JP4035677B2 - ポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料及びその製造方法並びに反射防止膜材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂レジスト材料の下にコートし、基板からの露光光の反射を防止する目的で使用される反射防止膜材料の主成分として有用なポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料及びその製造方法並びに反射防止膜材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、感光性樹脂レジスト材料の下にコートし、基板からの露光光の反射を防止する目的で使われる反射防止膜材料としては、BARC(Bottomanti−Reflection Coating)剤と呼ばれるものが市販されるに至っている。
【0003】
この反射防止膜材料の主な用途は、集積回路を作製するためのパターン描画をする時に使うフォトレジスト膜の下にコーティングし、基板からの反射光を防ぎ、上層レジスト膜のパターン形成時に起こるハレーション、ノッチング、裾引き等の問題を解決しようとするものである。
【0004】
しかしながら、これらの市販BARC剤は、BARC膜そのものには、上層で使用するレジスト膜のような耐ドライエッチング性はなく、単にレジスト形状の改善のために使われる材料でしかなかった。
【0005】
また、BARC剤そのものはパターン形成能を有せず、上層レジスト膜を現像液でパターニング後、ウエットエッチングでは等方性エッチングしかできず、矩形性に劣る形状しか得られなかった。
【0006】
この場合、矩形性の優れた形状を得るためには、ドライエッチングをする必要があり、プロセス的には真空を必要とする煩雑な工程が必要であった。
【0007】
更に、フォトレジストに要求される特性としては単に微細なパターンが形成できれば良いというものではなく、半導体等の微細加工プロセス、例えば、ドライエッチング、イオンミリング、イオン打ち込み、メッキ、リフトオフ等の工程に耐える材料でなければならない。
【0008】
ところが、従来の集積回路作製のために使われているレジスト材料では耐熱性・耐ドライエッチング性等の不足のため、微細加工プロセス中にレジストパターンが変形してしまったり、また焦げ付いてしまったりするため、種々の問題を抱えていた。
【0009】
もし上層のレジストパターンが、これらの工程中にエッチングされ消失してしまう程厳しい条件であったとしても、下層に敷いた反射防止膜層が、これらの工程中にも十分耐える優れた材料であったとしたら、大変望ましい材料であると言えるが、これまではそのような特性を併せ持つような反射防止膜は市販されていなかった。
【0010】
更に、今後半導体集積回路が益々微細化していくため、より高解像力のレジスト材料が求められてくるが、より高解像のレジスト材料を提供していくためには、アルカリ可溶性樹脂の分子量をより低いものにしていかねばならず、そうするとレジスト材料の耐熱性等が低下してくるものと予測される。
【0011】
そのため、従来よりレジスト材料の耐熱性・耐ドライエッチング性等を向上する目的で、シリコーンレジスト材料や、レジスト材料中にフラーレンC−60を添加する等の提案がなされてきた(岩佐義宏、固体物理31,909(1996))。
【0012】
しかしながら、シリコーンレジスト材料では十分な解像性が得られない場合が多く、またパターン形状等も一般的に劣る等の欠点があった。
【0013】
また、フラーレンC−60をレジスト材料に添加しようとしても、レジスト溶剤に満足に溶解させることが難しく、レジスト材料の耐熱性を十分に向上させる程には、添加できない場合が多く、しかも、フラーレンC−60が非常に高価な材料であるため、レジスト材料のコストアップ要因となっていた。
【0014】
更に、最近になり相互貫通網目構造[Inter Penetration Network(IPN)]と呼称される技術が出現し、従来では考えられなかった分子レベルでの有機−無機ハイブリッド技術が可能になってきており、各種高分子材料と分子レベルのシリカを共有結合を介さずに均一に混合することが行われ出している。特に高分子材料としては、ポリ(2−メチル−オキサゾリン)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、又は、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)などアミド基を持ったポリマーでアルコキシシランをゾル−ゲル加水分解したシリカとポリマーハイブリッド中で水素結合し易いもので成功を収めている(Y.Chujo,T.Saegusa,Adv.Sci.,100,11(1992);「熱硬化性樹脂」Vol.16,No.2(1995),31−36頁;「日本接着学会誌」Vol.33,No.8(1997),16−21頁)。
【0015】
しかし、これまでポリマーとしてアルカリ可溶性樹脂を用いた有機−無機ポリマーハイブリッドは報告されていない。
【0016】
また、シリカとしては各種アルコキシシランを用いてゾル−ゲル法で作製したものを用いる方法はあったが、アルコキシポリシランを用いてゾル−ゲル法で作製するポリシランシリカとのポリマーハイブリッド組成物については、報告されていない。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、リソグラフィーにおいてパターン形成に用いるフォトレジストの下地に敷いて、基板からの反射を防止し、レジスト膜の裾引きやハレーションを効果的に防止することができる反射防止膜材料の主剤として有効に使用されるポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料及びその製造方法並びに反射防止膜材料を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、アルカリ可溶性樹脂に、下記式(3)
RmSiSi(OR’)6-m (3)
(式中、Rは一価炭化水素基、R’は一価炭化水素基を示し、mは0〜4の整数である。)
で表されるオルガノオキシポリシランをゾル−ゲル反応させて得られる下記平均組成式(1)
RnSiSi(O)(6-n)/2 (1)
(式中、Rは一価炭化水素基を示し、nは1〜3の平均値である。)
のポリシランシリカ成分を分子レベルで絡み合わせたハイブリッド材料が、反射防止膜特性を持ちながら欠陥のない均一な膜を成膜できることを見出した。
【0019】
ここで、従来の手法ではポリシランシリカをアルカリ可溶性樹脂中に均一に充填することはできず、添加しても時間が経てばポリシランシリカが沈殿して均一な反射防止膜材料とすることはできないものであったが、上記ハイブリッド材料は、かかる問題はなく、アルカリ可溶性樹脂にポリシランシリカが分子レベルで絡み合って含有されているので、均質なものである。
【0020】
従って、本発明は、下記のポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料及びその製造方法並びに反射防止膜材料を提供する。
[請求項1] アルカリ可溶性樹脂として下記式(2)で表されるノボラック樹脂と、下記平均組成式(1)
RnSiSi(O)(6-n)/2 (1)
(式中、Rは一価炭化水素基を示し、nは1〜3の平均値である。)
で表されるポリシランシリカ成分とが、分子レベルで絡み合わされてなることを特徴とするポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料。
[請求項2] アルカリ可溶性樹脂に1,2−ナフトキノンジアジドスルフォニル基が導入された請求項1記載のハイブリッド材料。
【0021】
【化4】
(式中、pは1〜3の平均値であり、qはポリスチレン換算平均分子量を500〜30000とする数である。)
【0022】
[請求項3] アルカリ可溶性樹脂を溶解した溶液中で下記式(3)
RmSiSi(OR’)6-m (3)
(式中、Rは一価炭化水素基、R’は一価炭化水素基を示し、mは0〜4の整数である。)
で表されるオルガノオキシポリシランをゾル−ゲル反応することを特徴とする請求項1記載のポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料の製造方法。
[請求項4] 下記式(3)
RmSiSi(OR’)6-m (3)
(式中、Rは一価炭化水素基、R’は一価炭化水素基を示し、mは0〜4の整数である。)
で表されるオルガノオキシポリシランと、下記式(4)で表されるフェノール類とを、下記式(5)
R”CHO (5)
(式中、R”は水素原子又は一価炭化水素基を示す。)
で表されるアルデヒド類の存在下に酸触媒により脱水縮合反応させることを特徴とする請求項1記載のポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料の製造方法。
【0023】
【化5】
(式中、pは1〜3の平均値である。)
【0024】
[請求項5] 請求項3又は4記載の製造方法で得られたポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料に、下記式(6)で表される1,2−ナフトキノンジアジドスルフォニルクロライドを縮合反応させてアルカリ可溶性樹脂に感光基を導入することを特徴とするポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料の製造方法。
【0025】
【化6】
【0026】
[請求項6] 請求項1又は2記載のポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料を主成分とする反射防止膜材料。
[請求項7] 感光剤を含有する請求項6記載の反射防止膜材料。
【0027】
上述したように、本発明のハイブリッド材料は、アルカリ可溶性樹脂に分子レベルでポリシランシリカを絡み合わせたものであり、これはレジスト膜の下にコーティングし、反射防止膜として使用することができる。この場合、分子レベルでポリシランシリカがアルカリ可溶性樹脂(ベースレジン)と相互貫通網目構造(IPN)をとり、アルカリ可溶性樹脂と完全に均一に混じり合うため、アルカリ可溶性樹脂とポリシランシリカが層分離したり、或いは解像力を劣化させたり等の不具合が発生しない。
【0028】
また、ポリシランシリカは、各種アルコキシポリシランを使用して得ることができるため、原料が非常に安価で、かつ製造プロセスもゾル−ゲル法のため、安価で簡単な工程でできる。
【0029】
更に、このポリシランシランのSi−Si結合が、UV領域180〜380nmに吸収を持つため、KrFエキシマレーザー(248nm)やArFエキシマレーザー(193nm)での露光或いはI線(365nm)での露光に対して吸収する能力を有している。そのため、上層にあるポジ型レジスト層を抜けて貫通した光は、基板で反射するまでにこの反射防止膜層に吸収される。
【0030】
こうして反射防止膜が露光光を吸収するため、基板での反射光が悪影響を及ぼすハレーション現象やパターンが飛んで欠陥を生じるノッチング現象等を防止することができる。
【0031】
しかも、ゾル−ゲルで作製したポリシランシリカだけでは、反射防止膜として成膜することは困難で、ましてやレジスト材料並に均一に無欠陥で塗布するのは非常に困難であるが、本発明のハイブリッド材料は、欠陥の無い均一な膜を塗布することができる。
【0032】
更に、本発明のハイブリッド材料に更に感光基を導入したり、感光剤を併用した場合は、レジスト現像パターニング後、同時にポジ型に現像してしまうことができるので、ドライエッチング等追加プロセスを必要としない。
【0033】
しかも、ポリシランシリカをハイブリッド化した本発明に係る反射防止膜は、レジストパターニング後にレジスト膜の下層に層をなしているが、ポリシランシリカ成分が耐ドライエッチング性に優れた材料であるためドライエッチング中に上層のレジストパターンが損傷を受けても、下地の反射防止膜層がその下の基板をドライエッチング中も保護してくれる。
【0034】
更に重要な点は、本発明に係る反射防止膜の上にレジスト材料を塗布する際に、レジスト層との間にインターミキシング層を形成しない点である。そのため、反射防止膜層−レジスト層の界面での混じり合った層ができないため、上層のレジスト膜の性能を最大限に引き出せる。
【0035】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0036】
本発明のポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料は、アルカリ可溶性樹脂と下記平均組成式(1)
RnSiSi(O)(6-n)/2 (1)
(式中、Rは一価炭化水素基を示し、nは1〜3の平均値である。)
で表されるポリシランシリカ成分とが分子レベルで絡み合わされてなるものである。
【0037】
この場合、アルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂、特に下記式(2)で表されるものが好ましい。
【0038】
【化7】
(式中、pは1〜3の平均値であり、qはポリスチレン換算平均分子量を500〜30000とする数である。)
【0039】
一方、ポリシランシリカは、ゾル−ゲル法で得られた下記平均組成式(1)
RnSiSi(O)(6-n)/2 (1)
で表されるもので、このポリシランシリカは、上記アルカリ可溶性樹脂に絡み合い、分子レベルで分散しているものである。
【0040】
ここで、Rは一価炭化水素基であり、特に炭素数1〜8のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、炭素数6〜10のフェニル基、トリル基等のアリール基、炭素数7〜12のベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられ、nは1〜3の平均値である。
【0041】
また、このポリシランシリカの重量平均分子量は、通常500〜100,000である。
【0042】
上記ポリシランシリカ成分の分散量は、上記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して1〜50重量部、特に5〜30重量部であることが好ましい。1重量部より少ないと本発明の目的を達成し得ず、50重量部より多いと塗布性や塗布均一性が悪くなるおそれがある。
【0043】
本発明のポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料には、その樹脂、特にノボラック樹脂のOH基の水素原子の1〜50モル%、特に3〜30モル%を感光基、特にナフトキノンジアジド基で置換することができる。
【0044】
本発明のハイブリッド材料は、下記方法によって調製することができる。
第1方法
アルカリ可溶性樹脂、例えば上記式(2)のノボラック樹脂を炭素数1〜8程度のアルコールなどに溶解した溶液中で水を加えて下記式(3)
RmSiSi(OR’)6-m (3)
(式中、Rは一価炭化水素基、R’は一価炭化水素基を示し、mは0〜4の整数である。)
で表されるオルガノオキシポリシランをゾル−ゲル反応する。
【0045】
第2方法
下記式(3)
RmSiSi(OR’)6-m (3)
(式中、Rは一価炭化水素基、R’は一価炭化水素基を示し、mは0〜4の整数である。)
で表されるオルガノオキシポリシランと、下記式(4)で表されるフェノール類とを、下記式(5)
R”CHO (5)
(式中、R”は水素原子又は一価炭化水素基を示す。)
で表されるアルデヒド類の存在下に酸触媒により脱水縮合反応させる。
【0046】
【化8】
(式中、pは1〜3の平均値である。)
【0047】
なお、上記式(3)において、Rの一価炭化水素基としては、特に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のフェニル基、トリル基等のアリール基、炭素数7〜12のベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられ、また、R’の一価炭化水素基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のビニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、上記と同様の炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、更に炭素数2〜8のメトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基などが挙げられる。mは0〜4の整数である。
【0048】
式(3)で表されるオルガノオキシポリシラン類としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、メチルペンタメトキシジシラン、メチルペンタエトキシジシラン、フェニルペンタメトキシジシラン、フェニルペンタエトキシジシラン、ジメチルテトラメトキシジシラン、ジメチルテトラエトキシジシラン、ジメチルフェニルトリメトキシジシラン、フェニルメチルテトラメトキシジシラン、トリメチルトリメトキシジシラン、トリメチルフェニルジメトキシジシラン、テトラメチルジメトキシジシラン等のジシラン類が挙げられる。或いはこれらの混合物であっても良い。
【0049】
OR’基としては、メトキシ基、エトキシ基が一般的であるが、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましい。炭素数9以上では沸点等が高くなり扱いづらくなる場合がある。なお、アリール基、アラルキル基等をポリシラン上に導入して、UV吸収ピークの波長を調整することもできる。
【0050】
式(4)で表されるフェノール類としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、トリメチルフェノール等のフェノール性化合物からなる混合物で、pの平均値が1〜3である。
【0051】
式(5)において、R”はRと同様のものが挙げられ、式(5)で表されるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等を挙げることができるが、好ましくはホルムアルデヒドを用いる。
【0052】
酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、蟻酸、蓚酸、酢酸等の有機酸を使う。
【0053】
上記式(3)のオルガノオキシポリシランの使用量は、フェノール類モノマー混合物との総量に対して最終的にできるポリシランシリカ成分[式(1)]の割合で1〜50重量%になるように混合される。
【0054】
上記酸性触媒の使用量は、フェノール類モノマー混合物の総量1モルに対し1×10-4〜5×10-3モルが一般的である。
【0055】
反応温度は、70〜130℃である。なお、反応溶剤を使わないのが一般的であるが、極性の高い有機溶剤メチルイソブチルケトン、アセトン、イソプロピルアルコール等を使っても良い。
【0056】
第3方法
上記第2方法で作製したポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料と下記式(6)で表される1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドを塩基性触媒で縮合反応させ、感光基を樹脂に直接導入し、これを有機溶剤に溶解させる。
【0057】
【化9】
【0058】
感光基を樹脂に直接導入する方法は、ポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料をアセトン、1,4−ジオキサン等の水溶性の極性溶剤に溶解し、更に上記式(6)で表される1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドを溶かし、室温常圧下で1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドに対して当量以上のトリエチルアミンや1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等のアミン化合物を縮合触媒として滴下していく。反応後、0.1規定程度の塩酸水中に反応生成物を投入すると、過剰の縮合触媒が塩酸塩となり水中に溶けだし、更に感光基が直接導入された樹脂が水に溶けないため沈殿物として析出する。
【0059】
この沈殿物を水洗したり、再沈殿したりして精製を繰り返し、必要によりこの沈殿物を乳酸エチルやPGMEA等の有機溶剤に溶かす。
【0060】
この精製を繰り返す間も、ポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料は、分離することなくお互いが網目構造をとり、分子レベルで絡み合っているものである。
【0061】
本発明のハイブリッド材料は、反射防止膜材料の主剤として使用することができる。この場合、ハイブリッド材料としては、アルカリ可溶性樹脂、特に式(2)のノボラック樹脂のOH基の水素原子の1〜50モル%、特に3〜30モル%の感光基、特にナフトキノンジアジド基で置換したものが好ましい。また、このような感光基が導入されていないハイブリッド材料を用いる場合は、感光剤を配合することができる。この感光剤としては、g線用或いはi線用の感光剤を使用することができるが、1,2−キノンジアジド化合物が好ましく、特に限定されるものではないが、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等を挙げることができる。その配合量は、上記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して5〜50重量部、特に10〜40重量部とすることができる。
【0062】
本発明の反射防止膜材料は、上記成分を有機溶剤に溶解して作製するが、溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等のエステル類を使うことができる。なお、これらの溶剤を2種類以上混合して使うこともできる。
【0063】
更に、本発明の反射防止膜材料には、界面活性剤、レベリング剤、保存安定剤等を添加しても良い。
【0064】
なお、本発明の反射防止膜材料は、上述した第1〜第3の方法によって得ることができ、得られたハイブリッド材料を必要により有機溶剤に溶解させたり、任意成分を添加でき、特に第1、第2方法で得られたハイブリッド材料の場合は、感光剤を配合することができる。
【0065】
本発明の反射防止膜材料は、公知の方法によって使用することができる。この場合、図1に示したように、基板1に本発明のハイブリッド材料による反射防止膜2を形成し、その上にポジ型レジスト材料によるレジスト膜3を形成し、このレジスト膜3にレクチル4を介して露光5を行う。
【0066】
ここで、反射防止膜の膜厚は、100〜2000Åが好ましい。
【0067】
上記露光時において、レジスト層を貫通した光は反射防止膜層で吸収され、基板表面に届くまえに減衰し、基板表面からの反射光が再度レジスト層を感光する影響が抑えられる。
【0068】
従って、反射光による定在波、ハレーション、ノッチング、裾引き等の悪影響を極力抑えることができ、上層のレジスト材料が本来持っている性能を、反射光の影響を除いた形で引き出すことができる。
【0069】
更に、パターニング後、ドライエッチング等に代表されるハードなエッチング工程でも、この反射防止膜は遺憾なくその本領を発揮する。図2にそのドライエッチング時の本発明の反射防止膜の効果を示す。
【0070】
かなり厳しい条件、時間でドライエッチングをかけて、上層のレジストパターンが崩れてきた場合でも、下の反射防止膜材の耐ドライエッチング性能が優れているため、その下の基板面は、しっかり保護される。
【0071】
またこの場合、反射防止膜は感光剤を入れて感光性にすることもできるので、現像時に現像液により露光部分を現像することもできる。
【0072】
なお、上述したように、反射防止膜の膜厚は、100〜2000Åが好ましいが、上層のレジスト膜が、KrF,ArF等の短波長エキシマ用レジスト膜の場合は、100〜500Åと薄膜にする方がより好ましい。上述した第2、第3方法によって得られた材料を使用する場合、反射防止膜の底まで露光光が届いたときには、上層レジスト層を現像する際に、反射防止膜層も同時に現像でき、しかも反射防止膜層の現像も露光部のみ溶かし出すことができる。但し、100Åより薄くすると、反射防止効果が十分得られないおそれがある。
【0073】
【発明の効果】
本発明のハイブリッド材料及びこれを用いた反射防止膜材料は、アルカリ可溶性樹脂にオルガノオキシポリシランのゾル−ゲル反応で合成されたポリシランシリカ成分が分子レベルで分散・含有されているもので、ポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料を反射防止のために使用することができ、下記の特徴を有する。
(1)露光光がレジスト層を貫通した後の基板からの反射を防ぎ、ハレーションを防ぐ。
(2)レジスト膜の裾引きを防ぐ。
(3)レジストパターンの底部に存在し、レジストパターンの耐ドライエッチング性を向上する。
(4)レジスト膜としてパターン形成できるので、異方性加工ができる。
【0074】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0075】
[実施例1、比較例1]
(1)ポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料(B)の合成
撹拌羽根、滴下漏斗、コンデンサー付きの1Lのセパラ型三ツ口フラスコに、m−クレゾール40g、p−クレゾール60g、フェニルジメチルトリメトキシジシラン35gを仕込んだ後、撹拌しながら37重量%のホルマリン水溶液66ml及び蓚酸0.05gの溶液を滴下した。
【0076】
撹拌しながら、セパラ型フラスコをオイルバスに浸し、反応温度を110℃に調整し、10時間反応させた。反応終了後、30mmHgに減圧して、水を溜去し、更に内温を130℃に上昇させて、未反応物を除去した。
【0077】
次いで、反応生成物であるポリシランシリカ−ノボラック樹脂ハイブリッド材料(B)を室温・常圧に戻して回収した。
【0078】
(2)反射防止膜材料の調製
上記ポリシランシリカ−ノボラック樹脂ハイブリッド材料(B)12gと界面活性剤FC−430(商品名、スリーエム社製)1.2mgを乳酸エチル88gに溶かし、0.1ミクロンフィルターで濾過し、反射防止膜材料(C)を調製した。また、比較例1として、反射防止膜を使用せず、レジストをパターニング評価した。
【0079】
(3)パターニング評価
8インチSiウエハー上に、上記反射防止膜材料を800Å厚でスピンコートし、更にその上にKrFエキシマレジスト材料(商品名:SEPR−3805、信越化学工業製)を0.75ミクロン厚でスピンコート塗布した。
【0080】
ニコン製KrFエキシマステッパーNSR−2005EX12Bにて露光し、0.25ミクロンL/Sのパターン形状を評価した。
【0081】
定在波による側壁の波打ちを電子顕微鏡で観察し、表1に示したように、反射防止膜を使用しない場合と比べ、スムースになっていることを確認した。
【0082】
【表1】
【0083】
[実施例2]
(1)ポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料(D)の合成
撹拌羽根、滴下漏斗、コンデンサー付きの1Lのセパラ型三ツ口フラスコに、m−クレゾール50g、p−クレゾール50g、フェニルジメチルトリメトキシジシラン55g、イソプロピルアルコール100gを仕込んだ後、37重量%のホルマリン水溶液66mlを加え、蓚酸0.05gの溶液を滴下した。
【0084】
撹拌しながら、セパラ型フラスコをオイルバスに浸し、反応温度を110℃に調整し、10時間反応させた。反応終了後、30mmHgに減圧して、水及びイソプロピルアルコールを溜去し、更に内温を130℃に上昇させて、未反応物を除去した。
【0085】
次いで、反応生成物であるポリシランシリカ−ノボラック樹脂ハイブリッド材料(D)を室温・常圧に戻して回収した。
【0086】
(2)感光基の導入
撹拌羽根、滴下漏斗、コンデンサー付きの1Lのセパラ型三ツ口フラスコに、ポリシランシリカ−ノボラック樹脂ハイブリッド材料(D)100gを仕込み、反応溶剤としてアセトン300gを仕込み、撹拌溶解した。
【0087】
更に、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライド12.5gを仕込み、溶解した。この溶液に、室温で撹拌しながら、トリエチルアミン5.3gを徐々に滴下し、滴下終了後2時間室温で反応させた。反応終了後、反応液を3Lの0.12規定塩酸水中に滴下し沈殿させ、水洗後40℃で24時間真空乾燥し、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルを得た。これを12%の固形物含有率になるように乳酸エチルに溶解し、反射防止膜材料(E)を調製した。
【0088】
(3)パターニング評価
実施例1と同様にパターニング評価し、表2の結果を得た。
【0089】
【表2】
【0090】
[実施例3]
(1)反射防止膜の調製
実施例2で回収したポリシランシリカ−ノボラック樹脂ハイブリッド材料(D)8gとナフトキノンジアジド感光剤(商品名:NT−200、東洋合成製)2g及びFC−430の1mgを乳酸エチル90gに溶解し、反射防止膜材料(F)を調製した。
【0091】
(2)パターニング評価
実施例1と同様にパターニング評価し、表3の結果を得た。
【0092】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明材料を用いたリソグラフィー法を説明する断面図である。
【図2】エッチング後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 反射防止膜
3 レジスト膜
4 レクチル
5 露光
Claims (7)
- アルカリ可溶性樹脂に1,2−ナフトキノンジアジドスルフォニル基が導入された請求項1記載のハイブリッド材料。
- アルカリ可溶性樹脂を溶解した溶液中で下記式(3)
RmSiSi(OR’)6-m (3)
(式中、Rは一価炭化水素基、R’は一価炭化水素基を示し、mは0〜4の整数である。)
で表されるオルガノオキシポリシランをゾル−ゲル反応することを特徴とする請求項1記載のポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料の製造方法。 - 請求項1又は2記載のポリシランシリカ−アルカリ可溶性樹脂ハイブリッド材料を主成分とする反射防止膜材料。
- 感光剤を含有する請求項6記載の反射防止膜材料。
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