JP3998922B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧着端子又は圧接端子を収容可能な複数の共用端子収容部を併設された絶縁ハウジングを一段又は多段に配設し、これら圧着端子及び圧接端子を混在収容するコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車に搭載される電気機器や制御回路等の増加に伴い、車体に配索されるワイヤハーネスは、収容する電線数が増大している。そして、このように収容電線数が多いワイヤハーネスでは、生産性を向上させるために、電線端の接続作業性に優れた圧接端子を収容保持するコネクタの採用が増えている。
【0003】
前記圧接端子は、対向配置された一対の圧接刃間に被覆電線を圧入した際に、絶縁被覆を切断した圧接刃が内部導体に接触することで、電線の内部導体との電気的な接続を得る構成のもので、従来より普及している圧着端子と比較して、電線端の被覆のはぎ取り工程や、端子の加締め工程が不要になるため、電線の接続作業を大幅に改善することができる。
【0004】
しかしその反面、前記圧接端子は、その構造上、接続可能な電線が制限される。例えば、一対の圧接刃間の隙間寸法に対して内部導体の外径が規定範囲外となる被覆電線や、内部導体の外周にシールド線を配したシールド電線、或いは高い接続強度が必要となる電線等に対しては、圧接端子は不向きである。
【0005】
一般に、自動車のワイヤハーネスには、寸法の異なる各種の被覆電線やシールド電線等が含まれるので、生産性を考慮して、圧接端子を接続する電線と、従来と同様に圧着端子を接続する電線との使い分けが必要になる。
そして、このような圧接端子と圧着端子との混在環境を考慮して、圧着端子又は圧接端子を収容可能な複数の共用端子収容部を併設された絶縁ハウジングを一段又は多段に配設し、これら圧着端子及び圧接端子を混在収容するコネクタが提案されている。
【0006】
図9乃至図11は、圧着端子と圧接端子とを混在収容するコネクタの従来例を示したものである。
ここに示したコネクタ1は、特開平10−189117号公報等に開示されたもので、絶縁ハウジング3に、圧着端子5及び圧接端子6に共用可能な複数個の共用端子収容部8を上下2段に整列形成して、圧着端子5と圧接端子6とを混在収容する。
【0007】
上記の圧着端子5及び圧接端子6は、金属導体板のプレス成形品である。
前記圧接端子6は、図10に示すように、被覆電線13の外部被覆を切断して内部導体に接触する一対の圧接刃6a,6aが端子後端部に二組、対向配置されると共に、相手側の接続雄端子が嵌合する雌の端子嵌合部6cが端子先端部に配設される構造である。
又、前記圧着端子5は、図11に示すように、被覆電線12の内部導体を圧着する導体加締め爪5aと、被覆電線12を外部被覆上から押さえる被覆加締め爪5bとが端子後端部に配置されると共に、相手側の接続雄端子が嵌合する雌の端子嵌合部5cが端子先端部に配設される構造である。
【0008】
前記共用端子収容部8の後半部には、前記圧接端子6が収容された後、端子後端部で対を成す圧接刃6a,6aに被覆電線13を圧接可能とする開口が設けられており、該開口を遮蔽するカバー9,10は、前記開口より前方側で薄肉ヒンジ11により前記絶縁ハウジング3に一体成形されている。
前記共用端子収容部8の前半部は、圧着端子5及び圧接端子6の端子嵌合部5c,6cを収容すると共に、これら端子5,6を仮係止する可撓ランス3a,3bを内部に有している。
【0009】
そこで、前記圧着端子5及び圧接端子6は、図10及び図11に矢印A,Bで示したように、各共用端子収容部8の後方から絶縁ハウジング3の前方に向かって挿入され、共用端子収容部8内の可撓ランス3a,3bに仮係止される。
そして、前記圧接端子6は、図10に示すように、矢印C,D方向から圧接刃6a,6aに被覆電線13が圧接される。又、前記圧着端子5には、図11に示すように、予め被覆電線12が圧着されている
【0010】
その後、前記開閉カバー9,10が閉じられ、本係止状態となって前記圧着端子5及び圧接端子6の抜けが防止される。
閉じた開閉カバー9,10は、図9に示すように、絶縁ハウジング3の外側面に突設された係止ロック部3c,3dとの係合によって、閉状態にロックされる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来のコネクタ1は、共用端子収容部8への各端子5,6の装着を、絶縁ハウジング3の後方からの挿入動作によって行うものである。
そこで、挿入時に端子長手方向に沿って挿入される各端子5,6には振れが生じ易く、端子の振れによって端子先端部等が共用端子収容部8の内壁面に衝突して、挿入操作が円滑にできなくなる可能性があった。
【0012】
また、前記絶縁ハウジング3上の共用端子収容部8に対する圧着端子5又は圧接端子6の挿入方向(図10及び図11の矢印A及びB方向)と、圧接端子6に対する被覆電線13の圧接操作方向(図10の矢印C,D方向)とが異なるため、絶縁ハウジング3に対する圧着端子5及び圧接端子6の実装工程や、圧接端子6に対する被覆電線13の圧接工程の自動化が難しく、コネクタ1の組立作業性が良くないという問題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することにあり、圧着端子と圧接端子とを混在収容することができると共に、共用端子収容部内への各端子の挿入作業性を高めてコネクタの組立作業性を向上させ、コストダウンを図ることができる良好なコネクタを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、圧着端子又は圧接端子を収容可能な複数の共用端子収容部を併設された絶縁ハウジングを一段又は多段に配設し、これら圧着端子及び圧接端子を混在収容するコネクタであって、前記絶縁ハウジングの共用端子収容部が、基板部に立設された隔壁によって形成され、圧着端子又は圧接端子が各共用端子収容部の上方開口から挿入されると共に、前記共用端子収容部の上方開口が、各絶縁ハウジングの上に積層される他の絶縁ハウジング又はカバー部材によって覆われ、前記絶縁ハウジングの各隔壁には、各共用端子収容部の上方開口から挿入される圧着端子又は圧接端子のハウジング係合部に係合して、各端子の軸線方向の位置決めを果たす端子係止部が設けられ、前記ハウジング係合部が、前記各隔壁に対向する前記各端子の側壁に形成された係止用開口と、該係止用開口の端子底壁側に形成された可撓係止片とを備えると共に、前記端子係止部が、前記係止用開口に対応して前記各隔壁に突設された係止突起から成ることを特徴とするコネクタにより達成される。
【0015】
上記構成によれば、圧着端子又は圧接端子が、各共用端子収容部の上方開口から挿入される。
そこで、端子長手方向に沿って後方開口から共用端子収容部内に挿入される従来のコネクタの場合と比べると、開口が大きく各端子の挿入が容易であり、挿入時の端子の振れによる端子先端部と共用端子収容部の内壁との衝突等が生じることもない。
【0016】
また、共用端子収容部に対する各圧着端子又は圧接端子の挿入方向と、圧接端子に対する被覆電線の圧接操作方向とが一致するため、絶縁ハウジングに対する各端子の実装工程や、圧接端子に対する被覆電線の圧接工程の自動化が容易になる。
【0017】
また、前記絶縁ハウジングの各隔壁には、各共用端子収容部の上方開口から挿入される圧着端子又は圧接端子のハウジング係合部に係合して、各端子の軸線方向の位置決めを果たす端子係止部が設けられる。この場合、各共用端子収容部内に挿入された圧接端子は、ハウジング係合部に係合した端子係止部により、軸線方向の位置決めが成されるので、圧接工程時の位置ズレを防止できる。又、各端子は、各絶縁ハウジングの上に積層される他の絶縁ハウジング又はカバー部材によって覆われるまでの端子抜けを防止される。
【0018】
更に、前記ハウジング係合部が、前記各隔壁に対向する前記各端子の側壁に形成された係止用開口と、該係止用開口の端子底壁側に形成された可撓係止片とを備えると共に、前記端子係止部が、前記係止用開口に対応して前記各隔壁に突設された係止突起から成る。
【0019】
この場合、前記各隔壁に突設された係止突起が、前記係止用開口及び前記可撓係止片に係合することで、各端子を各共用端子収容部内に位置決めすることができる。
そこで、端子に切り起こした係止ランスを端子収容部の内壁面に形成した凹部に係合させたり、端子収容部の内壁面に形成した可撓ランスを端子に形成した開口に係合させることにより、収容した端子を端子収容部内に係止させる従来のコネクタに比べて、前記絶縁ハウジングは、各共用端子収容部を画成する隔壁の肉厚を薄肉化して、共用端子収容部の配列ピッチを狭めることができ、小型化が容易である。
【0020】
又、各端子に接続された被覆電線を介して作用する引張り力は、前記隔壁に突設された係止突起と、この係止突起が嵌入した係止用開口の開口縁との引っ掛かりによって受けることができるので、従来の係止ランスや可撓ランスに比べて、前記絶縁ハウジングに対する十分な端子係止力を容易に確保することができる。更に、前記可撓係止片は、前記各端子の側壁より外方へ突出しないので、端子の輸送時等に該可撓係止片が他の端子や他の器物等に引っ掛かって損傷する虞がなく、取扱いが容易である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係るコネクタを詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図、図2は図1に示したコネクタの組立斜視図、図3は図1に示した圧着端子の上下面側から見た全体斜視図、図4は図1に示した圧接端子の上下面側から見た全体斜視図、図5は図1に示した絶縁ハウジングにカバー部材を装着した状態の共用端子収容部を示す縦断面図、図6は図1に示したコネクタの共用端子収容部に対する圧接端子の装着操作を説明する要部横断面図である。
【0022】
本第1実施形態のコネクタ21は、自動車のワイヤハーネス用に開発されたものであり、図1及び図2に示したように、圧着端子25又は圧接端子26を収容可能な複数の共用端子収容部28を併設された絶縁ハウジング23を二段に配設し、これら圧着端子25及び圧接端子26を混在収容するコネクタである。
【0023】
上記の圧着端子25又は圧接端子26は、金属導体板のプレス成形品である。前記圧着端子25は、図3(a),(b)に示すように、被覆電線12の内部導体を圧着する導体加締め爪25aと、被覆電線12を外部被覆上から押さえる被覆加締め爪25bとが端子後端部に配置されると共に、相手側の接続雄端子が嵌合する雌の端子嵌合部25cが端子先端部に配設される構造である。
【0024】
又、前記圧接端子26は、図4(a),(b)に示すように、被覆電線13の外部被覆13bを切断して内部導体13aに接触する一対の圧接刃26a,26aが端子後端部に二組、対向配置されると共に、相手側の接続雄端子が嵌合する雌の端子嵌合部26cが端子先端部に配設される構造である。
【0025】
本第1実施形態の絶縁ハウジング23は、長尺状の基板部27に所定間隔で立設された隔壁29によって、複数の共用端子収容部28が画成されており、前記圧着端子25又は圧接端子26が各共用端子収容部28の上方開口から挿入される。即ち、各端子25,26は、前記圧接端子26への電線13の圧接操作方向と同一の方向(図1中、上方向)から各共用端子収容部28内に挿入できる。
尚、前記絶縁ハウジング23は、共用端子収容部28の配列方向に沿って予め長尺連鎖状に一体成形し、後から必要な極数に合わせて所定長さにカットして使用される。又、上記絶縁ハウジング23の前端側には、相手側の接続雄端子を挿入案内する端子挿入口を構成する前壁30が一体形成されている。
【0026】
そして、下段の絶縁ハウジング23における共用端子収容部28の上方開口は、上段の絶縁ハウジング23の基板部27によって覆われ、上段の絶縁ハウジング23における共用端子収容部28の上方開口は、積層状態に結合されるカバー部材31のカバー本体31aによって覆われる。略矩形状のカバー本体31aの両側端には、これら絶縁ハウジング23,23の両側縁を抱持するカバーロック32が設けられている。又、前記カバー本体31aの上面には、相手コネクタと嵌合ロックする為のロックアーム34が設けられている。
【0027】
尚、上記第1実施形態のコネクタ21は、2個の絶縁ハウジング23相互を上下に積層状態に重ねることで、上下に多段に共用端子収容部28を装備したコネクタを構築しているが、絶縁ハウジング23を一段にしたり、三段以上の多段に積層したコネクタを構築することもできる。この場合、前記カバー部材31のカバーロック32の長さを適宜変更するだけで良く、絶縁ハウジング23を共通化することができる。
【0028】
更に、前記絶縁ハウジング23の共用端子収容部28を画成している各隔壁29の両面には、各共用端子収容部28の上方開口から挿入される圧着端子25又は圧接端子26のハウジング係合部41に係合して、各端子の軸線方向の位置決めを果たす端子係止部としての係止突起33が突設されている。
前記係止突起33は、図5及び図6に示したように、ハウジング上面側に案内用の傾斜面33aを有し、ハウジング下面側に係止用の水平面33bを有している。
【0029】
又、前記圧着端子25及び圧接端子26のハウジング係合部41は、図3及び図4にも示したように、絶縁ハウジング23の隔壁29に対向する一対の端子側壁25d,25d(26d,26d)に貫通形成され、前記係止突起33が嵌入可能な係止用開口41aと、該係止用開口41aの端子底壁25e(26e)側から端子側壁25d(26d)に沿って立ち上がるように切り起こし形成された可撓係止片43とを備える。
【0030】
そこで先ず、図6(a)に示したように、例えば前記絶縁ハウジング23の共用端子収容部28の上方開口から前記圧接端子26が挿入されると、前記ハウジング係合部41の可撓係止片43が前記係止突起33の傾斜面33aに当接し、内方に弾性変形させられるので、前記係止突起33は係止用開口41aへの嵌入が許容される。この際、前記可撓係止片43の当接部にも案内傾斜面43aを形成することで、前記圧接端子26の挿入をスムーズに行うことができる。
【0031】
そして、図6(b)に示したように、前記圧接端子26が前記共用端子収容部28内に押し込まれ、前記可撓係止片43が前記係止突起33を乗り越えると、弾性復元力で前記可撓弾性片43が前記係止突起33の水平面33bに係合するので、前記圧接端子26は上方への抜けが阻止される。
又、前記圧接端子26は、前記係止突起33が前記端子底壁25e側から前記係止用開口41a内に嵌入され、開口縁に引っ掛かることで端子軸線方向の位置決めが成される。
尚、図6においては、前記絶縁ハウジング23の共用端子収容部28の上方開口から圧接端子26を挿入する場合について説明したが、前記圧着端子25のハウジング係合部41の構成も同様であり、同様に収容保持することができる。
【0032】
即ち、本第1実施形態のコネクタ21によれば、圧着端子25又は圧接端子26が各共用端子収容部28の上方開口から挿入される。
そこで、図10及び図11に示したように端子長手方向に沿って後方から共用端子収容部8内に圧着端子5又は圧接端子6が挿入される従来のコネクタ1の場合と比べると、開口が大きく各端子25,26の挿入が容易であり、挿入時の前記端子25,26の振れによる端子先端部と隔壁29との衝突(ドツキ)等が生じることもなく、速やかに挿入操作を完了させることができる。
【0033】
また、各共用端子収容部28に対する各圧着端子25又は圧接端子26の挿入方向と、圧接端子26に対する被覆電線13の圧接操作方向とが一致するため、絶縁ハウジング23に対する各端子25,26の実装工程や、圧接端子26に対する被覆電線13の圧接工程の自動化が容易になる。
従って、本第1実施形態のコネクタ21によれば、圧着端子25と圧接端子26とを混在収容することができると共に、共用端子収容部28内への各端子25,26の挿入作業性を高めてコネクタ21の組立作業性を向上させ、コストダウンを図ることができる。
【0034】
更に、本第1実施形態の絶縁ハウジング23における共用端子収容部28を画成している各隔壁29の両面には、各共用端子収容部28の上方開口から挿入される圧着端子25又は圧接端子26のハウジング係合部41に係合して、各端子の軸線方向の位置決めを果たす端子係止部としての係止突起33が突設されている。
【0035】
そこで、前記圧接端子26が前記共用端子収容部28内に収容された後、端子後端部で対を成す圧接刃26a,26aに被覆電線13を圧接する圧接工程時の位置ズレを防止できる。又、前記共用端子収容部28内に収容された各端子25,26は、ハウジング係合部41が前記係止突起33に仮係止されるので、下段の絶縁ハウジング23の上に積層される上段の絶縁ハウジング23及びカバー部材31によって覆われるまでの端子抜けを防止される。
【0036】
又、例えば従来のコネクタでは、収容した前記端子を端子収容部内に係止させる為に、端子に切り起こした係止ランスを絶縁ハウジングの端子収容部の内壁面に形成した凹部に係合させたり、端子収容部の内壁面に形成した可撓ランスを端子に形成した開口に係合させているが、上記絶縁ハウジング23は、各隔壁29の両面に小型で簡単な形状の係止突起33が突設されるだけである。
そこで、各共用端子収容部28を画成する隔壁29の肉厚を薄肉化して、共用端子収容部28の配列ピッチを狭めることができ、多極コネクタの小型化が容易である。
【0037】
又、前記各端子25,26に接続された被覆電線12,13を介して作用する引張り力は、前記隔壁29に突設された係止突起33と、この係止突起33が嵌入した係止用開口41aの開口縁との引っ掛かりによって受けることができる。そこで、従来の係止ランスや可撓ランスに比べて、前記絶縁ハウジング23に対する十分な端子係止力を容易に確保することができ、共用端子収容部28における各端子25,26の収容保持性能を向上させることができる。
【0038】
更に、前記可撓係止片43は、前記各端子25,26の端子側壁25d(26d)より外方へ突出しないので、これら端子25,26の輸送時等に該可撓係止片43が他の端子や他の器物等に引っ掛かって損傷する虞がなく、取扱いが容易である。
【0039】
尚、本発明のコネクタは、上記実施形態における絶縁ハウジング23、圧着端子25及び圧接端子26及びカバー部材31の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態における圧着端子25及び圧接端子26は、雌端子であるが、雄端子とすることもできる。
【0040】
図7及び図8は、本発明の第2実施形態に係るコネクタの分解断面図及び組立断面図である。
図7及び図8に示した本第2実施形態のコネクタ51は、上記第1実施形態のコネクタ21と同様に、圧着端子25又は圧接端子26を収容可能な複数の共用端子収容部58を併設された絶縁ハウジング53を二段に配設し、これら圧着端子25及び圧接端子26を混在収容するコネクタである。尚、上記第1実施形態のコネクタ21と同様の構成部品については、同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
本第2実施形態の絶縁ハウジング53は、長尺状の基板部57に所定間隔で立設された隔壁59によって、複数の共用端子収容部58が画成されており、前記圧着端子25又は圧接端子26(図示略)が各共用端子収容部58の上方開口から挿入される。
前記絶縁ハウジング53の各隔壁59の両面には、各端子の軸線方向の位置決めを果たす端子係止部としての係止突起33が突設されている。又、前記絶縁ハウジング53の各隔壁59の後端部には、係止用凸部59aが延設されている。尚、前記絶縁ハウジング53も、上記第1実施形態の絶縁ハウジング23と同様に、共用端子収容部58の配列方向に沿って予め長尺連鎖状に一体成形し、後から必要な極数に合わせて所定長さにカットして使用される。
【0042】
そして、本第2実施形態のカバー部材61は、上記第1実施形態のカバー部材31のように、上段の絶縁ハウジング23における各共用端子収容部28の上方開口のみを覆う略矩形状のカバー本体31aを備えた構成ではなく、積層状態に重ねられたこれら絶縁ハウジング53の周囲をも覆う筒状ハウジング62を備えた構成である。
【0043】
即ち、前記カバー部材61は、図7に示したように、後端側(図中、右側)の開口より前記絶縁ハウジング53が挿着される筒状ハウジング62と、該筒状ハウジング62の上面に設けたロックアーム34とを備える。前記筒状ハウジング62内には、収容された各絶縁ハウジング53の上下方向を位置規制する仕切壁63が設けられている。
【0044】
そして、前記絶縁ハウジング53が、下段側から前記筒状ハウジング62内に順次挿入される。
図8に示したように、先ず、前記筒状ハウジング62内の下段に挿入された絶縁ハウジング53は、上段に挿入された絶縁ハウジング53の係止用凸部59aにより基板部57の後端縁が係止され、抜け止めされる。次に、上段に挿入された絶縁ハウジング53は、前記筒状ハウジング62の後端側の開口上縁に突設された係止突起64により基板部57の後端縁が係止され、抜け止めされる。
【0045】
そこで、本第2実施形態のコネクタ51においては、カバー部材61の筒状ハウジング62内に挿入された上段の絶縁ハウジング53における共用端子収容部58の上方開口が、下段の絶縁ハウジング53の基板部57によって覆われ、下段の絶縁ハウジング53における共用端子収容部58の上方開口が、前記筒状ハウジング62の底壁62aによって覆われる。
【0046】
従って、本第2実施形態のコネクタ51によっても、上記第1実施形態におけるコネクタ21と同様に、圧着端子25と圧接端子26とを混在収容することができると共に、共用端子収容部58内への各端子25,26の挿入作業性を高めてコネクタ51の組立作業性を向上させ、コストダウンを図ることができる。
【0047】
尚、上記第2実施形態のコネクタ51は、2個の絶縁ハウジング53を上下に重ねて筒状ハウジング62内に収容することで、上下に多段に共用端子収容部58を装備したコネクタを構築しているが、絶縁ハウジング53を一段にしたり、三段以上の多段に積層したコネクタを構築することもできる。
【0048】
【発明の効果】
上述した如き本発明のコネクタによれば、圧着端子又は圧接端子が、各共用端子収容部の上方開口から挿入される。
そこで、端子長手方向に沿って後方開口から共用端子収容部内に挿入される従来のコネクタの場合と比べると、開口が大きく各端子の挿入が容易であり、挿入時の端子の振れによる端子先端部と共用端子収容部の内壁との衝突等が生じることもない。
【0049】
また、共用端子収容部に対する各圧着端子又は圧接端子の挿入方向と、圧接端子に対する被覆電線の圧接操作方向とが一致するため、絶縁ハウジングに対する各端子の実装工程や、圧接端子に対する被覆電線の圧接工程の自動化が容易になる。従って、圧着端子と圧接端子とを混在収容することができると共に、共用端子収容部内への各端子の挿入作業性を高めてコネクタの組立作業性を向上させ、コストダウンを図ることができる良好なコネクタを提供できる。
また、各共用端子収容部内に挿入された圧接端子は、ハウジング係合部に係合した端子係止部により、軸線方向の位置決めが成されるので、圧接工程時の位置ズレを防止できる。また、各端子は、各絶縁ハウジングの上に積層される他の絶縁ハウジング又はカバー部材によって覆われるまでの端子抜けを防止される。
また、前記各隔壁に突設された係止突起が、前記係止用開口及び前記可撓係止片に係合することで、各端子を各共用端子収容部内に位置決めすることができる。そこで、端子に切り起こした係止ランスを端子収容部の内壁面に形成した凹部に係合させたり、端子収容部の内壁面に形成した可撓ランスを端子に形成した開口に係合させることにより、収容した端子を端子収容部内に係止させる従来のコネクタに比べて、前記絶縁ハウジングは、各共用端子収容部を画成する隔壁の肉厚を薄肉化して、共用端子収容部の配列ピッチを狭めることができ、小型化が容易である。
また、各端子に接続された被覆電線を介して作用する引張り力は、前記隔壁に突設された係止突起と、この係止突起が嵌入した係止用開口の開口縁との引っ掛かりによって受けることができるので、従来の係止ランスや可撓ランスに比べて、前記絶縁ハウジングに対する十分な端子係止力を容易に確保することができる。更に、前記可撓係止片は、前記各端子の側壁より外方へ突出しないので、端子の輸送時等に該可撓係止片が他の端子や他の器物等に引っ掛かって損傷する虞がなく、取扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【図2】図1に示したコネクタの組立斜視図である。
【図3】(a)は図1に示した圧着端子の上面側から見た全体斜視図、(b)は下面側から見た全体斜視図である。
【図4】(a)は図1に示した圧接端子の上面側から見た全体斜視図、(b)は下面側から見た全体斜視図である。
【図5】図1に示した絶縁ハウジングにカバー部材を装着した状態の共用端子収容部を示す縦断面図である。
【図6】図1に示したコネクタの共用端子収容部に対する圧接端子の装着操作を説明する要部横断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るコネクタの分解断面図である。
【図8】図7に示したコネクタの組立断面図である。
【図9】圧着端子と圧接端子とを混在収容する従来のコネクタにおける絶縁ハウジングの全体斜視図である。
【図10】図9に示した絶縁ハウジングの共用端子収容部に対する圧接端子の装着操作を説明する縦断面図である。
【図11】図9に示した絶縁ハウジングの共用端子収容部に対する圧着端子の装着操作を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
12 被覆電線
13 被覆電線
21 コネクタ
23 絶縁ハウジング
25 圧着端子
26 圧接端子
27 基板部
28 共用端子収容部
29 隔壁
31 カバー部材
33 係止突起(端子係止部)
41 ハウジング係合部
43 可撓係止片
Claims (1)
- 圧着端子又は圧接端子を収容可能な複数の共用端子収容部を併設された絶縁ハウジングを一段又は多段に配設し、これら圧着端子及び圧接端子を混在収容するコネクタであって、前記絶縁ハウジングの共用端子収容部が、基板部に立設された隔壁によって形成され、圧着端子又は圧接端子が各共用端子収容部の上方開口から挿入されると共に、前記共用端子収容部の上方開口が、各絶縁ハウジングの上に積層される他の絶縁ハウジング又はカバー部材によって覆われ、前記絶縁ハウジングの各隔壁には、各共用端子収容部の上方開口から挿入される圧着端子又は圧接端子のハウジング係合部に係合して、各端子の軸線方向の位置決めを果たす端子係止部が設けられ、前記ハウジング係合部が、前記各隔壁に対向する前記各端子の側壁に形成された係止用開口と、該係止用開口の端子底壁側に形成された可撓係止片とを備えると共に、前記端子係止部が、前記係止用開口に対応して前記各隔壁に突設された係止突起から成ることを特徴とするコネクタ。
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