JP3029786B2

JP3029786B2 - インクジェット記録装置およびテストプリント方法

Info

Publication number: JP3029786B2
Application number: JP7195606A
Authority: JP
Inventors: 仁杉本; 真鳥越; 博司田鹿; 重泰名越; 浩史吉野; 川口　　浩一郎
Original assignee: Canon Inc
Current assignee: Canon Inc
Priority date: 1994-09-02
Filing date: 1995-07-31
Publication date: 2000-04-04
Anticipated expiration: 2015-07-31
Also published as: JPH08118616A; US5898443A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置およびテストプリント方法に関し、詳しくは、被
記録材上にインクおよびこのインク中の色材を不溶化ま
たは凝集させる淡色または無色の液体を吐出して記録を
行うインクジェット記録装置および該装置におけるテス
トプリント方法に関するものである。本発明は、紙や
布、不織布、ＯＨＰ用紙等の被記録材を用いる機器すべ
てに適用でき、具体的な適用機器は、プリンタ、複写
機、ファクシミリなど事務機器や大量生産機器等を挙げ
ることができる。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式は、低騒音、低
ランニングコスト、装置の小型化やカラー化が容易等、
種々の利点を有し、プリンタや複写機等に広く利用され
ている方式である。

【０００３】しかしながら、インクジェット記録方式を
適用したこれらの装置により、所謂普通紙と呼ばれる被
記録材上に画像を記録する場合、記録した画像の耐水性
が不十分であることがある。また、カラー画像を記録す
る場合に、高濃度を実現しようとして多量のインクを吐
出すると、そのインクの被記録材への浸透によってフェ
ザリングを生じることがあり、一方、この浸透を抑制し
て高濃度を得ようとする場合には異なる色のインクの間
でにじみを生じることがあり、いずれの場合もカラー画
像を記録する場合の品位を著しく低下させていた。

【０００４】画像の耐水性を向上させる方法として、イ
ンク中に含まれる色材に耐水性を持たせたインクも近年
では実用化されている。しかしながら、使用環境によっ
ては、その耐水性はまだ不十分な場合があり、また、そ
のようなインクは、原理的に、乾燥後水に溶解しにくい
インクであるために、記録ヘッドの目詰まりが生じやす
く、また、これを防止するために装置構成が複雑になら
ざるを得ないなどの問題点があった。

【０００５】また、耐水性向上の他の方法として、特開
昭５６−８４９９２号公報には、記録紙に、予めインク
染料を定着するための材料を塗工しておく方法が開示さ
れている。すなわち、特定の記録紙を予め大量に生産し
準備しておくものである。しかしながら、この方法で
は、特定の記録紙を予め別途用意する必要があり、ま
た、予め染料を定着するための材料を塗工する特定の記
録紙生産用装置は大型化、コストアップが避けられず、
さらには記録紙上に安定して上記の材料を所定の膜厚で
塗工することが容易でないといった問題点がある。

【０００６】さらに、特開昭６４−６３１８５号公報に
は、染料を不溶化する無色のインクをインクジェット記
録ヘッドによって記録紙上に付着させる技術が開示され
ている。又、特開平５−２０２３２８号公報には、カル
ボキシル基を有した化学染料を含むインクと、多価金属
塩溶液とを使用し、多価金属塩溶液を適用した後に、イ
ンクを適用して耐水性を生じさせ、また、これにより、
カラーブリードの無い画像を得る技術が開示されてい
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した染
料を不溶化させる無色の処理液をインクジェットヘッド
で吐出する場合、その無色の処理液がインクジェットヘ
ッドの全ての吐出口から良好に吐出されているか否かを
チェックすることは、インクを吐出する場合と同様に必
要なことは明らかである。しかし、上記処理液を吐出す
るインクジェットヘッドの吐出状態を確実に検知する構
成は現在のところ知られておらず、インクを吐出するヘ
ッドの吐出不良を検知する構成を同様に適用することが
考慮されるのみである。以下、インクを吐出するヘッド
の吐出不良、その回復処理、および吐出不良を検知する
従来の構成について説明する。

【０００８】例えば、オンデマンド型のインクジェット
記録方式の記録動作においては、一つのヘッドに設けら
れた複数の吐出口の全てを常に使用しているわけではな
く、ある時間以上使用されない不使用吐出口が存在する
ことが多い。また、カラー記録装置のように複数の記録
ヘッドを有する場合、ある記録ヘッドについては吐出デ
ータが転送されない（吐出をしない）場合には、その記
録ヘッド全体が不使用の場合もある。このような場合、
記録動作の間は当然吐出口面がキャップされない状態に
おかれるため、ある時間連続してインク吐出が行われな
い吐出口近傍およびその吐出口内のインクが蒸発乾燥し
てしまい、結果としてインクが吐出しない等の吐出性能
の低下、ひいては記録画像品位の低下を引き起こすこと
がある。

【０００９】また、上記のような吐出不良は、インク吐
出に伴なって生じるインクミストや記録紙の紙粉等が吐
出口またはその近傍に付着することによって生じること
もある。

【００１０】さらに、インクジェット記録方式の中で
も、インクジェットヘッドの吐出口に連通した液路部分
にインクを吐出するのに利用される熱エネルギーを発生
させる吐出ヒーターを設け、液路部分のインクに熱エネ
ルギーを付与してインクの膜沸騰による気泡成長を利用
してインクを吐出し記録を行うものは、気泡成長を繰り
返し行っているうちに残留する気泡が液路等に滞溜し、
これがインクの供給を阻害してインクが吐出されなくな
る、いわゆる吐出不良となることもある。

【００１１】以上説明したような吐出不良に対して、例
えば、非記録時に、記録ヘッドに対してキャッピングを
行い、吐出口内のインクが増粘または固着することを未
然に防止したり、また、上記キャップに接続された吸引
ポンプによって、液路内の増粘インクや、ブレードによ
って除去できなかった吐出口近傍の異物などを強制的に
排出する等の吐出回復処理が行われている。

【００１２】特に、複数の吐出口を備えるインクジェッ
トヘッドを用いるインクジェット記録装置においては、
以上説明した不吐出や吐出方向のずれといった吐出不良
は記録画像の品位の大きな低下を招くことになり、何ら
かの方法で各吐出口の吐出状態を検知する方法が必要に
なる。この様な検知方法は、上記回復処理を施す必要が
あるかどうか、また、この様な回復処理を施した後に吐
出が正常状態に戻ったかどうかを確認するためなどに利
用されることになる。

【００１３】従来より、吐出状態を確認する方法とし
て、記録ヘッドに設けた温度センサによりインクを吐出
させたときの昇温を測定することにより吐出不良を検出
する方法が知られている。これは不吐出を生じているヘ
ッドは蓄熱が多くなり、記録ヘッドの昇温が大きくなる
ことを利用したものである。しかし、この方法では、５
０個や１００個といった比較的多数の吐出口を有したヘ
ッドで数個程度の吐出口が不吐出を起こしていても吐出
不良であることを検出できない場合もあり、個々の吐出
口について吐出しているか否かを判定できるほどの精度
はない。

【００１４】また、光学センサを用いて各吐出口から吐
出したインク滴を検知して吐出不良を起こしているか否
かを検知する方法も知られているが、コストが高いとい
う問題がある。

【００１５】最も簡便な方法としては、例えば特開昭６
１−２６１０７８号公報、特開昭６１−２６１０７９号
公報に開示されているように、被記録材に各吐出口の吐
出の可否が確認できるパターンを記録させ、その記録画
像から判断する方法がある。しかしながら、この方法で
は有色インクはその記録画像が目に見えるため不吐出を
検出することができるが、上述した淡色または無色の処
理液を吐出するインクジェットヘッドの吐出不良検知の
場合は、この淡色または無色の処理液を記録媒体に吐出
させてもその記録画像が視覚的に確認し難いため、吐出
不良を検知することが困難であるという問題がある。ま
た、このように吐出不良を検知できない場合には、画像
の劣化が現れるだけでなく、吐出不良状態でないにもか
かわらず、心理的に吸引回復を多めに行おうとして必要
以上に回復動作を行い処理液の消費量が増加するという
問題を派生させる場合もある。

【００１６】本発明の目的とするところは、インク中の
色材を不溶化または凝集させる化合物を含む淡色または
無色の液体を吐出させるためのインクジェットヘッドの
吐出不良吐出口を簡便に検知でき、優れた耐水性、フェ
ザリングやカラー記録の際の色間のにじみが生じない高
品位且つ高信頼な画像記録が可能なインクジェット記録
装置およびテストプリント方法を提供することにある。

【００１７】

【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
インクを吐出するためのインク吐出部および該インク吐
出部が吐出するインク中の色材を不溶化または凝集させ
る物質を含む液体を吐出するための液体吐出部を用い、
被記録材に記録を行うインクジェット記録装置におい
て、前記液体吐出部からは前記液体を所定の記録画素に
のみに吐出し、前記インク吐出部からは前記インクを少
なくとも前記所定の記録画素を含む記録画素に吐出し
て、前記所定の記録画素において当該液体とインクを重
ねるようにしたテストパターンを記録する手段を具えた
ことを特徴とする。

【００１８】また、インクを吐出するためのインク吐出
部および該インク吐出部が吐出するインク中の色材を不
溶化または凝集させる物質を含む液体を吐出するための
液体吐出部を用いて、記録を行うテストプリント方法に
おいて、前記液体吐出部からは前記液体を所定の記録画
素にのみに吐出し、前記インク吐出部からは前記インク
を少なくとも前記所定の記録画素を含む記録画素に吐出
して、前記所定の記録画素において当該液体とインクを
重ねるようにしたテストパターンを記録する、ステップ
を具えたことを特徴とする。

【００１９】以上の構成によれば、インクとそのインク
中の色材を不溶化する液体とを被記録材の同一箇所に吐
出する記録動作と、インクのみによる記録動作とによっ
てテストパターンをプリントすることができる。

【００２０】また、テストパターンの所定記録画素にお
いて、インクと液体とが重ねられ、一方、この所定記録
画素を含む所定記録画素以外にはインクが吐出されるの
で、所定記録画素の濃度や色味の違いとともに、その周
囲画素とのにじみの具合によっても、インクまたは液体
の吐出不良を検出できる。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。

【００２２】（第１の実施形態）図１は、本実施形態の
記録装置の概略正面図、図２は、その記録装置の概略側
面図である。これらの図において、１Ａ〜１Ｄはインク
ジェットカートリッジであり、それぞれは、上方にイン
クタンク部、また下方にインク吐出部としての記録ヘッ
ド２Ａ〜２Ｄを有し、さらに記録ヘッド２Ａ〜２Ｄを駆
動するための信号を受容するためのコネクタ（図示略）
が設けられている。インクジェットカートリッジ１Ａ〜
１Ｄのインクタンクには、イエロー、マゼンタ、シア
ン、ブラックのインクが収容されている。１Ｅは、処理
液用のカートリッジであり、インクジェットカートリッ
ジ１Ａ〜１Ｄと同様に構成されている。ただし、そのタ
ンク内には、記録ヘッド２Ａ〜２Ｄから吐出される各種
インク中の色材を不溶化するための処理液が収容されて
いる。以下、インクジェットカートリッジ１Ａ〜１Ｄお
よび処理液用のカートリッジ１Ｅを単に「カートリッジ
１Ａ〜１Ｅ」ともいい、またそれらの記録ヘッド２Ａ〜
２Ｄと液体吐出部としての処理液吐出用ヘッド２Ｅを単
に「記録ヘッド２Ａ〜２Ｅ」ともいう。

【００２３】記録ヘッド２Ａ〜２Ｅは、それぞれのイン
クまたは処理液を吐出させるために、それらに膜沸騰を
生じさせる電気熱変換体に備えている。すなわち、記録
ヘッド２Ａ〜２Ｅのそれぞれには、複数の吐出口が所定
方向に列状に配設されており、各吐出口列はこれらヘッ
ドが記録装置に装着されたときは被記録材としての紙１
１の搬送方向（図２中の左右方向）に沿ったものとな
る。そして、複数の吐出口の各々には上記電気熱変換体
が設けられており、これにより、それぞれの吐出口から
インクや処理液を吐出することができる。

【００２４】３は、これらのカートリッジ１Ａ〜１Ｅを
位置決めして搭載するキャリッジであり、それらの記録
ヘッド２Ａ〜２Ｅを駆動するための信号などを伝達する
ためのコネクタホルダー（図示略）が設けられている。
４は、キャリッジ３の主走査方向に延在して、キャリッ
ジ３を摺動自在に支持するためのガイドシャフト、５
は、キャリッジ３を往復動させる駆動力を伝達するため
の駆動ベルト、６はキャリッジ駆動モータである。７、
８および９、１０は、それぞれ紙１１を挟持して搬送す
るための搬送ローラ対であり、紙１１の搬送方向におい
て各記録ヘッドによる記録位置の上流側および下流側に
設けられる。紙１１は、その被記録面を平坦に規制する
ためのプラテン１２に圧接されている。記録ヘッド２Ａ
〜２Ｅは、図２に示すように搬送用ローラ７、９の間に
位置し、それらの吐出口形成面は、プラテン１２に圧接
された紙１１の被記録面に平行に位置する。

【００２５】本例のインクジェット記録装置の場合に
は、図１中右側のホームポジション側に回復系ユニット
１３が配設されている。回復系ユニット１３において、
１４は、記録ヘッド２Ａ〜２Ｅのそれぞれに対応して設
けられたキャップユニットであり、図１中上下方向に昇
降可能である。キャップユニット１４は、キャリッジ３
がホームポジションにあるときに、記録ヘッド２Ａ〜２
Ｅのそれぞれをキャッピングして、それらの記録ヘッド
２Ａ〜２Ｅの吐出口内の乾燥を防ぎ、インクや処理液の
増粘や固着による吐出不良を防止する。また、回復系ユ
ニット１３内にはポンプユニット（図示略）が備えられ
ており、オペレータの指示または所定のタイミングで行
う吐出回復処理において記録ヘッド２Ａ〜２Ｅに接合さ
せたキャップユニット１４内に負圧を生じさせ吐出口内
のインクを吸引することに用いられる。

【００２６】図３は、インクジェット記録装置の制御系
を示すブロック図である。

【００２７】図３においてＣＰＵ１００は、この装置各
部の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ＲＯＭ
１００Ａには、その処理手順等が格納され、またＲＡＭ
１００Ｂは、それらの処理を実行するためのワークエリ
アとして用いられる。記録ヘッド２Ａ〜２Ｅにおけるイ
ンクや処理液の吐出は、例えば、ＣＰＵ１００が前述し
た電気熱変換体の駆動データおよび駆動制御信号をヘッ
ドドライバ３０に供給することにより行われる。さらに
ＣＰＵ１００は、キャリッジ３を移動させるためのモー
タ６や搬送ローラ７、８、９、１０を回転させるための
紙送りモータ（Ｐ．Ｆモータ）５０を、モータドライバ
２０Ａ，５０Ａを介して制御する。また、ＣＰＵ１００
は、後述するように、記録ヘッド２Ａ〜２Ｅによるテス
トプリントを実施して、所定のテストパターンを紙１１
上に形成させる。

【００２８】図４および図５は、本実施形態によるテス
トプリントを説明する図である。そのうち、図４は、記
録ヘッド２Ａ〜２Ｄの１つの記録ヘッドおよび処理液を
吐出するヘッド２Ｅによるテストプリントを示し、それ
ぞれのヘッドの各吐出口が正常な場合のプリント結果を
示すものである。図４中矢印Ａは紙１１の搬送方向であ
り、矢印Ｂはキャリッジ３の走査方向である。図４にお
いて直線Ｐ１〜Ｐ５（Ｐ１）によって１単位のテストパ
ターンを形成し、また、そのパターンは、上述のように
記録ヘッド２Ａ〜２Ｄのうちの１つのヘッドおよび処理
液用ヘッド２Ｅによるものであり、他の記録ヘッドとヘ
ッド２Ｅによるパターンも同様にプリントされることは
勿論である。

【００２９】Ｐ１は、記録ヘッド２Ａ〜２Ｄの内の１つ
のテストヘッド（以下、説明の簡略のためヘッド２Ａと
する）の全吐出口によって形成される第１のパターンと
しての直線であり、図４の場合には、ヘッド２Ａの全吐
出口からインクが正常に吐出することによって、欠損部
分ない直線Ｐ１が形成されることになる。Ｐ２は、キャ
リッジ３を走査させつつヘッド２Ａの１つの吐出口から
インクを吐出させることによって形成される第２のパタ
ーンとしての直線である。そのインクを吐出する吐出口
は、後述する第５の直線Ｐ５が形成される都度、１つ下
方にずらされる。Ｐ３は、直線Ｐ１と同様に形成される
第３のパターンとしての直線である。

【００３０】Ｐ４は、パターンＰ２と同様、キャリッジ
３を走査させつつ、ヘッドの１つの吐出口からインクを
吐出させると共に、記録ヘッド２Ｅの対応する吐出口か
ら処理液を吐出させることによって形成される第４のパ
ターンとしての直線である。このパターンを形成するた
めのインクおよび処理液を吐出する吐出口は、後述する
第５の直線Ｐ５が形成される都度、１つ下方にずらされ
る。ここで、第２と第４の直線Ｐ２とＰ４との相違は、
前者を形成するインクは、処理液が吐出されないためそ
れによって不溶化されず、一方後者を形成するインク
は、同一箇所に処理液が吐出されるため、それによって
不溶化される点にある。すなわち、これらの相違は、色
味の相違として確認できる。また、上記２つのパターン
近傍に水分に付着させた場合は、前者ににじみを生じ後
者にそれを生じないことによっても、相違を確認するこ
とができる。なお、水分を付着させる手段としては、イ
ンクのかわりに水を用いたインクジェットとすることも
できる。Ｐ５は、直線Ｐ１と同様に形成される第５のパ
ターンとしての直線である。

【００３１】このような直線Ｐ１〜Ｐ５のプリントを行
い、次の１単位のテストパターンのプリントでは、ヘッ
ド２Ａおよびヘッド２Ｅにおけるそれぞれインクおよび
処理液を吐出する吐出口を１つ下方へずらして、それぞ
れ直線Ｐ２およびＰ４をプリントする。以上の動作を繰
り返し、各ヘッド２Ａおよび２Ｅの全吐出によりパター
ンＰ２およびＰ４を形成してテストプリントを終了す
る。

【００３２】図４に示すように、インクおよび処理液の
不吐出が生じていない正常な場合には、直線Ｐ１〜Ｐ５
のそれぞれには欠損部分がなく、また、第３の直線Ｐ３
を挟んで位置する直線Ｐ２，Ｐ４の色味または、水分を
付着させたときのにじみの相違が確認できることにな
る。

【００３３】図５は、ヘッド２Ａにおける上から５番目
の吐出口にインクの不吐出が生じ、またヘッド２Ｅにお
ける上から３番目の吐出口に処理液の不吐出が生じてい
る場合におけるテストプリントの結果を示すものであ
る。すなわち、ヘッド２Ａと記録ヘッド２Ｅのそれぞれ
の３番目の吐出口によるテストパターンの形成範囲ａに
おいて、直線Ｐ２，Ｐ４の色味に相違が認められないこ
とによって、もしくは水分を付着させたときのにじみの
有無によってヘッド２Ｅの３番目の吐出口が処理液の不
吐出状態にあることが確認できる。このように、処理液
が無色あるいは淡色であっても、処理液の不吐出状態に
ある吐出口を認定することができる。また、ヘッド２Ａ
とヘッド２Ｅのそれぞれの５番目の吐出口によるテスト
パターンの形成範囲ｂにおいて、直線Ｐ２，Ｐ４が確認
できないことによって、少なくともヘッド２Ａの第５番
目の吐出口がインクの不吐出状態にあることが容易に確
認できる。

【００３４】なお、テストプリント用ヘッドとして、記
録ヘッド２Ａ〜２Ｄを順次選定することによって、それ
らの全ての吐出口についてテストプリントを実施するこ
とが出来ることは前述した通りである。

【００３５】ここで、処理液とインクの組成について説
明する。なお、以下においては、処理液Ｌを単に液体、
記録インクを単にインクともいう。

【００３６】インク染料を不溶化する上記無色の液体
は、一例として以下のようにして得ることができる。

【００３７】すなわち、下記の成分を混合溶解した後、
さらにポアサイズが０．２２μｍのメンブレンフィルタ
（商品名：フロロポアフィルタ、住友電工製）にて加圧
濾過した後、ＮａＯＨでｐＨを４．８に調製し、無色の
液体Ａｌを得ることができる。

【００３８】［Ａｌの成分］カチオン性化合物の低分子成分ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド２．０部（商品名；エレクトロストッパＱＥ、花王製）カチオン性化合物の高分子成分ポリアミンスルホン（平均分子量；５０００）３．０部（商品名；ＰＡＳ−９２、日東紡績製）チオジグリコール１０部水残部また、上記無色の液体と混合し不溶化するインクの好適
な例として以下のものを挙げることができる。

【００３９】すなわち、下記の成分を混合し、さらにポ
アサイズが０．２２μｍのメンブレンフィルタ（商品
名：クロロポアフィルタ、住友電工製）にて加圧濾過し
てイエロー，マゼンタ，シアン，ブラックのインクＹ
１，Ｍ１，Ｃ１，Ｋ１を得ることができる。

【００４０】Ｙ１Ｃ．Ｉ．ダイレクトイエロー１４２２部チオジグリコール１０部アセチレノールＥＨ（川研ファインケミカル）０．０５部水残部Ｍ１染料をＣ．Ｉ．アシッドレッド−２８９；２．５部に代
えた以外はＹ１と同じ組成Ｃ１染料をＣ．Ｉ．アシッドブルー９；２．５部に代えた以
外はＹ１と同じ組成Ｋ１染料をＣ．Ｉ．フードブラック２；３部に代えた以外は
Ｙ１と同じ組成以上示したそれぞれ無色の液体とインク
との混合において、本発明では、上述した無色の液体と
インクが被プリント材上あるいは被プリント材に浸透し
た位置で混合する結果、反応の第１段階として無色の液
体中に含まれているカチオン性物質の内、低分子量の成
分とインクに使用しているアニオン性基を有する水溶性
染料とがイオン的相互作用により会合を起こし、瞬間的
に溶液相から分離を起こす。

【００４１】次に、反応の第２段階として、上述した染
料と低分子カチオン性物質との会合体が無色の液体中に
含まれる高分子成分により吸着されるために、会合で生
じた染料の凝集体のサイズがさらに大きくなり、被プリ
ント材の繊維間の隙間に入り込みにくくなり、その結果
として固液分離した液体部分のみが記録紙中にしみこむ
ことにより、プリント品位と定着性との両立が達成され
る。同時に上述したようなメカニズムにより生成したカ
チオン物質の低分子成分とアニオン性染料とカチオン性
物質とで形成される凝集体は粘性が大きくなり、液媒体
の動きとともに移動することがないので、フルカラーの
画像形成時のように隣接したインクドットが異色のイン
クで形成されていたとしても互いに混じり合うようなこ
とはなく、ブリーデイングも起こらない。また、上記凝
集体は本質的に水不溶性であり形成された画像の耐水性
は完全なものとなる。また、ポリマーの遮蔽効果により
形成された画像の耐光堅牢性も向上するという効果も有
する。

【００４２】また、本発明の実施にあたっては、従来技
術のように分子量の大きいカチオン性高分子物質や多価
の金属塩を使用する必要がないか、あるいは使用する必
要があっても本発明の効果をさらに向上させるために補
助的に使用するだけで良いので、その使用量を最小限に
抑えることができる。その結果として、従来のカチオン
性高分子物質や多価金属塩を使用して耐水化効果を得よ
うとした場合の問題点であった染料の発色性の低下がな
くなるということを本発明の別の効果として挙げること
ができる。

【００４３】なお、本発明を実施するにあたって使用す
る被プリント材については特に制限されるものではな
く、従来から使用されているコピー用紙、ボンド紙等の
いわゆる普通紙を好適に用いることができる。もちろん
インクジェットプリント用に特別に作製したコート紙や
ＯＨＰ用透明フィルムも好適に使用でき、また、一般の
上質紙や光沢紙も好適に使用可能である。

【００４４】さらに、本発明を実施するにあたって、使
用するインクは特に染料インクに限るものではなく、顔
料を分散させた顔料インクを用いることもできるし、使
用する処理液はその顔料を凝集させるものを用いること
ができる。前記した無色液体Ａ１と混合して凝集を引き
起こす顔料インクの一例として以下のものを挙げること
ができる。すなわち、下記に述べるようにして、それぞ
れ顔料とアニオン性化合物とを含むイエロー，マゼン
タ，シアン，ブラックの各色インク、Ｙ２，Ｍ２，Ｃ２
およびＫ２を得ることができる。

【００４５】ブラックインクＫ２アニオン系高分子Ｐ−１（スチレン−メタクリル酸−エ
チルアクリレート、酸価４００、重量平均分子量６，０
００、固形分２０％の水溶液、中和剤：水酸化カリウ
ム）を分散剤として用い、以下に示す材料をバッチ式縦
型サンドミル（アイメックス製）に仕込み、１ｍｍ径の
ガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ３時
間分散処理を行った。分散後の粘度は９ｃｐｓ、ｐＨは
１０．０であった。この分散液を遠心分離機にかけ粗大
粒子を除去し、重量平均粒径１００ｎｍのカーボンブラ
ック分散体を作製した。

【００４６】（カーボンブラック分散体の組成）・Ｐ−１水溶液（固形分２０％）４０部・カーボンブラックＭｏｇｕｌＬ（キャブラック製）２４部・グリセリン１５部・エチレングリコールモノブチルエーテル０．５部・イソプロピルアルコール３部・水１３５部次に、上記で得られた分散体を充分に拡散して顔料が含
有されたインクジェット用のブラックインクＫ２を得
た。最終調製物の固形分は、約１０％であった。

【００４７】イエローインクＹ２アニオン系高分子Ｐ−２（スチレン−アクリル酸−メチ
ルメタアクリレート、酸価２８０、重量平均分子量１
１，０００、固形分２０％の水溶液、中和剤：ジエタノ
ールアミン）を分散剤として用い、以下に示す材料を用
いて、ブラックインクＫ２の作製の場合と同様に分散処
理を行い、重量平均粒径１０３ｎｍのイエロー色分散体
を作製した。

【００４８】（イエロー分散体の組成）・Ｐ−２水溶液（固形分２０％）３５部・Ｃ．Ｉ．ピグメントイエロー１８０２４部（ノバパームイエローＰＨ−Ｇ、ヘキスト製）・トリエチレングリコール１０部・ジエチレングリコール１０部・エチレングリコールモノブチルエーテル１．０部・イソプロピルアルコール０．５部・水１３５部上記で得られたイエロー分散体を充分に拡散して、顔料
が含有されたインクジェット用のイエローインクＹ２を
得た。最終調製物の固形分は、約１０％であった。

【００４９】シアンインクＣ２ブラックインクＫ２の作製の際に使用したアニオン系高
分子Ｐ−１を分散剤として用い、以下に示す材料を用い
て、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分
散処理を行い、重量平均粒径１２０ｎｍのシアン色分散
体を作製した。

【００５０】（シアン色分散体の組成）・Ｐ−１水溶液（固形分２０％）３０部・Ｃ．Ｉ．ピグメントブルー１５：３２４部（ファストゲンブル−ＦＧＦ、大日本インキ化学）・グリセリン１５部・ジエチレングリコールモノブチルエーテル０．５部・イソプロピルアルコール３部・水１３５部上記で得られたシアン色分散体を充分に攪拌して、顔料
が含有されたインクジェット用のシアンインクＣ２を得
た。最終調製物の固形分は、約９．６％であった。

【００５１】マゼンタインクＭ２ブラックインクＫ２の作製の際に使用したアニオン系高
分子Ｐ−１を分散剤として用い、以下に示す材料を用い
て、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分
散処理を行い、重量平均粒径１１５ｎｍのマゼンタ色分
散体を作製した。

【００５２】（マゼンタ色分散体の組成）・Ｐ−１水溶液（固形分２０％）２０部・Ｃ．Ｉ．ピグメントレッド１２２（大日本インキ化学）２４部・グリセリン１５部・イソプロピルアルコール３部・水１３５部上記で得られたマゼンタ色分散体を充分に拡散して、顔
料が含有されたインクジェット用のマゼンタインクＭ２
を得た。最終調製物の固形分は、約９．２％であった。

【００５３】なお、上記実施形態では、イエロー
（Ｙ），マゼンタ（Ｍ），シアン（Ｃ），ブラック
（Ｋ）の各インクの染料または顔料（これらを総称して
色材ともいう）を不溶化する液体として、上記各インク
とは別個のものを例にとり説明したが、本発明の適用は
このような場合に限られない。例えば、イエローインク
に、その色材とは不溶化せず他のインク、例えばブラッ
クインクの色材を不溶化する液を含有することもでき
る。これによれば、ブラックインクとイエロインクとに
よる記録領域の境界で生じるブリーディングを有効に防
止できるとともに、上記のようにブラックインクによる
記録の耐水性を向上させることができる。また、同様に
シアンインクにブラックインクの色材を不溶化する液体
を含有させ、ブラックインクにシアンインクを重ねるこ
とによって黒強調と耐水性の向上を果すことができる。

【００５４】（第１実施形態の第１変形例）図６は、上
記第１実施形態の変形例によるテストプリントの実施結
果を説明するための図である。

【００５５】本実施形態では、前述した第１実施形態の
テストプリントの実施に先立って、直線Ｐ３の近傍に吐
出口の位置に対応番号を記録する。したがって、その番
号によって、インクや処理液の不吐出状態にある吐出口
の位置を容易に確認することができる。図６の場合は、
前述した第１実施形態と同様に、処理液を吐出するヘッ
ド２Ｅの３番目の吐出口が処理液の不吐出状態にあり、
また、ヘッド２Ａの５番目の吐出口がインクの不吐出状
態にあることが容易に確認できる。

【００５６】（第１実施形態の第２変形例）図７〜図１
０は、第１実施形態の第２変形例を説明するための図で
ある。

【００５７】本実施形態は、図７，図８に示すように前
述した第１実施形態およびその変形例の記録ヘッド２Ａ
〜２Ｅとは異なり、紙１１の搬送方向Ａ（図６参照）と
直交する方向に紙１１の記録領域全体に対応して複数の
吐出口を配した、いわゆるフルラインタイプの記録ヘッ
ド２Ｆおよび２Ｇを用いたインクジェット記録装置に関
するものである。本例の場合、記録ヘッド２Ｆおよび２
Ｇの吐出口を保護するキャッピングおよび回復系ユニッ
トはプラテン１２内に昇降可能に備えられている。その
他の構成は、前述した第１実施形態と同様である。ただ
し、本例の場合には、それぞれのヘッド２Ｆおよび２Ｇ
からのそれぞれインクと処理液の吐出動作と、紙１１の
搬送動作によって、テストパターンを含む情報が紙１１
に記録されることになる。

【００５８】図９は、ヘッド２Ｆおよび２Ｇが正常な場
合におけるテストプリントの実施結果を示す。図９中の
矢印Ａは紙１１の搬送方向を示す。本例では、前述した
第１実施形態と同様の第１〜第５のパターンとしての直
線Ｐ１〜Ｐ５によってテストパターンを形成する。な
お、本例の場合は、紙１１の全幅に亘って配列する記録
ヘッド２Ｆおよび２Ｇの複数の吐出口を複数のグループ
に分けて、そのグループ毎の吐出口からインクおよび処
理液を吐出することによって、前述した第１実施形態と
同様のテストパターンを形成する。このため、図９に
は、１つのグループのみのテストプリントのパターンが
示されている。

【００５９】図９に示すように、インクおよび処理液の
負吐出が生じていない正常な場合には、直線Ｐ１〜Ｐ５
のそれぞれには欠損部分がなく、また、第３の直線Ｐ３
を挟んで位置する直線Ｐ２，Ｐ４の色味の相違または水
分を付着させたときのにじみの有無が確認できることに
なる。

【００６０】図１０は、上から５番目のインクの吐出口
に不吐出が生じ、また上から３番目の処理液の吐出口に
不吐出が生じている場合におけるテストプリントの実施
結果を示す。インクと処理液の３番目の吐出口によるテ
ストパターンの形成範囲ａにおいて、直線Ｐ２，Ｐ４の
色味に相違が認められないこと、もしくは水分を付着さ
せたときのにじみの有無によって、３番目の処理液の吐
出口が不吐出状態にあることが確認できる。したがっ
て、処理液が無色あるいは淡色であっても、処理液の不
吐出状態にある吐出口を認定することができる。また、
５番目のインクの吐出口によるテストパターンの形成範
囲ｂにおいて、直線Ｐ２，Ｐ４が確認できないことによ
って、少なくとも第５番目のインクの吐出口が不吐出状
態にあることが容易に確認できる。

【００６１】（第１実施形態の第３変形例）図１１は、
第１実施形態の第３変形例によるテストプリントの実施
結果を説明するための図である。

【００６２】本実施形態は、上記第２変形例と同様の装
置によるものであり、そのテストパターンでは、直線Ｐ
３の近傍位置に、吐出口の配列位置に対応した番号を記
録する。したがって、その番号によって、不吐出状態に
あるインクや処理液の吐出口の位置を容易に確認するこ
とができる。なお、本例の場合は、紙１１の全幅に亘っ
て位置する記録ヘッド２の複数の吐出口を２０個ずつの
複数のグループに分けて、そのグループ毎の吐出口から
インクおよび処理液を吐出することによって、前述した
第２変形例と同様のテストパターンを形成する。このこ
とは、吐出口の数が比較的多いフルラインタイプの記録
ヘッド２に対して有効であり、全吐出口の検査を紙１１
の短い送り量で行うことができる。

【００６３】（第２実施形態）図１２は本発明の第２実
施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略斜視図
である。

【００６４】ここで、Ｃは記録液としてのインクを吐出
するためのインクジェットカートリッジであり、上方に
インクタンク部、下方にインクを吐出する記録ヘッド
（不図示）を有しており、さらに記録ヘッドを駆動する
ための信号などを受容するためのコネクタを設けてあ
る。Ｃ_S はカートリッジＣと同様の構成であり、処理液
を吐出するためのインクジェットカートリッジであり、
処理液タンクと処理液吐出用ヘッドを有している。１０
２は、キャリッジであり、上記５個のカートリッジＣお
よびＣ_S （それぞれ異なった色のインクまたは処理液、
すなわち、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックおよ
びこれらインク中の色材を不溶化または凝集させる処理
液を収納）を位置決めして搭載し、また、記録ヘッドお
よびヘッドを駆動するための信号などを伝達するための
コネクタホルダーを設けてあり上記記録ヘッド等と電気
的に接続されるようになっている。本実施形態では、左
からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックインクに関
するカートリッジＣを、そして右端には染料を不溶化す
るための処理液を収納したカートリッジＣ_S を搭載す
る。

【００６５】１１１はキャリッジ１０２の主走査方向に
延在し、キャリッジ１０２を摺動自在に支持する走査レ
ール、１５２はキャリッジ１０２を往復動させるための
駆動力を伝達する駆動ベルトである。また、１１５，１
１６および１１７，１１８は、被記録材を挟持して搬送
するための搬送ローラ対、Ｐは紙などの被記録材であ
り、この被記録材Ｐは、その被記録面を平坦に規制する
プラテン（不図示）に圧接されている。ここにおいて、
キャリッジ１０２に搭載されたインクジェットカートリ
ッジＣおよびＣ_S の記録ヘッド部およびインクジェット
ヘッドは、キャリッジから下方へ突出して被記録材搬送
用ローラ１６，１８間に位置し、記録ヘッドおよびイン
クジェットヘッドの吐出口形成面は、プラテン（不図
示）の案内面に圧接された被記録材Ｐに平行に位置づけ
られる。

【００６６】本例のインクジェット記録装置において
は、回復系ユニットを、図１の左側に位置するホームポ
ジション側に配設してある。回復系ユニットにおいて、
３００は、インクジェットカートリッジＣおよびＣ_S の
記録ヘッドおよびヘッドにそれぞれ対応して設けたキャ
ップユニットであり、上下方向に昇降可能である。そし
て、キャリッジ１０２がホームポジションにあるときは
記録ヘッドおよびインクジェットヘッドと接合してこれ
をキャッピングし、記録ヘッド等の吐出口内のインクが
蒸発して増粘、固着して吐出不良状態となるのを防止し
ている。また、キャップユニット３００は、不図示のポ
ンプユニットと連通されており、記録ヘッド等が吐出不
良となった場合にポンプユニットを用いてキャップユニ
ットと記録ヘッドとを接合させて行う吸引回復処理など
に際してそのための負圧を生じさせる。さらに、本実施
形態では構成を図示していないが、ゴムなどの弾性部材
で形成されたブレードを設け、記録ヘッド等の吐出口面
に付着した液滴をワイピングするような構成としても良
い。

【００６７】このインクジェット記録装置は、処理液を
吐出するヘッドから、各色インク中の色材を水を主体と
した溶媒中で不溶化または凝集させるための処理液を被
記録材に吐出し、記録ヘッドから吐出されたインクと被
記録材上で接触させて記録画像に耐水性を持たせるよう
にしたものである。被記録材上でインク中の色材が処理
液と反応して瞬時に不溶化または凝集するため、耐水性
を向上させるだけでなく、異色が隣接する境界部でのに
じみをも防止することができる。本実施形態では処理イ
ンクにカチオン系ポリマーを含有した水溶液を用い、記
録インクには通常一般的に用いられている酸性染料を含
有したインクを使用した。

【００６８】インク染料を不溶化する上記無色の処理液
（以下、単に液体ともいう）は、上記第１実施形態およ
びその変形例で用いたものと同一のものを用いることが
できる。

【００６９】図１３は記録ヘッドまたはヘッドとインク
タンクまたは処理液タンクとが一体となったインクジェ
ットカートリッジＣまたはＣ_S を示す模式的斜視図であ
る。上方にインクタンク部または処理液タンク部Ｔ、下
方に記録ヘッド部またはヘッド部１８６を有しており、
更に記録ヘッド部等１８６を駆動するための信号などを
受容すると共にインク残量検知の出力等を行うためのヘ
ッド側コネクタ１８５をインクタンク部に並ぶ位置に設
けてある。記録ヘッド部等１８６は図中底面側に開口し
た複数の吐出口を有した吐出口面１０１を有し、その吐
出口に連通した液路部分にインクを吐出するのに利用さ
れる熱エネルギーを発生する発熱素子（電気熱変換体）
が配置されている。

【００７０】図１４は図１２に示したインクジェットプ
リント装置の制御部を示すブロック図である。図中、１
２０１はＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡＭ等を中心に構成した制
御部であり、ＲＯＭに格納されたプログラムに従って装
置各部の制御を行う。１２０２は制御部１２０１からの
信号に基づいて、キャリッジ１０２を往復動させるため
のキャリッジモータ１５２Ｍを駆動するためのドライ
バ、１２０３は制御部１２０１からの信号に基づいて、
搬送ローラ１１５〜１１８を駆動し、被記録材を搬送す
るための搬送モータ１２０６を駆動するドライバ、１２
０４は制御部１２０１からのプリントデータに基づい
て、各インクジェット吐出部を駆動するドライバ、１２
１２は各種キーの入力および各種表示を行う操作表示
部、１２１３は制御部１２０１に対してプリントデータ
を供給するためのホスト装置である。

【００７１】なお、本実施形態の以下で説明するテスト
パターンは、予め制御部１２０１内のＲＯＭ等に記憶さ
れており、必要に応じてユーザーが操作表示部１２１２
の操作によりテストプリントモードを実行することによ
り、記憶されているテストパターンの記録が実行され
る。しかしながら、本発明の適用はこれに限定されず、
インクジェットプリント装置内にテストパターンを内蔵
せずに、ホスト装置からテストパターンを供給し、イン
クジェットプリント装置でそのテストパターンの記録を
実行するようにしてもよいことは勿論である。

【００７２】以上説明した本実施形態のインクジェット
記録装置では、通常、画像データを記録する際にはＹ，
Ｍ，Ｃ，Ｂｋインクのいずれかが吐出される画素には全
て処理インクを吐出させるようにしている。すなわち、
Ｙ，Ｍ，Ｃ，Ｂｋのそれぞれの記録データの論理和デー
タを処理液の吐出データとするものである。これによ
り、処理液ドットとインクドットが被記録材上で重ねら
れながら記録されるので、被記録材上でアニオン性の染
料とカチオン性のポリマーがイオン結合することにより
水に対して不溶化し、記録画像の耐水性を向上させるこ
とができる。

【００７３】この場合、本発明者らの実験によれば、処
理液とインクを被記録材上で重ねた場合とインクのみ
（処理液は重ねない）の場合とを比較すると、記録濃度
や色相に変化が現れることが観察された。すなわち、処
理液とインクを重ねると記録画像濃度は高くなったり、
または、逆に低くなったり、場合によって色相が少し変
化したりする現象が確認された。本実施形態は、上記第
１実施形態およびその変形例と同様、この発明の一つは
この現象を有効に活用したものである。

【００７４】図１５（ａ）〜（ｃ）および図１６は本実
施形態における処理液ヘッドの吐出状態を検知するため
のテストプリント方法を説明する図であり、図１５
（ａ）〜（ｃ）は、テストプリントにおけるＢｋインク
を吐出する記録ヘッドおよび処理液を吐出するヘッドそ
れぞれの記録データを説明する説明図、図１６はそのデ
ータに基づいて被記録材上に記録した結果を示す模式図
である。ここでは、説明の便宜上、８個の吐出口を有す
る記録ヘッドおよび処理液ヘッドを用いた場合で説明す
るが、吐出口数は特にこれに限られたものではないこと
は勿論である。

【００７５】図１５（ａ）に示すように、処理液ヘッド
は各吐出口に対応する画素毎の所定長さの罫線パターン
を順次階段状に記録し、一方、Ｂｋインク記録ヘッドは
図１５（ｂ）に示すように全吐出口を使用していわゆる
ベタ記録を行う。これらを合成した画像データを図１５
（ｃ）に示す。これを記録紙上に記録すると図１６に示
すように、処理液が記録された部分は処理液とインクと
が重ね合わされるためその部分だけが記録反射濃度が高
くなったり、場合によっては色相が少し変化したりする
ため処理液が正常に吐出されているかどうかを目視で判
断することが可能となる。例えば図１６に示す例では、
処理液ヘッドにおける上から５番目の吐出口が不吐出状
態であることを示している。

【００７６】このような濃度や色相等の変化は、インク
のみを吐出する場合に比較して、処理液およびインクを
吐出して重ねた場合は、上述したようにインク中の色素
が記録媒体表面で直ちに処理液中のカチオン化合物と接
触して大きなコンプレックスを形成し、被記録材上での
色素の分布状態が変化することにより記録濃度が変化し
たり、また、色素と処理液中の化合物との相互作用や化
学結合が光の吸収波長に変化をもたらすことによって、
色相が変化することによって生じるものと考えられる。

【００７７】上記説明では、Ｂｋインクと処理液を重ね
た場合で説明したが、特にこれに限定されず、Ｃインク
またはＭインクとの重ね合わせでも良く、また、処理液
の記録パターンも特に階段状に限定されない。さらに色
材は染料に限定されず、顔料を用いても良い。

【００７８】なお、本発明を実施するにあたって、第１
実施形態およびその変形例と同様使用するインクは特に
染料インクに限るものではなく、顔料を分散させた顔料
インクを用いることもできるし、使用する処理液はその
顔料を凝集させるものを用いることができる。その一例
は第１実施形態に説明したものである。

【００７９】また、キャリッジ上に光学的読み取りセン
サを搭載するなど従来の検出技術を用いてこの上記テス
トパターンを読み取り、不吐出吐出口を検出したときに
は自動的に回復動作を実行するような構成にすることも
できる。

【００８０】（第２実施形態の変形例）図１７（ａ）〜
（ｄ）は、第２実施形態の変形例における処理液ヘッド
の吐出状態を検知するためのテストプリントパターンを
説明する説明図である。

【００８１】ここでは、処理液ヘッドおよびＢｋインク
記録ヘッドともに、各吐出口からのインク吐出で順次階
段状の罫線パターンを記録し、Ｙインクヘッドは、全吐
出口を同時に使用してベタ記録を行う。図１７（ａ）は
処理液ヘッドの記録データを示し、図１７（ｂ）はＢｋ
インク記録ヘッドの記録データを示しており、それぞれ
同じように各対応する吐出口毎に順次階段状に一定の長
さの罫線パターンを記録する。また、Ｙインク記録ヘッ
ドは、図１７（ｃ）に示すように、全吐出口を同時に使
用してベタ記録を行う。そして、これら３つを合成した
画像データを図１７（ｄ）に示す。

【００８２】以上、説明したように、階段状の罫線パタ
ーンは結果として処理液とＢｋインクとＹインクの３つ
の液滴が重ね合わされるようなパターンになる。このパ
ターンを記録紙上に記録すると図１８に示すようにな
る。すなわち、図１８では、処理液ヘッドの上から５番
目の吐出口が不吐出を起こしている状態を示しており、
処理液が記録されているところでは処理液によってイン
ク中の色材が不溶化するため、ＢｋインクとＹインクが
接してもにじみを生じることはないが、処理液が吐出さ
れていない５番目の吐出口に対応する部分ではＢｋイン
クとＹインクがそのまま接するため、被記録材上で色素
が拡散しながら浸透していくためシャープさに欠けた汚
い画像となる。これによってその吐出口が不吐出を起こ
していることが確認できる。

【００８３】なお、上記変形例では、ＢｋインクとＹイ
ンクを組み合わせた例で説明をしたが、特に色の組み合
わせは限定されるものではなく、また、処理液とＢｋイ
ンクとＹインクの３つを重ねたが、とくに３つに限定す
る必要はなく、より多くのインクを重ねてもよい。

【００８４】また、上記第１および第２実施形態および
これらの変形例では各色インクおよび処理液を吐出する
ヘッドを、それぞれ別個のものとしたが、本発明の適用
はこのような構成に限られるものではない。例えば、上
記各ヘッドを一体に構成したものでもよく、この意味で
“吐出部”とは、一体に構成されたヘッドおよび別個の
構成されたヘッドのいずれをもいう。

【００８５】さらに、上記実施形態で説明した処理液は
プリント性の向上に資するものでもある。ここでプリン
ト性の向上とは、濃度、彩度、エッジ部分のシャープネ
ス度合、ドット径等の画質を向上させること、インクの
定着性を向上させること、耐水性、耐光性等の耐候性す
なわち画像保存性を向上させること、にじみや白モヤの
発生を抑えることを含む。また、プリント性向上液と
は、上記プリント性の向上に寄与する液体であり、イン
ク中の染料を不溶化する液体、インク中の顔料に分散破
壊を生じせしめる液体、等を含むものである。ここで、
不溶化とは、インク中の染料に含まれるアニオン性基と
プリント性向上液中に含まれるカチオン性物質のカチオ
ン性基がイオン的に相互作用を起こしてイオン結合が生
じ、インク中に均一に溶解していた染料が溶液中から分
離する現象である。なお、本発明においては必ずしもイ
ンク中のすべての染料を不溶化しなくとも、本発明で述
べるようなカラーブリード抑制、発色性の向上、文字品
位の向上、定着性の向上といった効果が得られる。ま
た、凝集とは、インクに使用している色剤がアニオン性
基を有する水溶性染料の場合には、不溶化と同一の意味
で使用される。また、インクに使用している色剤が顔料
の場合には、顔料分散剤あるいは顔料表面とプリント性
向上液中に含まれるカチオン性物質のカチオン性基がイ
オン的相互作用を起こし、顔料の分散破壊が生じ、顔料
の粒子径が巨大化することを含む。通常、上述した凝集
に伴なって、インクの粘度が上昇する。なお、本発明に
おいては必ずしもインク中のすべての顔料または顔料分
散剤が凝集しなくとも、本発明で述べるようなカラーブ
リード抑制、発色性の向上、文字品位の向上、定着性の
向上といった効果が得られる。

【００８６】（その他）なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
（例えば電気熱変換体やレーザ光等）を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化，高精細化が
達成できるからである。

【００８７】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書，同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型，
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも１つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体（インク）
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長，収縮により吐出用開口を介して液体（インク）を吐
出させて、少なくとも１つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体（インク）の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第４４６３３５９号明細書，同第
４３４５２６２号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第４３１３１２４号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。

【００８８】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口，液路，電気熱変換体
の組合せ構成（直線状液流路または直角液流路）の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第４５５８３３３号明細書，米国特許第４４
５９６００号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭５９−１２３６７０号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭５９−１３８４６１号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。

【００８９】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された１個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。

【００９０】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。

【００９１】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれ
ば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニ
ング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれと
は別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱
手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行な
うことも安定した記録を行なうために有効である。

【００９２】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して１個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本
発明は極めて有効である。

【００９３】さらに加えて、以上説明した本発明実施形
態においては、インクを液体として説明しているが、室
温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化も
しくは液化するもの、あるいはインクジェット方式では
インク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲内で温度調整
を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度
制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時
にインクが液状をなすものであればよい。加えて、積極
的に熱エネルギによる昇温をインクの固形状態から液体
状態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで
防止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置
状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても
熱エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液
化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達
する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エ
ネルギによって初めて液化する性質のインクを使用する
場合も本発明は適用可能である。このような場合のイン
クは、特開昭５４−５６８４７号公報あるいは特開昭６
０−７１２６０号公報に記載されるような、多孔質シー
ト凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された
状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態とし
てもよい。本発明においては、上述した各インクに対し
て最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するも
のである。

【００９４】さらに加えて、本発明の液体噴射記録ヘッ
ドを使用する記録機構を備えた記録装置の形態として
は、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末とし
て用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、
さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を
採るもの等であってもよい。

【００９５】図１９は本発明の記録装置をワードプロセ
ッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ装置、複
写装置としての機能を有する情報処理装置に適用した場
合の概略構成を示すブロック図である。

【００９６】図中、１８０１は装置全体の制御を行なう
制御部で、マイクロプロセッサ等のＣＰＵや各種Ｉ／Ｏ
ポートを備え、各部に制御信号やデータ信号等を出力し
たり、各部よりの制御信号やデータ信号を入力して制御
を行なっている。１８０２はディスプレイ部で、この表
示画面には各種メニューや文書情報およびイメージリー
ダ１８０７で読み取ったイメージデータ等が表示され
る。１８０３はディスプレイ部１８０２上に設けられた
透明な感圧式のタッチパネルで、指等によりその表面を
押圧することにより、ディスプレイ部１８０２上での項
目入力や座標位置入力等を行なうことができる。

【００９７】１８０４はＦＭ（ＦｒｅｑｕｅｎｃｙＭ
ｏｄｕｌａｔｉｏｎ）音源部で、音楽エディタ等で作成
された音楽情報をメモリ部１８１０や外部記憶装置１８
１２にデジタルデータとして記憶しておき、それらメモ
リ等から読み出してＦＭ変調を行なうものである。ＦＭ
音源部１８０４からの電気信号はスピーカ部１８０５に
より可聴音に変換される。プリンタ部１８０６はワード
プロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ装
置、複写装置の出力端末として、本発明記録装置が適用
されたものである。

【００９８】１８０７は原稿データを光電的に読取って
入力するイメージリーダ部で、原稿の搬送経路途中に設
けられており、ファクシミリ原稿や複写原稿の他各種原
稿の読取りを行なう。１８０８はイメージリーダ部１８
０７で読取った原稿データのファクシミリ送信や、送ら
れてきたファクシミリ信号を受信して復号するファクシ
ミリ（ＦＡＸ）の送受信部であり、外部とのインターフ
ェース機能を有する。１８０９は通常の電話機能や留守
番電話機能等の各種電話機能を有する電話部である。

【００９９】１８１０はシステムプログラムやマネージ
ャプログラムおよびその他のアプリケーションプログラ
ム等や文字フォントおよび辞書等を記憶するＲＯＭや、
外部記憶装置１８１２からロードされたアプリケーショ
ンプログラムや文書情報さらにはビデオＲＡＭ等を含む
メモリ部である。

【０１００】１８１１は文書情報や各種コマンド等を入
力するキーボード部である。

【０１０１】フロッピィディスクやハードディスク等を
記憶媒体とする外部記憶装置で、この外部記憶装置１８
１２には文書情報や音楽或は音声情報、ユーザのアプリ
ケーションプログラム等が格納される。

【０１０２】図２０は図１９に示す情報処理装置の模式
的外観図である。

【０１０３】図中、１９０１は液晶等を利用したフラッ
トパネルディスプレイで、各種メニューや図形情報およ
び文書情報等を表示する。このディスプレイ１９０１上
にはタッチパネル１８０３の表面を指等で押圧すること
により座標入力や項目指定入力を行なうことができる。
１９０２は装置が電話器として機能するときに使用され
るハンドセットである。キーボード１９０３は本体と脱
着可能にコードを介して接続されており、各種文書情報
や各種データ入力を行なうことができる。また、このキ
ーボード１９０３には各種機能キー１９０４等が設けら
れている。１９０５は外部記憶装置２１２へのフロッピ
ーディスクの挿入口である。

【０１０４】１９０６はイメージリーダ部１８０７で読
取られる原稿を戴置する用紙戴置部で、読取られた原稿
は装置後部より排出される。またファクシミリ受信等に
おいては、インクジェットプリンタ１９０７より記録さ
れる。

【０１０５】なお、上記でディスプレイ部１８０２はＣ
ＲＴでもよいが、強誘電性液晶を利用した液晶ディスプ
レイ等のフラットパネルが望ましい。小型、薄型化に加
え軽量化が図れるからである。

【０１０６】上記情報処理装置をパーソナルコンピュー
タやワードプロセッサとして機能する場合、キーボード
部２１１から入力された各種情報が制御部１８０１によ
り所定のプログラムに従って処理され、プリンタ部１８
０６に画像として出力される。

【０１０７】ファクシミリ装置の受信機として機能する
場合、通信回線を介してＦＡＸ送受信部１８０８から入
力したファクシミリ情報が制御部１８０１により所定の
プログラムに従って受信処理され、プリンタ部１８０６
に受信画像として出力される。

【０１０８】また、複写装置として機能する場合、イメ
ージリーダ部１８０７によって原稿を読取り、読取られ
た原稿データが制御部１８０１を介してプリンタ部１８
０６に複写画像として出力される。なお、ファクシミリ
装置の受信機として機能する場合、イメージリーダ部１
８０７によって読取られた原稿データは、制御部１８０
１により所定のプログラムに従って送信処理された後、
ＦＡＸ送受信部１８０８を介して通信回線に送信され
る。

【０１０９】なお、上述した情報処理装置は図２１に示
すようにインクジェットプリンタを本体に内蔵した一体
型としてもよく、この場合は、よりポータブル性を高め
ることが可能となる。同図において、図２０と同一機能
を有する部分には、対応する符号を付す。

【０１１０】以上説明した多機能型情報処理装置に本発
明の記録装置を適用することによって、高品位の記録画
像を高速かつ低騒音で得ることができるため、上記情報
処理装置の機能をさらに向上させることが可能となる。

【０１１１】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、インクとそのインク中の色材を不溶化する液
体とを被記録材の同一箇所に吐出する記録動作と、イン
クのみによる記録動作とによってテストパターンをプリ
ントすることができる。

【０１１２】テストパターンの所定記録画素において、
インクと液体とが重ねられ、一方、この所定記録画素を
含む所定記録画素以外にはインクが吐出されるので、所
定記録画素の濃度や色味の違いとともに、その周囲画素
とのにじみの具合によっても、インクまたは液体の吐出
不良を検出できる。

【０１１３】この結果、インクジェット記録装置におい
て、処理液による記録画像濃度や色層の変化、さらに異
色境界部でのにじみ防止効果を利用できるとともに、上
記処理液を吐出するインクジェットヘッドの不吐出吐出
口の検出を簡易的にできるようになったため、画像の耐
水性が良好で、しかも異色境界部でのにじみのない高画
質でしかも高信頼性のインクジェット記録装置が実現で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係る記録装置の要部を
示す概略正面図である。

【図２】図１に示す記録装置要部の概略側面図である。

【図３】図１，図２に示す記録装置における制御系の要
部を示すブロック図である。

【図４】本発明の第１実施形態によるテストプリントの
実施結果の一例を示す説明図である。

【図５】第１実施形態によるテストプリントの実施結果
の他の例を示す説明図である。

【図６】第１実施形態の変形例によるテストプリントの
実施結果を示す説明図である。

【図７】第１実施形態の他の変形例に係る記録装置の要
部を示す正面図である。

【図８】図７に示す記録装置要部の側面図である。

【図９】図７に示す記録装置におけるテストプリントの
実施結果の一例を示す説明図である。

【図１０】図７に示す記録装置におけるテストプリント
の実施結果の他の例を示す説明図である。

【図１１】第１実施形態のさらに他の変形例によるテス
トプリントの実施結果を示す説明図である。

【図１２】本発明の第２実施形態に係るインクジェット
記録装置を示す概略斜視図である。

【図１３】上記インクジェット記録装置で用いられるイ
ンクジェットカートリッジの斜視図である。

【図１４】上記第２実施形態に係るインクジェット記録
装置の制御構成を示すブロック図である。

【図１５】（ａ）〜（ｃ）は、本発明の一実施形態に係
るテストプリントのパターンを説明する説明図である。

【図１６】上記テストプリントのパターンを被記録材上
に記録した場合の模式図である。

【図１７】（ａ）〜（ｄ）は、第２実施形態の変形例に
係るテストプリントのパターンを説明する説明図であ
る。

【図１８】上記変形例のテストプリントのパターンを被
記録材上に記録した場合の模式図である。

【図１９】上記各実施例のインクジェットプリント装置
を用いることができる情報処理システムの一例を示すブ
ロック図である。

【図２０】上記システムの外観斜視図である。

【図２１】上記システムの他の例を示す外観図である。

【符号の説明】

２Ａ〜２Ｅ，１８６記録ヘッド３，１０２キャリッジ１１，Ｐ紙（被記録媒体）Ｐ１第１の直線Ｐ２第２の直線Ｐ３第３の直線Ｐ４第４の直線Ｐ５第５の直線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者名越重泰東京都大田区下丸子３丁目30番２号キヤノン株式会社内 (72)発明者吉野浩史東京都大田区下丸子３丁目30番２号キヤノン株式会社内 (72)発明者川口浩一郎東京都大田区下丸子３丁目30番２号キヤノン株式会社内 (56)参考文献特開平６−99576（ＪＰ，Ａ) 特開平３−246060（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41J 2/01 B41J 3/54

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】インクを吐出するためのインク吐出部お
よび該インク吐出部が吐出するインク中の色材を不溶化
または凝集させる物質を含む液体を吐出するための液体
吐出部を用い、被記録材に記録を行うインクジェット記
録装置において、前記液体吐出部からは前記液体を所定の記録画素にのみ
に吐出し、前記インク吐出部からは前記インクを少なく
とも前記所定の記録画素を含む記録画素に吐出して、前
記所定の記録画素において当該液体とインクを重ねるよ
うにしたテストパターンを記録する手段を具えたことを
特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項２】インクを吐出するためのインク吐出部お
よび該インク吐出部が吐出するインク中の色材を不溶化
または凝集させる物質を含む液体を吐出するための液体
吐出部を用い、被記録材に記録を行うインクジェット記
録装置において、前記インクを吐出するインク吐出部と前記液体を吐出す
る液体吐出部を用いて、前記液体吐出部からは前記液体
を所定の記録画素にのみに吐出し、前記インク吐出部か
らは前記インクを少なくとも前記所定の記録画素を含む
記録画素に吐出して、前記所定の記録画素において当該
液体とインクを重ねるようにして記録するテストパター
ンを記憶する記憶手段と、前記テストパターンを記録するための実行手段と、を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項３】前記テストパターンは少なくとも1色以
上の前記インクと前記液体で所定の画素にのみ記録し、
該所定画素の周辺の画素は少なくとも1色以上の前記イ
ンクを吐出して記録するテストパターンであることを特
徴とする請求項１に記載のインクジェット記録装置。
【請求項４】前記所定の画素の記録は前記液体を吐出
するためのインク吐出部の複数の吐出口にそれぞれ対応
した罫線パターンを形成するものであることを特徴とす
る請求項３に記載のインクジェット記録装置。
【請求項５】前記罫線パターンは階段状であることを
特徴とする請求項４に記載のインクジェット記録装置。
【請求項６】インクを吐出するためのインク吐出部お
よび該インク吐出部が吐出するインク中の色材を不溶化
または凝集させる物質を含む液体を吐出するための液体
吐出部を用い、被記録材に記録を行うインクジェット記
録装置において、前記液体吐出部からは前記液体を所定の記録画素にのみ
に吐出し、前記インク吐出部からは前記インクを少なく
とも前記所定の記録画素を含む記録画素に吐出して、前
記所定の記録画素において当該液体とインクを重ねるよ
うにしたテストパターンを記録する手段と、該手段により記録された前記テストパターンを検出する
検出手段と、を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項７】前記液体は少なくとも低分子成分と高分
子成分のカチオン性物質を含み、前記インクは少なくと
もアニオン性染料を含有していることを特徴とする請求
項１ないし６のいずれかに記載のインクジェット記録装
置。
【請求項８】前記液体は少なくとも低分子成分と高分
子成分のカチオン性物質を含み、前記インクは少なくと
もアニオン性化合物と顔料とが含有されていることを特
徴とする請求項１ないし７のいずれかに記載のインクジ
ェット記録装置。
【請求項９】前記実行手段は、前記インクを吐出する
ためのインク吐出部および前記液体を吐出するための液
体吐出部を用いた第１記録モードで前記所定の画素の記
録を行い、前記インクを吐出するためのインク吐出部を
用いた第２記録モードで前記所定の画素以外の画素の記
録を行うことを特徴とする請求項１または２に記載のイ
ンクジェット記録装置。
【請求項１０】前記インクを吐出するためのインク吐
出部および前記液体を吐出するための液体吐出部はそれ
ぞれ複数のインク吐出口および液体吐出口を有し、前記
実行手段は、前記インク吐出口と前記液体吐出口の所定
数ずつの組み合わせ毎における前記第１、第２の記録モ
ードによる第１の記録動作と、前記複数のインク吐出口
の前記第２の記録モードによる第２の記録動作とによっ
て、前記被記録材にテストパターンを記録することを特
徴とする請求項９に記載のインクジェット記録装置。
【請求項１１】前記実行手段は、前記第1の記録動作
時には、前記インクを吐出するためのインク吐出部およ
び前記液体を吐出するための液体吐出部と前記被記録材
とを相対移動させ、前記第２の記録動作時には、前記イ
ンク吐出部および前記液体吐出部と前記被記録材とを相
対移動させないことを特徴とする請求項１０に記載のイ
ンクジェット記録装置。
【請求項１２】前記実行手段は、前記第１、第２の記
録動作を交互に繰り返すことを特徴とする請求項１１に
記載のインクジェット記録装置。
【請求項１３】前記インク吐出部は、複数種のインク
を吐出可能であることを特徴とする請求項１２に記載の
インクジェット記録装置。
【請求項１４】前記液体は低分子成分と、高分子成分
のカチオン性物質を含み、前記インクはアニオン性染料
を含むことを特徴とする請求項１３に記載のインクジェ
ット記録装置。
【請求項１５】前記液体は低分子成分と、高分子成分
のカチオン性物質を含み、前記インクはアニオン性化合
物と顔料とが含有されていることを特徴とする請求項１
３に記載のインクジェット記録装置。
【請求項１６】前記所定の画素にのみ水分を付着させ
る手段をさらに有することを特徴とする請求項１または
２に記載のインクジェット記録装置。
【請求項１７】複数の色のインクをそれぞれ吐出する
ためのインク吐出部および該インク吐出部が吐出するイ
ンク中の色材を不溶化または凝集させる物質を含む液体
を吐出するための液体吐出部を用い、被記録材に記録を
行うインクジェット記録装置において、前記複数の色のインクのうち少なくとも２色のインクを
それぞれ吐出するインク吐出部と前記液体を吐出する液
体吐出部を用いて記録するテストパターンを記憶する記
憶手段と、前記テストパターンを記録するための実行手段と、を具え、前記テストパターンは前記少なくとも２色のイ
ンクのうち、前記液体が重ねられる少なくとも第１の色
のインクで記録される部分と、前記液体が重ねられない
第２の色のインクで記録される部分を有したパターンで
あることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項１８】前記インク吐出部および前記液体吐出
部は、それぞれインクおよび液体を吐出するために利用
される熱エネルギーを発生する熱エネルギー発生体を備
えることを特徴とする請求項１ないし１７のいずれかに
記載のインクジェット記録装置。
【請求項１９】請求項１または２に記載のインクジェ
ット記録装置を備えたことを特徴とするファクシミリ装
置。
【請求項２０】請求項１または２に記載のインクジェ
ット記録装置を備えたことを特徴とする複写装置。
【請求項２１】請求項１または２に記載のインクジェ
ット記録装置を備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項２２】請求項１または２に記載のインクジェ
ット記録装置を備えたことを特徴とするコンピュータ。
【請求項２３】インクを吐出するためのインク吐出部
および該インク吐出部が吐出するインク中の色材を不溶
化または凝集させる物質を含む液体を吐出するための液
体吐出部を用いて、記録を行うテストプリント方法にお
いて、前記液体吐出部からは前記液体を所定の記録画素にのみ
に吐出し、前記インク吐出部からは前記インクを少なく
とも前記所定の記録画素を含む記録画素に吐出して、前
記所定の記録画素において当該液体とインクを重ねるよ
うにしたテストパターンを記録する、ステップを具えたことを特徴とするテストプリント方
法。
【請求項２４】前記テストパターンは少なくとも1色
以上の前記インクと前記液体で所定の画素にのみ記録
し、該所定画素の周辺の画素は少なくとも1色以上の前
記インクを吐出して記録するテストパターンであること
を特徴とする請求項２３に記載のテストプリント方法。
【請求項２５】前記所定の画素記録は前記液体を吐出
するための液体吐出部の複数の吐出口にそれぞれ対応し
た罫線パターンを形成することを特徴とする請求項２４
に記載のテストプリント方法。
【請求項２６】前記罫線パターンは階段状であること
を特徴とする請求項２５に記載のテストプリント方法。
【請求項２７】前記テストパターンを記録するステッ
プは、前記インクを吐出するためのインク吐出部および
前記液体を吐出するための液体吐出部を用いた第1記録
モードで前記所定の画素の記録を行い、前記インクを吐
出するためのインク吐出部を用いた第２記録モードで前
記所定の画素以外の画素の記録を行うことを特徴とする
請求項２３に記載のテストプリント方法。
【請求項２８】前記インクを吐出するためのインク吐
出部および前記液体を吐出するための液体吐出部はそれ
ぞれ複数のインク吐出口および液体吐出口を有し、前記
テストパターンを記録するステップは、前記インク吐出
口と前記液体吐出口の所定数ずつの組み合わせ毎におけ
る前記第１、第２の記録モードによる第1の記録動作
と、前記複数のインク吐出口の前記第２の記録モードに
よる第２の記録動作とによって、前記被記録材にテスト
パターンを記録することを特徴とする請求項２７に記載
のテストプリント方法。
【請求項２９】前記テストパターンを記録するステッ
プは、前記第1の記録動作時には、前記インク吐出部お
よび前記液体吐出部と前記被記録材とを相対移動させ、
前記第2の記録動作時には、前記インク吐出部および前
記液体吐出部と前記被記録材とを相対移動させないこと
を特徴とする請求項２８に記載のテストプリント方法。
【請求項３０】前記テストパターンを記録するステッ
プは、前記第１、第２の記録動作を交互に繰り返すこと
を特徴とする請求項２９に記載のテストプリント方法。
【請求項３１】複数の色のインクをそれぞれ吐出する
ためのインク吐出部および該インク吐出部が吐出するイ
ンク中の色材を不溶化または凝集させる物質を含む液体
を吐出するための液体吐出部を用い、被記録材に記録を
行うインクジェット記録装置を用いて記録を行うテスト
プリント方法において、前記複数の色のインクのうち少なくとも２色のインクを
それぞれ吐出するインク吐出部と前記液体を吐出する液
体吐出部を用いて記録するテストパターンを記憶するス
テップと、前記テストパターンを記録するための実行ステップと、を有し、前記テストパターンは前記少なくとも２色のイ
ンクのうち、前記液体が重ねられる少なくとも第１の色
のインクで記録される部分と、前記液体が重ねられない
第２の色のインクで記録される部分を有したパターンで
あることを特徴とするテストプリント方法。