JP3738492B2 - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶配向剤に関し、さらに詳しくは、ポリアミック酸および/またはポリアミック酸のイミド化重合体と、分子内に特定の基を含有する化合物とを含有する液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板の当該表面に液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置して、その間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、当該液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにした、いわゆるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。また、最近においては、TN型液晶表示素子に比してコントラストが高くて、その視角依存性の少ないSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子が開発されている。このSTN型液晶表示素子は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶として用い、当該液晶分子の長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捻れる状態となることにより生じる複屈折効果を利用するものである。
これらの液晶表示素子における液晶分子の配向性は、通常、重合体より構成される被膜の表面にラビング処理を施すことによって形成される液晶配向膜により発現されるものである。ここに、上記被膜を構成する重合体としては、ポリアミック酸およびポリイミドが知られており、これらの重合体を溶媒に溶解してなる液晶配向剤が一般的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の液晶配向剤によって形成される被膜は、擦過力に対して十分な強靭性を有するものではないため、当該被膜の表面にラビング処理を施すと、形成される液晶配向膜の、部分的な基板からの剥離(以下「膜削れ」ともいう)が生じることがあり、このような液晶配向膜を備えた液晶表示素子において、膜削れに起因して表示不良が発生するという問題がある。
また、従来の液晶配向剤により形成された液晶配向膜を備えた液晶表示素子において、画像表示時(電圧印加時)に発生して液晶配向膜に吸着されたイオン性電荷が、画像消去後(電圧印加の解除後)においても液晶配向膜から脱着されず、電圧解除後における液晶配向膜に電圧が残留蓄積され、この残留電圧に起因して、電圧印加の解除後における表示画面に残像が生じるという問題があり、このような残像が生じる場合には、電圧の印加時と解除時における明暗の差が小さくなり、良好なコントラストが得られない。
本発明の第1の目的は、膜削れのない液晶配向膜を透明電極基板上に形成することができる液晶配向剤を提供することにある。本発明の第2の目的は、形成される液晶配向膜を備えた液晶表示素子において、電圧印加の解除後における残留電圧が小さくて表示画面に残像を生じさせにくく、コントラストの高い優れた表示性能を発現させることができる液晶配向剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶配向剤は、
〔a〕ポリアミック酸およびポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体、並びに
〔b〕下記式(I):
(式中、Xはアルキル基または水素原子を示す。)
で示される有機基を分子内に有する化合物(以下、「化合物(I)」ともいう。)
を含有することを特徴とする。以下、本発明を詳細に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】
<(a)ポリアミック酸>
本発明の液晶配向剤を構成するポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより調製することができる。
【0006】
かかるポリアミック酸の合成反応に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(1)および(2)で示される化合物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、R1およびR3は、芳香環を有する2価の有機基を示し、R2およびR4は、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するR2およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0009】
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(3)〜(6)で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0010】
【化2】
【0011】
これらのうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(1)で示される化合物のうち下記式(7)〜(9)で示される化合物および上記式(2)で示される化合物のうち下記式(10)で示される化合物が、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましく、特に好ましいものとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ピロメリット酸二無水物および下記式(7)で示される化合物を挙げることができる。
【0012】
【化3】
【0013】
ポリアミック酸の合成反応に用いられるジアミン化合物としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5ーアミノー1ー(4’ーアミノフェニル)ー1,3,3ートリメチルインダン、6ーアミノー1ー(4’ーアミノフェニル)ー1,3,3ートリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4.4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルなどの芳香族ジアミン;
【0014】
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
【0015】
下記式(11)で示されるモノ置換フェニレンジアミン類;下記式(12)で示されるジアミノオルガノシロキサン;
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、R5は、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の有機基を示し、R6は、ステロイド骨格またはトリフルオロメチル基を有する1価の有機基を示す。)
【0018】
【化5】
【0019】
(式中、R7は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するR7は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
【0020】
下記式(13)〜(17)で示される化合物などを挙げることができる。これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
【化6】
【0022】
(式中、yは2〜12の整数であり、zは1〜5の整数である。)
【0023】
これらのうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン 、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、上記式(13)〜(17)で示される化合物、上記式(17)で示される化合物のうち下記式(18)〜(22)で示される化合物が好ましい。これらのジアミンは市販品をそのまま使用しても、再還元して使用してもよい。
【0024】
【化7】
【0025】
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物に含まれる酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.4当量となる割合である。テトラカルボン酸二無水物に含まれる酸無水物基の割合が0.2当量未満の場合および2当量を超える場合のいずれにおいても、得られる重合体の分子量が小さくなりすぎ、液晶配向剤の塗布性が劣るものとなる場合がある。
【0026】
本発明における液晶配向剤を構成するポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応により合成される。ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中で、通常、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。反応温度が0℃以下であると化合物の溶剤に対する溶解性が劣る場合があり、150℃を超えると得られる重合体の分子量が低下する場合がある。
【0027】
ポリアミック酸の合成に用いられる有機溶媒としては、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物および反応で生成するポリアミック酸を溶解し得るものであれば特に制限はなく、例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホリルトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。
【0028】
有機溶媒の使用量(a)は、反応原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との総量(b)が反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0029】
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プレピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−エチル−3−メトキシブタノール、2−メチル−2−メトキシブタノール、2−エチル−2−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−エチル−3−エトキシブタノール、2−メチル−2−エトキシブタノール、2−エチル−2−エトキシブタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
以上の合成反応によって、ポリアミック酸を溶解してなる重合体溶液が得られる。そして、この重合体溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出する工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸の精製を行うことができる。
【0031】
<(a)イミド化重合体>
本発明の液晶配向剤を構成するイミド化重合体は、下記方法(1)〜(3)により調製することができ、通常、ポリイミドおよび/またはポリイソイミドである。
【0032】
方法(1):ポリアミック酸を加熱して脱水閉環する方法。
この方法における反応温度は、通常、60〜200℃とされ、好ましくは100〜170℃とされる。反応温度が60℃未満ではイミド化反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られる特定重合体(II)の分子量が小さくなることがある。
【0033】
方法(2):ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤およびイミド化触媒を添加し、必要に応じて加熱する方法。
この方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して1.6〜20モルとするのが好ましい。また、イミド化触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。イミド化触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.5〜10モルとするのが好ましい。なお、イミド化反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、イミド化反応の反応温度は、通常、0〜180℃、好ましくは60〜150℃とされる。
【0034】
方法(3):テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート化合物とを混合し、縮合させる方法。
この方法に使用されるジイソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート化合物;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタン−p,p’−ジイソシアネート、2,2−ジフェニルプロパン−p,p’−ジイソシアネート、2,2−ジフェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−p,p’−ジイソシアネート、2,2−ジフェニルブタン−p,p’−ジイソシアネート、ジフェニルジクロロメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルフルオロメタン−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、N−フェニル安息香酸アミド−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上組合せて用いることができる。なお、この方法には特に触媒は必要とされず、反応温度は、通常、50〜200℃、好ましくは100〜160℃である。
このようにして得られる重合体溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、イミド化重合体を精製することができる。
【0035】
<ポリアミック酸およびイミド化重合体の固有粘度>
以上のようにして得られるポリアミック酸およびイミド化重合体の固有粘度(30℃、N−メチル−2−ピロリドン中で測定。以下において同じ。)は、通常0.05〜10dl/g、好ましくは0.05〜5dl/gである。
【0036】
<末端修飾型の重合体>
本発明の液晶配向剤を構成するポリアミック酸および/またはイミド化重合体は、末端修飾型の重合体であってもよい。この末端修飾型の重合体は、分子量が調節され、本発明の効果を損うことなく、液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、酸無水物、モノアミン化合物またはモノイソシアネート化合物を反応系に添加することにより合成することができる。
【0037】
末端修飾型の重合体を得るためポリアミック酸を合成する際の反応系に添加される酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、反応系に添加されるモノアミンとしては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
【0038】
<化合物(I)>
本発明の液晶配向剤は、上記式(I)で示される有機基を分子内に有する化合物が含有されている点に特徴を有する。かかる化合物を含有する液晶配向剤により液晶配向膜を形成し、液晶表示素子を作製することにより、電圧印加の解除後において、残像の原因となる残留電圧を低減させることができる。この結果、当該液晶表示素子は、コントラストの高い優れた表示性能を有するものとなる。
【0039】
上記式(I)中、Xはアルキル基または水素原子を示すが、かかるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。上記化合物(I)は、下記式(I−1)〜(I−4)で示される化合物およびチオ尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン−ホルムアルデヒド樹脂などに上記式(I)で示される有機基を導入した化合物である。これらの化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】
【化8】
【0041】
(式中、X1 はアルキル基または水素原子を示し、X2 は下記式(i):
−CH2 OX1 (i)
で示される有機基または水素原子を示す。)
【0042】
上記式(I−1)で示される化合物は、N−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を有するメラミンであり、例えばN,N,N,N,N,N−(ヘキサメトキシメチル)メラミンなどが挙げられる。該化合物には、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂に上記式(I)で示される有機基を導入した化合物が含まれていても良い。
N−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有するメラミンの市販品としては、例えばサイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル350、サイメル736、サイメル738、サイメル370、サイメル771、サイメル325、サイメル327、サイメル703、サイメル701、サイメル266、サイメル267、サイメル285、サイメル232、サイメル235、サイメル238、サイメル1141、サイメル272、サイメル254、サイメル202、サイメル1156、サイメル1158(三井サイテック(株)製)などを挙げることができる。
【0043】
上記式(I−2)で示される化合物は、N−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有するベンゾグアナミンであり、例えばN,N’−(ジブトキシメチル)ベンゾグアナミンなどが挙げられる。該化合物には、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂に上記式(I)で示される有機基を導入した化合物が含まれていても良い。
N−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有するベンゾグアナミンの市販品としては、例えばサイメル1123、サイメル1123−10、サイメル1125−80、サイメル1128(三井サイテック(株)製)などを挙げることができる。
【0044】
上記式(I−3)で示される化合物は、N−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有するグリコールウリルであり、例えばN,N,N,N,−(テトラメトキシメチル)グリコールウリルなどが挙げられる。該化合物には、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂に上記式(I)で示される有機基を導入した化合物が含まれていても良い。
N−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有するグリコールウリルの市販品としては、例えばサイメル1170、サイメル1171、サイメル1174、サイメル1172(三井サイテック(株)製)などを挙げることができる。
【0045】
上記式(I−4)で示される化合物は、N−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有する尿素であり、例えばN,N,N,N−(テトラメトキシメチル)尿素などが挙げられる。該化合物には、尿素−ホルムアルデヒド樹脂に上記式(I)で示される有機基を導入した化合物が含まれていても良い。
N−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有する尿素市販品としては、例えばUFR65、UFR300(三井サイテック(株)製)などを挙げることができる。
【0046】
また化合物(I)には、上記化合物以外に、前記のとおり、さらに、チオ尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン−ホルムアルデヒド樹脂などに上記式(I)で示される有機基を導入した化合物が包含される。
【0047】
さらに、本発明の液晶配向剤には、化合物(I)の反応を促進するため、潜在性酸発生剤を添加しても良い。潜在性酸発生剤としては、例えば加熱により酸を発生するカチオン重合触媒を挙げることができ、具体的には、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩などのオニウム塩が用いられる。中でも、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。
【0048】
上記スルホニウム塩の具体例としては、4−アセトフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−4−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−3−クロロ−4−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのアルキルスルホニウム塩;ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−2−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのモノベンジルスルホニウム塩;ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルジベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−メトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジベンジルスルホニウム塩;p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−ニトロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−ニトロベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3,5−ジクロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、o−クロロベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどの置換ベンジルスルホニウム塩;下記式(23)〜(29)で示されるスルホニウム塩が挙げられる。
【0049】
【化9】
【0050】
上記ベンゾチアゾニウム塩の具体例としては、3−ベンジルベンゾチアゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウムヘキサフルオロホスフェート、3−ベンジルベンゾチアゾリウムテトラフルオロボレート、3−(p−メトキシベンジル)ベンゾチアゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−2−メチルチオベンゾチアゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−5−クロロベンゾチアゾリウムヘキサフルオロアンチモネートなどのベンジルベンゾチアゾリウム塩が挙げられる。
【0051】
これらのうち、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウムヘキサフルオロアンチモネートなどが好ましく用いられる。これらの市販品としては、サンエイドSI−L85、同SI−L110、同SI−L145、同SI−L150、同SI−L160(三新化学工業(株)製)などが挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0052】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸および/またはポリアミック酸のイミド化重合体からなる(a)成分と、上記化合物(I)からなる(b)成分とが有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
【0053】
本発明の液晶配向剤における(a)成分の含有割合(重合体濃度)は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、溶液全体に対して好ましくは0.1〜20重量%の範囲、更に好ましくは0.5〜10重量%とされる。この濃度が0.1重量%未満である場合には、塗膜(被膜)の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方、この濃度が20重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得難く、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる場合がある。
本発明の液晶配向剤における(b)成分の含有割合としては、(a)成分100重量部に対する(b)成分の割合が、通常0.01〜30重量部とされ、好ましくは0.01〜20重量部とされる。(b)成分の含有割合が0.01重量部未満であると、残留電圧の低減効果を十分に達成することができない場合があり、一方、(b)成分の割合が30重量部を超えると、得られる液晶配向剤によって形成される被膜の表面が粗面状態となる場合がある。
なお、(a)成分および(b)成分を溶解させる有機溶媒としては、これらを溶解できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
【0054】
本発明の液晶配向剤には、基板に対する密着性をさらに向上させることを目的として官能性シラン含有化合物が含有されていてもよい。かかる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシイシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0055】
<液晶表示素子>
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
【0056】
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより被膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。また、基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2 )からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2 O3 −SnO2 )からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と液晶配向剤の被膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。また加熱温度は80〜250℃とされ、好ましくは120〜200℃とされる。形成される被膜の膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。なお、ポリアミック酸を含有する本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって液晶配向膜となる被膜を形成するが、さらに加熱することによって脱水閉環を進行させ、一部イミド化または完全にイミド化された被膜とすることもできる。
【0057】
(2)液晶配向剤によって形成された被膜表面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が被膜に付与されて液晶配向膜となる。また、ラビング処理による方法以外に、樹脂膜表面に偏光紫外線を照射して配向能を付与する方法や、一軸延伸法、ラングミュア・ブロジェット法などで被膜を得る方法などにより、液晶配向膜を形成することもできる。なお、ラビング処理時に発生する微粉体(異物)を除去して表面を清浄な状態とするために、形成された液晶配向膜をイソプロピルアルコールなどによって洗浄することが好ましい。また、形成された液晶配向膜の表面に紫外線を部分的に照射することにより、プレチルト角を変化させる処理(例えば特開平6−222366号公報、特開平6−281937号公報参照)、形成された液晶配向膜の表面にレジスト膜を部分的に形成し、先行のラビング処理とは異なる方向にラビング処理を行った後、前記レジスト膜を除去して、液晶配向膜の配向能を変化させるような処理(例えば特開平5−107544号公報参照)を行うことによって、作製される液晶表示素子の視野角特性を改善することもできる。
【0058】
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜における配向処理方向、すなわちラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
【0059】
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0060】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において調製された液晶配向剤の評価項目および評価方法を下記に示す。
〔液晶の配向性〕
液晶表示素子に電圧を印加し解除したときの液晶セル中における配向不良(異常ドメイン)の有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を「良好」と判定した。
〔残留電圧の測定〕
液晶表示素子に、60℃の温度条件下で10Vの直流電圧を2時間印加し、電圧の印加を解除した後、当該液晶表示素子に残留する最大電圧を測定した。
〔液晶配向膜の膜削れ(被膜の強靭性)〕
ITO膜からなるストライプ電極(間隔:1mm,ITO膜厚:2000■)を設けた透明電極基板の電極面に、液晶配向剤を塗布し、塗膜を乾燥して乾燥膜厚0.05μmの被膜を形成し、当該被膜の表面にラビング処理(処理条件:毛足押し込み長0.6mm,ロールの回転数500rpm,ステージの移動速度1cm/秒)を施すことにより得られた液晶配向膜について、ラビング処理による膜削れの有無を観察した。
【0061】
〔合成例1〕
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物44.8gとp−フェニレンジアミン21.0gと3,5−ジアミノ安息香酸コレステリル3.1gとをN−メチル−2−ピロリドン620gに溶解させ、この溶液を室温で6時間反応させた。次いで、得られた反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、固形物を分離してメチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度(ηln)が1.21dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A1)」とする。〕66.0gを得た。
【0062】
〔合成例2〕
合成例1で得られたポリアミック酸(A1)30.0gをγ−ブチロラクトン570gのに溶解させ、ピリジン34.4gと無水酢酸26.6gとを添加して110℃で3時間脱水閉環させた。次いで、合成例1と同様にして、反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことにより、対数粘度(ηln)が1.30dl/gであるイミド化重合体〔これを「ポリイミド(B1)」とする。〕27.0gを得た。
【0063】
〔合成例3〕
p−フェニレンジアミンに代えて4,4’−ジアミノジフェニルメタン38.4gを用いたこと以外は、合成例1と同様にして対数粘度(ηln)が1.18dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A2)」とする。〕79.4gを得た。その後、ポリアミック酸(A1)に代えてポリアミック酸(A2)30.0gを用いたこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度(ηln)が1.24dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(B2)」とする。〕26.2gを得た。
【0064】
〔合成例4〕
シクロブタンテトラカルボン酸二無水物39.2gと2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン82.1gとをN−メチル−2−ピロリドン620gに溶解させ、この溶液を室温で6時間反応させた。次いで、合成例1と同様にして、反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことにより、対数粘度(ηln)が1.46dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A3)」とする。〕115.5gを得た。
【0065】
〔合成例5〕
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物に代えて1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン60.0gを用いたこと以外は、合成例1と同様にして対数粘度(ηln)が1.05dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A4)」とする。〕76.5gを得た。その後、ポリアミック酸(A1)に代えてポリアミック酸(A4)30.0gを用いたこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度(ηln)が1.16dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(B4)」とする。〕26.2gを得た。
【0066】
〔合成例6〕
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物に代えてピロメリット酸二無水物43.6gを用いたこと以外は、合成例1と同様にして対数粘度(ηln)が1.66dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A5)」とする。〕64.5gを得た。
【0067】
〔合成例7〕
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物44.8gとp−フェニレンジアミン20.2gとn−ドデシルアミン4.9gとをN−メチル−2−ピロリドン620gに溶解させ、この溶液を室温で6時間反応させた。次いで、合成例1と同様にして、反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことにより、対数粘度(ηln)が0.85dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A6)」とする。〕63.6gを得た。その後、ポリアミック酸(A1)に代えてポリアミック酸(A6)30.0gを用いたこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度(ηln)が0.92dl/gであるポリイミド〔これを「ポリイミド(B6)」とする。〕25.2gを得た。
【0068】
<実施例1>
(1)液晶配向剤の調製:
合成例1で得られたポリアミック酸(A1)5.0gとサイメル300(上記式(I−1)において、X1 =メチル基、X2 =式(i)(式(i)中、X1 =メチル基)で示される有機基である化合物)0.5gとをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて固形分濃度が4.0重量%の溶液を得、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、本発明の液晶配向剤を調製した。
【0069】
(2)液晶表示素子の作製:
▲1▼ 厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記のようにして調製された液晶配向剤を塗布用印刷機を用いて塗布し、180℃で1時間乾燥することにより乾燥膜厚0.05μmの被膜を形成した。
▲2▼ 形成された被膜の表面を、レーヨン製の布を巻き付けたロールを備えたラビングマシーンを用いてラビング処理を施すことにより液晶配向膜を形成した。ここに、ラビング処理条件は、毛足押し込み長0.4mm、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒とした。ラビング処理後、形成された液晶配向膜をイソプロピルアルコールによって洗浄した。
▲3▼ 上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、直径17μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂系接着剤をスクリーン印刷法により塗布した後、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交するように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を圧着して接着剤を硬化させた。その後、当該2枚の基板の表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、ネマティック型液晶「MLC−2004」(メルク社製)を注入充填し、次いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを構成した。その後、液晶セルの外表面に、偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致するように偏光板を貼り合わせることにより液晶表示素子を作製した。
▲4▼ 上記のようにして作製された液晶表示素子は、異常ドメインは認められず、液晶の配向性は良好であった。また、この液晶表示素子の最大残留電圧は0.22Vときわめて小さいものであった。さらに、上記ストライプ電極を設けた透明電極基板の電極面に上記▲1▼と同様にして被膜を形成し、毛足押し込み長0.6mmとしたこと以外は上記▲2▼と同様にしてラビング処理を行い、形成された液晶配向膜を観察したところ、膜削れの発生は認められず、この実施例の液晶配向剤により形成された液晶配向膜(被膜)は、擦過力に対する強靭性に優れていることが確認された。
【0070】
<実施例2〜12>
下記表1に示す処方に従って、上記合成例2〜7で得られたポリアミック酸およびポリアミック酸のイミド化重合体〔(a)成分〕の各々と、表1に示す化合物(I)〔(b)成分〕の各々とをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて固形分濃度が4.0重量%の溶液を得、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、本発明の液晶配向剤を調製した。このようにして調製された液晶配向剤の各々を用い、実施例1と同様にして、基板表面上に被膜を形成し、当該被膜にラビング処理を施して液晶配向膜を形成し、当該液晶配向膜が形成された基板を用いて液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子の各々について、実施例1と同様にして、液晶の配向性の評価および残留電圧の測定を行い、さらに、実施例1と同様にして、透明電極基板の電極面に液晶配向膜を形成し、当該液晶配向膜の膜削れの有無を観察した。結果を下記表1に示す。
【0071】
<比較例>
合成例1で得られたポリアミック酸(A1)をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて固形分濃度が4.0重量%の溶液を得、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、比較用の液晶配向剤を調製した。このようにして調製された液晶配向剤を用い、実施例1と同様にして、基板表面上に被膜を形成し、当該被膜にラビング処理を施して液晶配向膜を形成し、当該液晶配向膜が形成された基板を用いて液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子について、実施例1と同様にして、液晶の配向性の評価および残留電圧の測定を行い、さらに、実施例1と同様にして、透明電極基板の電極面に液晶配向膜を形成し、当該液晶配向膜の膜削れの有無を観察した。結果を下記表1に示す。
【0072】
【表1】
*1:上記式(I−1)において、X1 =メチル基、X2 =式(i)(式(i)
中、X1 =水素原子)で示される有機基である化合物
*2:上記式(I−1)において、X1 =水素原子、X2 =水素原子で示される有機基である化合物
*3:上記式(I−1)において、X1 =メチル基またはブチル基、X2 =式(i)(式(i)中、X1 =メチル基またはブチル基)で示される有機基である化合物
*4:上記式(I−2)において、X1 =メチル基またはエチル基、X2 =式(i)(式(i)中、X1 =メチル基またはエチル基)で示される有機基である化合物
*5:上記式(I−3)において、X1 =ブチル基で示される有機基である化合物
*6:上記式(I−4)において、X1 =メチル基、X2 =式(i)(式(i)中、X1 =メチル基)で示される有機基である化合物
【0073】
【発明の効果】
本発明の液晶配向剤によれば、ラビング処理を施しても膜削れを発生させない樹脂膜を透明電極基板上に形成することができる。また、当該樹脂膜の表面にラビング処理を施すことにより形成される液晶配向膜は、これを備えて構成される液晶表示素子において、電圧印加の解除後における残留電圧の低いことによる優れた表示性能、すなわち、表示画面に残像が生じにくく、コントラストの高い表示性能を発現させることができる。
本発明の液晶配向剤により形成される液晶配向膜は、TN型液晶表示素子およびSTN型液晶表示素子のみならずSH(Super Homeotropic)型、IPS(In−Plane Switching)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型液晶表示素子や強誘電性液晶表示素子など種々の液晶表示素子を構成するために好適に使用することができる。また、当該液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性にも優れ、種々の装置に有効に使用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用いることができる。
Claims (3)
- 〔a〕ポリアミック酸およびポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体、並びに
〔b〕下記式(I):
(式中、Xはアルキル基または水素原子を示す。)
で示される有機基を分子内に有する化合物であって、下記式(I−1)で示されるN−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を有するメラミン、下記式(I−2)で示されるN−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有するベンゾグアナミン、下記式(I−3)で示されるN−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有するグリコールウリル、下記式(I−4)で示されるN−置換アルコキシメチル基またはメチロール基を含有する尿素、並びにチオ尿素−ホルムアルデヒド樹脂またはグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂に上記式(I)で示される有機基を導入した化合物から選ばれる少なくとも1種
を含有することを特徴とする液晶配向剤。
−CH 2 OX 1 (i)
で示される有機基または水素原子を示す。) - さらに、潜在性酸発生剤を含有する、請求項1記載の液晶配向剤。
- 請求項1記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜を具備してなる液晶表示素子。
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