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JP3242781B2 - ポリアミド樹脂 - Google Patents

ポリアミド樹脂

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Publication number
JP3242781B2
JP3242781B2 JP01958494A JP1958494A JP3242781B2 JP 3242781 B2 JP3242781 B2 JP 3242781B2 JP 01958494 A JP01958494 A JP 01958494A JP 1958494 A JP1958494 A JP 1958494A JP 3242781 B2 JP3242781 B2 JP 3242781B2
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JP
Japan
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acid
polyamide
mol
measured
terminal
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JP01958494A
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JPH07228689A (ja
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秀明 岡
次史 柏村
伸一 横田
広 林原
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
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Priority to CA002137477A priority patent/CA2137477C/en
Priority to TW083111536A priority patent/TW299338B/zh
Priority to US08/361,371 priority patent/US5670608A/en
Priority to CN94119297A priority patent/CN1048743C/zh
Priority to SG1996003360A priority patent/SG55041A1/en
Priority to EP94120607A priority patent/EP0659799B1/en
Priority to DE69419119T priority patent/DE69419119T2/de
Priority to KR1019940037012A priority patent/KR0168468B1/ko
Publication of JPH07228689A publication Critical patent/JPH07228689A/ja
Priority to CN98114849A priority patent/CN1110521C/zh
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリアミドに関
する。詳しくは、極めて優れた成形加工性を有すると共
に、耐熱水性、表面美麗性、耐熱性、力学特性、低吸水
性、耐薬品性などに優れたポリアミドに関するものであ
る。本発明のポリアミドは、例えば、産業資材、工業材
料、家庭用品などの成形材料として好適に使用すること
ができる。
【0002】
【従来の技術】従来からナイロン6、ナイロン66など
に代表される結晶性ポリアミドは、その優れた特性と溶
融成形の容易さから、衣料用、産業資材用繊維、あるい
は汎用のエンジニアリングプラスチックとして広く用い
られているが、一方では、耐熱性不足、吸水による寸法
安定性不良などの問題点も指摘されている。特に近年の
表面実装技術(SMT)の発展に伴うリフローハンダ耐
熱性を必要とする電気・電子分野、あるいは年々耐熱性
への要求が高まる自動車のエンジンルーム部品などにお
いては、従来のポリアミドでの使用が困難となってきて
おり、より耐熱性、寸法安定性、機械特性、物理化学特
性に優れたポリアミドへの要求が高まっている。
【0003】このような世の中の要求に対し、アジピン
酸と1,4−ブタンジアミンからなる全脂肪族ポリアミ
ド、テレフタル酸と1,6−ヘキサンジアミンを主成分
とする半芳香族ポリアミドが種々提案され、一部は実用
化されている。しかしながら、アジピン酸と1,4−ブ
タンジアミンからなるポリアミド(以下PA4−6と略
称する)は、溶融粘度が低く、テレフタル酸と1,6−
ヘキサンジアミンを主成分とする半芳香族ポリアミドに
比べ、良好な成形性を有するものの、吸水率が高く、寸
法安定性などの実使用時の諸物性の変動が問題視されて
いる。
【0004】一方、テレフタル酸と1,6−ヘキサンジ
アミンからなるポリアミド(以下、PA6−Tと略称す
る)は、ポリマーの分解温度を超える370℃付近に融
点があるため、溶融重合、溶融成形が困難であり、実用
に耐えるものではない。そのため実際には、アジピン
酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、あるいはナ
イロン6などの脂肪族ポリアミドを30〜40モル%共
重合することにより、実使用可能温度領域、すなわち2
80〜320℃程度にまで低融点化した組成で用いられ
ているのが現状である。このように多量の第3成分(場
合によっては第4成分)を共重合することは、確かにポ
リマーの低融点化には有効なものの、一方では結晶化速
度、到達結晶化度の低下を伴い、その結果、高温下での
剛性、耐薬品性、寸法安定性などの諸物性が低下するば
かりでなく、成形サイクルの延長に伴う生産性の低下を
も招く。また、吸水による寸法安定性などの諸物性の変
動に関しても、芳香族基の導入により、従来の脂肪族ポ
リアミドに比べれば多少改善されてはいるものの、実質
的な問題解決のレベルまでには達していない。
【0005】特公昭64−11073号公報、特開昭6
2−36459号公報、特公平1−19809号公報な
どには、半芳香族ポリアミドのジアミン成分として、
1,6−ヘキサンジアミンの他に、より長鎖の直鎖脂肪
族ジアミンが使用可能であることが言及されている。英
国特許第1070416号明細書には、テレフタル酸と
1,9−ノナンジアミンからなるナイロン塩を、ジアミ
ンに対して3.1〜4.0モル%のテレフタル酸存在下
に重縮合することにより、固有粘度(ηinh)が0.6
7〜1.03dl/gのポリアミド(以下、PA9−T
と略称する)を製造したことが開示されている。また、
特開昭59−155427号公報、米国特許第4617
342号明細書には、テレフタル酸と直鎖脂肪族ジアミ
ンである1,6−ヘキサメチレンジアミンおよび分岐鎖
脂肪族ジアミンである2,2,4−(2,4,4−)ト
リメチルヘキサメチレンからなるポリアミドが記載され
ている。しかしながら、これらの先行文献には、直鎖脂
肪族ジアミンである1,9−ノナンジアミンおよび分岐
鎖脂肪族ジアミンである2−メチル−1,8−オクタン
ジアミンを特定の比率で用いたポリアミドの具体的な開
示はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの研究によ
れば、英国特許第1070416号明細書に記載の方法
を追試して得られる、テレフタル酸と1,9−ノナンジ
アミンからなり、末端にテレフタル酸残基を有するポリ
アミドは、溶融成形時に着色または発泡する傾向が認め
られ、また成形物の表面美麗性が不十分であり、耐熱水
性にも劣るという問題点がある。さらに、特開昭59−
155427号公報、米国特許第4617342号明細
書に記載されている、PA6−Tポリアミドに分岐鎖脂
肪族ジアミンである2,2,4−(2,4,4−)トリ
メチルヘキサメチレンを共重合させたポリアミドでは、
高温下での剛性、耐薬品性、吸水時の寸法安定性などが
劣っているという問題点がある。
【0007】本発明の目的は、従来の半芳香族ポリアミ
ドに比較して、顕著に改善された成型加工性を有すると
共に、耐熱性、低吸水性、耐薬品性、軽量性などに優
れ、かつ寸法安定性、耐熱水性、表面美麗性、耐衝撃性
に優れたポリアミドを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、PA9−T系ポ
リアミドに2−メチル−1,8−オクタンジアミンをを
特定量共重合することにより、PA9−T系ポリアミド
の特性を損なうことなく、溶融成形性、表面美麗性、耐
衝撃性などがより優れたポリアミドが得られることを見
出して本発明を完成した。
【0009】本発明によれば、上記の目的は、ジカルボ
ン酸成分の60〜100モル%がテレフタル酸であるジ
カルボン酸成分(a)と、ジアミン成分の60〜100
モル%が1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−
1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナ
ンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの
モル比が60:40〜99:1であるジアミン成分
(b)とからなるポリアミドであって、濃硫酸中30℃
で測定した極限粘度[η]が0.4〜3.0dl/gで
あるポリアミドを提供することにより達成される。
【0010】本発明のポリアミドでは、極限粘度[η]
が0.4〜3.0dl/gの範囲内で、極限粘度[η]
と剪断速度1000s-1で測定した溶融粘度(MV)と
の間に、下記の式(1)で示される関係が成立する。 logMV=1.9[η]+A ………(1) (ここでAは温度により変化する数である。)
【0011】本発明の好ましいポリアミドの場合、34
0℃でのA値は0.6〜1.0であり、330℃でのA
値と350℃でのA値との差は0.1〜0.6である。
一方、従来のPA6−T系ポリアミドの場合、極限粘度
[η]の係数は本発明のポリアミドとほぼ同じである
が、340℃でのA値は1.3〜1.7であり、330
℃でのA値と350℃でのA値との差は0.7〜1.1
である。このように、成形温度として好ましい330〜
350℃において、本発明のポリアミドは従来のPA6
−T系ポリアミドに比較して、同じ極限粘度[η]であ
っても溶融粘度が小さく、成形温度の変化にともなう溶
融粘度の変化も小さい。さらに、本発明のポリアミド
は、成形時の滞留時間中での溶融粘度の変化が小さいと
いう特性をも有しており、従来のPA6−T系ポリアミ
ドに比較して成形性が顕著に向上している。
【0012】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
のポリアミドに用いられるジカルボン酸成分(a)とし
ては、テレフタル酸成分が60モル%以上であり、好ま
しくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上
である。テレフタル酸成分が60モル%未満の場合に
は、得られるポリアミドの耐熱性、耐薬品性などの諸物
性が低下するため好ましくない。テレフタル酸成分以外
の他のジカルボン酸成分としては、マロン酸、ジメチル
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メ
チルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、
2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク
酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪
族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式
ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−
ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシ
ジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン
酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェ
ニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスル
ホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニル
ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、あるいはこれ
らの任意の混合物を挙げることができる。これらのうち
芳香族ジカルボン酸が好ましく使用される。さらに、ト
リメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多
価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることも
できる。
【0013】本発明のポリアミドに用いられるジアミン
成分(b)としては、1,9−ノナンジアミン成分およ
び2−メチル−1,8−オクタンジアミン成分の合計量
が60モル%以上であり、好ましくは75モル%以上、
より好ましくは90モル%以上である。さらに、1,9
−ノナンジアミン成分と2−メチル−1,8−オクタン
ジアミン成分のモル比は、60:40〜99:1モル%
であり、好ましくは70:30〜95:5モル%、より
好ましくは80:20〜95:5モル%である。1,9
−ノナンジアミン成分に加え、2−メチル−1,8−オ
クタンジアミン成分を上記の特定量共重合することによ
り、成形可能温度範囲が広く、成形加工性が極めて優れ
ているのみならず、結晶性および力学特性、特に耐衝撃
性に優れたポリアミドが得られる。
【0014】1,9−ノナンジアミン成分および2−メ
チル−1,8−オクタンジアミン成分以外の他のジアミ
ン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミ
ン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジア
ミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,
5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,
6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,
6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジ
アミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミ
ン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミ
ンなどの脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m
−フェニレンジアミン、キシレンジアミン、4,4’−
ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェ
ニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
などの芳香族ジアミン、あるいはこれらの任意の混合物
を挙げることができる。
【0015】本発明のポリアミドは、その分子鎖の末端
基の10%以上が末端封止剤により封止されているのが
好ましく、末端基の40%以上が封止されているのがよ
り好ましく、末端基の60%以上が封止されているのが
より好ましく、末端基の70%以上が封止されているの
がさらに好ましい。末端の封止率を求めるにあたって
は、ポリアミドに存在しているカルボキシル基末端、ア
ミノ基末端および末端封止剤によって封止された末端の
数をそれぞれ測定し、下記の式(2)により末端の封止
率を求めることができる。各末端基の数は、1H−NM
Rにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値よ
り求めるのが精度、簡便さの点で好ましい。末端封止剤
によって封止された末端の特性シグナルが同定できない
場合には、ポリアミドの極限粘度[η]を測定し、 Mn=21900[η]−7900 (Mnは数平均
分子量を表す) 分子鎖末端基総数(eq/g)=2/Mn の関係を用いて分子鎖末端基総数を算出する。さらに、
滴定によりポリアミドのカルボキシル基末端の数(eq
/g)〔ポリアミドのベンジルアルコール溶液を0.1
N水酸化ナトリウムで滴定する〕およびアミノ基末端の
数(eq/g)〔ポリアミドのフェノール溶液を0.1
N塩酸で滴定する〕を測定し、下記の式(2)により末
端の封止率を求めることができる。
【0016】 封止率(%)=[(A−B)÷A]×100 ………(2) 〔式中、Aは分子鎖末端基総数(これは通常、ポリアミ
ド分子の数の2倍に等しい)を表し、Bはカルボキシル
基末端およびアミノ基末端の合計数を表す〕
【0017】末端封止剤としては、ポリアミド末端のア
ミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性
の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止
末端の安定性などの点から、モノカルボン酸またはモノ
アミンが好ましく、取扱いの容易さなどの点から、モノ
カルボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸など
の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化
物、モノエステル類、モノアルコール類なども使用でき
る。
【0018】末端封止剤として使用されるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン
酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボ
ン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカル
ボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボ
ン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカ
ルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸、
あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。
これらの内、反応性、封止末端の安定性、価格などの点
から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン
酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチ
ン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、安息香酸が特に好
ましい。
【0019】本発明のポリアミドのアミノ基末端は、こ
れらのモノカルボン酸で封止されることにより、下記の
一般式(I)で示される封止末端を形成する。
【0020】
【化1】 (式中、Rは上記のモノカルボン酸からカルボキシル基
を除いた残基であり、好ましくはアルキル基、シクロア
ルキル基、アリール基、アラルキル基である。)
【0021】末端封止剤として使用されるモノアミンと
しては、カルボキシル基との反応性を有するものであれ
ば特に制限はないが、例えば、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミ
ン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミ
ン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミ
ン、ジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘ
キシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モ
ノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、
ナフチルアミンなどの芳香族モノアミン、あるいはこれ
らの任意の混合物を挙げることができる。これらの内、
反応性、沸点、封止末端の安定性および価格などの点か
ら、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、
デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミ
ン、アニリンが特に好ましい。
【0022】本発明のポリアミドのカルボキシル基末端
は、これらのモノアミンで封止されることにより、下記
の一般式(II)で示される封止末端を形成する。
【0023】
【化2】 (式中、R1は上記のモノアミンからアミノ基を除いた
残基であり、好ましくはアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基である。R2は水素原子
または上記のモノアミンからアミノ基を除いた残基であ
り、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基である。)
【0024】本発明のポリアミドを製造する際に用いら
れる末端封止剤の使用量は、用いる末端封止剤の反応
性、沸点、反応装置、反応条件などによって変化する
が、通常、ジカルボン酸とジアミンの総モル数に対して
0.1〜15モル%の範囲内で使用される。
【0025】本発明のポリアミドは、結晶性ポリアミド
を製造する方法として知られている任意の方法を用いて
製造することができる。本発明者らの研究によれば、触
媒および必要に応じて末端封止剤を、最初にジアミンお
よびジカルボン酸に一括して添加し、ナイロン塩を製造
した後、いったん280℃以下の温度において濃硫酸中
30℃における極限粘度[η]が0.10〜0.60d
l/gのプレポリマーとし、さらに固相重合するか、あ
るいは溶融押出機を用いて重合を行うことにより、容易
に本発明のポリアミドを得ることができる。プレポリマ
ーの極限粘度[η]が0.10〜0.60dl/gの範
囲内であると、後重合の段階においてカルボキシル基と
アミノ基のモルバランスのずれや重合速度の低下が少な
く、さらに分子量分布の小さな、各種性能や成形性に優
れたポリアミドが得られる。重合の最終段階を固相重合
により行う場合、減圧下または不活性ガス流通下に行う
のが好ましく、重合温度が180〜280℃の範囲内で
あれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル
化を有効に押さえることができるので好ましい。重合の
最終段階を溶融押出機により行う場合、重合温度が37
0℃以下であるとポリアミドの分解がほとんどなく、劣
化の無いポリアミドが得られるので好ましい。
【0026】本発明のポリアミドは、濃硫酸中30℃で
測定した極限粘度[η]が0.4〜3.0dl/gの範
囲内であり、0.6〜2.0dl/gの範囲内のものが
好ましく、0.8〜1.6dl/gの範囲内のものがよ
り好ましい。
【0027】上記の触媒としては、リン酸、亜リン酸、
次亜リン酸、またはそれらの塩、さらにはそれらのエス
テル、具体的にはカリウム、ナトリウム、マグネシウ
ム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガ
ン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチ
モンなどの金属塩やアンモニウム塩、エチルエステル、
イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエス
テル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デ
シルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステル
などを挙げることができる。その他必要に応じて、銅化
合物などの安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、
ガラス繊維、可塑剤、潤滑剤などを重縮合反応時、また
はその後に添加することもできる。
【0028】本発明のポリアミドには射出成形、ブロー
成形、押し出し成形、圧縮成形、延伸、真空成形などの
成形法が適用できる。エンジニアリングプラスチックと
して通常の成形体のみならず、フィルムや繊維の形態に
も成形可能であり、産業資材、工業材料、家庭用品など
に好適に使用することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものでは
ない。なお、実施例中の末端封止率、極限粘度、引張強
度、引張伸び、曲げ強度、曲げ弾性率、熱水処理後の極
限粘度[η]の保持率、熱水処理後の引張強度の保持
率、熱変形温度、耐衝撃強度、高温弾性率、平衡吸水
率、溶融粘度、結晶化速度、比重、耐薬品性、および成
形可能温度幅は以下の方法により測定した。
【0030】末端封止率1H−NMR(500MH
z,重水素化トリフルオロ酢酸中、50℃で測定)を用
い、各末端基ごとの特性シグナルの積分値よりカルボキ
シル基末端、アミノ基末端および封止末端の数をそれぞ
れ測定し、前記の式(2)から末端封止率を求めた。測
定に用いた代表的なシグナルの化学シフト値を以下に示
す。
【0031】
【表1】
【0032】極限粘度[η]:濃硫酸中、30℃にて、
0.05,0.1,0.2,0.4g/dlの濃度の試
料の固有粘度(ηinh )を測定し、これを濃度0に外挿
した値を極限粘度[η]とした。 ηinh =[ln(t1/t0)]/c 〔式中、ηinh は固有粘度(dl/g)を表し、t0
溶媒の流下時間(秒)を表し、t1は試料溶液の流下時
間(秒)を表し、cは溶液中の試料の濃度(g/dl)
を表す。〕
【0033】引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げ弾性
率、熱変形温度、耐衝撃強度:融点より約20℃高い温
度で射出成形した絶乾状態の試験片を、以下の方法で測
定した。
【0034】
【表2】
【0035】熱水処理後の極限粘度[η]および引張強
度の保持率:JIS1号ダンベル型射出成形片を、耐圧
オートクレーブ中でスチーム処理し(120℃/2気圧
/120時間)、さらにその試料を120℃で120時
間真空乾燥した。処理後のサンプルの極限粘度[η]お
よび引張強度を測定し、処理前の値に対する保持率
(%)を求めた。
【0036】高温弾性率:上記の曲げ弾性率を200℃
で測定し、その値を高温弾性率とした。
【0037】平衡吸水率:融点より20℃高い温度で熱
プレスし、150℃で5分間の冷却を行った、厚さ約2
00μmのフィルム(5cm×5cm)を、減圧下にて
120℃で5日間乾燥し、秤量した後、23℃の水中に
10日間浸漬し、秤量して、増量分の浸漬前の重量に対
する割合(%)として求めた。
【0038】溶融粘度およびA値:減圧下にて120℃
で2日間乾燥した試料について、フローテスター(島津
製作所製)を用い、330℃〜350℃の温度範囲で、
剪断速度1000s-1での溶融粘度(MV)を測定し
た。MVと極限粘度[η]との関係式: logMV=1.9[η]+A からA値を求めた。
【0039】結晶化速度:示差走査熱量計(メトラー社
製、DSC−30)を用いて測定した。絶乾状態の試料
を、窒素気流下350℃で溶融させた後、10℃/分の
冷却速度で50℃まで冷却し、その際に出現する結晶化
ピークを結晶化点(Tcc)とした。次いで、10℃/分
で昇温して、融点(Tm)を測定した。融点と結晶化点
の差(Tm−Tcc)を結晶化速度とした。
【0040】比重:密度勾配管を用いて測定した。
【0041】耐薬品性:融点より約20℃高い温度で熱
プレスした、厚さ200μmのフィルムをJIS3号ダ
ンベルで打ち抜いた試料片を、23℃の各種薬品(メチ
ルアルコール、10%硫酸、50%水酸化ナトリウム水
溶液、50%塩化カルシウム水溶液)中に7日間浸漬
し、引張強度の処理前の試料に対する保持率(%)を測
定した。
【0042】成形可能温度幅:溶融滞留時間を5分間、
金型温度を150℃として、温度条件を変えて射出成形
を行い、成形可能な下限温度と、分解による気泡が発生
し始める、成形可能な上限温度を測定した。
【0043】実施例1 テレフタル酸3272.9g(19.70モル)、1,
9−ノナンジアミン2849.2g(18.0モル)、
2−メチル−1,8−オクタンジアミン316.58g
(2.0モル)、安息香酸73.27g(0.60モ
ル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物6.5g(原料に
対して0.1重量%)および蒸留水6リットルを内容積
20リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。
100℃で30分間撹拌し、2時間かけて内部温度を2
10℃に昇温した。この時、オートクレーブは22kg
/cm2まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後
230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保
ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2に保
ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を10k
g/cm2まで下げ、更に1時間反応させて、極限粘度
[η]が0.25dl/gのプレポリマーを得た。これ
を、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の
大きさまで粉砕した。これを230℃、0.1mmHg
下にて、10時間固相重合し、融点が310℃、極限粘
度[η]が1.33dl/g、末端の封止率が90%で
ある白色のポリアミドを得た。次に、このポリアミド
を、シリンダ温度340℃、金型温度100℃で射出成
形し、得られた成形品の各種物性値を測定した。得られ
た結果を下記の表3に示す。
【0044】実施例2 実施例1において、1,9−ノナンジアミン2532.
4g(16.0モル)、2−メチル−1,8−オクタン
ジアミン633.16g(4.0モル)とした以外は、
実施例1に記載した方法でポリアミドおよびその成形品
を製造し、各種物性値を測定した。得られた結果を下記
の表3に示す。
【0045】実施例3 実施例1において、1,9−ノナンジアミン2216.
1g(14.0モル)、2−メチル−1,8−オクタン
ジアミン949.74g(6.0モル)とした以外は、
実施例1に記載した方法でポリアミドおよびその成形品
を製造し、各種物性値を測定した。得られた結果を下記
の表3に示す。
【0046】比較例1 実施例1において、安息香酸および次亜リン酸ナトリウ
ムを使用せず、テレフタル酸の量を3389.2g(2
0.4モル)とし、1,9−ノナンジアミン3165.
8g(20.0モル)として、2−メチル−1,8−オ
クタンジアミンをまったく使用しなかった以外は、実施
例1に記載した方法でポリアミドおよびその成形品を製
造し、各種物性値を測定した。得られた結果を下記の表
3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】実施例4 実施例1において、テレフタル酸および安息香酸の量を
それぞれ、テレフタル酸3223.0g(19.40モ
ル)、安息香酸146.6g(1.2モル)とした以外
は、実施例1に記載した方法でポリアミドおよびその成
形品を製造し、各種物性値を測定した。得られた結果を
下記の表4に示す。
【0049】実施例5 実施例1において、安息香酸に替えてオクチルアミンを
用い、テレフタル酸、1,9−ノナンジアミン、2−メ
チル−1,8−オクタンジアミン、オクチルアミン、次
亜リン酸ナトリウムの量をそれぞれ、テレフタル酸33
22.7g(20.0モル)、1,9−ノナンジアミン
2813.6g(17.775モル)、2−メチル−
1,8−オクタンジアミン312.6g(1.975モ
ル)、オクチルアミン64.63g(0.50モル)、
次亜リン酸ナトリウム13.0g(原料に対して0.2
重量%)とした以外は、実施例1に記載した方法でポリ
アミドおよびその成形品を製造し、各種物性値を測定し
た。得られた結果を下記の表4に示す。
【0050】実施例6 実施例1において、テレフタル酸および安息香酸の量を
それぞれ、テレフタル酸3322.7g(20.0モ
ル)、安息香酸34.19g(0.28モル)とした以
外は、実施例1に記載した方法でポリアミドおよびその
成形品を製造し、各種物性値を測定した。得られた結果
を下記の表4に示す。
【0051】実施例7 実施例1において、テレフタル酸および安息香酸の量を
それぞれ、テレフタル酸3355.9g(20.2モ
ル)、安息香酸12.21g(0.10モル)とした以
外は、実施例1に記載した方法でポリアミドおよびその
成形品を製造し、各種物性値を測定した。得られた結果
を下記の表4に示す。
【0052】比較例2 実施例1において、テレフタル酸および安息香酸の量を
それぞれ、テレフタル酸3738.0g(22.5モ
ル)とし、安息香酸を使用しなかった以外は、実施例1
に記載した方法でポリアミドおよびその成形品を製造
し、各種物性値を測定した。得られた結果を下記の表4
に示す。
【0053】
【表4】
【0054】比較例3 実施例1において、テレフタル酸2325.9g(1
4.0モル)、イソフタル酸996.8g(6.0モ
ル)、1,6−ヘキサンジアミン2324.2g(2
0.0モル)、安息香酸24.43g(0.20モル)
とした以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドお
よびその成形品を製造し、各種物性値を測定した。得ら
れた結果を、実施例1の結果と併せて下記の表5に示
す。
【0055】
【表5】
【0056】
【発明の効果】本発明のポリアミドは、極めて優れた成
形加工性を有すると共に、耐熱水性、表面美麗性、耐熱
性、力学特性、低吸水性、耐薬品性などに優れており、
産業資材、工業材料、家庭用品などの成形材料として好
適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−36459(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/36 CA(STN) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分の60〜100モル%
    がテレフタル酸であるジカルボン酸成分(a)と、ジア
    ミン成分の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミ
    ンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンからな
    り、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8
    −オクタンジアミンのモル比が60:40〜99:1で
    あるジアミン成分(b)とからなるポリアミドであっ
    て、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.4
    〜3.0dl/gであるポリアミド。
  2. 【請求項2】 末端基の10%以上が封止されている請
    求項1記載のポリアミド。
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