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JPH0931399A - 塗料組成物およびその製造方法 - Google Patents

塗料組成物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH0931399A
JPH0931399A JP20049395A JP20049395A JPH0931399A JP H0931399 A JPH0931399 A JP H0931399A JP 20049395 A JP20049395 A JP 20049395A JP 20049395 A JP20049395 A JP 20049395A JP H0931399 A JPH0931399 A JP H0931399A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
parts
alkoxysilane
acrylic resin
weight
polyester resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20049395A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuo Nishio
竜生 西尾
Etsuzo Marumoto
悦造 丸本
Akihito Iida
晃人 飯田
Hiroshi Inukai
宏 犬飼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP20049395A priority Critical patent/JPH0931399A/ja
Publication of JPH0931399A publication Critical patent/JPH0931399A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐汚染性に優れる塗料組成物の提供。 【解決手段】水酸基または加水分解性シリル基を有する
アクリル樹脂または水酸基を有するポリエステル樹脂、
アルコキシシランの部分加水分解縮合物、ポリアルキレ
ングリコ−ルおよび有機溶剤からなり、前記アクリル樹
脂またはポリエステル樹脂100重量部当たり、アルコ
キシランの部分加水分解縮合物2〜100重量部を含有
し、かつ、アルコキシシランの部分加水分解縮合物10
0重量部当たり、ポリアルキレングリコ−ル1〜100
重量部を含有する塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐汚染性に優れる
アクリル系またはポリエステル系の塗料組成物に関する
ものであり、本発明の塗料組成物によれば、従来の塗料
と比較して著しく耐汚染性の改良された塗膜が得られ
る。
【0002】
【従来技術およびその問題点】アクリル系塗料およびポ
リエステル系塗料は、自動車用、機械用、建築用、土木
用などの幅広い産業分野で使用されている汎用塗料であ
る。しかしながら、特に屋外で使用する場合、常に汚染
物質に曝され、初期の景観が損なわれてしまうという問
題があった。例えば、建築物、道路橋、化学プラント等
の屋外構造物においては、頻繁に局部的な雨筋汚れが発
生するし、自動車、電車等の洗浄が可能な塗装物の場合
でも、雨染み汚れが完全に除去できないという問題があ
った。汚染への対策として、塗膜を硬質化する方法があ
り、アクリル系塗料またはポリエステル系塗料を硬質化
する方法としては、特開平4−292677号公報に示
されるシリカゾルを添加する方法、または特開平6−2
40199号公報に示される加水分解性シリル基の導入
されたアクリル樹脂にシリケートオリゴマーを添加する
方法などがあげられる。これらの方法によれば、付着し
た汚染物質は強制的に洗浄できるようにはなるが、頻繁
に洗浄できない屋外構造物においては、実質的に効果が
少なく、さらなる改良が要望されていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は、水酸基または加水分
解性シリル基を有し後記有機溶剤に可溶性のアクリル樹
脂または水酸基を有し後記有機溶剤に可溶性のポリエス
テル樹脂、アルコキシシランの部分加水分解縮合物、ポ
リアルキレングリコールおよび有機溶剤からなり、アル
コキシシランの部分加水分解縮合物の含有量が、前記ア
クリル樹脂またはポリエステル樹脂100重量部当たり
2〜100重量部であり、かつ、ポリアルキレングリコ
ールの含有量が、アルコキシシランの部分加水分解縮合
物100重量部当たり1〜100重量部である塗料組成
物であり、さらにはポリアルキレングリコールがポリエ
チレングリコールである前記塗料組成物である。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明におけるアクリル樹脂は、水酸基または加
水分解性シリル基を有するものであり、水酸基および加
水分解シリル基の両方を有するものを含む。水酸基を有
するアクリル樹脂は、a)水酸基を有するアクリル単量
体を単独であるいは共重合可能なその他の単量体と重合
させる、またはb)アクリル単量体以外の水酸基を有す
る単量体と水酸基を有しないアクリル単量体と更に必要
に応じ共重合可能な単量体を共重合させることにより得
られる。水酸基を有するアクリル単量体としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよび
(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなど(メタ)
アクリル酸とエチレングリコール、エチレンオキシド、
プロピレングリコール、プロピレンオキシド、ブチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン
およびトリメチロールプロパン等の多価アルコールとを
反応させて得られる単量体が挙げられる。アクリル単量
体以外の水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキ
シエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニル
エーテル、アリルアルコール、ケイ皮アルコールおよび
N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、
これらの水酸基を有する単量体にε−カプロラクトンを
開環付加させた化合物、さらに、マレイン酸、フマル
酸、クロトン酸およびイタコン酸等の不飽和カルボン酸
とエチレングリコール、エチレンオキシド、プロピレン
グリコール、プロピレンオキシド、ブチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、グリセリンおよびト
リメチロールプロパン等の多価アルコールとを反応させ
て得られる単量体が例示される。水酸基を有しないアク
リル単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ペンタ
フルオロプロピル、(メタ)アクリロニトリル、(メ
タ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジエチ
ルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド、アクリル酸
およびメタクリル酸などが挙げられる。
【0005】加水分解性シリル基を有するアクリル樹脂
は、a)加水分解性シリル基を有するアクリル単量体を
単独あるいは共重合可能な単量体と重合させる、b)加
水分解シリル基を有する単量体とアクリル単量体と必要
に応じ共重合可能な単量体をを共重合させる、または
c)炭素−炭素二重結合を有するアクリル樹脂にヒドロ
シラン化合物を付加反応させることにより得られる。加
水分解性シリル基を有するアクリル単量体としては、
(メタ)アクリル酸トリメトキシシランおよび(メタ)
アクリル酸トリエトキシシランなどが挙げられる。加水
分解性シリル基を有する単量体としては、ビニロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン
およびビニルトリエトキシシランなどがあげられる。ア
クリル単量体としては、水酸基を有するアクリル樹脂に
関して上記に例示したものが挙げられる。また、炭素−
炭素二重結合を有するアクリル樹脂に、トリメトキシシ
ランおよびトリエトキシシラン等のヒドロシラン化合物
を、第VIII 族遷移金属の存在下で付加反応させる方法
でも製造できる。炭素−炭素二重結合を有するアクリル
樹脂は、(メタ)アクリル酸アリルおよびジアリルフタ
レ−ト等のアリル単量体とこれらのアリル単量体と共重
合可能なその他の単量体を、通常の方法により単独重合
あるいは共重合させることにより得られる。
【0006】前記水酸基または加水分解性シリル基を有
するアクリル単量体およびアリル単量体と共重合可能な
上記以外の単量体としては、スチレン、α−メチルスチ
レン、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、酢酸ビニル
およびプロピオン酸ビニルなどがあげられる。
【0007】本発明のアクリル樹脂は、t−ブチルパー
オキシアセテート等の過酸化物系ラジカル開始剤または
アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系ラジカル開始剤
を用いた溶液重合法により製造するのが好ましい。溶液
重合においては、ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動
剤を用いて分子量を調整してもよい。重合溶媒は、芳香
族系、ケトン系、エステル系およびアルコール系等の使
用する単量体と反応性のない溶媒ならば特に限定なく使
用できる。
【0008】本発明におけるアクリル樹脂のポリスチレ
ン換算の数平均分子量は、好ましくは1,000〜5
0,000であり、より好ましくは2,000〜20,
000である。ガラス転移温度は、好ましくは−50〜
70℃であり、より好ましくは−20〜50℃である。
また、水酸基を含有する場合は、20〜300mgKO
H/gの水酸基価が好ましく、加水分解性シリル基を含
有する場合は、加水分解シリル基を有する単量体単位が
共重合体全体に対し3〜50モル%が好ましい。
【0009】本発明におけるポリエステル樹脂は、水酸
基を有するものである。水酸基を有するポリエステル樹
脂は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、
ダイマー酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸等の多塩基酸と、例えば
エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−
プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−
ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,8
−ノナンジオ−ル、3−メチルペンタンジオ−ル、ネオ
ペンチルグリコ−ル、ジメチロ−ルペンタン、ジメチロ
−ルヘプタン、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、
カ−ボネ−トジオ−ル、ポリカプロラクトンジオ−ル、
ビスフェノ−ルAのエチレンオキシド付加物、ビスフェ
ノ−ルSのエチレンオキシド付加物、グリセリン、ポリ
グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリ
ト−ル、ポリカプロラクトントリオ−ルおよびポリカプ
ロラクトンテトラオ−ルなどのポリオ−ル類を、常法に
より水酸基過剰の条件下に縮合させることにより得られ
る。また、その他の多塩基酸として、アマニ油、キリ
油、脱水ヒマシ油、大豆油、サフラワー油、トール油、
ヤシ油およびヒマシ油等の油脂を使用することも可能で
あるが、耐汚染性、耐候性、硬度等が低下するため、顔
料分散性、相溶性等の性能を向上させたい場合におい
て、最小限度の使用にとどめるのが好ましい。
【0010】また、水酸基を有するポリエステル樹脂
は、前記多塩基酸のエステル化合物と前記ポリオ−ル類
を縮合反応させた後、さらに前記多塩基酸の1種類また
は2種類以上と縮合反応させることによっても得られ
る。
【0011】本発明のポリエステル樹脂は、例えば、以
下の方法で製造される。すなわち、前記多塩基酸類およ
びポリオール類の原料と三酸化アンチモン等の触媒を仕
込み、160〜230℃常圧で重縮合反応させることに
より、ポリエステルオリゴマ−が得られる。上記反応に
多塩基酸のエステル化合物を使用する際には、ポリオ−
ル類と縮合反応をさせた後、重縮合反応を行う。上記の
方法で得られたポリエステルオリゴマーを、減圧下、2
20〜300℃の温度範囲で、1〜15時間重縮合反応
させることにより、ポリエステル樹脂が得られる。
【0012】本発明におけるポリエステル樹脂のポリス
チレン換算の数平均分子量は、好ましくは1,000〜
50,000であり、より好ましくは2,000〜2
0,000のものが使用できる。ガラス転移温度は、好
ましくは−50〜70℃であり、より好ましくは−20
〜50℃である。また、本発明におけるポリエステル樹
脂はわずかな水酸基を含有していれば良いが、20〜3
00mgKOH/gの水酸基価のものがより好ましい。
【0013】本発明におけるアルコキシシランの部分加
水分解縮合物(以下アルコキシシラン縮合物という)
は、加水分解性のアルコキシ基を1分子中に2個以上有
するアルコキシシランの自己縮合物であり、縮合度は2
以上であればよい。かかるアルコキシシラン縮合物は、
例えばコルコート(株)等から市販されており、また以
下の方法等により容易に合成できる。すなわち、アルコ
キシシランを有機溶媒に溶解させ、あるいは前記アクリ
ル樹脂またはポリエステル樹脂および/またはポリエチ
レングルコ−ルの有機溶剤溶液にアルコキシシランを溶
解させ、塩酸等の無機酸または酢酸もしくはp−トルエ
ンスルホン酸等の有機酸を添加してPHを1〜4程度に
調整した後、アルコキシ基に対して0.05〜3当量の水
を加えて30〜80℃で1〜8時間加水分解することに
より、アルコキシシラン縮合物が得られる。
【0014】このように、前記アクリル樹脂またはポリ
エステル樹脂、アルコキシシラン縮合物、ポリアルキレ
ングリコ−ルおよび有機溶剤を必須成分とする本発明の
塗料組成物は、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂の
有機溶剤溶液にアルコキシシラン縮合物およびポリアル
キレングリコ−ルを混合するか、あるいはアクリル樹脂
またはポリエステル樹脂および/またはポリアルキレン
グリコ−ルの有機溶剤溶液中で、アルコキシシランを加
水分解してアルコキシシラン縮合物を合成する方法等に
よって製造できる。特に、アクリル樹脂またはポリエス
テル樹脂および/またはポリアルキレングリコ−ルの有
機溶剤溶液中で、アルコキシシランを加水分解した場合
は、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂および/また
はポリアルキレングリコ−ルの水酸基とアルコキシシラ
ンのアルコキシ基がトラップされた形となるため、アル
コキシシラン縮合物の保存安定性が向上するという効果
が得られる。この方法において、アルコキシシランの加
水分解時に存在させる前記アクリル樹脂またはポリエス
テル樹脂および/またはアルキレングリコ−ルの量に格
別の制限はなく、本発明組成物を構成する各成分の全量
を存在させても、あるいは部分量を存在させても良い。
部分量を存在させたときは、加水分解後に残余の成分を
添加配合することになる。
【0015】前記アクリル樹脂またはポリエステル樹脂
およびエチレングリコ−ルの不在下に、アルコキシシラ
ンを加水分解するときの有機溶媒としては、アルコ−ル
性溶媒が適しており、例えばメタノ−ル、エタノ−ル、
イソプロパノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ルおよびダ
イアセトンアルコール等のアルコールの他に、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルおよびエチレングリコ
ールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類も使
用できる。アルコール以外に、ケトン系、エステル系ま
たは芳香族系等の溶媒も使用できるが、生成するアルコ
キシシラン縮合物の安定性の点で、アルコール溶媒を少
なくとも全溶媒の10重量%以上使用することが好まし
い。一方、前記アクリル樹脂またはポリエステル樹脂お
よび/またはポリアルキレングリコ−ルの共存下に、ア
ルコキシシランを加水分解するときの有機溶媒は、本発
明組成物における有機溶剤が好適に使用され、その具体
例は後述するとおりである。
【0016】本発明において使用し得るアルコキシシラ
ンとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−クロロ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ランおよびγ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン
等が挙げられる。アルコキシシラン縮合物の使用量は、
アクリル樹脂またはポリエステル樹脂100重量部当た
り、2〜100重量部であり、好ましくは5〜80重量
部である。該縮合物の使用量が、2重量部未満であると
耐汚染性の効果が得られず、一方100重量部を越える
と塗料の安定性が低下する。
【0017】上記アルコキシシラン縮合物を成分とする
本発明の塗料組成物からなる塗膜においては、該アルコ
キシシラン縮合物に残存するアルコキシ基が大気中の水
分により徐々に加水分解するが、その際に塗膜は一層緻
密に架橋硬化する。アルコキシシラン縮合物と同様な性
質を有する金属アルコキシド縮合物、すなわち、アルミ
ニウム、チタニウムおよびジルコニウム等の周期律表第
3族元素または第4族元素からなる金属アルコキシドの
部分加水分解縮合物をアルコキシシラン縮合物と併用し
てもよい。
【0018】ポリアルキレングリコールとしては、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび
ポリテトラエチレングリコール等に代表される水溶性ポ
リアルキレングリコールが好ましく使用され、さらに好
ましくはポリエチレングリコールである。ポリアルキレ
ングリコールの分子量は、数平均分子量で200〜3,
000が好ましく、さらに好ましくは200〜2, 00
0である。ポリアルキレングリコールの数平均分子量
が、200未満であると塗膜の硬度が低下し易く、一方
3, 000を越えるとポリアルキレングリコールが塗料
用の有機溶剤に溶解し難くなる。ポリアルキレングリコ
ールの使用量は、前記アルコキシシラン縮合物100重
量部当たり、1〜100重量部である。ポリアルキレン
グリコールの使用量が1重量部未満であると、耐汚染性
の効果が得られず、100重量部を越えると耐候性が低
下する。特に好ましい使用量は、同一の基準で1〜50
重量部である。
【0019】本発明における有機溶剤としては、塗料分
野で一般的に使用されている有機溶剤が使用でき、具体
的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブ
アセテート、ブチルセロソルブ、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル
エーテルアセテート、イソプロパノール、ブタノールお
よびシクロヘキサノール等が挙げられる。
【0020】本発明の塗料組成物は、硬化剤を併用せず
に用いることもできるが、所望によりポリイソシアネー
トおよびアミノ樹脂などの硬化剤を併用してもよい。硬
化剤の使用は、塗膜をより緻密に硬化し耐汚染性をさら
に向上させるため、好ましい方法である。ポリイソシア
ネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートおよ
びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂
肪族系化合物、キシリレンジイソシアネートおよびイソ
ホロンジイソシアネートなどの環状化合物、トリレンジ
イソシアネートおよび4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネートなどの芳香族系化合物などが挙げられる。
さらに、上記ポリイソシアネートの多量体例えばダイマ
ー、トリマーまたはプレポリマーならびにポリイソシア
ネート化合物から誘導されるビュレットやウレアなども
好ましく使用できる。さらに好ましくは、ヘキサメチレ
ンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネート
などの無黄変型ポリイソシアネートである。上記ポリイ
ソシアネートの好ましい使用量は、アクリル樹脂または
ポリエステル樹脂の水酸基に対して0.6〜1.2当量
のイソシアネート基となる量である。アミノ樹脂として
は、尿素樹脂、メラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹
脂などが挙げられ、相溶性、耐久性の点でメラミン樹脂
が好ましい。
【0021】本発明の塗料組成物には、上記の硬化剤以
外に顔料を始めとし、通常塗料に添加される添加剤が使
用できる。顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、黄鉛お
よび焼成顔料などの無機顔料、カーボンブラック、キナ
クリドンレッドおよびフタロシアニンブルーなどの有機
顔料が挙げられ、その他の添加剤としては、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、硬化触媒、表面調整剤、シランカップ
リング剤および艶消し剤などが挙げられる。
【0022】
【実施例】以下に、合成例、実施例および比較例を挙げ
て、本発明をさらに具体的に説明する。 (合成例) a)アクリル樹脂(A−1)の合成 攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた反応器に、キシレ
ン133部、酢酸ブチル133部を仕込み80℃まで昇
温した。これに、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル6
0部、メタクリル酸メチル27.5部、メタクリル酸イ
ソブチル187.5部、アゾビスイソブチロニトリル
4.1部を混合溶解したものを、2時間かけて滴下し
た。さらに、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を添
加し、85℃に昇温し、さらに4時間攪拌することによ
り、理論水酸基価94のアクリル樹脂を合成した。得ら
れたアクリル樹脂溶液の固形分は、50%であった。ま
た、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポ
リスチレン換算の数平均分子量は15,000、重量平
均分子量は63,000であった。さらに、DSC測定
によるTgは55℃であった。
【0023】b)アクリル樹脂(A−2)の合成 攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた反応器に、キシレ
ン133部、酢酸ブチル133部を仕込み80℃まで昇
温した。これに、γーメタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン25部、アクリル酸ブチル75部、メタクリ
ル酸メチル75部、メタクリル酸イソブチル100部、
アゾビスイソブチロニトリル4.1部を混合溶解したも
のを、2時間かけて滴下した。さらに、アゾビスイソブ
チロニトリル1.2部を添加し、85℃に昇温し、さら
に4時間攪拌することにより、加水分解性シリル基を有
するアクリル樹脂を合成した。得られたアクリル樹脂溶
液の固形分は、50%であった。また、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数
平均分子量は18,000、重量平均分子量は71,0
00であった。さらに、DSC測定によるTgは45℃
であった。
【0024】c)ポリエステル樹脂(P−1)の合成 攪拌器、冷却器、窒素導入管を備えた反応器に、テレフ
タル酸ジメチル58.2部、イソフタル酸ジメチル15
5部、エチレングリコール94.2部、ネオペンチルグ
リコール258部、酢酸亜鉛0.175部、三酸化アン
チモン0.175部を仕込み、160〜230℃まで5
時間かけて縮合反応を行った。180℃まで冷却後、ア
ジピン酸131部を加え、180〜230℃まで3時間
かけて昇温しながら重縮合反応を行った。次に、減圧下
(10mmHg)で240℃まで昇温し、さらに1mm
Hgまで減圧し、2時間反応を行った。得られたポリエ
ステル樹脂は、NMRスペクトルによる分析の結果、テ
レフタル酸/イソフタル酸/アジピン酸/エチレングリ
コール/ネオペンチルグリコール=7.5/20/2
2.5/15/35(モル比)であった。DSC測定に
よるTgは0℃であった。得られたポリエステル樹脂
は、メチルイソブチルケトン、キシレンの混合溶媒(混
合比50/50)に固形分40%で溶解した。
【0025】(アルコキシシラン縮合物の合成例) a)アルコキシシラン縮合物(Bー1)の合成 下記原料を1リットルの三ツ口フラスコに仕込み、窒素
気流中、50℃まで昇温した。 テトラエトキシシラン 84g テトライソプロポキシチタン 86g イソプロパノール 340g 10%塩酸 2g 次に、イオン交換水16gを滴下した後、50℃で3時
間攪拌することにより、アルコキシシラン縮合物の濃度
が9重量%の溶液を得た。
【0026】b)アルコキシシラン縮合物(Bー2)の
合成 下記原料を1リットルの三ツ口フラスコに仕込み、窒素
気流中、70℃まで昇温した。 テトラエトキシシラン 260g キシレン 350g イソプロピルアルコール 180g p−トルエンスルホン酸 0.6g 次に、イオン交換水27gを30分かけて滴下し、70
℃で4時間攪拌することにより、アルコキシシラン縮合
物が9重量%の溶液を得た。
【0027】c)アルコキシシラン縮合物(Bー3)の
合成 下記原料を200cc三ツ口フラスコに仕込み、窒素気
流中、70℃まで昇温し、ポリエチレングリコール(数
平均分子量;2, 000)を完全に溶解した。 アクリル樹脂(A−1)溶液 50g ポリエチレングリコール 12.5g キシレン 17g ブチルセロソルブ 18g 溶液が均一になった後、下記化合物を添加して、さらに
70℃で3時間攪拌した。 テトラエトキシシラン 13g メチルトリエトキシシラン 10g p−トルエンスルホン酸 0.01g 次に、イオン交換水3.9gとブチルセロソルブ3gの
混合液を1時間かけて滴下した後、さらに70℃で2時
間攪拌し、固形分濃度が36重量%で、アルコキシシラ
ン縮合物濃度が6重量%の溶液を得た。
【0028】d)アルコキシシラン縮合物(Bー4)の
合成 下記原料を200cc三ツ口フラスコに仕込み、窒素気
流中、50℃まで昇温し、アクリル樹脂(A−1)溶液
およびポリエチレングリコール(数平均分子量;1,0
00)を混合、溶解した。 アクリル樹脂(A−1)溶液 8g ポリエチレングリコール 2g プロピレングリコールモノメチルエーテル 30g ブチルセロソルブ 26g 溶液が均一になった後、下記化合物を添加して、さらに
50℃で1時間攪拌した。 テトラエトキシシラン 60g p−トルエンスルホン酸 0.1g 次に、イオン交換水10gとブチルセロソルブ10gの
混合液を1時間かけて滴下した後、さらに50℃で2時
間攪拌し、固形分濃度が20重量%で、アルコキシシラ
ン縮合物濃度が16重量%の溶液を得た。
【0029】上記方法で合成されたアルコキシシラン縮
合物(B−1〜B−4)について、保存安定性試験を行
った。 (保存安定性試験)アルコキシシラン縮合物をサンプル
瓶に取り、40℃で保存した。1か月および3か月経過
後に液の外観を観察し、濁り、析出物生成、ゲル化等が
認められない物は異常なしと判定した。
【表1】
【0030】上記方法で合成されたアクリル樹脂、ポリ
エステル樹脂およびアルコキシシラン縮合物等を成分と
する実施例および比較例の塗料を調製して、その塗膜性
能を以下の方法により評価した。 (塗膜性能の評価)アクリルウレタン系白色塗料の塗布
されたA4サイズのアルミ板上に、試験用塗料を、乾燥
膜厚が約20μになるように重ね塗りした後、硬化剤と
してポリイソシアネートを使用する場合は、130℃/
20分、メラミン樹脂を使用する場合は、180℃/2
0分の条件で乾燥させた。また、これらの硬化剤を使用
しない場合は、室温で1週間乾燥させた。色差計で初期
L値を測定した後、塗装面が垂直になる角度(以下、垂
直面という)および塗装面が45度上向きになる角度
(以下、45度面という)の2種類の傾斜角を選び、南
向きで5ケ月間曝露した。曝露終了後、再度L値を測定
し、初期L値との差(ΔL:明度差)を求めた。明度差
の小さいものほど耐汚染性は良好である。また、曝露後
の塗装面の筋状汚染状態についても目視で評価した。
【0031】
【実施例1】アクリル樹脂(A−1)溶液20g(固形
分10g)、アルコキシシラン縮合物(B−1)溶液1
1g(純分1g)を混合した後、数平均分子量1,00
0のポリエチレングリコール0.5gをメチルエチルケ
トン10gに溶解した溶液を添加し、さらにポリイソシ
アネート硬化剤として、日本ポリウレタン工業(株)製
のコロネートHXを3.3g添加した。上記塗料による
塗膜についての性能の評価結果は次のとおりであった。 ΔL(垂直面)=−1.5; ΔL(45度面)=−3.0
【0032】
【実施例2】アクリル樹脂(A−1)溶液20g(固形
分10g)、アルコキシシラン縮合物(B−2)溶液5
5g(純分5g)および平均分子量400のポリエチレ
ングリコール0.5gを混合し、さらに、実施例1と同
様のポリイソシアネート硬化剤3.3gを添加して、塗
料液を得た。塗膜性能の評価結果は次のとおりであっ
た。 ΔL(垂直面)=−1.2 ; ΔL(45度面)=−2.5
【0033】
【実施例3】アクリル樹脂(A−1)成分と、ポリエチ
レングリコール成分とを含有するアルコキシシラン縮合
物(B−3)溶液20g(固形分7.2g)に対し、実
施例1と同様のポリイソシアネート硬化剤1.5gを添
加して、塗料液を得た。塗膜性能の評価結果は次のとお
りであった。 ΔL(垂直面)=−1.0 ; ΔL(45度面)=−3.0
【0034】
【実施例4】アクリル樹脂(A−2)溶液20g(固形
分10g)、アルコキシシラン縮合物(B−1)溶液1
1g(純分1g)を混合した後、数平均分子量1,00
0のポリエチレングリコール0.5gをメチルエチルケ
トン10gに溶解した溶液を添加した。上記塗料による
塗膜についての性能の評価結果は次のとおりであった。 ΔL(垂直面)=−1.0; ΔL(45度面)=−3.5
【0035】
【実施例5】アクリル樹脂(A−1)溶液50g(固形
分25g)と、アルコキシシラン縮合物(B−4)溶液
15g(アクリル樹脂成分0.4g,ポリエチレングリ
コール成分0.2g,シリカ加水分解物成分2.4g)
を混合し、さらに、ポリイソシアネート硬化剤(コロネ
ートHX)を8.5g添加して塗料を調製した。塗膜性
能の評価結果は次のとおりであった。 ΔL(垂直面)=−0.8 ; ΔL(45度面)=−3.0
【0036】
【実施例6】ポリエステル樹脂(P−1)溶液25g
(固形分10g)、アルコキシシラン縮合物(B−1)
溶液11g(純分1g)を混合した後、分子量2,00
0のポリエチレングリコール0.5gをメチルエチルケ
トン10gに溶解した溶液を添加し、さらに、メラミン
樹脂として、大日本インキ化学工業(株)製スーパーベ
ッカミンL−117−60を2.8g添加して塗料液を
得た。塗膜性能の評価結果は次のとおりであった。 ΔL(垂直面)=−0. 9 ; ΔL(45度面)=−2. 5 また、上記実施例1〜6のいずれの塗料についても、塗
装面上に筋状汚染はほとんど見られなかった。
【0037】(比較例1)アクリル樹脂(A−1)溶液
20g(固形分10g)、ポリイソシアネート硬化剤
(コロネートHX)1.8g、キシレン17gを混合
し、塗料を調製した。本例は、実施例3に対応する例で
あり、アルコキシシラン縮合物およびポリアルキレング
リコールの2成分を含まないものである。塗膜性能の評
価結果は次のとおりであった。 ΔL(垂直面)=−5. 0 ; ΔL(45度面)=−11
【0038】(比較例2)アクリル樹脂(A−1)溶液
20g(固形分10g)、ポリイソシアネート硬化剤
(コロネートHX)1.8g、アルコキシシラン縮合物
(テトラアルコキシシラン縮合物の溶液、純分21%、
コルコート(株)製;商品名HAS−1)9gを混合
し、塗料を調製した。塗膜性能の評価結果は次のとおり
であった。 ΔL(垂直面)=−4. 0 ; ΔL(45度面)=−10
【0039】(比較例3)ポリエステル樹脂(P−1)
溶液25g(固形分10g)にメラミン樹脂、スーパー
ベッカミンL−117−60を3g添加して塗料液を得
た。塗膜性能の評価結果は次のとおりであった。 ΔL(垂直面)=−4.5 ; ΔL(45度面)=−10 また、比較例1〜3のいずれの塗料についても、垂直面
の雨筋状汚染が著しかった。
【0040】上記比較例2と実施例の対比により、アル
コキシシラン縮合物を含む塗料組成物であってもポリア
ルキレングリコールを含まないものでは、なお耐汚染性
が不十分であるのに対して、ポリアルキレングリコール
も必須成分とする本発明の塗料用組成物によれば、その
点が著しく改良されることが分かる。本発明におけるポ
リアルキレングリコールの作用は明らかではないが、ポ
リアルキレングリコールの存在する塗膜では、一旦付着
した汚染物質が雨水などにより洗い流され易い性質があ
ると推測される。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、耐汚染性に優れるアク
リル系塗料およびポリエステル系塗料が容易に得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 171/02 PLQ C09D 171/02 PLQ 183/04 PMU 183/04 PMU (72)発明者 犬飼 宏 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基または加水分解性シリル基を有し
    後記有機溶剤に可溶性のアクリル樹脂または水酸基を有
    し後記有機溶剤に可溶性のポリエステル樹脂、アルコキ
    シシランの部分加水分解縮合物、ポリアルキレングリコ
    ールおよび有機溶剤からなり、アルコキシシランの部分
    加水分解縮合物の含有量が、前記アクリル樹脂またはポ
    リエステル樹脂100重量部当たり2〜100重量部で
    あり、かつ、ポリアルキレングリコールの含有量が、ア
    ルコキシシランの部分加水分解縮合物100重量部当た
    り1〜100重量部である塗料組成物。
  2. 【請求項2】 ポリアルキレングリコールがポリエチレ
    ングリコールである請求項1記載の塗料組成物。
  3. 【請求項3】 水酸基または加水分解性シリル基を有し
    後記有機溶剤に可溶性のアクリル樹脂または水酸基を有
    し後記有機溶剤に可溶性のポリエステル樹脂、該アクリ
    ル樹脂またはポリエステル樹脂100重量部当たり2〜
    100重量部の部分加水分解縮合物を形成する量のアル
    コキシシラン、前記部分加水分解縮合物100重量当た
    り1〜100重量部のポリアルキレングリコ−ルおよび
    有機溶剤を用い、前記アクリル樹脂、ポリエステル樹脂
    および前記ポリエチレングリコ−ルの少なくとも1種の
    部分量または全量の共存下に、前記有機溶剤中でアルコ
    キシシランを加水分解させて部分加水分解縮合物を形成
    させ、該加水分解時に共存させない前記アクリル樹脂、
    ポリエステル樹脂または前記ポリエチレングリコ−ルが
    あるときは、それらを添加配合することを特徴とする塗
    料組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリアルキレングリコ−ルがポリエチレ
    ングリコ−ルである請求項3記載の製造方法。
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JP2014133905A (ja) * 2014-04-30 2014-07-24 Nippon Steel & Sumikin Chemical Co Ltd 成形体

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