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JP2014232211A - 液体現像剤およびその製造方法 - Google Patents

液体現像剤およびその製造方法 Download PDF

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JP2014232211A JP2013113023A JP2013113023A JP2014232211A JP 2014232211 A JP2014232211 A JP 2014232211A JP 2013113023 A JP2013113023 A JP 2013113023A JP 2013113023 A JP2013113023 A JP 2013113023A JP 2014232211 A JP2014232211 A JP 2014232211A
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和子 福本
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直樹 吉江
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翔 金
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昌明 岡
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Abstract

【課題】ブレード等を用いてトナー粒子を回収しても、時間の経過に係わらず、トナー粒子の凝集体の形成を低減すること。【解決手段】液体現像剤は、トナー粒子と絶縁性液体と塩基性分散剤とを含む。トナー粒子は、樹脂と着色剤とを含み、樹脂は、コア樹脂とシェル樹脂とを含む。塩基性分散剤は、炭素数8以上のアルキル基を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、液体現像剤およびその製造方法に関する。
所謂造粒法によって製造された液体現像剤は、小径でシャープな粒径分布を有するトナー粒子を得やすいことから、広く用いられている。また、溶融性の高いトナー粒子や結晶性の高いトナー粒子は、常温でも柔らかいため、粉砕法では得難く、造粒法が採用される一因となっている。
このような造粒法の中でも、良溶媒にコア樹脂を溶解し、この良溶媒とSP値の異なる貧溶媒に対しコア樹脂の良溶媒溶液を界面張力調整剤とともに混合してせん断を与え、貧溶媒中に良溶媒の液滴を形成し、その後良溶媒を揮発させてコア樹脂の微粒子を形成するという手法が知られている。この場合、界面張力調整剤としては、界面活性剤、分散剤等が用いられる。
さらに、この手法において、界面張力調整剤としてシェル樹脂の微粒子を用いると、シェル樹脂の微粒子がコア樹脂の微粒子の表面を覆うようになり、コア/シェル型のトナー粒子を得ることができる。このようなコア/シェル型のトナー粒子は、安定性に優れ、小径でシャープな粒径分布を有することから、たとえば電子写真用の現像剤として優れていると考えられる(特開2009−96994号公報(特許文献1)、特開2012−123217号公報(特許文献2))。
特開2009−96994号公報 特開2012−123217号公報
液体現像剤を用いた湿式現像システムは、現像ローラや感光体等において現像されずに残ったトナー粒子や転写されずに残ったトナー粒子をブレードを用いて回収している。その際、ある一定時間回収を続けると、回収されたトナー粒子が粘着性を帯び凝集し、凝集体を形成する場合がある。
このような凝集体の形成は、液体現像剤中でのトナー粒子同士の反発力が弱い場合に顕著になると考えられる。上記のようなコア/シェル型のトナー粒子は、異なったトナー粒子間のシェル樹脂の微粒子が互いに反発力を有するため、凝集体の形成を防止する有効な手段になり得ると期待された。しかしながら、シェル樹脂の増量により上記の凝集体の形成は多少改善されるものの、その改善には限度があり過剰に添加しても更なる改善をすることはできなかった。これは、恐らくコア樹脂の微粒子表面に存在するシェル樹脂微粒子の量には限界があるからではないかと考えられる。
一方、上記のシェル樹脂の微粒子に代えて各種の分散剤を用いることにより形成されたトナー粒子はおいても、凝集体の形成をある程度低減することができたが、コア/シェル型のトナー粒子に比べトナー粒子自体の粒径が大きくなる傾向を示すことから、これを防止するために分散剤の量を増加すると、定着性が悪化したり荷電性が悪化するという悪影響を示すことが判明した。
また一方、粉砕法によって得られたトナー粒子に分散剤を添加することにより得た液体現像剤は、ブレードによる回収の初期には凝集体の形成をある程度防止することが可能であったが、時間の経過に伴いその防止効果は顕著に低下した。これは、長時間の経過により分散剤がトナー粒子から離脱し、トナー粒子間の反発力が低下するためであると推定された。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ブレード等を用いてトナー粒子を回収しても、時間の経過に係わらず、トナー粒子の凝集体の形成を低減することができる液体現像剤を提供することにある。
本発明に係る液体現像剤は、トナー粒子と絶縁性液体と塩基性分散剤とを含む。トナー粒子は、樹脂と着色剤とを含み、樹脂は、コア樹脂とシェル樹脂とを含む。塩基性分散剤は、炭素数8以上のアルキル基を有する。
塩基性分散剤は、分子内にアミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、およびイミダゾリウム基のいずれかを含むことが好ましい。
トナー粒子100質量部に対し、塩基性分散剤を3質量部以内の量で含むことが好ましい。
本発明に係る液体現像剤の製造方法は、トナー粒子を作製する第1工程と、塩基性分散剤を前記トナー粒子に添加する第2工程とを含むことが好ましい。
本発明に係る液体現像剤では、ブレード等を用いてトナー粒子を回収しても、時間の経過に係わらず、トナー粒子の凝集体の形成を低減することができる。
塩基性分散剤の量とトナー粒子の凝集度合との関係を調べた結果を示すグラフである。 塩基性分散剤の量とトナー粒子の表面電位との関係を調べた結果を示すグラフである。 シェル樹脂の量とトナー粒子のメディアン径D50との関係を調べた結果を示すグラフである。 シェル樹脂の量とトナー粒子の表面電位との関係を調べた結果を示すグラフである。 シェル樹脂の量とトナー粒子の凝集度合との関係を調べた結果を示すグラフである。 塩基性分散剤の量とトナー粒子の表面電位との関係を調べた結果を示すグラフである。 現像初期における塩基性分散剤の量とトナー粒子の凝集度合との関係を調べた結果を示すグラフである。 耐久時(現像末期)における塩基性分散剤の量とトナー粒子の凝集度合との関係を調べた結果を示すグラフである。 本発明の液体現像剤の製造方法の一例を工程順に記したフロー図である。 電子写真方式の画像形成装置の概略概念図である。
以下、本発明に係わる実施の形態について、さらに詳細に説明する。なお、本発明の図面において、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
<液体現像剤>
本実施形態に係る液体現像剤は、複写機、プリンタ、デジタル印刷機もしくは簡易印刷機などの電子写真方式の画像形成装置(後述)において用いられる電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インクまたは電子ペーパー用インクとして有用であり、トナー粒子と絶縁性液体と塩基性分散剤とを含む。本実施形態に係る液体現像剤は、トナー粒子を10〜50質量%含み絶縁性液体を50〜90質量%含むことが好ましく、トナー粒子100質量部に対して塩基性分散剤を3質量部以下含むことが好ましい。本実施形態に係る液体現像剤は、より好ましくはトナー粒子を15〜45質量%含むことであり、さらに好ましくはトナー粒子を20〜40質量%含むことである。なお、本実施形態に係る液体現像剤はトナー粒子と絶縁性液体と塩基性分散剤とは異なる任意の成分を含んでいても良く、任意の成分はたとえば充填剤、帯電防止剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤、増粘剤または分散剤などであれば良い。
<トナー粒子>
本実施形態におけるトナー粒子は、樹脂と、着色剤とを含む。樹脂は、シェル樹脂と、シェル樹脂とは異なる樹脂からなるコア樹脂とを含む。本実施形態におけるトナー粒子はシェル樹脂とコア樹脂と着色剤とは異なる任意の成分を含んでいても良く、任意の成分はたとえばワックスまたは荷電制御剤などであれば良い。
本実施形態におけるトナー粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメディアン径D50(以下では「トナー粒子のメディアン径D50」と記す)は、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。この粒径は、従来用いられていた乾式現像剤に含まれるトナー粒子の粒径よりも小さく、本発明の特徴の一つである。トナー粒子のメディアン径D50が0.5μm未満であれば、電界でのトナー粒子の移動性の悪化を招くことがある。よって、現像性の低下を招くことがある。一方、トナー粒子のメディアン径D50が5.0μmを超えると、画像濃度の均一性の低下を招くことがある。トナー粒子のメディアン径D50は、たとえばフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製のFPIA−3000S)などを用いて計測可能である。この分析装置では、溶剤をそのまま分散媒体として使用することが可能であるので、この分析装置を用いれば、水系で測定する系よりも実際の分散状態に近い状態におけるトナー粒子の状態を計測することができる。
トナー粒子の平均円形度は、0.85以上0.96以上であることが好ましい。トナー粒子の円形度は、(トナー粒子の投影面積と等しい面積を有する円の周囲長)÷(検知されたトナー粒子の周囲長さ)で求まる値であり、トナー粒子のメディアン径D50の測定方法と同一の方法で求められる。
シェル樹脂を含むシェル粒子とコア樹脂を含むコア粒子との質量比(シェル粒子:コア粒子)は、1:99〜70:30であることが好ましく、トナー粒子の粒径の均一性および液体現像剤の耐熱安定性などの観点から2:98〜50:50であることがより好ましく、3:97〜35:65であることがさらに好ましい。別の言い方をすると、樹脂は、1〜70質量%(より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜35質量%)の膜状のシェルと、30〜99質量%(より好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは65〜90質量%)のコア粒子とで構成されることが好ましい。これにより、トナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル粒子が、コア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造(特開2009−96994号公報)を有することとなる。一方、シェル粒子の含有率(質量比)が低すぎると、トナー粒子の耐ブロッキング性が低下することがある。また、コア粒子の含有率(質量比)が高すぎると、トナー粒子の粒径均一性が低下することがある。
<シェル樹脂>
シェル樹脂は、熱可塑性樹脂であっても良いし、熱硬化性樹脂であっても良く、たとえば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂またはポリカーボネート樹脂などであることが好ましい。シェル樹脂としては、これらの二種以上を併用しても良い。液体現像剤の製造のしやすさという観点では、シェル樹脂として、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂の少なくとも1つを用いることが好ましく、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂の少なくとも1つを用いることがより好ましい。
ビニル樹脂は、重合性二重結合を有する単量体が単独重合されて得られた単独重合体であっても良いし、重合性二重結合を有する二種以上の単量体が共重合されて得られた共重合体であっても良い。重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、下記(1)〜(9)が挙げられる。
(1) 重合性二重結合を有する炭化水素
重合性二重結合を有する炭化水素は、たとえば、下記(1−1)で示す重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、または、下記(1−2)で示す重合性二重結合を有する芳香族炭化水素などであることが好ましい。
(1−1) 重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素は、たとえば、下記(1−1−1)で示す重合性二重結合を有する鎖状炭化水素、または、下記(1−1−2)で示す重合性二重結合を有する環状炭化水素などであることが好ましい。
(1−1−1) 重合性二重結合を有する鎖状炭化水素
重合性二重結合を有する鎖状炭化水素は、たとえば、炭素数が2〜30のアルケン(たとえば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンまたはオクタデセンなど);炭素数が4〜30のアルカジエン(たとえば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエンなど)などであることが好ましい。
(1−1−2) 重合性二重結合を有する環状炭化水素
重合性二重結合を有する環状炭化水素は、たとえば、炭素数が6〜30のモノまたはジシクロアルケン(たとえば、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセンまたはエチリデンビシクロヘプテンなど);炭素数が5〜30のモノまたはジシクロアルカジエン(たとえば、モノシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンなど)などであることが好ましい。
(1−2) 重合性二重結合を有する芳香族炭化水素
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素は、たとえば、スチレン;スチレンのハイドロカルビル(たとえば、炭素数が1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体(たとえば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンまたはトリビニルベンゼンなど);ビニルナフタレンなどであることが好ましい。
(2) カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、炭素数が3〜15の不飽和モノカルボン酸[たとえば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸または桂皮酸など];炭素数が3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[たとえば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸またはメサコン酸など];炭素数が3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1〜10)エステル(たとえば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステルまたはシトラコン酸モノデシルエステルなど)などであることが好ましい。本明細書では、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
上記単量体の塩は、たとえば、アルカリ金属塩(たとえば、ナトリウム塩またはカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(たとえば、カルシウム塩またはマグネシウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩、および、4級アンモニウム塩などであることが好ましい。
アミン塩は、アミン化合物であれば特に限定されず、たとえば、1級アミン塩(たとえば、エチルアミン塩、ブチルアミン塩またはオクチルアミン塩など);2級アミン塩(たとえば、ジエチルアミン塩またはジブチルアミン塩など);3級アミン塩(たとえば、トリエチルアミン塩またはトリブチルアミン塩など)などであることが好ましい。
4級アンモニウム塩は、たとえば、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩およびトリブチルラウリルアンモニウム塩などであることが好ましい。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩は、たとえば、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウムおよびアクリル酸アルミニウムなどであることが好ましい。
(3) スルホ基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩
スルホ基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、ビニルスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートまたは2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸などであることが好ましい。スルホ基と重合性二重結合を有する単量体の塩は、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体」において「上記単量体の塩」として列挙した塩であることが好ましい。
(4) ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体およびその塩
ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェートまたは2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸などであることが好ましい。ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体の塩は、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体」において「上記単量体の塩」として列挙した塩であることが好ましい。
(5) ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体
ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどであることが好ましい。
(6) 重合性二重結合を有する含窒素単量体
重合性二重結合を有する含窒素単量体としては、たとえば、下記(6−1)〜(6−4)で示す単量体が挙げられる。
(6−1) アミノ基と重合性二重結合を有する単量体
アミノ基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールまたはアミノメルカプトチアゾールなどであることが好ましい。アミノ基と重合性二重結合を有する単量体は、上記列挙した単量体の塩であっても良い。上記列挙した単量体の塩は、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体」において「上記単量体の塩」として列挙した塩であることが好ましい。
(6−2) アミド基と重合性二重結合を有する単量体
アミド基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニルピロリドンなどであることが好ましい。
(6−3) ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10の単量体
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10の単量体は、たとえば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンおよびシアノアクリレートなどであることが好ましい。
(6−4) ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12の単量体
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12の単量体は、たとえば、ニトロスチレンなどであることが好ましい。
(7) エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18の単量体
エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18の単量体は、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレートなどであることが好ましい。
(8) ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16の単量体
ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16の単量体は、たとえば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレンおよびクロロプレンなどであることが好ましい。
(9) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステル
重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステルは、たとえば、酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;酪酸ビニル;ジアリルフタレート;ジアリルアジペート;イソプロペニルアセテート;ビニルメタクリレート;メチル−4−ビニルベンゾエート;シクロヘキシルメタクリレート;ベンジルメタクリレート;フェニル(メタ)アクリレート;ビニルメトキシアセテート;ビニルベンゾエート;エチル−α−エトキシアクリレート;炭素数が1〜11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど];ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(たとえば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタンなど);ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[たとえば、ポリエチレングリコール(数平均分子量(以下では「Mn」と記す)=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(以下「エチレンオキサイド」を「EO」と略記する)10モル付加物(メタ)アクリレートまたはラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレートなど];ポリ(メタ)アクリレート類{たとえば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]}などであることが好ましい。
ビニル樹脂の具体例は、たとえば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体またはスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などであることが好ましい。
ビニル樹脂は、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体の単独重合体または共重合体であっても良いし、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体と分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有する単量体(m)とが重合されたものであっても良い。単量体(m)中の分子鎖(k)と絶縁性液体とのSP値の差は2以下であることが好ましい。本明細書では、「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された数値である。
分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有する単量体(m)は、特に限定されないが、たとえば、下記の単量体(m1)〜(m3)などであることが好ましい。単量体(m)は、単量体(m1)〜(m3)の2種以上を併用しても良い。
炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の直鎖状炭化水素鎖と重合性二重結合を有する単量体(m1)は、たとえば、不飽和モノカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどであることが好ましい。上記不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸は、たとえば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸およびシトラコン酸などの炭素数が3〜24のカルボキシル基含有ビニル単量体などであることが好ましい。単量体(m1)の具体例は、たとえば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルまたは(メタ)アクリル酸エイコシルなどであることが好ましい。
炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の分岐状炭化水素鎖と重合性二重結合を有する単量体(m2)は、たとえば、不飽和モノカルボン酸の分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルまたは不飽和ジカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどであることが好ましい。上記不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸は、たとえば、単量体(m1)において不飽和モノカルボン酸または不飽和ジカルボン酸の具体例として列挙したものと同様のものであることが好ましい。単量体(m2)の具体例は、たとえば、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなどであることが好ましい。
分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有する単量体(m)は、炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖と重合性二重結合を有する単量体(m3)であることが好ましい。
シェル樹脂の融点は、好ましくは0〜220℃であり、より好ましくは30〜200℃であり、さらに好ましくは40〜80℃である。トナー粒子の粒度分布、ならびに、液体現像剤の粉体流動性、耐熱保管安定性および耐ストレス性などの観点から、シェル樹脂の融点は液体現像剤を製造するときの温度以上であることが好ましい。シェル樹脂の融点が液体現像剤を製造するときの温度よりも低ければ、トナー粒子同士の合一を防止し難くなることがあり、トナー粒子の分裂を防止し難くなることがある。それだけでなく、トナー粒子の粒度分布における分布幅が狭くなり難いことがあり、別の言い方をすると、トナー粒子の粒径のバラツキが大きくなるおそれがある。本明細書では、融点は、DSC装置(セイコーインスツル株式会社製のDSC20)を用いてASTM D3418−82に規定の方法に準拠して測定したものである。
シェル樹脂のMnおよび質量平均分子量(以下では「Mw」と記す)は、100〜5000000であることが好ましく、200〜5000000であることがより好ましく、500〜500000であることがさらに好ましい。樹脂(ポリウレタン樹脂を除く)のMnは、GPC(Gel Permeation Chromatography)を用い、テトラヒドロフラン(THF)への可溶分に対し、以下の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー株式会社製の「HLC−8120」
カラム:東ソー株式会社製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー(株)製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへの試料溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー株式会社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
ポリウレタン樹脂のMnおよびMwは、GPCを用いて以下の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー(株)製の「HLC−8220GPC」
カラム:「Guardcоlumn α」(1本)と「TSKgel α―M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製の標準ポリスチレン(TSK standard PОLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
シェル樹脂のSP値は7〜18(cal/cm31/2であることが好ましく、8〜14(cal/cm31/2であることがより好ましい。
シェル樹脂を含むシェル粒子は、たとえば、下記[1]〜[7]のいずれかに示す方法で製造することができる。シェル粒子の製造のしやすさの観点から、下記[4]、[6]または[7]に示す方法で製造することが好ましく、より好ましくは下記[6]または[7]に示す方法で製造することである。
[1]:ジェットミルなどの公知の乾式粉砕機を用いてシェル樹脂を乾式で粉砕させる。
[2]:シェル樹脂の粉末を有機溶剤中に分散させ、ビーズミルまたはロールミルなどの公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕させる。
[3]:スプレードライヤーなどを用いてシェル樹脂の溶液を噴霧し、乾燥させる。
[4]:シェル樹脂の溶液に対して貧溶媒の添加または冷却を行なって、シェル樹脂を過飽和させて析出させる。
[5]:シェル樹脂の溶液を水または有機溶剤中に分散させる。
[6]:シェル樹脂の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法または懸濁重合法などにより重合させる。
[7]:シェル樹脂の前駆体を有機溶剤中で分散重合などにより重合させる。
シェル粒子の体積平均粒径は、所望の粒径のトナー粒子を得るのに適した粒径になるように適宜調整することができる。シェル粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.0005〜3μmである。シェル粒子の体積平均粒径の上限は、より好ましくは2μmであり、さらに好ましくは1μmである。シェル粒子の体積平均粒径の下限は、より好ましくは0.01μmであり、さらに好ましくは0.02μmであり、最も好ましくは0.04μmである。たとえば体積平均粒径が1μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.0005〜0.3μmであり、より好ましくは0.001〜0.2μmである。たとえば体積平均粒径が10μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.005〜3μmであり、より好ましくは0.05〜2μmである。
シェル粒子の体積平均粒径は、レーザ式粒度分布測定装置(たとえば株式会社堀場製作所製の「LA−920」もしくはベックマンコールター社製の「マルチサイザーIII」または光学系としてレーザードップラー法を用いる「ELS−800」(大塚電子(株)製)などを用いて測定可能である。異なる測定装置でシェル粒子の体積平均粒径を測定したときにその測定値に差が生じた場合には、「ELS−800」での測定値を採用する。
<コア樹脂>
コア樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂などであることが好ましい。コア樹脂としては、これらの二種以上を併用しても良いが、シャープメルト性の高いポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂は、たとえば、ポリオールと、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の酸無水物またはポリカルボン酸の低級アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4)エステルとの重縮合物であることが好ましい。重縮合反応には、公知の重縮合触媒などが使用できる。ポリオールとポリカルボン酸との比率は、特に限定されない。水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が好ましくは2/1〜1/5となるように、より好ましくは1.5/1〜1/4となるように、さらに好ましくは1.3/1〜1/3となるように、ポリオールとポリカルボン酸などとの比率を設定すれば良い。
ポリオールは、たとえば、ジオール、または、3〜8価もしくはそれ以上の価数を有するポリオールなどであることが好ましい。
ジオールは、たとえば、炭素数が2〜30のアルキレングリコール(たとえば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコールまたは2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);Mn=106〜10000のアルキレンエーテルグリコール(たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数が6〜24の脂環式ジオール(たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノールまたは水素添加ビスフェノールAなど);Mn=100〜10000の上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下「アルキレンオキサイド」を「AO」と略記する)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノールEO10モル付加物など);炭素数が15〜30のビスフェノール類(たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールFもしくはビスフェノールSなど)AO[たとえば、EO、プロピレンオキサイド(以下「PO」と略記する)もしくはブチレンオキサイドなど]付加物(付加モル数が2〜100)または炭素数が12〜24のポリフェノール(たとえばカテコール、ハイドロキノンもしくはレゾルシンなど)の上記AO付加物(たとえば、ビスフェノールAのEO2〜4モル付加物またはビスフェノールAのPO2〜4モル付加物など);重量平均分子量(以下「Mw」と略記する)=100〜5000のポリラクトンジオール(たとえばポリ−ε−カプロラクトンジオールなど);Mw=1000〜20000のポリブタジエンジオールなどであることが好ましい。これらの中でも、ジオールとしては、アルキレングリコールまたはビスフェノール類のAO付加物が好適であり、ビスフェノール類のAO付加物単体またはビスフェノール類のAO付加物とアルキレングリコールとの混合物がより好適である。
3〜8価またはそれ以上の価数を有するポリオールは、たとえば、3〜8価またはそれ以上の価数を有し且つ炭素数が3〜10の脂肪族多価アルコール(たとえばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンまたはソルビトールなど);炭素数が25〜50のトリスフェノールのAO(炭素数が2〜4)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば、トリスフェノールEO2〜4モル付加物またはトリスフェノールポリアミドPO2〜4モル付加物など);n=3〜50のノボラック樹脂(たとえばフェノールノボラックまたはクレゾールノボラックなど)のAO(炭素数が2〜4)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば、フェノールノボラックPO2モル付加物またはフェノールノボラックEO4モル付加物など);炭素数が6〜30のポリフェノール(たとえばピロガロール、フロログルシノールまたは1,2,4−ベンゼントリオールなど)のAO(炭素数が2〜4)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば、ピロガロールEO4モル付加物など);n=20〜2000のアクリルポリオール{たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他の重合性二重結合を有する単量体[たとえば、スチレン、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルなど]との共重合物など}などであることが好ましい。これらの中でも、ポリオールとしては、脂肪族多価アルコールまたはノボラック樹脂のAO付加物が好適であり、ノボラック樹脂のAO付加物がより好適である。
ポリカルボン酸は、たとえば、ジカルボン酸、または、3〜6価もしくはそれ以上の価数を有するポリカルボン酸であることが好ましい。
ジカルボン酸は、たとえば、炭素数が4〜32のアルカンジカルボン酸(たとえば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸またはオクタデカンジカルボン酸など);炭素数が4〜32のアルケンジカルボン酸(たとえばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸またはメサコン酸など);炭素数が8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[たとえば、ダイマー酸、または、アルケニルコハク酸(たとえば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸もしくはオクタデセニルコハク酸など)など];炭素数が12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[たとえば、アルキルコハク酸(たとえば、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸またはオクタデシルコハク酸など)など];炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸(たとえば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸など)などであることが好ましい。これらの中でも、ジカルボン酸としては、アルケンジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸が好適であり、芳香族ジカルボン酸がより好適である。
3〜6価もしくはそれ以上の価数を有するポリカルボン酸は、たとえば、炭素数が9〜20の芳香族ポリカルボン酸(たとえばトリメリット酸またはピロメリット酸など)などであることが好ましい。
ポリカルボン酸の酸無水物は、ジカルボン酸の酸無水物であっても良いし、3〜6価もしくはそれ以上の価数を有するポリカルボン酸の酸無水物であっても良く、たとえばトリメリット酸無水物またはピロメリット酸無水物などであることが好ましい。
ポリカルボン酸の低級アルキルエステルは、ジカルボン酸の低級アルキルエステルであっても良いし、3〜6価もしくはそれ以上の価数を有するポリカルボン酸の低級アルキルエステルであっても良く、たとえばメチルエステル、エチルエステルまたはイソプロピルエステルなどであることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、結晶性を有することが好ましい。ポリエステル樹脂を構成するモノマーを適宜選択することにより、ポリエステル樹脂が結晶性を発現するようになる。ポリエステル樹脂を構成するモノマーは、脂肪族モノマーであることが好ましく、炭素数が4以上の直鎖状のアルキル骨格を有することがより好ましく、脂肪族ジオールであることがさらに好ましく、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸の酸無水物または脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルであることがさらに好ましい。これにより、ポリエステル樹脂が直鎖状となり易くなるため、ポリエステル樹脂が結晶性を発現しやすくなる。なお、ポリエステル樹脂が結晶性を発現するのであれば、ポリエステル樹脂を構成するモノマーが芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールを含んでいても良い。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、または1,10−デカンジオールなどを好適に用いることができる。これらの2種以上を混合して用いることもできる。
脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数が4〜20のアルカンジカルボン酸または炭素数が4〜36のアルカンジカルボン酸などを好適に用いることができ、たとえば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸またはフマル酸などをより好適に用いることができる。これらの2種以上を混合して用いることもできる。脂肪族ジカルボン酸の酸無水物としては、たとえば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸またはフマル酸などの酸無水物を好適に用いることができる。これらの2種以上を混合して用いることもできる。脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、たとえば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸またはフマル酸などの低級アルキルエステルを好適に用いることができる。これらの2種以上を混合して用いることもできる。
ポリエステル樹脂のウレタン変性化に用いる化合物は、イソシアネート基を含む化合物であることが好ましく、1分子内に2つ以上のイソシアネート基を含むことがより好ましく、鎖状脂肪族ポリイソシアネートであっても良いし、環状脂肪族ポリイソシアネートであっても良い。鎖状脂肪族ポリイソシアネートは、たとえば、エチレンジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と略記する);ドデカメチレンジイソシアネート;1,6,11−ウンデカントリイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;リジンジイソシアネート;2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート;ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート;ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート;これら2種以上の併用などであることが好ましい。また、環状脂肪族ポリイソシアネートは、たとえば、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と略記する);ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI);シクロヘキシレンジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI);ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート;2,5−または2,6−ノルボルナンジイソシアネート;これら2種以上の併用などであることが好ましい。
コア樹脂は、ポリエステル樹脂に由来する成分がイソシアネート基を含む化合物により鎖長されてなるウレタン変性ポリエステル樹脂を含んでいても良い。これにより、トナー粒子の定着性を高めることができる。また、高温オフセットまたはドキュメントオフセットなどが発生しにくい液体現像剤を提供することができる。ここで、ポリエステル樹脂に由来する成分とは、ウレタン変性ポリエステル樹脂からイソシアネート基に由来する部分を除いた部分を意味する。
ポリエステル樹脂のウレタン変性化に用いる化合物は、1分子内に2つ以上のイソシアネート基を含むことが好ましく、鎖状脂肪族ポリイソシアネートであっても良いし、環状脂肪族ポリイソシアネートであっても良い。鎖状脂肪族ポリイソシアネートは、たとえば、エチレンジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と略記する);ドデカメチレンジイソシアネート;1,6,11−ウンデカントリイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;リジンジイソシアネート;2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート;ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート;ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート;これら2種以上の併用などであることが好ましい。環状脂肪族ポリイソシアネートは、たとえば、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と略記する);ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI);シクロヘキシレンジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI);ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート;2,5−または2,6−ノルボルナンジイソシアネート;これら2種以上の併用などであることが好ましい。
コア樹脂のMnは、1000以上50000以下であることが好ましい。コア樹脂のMnが1000未満であれば、樹脂が柔らかすぎるので、高温オフセットの発生を招くことがある。一方、コア樹脂のMnが50000を超えると、定着時にトナー粒子が溶融し難くなるので、定着強度の低下を招くことがある。
液体現像剤の用途に応じて、コア樹脂のMn、融点、TgおよびSP値を適宜調整することが好ましい。コア樹脂のMnは、1000以上50000以下であることが好ましい。たとえば本実施の形態にかかる液体現像剤を電子写真、静電記録または静電印刷などに使用される液体現像剤として用いる場合には、コア樹脂の数平均分子量は10000〜50000であることが好ましく、コア樹脂の融点は30〜80℃であることが好ましく、コア樹脂のTgは40℃以上であることが好ましく80℃以下であることがより好ましい。コア樹脂のTgが80℃以下であれば、低温での定着が可能となる。
樹脂のTgは、DSC法により測定することもできるし、フローテスターを用いて測定することもできる。本明細書では、樹脂(シェル樹脂を含む)のTgは、DSC装置(セイコーインスツル株式会社製のDSC20)を用いてASTM D3418−82に規定の方法に準拠して測定したものである。
本明細書では、結晶性とは、樹脂の軟化点(以下「Tm」と略記する)と樹脂の融解熱の最大ピーク温度(以下「Ta」と略記する)との比(Tm/Ta)が0.8以上1.55以下であることを意味し、DSC(Differential scanning calorimetry)法により得られた熱量変化の結果が階段状の吸熱量変化を示すのではなく明確な吸熱ピークを有することを意味する。なお、TmとTaとの比(Tm/Ta)が1.55より大きければ、その樹脂は結晶性に優れないと言え、その樹脂は非結晶性を有するとも言える。
高化式フローテスター(たとえば株式会社島津製作所製のCFT−500D)を用いて、Tmを測定することができる。具体的には、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより上記試料に1.96MPaの荷重を与え、直径1mmおよび長さ1mmのノズルから上記試料を押し出す。そして、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」との関係をグラフに描く。プランジャーの降下量が当該降下量の最大値の1/2であるときの温度をグラフから読み取り、その値(測定試料の半分がノズルから押し出されたときの温度)をTmとする。
示差走査熱量計(たとえばセイコーインスツル株式会社製の「DSC210」)を用いてTaを測定することができる。具体的には、まず、試料に対して前処理を行なう。具体的には、試料を、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温させ、その後、70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温させる。その後、DSC法により、試料を昇温速度20℃/分で昇温させて当該試料の吸発熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。このとき、20〜100℃に観測される吸熱ピークの温度をTa’とする。吸熱ピークが複数ある場合には最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’とする。そして、試料を、(Ta’−10)℃で6時間保管した後、(Ta’−15)℃で6時間保管する。
試料に対する前処理が終了したら、DSC法により、上記前処理が施された試料を降温速度10℃/分で0℃まで冷却してから昇温速度20℃/分で昇温させる。このようにして測定された吸発熱変化から、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。そして、吸熱量が最大値をとったときの温度を融解熱の最大ピーク温度(Ta)とする。
コア樹脂がウレタン変性ポリエステル樹脂を含んでいる場合、コア樹脂におけるウレタン基濃度は(コア樹脂に含まれるウレタン基の質量)/(当該コア樹脂の質量)×100で定義され、GCMS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を用いて測定可能である。本明細書では、コア樹脂におけるウレタン基濃度は、以下に示す条件でコア樹脂を熱分解させてから、GCMSを用いて以下に示す条件で測定された値である。具体的には、熱分解されたコア樹脂から検出されたイオン強度の比率を用いて、コア樹脂におけるウレタン基濃度を算出する。
(コア樹脂の熱分解の条件)
装置:フロンティア・ラボ株式会社製のPY−2020iD
試料の質量:0.1mg
加熱温度:550℃
加熱時間:0.5分。
(コア樹脂におけるウレタン基濃度の測定条件)
装置:株式会社島津製作所製のGCMS−QP2010
カラム:フロンティア・ラボ株式会社製のUltraALLOY−5(内径:0.25mm,長さ:30m,厚さ:0.25μm)
昇温条件:昇温範囲:100℃〜320℃(320℃で保持)
昇温速度:20℃/分。
<着色剤>
本実施形態における着色剤は、トナー粒子に含まれる樹脂に分散されていることが好ましく、その粒径が0.3μm以下であることが好ましい。着色剤の粒径が0.3μmを超えると、着色剤の分散の悪化を招き、光沢度の低下を引き起こす。その結果、所望の色合いの実現が困難となることがある。
着色剤としては、公知の顔料などを特に限定されることなく使用可能であるが、コスト、耐光性および着色性などの観点から以下に示す顔料を使用することが好ましい。なお、色彩構成上、以下に示す顔料は、通常、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料およびシアン顔料に分類され、ブラック以外の色彩(カラー画像)は基本的にイエロー顔料、マゼンタ顔料およびシアン顔料の減法混色により調色される。
ブラック顔料は、たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックまたはランプブラックなどのカーボンブラックであっても良いし、バイオマス由来のカーボンブラックであっても良いし、マグネタイトまたはフェライトなどの磁性粉であっても良い。紫黒色染料であるアジン系化合物ニグロシンを単独または併用して用いることもできる。ニグロシンとしては、C.I.ソルベントブラック7またはC.I.ソルベントブラック5などからなる群から選ばれた1種または2種の材料を用いることができる。
マゼンタ顔料またはレッド顔料は、たとえば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178またはC.I.ピグメントレッド222などであることが好ましい。
オレンジ顔料またはイエロー顔料は、たとえば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180またはC.I.ピグメントイエロー185などであることが好ましい。
グリーン顔料またはシアン顔料は、たとえば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66またはC.I.ピグメントグリーン7などであることが好ましい。
着色剤の添加量は、液体現像剤の全固形分に対して、10質量%以上50質量%未満であることが好ましく、13質量%以上35質量%未満であることがより好ましい。液体現像剤の全固形分に対する着色剤の添加量が10質量%未満であれば、十分な着色力が得られないことがある。それだけでなく、着色剤の添加による樹脂の液状化防止を図ることができない場合がある。詳細には、トナー粒子に含まれる樹脂の結晶化度が高くなると、その樹脂は低い温度で溶融するので液状化されやすくなる。しかし、適量の着色剤を添加すると、フィラー効果によって液状化が防止される。一方、液体現像剤の全固形分に対する着色剤の添加量が50質量%を超えると、上記フィラー効果が大きくなり過ぎて、樹脂の溶融が困難となることがある。なお、本実施形態に係る液体現像剤は、上記着色剤のうちの1種のみを含んでいても良いし、上記着色剤のうちの2種以上を含んでいても良い。
<顔料分散剤>
顔料分散剤は、顔料をトナー粒子中に均一に分散させる作用を有するものであり、たとえば塩基性を有することが好ましい。顔料分散剤が塩基性を有するか否かは、以下に示す方法にしたがって調べることができる。顔料分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、それをペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られたろ液のpHをpHメータ(株式会社堀場製作所のD−51)を用いて測定する。測定されたpHが7より大きい場合、その顔料分散剤は塩基性を有する。一方、測定されたpHが7より小さい場合、その顔料分散剤は酸性を有する。
顔料分散剤が塩基性を有する場合、その顔料分散剤は、分子内に、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基またはウレタン基等の官能基を有することが好ましい。なお、分散剤とは、通常、分子中に親水性の部分と疎水性の部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当するが、上記の通り顔料を分散させる作用を有する限り種々の化合物を用いることができる。
このような顔料分散剤の市販品は、たとえば味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)または「アジスパーPB−881」(商品名)であることが好ましく、日本ルーブリゾール株式会社製の「ソルスパース28000」(商品名)、「ソルスパース32000」(商品名)、「ソルスパース32500」(商品名)、「ソルスパース35100」(商品名)または「ソルスパース37500」(商品名)であることが好ましい。
また、顔料分散剤は、絶縁性液体に溶解しないものであることがより好ましく、たとえば味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)または「アジスパーPB−881」(商品名)であることがより好ましい。このような顔料分散剤を使用すると、理由はわからないが、所望の形状を有するトナー粒子が得られ易い。
このような顔料分散剤は、顔料に対して、1〜100質量%添加されることが好ましく、1〜40質量%添加されることがより好ましい。顔料分散剤の添加量が1質量%未満であれば、顔料の分散性が不十分となる場合がある。そのため、必要なID(画像濃度)が達成できないことがある。また、トナー粒子の定着性の低下を招くことがある。一方、顔料分散剤の添加量が100質量%を超えると、顔料を分散させるために必要な顔料分散剤の量よりも多い量の顔料分散剤が添加されることになる。そのため、余剰の顔料分散剤が絶縁性液体中へ溶解する場合があり、トナー粒子の荷電性または定着性などに悪影響を及ぼす場合がある。このような顔料分散剤は、1種単独で使用されても良いし、2種以上が混合されて使用されても良い。
<絶縁性液体>
絶縁性液体は、その抵抗値が静電潜像を乱さない程度の抵抗値(1011〜1016Ω・cm程度)であることが好ましく、さらには臭気および毒性が低い溶媒であることが好ましい。このような観点から、絶縁性液体は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素またはポリシロキサンなどであることが好ましい。特に、臭気および毒性の低さとコストの低廉化との観点から、絶縁性液体は、ノルマルパラフィン系溶媒またはイソパラフィン系溶媒であることが好ましく、たとえば、モレスコホワイト(株式会社MORESCO製)、アイソパーM(エクソンモービル株式会社製)、シェルゾール(昭和シェル石油株式会社製)、IPソルベント1620(出光興産株式会社製)、IPソルベント2028(出光興産株式会社製)またはIPソルベント2835(出光興産株式会社製)であることが好ましい。これら2種以上を混合して用いても良い。
<塩基性分散剤>
塩基性分散剤は、上記の顔料分散剤とは異なり、主としてトナー粒子を絶縁性液体中に分散させる作用を示す。このため、上記の顔料分散剤が主としてトナー粒子中に含まれるのに対し、塩基性分散剤は、主として絶縁性液体中にトナー粒子とともに存在する。ここで、塩基性分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、それをペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られたろ液のpHをpHメータ(株式会社堀場製作所のD−51)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする。このような塩基性分散剤は、塩基性を有する官能基を有し、炭素数が8以上のアルキル基を有する。塩基性を有する官能基は、トナー粒子(たとえばコア樹脂)との親和性を有し、トナー粒子(たとえばコア樹脂)に吸着され易い。一方、炭素数が8以上のアルキル基は、絶縁性液体との親和性を有する。このように、塩基性分散剤は、その分子内に、トナー粒子に親和性を有する部分と、絶縁性液体に親和性を有する部分とを有する。よって、このような塩基性分散剤を含む液体現像剤では、トナー粒子は、絶縁性液体中に均一に分散されることとなる。
塩基性分散剤は、塩基性を有する官能基として、分子内に、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基およびイミダゾリウム基などの少なくとも1つを有することが好ましい。また、塩基性分散剤は、炭素数が8以上のアルキル基として、分子内に、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、ナフチル基およびテトラデシル基などの少なくとも1つを有しても良いし、ビニル基またはアリル基などのアルケニル基が重合されてなる骨格(重合度が4以上)を有していても良い。このように炭素数が8以上のアルキル基は、直鎖状であっても良いし、分枝鎖状であっても良いし、環状構造を有していても良い。塩基性分散剤は、たとえば、ポリアルキレンポリアミン、変性ポリウレタン、または、ポリエステルポリアミンなどであることが好ましい。塩基性分散剤としては、BYK Chemie社製のDisperbyk−109(アルキロールアミノアマイド)またはDisperbyk−130(不飽和ポリカルボン酸ポリアミノアマイド)などを用いても良いし、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、ソルスパース17000、ソスルパース18000、ソルスパース19000(脂肪酸アミン系)またはソルスパース11200(ポリアミド系)などを用いても良いし、ISP社のV−216、V−220またはW−660(長鎖アルキル基を持ったポリビニルピロリドン)などを用いても良い。
塩基性分散剤は、トナー粒子100質量部に対して、10質量部以下含まれていることが好ましく、3質量部以下含まれていることがより好ましく、0.5質量部以上3質量部以下含まれていることがさらに好ましい。塩基性分散剤がトナー粒子100質量部に対して10質量部を超えて含まれても、トナー粒子の凝集のさらなる防止が難しいことがある。塩基性分散剤がトナー粒子100質量部に対して3質量部以下含まれていれば、時間の経過に係わらずトナー粒子の凝集体の形成を低減することができるだけでなく、トナー粒子の導電性の低下を防止することができる。一方、塩基性分散剤がトナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上含まれていれば、時間の経過に係わらずトナー粒子の凝集体の形成を低減することができる。このことについて図1〜図2を用いて説明する。
図1は、塩基性分散剤の量とトナー粒子の凝集度合との関係を調べた結果を示すグラフであり、図2は、塩基性分散剤の量とトナー粒子の表面電位との関係を調べた結果を示すグラフである。図1および図2の横軸「塩基性分散剤の量」は、トナー粒子100質量部に対する塩基性分散剤の量を意味する。このことは、後述の図6〜図8においても同様である。図1の縦軸の「トナー粒子の凝集度合」については表1に示す通りであり、液体現像剤の目視観察の結果を示す。このことは、後述の図5、図7および図8においても同様である。図1中において、L11は現像初期の結果を示し、L12は耐久時(現像末期)の結果を示す。本明細書では、「現像初期」は現像を開始してから3分後を意味し、「耐久時」または「現像末期」は現像を開始してから3時間後を意味する。また、図1および図2に示す結果は、シェル樹脂をトナー粒子100質量部に対して10質量部含み、且つ、トナー粒子のメディアン径D50が1.2μmである液体現像剤を用いて得られた。
Figure 2014232211
図1に示すように、塩基性分散剤がトナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上含まれていれば、時間の経過に係わらずトナー粒子の凝集体の形成を低減することができた。また、図2に示すように、塩基性分散剤がトナー粒子100質量部に対して3質量部以下含まれていれば、トナー粒子の表面電位を高く維持することができた。
本発明者らは、本発明を完成させるにあたり、鋭意検討を行った。以下では、図3〜図8を用いて、本発明者らが本発明を完成させるにあたり鋭意検討した事項を示す。
まず、本発明者らは、塩基性分散剤を添加するのではなくシェル樹脂の含有量を最適化することによりトナー粒子の凝集の防止とトナー粒子の荷電性の確保との両立を図ることを考えた。具体的には、コア樹脂100質量部におけるシェル樹脂の量を変更して、トナー粒子のメディアン径D50を測定し、トナー粒子の表面電位を測定し、トナー粒子の凝集度合を調べた。図3〜図5は、それぞれ、シェル樹脂の量とトナー粒子のメディアン径D50、トナー粒子の表面電位およびトナー粒子の凝集度合との関係を調べた結果を示すグラフである。図3〜図5の横軸「シェル樹脂の量」は、トナー粒子100質量部におけるシェル樹脂の量を意味する。図3に示すように、シェル樹脂がコア樹脂100質量部に対して7質量部以上含まれていれば、トナー粒子のメディアン径D50を1.5μm以下とすることができ、画像ノイズが低減された高画質な画像が得られた。また、図4に示すように、シェル樹脂がコア樹脂100質量部に対して7質量部以上含まれていても、トナー粒子の表面電位を高く維持することができた。しかし、図5に示すように、トナー粒子の凝集が発生し、シェル樹脂の含有量を増やしてもその改善は難しかった。
次に、本発明者らは、シェル樹脂の代わりに塩基性分散剤を添加してトナー粒子の凝集度合を調べたところ、トナー粒子の凝集体の形成が低減されていることを確認した。しかし、シェル樹脂の代わりに塩基性分散剤を添加してトナー粒子の表面電位を測定すると、図6に示すように、塩基性分散剤の量が5質量部以上であればトナー粒子の表面電位を高く維持できないことが分かった。なお、図6は、塩基性分散剤の量とトナー粒子の表面電位との関係を調べた結果を示すグラフである。
また、本発明者らは、粉砕法によって得られたトナー粒子に塩基性分散剤を添加して液体現像剤を製造し、トナー粒子の凝集度合を調べた。図7〜図8は、それぞれ、現像初期および耐久時(現像末期)における塩基性分散剤の量とトナー粒子の凝集度合との関係を調べた結果を示すグラフである。図7に示すように、現像初期では、塩基性分散剤の量を調整すれば、トナー粒子の凝集を防止することができた。しかし、図8に示すように、耐久時には、塩基性分散剤の量を調整しても、トナー粒子の凝集を防止できなかった。この理由として次に示すことが考えられる。粉砕法によって得られたトナー粒子に対する塩基性分散剤の吸着力は弱い。そのため、塩基性分散剤は、現像初期にはトナー粒子に吸着されていても、長期使用するうちにトナー粒子から離脱される。その結果、トナー粒子の分散性の低下を招き、トナー粒子が凝集した。
しかし、液体現像剤が、コア樹脂とシェル樹脂とを含むトナー粒子と、塩基性分散剤とを含んでおり、塩基性分散剤が、その分子内において、トナー粒子に親和性を有する部分と、絶縁性液体に親和性を有する部分とを含んでいれば、時間の経過に係わらずトナー粒子の凝集を防止できるとともに、トナー粒子の表面電位を高く維持することができる。このことについては、上述した通りであり、また、図1〜図2に示す通りである。
なお、トナー粒子のメディアン径D50の測定方法、トナー粒子の表面電位の測定方法、および、トナー粒子の凝集度合を調べる方法はいずれも後述の実施例で記載する方法と同一である。
<液体現像剤の製造方法>
図9は、本実施形態に係る液体現像剤の製造方法の一例を工程順に記したフロー図である。本実施形態に係る液体現像剤の製造方法は、トナー粒子の作製工程S91と塩基性分散剤の添加工程S92とを含む。
<トナー粒子の作製工程>
トナー粒子の作製工程S91では、トナー粒子は、造粒法などの公知の手法に基づいて製造されることが好ましい。造粒法としては、たとえば、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加して析出させる方法、スプレードライ法または互いに異なる2種類の樹脂でコア・シェル構造を形成する方法などが挙げられる。
次に示す方法にしたがって本実施形態におけるトナー粒子を製造することができる。まず、良溶媒にコア樹脂を溶解させてコア樹脂溶液を得る。次に、良溶媒とはSP値の異なる貧溶媒に上述のコア樹脂溶液を界面張力調整剤とともに混合してせん断を与え、液滴を形成する。その後、良溶媒を揮発させてトナー粒子を得る。本実施形態では、界面張力調整剤としてシェル樹脂を用いている。これにより、シェル樹脂からなるシェル粒子をコア樹脂からなるコア粒子の表面に被膜させることができるので、絶縁性液体中で安定に分散可能なトナー粒子を形成することができる。なお、界面張力調整剤として界面活性剤または分散剤を用いれば、溶融性および結晶性の高いトナー粒子を得ることができる。また、せん断の与え方、界面張力差または界面張力調整剤(シェル樹脂の材料)を変えることにより、トナー粒子の粒径またはトナー粒子の形状を制御することができる。
<塩基性分散剤の添加工程>
塩基性分散剤の添加工程S92では、作製されたトナー粒子に対して塩基性分散剤を添加する。塩基性分散剤としては、上記<塩基性分散剤>で列挙した材料を用いることが好ましい。また、上記<塩基性分散剤>で記載したように、トナー粒子100質量部に対して、塩基性分散剤を、10質量部以下添加することが好ましく、3質量部以下添加することがより好ましく、0.5質量部以上3質量部以下添加することがさらに好ましい。これにより、本実施形態に係る液体現像剤を製造することができる。
<画像の形成>
本実施形態に係る液体現像剤からなる画像を形成するための装置(画像形成装置)の構成は特に限定されない。画像形成装置は、たとえば、単色の液体現像剤が感光体から中間転写体へ一次転写後に用紙に二次転写される単色画像形成装置(図10参照)、単色の液体現像剤が感光体から用紙に直接転写される画像形成装置、または、複数種の液体現像剤を重ね合わせてカラー画像を形成する多色画像形成装置などであることが好ましい。
図10は、電子写真方式の画像形成装置の概略概念図である。図10に示す画像形成装置の構成を以下に示す。液体現像剤21は、アニロックスローラ23により現像槽22内から汲み上げられる。アニロックスローラ23上の余剰の液体現像剤21は、アニロックス規制ブレード24により掻き取られ、残余の液体現像剤21は、搬送ローラ25に送られる。搬送ローラ25上では、液体現像剤21は厚さが均一且つ薄くなるように調整される。
搬送ローラ25上の液体現像剤21は、現像ローラ26へ送られる。現像ローラ26上の余剰の液体現像剤は現像クリーニングブレード27により掻き取られ、残余の液体現像剤21は現像チャージャー28により帯電されて感光体29上に現像される。詳細には、感光体29の表面は、帯電部30により一様に帯電されており、感光体29の周囲に配置された露光部31は、所定の画像情報に基づく光を感光体29の表面に照射する。これにより、感光体29の表面には、所定の画像情報に基づく静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像されることにより、トナー像が感光体29上に形成される。なお、感光体29上の余剰の液体現像剤はクリーニングブレード32に掻き取られる。
感光体29上に形成されたトナー像は一次転写部37において中間転写体33に一次転写され、中間転写体33に転写された液体現像剤は二次転写部38において紙などの記録媒体40に二次転写される。記録媒体40に転写された液体現像剤は定着ローラ36a,36bにより定着される。なお、二次転写されずに中間転写体33に残った液体現像剤は、中間転写体クリーニング部34により掻き取られる。
たとえば次に示す条件で現像することができる。
感光体29の表面:帯電部30によりプラスに帯電
中間転写体33の電位:−400V
二次転写ローラ35の電位:−1200V
記録媒体:OKトップコートプラス(王子製紙株式会社製 127g/m2
記録媒体へのトナー粒子の付着量:2g/m2
記録媒体が定着ローラ36a,36bを通過する速度:20m/s
定着ローラ36a,36bの温度:80℃
感光体29の表面線速度(プロセス速度):400mm/s。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>[シェル粒子の分散液(W1)の製造]
ガラス製ビーカーに、メタクリル酸2−デシルテトラデシル100質量部、メタクリル酸30質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチルとフェニルイソシアネートとの等モル反応物70質量部、および、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.5質量部を入れ、20℃で撹拌して混合した。これにより、単量体溶液を得た。
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器を準備した。その反応容器にTHF195質量部を入れ、反応容器が備える滴下ロートに上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、密閉下70℃で1時間かけて単量体溶液を反応容器内のTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部との混合物を反応容器に入れ、70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液からTHFを除去し、乾燥状態のシェル樹脂を作製した。シェル樹脂のガラス転移点を測定したところ、53℃であった。
得られた共重合体溶液400質量部を撹拌下のIPソルベント2028(出光興産株式会社製)600質量部に滴下してから、0.039MPaの減圧下で40℃でTHFを留去した。これにより、シェル粒子の分散液(W1)を得た。レーザー式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製の「LA−920」)を用いて分散液(W1)中のシェル粒子の体積平均粒径を測定すると0.12μmであった。
<製造例2>[塩基性分散剤用溶液の製造]
ソルスパース11200(日本ルーブリゾール株式会社製)200質量部を80質量部のIPソルベント2028に溶解した。これにより、塩基性分散剤用溶液を得た。
<製造例3>[コア樹脂形成用溶液(Y1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、セバシン酸とアジピン酸とエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)とから得られたポリエステル樹脂(数平均分子量:5400)970質量部とアセトン300質量部とを入れ、撹拌して均一に溶解した。この溶液にイソホロンジイソシアネート(IPDI)30質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、テレフタル酸28質量部を入れ、180℃で1時間反応させた。これにより、コア樹脂(b1)を得た。得られたコア樹脂(b1)の数平均分子量は23000であった。このコア樹脂(b1)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b1)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(Y1)を得た。
<製造例4>
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、テレフタル酸とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(モル比1:1)とから得られたポリエステル樹脂(数平均分子量:2500)を得た。
<製造例5>(着色剤の分散液(P1)の製造)
ビーカーに、酸性処理銅フタロシアニン「DIC株式会社製「FASTGEN Blue FDB−14」20質量部と顔料分散剤「アジスパーPB−821」(味の素ファインテクノ株式会社製)5質量部とアセトン75質量部とを入れ、撹拌して均一に分散させた。その後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散させた。このようにして、着色剤の分散液(P1)を得た。レーザー式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製の「LA−920」)を用いて着色剤の分散液(P1)中の銅フタロシアニンの体積平均粒径を測定すると0.2μmであった。
<実施例1>
ビーカーにコア樹脂形成用溶液(Y1)40質量部と着色剤の分散液(P1)20質量部とを入れ、25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて8000rpmで撹拌させた。これにより、顔料が均一に分散された樹脂溶液(Y11)を得た。
別のビーカーに、IPソルベント2028(出光興産株式会社製)67質量部とシェル粒子の分散液(W1)11質量部とを入れて、シェル粒子を均一に分散させた。次いで、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌させながら、樹脂溶液(Y11)60質量部を入れて2分間撹拌させた。
このようにして得られた混合液を撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。35℃で0.039MPaの減圧下で、上述の混合液におけるアセトン濃度が0.5質量%以下になるまでアセトンを留去した。そののち、IPソルベント2028をさらに添加して、液体現像剤の固形分の濃度を20質量%とした。このようにして液体現像剤が得られた。なお、液体現像剤の固形分は、液体現像剤から絶縁性液体を除いた部分に相当する液体現像剤の固形分を意味し、トナー粒子に相当する。
液体現像剤に塩基性分散剤(ISP社製の「V216」(長鎖アルキル基を含むポリビニルピロリドン))を添加した。このとき、液体現像剤の固形分20質量部に0.6質量部の塩基性分散剤を添加した。このようにして実施例1の液体現像剤が得られた。
<実施例2>
液体現像剤の固形分20質量部に1質量部の塩基性分散剤を添加したことを除いては上記実施例1の製造方法にしたがって、実施例2の液体現像剤を得た。
<実施例3>
液体現像剤の固形分20質量部に0.1質量部の塩基性分散剤を添加したことを除いては上記実施例1の製造方法にしたがって、実施例3の液体現像剤を得た。
<実施例4>
塩基性分散剤として日本ルーブリゾール株式会社製の「ソルスパース13940(固形分40%)」を用いたことを除いては上記実施例1の製造方法にしたがって、実施例4の液体現像剤を得た。そのため、塩基性分散剤の実効的な添加量は、トナー粒子100質量部に対して1.2質量部であった。
<実施例5>
塩基性分散剤としてISP社製の「V220」を用いたことを除いては上記実施例1の製造方法にしたがって、実施例5の液体現像剤を得た。
<比較例1>
塩基性分散剤(ISP社製の「V216」)を添加しなかったことを除いては上記実施例1の製造方法にしたがって、比較例1の液体現像剤を得た。
<比較例2>
塩基性分散剤(ISP社製の「V216」)の代わりに酸性分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製の「ソルスパース3000」)を用いたことを除いては上記実施例1の製造方法にしたがって、比較例2の液体現像剤を得た。
<比較例3>
シェル粒子の分散液(W1)を11質量部添加する代わりに上記製造例2の塩基性分散剤用溶液を13質量部添加したことを除いては上記比較例1の製造方法にしたがって、比較例3の液体現像剤を得た。比較例3では、上記製造例2の塩基性分散剤用溶液は、トナー粒子100質量部に対して25質量部含まれていた。
<比較例4>
シェル粒子の分散液(W1)を11質量部添加する代わりに上記製造例2の塩基性分散剤用溶液を4質量部添加したことを除いては上記比較例1の製造方法にしたがって、比較例4の液体現像剤を得た。比較例4では、上記製造例2の塩基性分散剤用溶液は、トナー粒子100質量部に対して7.5質量部含まれていた。
<比較例5>
ヘンシエルミキサ(登録商標)を用いて、上記製造例4で得られたポリエステル樹脂100質量部と、酸性処理銅フタロシアニン「DIC株式会社製「FASTGEN Blue FDB−14」20質量部とを混合した。得られた混合物を二軸押出混練機で溶融混合してから、冷却し、その後、粗粉砕してからジェット粉砕機で平均粒径6μmに微粉砕した。
得られたトナー粒子34質量部と、塩基性分散剤(ISP社製の「V216」)1質量部と、IPソルベント1620(出光興産株式会社製)100質量部と、ジルコニアビーズ100質量部とを混合し、サンドミルで120時間撹拌した。これにより、比較例5の液体現像剤を得た。得られたトナー粒子のメディアン径D50は2.3μmであった。
<メディアン径D50の測定>
まず、S13940(日本ルーブリゾール株式会社製、分散剤)30mgを含む20gのIPソルベント2028(フロー溶媒)に、実施例1〜5および比較例1〜5のそれぞれの液体現像剤50mgを添加した。そののち、超音波分散器「ウルトラソニッククリーナモデルVS−150」(ウエルボクリア社製)で約5分間、分散処理を行った。このようにしてメディアン径D50を測定するためのサンプルを得た。フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製のFPIA−3000S)を用いて、上記サンプルのトナー粒子のメディアン径D50を測定した。その測定結果を表2の「D50」に記す。表2では、D50が1.5μm以下であった場合にはA1と記し、D50が2μmであった場合にはC1と記している。D50が小さければ、トナー粒子は造粒性に優れるといえる。
<トナー粒子の凝集度合の評価>
図10に示す画像形成装置を用いてトナー粒子の凝集度合を評価した。具体的には、液体現像剤21を、アニロックスローラ23により現像槽22内から汲み上げ、搬送ローラ25上を経由させて現像ローラ26上に担持させた。この液体現像剤21のトナー粒子に対して現像チャージャー28により荷電した。このとき、現像チャージャー28の出力を3μA/cmとし、記録媒体40の搬送速度を400mm/sとした。液体現像剤が感光体29上にトナー粒子が移動しないようにバイアス電圧を+300Vに印加して、液体現像剤を現像クリーニングブレード27で回収し、その回収した液体現像剤を目視してトナー粒子の凝集度合を調べた。その結果を表2の「トナー粒子の凝集度合」に記す。表2において、「初期」には、現像を開始してから3分後の液体現像剤におけるトナー粒子の凝集度合を目視した結果を示し、「耐久時」または「現像末期」には、現像を開始してから3時間後の液体現像剤におけるトナー粒子の凝集度合を目視した結果を示す。また、表2では、トナー粒子の凝集度合が4以上であった場合にはA2と記し、トナー粒子の凝集度合が3以下であった場合にはC2と記している。トナー粒子の凝集度合については上述の表1に示すとおりである。
<表面電位の測定>
現像チャージャー28と感光体29との間に表面電位計を設けて、現像ローラ26上のトナー粒子の表面電位を測定した。表面電位の測定に用いた液体現像剤の量は6g/m2であった。表面電位の測定に用いた液体現像剤は、20質量部のトナー粒子と80質量部の絶縁性液体とを含んでいた。現像チャージャー28の出力を0.5μA/cmとした。その結果を表2の「表面電位」に記す。表2では、表面電位が7.5V以上であった場合にA3と記し、表面電位が5V以上7.5V未満であった場合にB3と記し、表面電位が5V未満であった場合にC3と記している。表面電位が大きければ、トナー粒子は荷電性に優れるといえる。
Figure 2014232211
表2に示すように、実施例1〜5では、トナー粒子は造粒性および荷電性に優れ、時間の経過に係わらず凝集しにくいことがわかった。
一方、比較例1では、トナー粒子は現像初期においても凝集した。その理由としては、比較例1の液体現像剤が塩基性分散剤を含んでいないことが考えられる。
比較例2でも、トナー粒子は現像初期においても凝集した。その理由としては、比較例2の液体現像剤は酸性分散剤を含んでいるが塩基性分散剤を含んでいないことが考えられる。
比較例3では、トナー粒子は造粒性および荷電性に優れず、現像末期では凝集した。その理由としては、比較例3の液体現像剤はシェル樹脂の代わりに塩基性分散剤を含んでいることが考えられる。
比較例4では、トナー粒子のメディアン径D50が大きすぎたため、トナー粒子の凝集度合の評価および表面電位の測定を行わなかった。トナー粒子のメディアン径D50が大きすぎた理由としては、比較例4の液体現像剤はシェル樹脂の代わりに塩基性分散剤を少量含んでいるにすぎないことが考えられる。
比較例5では、トナー粒子は造粒性に優れず、現像末期では凝集した。その理由としては、比較例5のトナー粒子を粉砕法で製造したことが考えられる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
21 液体現像剤、22 現像槽、23 アニロックスローラ、24 アニロックス規制ブレード、25 搬送ローラ、26 現像ローラ、27 現像クリーニングブレード、28 現像チャージャー、29 感光体、30 帯電部、31 露光部、32 クリーニングブレード、33 中間転写体、34 中間転写体クリーニング部、35 二次転写ローラ、36a,36b 定着ローラ、37 一次転写部、38 二次転写部、40 記録媒体。

Claims (4)

  1. トナー粒子と絶縁性液体と塩基性分散剤とを含み、
    前記トナー粒子は、樹脂と着色剤とを含み、
    前記樹脂は、コア樹脂とシェル樹脂とを含み、
    前記塩基性分散剤は、炭素数8以上のアルキル基を有する、液体現像剤。
  2. 前記塩基性分散剤は、分子内にアミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、およびイミダゾリウム基のいずれかを含む、請求項1記載の液体現像剤。
  3. 前記トナー粒子100質量部に対し、前記塩基性分散剤を3質量部以内の量で含む、請求項1または2に記載の液体現像剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法であって、
    前記トナー粒子を作製する第1工程と、
    前記塩基性分散剤を前記トナー粒子に添加する第2工程と、を含む、液体現像剤の製造方法。
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