ボス55が形成されており、反時計回りに付勢されている腕部が当接して、その回動付勢状態を規制している。
【0029】
一方、リール本体内のフレームには、支軸60を介して、復帰作動体61が回動可能に取り付けられている。この復帰作動体は、支軸を中心として回動可能に保持された第一係合部62と、支軸を中心として、第一後係合部62と独立して移動(回動)できるように保持された第二係合部65とを備えている。
【0030】
第一係合部62は、付勢バネ62aによって、図5において時計回り方向に回動付勢されている。この場合、第一係合部62には、位置規制ピン62bが形成されており、これがリール本体のフレームに当て付くことで、その回動が規制されている。また、第一係合部62には、クラッチレバー30と一体的に回動可能に形成されたカム30cが係合可能となっており、クラッチレバー30が図5に示すクラッチON状態から、図4に示すクラッチOFF状態に回動操作された際に、カム30cは、時計回り方向に回動して第一係合部62に当て付き、第一係合部62を付勢バネ62aの付勢力に抗して反時計回りに回動させる。
【0031】
また、第二係合部65は、付勢バネ65aによって、常時、前記第一係合部62に形成された位置規制ピン62bに当て付けられていると共に、図4に示すように、クラッチOFF状態において、カム30cと当接する第一係合部62及び位置規制ピン62bによって、前記クラッチ復帰体50の腕部51の回転軌跡内に位置するようになっている。
【0032】
この結果、クラッチOFF状態において、ハンドルを巻取り操作すると、クラッチ復帰体50のいずれかの腕部51が第二係合部65を押圧して、クラッチレバー30は、クラッチON状態に自動的に復帰するようになる。
【0033】
また、本実施の形態の魚釣用スピニングリールは、図2に示すように、前記連動軸23の後端部に、補助ドラグ機構(第2ドラグ機構)70が取り付けられている。
【0034】
この補助ドラグ機構70は、連動軸23及びリール本体のフレーム間に配設される複数枚のワッシャ71と、各ワッシャ間に介在される摩擦板72とを備えており、リール本体から露出するノブ75を回動操作することで、その内部に設けられた押圧体77が軸方向に移動して摩擦板に所定の押圧力を加え、連動軸23の回転に所定の制動力を付与するようになっている。
【0035】
このような補助ドラグ機構70を設けておけば、スプールが過回転することによって生じるバックラッシュを効果的に防止することが可能となる。すなわち、クラッチ機構をOFFにすることで、スプール軸11はフリー回転状態となり、このような状態で、餌に食いついて走り回っている魚が停止すると、スプールが過回転してバックラッシュが発生する。しかし、スプール軸と一体回転する連動軸23に所定の制動力を加えておくことで、過回転を抑制することができ、バックラッシュの発生を防止することができる。
【0036】
次に、以上のように構成された本実施の形態の魚釣用スピニングリールの作用について説明する。
仕掛けを投入した状態において、ドラグ力をOFFにする場合、クラッチレバー30を図3に示す状態(クラッチON)から、図4に示す状態(クラッチOFF)に回動操作する。このクラッチレバー30の回動操作によって、リール本体内に延出する支持板31に形成された係合部31bは、時計回り方向に回動し、係合爪28の突起28bと係合する。これにより、突起28bは、付勢バネ29の付勢力に抗して支軸28aを中心として反時計回り方向に回動され、係合爪28はラチェット27から離脱し、連動軸23及びスプール軸11は、フリー回転可能状態になる。この結果、スプール軸に第1ドラグ機構を介して取り付けられているスプール5には、第1ドラグ機構によるドラグ力が作用しなくなる。
【0037】
なお、フリー回転状態にある連動軸23に対して、第2ドラグ機構70によって所定のドラグ力を付与しておくことで、スプール5の過回転を抑制することができ、バックラッシュを防止することが可能になる。
【0038】
そして、この状態で、クラッチレバー30を図4に示す状態から、図3に示す状態に復帰操作することで、再び係合爪28は、付勢バネ29の付勢力によってラチェット27と係合する。これによって、連動軸23及びスプール軸11の回転は阻止されるため、スプール5には、第1ドラグ機構によるドラグ力が作用するようになる。
【0039】
また、クラッチ機構は、上述した復帰機構によって、図示しないハンドルを巻取り駆動することで、クラッチOFFからクラッチONへ自動的に復帰させることが可能となっている。
【0040】
すなわち、図5に示したクラッチON状態から、クラッチレバー30をOFFにすべく、回動操作すると、カム30cが時計回り方向に回動され、図7に示すように、カム30cは、復帰作動体61の第一係合部62に当て付いて、第一係合部62を付勢バネ62aの付勢力に抗して反時計回り方向に回動させる。このとき、位置規制ピン62bも一体的に反時計回り方向に回動することから、それに当接、付勢されている第二係合部65も反時計回り方向に回動され、図7に示すように、クラッチOFF状態で、クラッチ復帰体50の腕部51の回転軌跡内に侵入する。
【0041】
そして、この状態でハンドルを巻取り駆動すると、第二係合部65は、駆動ギヤ9と共に一体回転する腕部51によって押圧される。このとき、腕部51は付勢バネ53の引張力に抗して時計回り方向の力を受けて、時計回り方向に回動しながら、第二係合部65を時計回り方向に回動させる(図8参照)。
【0042】
第二係合部65が時計回り方向に回動すると、位置規制ピン62bを介して第一係合部62も時計回り方向に回動され、カム30cを反時計回り方向に回動させる。そして、クラッチレバー30は、振り分け保持バネ33のデッドポイントを通過して、図5に示す状態に自動復帰される。なお、腕部51は、付勢バネ53によって反時計回り方向に回動し、ボス55に当て付いて初期状態に戻る。また、第二係合部65は、位置規制ピン62bがフレームに当て付くことで、その回動が規制される。
【0043】
上記したような復帰機構の復帰作動体61の構成によれば、以下のような効果が得られる。
クラッチがOFF状態になっているときに、ロータの位置、具体的には釣糸案内体の位置を変えたい場合がある。例えば、釣糸案内体が最下方に位置するとサミング操作がし難くなるため、ロータを半回転させて釣糸案内体をサミング操作し易い位置に合わせたい場合等がある。このような場合、ハンドルを釣糸巻取り方向に回転操作すると、クラッチ復帰体50の腕部51が第二係合部65を押圧して、クラッチ機構がONになってしまうため、ハンドルを釣糸繰出し方向に回転させる(逆回転させる)必然性が生じる。
【0044】
ハンドルを逆回転すると、クラッチ復帰体50の腕部51は、図9に示すように時計回り方向に回転し、復帰作動体61の第二係合部65に当接し、第二係合部65を図10に示すように反時計回り方向に回動させようとする。
【0045】
ところで、上述したように、第二係合部65は、第一係合部62と独立して移動可能になっているため、第二係合部65が回動力を受けても第一係合部62は何等移動することはない。
【0046】
すなわち、従来では、復帰作動体を単一の部材で構成していることから、上記したようなハンドルを逆回転した際の、復帰作動体のための移動スペースが必要となっていたが、上記したように復帰作動体を独立して移動可能な第一係合部および第二係合部で構成したことにより、第二係合部のみが単独で移動できることから、復帰作動体のための移動スペースが不要となって、リール本体をコンパクト化することが可能になる。
【0047】
また、復帰作動体61の第一係合部62と第二係合部65を別部品で構成したことにより、レイアウトの自由度が増し、復帰作動体を、配置スペースを選ぶことなく組み込むことが可能となる。すなわち、復帰作動体の作動に最適な位置に各部品を配置することが可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した魚釣用スピニングリールの構成は、一例を示したに過ぎず、種々変形することが可能である。例えば、第1ドラグ機構は、スプール軸の後端位置に設けたリヤドラグ方式にしても良い。また、第2ドラグ機構は、その配置個所、構成については、適宜変形することもでき、場合によっては削除しても良い。さらに、スプール軸の回転を停止状態、回転可能状態に切換える手段については、上記したような連動軸を設けることなく構成しても良い。
【0049】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、ドラグ力をON/OFFに切換えるクラッチ機構を組み込んだ魚釣用スピニングリールにおいて、ドラグ力をOFFからONに自動復帰させる復帰機構の復帰作動体を相互に独立して駆動される部材で構成したことによって、リール本体の小型化が図れると共に、復帰機構を合理的に組み込めるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る魚釣用スピニングリールの一実施の形態を示す図であり、その内部構造を示した部分断面図。
【図2】図1に示す魚釣用スピニングリールのリール本体内の拡大図(クラッチON状態)。
【図3】クラッチON状態を示すリール本体内の拡大図であり、ラチェットと係合爪の部分を示す図。
【図4】図3に示す状態から、クラッチをOFFにした状態を示すリール本体内の拡大図。
【図5】クラッチの復帰機構の構成を示すリール本体内の拡大図。
【図6】図5のA−A線に沿った断面図。
【図7】クラッチの自動復帰状態を示す図。
【図8】図7の続きを示し、クラッチの自動復帰状態を示す図。
【図9】クラッチOFF状態において、ハンドルを釣糸繰出し方向に回転する状態を示す図。
【図10】図9の続きを示し、ハンドルを釣糸繰出し方向に回転する状態を示す図。
【符号の説明】
1 魚釣用スピニングリール
2 リール本体
5 スプール
11 スプール軸
23 連動軸
30 クラッチレバー
50 クラッチ復帰体
51 腕部(キック部)
61 復帰作動体
62 第一係合部
65 第二係合部
Claims (1)
- ハンドルの回転に連動して前後に往復動するスプール軸の前部に支持されたスプールに制動力を付与するドラグ機構と、
このドラグ機構によって設定された制動力がスプールに作用するドラグ作動状態とスプールフリー回転状態に夫々切換える切換機構と、
前記スプールフリー回転状態にある切換機構を、ハンドルの釣糸巻取り方向の回転によってドラグ作動状態に切換える復帰機構と、を有する魚釣用スピニングリールにおいて、
前記復帰機構は、前記切換機構の操作部と係合する第一係合部と、ハンドルの回転操作と共に一体回転するキック部と係合する第二係合部とを有する復帰作動体を備えており、
この復帰作動体は、前記切換機構のスプールフリー回転状態におけるハンドル逆回転時に、第二係合部のみが独立して移動可能に構成されていることを特徴とする魚釣用スピニングリール。
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