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JP2017222623A - 化合物および有機発光素子 - Google Patents

化合物および有機発光素子 Download PDF

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JP2017222623A JP2016120700A JP2016120700A JP2017222623A JP 2017222623 A JP2017222623 A JP 2017222623A JP 2016120700 A JP2016120700 A JP 2016120700A JP 2016120700 A JP2016120700 A JP 2016120700A JP 2017222623 A JP2017222623 A JP 2017222623A
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ユソク ヤン
Yu-Seok Yang
ユソク ヤン
誠 吉▲崎▼
Makoto Yoshizaki
誠 吉▲崎▼
洸子 野村
Hiroko Nomura
洸子 野村
圭朗 那須
Keiro NASU
圭朗 那須
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Abstract

【課題】有機発光素子に有用な化合物を見出すこと。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物。Arはフェニレン基、ビフェニレン基またはヘテロアリーレン基であり、R〜R10は水素原子または置換基であり、RとRの少なくとも一方は置換基であり、R〜Rの少なくとも1つはベンゾフラニル基またはベンゾチオフェニル基である。
Figure 2017222623

【選択図】なし

Description

本発明は、有機発光素子の材料として有用な化合物に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの有機発光素子の発光効率を高める研究が盛んに行われている。特に、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する電子輸送材料、正孔輸送材料、発光材料などを新たに開発して組み合わせることにより、発光効率を高める工夫が種々なされてきている。その中には、1,3,5−トリアジン構造を含む化合物を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子に関する研究も見受けられ、これまでにも幾つかの提案がなされてきている。
例えば、特許文献1には、下記の一般式で表される1,3,5−トリアジン構造を含む化合物を、2つの電極間ではなくて電極の外側に形成される層内に含有させることによって光効率を改善することが記載されている。下記の一般式において、Ar、ArおよびArはフェニレン基等であり、b、dおよびfは0〜3のいずれかの整数であり、R、RおよびRは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基など幅広い基の中から選択されることが規定されている。しかしながら、R、RおよびRとして、ジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基で置換されたカルバゾリル基は記載されていない。
Figure 2017222623
特開2010−45034号公報
このように1,3,5−トリアジン構造を含む化合物については、これまでにも幾つかの検討がなされている。しかしながら、1,3,5−トリアジン構造と、ジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基と、カルバゾリル基とを分子中に含む化合物については、具体的な検討がほとんどなされていない。特に、2,4,6−トリアリール−1,3,5−トリアジン構造と、ジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基で置換されたカルバゾリル基をともに含む化合物については、化合物例すらほとんど報告されていない。このため、これらの構造を組み合わせた化合物がどのような性質を示すのかを正確に予測することは極めて困難である。特に、発光材料としての有用性については、引用文献1において発光材料としての用途がまったく記載されていないことからも明らかなように、予測の根拠となりうる文献を見出すことすら困難である。
本発明者らはこれらの従来技術の課題を考慮して、1,3,5−トリアジン構造と、ジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基で置換されたカルバゾリル基をともに分子中に含む化合物を合成して、有機発光素子の材料としての有用性を評価することを目的として検討を進めた。また、有機発光素子の材料として有用な化合物の一般式を導きだし、発光効率が高い有機発光素子の構成を一般化することも目的として鋭意検討を進めた。
上記の目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、2,4,6−トリアリール−1,3,5−トリアジン構造と、ジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基で置換されたカルバゾリル基とをともに含む化合物を合成することに成功するとともに、これらの化合物が有機発光素子の材料として有用であることを初めて明らかにした。本発明者らは、この知見に基づいて、上記の課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物。
Figure 2017222623
[一般式(1)において、
Arは、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニルジイル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表す。
〜R10は、水素原子または置換基を表し、RとRの少なくとも一方は置換基である。また、R〜Rの少なくとも1つはジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基である。ただし、Rが水素原子であるとき、RとRが互いに結合して環構造を形成することはなく、Rがフェニル基であることもない。]
[2] RとRが、各々独立に、水素原子、または、ジベンゾフリル基およびジベンゾチエニル基以外の置換基である、[1]に記載の化合物。
[3] RとRの少なくとも一方が、置換もしくは無置換のアルキル基である、[1]または[2]に記載の化合物。
[4] RとRが、各々独立に置換基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物。
[5] 前記ジベンゾフラニル基が、1−ジベンゾフラニル基または4−ジベンゾフラニル基である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物。
[6] 前記ジベンゾチエニル基が、1−ジベンゾチエニル基または4−ジベンゾチエニル基である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物。
[7] RとR10が、各々独立に、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
[8] Arが、置換もしくは無置換の1,4−フェニレン基、置換もしくは無置換の1,3−フェニレン基、または置換もしくは無置換の1,2−フェニレン基である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の化合物。
[9] [1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物を含む発光材料。
[10] [1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物を含むアシストドーパント。
[11] [1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物を含む有機発光素子。
[12] 遅延蛍光を放射する[11]に記載の有機発光素子。
[13] 前記発光層にホスト材料を含む[11]または[12]に記載の有機発光素子。
[14] 前記発光層における一般式(1)で表される化合物の含有量が50重量%未満である[11]〜[13]のいずれか1項に記載の有機発光素子。
[15] 有機エレクトロルミネッセンス素子である、[11]〜[14]のいずれか1項に記載の有機発光素子。
本発明の化合物は、有機発光素子の材料として有用である。本発明の化合物は、なかでも有機発光素子の発光材料として有用な化合物を含む。そのような本発明の化合物を発光材料として用いた有機発光素子は、高い発光効率を実現しうる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本発明に用いられる化合物の分子内に存在する水素原子の同位体種は特に限定されず、例えば分子内の水素原子がすべてHであってもよいし、一部または全部がH(デューテリウムD)であってもよい。
[一般式(1)で表される化合物]
Figure 2017222623
一般式(1)において、Arは、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニルジイル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表す。R〜R10は、水素原子または置換基を表し、RとRの少なくとも一方は置換基である。また、R〜Rの少なくとも1つはジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基である。ただし、Rが水素原子であるとき、RとRが互いに結合して環構造を形成することはなく、Rがフェニル基であることもない。
一般式(1)のArは、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニルジイル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基のいずれであってもよいが、好ましくは、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニルジイル基であり、より好ましくは置換もしくは無置換のフェニレン基である。
フェニレン基は、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基のいずれであってもよいが、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基が好ましく、1,4−フェニレン基がより好ましい。
ビフェニルジイル基は、4,4’−ビフェニルジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、2,2’−ビフェニルジイル基、3,4’−ビフェニルジイル基、2,4’−ビフェニルジイル基、2,3’−ビフェニルジイル基のいずれであってもよいが、4,4’−ビフェニルジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,4’−ビフェニルジイル基が好ましく、4,4’−ビフェニルジイル基がより好ましい。
ヘテロアリーレン基を構成する複素芳香環は、5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。複素芳香環の環骨格を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子であることが好ましく、窒素原子または酸素原子であることがより好ましく、窒素原子であることがさらに好ましい。複素芳香環の環骨格を構成するヘテロ原子数は1〜3であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。複素芳香環の具体例として、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環を挙げることができ、なかでもピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環が好ましい。
Arが採りうるフェニレン基、ビフェニルジイル基、ヘテロアリーレン基は置換されていてもよい。置換基の具体例としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、チオアリールオキシ基、チオヘテロアリールオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ハロアルキル基、アミド基、アルキルアミド基、シリル基、トリアルキルシリルアルキル基、トリアルキルシリルアルケニル基、トリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のチオアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基、置換もしくは無置換のチオアリールオキシ基、置換もしくは無置換のチオヘテロアリールオキシ基、2級アミノ基、3級アミノ基、または置換もしくは無置換のシリル基である。さらに好ましい置換基は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。これらの置換基の炭素数は、置換もしくは無置換のアルキル基で1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5であり、置換もしくは無置換のアルコキシ基および置換もしくは無置換のチオアルコキシ基で1〜20、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基および置換もしくは無置換のチオアリールオキシ基で6〜40、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基および置換もしくは無置換のチオヘテロアリールオキシ基で3〜40、2級アミノ基および3級アミノ基で1〜20、アルキル基で置換されたシリル基で3〜20であることが好ましい。ここで、これらの炭素数は、各置換基がさらに置換基で置換されている場合(例えば、置換アルキル基等である場合)には、置換されている置換基の炭素数と、その置換基に置換している置換基の炭素数を含めた合計の炭素数のことを意味する。
一般式(1)のR〜R10は、水素原子または置換基を表す。置換基の具体例と好ましい範囲については、上記のArの説明における置換基の具体例と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(1)のRとRの少なくとも一方は置換基である。RとRは両方とも置換基であってもよく、その場合の置換基は同一であっても、異なっていてもよい。好ましいのは、同一である場合である。RとRが採りうる置換基の好ましい例としてアルキル基を挙げることができる。RとRをともにアルキル基としてもよい。ここでいうアルキル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれの構造であってもよいが、直鎖状または分枝状であることが好ましい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。
一般式(1)のR〜Rの少なくとも1つはジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基である。
ジベンゾフリル基は、フラン環にベンゼン環が2つ縮環した構造を有する基であり、カルバゾリル基の窒素原子が酸素原子に置換した構造を有する基である。ジベンゾフリル基は、1−ジベンゾフリル基、2−ジベンゾフリル基、3−ジベンゾフリル基、4−ジベンゾフリル基のいずれであってもよいが、1−ジベンゾフリル基、4−ジベンゾフリル基が好ましい。ジベンゾチエニル基は、チオフェン環にベンゼン環が2つ縮環した構造を有する基であり、カルバゾリル基の窒素原子が硫黄原子に置換した構造を有する基である。ジベンゾチエニル基は、1−ジベンゾチエニル基、2−ジベンゾチエニル基、3−ジベンゾチエニル基、4−ジベンゾチエニル基のいずれであってもよいが、1−ジベンゾチエニル基、4−ジベンゾチエニル基が好ましい。一般式(1)で表される化合物は、R〜Rのうちの1〜4つがジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基であることが好ましく、1つまたは2つがジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基であることがより好ましい。R〜Rの中では、R〜Rの少なくとも1つがジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基であって、RおよびRは水素原子か、ジベンゾフリル基およびジベンゾチエニル基以外の置換基であることが好ましい。また、R〜Rの中では、R〜RおよびR〜Rの少なくとも1つがジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基であって、RおよびRは水素原子か、ジベンゾフリル基およびジベンゾチエニル基以外の置換基とすることもできる。ジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基は、R、R、R、Rのいずれか1つ以上であることが好ましく、R、Rのいずれかまたは両方であることがより好ましい。分子内に2つ以上のジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基が存在しているとき、それらは同一であっても異なっていてもよい。異なっている場合は、ジベンゾフリル基の置換基が異なっている場合であっても、ジベンゾチエニル基の置換基が異なっている場合であっても、ジベンゾフリル基とジベンゾチエニル基を採用しているために異なっている場合であってもよい。好ましいのは、分子内に存在する2つ以上のジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基がすべて同一である場合である。ジベンゾフリル基とジベンゾチエニル基は、置換されていても、いなくてもよい。置換されている場合の置換基の具体例と好ましい範囲については、上記のArの説明における置換基の具体例と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(1)において、Rが水素原子であるとき、RとRが互いに結合して環構造を形成することはない。また、Rが水素原子であるとき、Rがフェニル基であることもない。
一般式(1)のRとR10は、水素原子または置換基である。好ましくは、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルキレン基であり、より好ましくは、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基であり、さらに好ましくは、置換もしくは無置換のアリール基である。アリール基を構成する芳香環は、単環であっても融合環であってもよく、具体例としてベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環を挙げることができる。アリール基の炭素数は6〜40であることが好ましく、6〜20であることがより好ましく、6〜10であることがより好ましい。ヘテロアリール基も、単環でも融合環でもよく、具体例としてピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基を挙げることができる。これらのヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して結合する基であっても、ヘテロアリール環を構成する炭素原子を介して結合する基であってもよい。RとR10が採りうるアリール基とヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。アリール基とヘテロアリール基に置換しうる置換基の説明と好ましい範囲については、上記のArの説明における置換基の具体例と好ましい範囲を参照することができる。また、一般式(1)のRとR10は、下記の一般式(2)で表される基であってもよい。
Figure 2017222623
一般式(2)における*は、一般式(1)のトリアジン環に結合する位置を表す。一般式(2)におけるAr、R〜Rの定義については一般式(1)のAr、R〜Rの定義を参照することができる。また、Ar、R〜Rの説明と好ましい範囲についても、一般式(1)のAr、R〜Rの説明と好ましい範囲を参照することができる。
一般式(1)におけるRとR10は、両方とも一般式(2)で表される基であってもよい。分子内に一般式(2)で表される基が2つ以上存在するとき、それらは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましいのは、すべてが同一である場合である。
以下において、一般式(2)で表される基の具体例(m−D1〜m−D14)を例示する。ここに例示する基は、一般式(1)のトリアジン環に結合する基の具体例でもある。ただし、本発明の化合物で採用することができる基は、これらの具体例によって限定的に解釈されることはない。下記式において、カルバゾール環の9位の窒素原子から出ている単結合は、一般式(1)または一般式(2)におけるArに結合する位置を表す。
Figure 2017222623
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げる。ただし、本発明で採用することができる一般式(1)で表される化合物は、以下の具体例により限定的に解釈されることはない。
Figure 2017222623
一般式(1)で表される化合物の分子量は、例えば一般式(1)で表される化合物を含む有機層を蒸着法により製膜して利用することを意図する場合には、1500以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、900以下であることがさらにより好ましい。分子量の下限値は、一般式(1)で表される最小化合物の分子量である。
一般式(1)で表される化合物は、分子量にかかわらず塗布法で成膜してもよい。塗布法を用いれば、分子量が比較的大きな化合物であっても成膜することが可能である。
本発明を応用して、分子内に一般式(1)で表される構造を複数個含む化合物を、発光材料として用いることも考えられる。
例えば、一般式(1)で表される構造中にあらかじめ重合性基を存在させておいて、その重合性基を重合させることによって得られる重合体を、発光材料として用いることが考えられる。具体的には、一般式(1)のAr、R〜R10のいずれかに重合性官能基を含むモノマーを用意して、これを単独で重合させるか、他のモノマーとともに共重合させることにより、繰り返し単位を有する重合体を得て、その重合体を発光材料として用いることが考えられる。あるいは、一般式(1)で表される構造を有する化合物どうしをカップリングさせることにより、二量体や三量体を得て、それらを発光材料として用いることも考えられる。
一般式(1)で表される構造を含む繰り返し単位を有する重合体の例として、下記一般式(11)または(12)で表される構造を含む重合体を挙げることができる。
Figure 2017222623
一般式(11)または(12)において、Qは一般式(1)で表される構造を含む基を表し、LおよびLは連結基を表す。連結基の炭素数は、好ましくは0〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは2〜10である。連結基は−X11−L11−で表される構造を有するものであることが好ましい。ここで、X11は酸素原子または硫黄原子を表し、酸素原子であることが好ましい。L11は連結基を表し、置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基であることが好ましく、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のフェニレン基であることがより好ましい。
一般式(11)または(12)において、R101、R102、R103およびR104は、各々独立に置換基を表す。好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基である。
およびLで表される連結基は、Qを構成する一般式(1)の構造のAr、R〜R10のいずれかに結合することができる。1つのQに対して連結基が2つ以上連結して架橋構造や網目構造を形成していてもよい。
繰り返し単位の具体的な構造例として、下記式(13)〜(16)で表される構造を挙げることができる。
Figure 2017222623
これらの式(13)〜(16)を含む繰り返し単位を有する重合体は、一般式(1)の構造のAr、R〜R10のいずれかにヒドロキシ基を導入しておき、それをリンカーとして下記化合物を反応させて重合性基を導入し、その重合性基を重合させることにより合成することができる。
Figure 2017222623
分子内に一般式(1)で表される構造を含む重合体は、一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位のみからなる重合体であってもよいし、それ以外の構造を有する繰り返し単位を含む重合体であってもよい。また、重合体の中に含まれる一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位は、単一種であってもよいし、2種以上であってもよい。一般式(1)で表される構造を有さない繰り返し単位としては、通常の共重合に用いられるモノマーから誘導されるものを挙げることができる。例えば、エチレン、スチレンなどのエチレン性不飽和結合を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を挙げることができる。
[一般式(1)で表される化合物の合成方法]
一般式(1)で表される化合物は、新規化合物である。
一般式(1)で表される化合物は、既知の反応を組み合わせることによって合成することができる。例えば、一般式(1)で表される化合物は、以下の反応により合成することが可能である。
Figure 2017222623
上記の反応式におけるAr、R〜R10の説明については、一般式(1)における対応する説明を参照することができる。Xは各々独立にハロゲン原子を表し、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、臭素原子が好ましい。
上記の反応は、公知のカップリング反応を応用したものであり、公知の反応条件を適宜選択して用いることができる。上記の反応の詳細については、後述の合成例を参考にすることができる。また、一般式(1)で表される化合物は、その他の公知の合成反応を組み合わせることによっても合成することができる。
[有機発光素子]
本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光材料として有用な化合物を含む。そのような本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光層に発光材料として効果的に用いることができる。また、本発明の一般式(1)で表される化合物は、ホストまたはアシストドーパントとして用いてもよい。ここで、本発明において「ホスト」とは、発光材料とともに発光層に含まれる有機化合物であって、発光層に含まれる有機化合物のうち最低励起一重項エネルギー準位が最も高い有機化合物のことをいう。また、「アシストドーパント」とは、少なくとも該アシストドーパントとホストと発光材料を含む発光層において、アシストドーパントを含まないこと以外は同じ組成の発光層よりも発光材料の発光効率が高くなるように作用する有機化合物のことをいう。
一般式(1)で表される化合物の中には、遅延蛍光を放射する遅延蛍光材料(遅延蛍光体)が含まれている。すなわち本発明は、一般式(1)で表される構造を有する遅延蛍光体の発明と、一般式(1)で表される化合物を遅延蛍光体として使用する発明と、一般式(1)で表される化合物を用いて遅延蛍光を発光させる方法の発明も提供する。そのような化合物を発光材料として用いた有機発光素子は、遅延蛍光を放射し、発光効率が高いという特徴を有する。その原理を、有機エレクトロルミネッセンス素子を例にとって説明すると以下のようになる。
有機エレクトロルミネッセンス素子においては、正負の両電極より発光材料にキャリアを注入し、励起状態の発光材料を生成し、発光させる。通常、キャリア注入型の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、生成した励起子のうち、励起一重項状態に励起されるのは25%であり、残り75%は励起三重項状態に励起される。従って、励起三重項状態からの発光であるリン光を利用するほうが、エネルギーの利用効率が高い。しかしながら、励起三重項状態は寿命が長いため、励起状態の飽和や励起三重項状態の励起子との相互作用によるエネルギーの失活が起こり、一般にリン光の量子収率が高くないことが多い。一方、遅延蛍光材料は、項間交差等により励起三重項状態へとエネルギーが遷移した後、三重項−三重項消滅あるいは熱エネルギーの吸収により、励起一重項状態に逆項間交差され蛍光を放射する。有機エレクトロルミネッセンス素子においては、なかでも熱エネルギーの吸収による熱活性化型の遅延蛍光材料が特に有用であると考えられる。有機エレクトロルミネッセンス素子に遅延蛍光材料を利用した場合、励起一重項状態の励起子は通常通り蛍光を放射する。一方、励起三重項状態の励起子は、デバイスが発する熱を吸収して励起一重項へ項間交差され蛍光を放射する。このとき、励起一重項からの発光であるため蛍光と同波長での発光でありながら、励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差により、生じる光の寿命(発光寿命)は通常の蛍光やりん光よりも長くなるため、これらよりも遅延した蛍光として観察される。これを遅延蛍光として定義できる。このような熱活性化型の励起子移動機構を用いれば、キャリア注入後に熱エネルギーの吸収を経ることにより、通常は25%しか生成しなかった励起一重項状態の化合物の比率を25%以上に引き上げることが可能となる。100℃未満の低い温度でも強い蛍光および遅延蛍光を発する化合物を用いれば、デバイスの熱で充分に励起三重項状態から励起一重項状態への項間交差が生じて遅延蛍光を放射するため、発光効率を飛躍的に向上させることができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物を発光層の発光材料として用いることにより、有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの優れた有機発光素子を提供することができる。有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に少なくとも発光層を形成した構造を有する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。なお、基板と発光層の説明は有機フォトルミネッセンス素子の基板と発光層にも該当する。
(基板)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
(陽極)
有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。発光材料としては、一般式(1)で表される本発明の化合物群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が本発明の発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、本発明の発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、本発明の発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。もっとも、一重項励起子および三重項励起子を十分に閉じ込めることができなくても、高い発光効率を得ることが可能な場合もあるため、高い発光効率を実現しうるホスト材料であれば特に制約なく本発明に用いることができる。本発明の有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる本発明の発光材料から生じる。この発光は蛍光発光および遅延蛍光発光の両方を含む。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
発光層における一般式(1)で表される化合物の含有量は、50重量%未満とすることが好ましい。さらに、一般式(1)で表される化合物の含有量の上限値は30重量%未満とすることが好ましく、また、含有量の上限値は例えば20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満とすることもできる。下限値は0.001重量%以上とすることが好ましく、例えば0.01重量%超、0.1重量%超、0.5重量%超、1重量%超とすることもできる。
発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
(注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
(阻止層)
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
(正孔阻止層)
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
(電子阻止層)
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
(励起子阻止層)
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際には、一般式(1)で表される化合物を1層の有機層(例えば、電子輸送層)に用いるだけでなく、複数の有機層にも用いてもよい。その際、各有機層に用いる一般式(1)で表される化合物は、互いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、電子輸送層や発光層の他に、上記の注入層、阻止層、正孔阻止層、電子阻止層、励起子阻止層、正孔輸送層などにも一般式(1)で表される化合物を用いてもよい。これらの層の製膜方法は特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示する。ただし、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。なお、以下の例示化合物の構造式におけるR、R’、R〜R10は、各々独立に水素原子または置換基を表す。Xは環骨格を形成する炭素原子または複素原子を表し、nは3〜5の整数を表し、Yは置換基を表し、mは0以上の整数を表す。
まず、発光層のホスト材料としても用いることができる好ましい化合物を挙げる。
Figure 2017222623
Figure 2017222623
Figure 2017222623
Figure 2017222623
Figure 2017222623
正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2017222623
次に、正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2017222623
Figure 2017222623
Figure 2017222623
Figure 2017222623
Figure 2017222623
Figure 2017222623
次に、電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2017222623
次に、正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2017222623
次に、電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2017222623
Figure 2017222623
Figure 2017222623
Figure 2017222623
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2017222623
さらに添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加すること等が考えられる。
Figure 2017222623
上述の方法により作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光および遅延蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。通常の蛍光は、遅延蛍光発光よりも蛍光寿命が短いため、発光寿命は蛍光と遅延蛍光で区別できる。
一方、りん光については、本発明の化合物のような通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定であり、熱失活の速度定数が大きく、発光の速度定数が小さいことから直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明によれば、発光層に一般式(1)で表される化合物を含有させることにより、発光効率が大きく改善された有機発光素子が得られる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。
以下に合成例および実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(合成例1)化合物1の合成
(1−1)中間体A−1の合成
Figure 2017222623
4−ブロモベンゾイルクロリド11g(50mmol)を300mL三つ口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した後、ジクロロメタン50mL、ベンゾニトリル11g(1.0×10mmol)を加えて、窒素気流下0℃で攪拌した。攪拌後、塩化アンチモン5.8mL(50mmol)を加え、0℃から徐々に室温に戻し、60℃で1時間攪拌した。攪拌後、この混合物を冷却した後、ジクロロメタン80mLを加えた。この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をジクロロメタンで洗浄し、黄色固体を収量15g得た。1L4つ口フラスコにアンモニア水600mLを入れ、0℃で攪拌した。この溶液へ、黄色固体を少量ずつ加えて攪拌したところ、固体の色が黄色から白色に変化した。この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体を水、メタノールの順に洗浄した。洗浄後、この固体をナスフラスコに移し、N,N−ジメチルホルムアミド200mLを加えて153℃で攪拌した。攪拌後、この混合物を吸引ろ過した。ろ物を再びナスフラスコに移し、N,N−ジメチルホルムアミド100mLを加えて153℃で攪拌した。攪拌後、この混合物を再度吸引ろ過した。得られたろ液とろ液からの析出固体をナスフラスコに入れ、減圧蒸留し、N,N−ジメチルホルムアミドを100mL程度まで減らした。この混合物へ水500mLを加えて攪拌し、ろ過した。得られた固体を水で洗浄した。この固体をメタノール500mLに加えて、超音波を照射した後、吸引ろ過したところ、目的物の白色粉末状固体(中間体A−1;2−ブロモフェニル−4,6−ジフェニルトリアジン)を収量16g、収率81%で得た。
(1−2)中間体D−1の合成
Figure 2017222623
真空乾燥、窒素置換した300mLの三口フラスコに、2−ブロモ−6−メチルアニリン14g(73mmol)、2−ヨードトルエン17g(80mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド12g(1.2×10mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.67g(0.73mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン0.81g(1.5mmol)を加えた。この混合物へ脱水トルエン160mLを加え、窒素雰囲気下で130℃、18時間還流した。撹拌後、室温に戻し、この混合物に酢酸エチルと水を加えて分液操作をし、有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、この混合物に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮した。濃縮混合物をヘキサン100%のシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。得られたフラクションを濃縮したところ、黄色の液体(中間体D−1;2−ブロモ−6−メチル−N−(オルト−トリル)アニリン)を収量15g、収率77%で得た。
(1−3)中間体D−2の合成
Figure 2017222623
真空乾燥、窒素置換した300mLの三口フラスコに、中間体D−1(2−ブロモ−6−メチル−N−(オルト−トリル)アニリン)15g(56mmol)、炭酸カリウム17g(1.2×10mmol)、酢酸パラジウム(II)0.63g(2.8mmol)、テトラフルオロホウ酸トリシクロヘキシルホスホニウム1.8g(4.9mmol)を加えた。この混合物へ脱水トルエン90mLと脱水N,N−ジメチルアセトアミド90mLを加えて窒素雰囲気下、145℃で還流した。撹拌後、この混合物を室温に戻し、この混合物にクロロホルムと水を加えて分液操作をし、有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、この混合物に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮した。濃縮混合物をヘキサン:クロロホルム =7:3を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。得られたフラクションを濃縮したところ、白色の固体(中間体D−2;1,8−ジメチル−9H−カルバゾール)を収量8.2g、収率75%で得た。
H NMR(500MHz,CDCl,δ):7.92(d,J=7.7Hz,2H),7.79(s,1H),7.23(d,J=6.5Hz,2H),7.16(t,J=7.5Hz,2H),2.60(s,6H)
(1−4)中間体D−3の合成
Figure 2017222623
300mLエーレンマイヤーフラスコへ中間体D−2(1,8−ジメチル−9H−カルバゾール)5.0g(26mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド80mLを加えて、大気下、0℃で20分撹拌した。この溶液へ、N−ブロモこはく酸イミド4.6g(26mmol)を少量ずつ加え、0℃から徐々に室温に戻しながら大気下で20時間撹拌した。撹拌後、この溶液に水400mLを加えて撹拌したところ、固体が析出した。この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体を溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒として酢酸エチル:ヘキサン=1:9の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して固体を回収したところ、中間体D−3(3−ブロモ−1,8−ジメチル−9H−カルバゾール)を収量5.7g、収率80%で得た。
H NMR(500MHz,CDCl,δ):8.02(s,1H),7.85(d,J=8.0Hz,1H),7.78(br,1H),7.34(s,1H),7.25(d,J=8.0Hz,1H),7.17(t,J=8.0Hz,1H),2.58(s,3H),2.57(s,3H).
(1−5)中間体D−4の合成
Figure 2017222623
中間体D−3(3−ブロモ−1,8−ジメチル−9H−カルバゾール)1.0g(3.7mmol),2−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン1.3g(4.4mmol)、酢酸パラジウム(II)22mg(0.098mmol)、トリ(オルト−トリル)ホスフィン0.15g(0.49mmol)を100mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へトルエン25mL、2mol/L 炭酸カリウム水溶液10mL、エタノール1mLを加えた。この混合物を30分間、窒素バブリングした後、窒素気流下、90℃で8時間攪拌した。攪拌後、この混合物を200mLビーカーに移し、トルエン70mL、水50mLを加え、撹拌した。撹拌後、有機層と水層を分離した。有機層をセライト、シリカゲルを通して吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒はクロロホルム:ヘキサン=1:1の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して乾燥したところ、目的物の白色粉末状固体(中間体D−4)を収量0.98g、収率74%で得た。
ASAP−MS 理論値361.1 実測値361.4
(1−6)化合物1の合成
Figure 2017222623
中間体A−1(2−ブロモフェニル−4,6−ジフェニルトリアジン)0.88g(2.3mmol)、中間体D−4を0.98g(2.7mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.52g(5.4mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.10g(0.11mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート0.16g(0.57mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、トルエン40mLを加えた。この混合物を攪拌し、シリンジ針を用いて、窒素バブリングした。この混合物を85℃で20時間攪拌した。攪拌後、この混合物に水2mLを加えたのち、クロロホルムを加えて加熱して溶解した。この混合物に水を加えて攪拌し、有機層と水層を分離した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物をセライト、シリカゲルを通して吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。展開溶媒はクロロホルムを用いて行った。得たフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒で再結晶したところ、目的の淡黄色粉末状固体(化合物1)を収量0.91g、収率60%で得た。
ASAP−MS 理論値668.3 実測値668.8
(合成例2)化合物2の合成
(2−1)中間体D−5の合成
Figure 2017222623
中間体D−3(3−ブロモ−1,8−ジメチル−9H−カルバゾール)1.2g(4.2mmol),2−(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン1.6g(5.0mmol)、酢酸パラジウム(II)25mg(0.11mmol)、トリ(オルト−トリル)ホスフィン0.16g(0.53mmol)を100mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へトルエン25mL、2mol/L 炭酸カリウム水溶液10mL、エタノール1mLを加えた。この混合物を30分間、窒素バブリングした後、窒素気流下、90℃で8時間攪拌した。攪拌後、この混合物を200mLビーカーに移し、トルエン70mL、水50mLを加え、撹拌した。撹拌後、有機層と水層を分離した。有機層をセライト、シリカゲルを通して吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒はクロロホルム:ヘキサン=1:1の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮して乾燥したところ、目的物の白色粉末状固体(中間体D−5)を収量1.3g、収率81%で得た。
ASAP−MS 理論値377.1 実測値377.7
(2−2)化合物2の合成
Figure 2017222623
中間体A−1(2−ブロモフェニル−4,6−ジフェニルトリアジン)1.1g(2.8mmol)、中間体D−5を1.3g(3.4mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.65g(6.8mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.13g(0.14mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート0.21g(0.71mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、トルエン40mLを加えた。この混合物を攪拌し、シリンジ針を用いて、窒素バブリングした。この混合物を85℃で20時間攪拌した。攪拌後、この混合物に水2mLを加えたのち、クロロホルムを加えて加熱して溶解した。この混合物に水を加えて攪拌し、有機層と水層を分離した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物をセライト、シリカゲルを通して吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒で再結晶したところ、目的の淡黄色粉末状固体(化合物2)を収量0.80g、収率41%で得た。
ASAP−MS 理論値684.2 実測値684.8
(合成例3)化合物3の合成
(3−1)中間体D−6の合成
Figure 2017222623
中間体D−3(3−ブロモ−1,8−ジメチル−9H−カルバゾール)1.2g(4.4mmol),2−(ジベンゾ[b,d]フラン−1−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン1.5g(5.2mmol)、酢酸パラジウム(II)30mg(0.13mmol)、トリ(オルト−トリル)ホスフィン0.16g(0.53mmol)を100mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へトルエン25mL、2mol/L 炭酸カリウム水溶液10mL、エタノール1mLを加えた。この混合物を30分間、窒素バブリングした後、窒素気流下、90℃で8時間攪拌した。攪拌後、この混合物を200mLビーカーに移し、トルエン100mL、水50mLを加え、撹拌した。撹拌後、有機層と水層を分離した。有機層をセライト、シリカゲルを通して吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒はクロロホルム:ヘキサン=1:1の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮し、乾燥したところ、目的物の白色粉末状固体(中間体D−6)を収量0.84g、収率53%で得た。
ASAP−MS 理論値361.1 実測値361.3
(3−2)化合物3の合成
Figure 2017222623
中間体A−1(2−ブロモフェニル−4,6−ジフェニルトリアジン)0.74g(1.9mmol)、中間体D−6を0.83g(2.3mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.44g(4.8mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.087g(0.095mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート0.14g(0.57mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、トルエン40mLを加えた。この混合物を攪拌し、シリンジ針を用いて、窒素バブリングした。この混合物を85℃で20時間攪拌した。攪拌後、この混合物に水2mLを加えたのち、クロロホルムを加えて加熱して溶解した。この混合物に水を加えて攪拌し、有機層と水層を分離した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物をセライト、シリカゲルを通して吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒で再結晶したところ、目的の淡黄色粉末状固体(化合物3)を収量0.62g、収率49%で得た。
ASAP−MS 理論値668.3 実測値668.5
(合成例4)化合物4の合成
(4−1)中間体D−7の合成
Figure 2017222623
II 中間体D−3(3−ブロモ−1,8−ジメチル−9H−カルバゾール)1.0g(3.8mmol),2−(ジベンゾ[b,d]チオフェン−1−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン1.4g(4.5mmol)、酢酸パラジウム(II)20mg(0.089mmol)、トリ(オルト−トリル)ホスフィン0.14g(0.46mmol)を100mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へトルエン25mL、2mol/L 炭酸カリウム水溶液10mL、エタノール1mLを加えた。この混合物を30分間、窒素バブリングした後、窒素気流下、90℃で8時間攪拌した。攪拌後、この混合物を200mLビーカーに移し、トルエン100mL、水50mLを加え、撹拌した。撹拌後、有機層と水層を分離した。有機層をセライト、シリカゲルを通して吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒はクロロホルム:ヘキサン=1:1の混合溶媒を用いた。得られたフラクションを濃縮し、乾燥したところ、目的物の白色粉末状固体(中間体D−7)を収量0.88g、収率62%で得た。
ASAP−MS 理論値377.1 実測値377.4
(4−2)化合物4の合成
Figure 2017222623
2−ブロモフェニル−4,6−ジフェニルトリアジン0.73g(1.9mmol)、化合物C0.85g(2.3mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.43g(4.5mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.086g(0.095mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート0.13g(0.47mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、トルエン40mLを加えた。この混合物を攪拌し、シリンジ針を用いて、窒素バブリングした。この混合物を85℃で20時間攪拌した。攪拌後、この混合物に水2mLを加えたのち、クロロホルムを加えて加熱して溶解した。この混合物に水を加えて攪拌し、有機層と水層を分離した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物をセライト、シリカゲルを通して吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒で再結晶したところ、目的の淡黄色粉末状固体を収量0.49g、収率38%で得た。
ASAP−MS 理論値684.2 実測値684.7
(実施例1〜4)化合物1〜4を用いた溶液と有機フォトルミネッセンス素子の作製と評価
Ar雰囲気のグローブボックス中で化合物1のトルエン溶液(濃度1×10−5mol/L)を調製した。
これとは別に、石英基板上に真空蒸着法にて、真空度2〜4×10−4Paの条件にて化合物1とDPEPOとを異なる蒸着源から蒸着し、化合物1の濃度が10重量%である薄膜を60nmの厚さで形成して有機フォトルミネッセンス素子とした。
化合物1のかわりに化合物2、化合物3または化合物4をそれぞれ用いて、上記と同様の方法によりトルエン溶液と有機フォトルミネッセンス素子を作製した。
化合物1〜4の各トルエン溶液に320nm励起光を照射すると発光が認められる。
化合物1〜4の各有機フォトルミネッセンス素子に320nm励起光を照射すると発光が認められる。
Figure 2017222623
本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子用の材料として有用である。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子用の発光材料やアシストドーパントとして利用可能である。このため、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2017222623
    [一般式(1)において、
    Arは、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニルジイル基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表す。
    〜R10は、水素原子または置換基を表し、RとRの少なくとも一方は置換基である。また、R〜Rの少なくとも1つはジベンゾフリル基またはジベンゾチエニル基である。ただし、Rが水素原子であるとき、RとRが互いに結合して環構造を形成することはなく、Rがフェニル基であることもない。]
  2. とRが、各々独立に、水素原子、または、ジベンゾフリル基およびジベンゾチエニル基以外の置換基である、請求項1に記載の化合物。
  3. とRの少なくとも一方が、置換もしくは無置換のアルキル基である、請求項1または2に記載の化合物。
  4. とRが、各々独立に置換基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 前記ジベンゾフラニル基が、1−ジベンゾフラニル基または4−ジベンゾフラニル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. 前記ジベンゾチエニル基が、1−ジベンゾチエニル基または4−ジベンゾチエニル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. とR10が、各々独立に、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. Arが、置換もしくは無置換の1,4−フェニレン基、置換もしくは無置換の1,3−フェニレン基、または置換もしくは無置換の1,2−フェニレン基である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含む発光材料。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含むアシストドーパント。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含む有機発光素子。
  12. 遅延蛍光を放射する請求項11に記載の有機発光素子。
  13. 前記発光層にホスト材料を含む請求項11または12に記載の有機発光素子。
  14. 前記発光層における一般式(1)で表される化合物の含有量が50重量%未満である請求項11〜13のいずれか1項に記載の有機発光素子。
  15. 有機エレクトロルミネッセンス素子である、請求項11〜14のいずれか1項に記載の有機発光素子。
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