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JP3730258B2 - Zr、Ti、Cu及びNiを含む非晶質合金物体及びその製造方法 - Google Patents

Zr、Ti、Cu及びNiを含む非晶質合金物体及びその製造方法 Download PDF

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JP3730258B2
JP3730258B2 JP52440796A JP52440796A JP3730258B2 JP 3730258 B2 JP3730258 B2 JP 3730258B2 JP 52440796 A JP52440796 A JP 52440796A JP 52440796 A JP52440796 A JP 52440796A JP 3730258 B2 JP3730258 B2 JP 3730258B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、かなりの多くの核生成と結晶とが生ずる前に、その硝子遷移温度以下の温度までに合金を冷却することによって、合金溶湯の凝固により形成される一般に金属硝子と呼ばれる非晶質合金物体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
低温度で非晶質または硝子質である合金形成に近年かなり興味がもたれている。通常は金属及び合金は、液相から冷却されたとき結晶化する。しかしながら、ある種の金属及び合金では過冷することができ、且つ充分速く冷却した場合に周囲温度で極端に粘性のある液相または硝子質として残留することが分かった。104〜106K/sec程度の冷却測度が典型的に必要とされる。
【0003】
このような急速冷却測度は、溶融金属の非常に薄い層(例えば100μm未満)または小滴を、ほぼ周囲温度に維持された伝導性基板に接触することにより達成される。非晶質材料には小さな寸法が、充分な速度で除熱して結晶化を抑制するために必然的である。即ち、最も初期に開発された非晶質合金は、薄いリボンまたは板または粉末としてのみ入手された。
【0004】
結晶に比べ金属硝子の障害は、溶湯から冷却して硝子質を形成するために必要とする冷却速度に関連する。結晶を抑制するため必要とする冷却速度は、1K/s〜103K/sまたはそれ以下の程度にすることが望ましい。臨界冷却速度が減少するにしたがって、処理に長い時間をかけることが可能であり且つより大きな部品断面積を作ることが可能である。さらに、このような合金は、工業的処理において適切な時間尺度の間に結晶化することなく硝子遷移温度を越えて実質的に加熱することが可能である。
【0005】
最近、ジルコニウム及び/またはチタニウム、銅及び/またはニッケル、他の遷移金属及びベリリウムとの合金が、実質的な厚さの非晶質物体を形成することが分かった。低臨界冷却速度を有し且つベリリウムを実質的に含有しない非晶質合金を提供することは望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、目下好ましい実施態様にしたがう本発明の実施において、103K/s未満の速度で硝子遷移温度以下に冷却して金属硝子を形成する少なくとも4元系の合金を提供する。二つの合金組成で、すべての寸法が少なくとも1mmである物体形成を可能する冷却速度で非晶質固体を形成することが分かった。換言すれば、この合金の板は少なくとも1mmの厚さを有する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この合金の群の一つは、19〜41原子%の範囲のチタニウム、4〜21原子%の範囲の前遷移金属(ETM)及び49〜64原子%の範囲の銅と後遷移金属(LTM)とを含んでなる。前遷移金属はジルコニウム及び/またはハフニウムからなる。後遷移金属はコバルト及び/またはニッケルからなる。さらに、この組成は、銅と後遷移金属(LTM)を加え合わせた原子百分率(C)と、銅に関する後遷移金属(LTM、すなわちニッケルまたはコバルトの少なくとも1種)の原子比率(x)との積が2〜14の範囲にあるように制限される。ETMの原子%は、チタニウムの原子%が41のとき、10未満であり、且つチタニウムの原子%が24のとき、21でよい。すなわち、ETMの原子%は、図2においては、チタンが41原子%とETM(Zr)が10原子%との座標点、及びチタンが24原子%とETM(Zr)が21原子%との座標点の2座標点を結ぶ線分未満の値である。なお、本明細書において用いる前遷移金属(ETM)とは、周期律表のランタニド及びアクチノイドを含む族3、4、5及び6に分類される金属を示し、また後遷移金属(LTM)とは、周期律表の族7、8、9、10及び11に分類される金属を示すものである。
【0008】
より厳密には、前遷移金属の原子%は、10+(11/7)×(41−a)未満であり、ここでaは組成中に存在するチタニウムの原子%である。
【0009】
さらに、銅とLTMとの合計が少ないときは、LTM量に関して上限がある。すなわち、銅とLTMが49〜50原子%の範囲であるときは、LTMは8原子%未満であり、銅とLTMが50〜52原子%の範囲であるときは、LTMは9原子%未満であり、且つ銅とLTMが52原子%を越えるときは、LTMは10原子%を越えない。
【0010】
これは次式によって示すことができる。
【0011】
Tia(ETM)b(Cu1-x(LTM)x)c
【0012】
ここで、ETMはZr及びHfからなる群から選択され、LTMはNi及びCoからなる群から選択され、xは原子分率であり、且つa,b及びcは原子百分率であり、ここで、aは19〜41の範囲であり、bは4〜21の範囲であり、且つcは49〜64の範囲である。2<x×c<14及びb<10+(11/7)×(41−a)である付加的条件がある。別の条件は、49≦c≦50である場合はx×c<8であり、50<c≦52である場合はx×c<9であり、且つ52<cである場合はx×c<10である。
【0013】
硝子形成合金のもう一方の群は次式を有する。
【0014】
(ETM1-xTix)a Cub(Ni1-y Coy)c
【0015】
ここで、ETMはZr及びHfからなる群から選択され、xは原子分率であり、且つa、b及びcは原子百分率であり、ここでxは0.1〜0.3の範囲にあり、y×cは0〜18の範囲にあり、aは47〜67の範囲にあり、bは8〜42の範囲にあり、且つcは4〜37の範囲にある。この合金の限定は次の付加的条件を有する。すなわち、(i)aが60〜67の範囲であり且つcが13〜32の範囲にあるときは、bはb≧8+(12/7)×(a−60)によって与えられ、(ii)aが60〜67の範囲であり且つcが4〜13の範囲にあるときは、bはb≧20+(19/10)×(67−a)によって与えられ、且つ(iii)aが47〜55の範囲であり且つcが11〜37の範囲にあるときは、bはb≦8+(34/8)×(55−a)によって与えられる。
【0016】
これらの合金の群のいずれかが、約4%以下の他の遷移金属及び合計で2%を越えない他の元素を含む。
【0017】
本発明及び他の特徴及び利点が、添付図面を考察して、次の詳細な説明を参照して正しく理解すると共に確認されるであろう。
【0018】
【作用及び発明の効果】
本発明の目的では金属硝子製品は、硝子質または非晶質相の体積で少なくとも50%を含有する材料として規定する。硝子質形成能力は、冷却速度が106K/s程度になるスプラット急冷法によって確証される。さらに最近、本発明の実施において提供された材料は実質的に100%の非晶質相からなる。μmより大きな寸法の部材を製造するに使用可能な合金に対しては、103K/s未満の冷却速度が望ましい。好ましくは、結晶を避けるために冷却速度は、1〜100K/sまたはそれより低い範囲にある。望ましい硝子形成合金を確証するために、少なくとも1mmの厚さの層を鋳造する能力が選ばれた。また、0.5mmの厚さの鋳造層が硝子質である組成は、適切である。
【0019】
一般的に言えば、厚さで1桁の違いは、冷却速度において2桁の違いとなる。約1mmの厚みの非晶質である試料は、約500K/sの冷却速度を意味する。本発明の実施で提供された合金は、実質的に全く遷移金属である既知のいずれよりも2桁厚くなる。
【0020】
このような冷却速度は、合金を冷却された銅モールドに鋳造するような、広い種々の技術によって達成することができ、1mmを越える厚みを有する非晶質材料の板、棒、ストリップまたは網状部品を製造する。
【0021】
薄膜用のスプラット急冷法、単一または双ロール溶融スピニング、水溶融スピニング、または板の平面流鋳造のような鋳造硝子合金に使用する最近の従来方法も使用することができる。適切な遅い冷却速度及び冷却後の非晶質層の安定のため、他のより経済的な技術が、棒またはインゴットの鋳造、射出モールド、粉末金属加圧成形及び類似物のような、網状部品を製造するため変形可能な網状部品または大きな物体とを製造するために使用することができる。
【0022】
急速凝固された非晶質合金粉末は、液体を小滴にする微粒化(atomization)法によって得ることができる。スプレー微粒化及びガス微粒化は好例である。少なくとも50%の非晶質相を含む1mm以下の粒子径を有する顆粒材料が、液体小滴を高熱伝導率を有する冷却伝導基板に接触されることによって、または不活性液体に導入することによって製造することができる。これらの材料の製造は、種々の材料の高化学反応のために、不活性雰囲気または真空中で実施される。
【0023】
種々の新しい硝子形成合金が、本発明の実施において確認された。硝子質または非晶質材料を形成するために適切な合金の範囲は、種々の方法で規定できる。幾つかの組成範囲は、比較的に高い冷却速度で金属硝子を形成する。合金組成範囲は、図面に示すような準3元系状態図を参照して規定できるが、合金に境界範囲は異なる材料が添加されるときは幾分変化する。境界は、溶融温度から硝子遷移温度以下の温度まで、実質的に約105K/s未満の速度で、好ましくは103K/s未満及びさらに低い速度で好ましくは100K/s未満で冷却された場合に、金属硝子を形成する合金を取り囲む。
【0024】
先行の発明は、非常に高い冷却速度、一般には、105K/sで金属硝子を形成する2元系または3元系合金であった。銅、チタニウム、ジルコニウム(またはハフニウム)及びニッケル(または部分的にコバルト)を有する4元系、5元系或いはさらに複雑な合金が、先に可能と考えられていたより非常に低い臨界冷却速度で金属硝子を形成することが発見された。このような材料の3次元合金は、少なくとも1mmの最も小さな寸法を有する完全な非晶質物体を製造できないであろう。約50K/sの低い臨界冷却速度を有する4元系合金が、本発明の実施において判明した。
【0025】
一般に言われる。合理的な硝子形成合金は全てが、チタニウムと、銅と、ジルコニウムとハフニウムから成る群から選択された少なくとも1種の前遷移金属と、ニッケル及びコバルトから成る群から選択された少なくとも1種の後遷移金属とを有する少なくとも4元系合金である。コバルトの代わりに鉄、バナジウムまたは亜鉛により部分的に置換することができるが、その適量は少ないものと考えられる。亜鉛は蒸気圧が高いために少ないほうがよい。低臨界冷却速度は、コバルトとニッケルとの双方、及び/またはジルコニウムとハフニウムとを有する少なくとも5元系合金で明らかである。また、硝子形成合金は、4%以下の別の遷移合金及び合計で2%を超えない他の元素を含んでもよい(別に言及しない限り、ここに示した組成パーセントは原子パーセントである。)臨界冷却速度を低下するために、2%のベリリウムを含有できる。
【0026】
硝子形成合金は二つのグループに分けられる。一つのグループは、チタニウムと銅が比較的低い比率であり、ジルコニウムが比較的高い比率であり且つニッケルが比較的広い範囲である。別のグループでは、チタニウムと銅がそれぞれ比較的高い比率であり、ジルコニウムが低い比率であり且つニッケルが狭い範囲である。双方のグループにおいて、ハフニウムは実質的にジルコニウムと交換可能である。制限内でコバルトはニッケルと置換できる。
【0027】
大まかに言えば、合金は5〜41原子パーセントの範囲のチタニウム及び8〜61原子パーセントの範囲の銅を含有する。ニッケル(及びある程度までのコバルト)は2〜37%の範囲にある。一つのグループにおいて、ジルコニウム(及び/またはハフニウム)は4〜21%の範囲にあり、別のグループにおいては30〜57%の範囲にある。これらの広い範囲内で、それぞれの請求項で示した少なくとも1/2または1mmの厚さの非晶質物体を形成するために十分な低冷却速度を有しない合金である。これらの範囲に入る全ての合金が本発明においてクレームされるというわけでない。本発明がクレームするものは、少くとも50%の非晶質相の最小寸法が1mmであり、且つ既に記載された組成を持つものに限られる。そのものが金属硝子でない場合はクレームされていない。
【0028】
物体が最も小さな寸法でも少なくとも1mmの厚さを有する場合、すなわち、この物体の全ての寸法が少なくとも1mmの寸法である場合、溶融状態から硝子遷移温度を通じて達成可能な冷却速度は、約103K/sを越えない。より高い冷却速度は非常に薄い断面部だけが達成可能である。硝子物体の厚さが1mmよりかなり大きい場合、当然冷却速度は相応の低さである。より低い冷却速度を有し且つこのような厚い断面を形成することが可能な組成は、開示された範囲内である。例えば、合金は、約2mmの最も小さな寸法である物体中に完全な非晶質を形成できた。
【0029】
硝子形成合金の多くの例が、準3元系状態図に示される。図1は、準3元系状態図の一部であり、左下頂点はジルコニウムとチタニウムの混合物の100原子パーセントを表す。この特別な図において、その割合は、75パーセントジルコニウムと25パーセントチタニウムである(Zr0.75Ti0.25)。右下頂点は100%に達しないが、65原子パーセント銅、及びチタニウムとジルコニウムの混合物の35パーセントを表す。同様に、上頂点は65%のニッケル、及びチタニウムとジルコニウムの混合物の35パーセントを表す。
【0030】
この範囲に多くの合金組成が示される。この組成は二つの異なる方法で特徴付けられる。中空円で表された組成は硝子形成合金であり、例えば板またはリボンである物体の最も小さな寸法が約1mm未満である場合である。中実円は、試料の最も小さな寸法がほぼ1mmである場合の硝子を形成する合金である。中実円で表す幾つかの合金は、2mmもの或いはそれ以上の大きさの硝子または非晶質であった。
【0031】
また図1に示される6角形は、開示されるほとんどの合金が少なくとも1mmの厚さ断面の非晶質合金を形成できる範囲を規定する。この6角形は複雑な4元系における一切片であり、以降に述べる式で指摘するように、良好な硝子形成領域の境界は状態図では十分に表しえない或る束縛を受ける。
【0032】
図2は別の準3元系相図の一部分であり、左下頂点は、チタニウムが60原子パーセント、40%の銅+ニッケル、及びジルコニウムが0%の点である。三角形の反対側の尺度は銅+ニッケルのパーセントである。相図の上頂点は、チタニウムを10パーセントと、90パーセントの銅+ニッケルの組成である。また、右下頂点は100%に達しないが、50%のジルコニウムと、10パーセントのニッケルと、40パーセントの銅+ニッケルの組成である。
【0033】
図2の6角形の境界は、開示されるほとんどの合金が少なくとも1mmの厚みの断面の非晶質合金を形成できる範囲を定義する。中空円で表す組成は硝子形成合金であり、物体の最も小さな寸法が約1mmに満たない非晶質固体を形成する。中実円は、試料の最も小さな寸法が約1mmである硝子を形成する合金である。
【0034】
硝子形成範囲内の好ましい合金組成は、約103K/s未満の硝子形成の臨界冷却速度を有し、幾つかは100K/sより低い臨界冷却速度を有することを示す。冷却速度は良好な測定が行えなかったが、例えば、3×103または103より低い。103の冷却速度は、約0.5〜1mmの程度の試料大きさになると考えられる。
【0035】
この明細書の目的では、前遷移金属(ETM)は周期律表の、ランタニド及びアクチノイド系を含む族3、4、5、及び6を含む。これらの族は先のIUPAC表記では、IIIA、IVA、VA及びVIAであった。この明細書の目的では、後遷移金属(LTM)は、周期律表の族7、8、9、10及び11を含む。これらの族はIUPAC表記では、VIIA、VIIIA及びIBであった。
【0036】
図1に示される小さな6角形領域は、次の式を有する合金の組成範囲によって境界付けされた合金の硝子形成範囲を表す。
【0037】
(ETM1-xTix)a Cub(Ni1-y Coy)c
【0038】
この式のおいて、x及びyは原子分率であり、且つa、b及びcは原子パーセントである。前遷移金属はジルコニウムとハフニウムからなる群から選択される。この組成において、aは47〜67の範囲にあり、bは8〜42の範囲にあり、且つcは4〜37の範囲にあり、且つ一定の束縛を受ける。チタニウムの原子分率xは0.1〜0.3の範囲にある。コバルトの原子分率yと後遷移金属の原子パーセントcとの積y×cは、0〜18の範囲にある。換言すれば、コバルトは存在しなくても良く、もし存在するならば、組成の最大で18パーセントである。換言すれば、ニッケルとコバルトは18パーセントまで全く互いに交換可能である。LTMの合計が18原子パーセントを越えるならば、18パーセント以下はコバルトにすることができ、且つ後遷移金属の残余はニッケルである。これは、見掛け上は安全に互いに交換可能なジルコニウムとハフニウムで抑制することが可能である。
【0039】
また組成は、5〜20原子パーセントの範囲のチタニウム、8〜42原子パーセントの範囲の銅、30〜57原子パーセントの範囲のジルコニウムとハフニウムから成る群から選ばれた前遷移金属、及び4〜37原子パーセントの範囲のニッケル及びコバルトから成る群から選択された後遷移金属を含む少なくとも4元素から成るようにほぼ定義することが可能である。
【0040】
記載されるように、良好な硝子形成金のこの式の定義に関しては一定の条件がある。換言すれば、この式によって境界が決められる範囲の領域を除く。第1の条件は、ETMとチタニウムが含有する場合、aは60〜67の範囲にあり、且つLTM含有量cは13〜32の範囲にあるとき、銅の量bは次式によって与えられる。
【0041】
b≧8+(12/7)×(a−60)
【0042】
次に、aが60〜67の範囲にあり且つcが4〜13の範囲にあるとき、bが次式によって与えられる。
【0043】
b≧20+(19/10)×(67−a)
【0044】
最後に、aが47〜55の範囲にあり且つcが11〜37の範囲にあるとき、bが次式によって与えられる。
【0045】
b≦8+(34/8)×(55−a)
【0046】
これらの条件は、経験的に決められる。それは、図1の6角形領域を制限する実線で示される境界である。この領域はこの領域は、bの値に関する条件を越える式で定義される境界を示す。また、小さな6角形が、陰影を付けた帯で表現され、ぼやけた境界を示す。この境界条件は、実線で表現された境界上の点を選択するとによって、且つ直線の点に接続することによって決定され、約1mmの断面を鋳造した場合に硝子合金を形成する合金を包含し、且つ約1mm厚さを鋳造した場合に非晶質でない合金を除外する。上式で表せる条件は、選択されたような線の勾配を示す。
【0047】
この選択は幾分恣意的である。状態図中のデータ点は5原子パーセントの増分を含む。すなわち、約±2%の境界位置の不確かさがある。式で示された勾配は、境界の最良の近似値として選択した。定義された境界を見掛け上外れる合金は、比較的薄い硝子質物体を形成するかぎりにおいては境界内である組成に全く等価である。
【0048】
図1の陰影を付けた境界によって示される様な銅、ニッケル及び、チタニウムとジルコニウム(Zr0.75Ti0.25)との単一頂点の準3元系組成図において、この式の条件によって形成される小さな多角形は、その6個の近似値コーナーを有する。
【0049】
Figure 0003730258
上記に示すコーナー#は、図1の3元状態図に図示する6個の近似値コーナーを示し、且つaはチタニウムとジルコニウムの原子パーセントを示し、bは銅の原子パーセントを示し、且つcはニッケルの原子パーセントを示す。
【0050】
好ましくは、前遷移金属は全てジルコニウムであり、経済的で且つ特別な耐食性と軽量性とを備える合金を提供する。好ましくは、コバルトは幾分高価であり且つ低い臨界冷却速度がコバルトよりニッケルで可能と考えられので、後遷移金属はニッケルである。
【0051】
一般的に言えば、4原子パーセント以下の他の遷移金属が硝子合金に添加可能である。また、硝子合金は、不可避的または汚染物質をかなりの量を容認できることが注目される。例えば、酸素の容認しうる量は、結晶曲線の著しい変移なしに溶解しうる。ゲルマニウム、燐、炭素、窒素または酸素のような他の不可避的元素が、合計で約2原子パーセント未満、好ましくは合計で約1原子パーセント未満存在可能である。
【0052】
次に異なる勾配の硝子形成組成のための表示式について説明する。このような合金は、50%以上の結晶質相の形成を避けるために、十分である冷却速度で、融点以上から硝子遷移温度を通過させ冷却することによって、少なくとも59%の非晶質相を有する金属硝子に形成することができる。最も小さな寸法が少なくとも1mmである物体をこのような合金から形成できる。
【0053】
良好な硝子形成合金の次の式において、xは原子分率であり、且つ添字a、b及びcは原子パーセントである。
【0054】
Tia(ETM)b(Cu1-x(LTM)x)c
【0055】
前遷移金属ETMは、ジルコニウム及びハフニウムからなる群から選択する。後遷移金属LTMは、ニッケル及びコバルトからなる群から選択する。この合金範囲において、チタニウム含有量aは、19〜41の範囲であり、前遷移金属の比率bは、4〜21の範囲であり、且つ銅+他の後遷移金属の量cは、49〜64の範囲である。さらに、この式によって境界を付けられる所定の条件があるLTMの含有量x、及び銅+LTMの合計cの積x×cは、2〜14の間にある。即ち、2<x×c<14である。さらに、ETMの量は合金のチタニウム含有量で限定されので、b<10+(11/17)×(41−a)である。
【0056】
良好な硝子形成合金の境界に関して付加的条件があることが分かった。銅+ニッケルまたはコバルトの合計がその範囲の下端部である場合は、LTMの比率は余り高くできず或いは結晶が促進され良好な硝子形成が達成されない。即ち、銅+LTMが49〜50原子パーセントの範囲であるときは、LTMは8原子パーセント未満であり、銅+LTMが50を越えて52原子パーセントの範囲であるときは、LTMは9原子パーセント未満であり、銅+LTMが52原子パーセントを越えるときは、LTMは10原子パーセントを越えない。
【0057】
式によって違いを表示すると、条件は、49≦c≦50である場合は、その時x×c<8であり、50<c≦52である場合は、その時x×c<9であり、且つ52<cである場合は、その時x×c<10である。
【0058】
この式で形成された多角形、すなわちチタニウム、ジルコニウムと、図2に示すような銅とニッケルとを組み合わせて示した第3の頂点との3元系状態図に関する条件は6個の近似値コーナーを有する。
【0059】
Figure 0003730258
上記に示すコーナー#は、図2の3元状態図に図示する6個の近似値コーナーを示し、且つaはチタニウムの原子パーセントを示し、bはジルコニウムの原子パーセントを示し、且つcは銅とニッケルとの原子パーセントを示す。
【0060】
記載した各範囲により包囲される種々の材料の組み合に関しては、約105K/s未満の冷却速度で少なくとも50%の硝子相を形成しない異常な金属混合物である。適切な組み合わせが、合金組成の溶融する方法、スプラット急冷する方法及び試料の非晶質性質を変化させる方法によって容易に確認される。好ましい組成は、さらに低い臨界速度で容易に確認される。
【0061】
金属硝子の非晶質性質は、良く知れた多くの方法で変化できる。完全に非晶質試料のX線回折パターンは、広い散漫散乱最大値を示す。結晶した材料が硝子相とともに存在するときは、その結晶材料自体の比較的鋭いブラッグ回折ピークが観察される。
【0062】
また、存在する非晶質相の割合は、示差熱分析によって見積もることが可能である。一つは、非晶質相の結晶を進めるため試料の加熱に関連して放出されるエンタルピーと、完全な硝子質試料が結晶化するとき放出するエンタルピーを比較する。これらの熱の比は初期試料中の硝子質材料のモル比を与える。透過型電子顕微鏡像の解析が硝子質材料の比率を決定するために使用できる。電子顕微鏡の回折はこの相の識別を確認するために使用できる。試料中の非晶質材料の容積比は、透過型電子顕微鏡の解析により見積もることができる。
【0063】
本発明の実施によって提供された合金は、他の材料のファイバー及び粒子をこの非晶質合金のマトリックスに埋め込む複合材料の形成に特に有効である。非常に多くのファイバー及び粒子がこのような複合材料を作るのに適切であり、例えば、ダイヤモンド、耐熱金属炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物及びシリサイド、シリコン及び他の半導体、耐熱金属及び金属間化合物、熱分解炭素、グラファイト、ボロン、ガラス、及び天然または人口鉱物である。
【0064】
金属ガラス合金は多くの材料を湿潤でき、且つ複合材料は、自己支持物体の形成のために高圧で粒子を加圧成形することにより、及び液体金属を多孔質物体に湿潤することにより、作ることができることが分かった。また、ファイバーまたはフェルトの織物を作ることもでき、液体金属をフェルトまたは織物に湿潤する。代わりに、粒子及び/またはファイバーは、液体金属と混合することができその時所望の形状に鋳造できる。
【0065】
この粒子またはファイバーとの複合材料の熱伝導性は、その合金のみの熱伝導性より大きくなる。この複合材料は、非晶質である材料の大きさは、所定の冷却速度で非晶質となることができる同一合金の物体の大きさより大きい。
【0066】
実施例
次の表は、体積非晶質相で50%を越え少なくとも1mmの厚さのストリップを鋳造できる合金を示す。揚げられた合金は、次の式で定義される範囲の境界内にある。
【0067】
Tia(ETM)b(Cu1-x(LTM)x)c
【0068】
ここでETMはZr及びHfからなる群から選択され、LTMはNi及びCoからなる群から選択され、aは19〜41の範囲であり、bは4〜21の範囲であり、且つcは49〜64の範囲である。さらに、境界は、2<x×c<14及びb<10+(11/17)×(41−a)であるように束縛される。
【0069】
Figure 0003730258
【0070】
この合金組成の少なくとも1種は少なくとも3または4mmの最小厚さを有する物体に鋳造でき、このような組成は約34パーセントのチタニウム、約11パーセントのジルコニウム及び45の銅と10パーセントのニッケルまたは47パーセントの銅と8パーセントのニッケルの合計約55パーセントの銅及びニッケルを有することが注目される。別の良好な硝子形成金属は、式Cu52Ni8Zr10Ti30を有する。少なくとも3mmの寸法を有する物体に鋳造できる。
【0071】
次の表は、体積非晶質相で50%を越え少なくとも1mmの厚さのストリップを鋳造できる合金を示す。揚げられた合金は、次の式で定義される範囲の境界内にある。
【0072】
(Zr1-xTix)aCub(Ni1-y Coy)C
【0073】
ここで、xは0.1〜0.3の範囲内にあり、aは46〜67の範囲内にあり、bは8〜42の範囲内にあり、且つcは4〜37の範囲内にある。これらの例においてはyは零である。さらに、次の条件がある。(i)aが60〜67の範囲にあり且つcが13〜32の範囲にあるときは、bはb≧8+(12/7)×(a−60)によって与えられ、(ii)aが60〜67の範囲であり且つcが4〜13の範囲にあるときは、bはb≧20+(19/10)×(67−a)によって与えられ、且つ(iii)aが47〜55の範囲であり且つcが11〜37の範囲にあるときは、bはb≦8+(34/8)×(55−a)によって与えられる。
【0074】
Figure 0003730258
【0075】
低臨界冷却速度を有する硝子形成合金組成の多くのカテゴリーと特別な例がここに記載された。記載された硝子形成領域の境界は近似値であり、且つこれらの正確な境界のわずか外側の組成は良好な硝子形成材料であり且つこれらの境界のわずか内側の組成は1000K/s未満の冷却速度で硝子形成材料でないことは当業者には明らかである。すなわち、以下のクレームの範囲内において、本発明は、以上に記載されたそのままの値から幾分変化してもその実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の実施で与えられた合金の硝子形成範囲を示す準3元系状態図を示す。
【図2】図2は、関連する硝子形成合金範囲を示す別の準3元系状態図を示す。

Claims (13)

  1. (A)チタニウムを19〜41原子%、
    ジルコニウムとハフニウムとの少なくとも1種を4〜21原子%、
    ニッケルとコバルトとの少なくとも1種を2〜14原子%、及び
    銅と、ニッケルとコバルトとの少なくとも1種とが49〜64原子%の範囲であって、
    銅と、ニッケルとコバルトとの少なくとも1種とが49〜50原子%の範囲であるときは、ニッケルとコバルトとの合計量が8原子%未満であり、
    銅と、ニッケルとコバルトとの少なくとも1種とが50超〜52原子%の範囲であるときは、ニッケルとコバルトとの合計量が9原子%未満であり、且つ
    銅と、ニッケルとコバルトとの少なくとも1種とが52%を越えるときは、ニッケルとコバルトとの合計量が10原子%を越えない条件の銅、
    (A)において、ジルコニウム、ハフニウム、ニッケル及びコバルト以外の周期律表のランタニド及びアクチノイド系を含む族3〜11からなる遷移金属を4原子%以下、及び合計で2原子%を越えない不可避的元素を含み、且つ少なくとも4元素からなる合金から形成され、1mm以上の厚みを有する非晶質合金物体。
  2. (B)チタニウムを5〜20原子%、
    銅を8〜42原子%、
    ジルコニウムとハフニウムとの少なくとも1種を30〜57原子%、及び
    ニッケルとコバルトとの少なくとも1種を4〜37原子%、
    (B)において、ジルコニウム、ハフニウム、ニッケル及びコバルト以外の周期律表のランタニド及びアクチノイド系を含む族3〜11からなる遷移金属を4原子%以下、及び合計で2原子%を越えない不可避的元素を含み、且つ少なくとも4元素からなる合金から形成され、1mm以上の厚みを有する非晶質合金物体。
  3. ジルコニウムとハフニウムの群からジルコニウムが選択され、且つニッケルとコバルトの群からニッケルが選択される請求項1記載の非晶質合金物体。
  4. 請求項1記載の部分(A)のニッケルが7〜11原子%の範囲である請求項1記載の非晶質合金物体。
  5. 請求項2記載の部分(B)のチタニウムが9.4〜20原子%の範囲である請求項2記載の非晶質合金物体。
  6. チタニウムの原子パーセントが41であるときには、請求項1記載の部分(A)から選択されたジルコニウムとハフニウムとの少なくとも1種の原子パーセントは10未満であり、チタニウムの原子パーセントが24であるときは、請求項1記載の部分(A)から選択されたジルコニウムとハフニウムとの少なくとも1種の原子パーセントが21である請求項1記載の非晶質合金物体。
  7. 請求項1〜6項記載のいずれか1に記載される非晶質合金の母相と、前記非晶質合金より高い融点を有する複数のファイバーまたは粒子と、からなる複合材料。
  8. (A)式
    Tia(ETM)b(Cu1-x(LTM)x)c
    ETMはZr及びHfからなる群から選択され、LTMはNi及びCOからなる群から選択され、xは原子分率であり、a、b及びcは原子百分率であり、
    ここで、2<x×c<14及びb<10+(11/17)×(41−a)の条件の下で、
    aは19〜41の範囲であり、
    bは4〜21の範囲であり、且つ
    cは49〜64の範囲であり、
    条件が、
    49≦c≦50である場合は、x×c<8であり、
    50<c≦52である場合は、x×c<9であり、且つ
    52<cである場合は、x×c<10であり、
    (A)式において、合金がジルコニウム、ハフニウム、ニッケル及びコバルト以外の周期律表のランタニド及びアクチノイド系を含む族3〜11からなる遷移金属を4原子%以下、及び合計で2原子%を越えない不可避的元素を含み、且つ
    0.5mm以上の厚みを有し、少なくとも50%の非晶質相を形成するために合金を冷却する工程、
    を含んでなる0.5mm以上の厚みを有し、少なくとも50%が非晶質相である非晶質合金物体の製造方法。
  9. (B)式
    (ETM1-xTix)aCub(Ni1-yCoy)C
    ETMはZr及びHfからなる群から選択され、x及びyは原子分率であり、且つa、b及びcは原子百分率であり、
    xは0.1〜0.3の範囲にあり、
    y×cが0〜18の範囲にあり
    aは47〜67の範囲にあり、
    bは8〜42の範囲にあり、且つ
    cは4〜37の範囲にあり、
    条件は次の、
    (i)aが60〜67の範囲であり且つcが13〜32の範囲にあるときは、bはb≧8+(12/7)×(a−60)によって与えられ、
    (ii)aが60〜67の範囲であり且つcが4〜13の範囲にあるときは、bはb≧20+(19/10)×(67−a)によって与えられ、且つ
    (iii)aが47〜55の範囲であり且つcが11〜37の範囲にあるときは、bはb≦8+(34/8)×(55−a)によって与えられ、
    (B)式において、合金がジルコニウム、ハフニウム、ニッケル及びコバルト以外の周期律表のランタニド及びアクチノイド系を含む族3〜11からなる遷移金属を4原子%以下、及び合計で2原子%を越ない不可避的不純物を含み、且つ
    0.5mm以上の厚みを有し、少なくとも50%の非晶質相を形成するために合金を冷却する工程、
    を含んでなる0.5mm以上の厚みを有し、少なくとも50%が非晶質相である非晶質合金物体の製造方法。
  10. 請求項9の部分(B)のxが、0.2〜0.3の範囲である請求項9記載の方法。
  11. 5〜20原子%の範囲のチタニウム、
    8〜42原子%の範囲の銅、
    ジルコニウム及びハフニウムとの少なくとも1種を30〜57原子%、及び
    ニッケル及びコバルトとの少なくとも1種を4〜37原子%、
    からなる少なくとも4元素を有する合金を生成する工程、及び
    0.5mm以上の厚みの非晶質合金を残留させるために合金を冷却する工程、
    を含んでなる0.5mm以上の厚みを有し、少なくとも50%が非晶質相である非晶質合金物体の製造方法。
  12. 34原子%のチタニウム、
    47原子%の銅、
    11原子%のジルコニウム、及び
    8原子%のニッケル、
    を含有する少なくとも4元素からなる合金を形成して、1mm以上の鋳造のままの厚みを有する非晶質合金物体。
  13. 33.8原子%のチタニウム、
    45原子%の銅、
    11.3原子%のジルコニウム、及び
    10原子%のニッケル、
    を含有する少なくとも4元素からなる合金を形成して、1mm以上の鋳造ままの厚みを有する非晶質合金物体。
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