JP6213093B2 - 液体現像剤 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る液体現像剤は、複写機、プリンタ、デジタル印刷機もしくは簡易印刷機などの電子写真方式の画像形成装置(後述)において用いられる電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インクまたは電子ペーパー用インクとして有用である。本実施形態に係る液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなり、好ましくは10〜50質量%のトナー粒子を含み50〜90質量%の絶縁性液体を含む。本実施形態に係る液体現像剤は、トナー粒子および絶縁性液体以外の任意の成分を含んでいても良い。トナー粒子および絶縁性液体以外の任意の成分は、たとえば、荷電制御剤、増粘剤または分散剤などであることが好ましい。
本実施形態におけるトナー粒子は、樹脂と、樹脂中に分散された着色剤とを含む。紙などの記録媒体へのトナー粒子の付着量を所定の範囲内とした場合に所望の画像濃度が得られるように、トナー粒子における樹脂および着色剤のそれぞれの含有量を決定することが好ましい。本実施形態に係るトナー粒子は、樹脂および着色剤以外の任意の成分を含んでいても良い。樹脂および着色剤以外の任意の成分は、たとえば、顔料分散剤、ワックスまたは荷電制御剤などであることが好ましい。
本実施形態における樹脂は、第1樹脂と、第1樹脂とは異なる第2樹脂とを含む。第1樹脂は、第1樹脂と第2樹脂との合計に対し70質量%以上含まれている。第2樹脂は、1種類の樹脂であっても良いし、2種以上の樹脂が混合されたものであっても良い。樹脂における第1樹脂または第2樹脂の含有量は、たとえば、赤外線吸収スペクトルを用いて求めることができ、核磁気共鳴により得られたスペクトルを用いても求めることができ、GCMS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer)によっても求めることができる。
第1樹脂は、ウレタン変性ポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂に由来する成分は、酸成分に由来する構成単位と、アルコール成分に由来する構成単位とを含む。酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合は、80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは100質量%である。この割合は、核磁気共鳴により得られたスペクトルを用いて求められても良いし、GCMSによって求められても良い。以下では、本実施形態に係る液体現像剤を完成させるにあたって本発明者らが検討した事項を示してから、本実施形態における第1樹脂をさらに示す。
測定装置:東ソー株式会社製の「HLC−8120」
カラム:東ソー株式会社製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー(株)製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへの試料溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー株式会社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
測定装置:東ソー(株)製の「HLC−8220GPC」
カラム:「Guardcоlumn α」(1本)と「TSKgel α―M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製の標準ポリスチレン(TSK standard PОLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合が90質量%以上であるので、第1樹脂は結晶性に優れていると考えられる。ここで、「結晶性」とは、樹脂の軟化温度(以下「Tmp」と略記する)と樹脂の融解熱の最大ピーク温度(以下「Ta」と略記する)との比(Tmp/Ta)が0.8以上1.55以下であることを意味し、DSC(Differential scanning calorimetry)法により得られた熱量変化の結果が階段状の吸熱量変化を示すのではなく明確な吸熱ピークを有することを意味する。なお、TmpとTaとの比(Tmp/Ta)が1.55より大きければ、その樹脂は結晶性に優れないと言え、その樹脂は非結晶性を有するとも言える。
第1樹脂の製造過程で得られるポリエステル樹脂は、ポリオール(アルコール成分)と、ポリカルボン酸(酸成分)、ポリカルボン酸の酸無水物(酸成分)またはポリカルボン酸の低級アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4)エステル(酸成分)などとの重縮合物であることが好ましい。重縮合反応には、公知の重縮合触媒などを使用できる。ポリオールとポリカルボン酸との比率は、特に限定されない。水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が好ましくは2/1〜1/5となるように、より好ましくは1.5/1〜1/4となるように、さらに好ましくは1.3/1〜1/3となるように、ポリオールとポリカルボン酸などとの比率を設定すれば良い。
第1樹脂のウレタン基濃度は、0.5%以上5%以下であることが好ましい。これにより、高温領域における第1樹脂の貯蔵弾性率を適切な値とすることができる。よって、定着性を確保することができるとともに高温オフセットの発生を防止することができる。本実施形態における第1樹脂のウレタン基濃度は、1%以上3%以下であることが好ましい。これにより、定着性を高めることができるとともに高温オフセットの発生をさらに防止することができる。
装置:フロンティア・ラボ株式会社製のPY−2020iD
試料の質量:0.1mg
加熱温度:550℃
加熱時間:0.5分。
装置:株式会社島津製作所製のGCMS−QP2010
カラム:フロンティア・ラボ株式会社製のUltraALLOY−5(内径:0.25mm,長さ:30m,厚さ:0.25μm)
昇温条件:昇温範囲:100℃〜320℃(320℃で保持)、昇温速度:20℃/分。
第2樹脂は、たとえば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、または、ポリカーボネート樹脂などであることが好ましい。第2樹脂は、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、または、エポキシ樹脂などであることがより好ましく、ビニル樹脂であることがさらに好ましい。これにより、トナー粒子のメジアン径D50(後述)およびトナー粒子の円形度(後述)などを制御し易くなる。第2樹脂も結晶性を有することが好ましい。
重合性二重結合を有する炭化水素は、たとえば、下記(1−1)で示す重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、または、下記(1−2)で示す重合性二重結合を有する芳香族炭化水素などであることが好ましい。
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素は、たとえば、下記(1−1−1)で示す重合性二重結合を有する鎖状炭化水素、または、下記(1−1−2)で示す重合性二重結合を有する環状炭化水素などであることが好ましい。
重合性二重結合を有する鎖状炭化水素は、たとえば、炭素数が2〜30のアルケン(たとえば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンまたはオクタデセンなど);炭素数が4〜30のアルカジエン(たとえば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエンなど)などであることが好ましい。
重合性二重結合を有する環状炭化水素は、たとえば、炭素数が6〜30のモノまたはジシクロアルケン(たとえば、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンまたはエチリデンビシクロヘプタンなど);炭素数が5〜30のモノまたはジシクロアルカジエン(たとえば、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンなど)などであることが好ましい。
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素は、たとえば、スチレン;スチレンのハイドロカルビル(たとえば、炭素数が1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体(たとえば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンまたはトリビニルベンゼンなど);ビニルナフタレンなどであることが好ましい。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、炭素数が3〜15の不飽和モノカルボン酸[たとえば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸または桂皮酸など];炭素数が3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[たとえば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸またはメサコン酸など];炭素数が3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1〜10)エステル(たとえば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステルまたはシトラコン酸モノデシルエステルなど)などであることが好ましい。本明細書では、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
スルホ基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、ビニルスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートまたは2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸などであることが好ましい。スルホ基と重合性二重結合を有する単量体の塩は、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体」において「上記単量体の塩」として列挙した塩であることが好ましい。
ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェートまたは2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸などであることが好ましい。ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体の塩は、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体」において「上記単量体の塩」として列挙した塩であることが好ましい。
ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどであることが好ましい。
重合性二重結合を有する含窒素単量体は、たとえば下記(6−1)〜(6−4)で示す単量体であることが好ましい。
アミノ基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールまたはアミノメルカプトチアゾールなどであることが好ましい。アミノ基と重合性二重結合を有する単量体は、上記列挙した単量体の塩であっても良い。上記列挙した単量体の塩としては、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩」において「上記単量体の塩」として列挙した塩が挙げられる。
アミド基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドまたはN−ビニルピロリドンなどであることが好ましい。
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10の単量体は、たとえば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンまたはシアノアクリレートなどであることが好ましい。
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12の単量体は、たとえばニトロスチレンなどであることが好ましい。
エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18の単量体は、たとえばグリシジル(メタ)アクリレートなどであることが好ましい。
ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16の単量体は、たとえば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレンまたはクロロプレンなどであることが好ましい。
重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステルは、たとえば、酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;酪酸ビニル;ジアリルフタレート;ジアリルアジペート;イソプロペニルアセテート;ビニルメタクリレート;メチル−4−ビニルベンゾエート;シクロヘキシルメタクリレート;ベンジルメタクリレート;フェニル(メタ)アクリレート;ビニルメトキシアセテート;ビニルベンゾエート;エチル−α−エトキシアクリレート;炭素数が1〜11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど];ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(たとえば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタンなど);ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[たとえば、ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノ(メタ)アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(以下「エチレンオキサイド」を「EO」と略記する)10モル付加物(メタ)アクリレートまたはラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレートなど];ポリ(メタ)アクリレート類{たとえば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]}などであることが好ましい。なお、本明細書では、「(メタ)アリロ」とは、アリロおよび/またはメタリロを意味する。
着色剤の粒径は、0.3μm以下であることが好ましい。着色剤の粒径が0.3μmを超えると、着色剤の分散性の悪化を招くことがあるので、光沢度の低下を引き起こす場合がある。そのため、所望の色目を実現できなくなる場合がある。
トナー粒子に対する添加剤の一例として、顔料分散剤を挙げる。顔料分散剤は、着色剤(顔料)をトナー粒子中で均一に分散させる作用を有するものであり、塩基性分散剤であることが好ましい。塩基性分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、顔料分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、それをペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られたろ液のpHをpHメータ(商品名:「D−51」、堀場製作所社製)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする。なお、そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする。
トナー粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメジアン径D50(以下では「トナー粒子のメジアン径D50」と記す)は、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。この粒径は、従来用いられていた乾式現像剤に含まれるトナー粒子の粒径よりも小さく、本発明の特徴の一つである。トナー粒子のメジアン径D50が0.5μm未満であれば、トナー粒子の粒径が小さすぎるので、電界でのトナー粒子の移動性の悪化を招くことがあり、よって、現像性の低下を招くことがある。一方、トナー粒子のメジアン径D50が5.0μmを超えると、トナー粒子の粒径の均一性の低下を招くことがあり、よって、画質の低下を招くことがある。より好ましくは、トナー粒子のメジアン径D50は0.5μm以上2.0μm以下である。
本実施形態におけるトナー粒子は、コア・シェル構造を有することが好ましい。これにより、トナー粒子のメジアン径D50およびトナー粒子の円形度などを制御しやすくなる。コア・シェル構造では、シェル樹脂(第2樹脂)とコア樹脂(第1樹脂)との質量比は、1:99〜80:20であることが好ましい。トナー粒子に含まれる樹脂における第2樹脂の含有割合が1質量%未満であれば、コア・シェル構造の粒子形成が難しくなることがある。トナー粒子に含まれる樹脂における第2樹脂の含有割合が20質量%を超えると、定着性の低下を招くことがある。
本実施形態における絶縁性液体は、その抵抗値が静電潜像を乱さない程度(1011〜1016Ω・cm程度)であることが好ましく、臭気および毒性が低い溶媒であることが好ましい。絶縁性液体としては、一般的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、またはポリシロキサンなどが挙げられる。特に、低臭気、低害性、コストなどの観点から、絶縁性液体は、ノルマルパラフィン系溶媒またはイソパラフィン系溶媒であることが好ましく、モレスコホワイト(商品名、松村石油研究所社製)、アイソパー(商品名、エクソンモービル社製)、シェルゾール(商品名、シェル石油化学社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028またはIPソルベント2835(いずれも商品名、出光興産社製)などであることが好ましい。
本実施形態に係る液体現像剤は、トナー粒子を絶縁性液体に分散させることにより製造されることが好ましい。トナー粒子は、以下に示す方法にしたがって製造されることが好ましい。
トナー粒子は、粉砕法または造粒法などの公知の手法に基づいて製造されることが好ましい。粉砕法では、樹脂粒子と顔料とを混練してから粉砕する。粉砕は、乾式状態またはオイル内での湿式状態などで行われることが好ましい。
本実施形態に係る液体現像剤を用いて画像を形成するための装置(画像形成装置)の構成は特に限定されない。画像形成装置は、たとえば、単色の液体現像剤が感光体から中間転写体へ一次転写後に記録媒体に二次転写される単色画像形成装置(図3参照)、単色の液体現像剤が感光体から記録媒体に直接転写される画像形成装置、または、複数種の液体現像剤を重ね合わせてカラー画像を形成する多色画像形成装置などであることが好ましい。
ガラス製ビーカーに、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル100質量部と、メタクリル酸30質量部と、メタクリル酸ヒドロキシエチルとフェニルイソシアネートとの等モル反応物70質量部と、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.5質量部とを入れ、20℃で撹拌して混合した。これにより、モノマー溶液を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、セバシン酸とアジピン酸とエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)とから得られたポリエステル樹脂(Mn:6000)937質量部とアセトン300質量部とを入れ、撹拌し、アセトンに均一に溶解させた。得られた溶液にIPDIを63質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部をさらに追加して180℃で1時間反応させた。これにより、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂を得た。得られたコア樹脂800質量部とアセトン1200質量部とをビーカーで攪拌させて、コア樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(Y1)を得た。
セバシン酸とアジピン酸とエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)とから得られたポリエステル樹脂のMnが5000であることを除いては上記製造例2の方法にしたがって、製造例3のコア樹脂形成用溶液を得た。本製造例で得られたコア樹脂では、Mnは12000であり、Mwは23000であり、ウレタン基濃度は1.32%であった。
セバシン酸とアジピン酸とエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)とから得られたポリエステル樹脂のMnが8000であることを除いては上記製造例2の方法にしたがって、製造例4のコア樹脂形成用溶液を得た。本製造例で得られたコア樹脂では、Mnは40000であり、Mwは72000であり、ウレタン基濃度は1.15%であった。
セバシン酸とアジピン酸とエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)とから得られたポリエステル樹脂のMnが5000であることを除いては上記製造例2の方法にしたがって、製造例5のコア樹脂形成用溶液を得た。本製造例で得られたコア樹脂では、Mnは25000であり、Mwは47000であり、ウレタン基濃度は1.81%であった。
セバシン酸とアジピン酸とエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)とから得られたポリエステル樹脂のMnが3000であることを除いては上記製造例2の方法にしたがって、製造例6のコア樹脂形成用溶液を得た。本製造例で得られたコア樹脂では、Mnは8000であり、Mwは17000であり、ウレタン基濃度は2.29%であった。
ビーカーに、酸性処理銅フタロシアニン(DIC株式会社製「FASTGEN Blue FDB−14」)20質量部と顔料分散剤「アジスパーPB−821」(味の素ファインテクノ株式会社製)5質量部とアセトン75質量部とを入れて撹拌し、酸性処理銅フタロシアニンを均一に分散させた。その後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散させた。このようにして顔料の分散液を得た。顔料の分散液中の顔料(銅フタロシアニン)の体積平均粒径は0.2μmであった。
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(Y1)28質量部とコア樹脂形成用溶液(Y2)12質量部とを入れた。これにより、コア樹脂形成用溶液(Y6)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(Y6)に含まれるウレタン変性ポリエステル樹脂では、Mnは21000であり、Mwは48500であり、Mw/Mnは2.31であった。
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(Y3)28質量部とコア樹脂形成用溶液(Y5)12質量部とを入れた。これにより、コア樹脂形成用溶液(Y7)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(Y7)に含まれるウレタン変性ポリエステル樹脂では、Mnは30000であり、Mwは84000であり、Mw/Mnは2.80であった。
表2に示す割合にしたがってコア樹脂形成用溶液(Y1)〜(Y5)を混ぜたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、実施例3〜4の液体現像剤を得た。表2に示すコア樹脂形成用溶液を用いたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、比較例1〜3の液体現像剤を得た。
図3に示す画像形成装置を用いて画像を形成した。図3に示す画像形成装置の構成を以下に示す。液体現像剤21は、アニロックスローラ23により現像槽22内から汲み上げられる。アニロックスローラ23上の余剰の液体現像剤21は、アニロックス規制ブレード24により掻き取られ、残余の液体現像剤21は、ならしローラ25に送られる。ならしローラ25上では、液体現像剤21は厚さが均一且つ薄くなるように調整される。
フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製FPIA−3000S)を用いて実施例1〜4および比較例1〜3の液体現像剤の平均粒径を測定した。フロー溶媒には、絶縁性液体と同じ溶媒であるIPソルベント2028を用いた。まず、分散剤としてS13940(日本ルーブリゾール株式会社製)を30mg含むアイソパーL(20g)に50mgの液体現像剤(実施例1〜4および比較例1〜3の各液体現像剤)を入れて懸濁液を得た。次に、超音波分散機(ウエルボクリア社製ウルトラソニッククリーナーモデルVS−150)を用いて、得られた懸濁液に対して約5分間分散処理を行った。上記フロー式粒子像分析装置を用いて、得られたサンプルの粒度分布を体積基準で測定したときのメジアン径D50を測定した。結果を表2のD50に示す。
定着された画像同士を互いに重ね合わせた状態で、80g/m2の加重をかけて55℃で1週間保管した。その後、室温下に戻して加重を外してから、2枚を剥がし、剥がすときに画像が損傷したか否かを調べた。結果を表2のドキュメントオフセットに示す。表2では、剥がす時に画像が剥離しなかった場合にA1と記し、剥がす時に画像が剥離した場合にB1と記している。剥がす時に画像が剥離しなければ、ドキュメントオフセットが発生していないと言える。
鉛筆硬度試験を行った。JISK5400にしたがって、HBの鉛筆を、画像面に対して45度の角度で、荷重1kgをかけた状態で、当該画像面に押し当てた。結果を表2の耐傷性に示す。表2では、画像面に傷が付かなかった場合にA2と記し、画像面に傷が付いた場合にB2と記している。画像面に傷が付かなければ、ドキュメントの耐傷性に優れると言える。
Claims (4)
- 樹脂と着色剤とを含むトナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤であって、
前記樹脂は、ポリエステル樹脂に由来する成分がイソシアネート基を含む化合物により鎖長されてなるウレタン変性ポリエステル樹脂である第1樹脂と、前記第1樹脂とは異なる第2樹脂とを含み、
前記第1樹脂は、第1ウレタン変性ポリエステル樹脂および第2ウレタン変性ポリエステル樹脂を含み、
前記第1ウレタン変性ポリエステル樹脂および前記第2ウレタン変性ポリエステル樹脂は、互いに数平均分子量が異なり、
前記第1樹脂は、前記第1樹脂と前記第2樹脂との合計に対し70質量%以上含まれ、
前記ポリエステル樹脂に由来する成分は、酸成分に由来する構成単位と、アルコール成分に由来する構成単位とを含み、
前記酸成分に由来する構成単位および前記アルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合は、80質量%以上であり、
前記第1樹脂の数平均分子量をMnとし、前記第1樹脂の重量平均分子量をMwとしたとき、2.3≦Mw/Mn≦4(但し、10000≦Mn≦50000)を満たし、
前記第1ウレタン変性ポリエステル樹脂の数平均分子量をMn1とし、前記第1ウレタン変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量をMw1としたとき、Mw1/Mn1の値は2.1以下であり、
前記第2ウレタン変性ポリエステル樹脂の数平均分子量をMn2とし、前記第2ウレタン変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量をMw2としたとき、Mw2/Mn2の値は2.1以下である、液体現像剤。 - 前記第1樹脂のウレタン基濃度は、0.5%以上5%以下である請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記第2樹脂は、ビニル樹脂である請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 前記トナー粒子は、コア・シェル構造を有する請求項3に記載の液体現像剤。
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