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JP2016166990A - 液体現像剤 - Google Patents

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JP2016166990A JP2015046794A JP2015046794A JP2016166990A JP 2016166990 A JP2016166990 A JP 2016166990A JP 2015046794 A JP2015046794 A JP 2015046794A JP 2015046794 A JP2015046794 A JP 2015046794A JP 2016166990 A JP2016166990 A JP 2016166990A
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Hironobu Tokunaga
浩信 徳永
松本 聡
Satoshi Matsumoto
松本  聡
裕哉 岩越
Hiroya Iwakoshi
裕哉 岩越
貴博 田中
Takahiro Tanaka
貴博 田中
桂子 桃谷
Keiko Momotani
桂子 桃谷
幹彦 助野
Mikihiko Sukeno
幹彦 助野
直樹 吉江
Naoki Yoshie
直樹 吉江
安野 政裕
Masahiro Yasuno
政裕 安野
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Abstract

【課題】トナー粒子の低温定着性の向上と画像の耐ひっかき性の向上とを両立させ、更には、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高める。【解決手段】液体現像剤は、絶縁性液体と、絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える。トナー粒子は、コア/シェル構造を有する。コア/シェル構造は、コア樹脂を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ且つコア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂とを有する。コア樹脂は、5質量%以上50質量%以下の脂肪族ポリエステル樹脂と、50質量%以上95質量%以下の芳香族ポリエステル樹脂とを含む。コア樹脂の酸価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。脂肪族ポリエステル樹脂の酸価と芳香族ポリエステル樹脂の酸価との差が0mgKOH/g以上15mgKOH/g未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、液体現像剤に関する。
特開2013−3197号公報(特許文献1)には、ポリエステル樹脂を含むトナー粒子が記載されている。この文献には、液体現像剤を乾燥させて得られる固形物の融点が55℃以上であればドキュメントオフセットを防止できるということが記載されており、酸成分に由来する構成単位とアルコール成分に由来する構成単位との両構成単位に占める脂肪族系モノマーに由来する構成単位の全量を30モル%以上とすれば液体現像剤の固形物の融点が55℃以上となることが記載されている。
また、特開2009−96994号公報(特許文献2)および特開2014−66887号公報(特許文献3)には、コア/シェル構造を有するトナー粒子が記載されている。
特開2013−3197号公報 特開2009−96994号公報 特開2014−66887号公報
特許文献1には、トナー粒子を記録媒体に180℃で定着させることが記載されているが、液体現像剤には、より低温での定着(低温定着性)が求められている。液体現像剤では、乾式現像剤とは異なり、トナー粒子の粒径を2μm以下に制御できる。そのため、記録媒体への液体現像剤の付着量を記録媒体への乾式現像剤の付着量よりも大幅に低減させることができる。このことは、低温定着性に対して優位に働く。また、低温での定着を実現させる方法として、例えば、シャープメルト性の高い樹脂(例えばポリエステル樹脂)を用いることが提案されている。
トナー粒子に含まれる樹脂として非晶性ポリエステル樹脂を用いる場合、非晶性ポリエステル樹脂の分子量等を調整すれば、その軟化点を低下させることができる。よって、低温での定着(例えば90℃での定着)が可能となる。しかし、非晶性ポリエステル樹脂の軟化点が低下すると、そのガラス転移点も低下するので、トナー粒子の耐熱性の低下を引き起こす。
一方、結晶性ポリエステル樹脂の融点は非晶性ポリエステル樹脂の軟化点よりも低い。そのため、トナー粒子に含まれる樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いると、トナー粒子の耐熱性を低下させることなく低温での定着が可能となる。よって、トナー粒子に含まれる樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
ところで、結晶性ポリエステル樹脂は主として脂肪族系モノマーから構成され、非晶性ポリエステル樹脂は主として芳香族系モノマーから構成される。ここで、脂肪族系モノマーからなる樹脂は、芳香族系モノマーからなる樹脂よりも柔らかいので、ストレスに対して弱いという傾向を有する。そのため、トナー粒子に含まれる樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合、記録媒体に定着された画像に対してひっかき試験を行うと、画像にひっかき傷が付いてしまう。つまり、画像の耐ひっかき性が低下する。
また、今般、記録媒体の種類によって液体現像剤の定着性に差があることが分かった。具体的には、上質紙に対する液体現像剤の定着強度がコート紙に対する液体現像剤の定着強度よりも低いことが分かった。その理由としては次に示すことが考えられる。上質紙の表面(画像が形成される上質紙の面)には、コート層が形成されていないので、上質紙を構成する繊維による凹凸が存在している。そのため、トナー粒子を上質紙の表面に接着させることが難しい。その上、液体現像剤に含まれるトナー粒子の粒径は小さいので、このトナー粒子を介して上質紙の表面に形成された凹凸に圧力(定着圧)を付与することが難しくなる。以上より、液体現像剤を用いた場合には、上質紙に対するトナー粒子の接着強度を確保することが非常に困難となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー粒子の低温定着性の向上と画像の耐ひっかき性の向上とを両立させ、更には、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることである。
芳香族系モノマーからなる樹脂は脂肪族系モノマーからなる樹脂よりも硬い。そのため、トナー粒子に含まれる樹脂として芳香族ポリエステル樹脂を用いれば、画像の耐ひっかき性が向上すると考えられる。しかし、トナー粒子に含まれる樹脂として芳香族ポリエステル樹脂のみを用いて低温での定着を試みると、トナー粒子の耐熱性の低下を招く。
一方、トナー粒子に含まれる樹脂として脂肪族ポリエステル樹脂のみを用いる場合には、トナー粒子に含まれる樹脂として結晶性ポリエステル樹脂のみを用いることとなる。そのため、トナー粒子の耐熱性を低下させることなくトナー粒子を低温で定着できる。しかし、画像の耐ひっかき性が低下する。
以上のことから、本発明者らは、トナー粒子に含まれる樹脂として脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリステル樹脂との両方を用いれば、トナー粒子の耐熱性を低下させることなくトナー粒子を低温で定着でき、更には、画像の耐ひっかき性を向上させることができるのではないかと考えた。そこで、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリステル樹脂との両方を用いてトナー粒子を形成し、トナー粒子の特性を調べた。すると、記録媒体として上質紙を用いた場合に上質紙へのトナー粒子の定着強度が低下する場合があることが分かった。
本発明者らは、このような結果が得られた原因を突き止めるために、上質紙への定着強度が低かったトナー粒子と上質紙への定着強度が高かったトナー粒子とを分析した。その結果、上質紙への定着強度が低かったトナー粒子では、トナー粒子に含まれるポリエステル樹脂の酸価が低い、又は、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリステル樹脂とが相溶していなかった。一方、上質紙への定着強度が高かったトナー粒子では、トナー粒子に含まれるポリエステル樹脂の酸価が高く、且つ、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリステル樹脂とが相溶していた。
一般に、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を高めるためには、記録媒体とトナー粒子との接着強度を高める必要がある。また、絶縁性液体の存在によって上記接着強度は低下するため、液体現像剤を用いた場合には乾式現像剤を用いた場合に比べて上記接着強度をさらに高める必要がある。さらに、上述した理由から、このような要求は記録媒体として上質紙を用いた場合に顕著となる。
しかし、トナー粒子に含まれるポリエステル樹脂の酸価が低ければ、かかるポリエステル樹脂と絶縁性液体との親和性が高くなるので、絶縁性液体が当該ポリエステル樹脂と上質紙との間に侵入し易くなる。これにより、上質紙へのトナー粒子の接着強度が低下し、その結果、上質紙へのトナー粒子の定着強度が低下したのではないか、と考えられる。
また、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリステル樹脂とが相溶しなければ、絶縁性液体が脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリステル樹脂との界面で保持され易くなるので、絶縁性液体が脂肪族ポリエステル樹脂または芳香族ポリステル樹脂と上質紙との間に侵入し易くなる。これにより、上質紙へのトナー粒子の接着強度が低下し、その結果、上質紙へのトナー粒子の定着強度が低下したのではないか、と考えられる。
さらに、今般、コア/シェル構造を有するトナー粒子を用いれば、トナー粒子の定着時には、上質紙の表面に存在する絶縁性液体の量が減少するに伴って上質紙へのトナー粒子の定着強度が高くなる、ということが分かった。以上の考察をふまえ、本発明の液体現像剤が完成した。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える。トナー粒子は、コア/シェル構造を有する。コア/シェル構造は、コア樹脂を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、コア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂とを有する。コア樹脂は、5質量%以上50質量%以下の脂肪族ポリエステル樹脂と、50質量%以上95質量%以下の芳香族ポリエステル樹脂とを含む。コア樹脂の酸価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。脂肪族ポリエステル樹脂の酸価と芳香族ポリエステル樹脂の酸価との差が0mgKOH/g以上15mgKOH/g未満である。
「コア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂」とは、コア樹脂とシェル樹脂とで化学構造および分子量のうちの少なくとも1つが異なることを意味する。
ポリエステル樹脂は、カルボン酸(酸成分に由来する構成単位)とアルコール(アルコール成分に由来する構成単位)との縮合重合反応により合成されるものである。そのため、カルボン酸に由来する部分が酸成分に由来する構成単位となり、アルコールに由来する部分がアルコール成分に由来する構成単位となり、これらの構成単位が繰り返されることによってポリエステル樹脂が構成される。
「脂肪族ポリエステル樹脂」とは、アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における脂肪族系モノマーに由来する構成単位の含有割合が50質量%以上であることを意味する。アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における脂肪族系モノマーに由来する構成単位の含有割合は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
「アルコール成分に由来する構成単位」とは、アルコールのヒドロキシル基(OH基)から水素原子が外れたものを意味し、アルコールに含まれる少なくとも1つのヒドロキシル基から水素原子が外れたものを含む。「酸成分に由来する構成単位」とは、カルボン酸のカルボキシル基(COOH基)からヒドロキシル基が外れたものを意味し、カルボン酸に含まれる少なくとも1つのカルボキシル基からヒドロキシル基が外れたものを含む。「脂肪族系モノマー」には、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸の低級アルキルエステル、脂肪族カルボン酸の酸無水物、及び、脂肪族アルコールが含まれる。「脂肪族カルボン酸」とは、分子内に芳香環を有さないカルボン酸を意味する。「脂肪族アルコール」とは、分子内に芳香環を有さないアルコールを意味する。
「芳香族ポリエステル樹脂」とは、アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における芳香族系モノマーに由来する構成単位の含有割合が50質量%以上であることを意味する。アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における芳香族系モノマーに由来する構成単位の含有割合は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
「芳香族系モノマー」には、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸の低級アルキルエステル、芳香族カルボン酸の酸無水物、及び、芳香族アルコールが含まれる。「芳香族カルボン酸」とは、分子内に芳香環を有するカルボン酸を意味する。「芳香族アルコール」とは、分子内に芳香環を有するアルコールを意味する。
「コア樹脂の酸価」とは、JIS K 0070:1992(化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法)に記載の方法に準拠して測定されたコア樹脂の酸価を意味し、コア樹脂に含まれるカルボキシル基の量に基づく。「コア樹脂に含まれるカルボキシル基」とは、脂肪族ポリエステル樹脂および芳香族ポリエステル樹脂を合成する際の縮合重合反応においてヒドロキシル基と反応しなかったカルボキシル基残渣の量に相当する。
「脂肪族ポリエステル樹脂の酸価」とは、上記JIS K 0070:1992に記載の方法に準拠して測定された脂肪族ポリエステル樹脂の酸価を意味し、脂肪族ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基の量に基づく。「脂肪族ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基」とは、脂肪族ポリエステル樹脂を合成する際の縮合重合反応においてヒドロキシル基と反応しなかったカルボキシル基残渣の量に相当する。
「芳香族ポリエステル樹脂の酸価」とは、上記JIS K 0070:1992に記載の方法に準拠して測定された芳香族ポリエステル樹脂の酸価を意味し、芳香族ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基の量に基づく。「芳香族ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基」とは、芳香族ポリエステル樹脂を合成する際の縮合重合反応においてヒドロキシル基と反応しなかったカルボキシル基残渣の量に相当する。
シェル樹脂は、長鎖アルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を30質量%以上90質量%以下含むことが好ましい。
「長鎖アルキル基」とは、炭素数が4以上の炭素鎖を有するアルキル基を意味し、好ましくは炭素数が4以上30以下の炭素鎖を有するアルキル基であり、より好ましくは炭素数が8以上30以下の炭素鎖を有するアルキル基である。「長鎖アルキル基」には、炭素鎖が直鎖状である場合、炭素鎖が分岐状である場合、及び、炭素鎖が炭素骨格を基本とした環状構造を有する場合などが含まれる。また、「長鎖アルキル基」には、アルキル基に含まれる1つ以上の水素原子が水素原子とは異なる原子(例えばハロゲン原子)で置換された官能基も含まれる。
「シェル樹脂は、長鎖アルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を」含むとは、長鎖アルキル基を有するモノマーの重合後の化学構造がシェル樹脂に構成単位として含まれていることを意味する。TD−GC/MS(Thermal Desorption-Gas Chromatograph/Mass Spectroscopy)法(TD条件:240℃、10分、GC条件:カラム(株式会社島津ジーエルシー製の商品名「ZB−5」)を使用、MS条件:イオン化法(electron ionization)、フルスキャンモード、m/z=33以上500以下)にしたがって、シェル樹脂における上記構成単位の含有量を求めることができる。「シェル樹脂は、長鎖アルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を30質量%以上90質量%以下含む」を「シェル樹脂を構成するモノマーの全配合量(質量)に対する長鎖アルキル基を有するモノマーの配合量(質量)の割合が30質量%以上90質量%以下である」と換言できる。
本発明では、トナー粒子の低温定着性の向上と画像の耐ひっかき性の向上とを両立でき、更には、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることができる。
電子写真方式の画像形成装置の一部の概略概念図である。
以下、本発明の実施の形態(以下では「本実施形態」と記す)について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
[液体現像剤の構成]
本実施形態の液体現像剤は、複写機、プリンタ、デジタル印刷機若しくは簡易印刷機等の電子写真方式の画像形成装置(後述)において用いられる電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、又は、電子ペーパー用インクとして有用である。本実施形態の液体現像剤は、絶縁性液体と絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備え、好ましくは10〜50質量%のトナー粒子と50〜90質量%の絶縁性液体とを備える。本実施形態の液体現像剤は、絶縁性液体及びトナー粒子とは異なる任意の成分を含んでいても良い。かかる任意の成分としては、例えば、トナー分散剤、荷電制御剤又は増粘剤等が挙げられる。
<トナー粒子>
本実施形態のトナー粒子は、コア/シェル構造を有する。コア/シェル構造は、コア樹脂を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、コア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂とを有する。本実施形態のトナー粒子がコア/シェル構造を有するので、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることができる。このことについては後述の<シェル樹脂>で詳述する。
本実施形態のトナー粒子では、着色剤は、コア樹脂およびシェル樹脂のうちの少なくとも一方に分散していることが好ましく、より好ましくは50〜90質量%の樹脂(コア樹脂およびシェル樹脂)と10〜50質量%の着色剤とを有する。本実施形態のトナー粒子は、樹脂および着色剤とは異なる任意の成分を含んでいても良い。かかる任意の成分としては、例えば、顔料分散剤、ワックスまたは荷電制御剤などが挙げられる。
好ましくは、トナー粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメジアン径D50(以下では「トナー粒子のメジアン径D50」と記す)は0.5μm以上5.0μm以下である。このメジアン径D50は、従来の乾式現像剤に含まれるトナー粒子の粒径よりも小さく、本実施形態の特徴の一つである。トナー粒子のメジアン径D50が0.5μm以上であれば、トナー粒子の粒径を確保できるので、電界でのトナー粒子の移動性が改善され、よって、現像性を高めることができる。トナー粒子のメジアン径D50が5.0μm以下であれば、トナー粒子の分散性を確保できるので、画質を高めることができる。より好ましくは、トナー粒子のメジアン径D50は1.0μm以上2.0μm以下である。
例えばフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製の品番「FPIA−3000S」)等を用いて、トナー粒子のメジアン径D50を計測可能である。この分析装置では、溶剤をそのまま分散媒体として使用することが可能である。よって、この分析装置を用いれば、水系で測定するよりも実際の分散状態に近い状態におけるトナー粒子の状態を計測できる。
好ましくは、コア樹脂とシェル樹脂との質量比[(コア樹脂の質量):(シェル樹脂の質量)]は99:1〜30:70である。トナー粒子の粒径の均一性および液体現像剤の耐熱安定性などの観点では、シェル樹脂とコア樹脂との上記質量比は、より好ましくは98:2〜50:50であり、さらに好ましくは97:3〜80:20である。シェル樹脂の質量がコア樹脂の質量とシェル樹脂の質量との合計の1質量%以上であれば、トナー粒子の耐ブロッキング性を高く維持できる。シェル樹脂の質量がコア樹脂の質量とシェル樹脂の質量との合計の70質量%以下であれば、トナー粒子の粒径均一性を高く維持できる。
<コア樹脂>
(脂肪族ポリエステル樹脂の含有率と芳香族ポリエステル樹脂の含有率)
コア樹脂は、5質量%以上50質量%以下の脂肪族ポリエステル樹脂と、50質量%以上95質量%以下の芳香族ポリエステル樹脂とを含む。脂肪族ポリエステル樹脂の含有率(コア樹脂の質量に対する脂肪族ポリエステル樹脂の質量の割合)が5質量%以上であれば、融点が低い樹脂(脂肪族ポリエステル樹脂)の含有量を確保できるので、低温での定着が可能となる。脂肪族ポリエステル樹脂の含有率が50質量%以下であれば、硬い樹脂(芳香族ポリエステル樹脂)の含有量を確保できるので、画像の耐ひっかき性を高めることができる。好ましくは、脂肪族ポリエステル樹脂の含有率が5質量%以上30質量%以下である。これにより、硬い樹脂の含有量を更に確保できるので、画像の耐ひっかき性を更に高めることができる。
芳香族ポリエステル樹脂の含有率(コア樹脂の質量に対する芳香族ポリエステル樹脂の質量の割合)が50質量%以上であれば、硬い樹脂(芳香族ポリエステル樹脂)の含有量を確保できるので、画像の耐ひっかき性を高めることができる。芳香族ポリエステル樹脂の含有率が95質量%以下であれば、融点が低い樹脂(脂肪族ポリエステル樹脂)の含有量を確保できるので、低温での定着が可能となる。好ましくは、芳香族ポリエステル樹脂の含有率が70質量%以上95質量%以下である。これにより、硬い樹脂の含有量を更に確保できるので、画像の耐ひっかき性を更に高めることができる。
脂肪族ポリエステル樹脂の含有率及び芳香族ポリエステル樹脂の含有率は、フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)(商品名:「Lambda400」、日本電子株式会社製)を用いて1H−NMR分析を行い、その積分比より決定できる。測定溶媒はクロロホルム−d(重クロロホルム)溶剤を用いることができる。アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における脂肪族系モノマーに由来する構成単位の含有割合、及び、アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における芳香族系モノマーに由来する構成単位の含有割合についても、同様の方法で測定できる。
(コア樹脂の酸価)
本実施形態では、コア樹脂の酸価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。コア樹脂の酸価が20mgKOH/g以上であれば、コア樹脂に含まれるカルボキシル基残渣の量が多いので、コア樹脂が極性を有することとなる。これにより、コア樹脂と絶縁性液体との親和性が低くなるので、転写時に過剰な量の絶縁性液体がコア樹脂とともに上質紙に供給されることを防止できる。よって、絶縁性液体がコア樹脂と上質紙との間に侵入することを防止できるので、上質紙へのトナー粒子の接着強度を高めることができる。したがって、メジアン径D50の小さなトナー粒子を用いた場合であっても(例えば液体現像剤を用いて画像形成を行った場合であっても)、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることができる。
好ましくは、コア樹脂の酸価が30mgKOH/g以上である。これにより、コア樹脂の極性がさらに大きくなるので、メジアン径D50の小さなトナー粒子を用いた場合であっても上質紙へのトナー粒子の定着強度を更に高めることができる。なお、実際、コア樹脂の酸価を100mgKOH/gよりも大きくすることは難しい。また、コア樹脂の酸価を100mgKOH/gよりも大きくすることができたとしても、その熱物性を制御するのは困難である。
(酸価の差)
脂肪族ポリエステル樹脂の酸価と芳香族ポリエステル樹脂の酸価との差(以下では「酸価の差」と記すことがある)が0mgKOH/g以上15mgKOH/g未満である。酸価の差が15mgKOH/g未満であれば、脂肪族ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基の量と芳香族ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基の量との差を小さく抑えることができるので、脂肪族ポリエステル樹脂のSP(Solubility Parameter)値と芳香族ポリエステル樹脂のSP値との差を小さく抑えることができる。これにより、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との親和性が高くなる。つまり、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とが相溶し易くなる。
脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とが相溶すれば、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との界面が存在しないので、その界面における絶縁性液体の保持を抑制できる。これにより、転写時に過剰な量の絶縁性液体がコア樹脂とともに上質紙に供給されることを防止できるので、絶縁性液体が脂肪族ポリエステル樹脂または芳香族ポリステル樹脂と上質紙との間に侵入することを防止できる。よって、上質紙へのトナー粒子の接着強度が高くなる。したがって、メジアン径D50の小さなトナー粒子を用いた場合であっても(例えば液体現像剤を用いて画像形成を行った場合であっても)、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることができる。
また、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との界面における絶縁性液体の保持が抑制されれば、絶縁性液体による脂肪族ポリエステル樹脂または芳香族ポリエステル樹脂の膨潤を防止できる。これによっても、画像の耐ひっかき性を高めることができる。
なお、本発明者らは、トナー粒子がコア/シェル構造を有し、コア樹脂の酸価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、且つ、酸価の差が0mgKOH/g以上15mgKOH/g未満であれば、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることができる、と考えている(例えば後述の比較例3〜5参照)。
脂肪族ポリエステル樹脂のSP値と芳香族ポリエステル樹脂のSP値との差を小さく抑える方法としては、種々の方法が考えられる。しかし、酸価の差を小さくするという方法を採用すれば、脂肪族ポリエステル樹脂のSP値と芳香族ポリエステル樹脂のSP値との差を効果的に小さく抑えることができる。
酸価の差が0mgKOH/g以上15mgKOH/g未満であれば、脂肪族ポリエステル樹脂の酸価の方が芳香族ポリエステル樹脂の酸価よりも大きくても良いし、芳香族ポリエステル樹脂の酸価の方が脂肪族ポリエステル樹脂の酸価よりも大きくても良い。酸価の差は、好ましくは14mgKOH/g以下であり、より好ましくは10mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは5mgKOH/g以下である。
次に示す方法にしたがって、ポリエステル樹脂の酸価を調整できる。例えば、アルコール成分に由来する構成単位の種類または酸成分に由来する構成単位の種類を変更する、アルコール成分に由来する構成単位となるモノマーと酸成分に由来する構成単位となるモノマーとの混合モル比を変更する、または、縮合重合反応の条件を変更する等が挙げられる。これらのいずれかの方法を採用することによって、アルコール成分に由来する構成単位となるモノマーに含まれるヒドロキシル基の量(モル量)を酸成分に由来する構成単位となるモノマーに含まれるカルボキシル基の量(モル量)よりも多くする。このようにして、両末端にヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂(以下では「ポリエステル樹脂の中間体」と記す)を合成する。ポリエステル樹脂の中間体に含まれるヒドロキシル基の量(モル量)と多価カルボン酸に含まれるカルボキシル基の量(モル量)との大小関係を調整してポリエステル樹脂の中間体と多価カルボン酸とを反応させれば、ポリエステル樹脂の酸価を最適化できる。ここで、「多価カルボン酸」とは、2つ以上の官能基(例えばカルボキシル基)を有するカルボン酸を意味する。
例えば、ポリエステル樹脂の中間体の合成方法に倣って、脂肪族ポリエステル樹脂の中間体を合成する。合成された脂肪族ポリエステル樹脂の中間体と脂肪族多価カルボン酸とを反応させる。このとき、脂肪族多価カルボン酸に含まれるカルボキシル基の量(モル量)を脂肪族ポリエステル樹脂の中間体に含まれるヒドロキシル基の量(モル量)よりも多くすれば、酸価の高い脂肪族ポリエステル樹脂が得られる。
また、ポリエステル樹脂の中間体の合成方法に倣って、芳香族ポリエステル樹脂の中間体を合成する。合成された芳香族ポリエステル樹脂の中間体と脂肪族多価カルボン酸または芳香族多価カルボン酸とを反応させる。このとき、脂肪族多価カルボン酸または芳香族多価カルボン酸に含まれるカルボキシル基の量(モル量)を芳香族ポリエステル樹脂の中間体に含まれるヒドロキシル基の量(モル量)よりも少なくすれば、酸価の低い芳香族ポリエステル樹脂が得られる。
また、後述するように、酸成分に由来する構成単位となる脂肪族系モノマーとして3つ以上の官能基(例えばカルボキシル基)を含むモノマーを用いれば、脂肪族ポリエステル樹脂の酸価が大きくなる。同様に、酸成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーとして3つ以上の官能基を含むモノマーを用いれば、芳香族ポリエステル樹脂の酸価が大きくなる。酸成分に由来する構成単位となる脂肪族系モノマーとして3つ以上の官能基を含むモノマーを用い、且つ、酸成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーとして3つ以上の官能基を含むモノマーを用いれば、脂肪族ポリエステル樹脂の酸価と芳香族ポリエステル樹脂の酸価とが大きくなるので、コア樹脂の酸価を大きくすることができる。
(構成単位)
酸成分に由来する構成単位となる脂肪族系モノマーとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、又は、1,18−オクタデカンジカルボン酸等が挙げられる。これらの低級アルキルエステルを用いても良いし、これらの酸無水物を用いても良い。ポリエステル樹脂の結晶性が促進されるという観点では、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、又は、1,12−ドデカンジカルボン酸を用いることがより好ましい。このような脂肪族系モノマーとしては、上記のいずれかを単独で用いても良いし、上記のいずれかの2種以上を組み合わせて用いても良い。
より好ましくは、酸成分に由来する構成単位となる脂肪族系モノマーとして、例えば、ブタントリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸、オクタンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、及び、ブタンテトラカルボン酸のうちの少なくとも1つ(いずれも、3つ以上の官能基を含むモノマー)を用いる。これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルを用いても良い。これにより、コア樹脂の酸価が大きくなるので、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることができる。
アルコール成分に由来する構成単位となる脂肪族系モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、又は、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。ポリエステル樹脂の結晶性が促進されるという観点では、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、又は、1,10−デカンジオールを用いることが好ましい。このような脂肪族系モノマーとしては、上記のいずれかを単独で用いても良いし、上記のいずれかの2種以上を組み合わせて用いても良い。
酸成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーとしては、芳香族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸の低級アルキルエステル、又は、芳香族多価カルボン酸の酸無水物等を挙げることができる。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、又は、トリメリット酸等を挙げることができる。入手容易性の観点では、テレフタル酸、イソフタル酸、又は、5−tert−ブチルイソフタル酸を用いることが好ましい。
より好ましくは、酸成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーとして、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ナフタレントリカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、及び、ピロメリット酸のうちの少なくとも1つ(いずれも、3つ以上の官能基を含むモノマー)を用いる。これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルを用いても良い。これにより、コア樹脂の酸価が大きくなるので、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることができる。
アルコール成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーとしては、芳香族多価アルコール等を挙げることができる。具体的には、下記式(I)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
Figure 2016166990
上記式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数2又は3のアルキレン基を示す。m及びnは、それぞれ独立して、0又は正の整数を示す。mとnとの和は、1以上16以下である。
脂肪族ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は1000以上25000以下であることが好ましく、脂肪族ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)は2000以上200000以下であることが好ましい。芳香族ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は1000以上25000以下であることが好ましく、芳香族ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)は2000以上200000以下であることが好ましい。なお、数平均分子量及び質量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography、ゲル浸透クロマ
トグラフィー)により測定できる。
コア樹脂は、脂肪族ポリエステル樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂以外の他の樹脂を10質量%未満含んでも良い。脂肪族ポリエステル樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂以外の他の樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂等を挙げることができる。その含有率が10質量%以上となると、ポリエステル樹脂の分子鎖を規則的に配列し難くなることがある。
(結晶性と非結晶性)
DSC(Differential Scanning Calorimetry)法により測定されたポリエステル樹脂の溶融熱が下記数式(1)及び(2)を満たす場合、ポリエステル樹脂は結晶性樹脂であると定義される。
5≦H1≦100 ・・・数式(1)
0.2≦H2/H1≦1.0・・・数式(2)
上記数式(1)及び(2)において、H1は、DSC法による初回昇温時の融解熱(J/g)を表し、H2は、DSC法による2回目昇温時の融解熱(J/g)を表す。
H1は、ポリエステル樹脂の溶融速度の指標である。一般に、融解熱を有する樹脂は、シャープメルト性を有するため、少ないエネルギーで溶融する。ポリエステル樹脂のH1が100を超えると、定着エネルギーの低減を図ることが難しい。そのため、トナー粒子の定着性の低下を招く。一方、ポリエステル樹脂のH1が5未満であれば、定着エネルギーが少なくなり過ぎるため、ドキュメントオフセットが発生し易くなる。しかし、ポリエステル樹脂のH1が上記数式(1)を満たせば、ドキュメントオフセットの発生を防止でき、また、トナー粒子の定着性の低下を防止できる。好ましくは15≦H1≦80であり、より好ましくは35≦H1≦70である。
上記数式(2)におけるH2/H1は、ポリエステル樹脂の結晶化速度の指標である。一般に、樹脂からなる粒子(樹脂粒子)を溶融させた後に冷却して使用する場合、当該樹脂粒子中の結晶成分に結晶化されていない部分が存在していれば、当該樹脂粒子の抵抗値が下がる、又は、当該樹脂粒子が可塑化されるなどという不具合が生じる。このような不具合が発生すると、冷却により得られた樹脂粒子の性能が当初設計した性能と異なることがある。以上のことから、樹脂粒子中の結晶成分を速やかに結晶化させ、樹脂粒子の性能に影響を与えないようにする必要がある。H2/H1は、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。また、ポリエステル樹脂の結晶化速度が速ければ、H2/H1は1.0に近づくため、H2/H1は、1.0に近い値を取ることが好ましい。
なお、上記数式(2)におけるH2/H1は、理論的には1.0を超えないが、DSC法による実測値では1.0を超えることがある。DSC法による実測値(H2/H1)が1.0を超えた場合も、上記数式(2)を満たすものとする。
H1及びH2は、JIS−K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に準拠して測定することができる。具体的には、まず、ポリエステル樹脂を5mg採取して、アルミパンに入れる。示差走査熱量測定装置(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の品番「RDC220」又はセイコーインスツル株式会社製の品番「DSC20」等)を用いて、昇温速度を毎分10℃として、溶融によるポリエステル樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S1を求める。そして、求められた吸熱ピークの面積S1から、H1を算出することができる。H1を算出してから、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、昇温速度を毎分10℃として、溶融によるポリエステル樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S2を求める。そして、求められた吸熱ピークの面積S2から、H2を算出することができる。
H1及びH2は、示差走査熱量計(例えばセイコーインスツル株式会社製の品番「DSC210」)を用いて、以下に示す方法にしたがって測定することもできる。まず、0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料とポリエステル樹脂とを加熱し、標準試料の熱量とポリエステル樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差がポリエステル樹脂のDSC法による溶融熱H1である。その後、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料とポリエステル樹脂とを加熱し、標準試料の熱量とポリエステル樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差がポリエステル樹脂のDSC法による溶融熱H2である。
<シェル樹脂>
シェル樹脂は、コア粒子の表面に付着してコア粒子の分散性を高める作用を有する。つまり、シェル樹脂は、高分子分散剤として機能する。
上述したように、本実施形態のトナー粒子がコア/シェル構造を有するので、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることができる。その理由としては、断定できないが、以下に示すことが考えられる。
シェル樹脂のガラス転移点が室温よりも十分低い場合、コア粒子の表面では、絶縁性液体が存在しなくなると、シェル樹脂が一体化されて膜を形成する。本明細書では、この現象を「シェル樹脂の自己成膜性」と表現する。このように、絶縁性液体が存在しなくなった状態でシェル樹脂の自己成膜性が発現するので、次に示す効果が得られる。
液体現像剤を上質紙に熱定着させると、上質紙の表面に形成されているトナー層に存在する絶縁性液体、または、トナー層と上質紙との界面(詳細には、トナー層に含まれるトナー粒子が有するコア粒子と上質紙との界面。以下において同様である)に存在する絶縁性液体は、蒸発または上質紙へ浸透する。これにより、上質紙の表面に存在する絶縁性液体の量(詳細には、トナー層に存在する絶縁性液体の量とトナー層と上質紙との界面に存在する絶縁性液体の量との合計。以下において同様である)が減少する。
ここで、液体現像剤に含まれるトナー粒子はコア/シェル構造を有する。そのため、トナー層が熱定着によって溶融した後であっても、トナー層と上質紙との界面にはシェル樹脂がリッチに存在している。つまり、トナー層と上質紙との界面においてシェル樹脂がリッチに存在した状態で、上質紙の表面に存在する絶縁性液体の量が減少することとなる。よって、シェル樹脂の自己成膜性が発現する。
トナー層と上質紙との界面においてシェル樹脂の自己成膜性が発現すると、上質紙へのトナー粒子の接着強度が向上する。また、トナー層においてシェル樹脂の自己成膜性が発現すると、トナー層に含まれるトナー粒子間の接着強度が向上する。これらのことから、上質紙へのトナー粒子の定着強度を高めることができる。この効果を効果的に得るためには、シェル樹脂は、絶縁性液体に対して親和性を有するモノマーに由来する構成単位(以下では「親オイル構成単位」と記す)として、長鎖アルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を30質量%以上含むことが好ましい。
詳細には、トナー粒子の製法上の観点から、また、トナー粒子の保管安定性の観点から、シェル樹脂は、コア樹脂に対して親和性を有するモノマーに由来する構成単位(以下では「親コア構成単位」と記す)と親オイル構成単位とを含むことが好ましい。そして、シェル樹脂が親オイル構成単位として長鎖アルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を30質量%以上含んでいれば、シェル樹脂のガラス転移点が室温よりも十分低くなるので、上質紙へのトナー粒子の定着強度をより一層、高めることができる。より好ましくは、シェル樹脂は親オイル構成単位として長鎖アルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を40質量%以上含む。
また、シェル樹脂は、親オイル構成単位として長鎖アルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を90質量%以下含むことが好ましい。これにより、シェル樹脂における親コア構成単位の含有量を確保できるので、シェル樹脂が高分子分散剤として機能し易くなる。
このようなシェル樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれであっても良く、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、または、ポリカーボネート樹脂などであることが好ましい。シェル樹脂は、コア樹脂とは異なる成分からなるポリステル樹脂であっても良い。
トナー粒子の製造時に当該トナー粒子の形状を制御し易いという観点では、シェル樹脂は、好ましくはビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂であり、より好ましくはビニル樹脂である。シェル樹脂は、これらのうちの1つの樹脂から構成されても良いし、2種以上の樹脂が混合されて構成されても良い。以下ではビニル樹脂について説明する。
(ビニル樹脂)
ビニル樹脂は、重合性二重結合を有するモノマーが単独重合されて得られた単独重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む単独重合体)であってもよいし、重合性二重結合を有する二種以上のモノマーが共重合されて得られた共重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む共重合体)であってもよい。重合性二重結合を有するモノマーとしては、例えば下記(1)〜(9)が挙げられる。
(1) 重合性二重結合を有する炭化水素
(1−1) 重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素
(1−1−1) 重合性二重結合を有する鎖状の脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する鎖状の脂肪族炭化水素は、例えば、炭素数が2以上30以下のアルケン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンまたはオクタデセンなど)、または、炭素数が4以上30以下のアルカジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエンなど)などであることが好ましい。
(1−1−2) 重合性二重結合を有する環状の脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する環状の脂肪族炭化水素は、例えば、炭素数が6以上30以下のモノシクロアルケンまたはジシクロアルケン(例えば、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセンまたはエチリデンビシクロヘプテンなど)、または、炭素数が5以上30以下のモノシクロアルカジエンまたはジシクロアルカジエン(例えば、モノシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンなど)などであることが好ましい。
(1−2) 重合性二重結合を有する芳香族炭化水素
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素は、例えば、スチレン、スチレンのハイドロカルビル(例えば、炭素数が1以上30以下のアルキル、シクロアルキル、アラルキルまたはアルケニル)置換体(例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンまたはトリビニルベンゼンなど)、または、ビニルナフタレンなどであることが好ましい。
(2) カルボキシル基と重合性二重結合とを有するモノマーおよびそれらの塩
カルボキシル基と重合性二重結合とを有するモノマーは、例えば、炭素数が3以上15以下の不飽和モノカルボン酸[例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸または桂皮酸など]、炭素数が3以上30以下の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸またはメサコン酸など]、炭素数が3以上10以下の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1以上10以下)エステル(例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステルまたはシトラコン酸モノデシルエステルなど)などであることが好ましい。本明細書では、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルのうちの少なくとも1つを意味する。
上記モノマーの塩は、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩、または、第4級アンモニウム塩などであることが好ましい。
アミン塩は、アミン化合物であれば特に限定されず、例えば、第1級アミン塩(例えば、エチルアミン塩、ブチルアミン塩またはオクチルアミン塩など)、第2級アミン塩(例えば、ジエチルアミン塩またはジブチルアミン塩など)、または、第3級アミン塩(例えば、トリエチルアミン塩またはトリブチルアミン塩など)などであることが好ましい。
第4級アンモニウム塩は、例えば、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、または、トリブチルラウリルアンモニウム塩などであることが好ましい。
カルボキシル基と重合性二重結合とを有するモノマーの塩は、例えば、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウムまたはアクリル酸アルミニウムなどであることが好ましい。
(3) スルホ基と重合性二重結合とを有するモノマーおよびそれらの塩
(4) ホスホノ基と重合性二重結合とを有するモノマーおよびその塩
(5) ヒドロキシル基と重合性二重結合とを有するモノマー
上記(3)〜(5)については具体例を列挙しないが、ビニル樹脂のモノマーとして使用できる。
(6) 重合性二重結合を有する含窒素モノマー
(6−1) アミノ基と重合性二重結合とを有するモノマー
アミノ基と重合性二重結合とを有するモノマーは、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールまたはアミノメルカプトチアゾールなどであることが好ましい。
アミノ基と重合性二重結合とを有するモノマーは、上記列挙したモノマーの塩であってもよい。上記列挙したモノマーの塩としては、例えば上記「(2) カルボキシル基と重合性二重結合とを有するモノマーおよびそれらの塩」において「上記モノマーの塩」として列挙した塩が挙げられる。
(6−2) アミド基と重合性二重結合とを有するモノマー
アミド基と重合性二重結合とを有するモノマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドまたはN−ビニルピロリドンなどであることが好ましい。
(6−3) ニトリル基と重合性二重結合とを有する炭素数が3〜10のモノマー
ニトリル基と重合性二重結合とを有する炭素数が3以上10以下のモノマーは、例えば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンまたはシアノアクリレートなどであることが好ましい。
(6−4) ニトロ基と重合性二重結合とを有する炭素数が8〜12のモノマー
ニトロ基と重合性二重結合とを有する炭素数が8以上12以下のモノマーは、例えば、ニトロスチレンなどであることが好ましい。
(7) エポキシ基と重合性二重結合とを有する炭素数が6〜18のモノマー
(8) ハロゲン元素と重合性二重結合とを有する炭素数が2〜16のモノマー
上記(7)および(8)については具体例を列挙しないが、ビニル樹脂のモノマーとして使用できる。
(9) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステル
重合性二重結合を有する炭素数が4以上16以下のエステルは、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数が1以上11以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2以上8以下の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2以上8以下の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(例えば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタンなど)、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合とを有するモノマー[例えば、ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(以下では「エチレンオキサイド」を「EO」と記す)10モル付加物(メタ)アクリレートまたはラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレートなど]、または、ポリ(メタ)アクリレート類{例えば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]}などであることが好ましい。本明細書では、「(メタ)アリロ」は、アリロおよびメタリロの少なくともいずれか一方を意味する。
ビニル樹脂の具体例としては、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体、または、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
シェル樹脂がビニル樹脂である場合、ビニル樹脂は、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有するモノマーの単独重合体または共重合体であっても良いが、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有するモノマーと、長鎖アルキル基と重合性二重結合とを有するモノマーとが重合されたものであることが好ましい。これにより、上質紙へのトナー粒子の定着強度を更に高めることができる。
シェル樹脂がビニル樹脂である場合、長鎖アルキル基は、例えば、炭素数が12以上27以下の直鎖状の炭化水素鎖、炭素数が12以上27以下の分岐状の炭化水素鎖、または炭素数が4以上20以下のフルオロアルキル鎖などであることが好ましい。長鎖アルキル基と重合性二重結合とを有するモノマーのSP値と絶縁性液体のSP値との差が2以下であることが好ましい。本明細書では、「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された値を示す。
長鎖アルキル基と重合性二重結合とを有するモノマーは、例えば、以下に示す第1〜第3モノマーであることが好ましい。長鎖アルキル基と重合性二重結合とを有するモノマーとしては、第1〜第3モノマーのいずれかであっても良いし、第1〜第3モノマーのうちの2種以上を併用したものであっても良い。
第1モノマーは、炭素数が12以上27以下(好ましくは炭素数が16以上25以下)の直鎖状炭化水素鎖(長鎖アルキル基)と重合性二重結合とを有するモノマーであり、例えば、不飽和モノカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルまたは不飽和ジカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルなどである。不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸は、カルボキシル基を含み炭素数が3以上24以下のビニルモノマーであることが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸またはシトラコン酸などであることが好ましい。第1モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルまたは(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
第2モノマーは、炭素数が12以上27以下(好ましくは炭素数が16以上25以下)の分岐状炭化水素鎖(長鎖アルキル基)と重合性二重結合とを有するモノマーであり、例えば、不飽和モノカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルまたは不飽和ジカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルなどである。不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸については第1モノマーで記載したとおりである。第2モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなどが挙げられる。
第3モノマーは、炭素数が4以上20以下のフルオロアルキル鎖(長鎖アルキル基)と重合性二重結合とを有するモノマーである。第3モノマーの具体例としては、例えば、第1モノマーの具体例または第2モノマーの具体例において炭化水素鎖をフルオロアルキル鎖に置換したものなどが挙げられる。
シェル樹脂のMnは、好ましくは100以上5000000以下であり、より好ましくは200以上5000000以下であり、更に好ましくは500以上500000以下である。シェル樹脂のMnは、GPC(Gel Permeation Chromatography、ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定できる。
シェル樹脂のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm31/2程度であり、より好ましくは8〜14(cal/cm31/2程度である。
このようなシェル樹脂は、コア粒子の表面において、粒子状に形成されていても良いし、膜状に形成されていても良い。シェル粒子(シェル樹脂を含む粒子)またはシェル膜(シェル樹脂を含む膜)は、着色剤または任意の成分(例えば、顔料分散剤、ワックスまたは荷電制御剤等)を更に含んでも良い。
トナー粒子のメジアン径D50が所望の範囲となるように、シェル分散液に含まれるシェル粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメジアン径D50(以下では「シェル粒子のメジアン径D50」と記す)を適宜、調整することが好ましい。シェル粒子のメジアン径D50は、好ましくは0.0005μm以上3μm以下である。シェル粒子のメジアン径D50の上限は、より好ましくは2μmであり、更に好ましくは1μmである。シェル粒子のメジアン径D50の下限は、より好ましくは0.01μmであり、更に好ましくは0.02μmであり、より一層好ましくは0.04μmである。例えば、メジアン径D50が1μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径D50は、好ましくは0.0005μm以上0.3μm以下であり、より好ましくは0.001μm以上0.2μm以下である。また、メジアン径D50が10μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径D50は、好ましくは0.005μm以上3μm以下であり、より好ましくは0.05μm以上2μm以下である。
シェル粒子のメジアン径D50は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製の品番「LA−920」またはベックマン・コールター社製の品番「マルチサイザーIII」)、または、光学系としてレーザードップラー法を用いる粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製の品番「ELS−800」)などを用いて測定可能である。異なる測定測定を用いてシェル粒子のメジアン径D50を測定したときにその測定値に差が生じた場合には、粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製の品番「ELS−800」)での測定値を採用する。
<着色剤>
着色剤は、脂肪族ポリエステル樹脂及び芳香族ポリエステル樹脂の少なくとも一方に分散されており、好ましくは0.3μm以下の粒径を有する。着色剤の粒径が0.3μm以下であれば、着色剤の分散性をより一層高めることができるので、画像の光沢度をより一層高めることができ、よって、所望の色目の実現が容易となる。
着色剤としては、従来公知の顔料等を特に限定されることなく使用できるが、コスト、耐光性、及び、着色性等の観点から以下の顔料を使用することが好ましい。なお、色彩構成上、これらの顔料は、通常、ブラック顔料とイエロー顔料とマゼンタ顔料とシアン顔料とに分類される。基本的には、ブラック以外の色彩(カラー画像)は、イエロー顔料、マゼンタ顔料又はシアン顔料の減法混色により調色される。以下に示す顔料を単独で用いても良いし、必要に応じて以下に示す顔料の2種以上を併用して用いても良い。
ブラック着色剤に含まれる顔料(ブラック顔料)としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック又はランプブラック等のカーボンブラックを用いても良いし、バイオマス由来のカーボンブラック等を用いても良いし、マグネタイト又はフェライト等の磁性粉を用いても良い。紫黒色染料であるニグロシン(アジン系化合物)を単独又は併用して用いても良い。ニグロシンとしては、C.I.ソルベントブラック7又はC.I.ソルベントブラック5等を用いることができる。
マゼンタ着色剤に含まれる顔料(マゼンタ顔料)としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、又は、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
イエロー着色剤に含まれる顔料(イエロー顔料)としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、又は、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
シアン着色剤に含まれる顔料(シアン顔料)としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、又は、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
<トナー粒子における任意の成分(顔料分散剤)>
トナー粒子における任意の成分の一例として、顔料分散剤が挙げられる。顔料分散剤は、トナー粒子において着色剤(顔料)を均一に分散させる作用を有するものであり、塩基性分散剤であることが好ましい。塩基性分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、顔料分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、そのガラス製スクリュー管をペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過した。このようにして得られたろ液のpHをpHメータ(商品名:「D−51」、堀場製作所社製)
を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする。なお、そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする。
このような塩基性分散剤の種類は特に限定されない。塩基性分散剤は、例えば、アミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、又は、イミダゾリウム基等の官能基を分子内に有する化合物であることが好ましい。なお、分散剤としては、通常、分子内に親水性部分と疎水性部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当する。しかし、トナー粒子において着色剤(顔料)を均一に分散させる作用を有するのであれば、界面活性剤に限定されず、種々の化合物を用いることができる。
このような塩基性分散剤の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)又は「アジスパーPB−881」(商品名)等を用いても良いし、日本ルーブリゾール株式会社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)又は「ソルスパーズ37500」(商品名)等を用いても良い。
顔料分散剤としては、絶縁性液体に溶解しないものを選択することがより好ましい。この点を考慮すれば、味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)又は「アジスパーPB−881」(商品名)等を用いることがより好ましい。詳細なメカニズムは不明であるが、このような顔料分散剤を使用すると、所望の形状を有するトナー粒子が得られ易くなる。
このような顔料分散剤は、着色剤(顔料)に対して、好ましくは1〜100質量%添加され、より好ましくは1〜40質量%添加されている。顔料分散剤の添加量が1質量%以上であれば、着色剤(顔料)の分散性を確保できるので、必要なID(画像濃度)を達成でき、また、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を確保できる。顔料分散剤の添加量が100質量%以下であれば、顔料分散剤の添加量が過剰となることを防止できるので、顔料分散剤の余剰分が絶縁性液体へ溶解することを防止でき、よって、トナー粒子の荷電性又はトナー粒子の定着強度等を良好な状態に維持できる。上記顔料分散剤を単独で用いても良いし、必要に応じて上記顔料分散剤の2種以上を併用しても良い。
<絶縁性液体>
絶縁性液体は、その抵抗値が静電潜像を乱さない程度(1011〜1016Ω・cm程度)であることが好ましく、臭気及び毒性が低い溶媒であることが好ましい。絶縁性液体としては、一般的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素又はポリシロキサン等が挙げられる。特に、低臭気、低害性、低コスト等の観点から、絶縁性液体としては、ノルマルパラフィン系溶媒又はイソパラフィン系溶媒を用いることが好ましい。より好ましくは、モレスコホワイト(商品名、松村石油株式会社製)、アイソパー(商品名、エクソンモービル製)又はシェルゾール(商品名、シェルケミカルズジャパン株式会社製)等を用いることであり、IPソルベント1620、IPソルベント2028又はIPソルベント2835(いずれも商品名、出光興産株式会社製)等を用いることである。
<液体現像剤の製造>
本実施形態の液体現像剤の製造方法としては、特に限定されず、例えば造粒法または粉砕法などの従来公知の技法が挙げられる。小径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子を得るためには、粉砕法よりも造粒法を採用することが好ましい。溶融性の高い樹脂または結晶性の高い樹脂は、常温でも柔らかく、粉砕され難い。そのため、粉砕法では、トナー粒子の粒径を所望の粒径に制御できないことがある。しかし、造粒法では、所望の粒径を有するトナー粒子を得ることができる。
造粒法には、トナー粒子の形成機構の違いから、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加してトナー粒子を析出させる方法、または、スプレードライ法などが含まれる。
より好ましくは、樹脂溶液に貧溶媒を添加してトナー粒子を析出させる方法を採用する。この方法では、まず、コア樹脂を良溶媒に溶解させてコア樹脂形成用溶液(分散相)を得る。コア樹脂形成用溶液を界面張力調整剤(例えばシェル樹脂(連続相))とともに貧溶媒(SP値が良溶媒とは異なる)に混合した後、せん断を与えて液滴を形成する。その後、良溶媒を揮発させると、トナー粒子を含む液体現像剤が得られる。この方法では、せん断の与え方、界面張力差、または、界面張力調整剤(例えばシェル樹脂)を適宜調整することにより、トナー粒子の粒度又はトナー粒子の形状を高度に制御できる。よって、この方法は、所望の粒度分布および所望の形状を有するトナー粒子を得る方法として好適である。
コア樹脂形成用溶液をシェル樹脂とともに貧溶媒に混合する場合、シェル樹脂を含むシェル粒子が貧溶媒に分散されてなる分散液(シェル用分散液)にコア樹脂形成用溶液を混合することが好ましい。例えば次の[1]〜[7]のうちのいずれかの方法でシェル粒子を製造することが好ましい。シェル粒子の製造し易さという観点では、[4]、[6]または[7]の方法でシェル粒子を製造することが好ましく、[6]または[7]の方法でシェル粒子を製造することがより好ましい。
[1] ジェットミルなどの公知の乾式粉砕機を用いてシェル樹脂を乾式で粉砕させる
[2] シェル樹脂の粉末を有機溶剤中に分散させ、ビーズミルまたはロールミルなどの公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕させる
[3] スプレードライヤーなどを用いてシェル樹脂の溶液を噴霧し、乾燥させる
[4] シェル樹脂の溶液に対して貧溶媒の添加または冷却を行なって、シェル樹脂を過飽和させて析出させる
[5] シェル樹脂の溶液を水または有機溶剤中に分散させる
[6] シェル樹脂の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法または懸濁重合法などにより重合させる
[7] シェル樹脂の前駆体を有機溶剤中で分散重合などにより重合させる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に限定されない。
<製造例1>[脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、ヘキサンジオール432質量部とセバシン酸568質量部とチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮合触媒)2質量部とを入れた。生成する水を除去しながら、180℃で、窒素気流下で、8時間反応させた。
次に、220℃まで徐々に昇温しながら、また、生成する水を除去しながら、窒素気流下で4時間反応させた。その後、0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させた。上記反応容器に無水トリメリット酸66質量部を更に入れ、180℃で1時間反応させた。このようにして脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)を得た。脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)のMnと脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)の酸価とをそれぞれ前述の方法で測定したところ、Mnは2100であり、酸価は36mgKOH/gであった。
<製造例2>[脂肪族ポリエステル樹脂(A−2)の製造]
無水トリメリット酸の配合量を30質量部に変更したことを除いては製造例1に記載の方法にしたがって、脂肪族ポリエステル樹脂(A−2)を得た。脂肪族ポリエステル樹脂(A−2)のMnと脂肪族ポリエステル樹脂(A−2)の酸価とを前述の方法で測定したところ、Mnは2100であり、酸価は17mgKOH/gであった。
<製造例3>[脂肪族ポリエステル樹脂(A−3)の製造]
無水トリメリット酸の配合量を83質量部に変更したことを除いては製造例1に記載の方法にしたがって、脂肪族ポリエステル樹脂(A−3)を得た。脂肪族ポリエステル樹脂(A−3)のMnと脂肪族ポリエステル樹脂(A−3)の酸価とを前述の方法で測定したところ、Mnは2200であり、酸価は45mgKOH/gであった。
<製造例4>[脂肪族ポリエステル樹脂(A−4)の製造]
無水トリメリット酸の配合量を9質量部に変更したことを除いては製造例1に記載の方法にしたがって、脂肪族ポリエステル樹脂(A−4)を得た。脂肪族ポリエステル樹脂(A−4)のMnと脂肪族ポリエステル樹脂(A−4)の酸価とを前述の方法で測定したところ、Mnは2000であり、酸価は5mgKOH/gであった。
<製造例5>[芳香族ポリエステル樹脂(B−1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物728質量部とイソフタル酸136質量部とテレフタル酸136質量部とチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮合触媒)2質量部とを入れた。生成する水を除去しながら、180℃で、窒素気流下で、8時間反応させた。
次に、220℃まで徐々に昇温しながら、また、生成する水を除去しながら、窒素気流下で4時間反応させた。その後、0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させた。上記反応容器に無水トリメリット酸40質量部を更に入れ、180℃で1時間反応させた。このようにして芳香族ポリエステル樹脂(B−1)を得た。芳香族ポリエステル樹脂(B−1)のMnと芳香族ポリエステル樹脂(B−1)の酸価とを前述の方法で測定したところ、Mnは4300であり、酸価は40mgKOH/gであった。
<製造例6>[芳香族ポリエステル樹脂(B−2)の製造]
無水トリメリット酸の配合量を22質量部に変更したことを除いては製造例5に記載の方法にしたがって、芳香族ポリエステル樹脂(B−2)を得た。芳香族ポリエステル樹脂(B−2)のMnと芳香族ポリエステル樹脂(B−2)の酸価とを前述の方法で測定したところ、Mnは4200であり、酸価は22mgKOH/gであった。
<製造例7>[芳香族ポリエステル樹脂(B−3)の製造]
無水トリメリット酸の配合量を100質量部に変更したことを除いては製造例5に記載の方法にしたがって、芳香族ポリエステル樹脂(B−3)を得た。芳香族ポリエステル樹脂(B−3)のMnと芳香族ポリエステル樹脂(B−3)の酸価とを前述の方法で測定したところ、Mnは4400であり、酸価は53mgKOH/gであった。
<製造例8>[コア樹脂形成用溶液(1)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)192質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−1)208質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(1)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(1)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価(コア樹脂の酸価に相当。以下同様)は38mgKOH/gであった。
<製造例9>[コア樹脂形成用溶液(2)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)24質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−1)376質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(2)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(2)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は40mgKOH/gであった。
<製造例10>[コア樹脂形成用溶液(3)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−2)100質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−2)300質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(3)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(3)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は21mgKOH/gであった。
<製造例11>[コア樹脂形成用溶液(4)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−3)120質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−3)280質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(4)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(4)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は51mgKOH/gであった。
<製造例12>[コア樹脂形成用溶液(5)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)120質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−2)280質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(5)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(5)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は26mgKOH/gであった。
<製造例13>[コア樹脂形成用溶液(6)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)100質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−1)300質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(6)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(6)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は39mgKOH/gであった。
<製造例14>[コア樹脂形成用溶液(7)の製造]
芳香族ポリエステル樹脂(B−1)400質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、芳香族ポリエステル樹脂(B−1)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(7)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(7)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は40mgKOH/gであった。
<製造例15>[コア樹脂形成用溶液(8)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)240質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−1)160質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(8)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(8)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は38mgKOH/gであった。
<製造例16>[コア樹脂形成用溶液(9)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−4)120質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−3)280質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(9)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(9)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は17mgKOH/gであった。
<製造例17>[コア樹脂形成用溶液(10)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−2)80質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−1)320質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(10)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(10)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は35mgKOH/gであった。
<製造例18>[コア樹脂形成用溶液(11)の製造]
脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)152質量部と芳香族ポリエステル樹脂(B−1)248質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(11)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(11)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価は38mgKOH/gであった。
<製造例19>[シェル用分散液(C−1)の製造]
ガラス製ビーカーに、メタクリル酸n−オクチル(長鎖アルキル基を有するモノマー)45質量部とメタクリル酸2−デシルテトラデシル(長鎖アルキル基を有するモノマー)15質量部とメタクリル酸15質量部と片末端メタクリロイル化ポリメタクリル酸メチルオリゴマー(東亞合成株式会社製の商品名「AA−6」、Mn=6000)25質量部とアゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.1質量部とを入れ、20℃で撹拌した。これにより、単量体溶液を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器を準備した。この反応容器内にTHF100質量部を入れ、滴下ロートに上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、単量体溶液を密閉下70℃で1時間かけてTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部との混合物を単量体溶液に添加した。70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液200質量部を撹拌下の絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)300質量部に滴下した後、0.039MPaの減圧下で40℃でTHFを除去した。このようにしてシェル用分散液(C−1)を得た。シェル用分散液(C−1)に含まれるシェル樹脂のMnを前述の方法で測定したところ、40000であった。
<製造例20>[シェル用分散液(C−2)の製造]
メタクリル酸n−オクチル(長鎖アルキル基を有するモノマー)の配合量を15質量部に変更しメタクリル酸の配合量を45質量部に変更したことを除いては製造例19に記載の方法にしたがって、シェル用分散液(C−2)を得た。シェル用分散液(C−2)に含まれるシェル樹脂のMnを前述の方法で測定したところ、40000であった。
<製造例21>[シェル用分散液(C−3)の製造]
メタクリル酸n−オクチル(長鎖アルキル基を有するモノマー)の配合量を5質量部に変更しメタクリル酸の配合量を55質量部に変更したことを除いては製造例19に記載の方法にしたがって、シェル用分散液(C−3)を得た。シェル用分散液(C−3)に含まれるシェル樹脂のMnを前述の方法で測定したところ、40000であった。
<製造例22>[着色剤分散液(1)の製造]
ビーカーに、銅フタロシアニン(DIC株式会社製の商品名「Fastogen Blue FDB-14」)(着色剤(顔料))25質量部と顔料分散剤(味の素ファインテクノ株式会社製の商品名「アジスパーPB−821」)4質量部とアセトン75質量部とを入れて撹拌し、銅フタロシアニンを均一に分散させた。ビーズミルを用いて銅フタロシアニンを微分散して着色剤の分散液を得た。着色剤分散液(1)における銅フタロシアニンのメジアン径D50は0.2μmであった。
<実施例1>[液体現像剤(1)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(1)410質量部と着色剤分散液(1)190質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて16000rpmで撹拌した。このようにして、着色剤が均一に分散された樹脂溶液を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)670質量部とシェル用分散液(C−1)60質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でクレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を用いて20000rpmで撹拌しながら、上記樹脂溶液600質量部を入れ、2分間、撹拌した。
得られた混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。同温度で、0.039MPaの減圧下で、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで、アセトンを混合液から除去した。これにより、液体現像剤(1)を得た。液体現像剤(1)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<実施例2>[液体現像剤(2)の製造]
コア樹脂形成用溶液(1)の代わりにコア樹脂形成溶液(2)を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤(2)を得た。液体現像剤(2)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<実施例3>[液体現像剤(3)の製造]
コア樹脂形成用溶液(1)の代わりにコア樹脂形成溶液(3)を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤(3)を得た。液体現像剤(3)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<実施例4>[液体現像剤(4)の製造]
コア樹脂形成用溶液(1)の代わりにコア樹脂形成溶液(4)を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤(4)を得た。液体現像剤(4)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<実施例5>[液体現像剤(5)の製造]
コア樹脂形成用溶液(1)の代わりにコア樹脂形成溶液(5)を用いシェル用分散液(C−1)の代わりにシェル用分散液(C−2)を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤(5)を得た。液体現像剤(5)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<実施例6>[液体現像剤(6)の製造]
コア樹脂形成用溶液(1)の代わりにコア樹脂形成溶液(6)を用いシェル用分散液(C−1)の代わりにシェル用分散液(C−2)を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤(6)を得た。液体現像剤(6)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<実施例7>[液体現像剤(7)の製造]
シェル用分散液(C−2)の代わりにシェル用分散液(C−3)を用いたことを除いては実施例6に記載の方法にしたがって、液体現像剤(7)を得た。液体現像剤(7)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<比較例1>[液体現像剤(8)の製造]
コア樹脂形成用溶液(1)の代わりにコア樹脂形成溶液(7)を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤(8)を得た。液体現像剤(8)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<比較例2>[液体現像剤(9)の製造]
コア樹脂形成用溶液(1)の代わりにコア樹脂形成溶液(8)を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤(9)を得た。液体現像剤(9)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<比較例3>[液体現像剤(10)の製造]
コア樹脂形成用溶液(1)の代わりにコア樹脂形成溶液(9)を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤(10)を得た。液体現像剤(10)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<比較例4>[液体現像剤(11)の製造]
コア樹脂形成用溶液(1)の代わりにコア樹脂形成溶液(10)を用いたことを除いては実施例1に記載の方法にしたがって、液体現像剤(11)を得た。液体現像剤(11)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<比較例5>[液体現像剤(12)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(12)410質量部と着色剤分散液(1)190質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて16000rpmで撹拌した。このようにして、着色剤が均一に分散された樹脂溶液を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)670質量部を入れて撹拌した。次に、25℃でクレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を用いて20000rpmで撹拌しながら、上記樹脂溶液600質量部を入れ、2分間、撹拌した。
得られた混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。同温度で、0.039MPaの減圧下で、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで、アセトンを混合液から除去した。これにより、液体現像剤(12)を得た。液体現像剤(12)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<定着強度(上質紙へのトナー粒子の定着強度)の測定>
まず、後述の方法にしたがって、べたパターン画像(画像濃度:5g/m2)を上質紙(商品名「金菱」、三菱製紙株式会社製、127.9g/m2)の表面に形成した。これにより、上質紙の表面には、3層のベタパターン画像が形成された。その後、ヒートローラを用いて、3層のベタパターン画像を上質紙の表面に定着させた。ヒートローラの設定温度は120℃であり、定着NIP時間は50msecであり、熱ローラ定着器を通過した直後の上質紙の温度は90℃であった。
3層のベタパターン画像が定着された上質紙を室温で1時間放置した後、この上質紙における測定対象部位にテープ(商品名「スコッチメンディングテープ」、住友スリーエム株式会社製)を貼り付けた。その後、そのテープを、測定対象部位から剥離して基準の用紙(商品名「CFペーパー」、コニカミノルタ株式会社製)に貼り付けた。反射濃度計(商品名:「SpectroEye」、X−Rite社製)を用いてテープが貼り付けられた部分の画像濃度(ID)を測定した。このようにして評価用画像濃度を測定した。
また、上記テープを上質紙に貼り付けることなく上記基準の用紙に貼り付け、テープが貼り付けられた部分の画像濃度(基準用画像濃度)を測定した。そして、評価用画像濃度と基準用画像濃度との差(ΔID)を求めた。その結果を表1に示す。
表1では、ΔIDが0.1未満であった場合に「A1」と記し、ΔIDが0.1以上0.15未満であった場合に「B1」と記し、ΔIDが0.15以上であった場合に「C1」と記す。ΔIDが低いほど、3層のベタパターン画像がテープによって剥離され難いので、上質紙へのトナー粒子の定着強度が高い、と言える。また、本実施例では定着時のローラの設定温度は120℃であり熱ローラ定着器を通過した直後の上質紙の温度は90℃であるので、ΔIDが低ければ低温での定着が実現されていると言える。
<耐ひっかき性の評価>
定着強度を測定するときに用いた画像(3層のベタパターン画像)を用いて、耐ひっかき性を評価した。ただし、定着強度がC1と評価された場合には、定着温度を調整して定着強度の評価がA1又はB1である画像(3層のベタパターン画像)を作製し、その画像の耐ひっかき性を評価した。
具体的には、半径が2.5mmである銅製の圧子を3層のベタパターン画像(評価画像)に接触させた。評価画像に向かう荷重を圧子にかけながら、評価画像を走査速度5mm/sで30mm移動させた。圧子にかける荷重を変え、評価画像の表面に形成されたひっかき傷を肉眼で認識できたときの「重さ」のうちの最小値(最少重さ)を調べた。ここで、「重さ」は、圧子から評価画像にかかる荷重を意味し、圧子自身の重量による影響も含む。その結果を表1に示す。
表1では、最少重さが40gf以上であった場合に「A2」と記し、最少重さが20gf以上40gf未満であった場合に「B2」と記し、最少重さが20gf未満であった場合に「C2」と記す。最少重さが重いほど画像が耐ひっかき性に優れると言える。
<画像の形成>
図1に示す画像形成装置を用いて画像を形成した。図1に示す画像形成装置の構成を以下に示す。液体現像剤21は、アニロックスローラ23により現像槽22内から汲み上げられる。アニロックスローラ23上の余剰の液体現像剤21は、アニロックス規制ブレード24により掻き取られ、残余の液体現像剤21は、ならしローラ25に送られる。ならしローラ25上では、液体現像剤21は厚さが均一且つ薄くなるように調整される。
ならしローラ25上の液体現像剤21は、現像ローラ26へ送られる。現像ローラ26上の液体現像剤21は現像チャージャー28により帯電されて感光体29上に現像され、余剰の液体現像剤は現像クリーニングブレード27により掻き取られる。詳細には、感光体29の表面は、帯電部30により一様に帯電されており、感光体29の周囲に配置された露光部31は、所定の画像情報に基づく光を感光体29の表面に照射する。これにより、感光体29の表面には、所定の画像情報に基づく静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像されることにより、トナー像が感光体29上に形成される。なお、感光体29上の余剰の液体現像剤はクリーニングブレード32に掻き取られる。
感光体29上に形成されたトナー像は一次転写部37において中間転写体33に一次転写され、中間転写体33に転写された液体現像剤は二次転写部38において記録媒体40(例えば上質紙)に二次転写される。二次転写されずに中間転写体33に残った液体現像剤は、中間転写体クリーニング部34により掻き取られる。
本実施例では、感光体29の表面は帯電部30によりプラスに帯電しており、中間転写体33の電位は−400Vであり、二次転写ローラ35の電位は−1200Vであった。記録媒体40の搬送速度は400mm/sであった。現像ローラ26上のトナー量は1.5g/m2であった。
<結果>
結果を表1に示す。
Figure 2016166990
表1において、「配合割合(質量%)*11」は、脂肪族ポリエステル樹脂の配合量(質量)と芳香族ポリエステル樹脂の配合量(質量)との合計(コア樹脂の質量)に対する脂肪族ポリエステル樹脂の配合量(質量)の割合を意味する。
「配合割合(質量%)*12」は、脂肪族ポリエステル樹脂の配合量(質量)と芳香族ポリエステル樹脂の配合量(質量)との合計に対する芳香族ポリエステル樹脂の配合量(質量)の割合を意味する。
「ΔAV*13」は、脂肪族ポリエステル樹脂の酸価と芳香族ポリエステル樹脂の酸価との差の大きさ(単位はmgKOH/g)を意味する。
「長鎖アルキル基を有するモノマーの配合割合(質量%)*14」は、シェル樹脂を構成するモノマーの全配合量(質量)に対する長鎖アルキル基を有するモノマーの配合量(質量)の割合を意味する。本実施例では、「メタクリル酸n−オクチル」と「メタクリル酸2−デシルテトラデシル」とが「長鎖アルキル基を有するモノマー」に相当する。
「コア/シェル*15」は、トナー粒子がコア/シェル構造を有することを意味する。「非コア/シェル*16」は、トナー粒子がコア/シェル構造を有さないことを意味する。表1に記載の「酸価」および「コア樹脂の酸価」のそれぞれの単位はmgKOH/gである。
<考察>
表1に示すように、比較例1では実施例1〜7に比べて定着強度(上質紙へのトナー粒子の定着強度)が低下し、比較例2では実施例1〜7に比べて画像の耐ひっかき性が低下した。この結果から、コア樹脂は、5質量%以上50質量%以下の脂肪族ポリエステル樹脂と50質量%以上95質量%以下の芳香族ポリエステル樹脂とを含むことが好ましいと言える。
比較例3〜5では、実施例1〜7に比べて、定着強度が低下した。この結果から、コア樹脂の酸価は20mgKOH/g以上であることが好ましく、酸価の差は15mgKOH/g未満であることが好ましく、トナー粒子はコア/シェル構造を有することが好ましいと言える。
実施例1、4及び6では、実施例2に比べて、定着強度が更に大きかった。実施例1、4及び6では、実施例2に比べて、脂肪族ポリエステル樹脂の配合量(質量)と芳香族ポリエステル樹脂の配合量(質量)との合計に対する脂肪族ポリエステル樹脂の配合量(質量)の割合が高い。そのため、このような結果が得られたと考えられる。
実施例1、4及び6では、実施例3及び5に比べて、定着強度が更に大きかった。この結果から、コア樹脂の酸価は30mgKOH/g以上であることが更に好ましいと言える。
実施例1、4及び6では、実施例7に比べて、定着強度が更に大きかった。この結果から、シェル樹脂は長鎖アルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を30質量%以上含むことが更に好ましいと言える。
実施例2〜7では、実施例1に比べて、画像の耐ひっかき性に更に優れた。この結果から、コア樹脂は芳香族ポリエステル樹脂を70質量%以上含むことが更に好ましいと言える。
今回開示された実施の形態及び実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 現像槽、3 第1ローラ、5 第2ローラ、21 液体現像剤、22 現像槽、23 アニロックスローラ、24 アニロックス規制ブレード、25 ならしローラ、26 現像ローラ、27 現像クリーニングブレード、28 現像チャージャー、29 感光体、30 帯電部、31 露光部、32 クリーニングブレード、33 中間転写体、34 中間転写体クリーニング部、35 二次転写ローラ、37 一次転写部、38 二次転写部、40 記録媒体。

Claims (2)

  1. 絶縁性液体と、前記絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える液体現像剤であって、
    前記トナー粒子は、コア/シェル構造を有し、
    前記コア/シェル構造は、コア樹脂を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ且つ前記コア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂とを有し、
    前記コア樹脂は、5質量%以上50質量%以下の脂肪族ポリエステル樹脂と、50質量%以上95質量%以下の芳香族ポリエステル樹脂とを含み、
    前記コア樹脂の酸価が20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、
    前記脂肪族ポリエステル樹脂の酸価と前記芳香族ポリエステル樹脂の酸価との差が0mgKOH/g以上15mgKOH/g未満である液体現像剤。
  2. 前記シェル樹脂は、長鎖アルキル基を有するモノマーに由来する構成単位を30質量%以上90質量%以下含む請求項1に記載の液体現像剤。
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