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JP4317470B2 - コイル部品及びその製造方法 - Google Patents

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JP4317470B2 JP2004049902A JP2004049902A JP4317470B2 JP 4317470 B2 JP4317470 B2 JP 4317470B2 JP 2004049902 A JP2004049902 A JP 2004049902A JP 2004049902 A JP2004049902 A JP 2004049902A JP 4317470 B2 JP4317470 B2 JP 4317470B2
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Description

本発明は、コモンモードチョークコイルやトランスの主要部品等として用いられるコイル部品及びその製造方法に関する。
パーソナルコンピュータや携帯電話機等の電子機器の小型化に伴い、電子機器の内部回路に実装されるコイルやコンデンサ等の電子部品には小型化及び部品厚の薄型化(低背化)が求められている。
しかしながら、フェライトコアに銅線等を巻回した巻線型のコイルは構造上の制約から小型化が困難であるという問題を有している。そこで、小型化、低背化の可能なチップ型のコイル部品の研究開発が進められている。チップ型のコイル部品として、フェライト等の磁性体シート表面にコイル導体パターンを形成して当該磁性シートを積層した積層型のコイル部品や、薄膜形成技術を用いて絶縁膜と金属薄膜のコイル導体とを交互に形成した薄膜型のコイル部品が知られている。
薄膜型のコイル部品としてコモンモードチョークコイルが知られている。図7は、コイル導体59、61の中心軸を含む平面で切断したコモンモードチョークコイル51の断面図である。図7(a)は、コイル断面の上部が凸状に湾曲したコイル導体59、61を有するコモンモードチョークコイル51を示し、図7(b)は、コイル断面の形状が矩形状のコイル導体59、61を有するコモンモードチョークコイル51を示している。図7(a)及び図7(b)に示すように、コモンモードチョークコイル51は、対向配置されたフェライト基板(磁性基板)53、55間に絶縁膜を積層して形成した絶縁層57を有している。絶縁層57中には、絶縁膜を介して対向配置され、スパイラル状に形成されたコイル導体59、61が埋め込まれている。絶縁層57とコイル導体59、61とは薄膜形成技術で順次形成されている。
スパイラル状のコイル導体59、61の内周側には絶縁層57を除去して開口部63が形成されている。コイル導体59、61の外周側には絶縁層57を除去して開口部65が形成されている。また、開口部63、65を埋め込んで磁性層67が形成されている。さらに、磁性層67及び絶縁層57上には接着層69が形成され、磁性基板55が接着されている。
コイル導体59、61を通電することにより、コイル導体59、61の中心軸を含む断面において、磁性基板53、開口部63の磁性層67、接着層69、磁性基板55、接着層69及び開口部65の磁性層67を通る磁路Mが形成される。接着層69は非磁性であるが数μm程度の薄膜なので、この部分で磁力線の漏洩は殆ど発生せず、磁路Mはほぼ閉磁路と看做すことができる。
コモンモードチョークコイル51のコモンモードフィルタ特性を向上させるためには、コイル導体59、61間に強い磁気結合が求められる。コイル導体59、61の磁気結合を強くするためには、コイル導体59、61の巻数を増加させること、磁路Mの磁路長を短くすること及びコイル導体59、61の層間距離を短く且つ均一にする必要がある。限られた領域でコイル導体59、61の巻数を増加させるためには、コイル導体59、61の導体幅と隣接導体の間隔を狭くして、狭ピッチ化を図ることが考えられる。ところが、導体幅を短くするとコイル導体59、61の抵抗値が増大してしまう。そこで、コイル断面の高さと幅の比(アスペクト比)を高くすることにより、狭ピッチ化してもコイル導体59、61のコイル断面の面積をほぼ一定に保ち、抵抗値が増大しないようにできる。
特開2003−133135号公報 特開平11−54326号公報 特願2003−307372号公報 特許第2011372号
ところが、図7(a)に示すように、アスペクト比が0.5以上のコイル導体59、61を電気鍍金法で形成すると、コイル導体59、61のコイル上面は凸状に湾曲し、底面は平坦な形状になる。このため、コイル導体59、61の層間距離は、コイル導体59のコイル上面凸部で最短になり、凸部から両側に向かって徐々に長くなる。これにより、コイル導体59、61間のキャパシタンス(浮遊容量)が減少してしまい、コイル導体59、61の磁気結合度が低下してコモンモードフィルタ特性が劣化してしまうという問題が生じる。
コイル上面形状に起因する磁気結合度の低下を抑制するために、図7(b)に示すように、コイル導体59、61の上面を化学的機械研磨法(CMP法)等で平坦化して、コイル断面を矩形状にする方法がある。しかしながらこの場合には、コイル導体59、61上面を平坦化するための工程が必要になり製造コストが増加してしまう。
このように、コモンモードフィルタ特性を向上させるために、コイル導体59、61の巻数を増加させたり、磁路長を短くしたりしてコイル導体59、61間の磁気結合度を向上させようとすると、コイル導体59、61間に生じるキャパシタンスが減少し、磁気結合度の向上を十分に図ることができない。また、コイル導体59、61間の結合容量を増加させるために、コイル導体59、61の上面を平坦化すると、製造工程数が増加してしまい、製造コストが増加してコモンモードチョークコイル51の高コスト化に繋がってしまう問題を有している。
本発明の目的は、コモンモードフィルタ特性に優れる小型・低背のコイル部品及びその製造方法を提供することにある。
上記目的は、コイル断面上部が曲線状の凸形状に形成された第1のコイル導体と、前記コイル断面に平行な面内において、前記第1のコイル導体の上部形状に倣うように前記第1のコイル導体上に上部が曲線状の凹凸形状に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上面の前記凹凸形状の凸状部に形成され、前記絶縁膜の上部形状に倣うようにコイル断面底部が曲線状の凹形状に形成された第2のコイル導体とを有することを特徴とするコイル部品によって達成される。
上記本発明のコイル部品であって、前記第2のコイル導体は、前記絶縁膜を介して前記第1のコイル導体の直上に形成されていることを特徴とする。
上記本発明のコイル部品であって、前記第1又は第2のコイル導体の少なくとも一方のコイル断面は、アスペクト比が0.5以上に形成されていることを特徴とする。
上記本発明のコイル部品であって、前記第1及び第2のコイル導体間の距離は、ほぼ一定であることを特徴とする。
上記本発明のコイル部品であって、前記絶縁膜は、収縮性レジスト材料で形成されていることを特徴とする。
上記本発明のコイル部品であって、前記第1及び第2のコイル導体間に生じるキャパシタンスを大きくして磁気結合度が向上するように、前記第1及び第2のコイル導体間の距離は、ほぼ一定であることを特徴とする。
また、上記目的は、磁性基板上に、コイル断面上部が曲線状の凸形状の第1のコイル導体を形成し、前記コイル断面に平行な面内において、前記第1のコイル導体の上部形状に倣うように前記第1のコイル導体上に上部が曲線状の凹凸形状の絶縁膜を形成し、前記絶縁膜上面の前記凹凸形状の凸状部に、前記絶縁膜の上部形状に倣うように、コイル断面が曲線状の凹形状の底部を有する第2のコイル導体を形成することを特徴とするコイル部品の製造方法によって達成される。
上記本発明のコイル部品の製造方法であって、収縮性のレジスト材料のレジスト膜を加熱して、収縮・硬化して、前記絶縁膜を形成することを特徴とする。
上記本発明のコイル部品の製造方法であって、前記レジスト膜を前記第1のコイル導体の最上部より前記第1のコイル導体の高さの20乃至50%だけ高く形成することを特徴とする。
上記本発明のコイル部品の製造方法であって、前記第1及び第2のコイル導体をフレームメッキ法で形成することを特徴とする。
上記本発明のコイル部品の製造方法であって、前記第1又は第2のコイル導体の少なくとも一方のコイル断面をアスペクト比が0.5以上になるように形成することを特徴とする。
上記本発明のコイル部品の製造方法であって、前記第1及び第2のコイル導体間に生じるキャパシタンスを大きくして磁気結合度が向上するように、前記第1及び第2のコイル導体間の距離をほぼ一定に形成することを特徴とする。


本発明によれば、コモンモードフィルタ特性に優れる小型・低背のコイル部品を製造できる。
本発明の一実施の形態によるコイル部品及びその製造方法について図1乃至図6を用いて説明する。本実施の形態では、コイル部品として、平衡伝送方式における電磁妨害の原因となるコモンモード電流を抑制するコモンモードチョークコイルを例にとって説明する。まず、コモンモードチョークコイル1の構成について図1を用いて説明する。図1は、コイル導体9、11の中心軸を含む平面で切断したコモンモードチョークコイル1の断面を示している。
図1に示すように、本実施の形態のコモンモードチョークコイル1は、フェライトで形成された磁性基板3上にポリイミド樹脂で形成された絶縁膜7a、導電性材料で形成されたスパイラル状のコイル導体(第1のコイル導体)9、収縮性のレジスト材料で形成された絶縁膜7b、導電性材料で形成されたスパイラル状のコイル導体(第2のコイル導体)11、ポリイミド樹脂で形成された絶縁膜7cがこの順に積層された構成を有している。このように、コイル導体9、11は絶縁膜7a〜7cからなる絶縁層7中に埋め込まれている。
コイル導体11は絶縁膜7bを挟んでコイル導体9の直上に対向配置されている。コイル導体9の電流が流れる方向に直交する面(コイル断面)の形状は、コイル断面上部の中央部が突出する凸状に形成されている。また、コイル導体9のコイル断面の高さと幅の比(アスペクト比=高さ/幅)は0.5以上に形成されている。本実施の形態ではコイル断面のアスペクト比がほぼ1のコイル導体9を例示している。コイル導体9上に形成された絶縁膜7bは熱収縮によってコイル導体9の上部(上面)形状に倣って硬化しているため、絶縁膜7bの上部(上面)は全体的に見るとスパイラル状の凹凸形状になっている。
コイル導体11もアスペクト比が0.5以上に形成されている。本実施の形態ではコイル断面のアスペクト比がほぼ1のコイル導体11を例示している。コイル導体11は、コイル導体9の上面形状に倣って形成された絶縁膜7b上面の凹凸形状の凸状部に形成されている。このため、コイル導体11の底部(底面)は絶縁膜7bの上面形状に倣って凹形状に形成されている。これにより、コイル導体11の底面形状は、絶縁膜7bを介してコイル導体9の上面形状に倣って形成され、コイル導体9、11間の距離はほぼ一定になっている。また、コイル導体9、11間の絶縁膜7bもほぼ一定の膜厚に形成されている。
コイル導体9、11の内周側には絶縁層7を除去して開口部13が形成されている。コイル導体9、11の外周側には絶縁層7を除去して開口部15が形成されている。また、コイル導体9とコイル導体11との相互間の磁気結合度を改善すると共にコモンインピーダンスを増加させてインピーダンス特性を向上させるために、開口部13、15を埋め込んで磁性層17が形成されている。磁性層17は、ポリイミド樹脂にフェライトの磁粉を混入した複合フェライトで形成されている。さらに、磁性層17及び絶縁膜9c上には接着層19が形成され、フェライトで形成された磁性基板5が接着されている。
次に、本実施の形態によるコモンモードチョークコイル1の動作について説明する。コイル導体9、11に通電することにより、図1に示すように、コイル導体9、11の中心軸を含む断面において、磁性基板3、開口部13の磁性層17、接着層19、磁性基板5、接着層19、開口部15の磁性層17をこの順(又は逆順)に通る磁路Mが形成される。接着層19は非磁性であるが数μm程度の薄膜なので、この部分で磁力線の漏洩は殆ど発生せず、磁路Mはほぼ閉磁路と看做すことができる。
磁路Mの磁路長は、コイル導体9、11の間隔を狭くすることにより短くすることができる。これにより、コイル導体9、11の磁気結合度が向上し、所定周波数のノイズ成分を除去するコモンモードフィルタ特性が向上する。また、高アスペクト比のコイル断面形状を有しているので、コイル導体9、11は低抵抗になり、コモンモードチョークコイル1は比較的大きな電流が流れる用途にも適用可能になる。
さらに、コイル導体11の断面底部は、ほぼ一定膜厚の絶縁膜7bを介してコイル導体9の断面上部の凸形状に倣って凹形状に形成されているので、コイル導体9、11間の距離をほぼ一定にすることができる。これにより、コイル導体9、11間に生じるキャパシタンスを大きくすることができ、コイル導体9、11の磁気結合度を向上させてコモンモードフィルタ特性を一層向上させることができる。
このように、コモンモードチョークコイル1は、高アスペクト比のコイル断面を有するコイル導体9、11により磁路長を短くすると共に、コイル導体11の底面をコイル導体9の上面に倣わせることにより、コイル導体9、11間の距離を短く且つ一定にして磁気結合度を向上させることができる。これにより、コモンモードチョークコイル1のコモンモードフィルタ特性が向上し、さらに小型化・低背化を図ることができる。
次に、本実施の形態によるコモンモードチョークコイル1の製造方法について図2乃至図6を用いて説明する。図2乃至図6は、コイル導体9、11の中心軸を含む平面で切断したコモンモードチョークコイル1の製造工程断面図である。なお、図1に示したコモンモードチョークコイル1の構成要素と同一の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
まず、図2(a)に示すように、フェライトで形成された磁性基板3上に厚さ7〜8μmのポリイミド樹脂を塗布してパターニングし、絶縁膜7aを形成する。絶縁膜7aは開口部13、15を開口して形成される。次に、フレームメッキ法を用いて、コイル導体9を形成する。フレームメッキ法は、レジスト層をパターニングして形成した型(フレーム)を用いてメッキ膜を形成する方法である。
図2(b)に示すように、全面にスパッタリング法や蒸着法を用いて電極膜9aを成膜する。電極膜9aの下層に絶縁膜7aとの密着性を高めるための、例えば、膜厚50nmのクロム(Cr)膜及び膜厚100nmのチタン(Ti)膜の2層の接着層を形成してもよい。電極膜9aは、導電性のある材料であれば問題ないが、できればメッキされる金属材料と同一材料を用いることが望ましい。
次に、図2(c)に示すように、全面にポジ型レジストを塗布してレジスト層21aを形成し、必要に応じてレジスト層21aのプリベーク処理を行う。なお、レジスト層21aはネガ型レジストを用いてもよい。次いで、コイル導体9のパターンが描画されたマスク23を介して露光光を照射して、レジスト層21aを露光する。
次に、必要に応じて熱処理後、アルカリ現像液で現像する。アルカリ現像液としては、例えば、所定濃度のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)が用いられる。次に、現像工程から引き続いて洗浄工程に移る。レジスト層21a中の現像液を洗浄液で洗浄し、レジスト層21aの現像溶解反応を停止させて、図3(a)に示すように、コイル導体9の形状にパターニングされたレジストフレーム21bが形成される。洗浄液としては、例えば純水が用いられる。
洗浄が終了すると、洗浄液を振り切って乾燥させる。必要であれば磁性基板3を加熱して洗浄液を乾燥させてもよい。次に、磁性基板3をメッキ槽中のメッキ液に浸漬して、レジストフレーム21bを型にしてメッキ処理を行い、図3(b)に示すように、レジストフレーム21b間にメッキ膜9bを形成する。メッキ膜9bは上面中央が盛り上がった断面凸形状に形成される。次いで、図3(c)に示すように、必要に応じて水洗し乾燥させてからレジストフレーム21bを有機溶剤を用いて電極膜9aから剥離する。次いで、図4(a)に示すように、メッキ膜9bをマスクにして電極膜9aをドライエッチング(イオンミリングや反応性イオンエッチング(RIE)等)やウエットエッチングにより除去する。こうして、電極膜9a及びメッキ膜9bからなる上面凸状のコイル導体9が形成される。また、電極膜9aのドライエッチングにより、開口部13、15には磁性基板3が露出する。
フレームメッキ法によりコイル導体9が形成されたら、次に、図4(b)に示すように、全面に収縮性の高いレジスト材料を塗布してパターニングし、レジスト膜6を形成する。レジスト膜6は開口部13、15を開口して形成され、コイル導体9を覆う絶縁膜7bになる。レジスト膜6は、コイル導体9の最上部よりコイル導体9の高さ(厚さ)の20%〜50%だけ高くなる膜厚に塗布して形成される。次に、図4(c)に示すように、レジスト膜6を190℃まで加熱して熱収縮させて硬化させ、絶縁膜7bを形成する。なお、レジスト膜6を硬化する際にUV照射等を併用してももちろんよい。絶縁膜7bはコイル導体9上において一定の膜厚を有し、さらにコイル導体9上面の凸形状に倣って硬化して上面が全体的に見るとスパイラル状の凹凸形状になる。このため、コイル断面に平行な面内において、絶縁膜7b上部は波型形状になる。
次に、絶縁膜7b上にフレームメッキ法を用いて、コイル導体11を形成する。図5(a)に示すように、全面に電極膜11aを形成する。次いで、全面にポジ型レジストを塗布して、コイル導体11のパターンが描画されたマスク(不図示)を用いてパターニングし、コイル導体11の形状がパターニングされたレジストフレーム25を形成する。絶縁膜7bを介してコイル導体9の直上にコイル導体11が形成されるように、レジストフレーム25は、コイル導体9の隣接導体間上の絶縁膜7bの凹部と、開口部13、15とに形成される。なお、レジストフレーム25を形成するために、ネガ型レジストを用いてもよい。次に、図5(b)に示すように、磁性基板3をメッキ槽中のメッキ液に浸漬して、レジストフレーム25を型にしてメッキ処理を行い、レジストフレーム25間にメッキ膜11bを形成する。メッキ膜11bの底面は絶縁膜7b上面の凸部に倣って形成されるので凹形状になる。
次いで、図5(c)に示すように、レジストフレーム25を有機溶剤を用いて電極膜11aから剥離し、次いで、メッキ膜11bをマスクにして電極膜11aをドライエッチングやウエットエッチングにより除去する。こうして、電極膜11a及びメッキ膜11bからなる底面凹状のコイル導体11が形成される。また、電極膜11aのドライエッチングにより、開口部13、15には磁性基板3が露出する。
次に、図6に示すように、全面にポリイミド樹脂を塗布してパターニングし、絶縁膜7cを形成して硬化する。絶縁膜7cは開口部13、15を開口して形成される。
次に、図示は省略するが、ポリイミド樹脂にフェライトの磁粉を混入した複合フェライトを開口部13、15に埋め込んだ磁性層17を形成する。次に、開口部13、15の磁性層17上及び絶縁膜7c上に接着剤を塗布して接着層19を形成する。次いで、磁性基板5を接着層19に固着する。
次に、コイル導体9、11に接続される外部電極(不図示)を磁性基板3、5の対向側面上に、基板面にほぼ直角で且つ磁性基板3、5間を横切って形成する。こうして、図1に示すコモンモードチョークコイル1が完成する。
以上説明したように、本実施の形態のコモンモードチョークコイル1の製造方法によれば、コイル導体9、11間に形成する絶縁膜7bに収縮性の高いレジスト材料を用いることにより、コイル導体9、11間の距離を短く且つ一定にすることができる。これにより、コイル導体9、11間の磁気結合が向上し、コモンモードフィルタ特性に優れたコモンモードチョークコイル1を形成することができる。さらに、コイル断面形状を高アスペクト比にすることにより生じるコイル導体9上面の凸状部を平坦化しなくても、コイル導体9、11間の磁気結合を十分に強くすることができる。従って、コモンモードチョークコイル1の製造工程を削減することができるので、製造コストを低減させてコモンモードチョークコイル1の低コスト化を図ることができる。
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
上記実施の形態では、コイル導体9は断面上部中央が盛り上がった凸形状に形成されているが、本発明はこれに限られない。断面上部が波型形状や凹形状等であっても、絶縁膜7bをコイル導体9上面の形状に倣って形成することができるので、絶縁膜7b上に形成されるコイル導体11の底面をコイル導体9上面に倣って形成することができる。これにより、コイル導体9、11間の距離は短く且つ一定にできるので、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施の形態では、コイル導体11は断面上部中央が盛り上がった凸形状に形成されているが、本発明はこれに限られない。コイル導体11上面は、波型形状、凹形状又は平坦形状等であっても、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施の形態では、開口部13、15に埋め込んで形成された磁性層17を有しているが、本発明はこれに限られない。開口部13、15及び磁性層17が形成されていない構造であっても上記実施の形態と同様の効果が得られる。
本発明の一実施の形態によるコモンモードチョークコイル1の断面図である。 本発明の一実施の形態によるコモンモードチョークコイル1の製造工程断面図である。 本発明の一実施の形態によるコモンモードチョークコイル1の製造工程断面図である。 本発明の一実施の形態によるコモンモードチョークコイル1の製造工程断面図である。 本発明の一実施の形態によるコモンモードチョークコイル1の製造工程断面図である。 本発明の一実施の形態によるコモンモードチョークコイル1の製造工程断面図である。 従来のコモンモードチョークコイル51の断面図である。
符号の説明
1 コモンモードチョークコイル
3、5、53、55 磁性基板
6 レジスト膜
7、57 絶縁層
7a、7b、7c 絶縁膜
9、11、59、61 コイル導体
13、15、63、65 開口部
17、67 磁性層
19、69 接着層
9a、11a 電極膜
21a レジスト層
23 マスク
21b、25 レジストフレーム
9b、11b メッキ膜

Claims (12)

  1. コイル断面上部が曲線状の凸形状に形成された第1のコイル導体と、
    前記コイル断面に平行な面内において、前記第1のコイル導体の上部形状に倣うように前記第1のコイル導体上に上部が曲線状の凹凸形状に形成された絶縁膜と、
    前記絶縁膜上面の前記凹凸形状の凸状部に形成され、前記絶縁膜の上部形状に倣うようにコイル断面底部が曲線状の凹形状に形成された第2のコイル導体と
    を有することを特徴とするコイル部品。
  2. 請求項1記載のコイル部品であって、
    前記第2のコイル導体は、前記絶縁膜を介して前記第1のコイル導体の直上に形成されていることを特徴とするコイル部品。
  3. 請求項1又は2に記載のコイル部品であって、
    前記第1又は第2のコイル導体の少なくとも一方のコイル断面は、アスペクト比が0.5以上に形成されていることを特徴とするコイル部品。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    前記第1及び第2のコイル導体間の距離は、ほぼ一定であることを特徴とするコイル部品。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    前記絶縁膜は、収縮性レジスト材料で形成されていることを特徴とするコイル部品。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のコイル部品であって、
    前記第1及び第2のコイル導体間に生じるキャパシタンスを大きくして磁気結合度が向上するように、前記第1及び第2のコイル導体間の距離は、ほぼ一定であること
    を特徴とするコイル部品。
  7. 磁性基板上に、コイル断面上部が曲線状の凸形状の第1のコイル導体を形成し、
    前記コイル断面に平行な面内において、前記第1のコイル導体の上部形状に倣うように前記第1のコイル導体上に上部が曲線状の凹凸形状の絶縁膜を形成し、
    前記絶縁膜上面の前記凹凸形状の凸状部に、前記絶縁膜の上部形状に倣うように、コイル断面が曲線状の凹形状の底部を有する第2のコイル導体を形成すること
    を特徴とするコイル部品の製造方法。
  8. 請求項記載のコイル部品の製造方法であって、
    収縮性のレジスト材料のレジスト膜を加熱して、収縮・硬化して、前記絶縁膜を形成することを特徴とするコイル部品の製造方法。
  9. 請求項記載のコイル部品の製造方法であって、
    前記レジスト膜を前記第1のコイル導体の最上部より前記第1のコイル導体の高さの20乃至50%だけ高く形成すること
    を特徴とするコイル部品の製造方法。
  10. 請求項乃至のいずれか1項に記載のコイル部品の製造方法であって、
    前記第1及び第2のコイル導体をフレームメッキ法で形成すること
    を特徴とするコイル部品の製造方法。
  11. 請求項乃至10のいずれか1項に記載のコイル部品の製造方法であって、
    前記第1又は第2のコイル導体の少なくとも一方のコイル断面をアスペクト比が0.5以上になるように形成すること
    を特徴とするコイル部品の製造方法。
  12. 請求項乃至11のいずれか1項に記載のコイル部品の製造方法であって、
    前記第1及び第2のコイル導体間に生じるキャパシタンスを大きくして磁気結合度が向上するように、前記第1及び第2のコイル導体間の距離をほぼ一定に形成すること
    を特徴とするコイル部品の製造方法。
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