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JP4478220B2 - 音場補正回路 - Google Patents

音場補正回路 Download PDF

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JP4478220B2
JP4478220B2 JP14018897A JP14018897A JP4478220B2 JP 4478220 B2 JP4478220 B2 JP 4478220B2 JP 14018897 A JP14018897 A JP 14018897A JP 14018897 A JP14018897 A JP 14018897A JP 4478220 B2 JP4478220 B2 JP 4478220B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サラウンド音響システム用の音場補正回路に関し、ことに音場補正回路に用いられ、多チャネルサラウンド用にエンコードされた2チャネルステレオ信号から多チャネルサラウンド信号を得るためのデコード回路の簡略化に関する。
【0002】
【従来の技術】
人間が音源を定位するのは低音域では両耳への音の到達時間差位相差により、高音域では両耳間の音の強度差によることが知られている。
また、複数の音源からの音は融合して人間の聴覚上、一つの音像を形成することが知られている。
この場合、音源の信号間にコヒーレント性があり、時間性がある範囲に限られた場合にことに融合しやすい。コヒーレントな2音源での合成音像の定位は、音源信号間のレベル差や時間差で決まり、ほぼ2音源の間に生じる。一方音源が逆相な場合は音像は頭の内部や後頭部に生じる。
【0003】
また、音源からの直接音のほかに、壁や床からの反射音のような多数の後続音が両耳へ加わるような場合は、音の広がり感や音像の距離が増え、特に側方からの反射音が直接音に比べて増加すると、音像の広がり間は増加する。
【0004】
このような性質を利用して再生音響の臨場感を向上するために、リアスピーカなどを用い移動感を強調したものにサラウンド方式がある。
サラウンド方式は一般に本来のステレオの左右のスピーカの音以外に別位置に置かれたサブスピーカの音を加えて再生する音響方式である。
【0005】
左右のスピーカ以外にスピーカを用いるという点では、4チャネル・ステレオと似ているが、サラウンド方式の場合は、もとになるソース、すなわちレコードやビデオに録音されている音声信号の内容は、4チャネル・ステレオの場合のように特殊なものではなく、極普通にステレオで録音されたものであれば良いという点で全く異なっている。
すなわち、この方式は聴く人が望む目的に適いさえすれば、その具体的な方法や手段については一切自由で、こうでなければならないという規定や合意はまったく必要ではない。
【0006】
そこで大切になるのは目的で、これには大きく分けて次の2種類がある。
1)ビデオの音声信号の再生を主とし、映像に対する再生音を映像にあったリアルな音にする劇場効果を目的とするもの。
2)基本的には絵との関係を考えず、その音楽が録られたホール等の現場での音場の忠実な再現を目的とするもの。
【0007】
ところで、どのような音を出せばこのような目的に沿えるかである。
この中で、1)の場合は、映像の場面にもよるが、音源の位置や移動感の再現がより効果的である。
また、2)の場合は、音源は動くことはなく、録音された場所の音響的状態、つまり残響の長さや強弱、それが含む周波数成分を忠実に再現することが必要とされる。
目的が1)の場合は、仮に映像の上で雷のなるシーンがあると雷の音は上から聞こえるほうがよりリアルであるということになり、ここで求められるものは、場面にもよるが音源の位置や遠近、移動間の再現により重点がおかれるものになる。
【0008】
このような観点からいうと、これを再現するためには、基本的に通常の方法で録ったステレオ信号では無理で、録音に際してそれに応じた多少の手心を加えて音録りされたソースの方が有利になる。
【0009】
このような、サラウンド方式の代表的な方式としては、ドルビー・プロロジック・サラウンド・システム(Dolby Pro-logic Surround System )がある。
これは本来映画館用の音響システムであるドルビー・サラウンド・システムを前方3チャネル(左L:Left、中央C:Center、右R:Right )と後方1チャネル(S:Surround)にして家庭用の映画観賞用の音響システムにしたものである。
【0010】
このような多チャネルサラウンド・システムの場合、通常多チャネル信号を一旦2チャネルにエンコード処理して記録媒体に録音し、再生機器側では記録媒体からの2チャネル信号を多チャネルにデコードして、多チャネルサラウンド信号を作成するようにする。
また、このデコードされた多チャネルサラウンド信号を通常のステレオ装置用にフロント2チャネルサラウンド再生しようとする場合は、さらにバーチャライザ(Virtualizer )とよばれる回路によって2チャネル化して再現するようにしている。
【0011】
ところで従来のこのような音場補正回路では、2チャネルソースから多チャネルへのデコードをサウンド・プロセッサなどとよばれるデコード回路で複雑なマトリクス処理を行って実現している。
デコード回路は複数のディレイ・ユニット(遅延回路)やフェイズ・シフタ(移相器)を組み合わせ、遅延処理や移相処理を行った信号と元の信号との間で和信号や差信号を作ったりして、音の広がり感や音像の距離感、音像の位置の移動感を豊かなものにする。
デコード回路ではこのような複雑な処理を行っているため、従来のものではデコード回路の規模がどうしても大きくなり、装置全体の価格が高価なものになっていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとく、従来のサラウンド信号再生のための再生装置に用いられる音場補正回路においては、デコードのための回路に複雑なマトリクスよりを行うため、回路がどうしても大規模なものになり、そのため装置が高価なものになるといった欠点があった。
【0013】
本発明はこの点を解決して、デコード回路を比較的簡単な回路を用いて構成し、廉価に従来のものと同等の効果をあげることのできるサラウンド再生装置用の音場補正回路を実現することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、多チャネルサラウンド用にエンコードされた2チャネルステレオ信号からフロント2チャンネルサラウンド信号を作成して出力する音場補正回路であって、前記2チャンネルステレオ入力信号のそれぞれを加算し、中央チャンネル信号として出力する加算手段と、前記2チャネルステレオ信号の一方から他方を減算し、サラウンドチャンネル信号として出力する減算手段と、前記加算手段から出力される前記中央チャンネル信号のレベルを調整する第1のレベル調整手段と、前記減算手段から出力される前記サラウンドチャンネル信号のレベルを調整する第2のレベル調整手段と、記2チャンネルステレオ入力信号、前記調整された中央チャンネル信号及び前記調整されたサラウンドチャンネル信号が、デコードされた左チャンネル、右チャンネル、中央チャンネルおよびサラウンドチャンネルからなる多チャンネルサラウンド信号として入力され、該多チャンネルサラウンド信号から前記フロント2チャンネルサラウンド信号を生成し、該フロント2チャンネルサラウンド信号を出力する信号作成手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる音場補正回路を添付図面を参照にして詳細に説明する。2チャネル音声信号を多チャネルサラウンドを経てフロント2チャネルサラウンドに変換する音場補正回路には、一般的に図3に示したような方法が採られている。
多チャネルサラウンド用にエンコードされたステレオ信号Lt、Rtは、まずデコーダ1に送られる。
【0016】
そうしてデコーダ1内でマトリクス処理等によって2チャネルから多チャネル信号(例えばL:左チャネル信号、C:中央チャネル信号、R:右チャネル信号、S:サラウンドチャネル信号)に復元され、この多チャネル信号はバーチャライザ回路2に送られる。
バーチャライザ回路2は、フロント2チャネル再生でありながらサラウンド成分Sがあたかも実在するかのように聴取者の耳の周辺あるいは後方から聞こえるように音声信号を処理する回路である。
【0017】
図1に本発明の音場補正回路の一実施の形態の回路ブロック図を示す。
図1において、2はバーチャライザ回路、3は加算器、5は減算器、4および6はレベル調整用ボリュームである。
この回路では、まず入力ステレオ信号Lt、RtはそのままL(左チャネル)、R(右チャネル)として直接バーチャライザ回路2に送られる。
【0018】
さらに別途、入力ステレオ信号Lt、Rtは加算器3と減算器5にも送られる。そうして加算器3ではLt+Rt=C(中央チャネル)が作られ、減算器5ではLt−Rt=S(サラウンドチャネル)が作られる。この加算器3および減算器5は例えばオペアンプなどを用いた増幅回路で容易に構成することができるが特にこれに限定されるものではない。
【0019】
こうして得られたL(左チャネル)、R(右チャネル)、C(中央チャネル)、S(サラウンドチャネル)は、それぞれバーチャライザ回路2に送られ、バーチャライザ回路2の処理によってフロント2チャネルサラウンド信号が得られる。
【0020】
ただし、この状態のままではC(中央チャネル)信号およびS(サラウンドチャネル)信号のバーチャライザ回路2への入力ゲインが固定されているため、音のバランスなどに欠ける等の欠点がある。これを調整して聞きやすい音を得るためには、加算器3と減算器5の出力にそれぞれ調整用のボリューム4と6を設けて、これらのボリューム量を相互に調整すると、よりバランスのとれた聞きやすい音が得られる。
【0021】
ところで、図3に示したような従来のデコーダ1の内部には通常は、複数の遅延回路、移相回路、マトリクス回路などから構成される方向性強調回路が組み込まれており、これによって、十分な移動感と臨場感が得られるような構成になっている。
しかし、もともとのステレオ信号も、本来、移動感がでるように記録されているものであるため、本発明のようにデコード回路を簡略化してもそれに近い効果がえられるのである。
【0022】
図2は、本発明の音場補正回路の他の実施の形態の回路ブロック図である。
サラウンド方式に関しては、ドルビーサラウンドが現在最も普及したサラウンド方式である。
このドルビーサラウンドではサラウンドチャネルSのノイズのS/N比の向上を目的として、サラウンドチャネルにドルビー変形Bノイズリダクション処理を行っている。この方法は、記録時のレベルと再生時のレベルを変えるなどの方法で再生雑音の低減を行う方式である。
これと同等な処理を、この実施の形態ではドルビー変形Bノイズリダクション回路7によって行う。
このようにノイズリダクション回路7を挿入することによって、よりS/N比の優れた自然の音の再現が可能になる。
【0023】
ここで、ドルビーBタイプのノイズリダクション回路について簡単に説明を行う。
ノイズリダクション回路はカセット録音用の雑音対策回路である。ノイズリダクション回路で抑えられる雑音は、主としてテープまたはヘッドから発生する再生段階の雑音に限られ、録音の時に存在する雑音ではない。
【0024】
雑音除去の方法は、録音に先だって小レベルの信号のみを自動的に大きなレベルとして録音し、再生時には録音時とは逆に、大きなレベルにして録音された信号を自動的に元のレベル戻すように再生増幅度を下げて再生する。このようにすれば再生される小レベルの信号に含まれる雑音も小さくなる。
【0025】
ドルビーBタイプのノイズリダクション回路はノイズリダクション回路の草分け的な存在で、現在の市販のカセットなどにもこの方式でエンコードされているものが多い。
この方式では、小レベル信号のレベルを上げるエンコード処理を全周波数帯域に対しては行っていない。ドルビーBタイプでは約500Hz以上の周波数に対してのみエンコードが行われ、録音前にレベルを上げるエンコード処理と再生時にレベルを下げるデコード処理は、テープノイズが集中する1〜3kHzを中心に行われ、その処理対象になる帯域も信号レベルによって変える独特な方法が使われている。
ドルビーBタイプによる雑音抑圧能力は図4に示すように最大で10dbになる。
【0026】
ドルビーBタイプのもう一つの特徴は、レベルを上げたり落としたりする操作を増幅器全体の増幅度を変えて行うのではなく、ドルビー・レベルとよばれるレベルを境として、レベルが下がるに従い、処理すべき帯域にある信号成分を逐次増加させながら原信号から抜きだし、これを原信号に加えることで強め、再生の時には抜き出した信号成分と再生時の雑音を一緒にして、再生信号から抜き出すことで目的を達している点である。
【0027】
このような方法を採っているために、信号がドルビー・レベルに近付くにしたがって強め弱めのレベル変化量は減少し、雑音抑圧量も小さくなる。
しかしこれは、信号レベルが大きければ雑音が邪魔にならないマスキング効果によって実害にならないし、全体的な処理量が小さくて済むため、立上がりの早い打撃音で持続時間の短い音に対してアンプの利得変化が追い付かないことから音の消えた後に雑音が残って消えるような、いわゆるブリージング減少は表れない。
【0028】
処理すべき帯域にある信号成分を逐次増加させながら原信号から抜きだすには独特の方法が採られ、この抜き出し成分を決める回路を録音再生別建てにせず、一つの回路で行っている。このため、抜き出し成分、つまり足し引きされる信号成分は正確に同じものになるため、原信号に対する再生信号の復元性は極めて高くなる。
【0029】
さて、以上説明したように、従来の音場補正回路では、多チャネルサラウンド信号からフロント2チャネルサラウンド信号を得る際、充分な効果を上げるためにドルビー・プロロジック等の高価なマトリックス回路を用いたデコーダを使用してきていた。
本発明では、これに変えて加算器と減算器などを有効に用いて、移動感で若干劣る面があるものの、実用上ほとんど問題のない程度の効果を非常に低コストで実現することができた。
したがって、音質を特に問題とするような高音質のオーディオ機器などでない、例えばTVやビデオなどの分野や、携帯型の音響機器や、低価格帯のモデルなどには広い範囲で採用が期待でき、この方式を用いた製品の将来性を期待することできる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、多チャネルサラウンド用にエンコードされた2チャネルステレオ信号を復元して多チャネルサラウンド信号を得るためのデコード回路を、2チャネルステレオ信号がそれぞれ入力される加算器および減算器と、この加算器および減算器の出力レベルを調整するレベル調整用のボリュームで構成した。
これにより、移動感で若干劣る面があるものの、実用上ほとんど問題のない程度の臨場感を生み出すサラウンド効果が、非常に低コストで実現でき、オーディオ機器などでない、音質をさほど問題としないTVやビデオなどの分野や、携帯型の音響機器や、低価格帯のモデルなどに有利に利用できる音場補正回路を実現することができる。
さらに、2チャネルステレオ信号の減算器からの差信号の出力にはドルビー変形Bタイプのノイズリダクションを行う。
これによって、再生段階の雑音を大幅に減らすことができ、聞きやすく臨場感に溢れたサラウンド再生信号が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音場補正回路の一実施の形態の回路ブロック図。
【図2】本発明の音場補正回路の他の実施の形態の回路ブロック図。
【図3】2チャネル信号を多チャネルサラウンドを経てフロント2チャネルサラウンドに変換する音場補正回路のブロック図。
【図4】ドルビーBタイプによる雑音抑圧効果を示す説明図。
【符号の説明】
1…デコーダ、2…バーチャライザ回路、3…加算器、4および6…レベル調整用ボリューム、5…減算器、7…ドルビー変形Bノイズリダクション回路。

Claims (3)

  1. 多チャンネルサラウンド用にエンコードされた2チャンネルステレオ入力信号からフロント2チャンネルサラウンド信号を作成して出力する音場補正回路であって、
    前記2チャンネルステレオ入力信号のそれぞれを加算し、中央チャンネル信号として出力する加算手段と、
    前記2チャンネルステレオ入力信号の一方から他方を減算し、サラウンドチャンネル信号として出力する減算手段と、
    前記加算手段から出力される前記中央チャンネル信号のレベルを調整する第1のレベル調整手段と、
    前記減算手段から出力される前記サラウンドチャンネル信号のレベルを調整する第2のレベル調整手段と、
    前記2チャンネルステレオ入力信号、前記調整された中央チャンネル信号及び前記調整されたサラウンドチャンネル信号が、デコードされた左チャンネル、右チャンネル、中央チャンネルおよびサラウンドチャンネルからなる多チャンネルサラウンド信号として入力され、多チャンネルサラウンド信号から前記フロント2チャンネルサラウンド信号を生成し、該フロント2チャンネルサラウンド信号を出力する信号作成手段と
    を備えることを特徴とする音場補正回路。
  2. 前記減算手段と前記第2のレベル調整手段の間に雑音除去手段を設けた
    ことを特徴とする請求項1に記載の音場補正回路。
  3. 前記雑音除去手段は、
    ドルビー変形Bノイズリダクション処理を行う
    ことを特徴とする請求項2に記載の音場補正回路。
JP14018897A 1997-05-29 1997-05-29 音場補正回路 Expired - Lifetime JP4478220B2 (ja)

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