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JP3795333B2 - 反射防止膜形成用組成物 - Google Patents

反射防止膜形成用組成物 Download PDF

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JP3795333B2
JP3795333B2 JP2001022674A JP2001022674A JP3795333B2 JP 3795333 B2 JP3795333 B2 JP 3795333B2 JP 2001022674 A JP2001022674 A JP 2001022674A JP 2001022674 A JP2001022674 A JP 2001022674A JP 3795333 B2 JP3795333 B2 JP 3795333B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、反射防止膜形成用組成物、さらに詳しくはリソグラフィー技術によりパターン形成を行う際の基板からの反射光の悪影響を良好に低減させるとともに、厚膜の反射防止膜であるにもかかわらずエッチングレートが高く高精度の微細なレジストパターンが形成できる反射防止膜形成用組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
IC、LSI等の半導体製造工程、液晶表示素子の製造工程、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程ではホトレジストを用いた微細加工が行われているが、近年、この微細加工において一段と微細化が要求されるようになり、使用する放射線も遠紫外線(波長300nm以下)からエキシマレーザー光などへと短波長化する傾向にある。こうした放射線の短波長化に伴い基板面からの反射光による定在波等の悪影響を解消するものとして、ホトレジストと基板との間に反射防止膜(Bottom Anti−Reflective Coating;BARC)を設ける方法が広く検討され、吸光剤とポリマー材料からなる有機系反射防止膜等が反射防止膜として提案された。前記反射防止膜の例として特開平8−87115号公報、特開平9−292715号公報又は特開平10−228113号公報等にみられるように、ヒドロキシルアルキル基あるいはアルコキシアルキル基で置換された架橋剤成分、ベンゾフェノン系、ジフェニルスルホン系あるいはジフェニルスルホキシド系の染料成分及びアクリル系樹脂成分を含有するリソグラフィー用下地材や特開平10−204328号公報にみられるように、キノリニル基、N、OもしくはSの環置換基を持つキノリニル基、フェナントレニル基、アクリジル基又はアルキレンアントラセン基を含有してなる樹脂バインダー及びグリコールウリル等の架橋材からなる反射防止組成物などが挙げられる。
【0003】
また、WO97/07145号公報にみられるように、エポキシ樹脂にアントラセン環あるいはナフタレン環等を置換基として置換させた染料成分とを重合させて得られた樹脂成分及びメラミン、尿素、ベンゾグアナミンあるいはグリコールウリル等の架橋剤成分を主成分とする反射防止コーティング組成物、などの2成分を主にした反射防止コーティング組成物も提案された。
【0004】
上記各公報に記載の有機系反射防止膜形成用材料は、放射線に対して大きな吸収能を有し、ホトレジストとインターミキシングを起こさず、露光後の現像工程で用いられる現像液に対して十分な耐性を有する。ところが、露光光の短波長化に伴い使用されるホトレジスト層には薄膜化が要求され、さらには反射防止膜にも高エッチングレート化が要求されるようになっている。その点でいずれの反射防止膜形成用組成物もエッチングレートが十分でなく、厚膜にして基板上の段差を平坦化すると、ホトレジストパターンの膜減りが激しく、リソグラフィー処理が施せない等の欠点があった。
【0005】
さらに、特開2000−44876号公報には、アルカル可溶性樹脂とジシラン系のポリシランシリカ成分とが分子レベルで絡み合った反射防止膜材料が提案されているが、現状のプロセスで汎用されるエッチングガスに対し十分なエッチングレートを有しておらず、配線パターン等の形成が困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
こうした現状に鑑み、本発明者等は鋭意研究を続けた結果、特定のシラン化合物に前記シラン化合物と縮合でき、露光光に対して高い吸収能を有するフェノール系樹脂を含有することで、反射光等の吸収能が上がり、しかも反射防止膜のエッチングレートが高く、厚膜にして基板上の段差を平坦にしてもホトレジスト層の薄膜化に対して十分に対応し優れたパターンが形成でき、さらに現像液に対し十分な耐性を有する反射防止膜形成用組成物が得られることを見出した。すなわち
【0007】
本発明は、反射光等に対して吸収能が高く、薄膜化したレジスト膜に定在波の悪影響がなく、かつエッチングレートが高く反射防止膜を厚膜にし基板上の段差を平坦化してもホトレジスト層の薄膜化に十分に対応できる上に、現像液に対しても充分な耐性を有する反射防止膜を形成できる反射防止膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、(A)(i)一般式化4
【0009】
【化4】
Si(OR1a(OR2b(OR3c(OR4d
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、a、b、c及びdは、0≦a≦4、0≦b≦4、0≦c≦4、0≦d≦4であって、かつa+b+c+d=4の条件を満たす整数である)
で表わされる化合物、
(ii)一般式化5
【0010】
【化5】
5Si(OR6e(OR7f(OR8g
(式中、R5は水素、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、R6、R7及びR8はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基、e、f及びgは、0≦e≦3、0≦f≦3、0≦g≦3であって、かつe+f+g=3の条件を満たす整数である)
で表わされる化合物
及び
(iii)一般式化6
【0011】
【化6】
910Si(OR11h(OR12i
(式中、R9及びR10は水素、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、R11及び R12はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基、h及びiは、0≦h≦ 2、0≦i≦2であって、かつh+i=2の条件を満たす整数である)
で表わされる化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物、
(B)フェノール系樹脂を含有することを特徴とする反射防止膜形成用組成物に係る。
【0012】
以下、本発明についてさらに詳述する。
本発明の反射防止膜形成用組成物が含有する(A)成分としては、前記(i)、(ii)及び(iii)の化合物から選ばれる少なくとも1種が用いられ、(i)の化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシランなどのテトラアルコキシシランまたはそれらのオリゴマーが挙げられ、中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランまたはそれらのオリゴマーが好ましい。
【0013】
また、(ii)の化合物としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジフェニオキシルモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノフェニルオキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリフェニルオキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジプロポキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、メチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、エチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、プロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシランなどが挙げられ、中でもトリメトキシシラン、トリエトキシシランが好ましい。
【0014】
さらに、(iii)の化合物としては、例えばジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジフェニルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシフェニルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシフェニルオキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシフェニルオキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルジフェニルオキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルジフェニルオキシシラン、ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルエトキプロポキシシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルメチルフェニルオキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジフェニルオキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルメトキシフェニルオキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジフェニルオキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシランなどが挙げられ、中でもジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましい。
【0015】
上記(i)〜(iii)の化合物は適宜選択して用いることができるが、中でも(i)と(ii)の化合物の組み合わせたものが現像液耐性、保存安定性の良さから好ましい。前記組合せの配合割合は、モル比で1:9〜9:1、好ましくは1:7〜5:1の範囲がよい。配合割合が前記範囲を逸脱すると膜にクラックが発生し易くなり、また保存安定性も低下して好ましくない。
【0016】
本発明の(B)成分としては、前記(A)成分と縮合できる置換基又は骨格を有し、かつ露光光に対して高い吸収能を有し、基板からの反射光や基板表面の段差による乱反射による定在波の悪影響を妨げるフェノール系樹脂が用いられる
【0019】
上記フェノール系樹脂の配合量は、とくに限定されないが、好ましくは(A)成分のSiO2換算の固形分重量に対し10〜300重量%、好ましくは15〜200重量%の範囲がよい。前記範囲未満では反射光や散乱光の吸収が十分でなく定在波の悪影響を低減できず、前記範囲を超えると反射防止膜の硬度が高くなりエッチングレートが低くなり厚膜にできなく好ましくない。
【0020】
本発明の(C)成分は、(B)成分の樹脂とは異なり、従来反射防止膜に慣用されている有機酸、無機酸のいずれも使用できる。前記有機酸としては、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、n−酪酸などのカルボン酸及び硫黄含有酸残基をもつ有機酸が用いられる。上記硫黄含有酸残基をもつ有機酸としては、有機スルホン酸が挙げられ、それらのエステル化物としては有機硫酸エステル、有機亜硫酸エステルなどが挙げられる。これらの中で、特に有機スルホン酸、例えば、一般式化8
【0021】
【化8】
Figure 0003795333
(式中、R13は、置換基を有しない若しくは有する炭化水素基、Xはスルホン酸基である。)
で表わされる化合物が好ましい。上記一般式化8において、R13の炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、この炭化水素基は飽和のものでも、不飽和のものでもよいし、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよい。R13の炭化水素基が環状の場合、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基などの芳香族炭化水素基がよく、中でもフェニル基が好ましい。この芳香族炭化水素基の芳香環は炭素数1〜20のアルキル基を1個又は複数個結合していてもよく、前記炭素数1〜20の炭化水素基は、飽和のものでも、不飽和のものでもよいし、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよい。また、前記置換基としては、例えばフッ素原子等のハロゲン原子、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基などが挙げられ、これらの置換基は1個又は複数個置換されていてもよい。このような有機スルホン酸としては、レジストパターン下部の形状改善効果の点から、特にノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸又はこれらの混合物などが挙げられる。さらに、無機酸としては、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸などが使用でき、中でも、リン酸、硝酸が好適である。
【0022】
上記(C)成分は水の存在下でシラン化合物を加水分解するときの触媒としての作用も有するが、水の添加量は、シラン化合物の合計1モル当たり、1.5〜4.0モルの範囲が好ましい。酸性化合物は水を添加したのち加えて良いし、また、酸性化合物を水と混合して酸水溶液として加えてもよいが、使用する酸性化合物の量は、加水分解系中の濃度が300〜800ppm、特に400〜600ppmの範囲になるように調製されるのがよい。さらに、加水分解反応は、通常5〜100時間程度で完了するが、反応時間を短縮させるには、80℃を超えない加熱温度で加熱するのがよい。
【0023】
上記各成分を(D)成分の有機溶媒に溶解して反射防止膜形成用塗布液が調製されるが、使用する有機溶媒としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールのような一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールのような多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルのような多価アルコールのモノエーテル類あるいはこれらのモノアセテート類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトンのようなケトン類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルのような多価アルコールエーテルをすべてアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類などが挙げられる。中でも多価アルコールエーテルをすべてあるいは部分的にアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類あるいはこれらのモノアセテート類が好ましい。
【0024】
上記有機溶媒は単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、その使用量はシラン化合物の合計1モル当たり10〜30モルの範囲が好ましい。このように調製された塗布液は、そのまま使用できるが、塗布液中の固形分濃度の調整のため、希釈溶媒で希釈してから使用してもよい。前記希釈溶媒としては上記有機溶媒が使用できる。そして、塗布液の調製においては、使用したアルコール溶媒あるいはシラン化合物の加水分解反応により生成するアルコールの量が塗布液全量に対して15重量%以下とすることが重要である。アルコール量が15重量%を超えて残存すると、H−Si基とアルコールが反応して、RO−Si基が生成し易くなり、塗布液がゲル化し保存安定性が劣る上に、クラックが発生するようになる。アルコール分が過剰に混入した場合には減圧蒸留で除去するが、減圧蒸留は真空度39.9×102〜39.9×103Pa、好ましくは66.5×102〜26.6×103Pa、温度20〜50℃で2〜6時間行うのがよい。
【0025】
また、塗膜のストリエーションを抑制するため(F)フッ素系又はケイ素系界面活性剤を配合できる。前記(F)成分としては、X−70−093(信越化学社製)、パイオニン(竹本油脂社製)、FC−171あるいはFC−430( 住友3M社製)等が挙げられる。
【0026】
上記反射防止膜形成用組成物の(A)成分及び(B)成分の配合割合を選択することで形成される反射防止膜は疎又は密となるが、反射防止膜が疎であると屈折率(n)は低くなりエッチング速度は速くなる。一方、反射防止膜が密であると、屈折率が高くなるがエッチング速度は低くなる。さらに(B)成分の配合量により吸光係数(k)が変化するので、本発明の反射防止膜形成用組成物は、使用する放射線により前記n値及びk値を選択するように(A)及び(B)成分の種類、配合量を選択するのがよい。
【0027】
本発明の反射防止膜形成用組成物の使用方法として、シリコンウエーハ、ガラス基板、回路基板などの基板上に本発明の反射防止膜形成用組成物からなる塗布液をスピンナーなどの塗布手段を用いて塗布し、次いで、該塗布膜上にホトレジスト膜を形成し、このレジスト膜に遠紫外線、エキシマレーザ光などの放射線を露光装置を用いて選択的に照射し、現像してレジストパターンを形成したのち、エッチング処理して基板を選択的にエッチングする方法などが挙げられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
実施例1
トリメトキシシラン136g(1モル)、オルトケイ酸メチル152g(1モル)、プロピルグリコールジメチルエーテル786g、水126g及び硝酸100μlを配合し溶液を得た。この溶液を室温(20℃)で保存し、乳酸エチルを用いて固形分濃度をSiO2換算重量で5重量%とした。
【0030】
一方、フェノールノボラック系樹脂(商品名TO−212、住友デュレツ社製)に対しSiO2換算重量で上記アルコキシシランの溶液を50重量%配合し反射防止膜形成用組成物を調製した。得られた組成物をスピンナーによりシリコンウエーハ上に塗布し、80−130−200−250℃で各1分間づつ連続的に多段べークを行い、膜厚3000Åの反射防止膜を形成した。この反射防止膜の屈折率(n)及び吸光係数(k)は表1に示すとおりであった。
【0031】
次に、上記反射防止膜上に化学増幅型ポジ型ホトレジストであるDP−617HL(東京応化工業社製)をスピンナーにより塗布し、120℃にて90秒間プリベークを行い膜厚4500Åのホトレジスト層を得た。これを露光装置S−230B(ニコン社製)を用いて露光した後、110℃にて90秒間ポストベークを行い、現像液NMD−3(東京応化工業社製)を用いて23℃にて60秒間パドル現像を行い、0.16μmのラインアンドスペースパターンを形成し、SEM(走査電子顕微鏡)で観察したところ、パターンは矩形の良好なものであった。
【0032】
上記ホトレジストパターンをマスクとしてOAPM(東京応化工業社製)にて、フッ素系のエッチングガス(CF3/CHF3/He)を用いて、39.9×103Pa、出力400W、温度25℃で、ドライエッチングを行った。その時のエッチングレートを膜厚測定器(商品名プロメトリクス、KLAテンコール社製)でエッチング前の膜厚及び所要時間エッチングした後の膜厚を測定し、反射防止膜の膜減り量を1分間当たりに換算して求めた。その結果を表1に示す。
【0033】
実施例2
実施例1のフェノールノボラック系樹脂として、配合量をSiO2換算重量で150重量%とした以外、実施例1と同様の操作を行ってシリコンウエーハ上に反射防止膜を形成した。該反射防止膜の屈折率(n)及び吸光係数(k)は表1に示すとおりであった。また、形成したホトレジストパターンについて観察したところ矩形の良好なものであった。そのエッチングレートを実施例1と同様な操作で求めた。その結果を表1に示す。
【0034】
実施例3
実施例1のフェノールノボラック系樹脂として、配合量をSiO2換算重量で200重量%とした以外、実施例1と同様の操作を行ってシリコンウエーハ上に反射防止膜を形成した。該反射防止膜の屈折率(n)及び吸光係数(k)は表1に示すとおりであった。また、形成したホトレジストパターンについて観察したところ矩形の良好なものであった。そのエッチングレートを実施例1と同様な操作で求めた。その結果を表1に示す。
【0035】
実施例4
実施例2の反射防止膜形成組成物に対して、シロキサン系界面活性剤(商品名X−70−093、信越化学社製)を、組成物全体の50gに対して20μl添加した以外、実施例1と同様の操作を行ってシリコンウエーハ上に反射防止膜を形成した。該反射防止膜の屈折率(n)及び吸光係数(k)は表1に示すとおりであった。また、形成したホトレジストパターンについて観察したところ矩形の良好なものであった。そのエッチングレートを実施例1と同様な操作で求めたところ、表1のとおりであった。
【0036】
実施例5
実施例1の反射防止膜形成用組成物を用い、反射防止膜を形成し、化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物であるTArF6a−37(東京応化工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様の操作で0.16μmラインアンドスペースパターンを形成した。SEMにより観察したところ、パターンは矩形の良好なものが形成されていた。
【0037】
実施例6
実施例1において、溶剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとした以外は、実施例1と同様な方法でホトレジストパターンを形成した。下地基板への埋め込み性、表面状態等の膜質が良好で、得られた0.16μmラインアンドスペースのホトレジストパターンも矩形の良好なものであった。
【0038】
比較例1
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン40g及びサイメル1125−80(三井サイアナミッド社製)60gをプロピレングリコールモノメチルエーテル1200gに溶解させ、下地材溶液を調製した。この下地材溶液をシリコンウェーハ上にスピンナー塗布し、90℃で90秒間乾燥処理を行い、さらに180℃で90秒間加熱し、3000Åの反射防止膜を形成した。該反射防止膜の屈折率(n)及び吸光係数(k)は表1に示すとおりであった。この反射防止膜について、実施例1と同様の操作によりホトレジストパターンを得ようとしたが、ホトレジストパターンの膜減りが激しくパターンの評価ができなかった。さらに、そのエッチングレートを実施例1と同様な操作で求めたところ、表1のとおりであった。
【0039】
実施例7
SiO2換算重量でトリメトキシシランとオルトケイ酸メチルを各々60g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート786g、水126g及びドデシルベンゼンスルホン酸ノ20%溶液30gを配合し溶液を得た。この溶液を室温(20℃)で保存し、乳酸エチルを用いて固形分濃度をSiO2換算重量で5重量%とした。
【0040】
一方、フェノールノボラック系樹脂(商品名TO−212、住友デュレツ社製)に対しSiO2換算重量で上記アルコキシシランの溶液を50重量%配合し反射防止膜形成用組成物を調製した。得られた組成物をスピンナーによりシリコンウエーハ上に塗布し、80−130−200−250℃で各1分間づつ連続的に多段べークを行い、膜厚1300Åの反射防止膜を形成した。この反射防止膜の屈折率(n)及び吸光係数(k)は表1に示すとおりであった。
【0041】
次に、上記反射防止膜上に化学増幅型ポジ型ホトレジストである、6a−66−D3(東京応化工業社製)をスピンナーにより塗布し、120℃にて90秒間プリベークを行い膜厚400nmのホトレジスト層を得た。これを露光装置S−230B(ニコン社製)を用いて露光した後、110℃にて90秒間ポストベークを行い、現像液NMD−3(東京応化工業社製)を用いて23℃にて60秒間パドル現像を行い、0.16μmのラインアンドスペースパターンを形成し、SEM(走査電子顕微鏡)で観察したところ、パターンは矩形の良好なものであった。
【0042】
上記ホトレジストパターンをマスクとしてOAPM(東京応化工業社製)にて、フッ素系のエッチングガス(CF3/CHF3/He)を用いて、39.9×103Pa、出力400W、温度25℃で、ドライエッチングを行った。その時のエッチングレートを膜厚測定器(商品名プロメトリクス、KLAテンコール社製)でエッチング前の膜厚及び所要時間エッチングした後の膜厚を測定し、反射防止膜の膜減り量を1分間当たりに換算して求めた。その結果を表1に示す。
【0043】
実施例8
実施例7のドデシルベンゼンスルホン酸をノナフルオロブタンスルホン酸に代えた以外は、実施例7と全く同様の操作を行ってシリコンウエーハ上に反射防止膜を形成した。また、形成したホトレジストパターンについて観察したところ矩形の良好なものであった。そのエッチングレートを実施例7と同様な操作で求めた。その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003795333
【0045】
上記表1から明らかなように本発明の反射防止膜形成用組成物は、反射光に対して吸収能が高い上に、高いエッチングレートを示す。
【0046】
【発明の効果】
本発明の反射防止膜形成用組成物は、反射光に対して吸収能が高く、定在波の悪影響が低減できる上に、エッチングレートが高く厚膜の反射防止膜が形成でき、薄膜化したレジスト層から形状に優れたレジストパターンが形成でき、さらに現像液に対しても充分な耐性を有する反射防止膜が形成でき、工業的価値の高い組成物である。

Claims (3)

  1. (A)(i)一般式化1
    Figure 0003795333
    (式中、R、R、R及びRは、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、a、b、c及びdは、0≦a≦4、0≦b≦4、0≦c≦4、0≦d≦4であって、かつa+b+c+d=4の条件を満たす整数である)
    で表わされる化合物、
    (ii)一般式化2
    Figure 0003795333
    (式中、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、R、R及びRはそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基、e、f及びgは、0≦e≦3、0≦f≦3、0≦g≦3であって、かつe+f+g=3の条件を満たす整数である)
    で表わされる化合物
    及び
    (iii)一般式化3
    Figure 0003795333
    (式中、R及びR10は水素、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、R11及び R12はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基、h及びiは、0≦h≦2、0≦i≦2であって、かつh+i=2の条件を満たす整数である)
    で表わされる化合物
    から選ばれる少なくとも1種の化合物、
    (B)フェノール系樹脂を含有することを特徴とする反射防止膜形成用組成物。
  2. 請求項1記載の反射防止膜形成用組成物が、さらに(C)酸性化合物、(D)有機溶媒及び(E)水を含有することを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜形成用組成物。
  3. 露光光が波長248nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止膜形成用組成物。
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