JP2011256072A - 発熱体を有するセラミック基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面の温度分布を均一にすることができる発熱体配線を有するセラミック基板を提供すること。
【解決手段】セラミック基板10は、基板面方向に沿って延びる配線収容部61が形成されたセラミック焼結体18と、金属焼結体からなり配線収容部61に埋設された発熱体配線60とを備える。配線収容部61は、底部62及び側壁63を有し、配線収容部61の幅方向に沿って切断したときの断面形状が逆台形状である。底部62と側壁63との境界部64は、角のない湾曲した表面形状を有している。
【選択図】図4
【解決手段】セラミック基板10は、基板面方向に沿って延びる配線収容部61が形成されたセラミック焼結体18と、金属焼結体からなり配線収容部61に埋設された発熱体配線60とを備える。配線収容部61は、底部62及び側壁63を有し、配線収容部61の幅方向に沿って切断したときの断面形状が逆台形状である。底部62と側壁63との境界部64は、角のない湾曲した表面形状を有している。
【選択図】図4
Description
本発明は、半導体ウェハの製造などに用いられるセラミック基板及びその製造方法に関するものである。
従来より、半導体製造装置では、半導体ウェハ(例えばシリコンウェハ)に対してドライエッチング、CVD、スパッタリング等の処理を行っている。これらの処理は、通常、半導体ウェハを加熱した状態で行われる。そこで、半導体ウェハの温度を調節(加熱または冷却)する技術が種々提案されている。
例えば特許文献1,2には、金属線や金属箔などからなる発熱体配線を埋設したセラミックヒータを用いて、セラミックヒータ上に載置した半導体ウェハの温度を調節する技術が開示されている。なお、セラミックヒータを構成するセラミック基板は、発熱体配線を配置したセラミックグリーンシートを積層することによって積層体を形成した後、積層体を焼結させるなどして作製される。しかし、セラミックと金属とでは焼結収縮挙動が異なるため、セラミック基板を構成するセラミック層と発熱体配線との界面にクラックが発生したり、セラミック基板に反りが発生したりする可能性が高い。
そこで、あらかじめ焼結させたセラミック層に溝部を形成した後、発熱体配線となるメタライズペーストを溝部に充填して焼結することにより、反りが生じにくいセラミック基板を作製する方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。また、スクリーン印刷によってメタライズペースト(ヒータパターン)を形成したセラミックグリーンシートを積層することによって積層体を形成した後、積層体を焼結することにより、反りが生じにくいセラミック基板を作製する方法も提案されている(例えば特許文献4参照)。
ところが、特許文献3に記載の従来技術では、メタライズペーストが焼結して収縮する際に、既に焼結しているセラミック層は収縮しないため、発熱体配線とセラミック層との界面にクラックが発生する可能性が高い。一方、特許文献4に記載の従来技術では、セラミックグリーンシートとメタライズペーストとの焼結収縮挙動が等しいため、クラックや反りのないセラミック基板を得ることができる。しかしながら、近年の半導体ウェハの大型化に伴い、発熱体配線を均一な厚さで形成することが困難になりつつあるため、セラミック基板の表面(半導体ウェハの載置面)の温度分布が不均一となり、表面に載置された半導体ウェハを均一に加熱または冷却できないおそれがある。よって、例えばドライエッチングを行って半導体ウェハ上にパターンを形成する場合に、処理の度合いがばらつくなどの問題が生じやすいため、歩留まりが低下してしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面の温度分布を均一にすることができる発熱体配線を有するセラミック基板及びその製造方法を提供することにある。
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、基板面方向に沿って延びる配線収容部が形成されたセラミック焼結体と、金属焼結体からなり前記配線収容部に埋設された発熱体配線とを備えるセラミック基板であって、前記配線収容部は、底部及び一対の側壁を有するとともに、配線収容部の幅方向に沿って切断したときの断面形状が逆台形状であり、前記底部と前記一対の側壁との境界部は、角のない湾曲した表面形状を有していることを特徴とする発熱体配線を有するセラミック基板がある。
従って、上記手段1のセラミック基板によると、発熱体配線が配線収容部に埋設されているため、セラミック基板の表面上などに発熱体配線を形成する場合に比べて、発熱体配線の厚さを十分に確保することができる。その結果、発熱体配線の厚さにバラツキが生じたとしても、発熱体配線の抵抗値や発熱温度が変化しにくくなるため、セラミック基板の表面の温度分布を均一にしやすくなる。しかも、配線収容部は、断面形状が逆台形となっている。即ち、配線収容部の深さに対して配線収容部の幅が十分に大きくなっている。よって、配線収容部にメタライズペーストを充填して発熱体配線を形成する際に、メタライズペーストの充填量が多すぎたとしても、メタライズペーストは、基板面方向に逃げるために厚さ方向に広がりにくくなる。即ち、メタライズペーストの充填量のバラツキに関係なく、発熱体配線の厚さが安定し、発熱体配線の抵抗値も安定するため、発熱体配線の発熱温度がよりいっそう均一になり、セラミック基板の表面の温度分布がよりいっそう均一になる。また、配線収容部の底部と側壁との境界部は、角のない湾曲した形状を有しているため、メタライズペーストを充填する際に気泡を噛み込みにくくなる。よって、気泡の噛み込みに起因してセラミック焼結体と発熱体配線との界面にクラックが発生するなどの不具合を防止することができる。
ここで、セラミック基板の厚さは特に限定されないが、例えば1mm以上7mm以下であることが好ましい。なお、セラミック基板の厚さが1mm未満になると、セラミック基板が薄くなりすぎるため、セラミック基板の強度が低下して破損する可能性がある。一方、セラミック基板の厚さが7mmよりも大きくなると、熱がセラミック基板中を伝達しにくくなるため、セラミック基板に載置されたワークの加熱効率や冷却効率が低下する可能性がある。この場合、ワークの温度調節に時間が掛かってしまう。
なお、セラミック基板を構成する材料としては、アルミナ、イットリア(酸化イットリウム)、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックを主成分とするセラミック焼結体などが挙げられる。また、用途に応じて、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックを主成分とするセラミック焼結体を選択してもよいし、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの誘電体セラミックを主成分とするセラミック焼結体を選択してもよい。
なお、半導体製造におけるドライエッチングなどの各処理においては、プラズマを用いた技術が種々採用され、プラズマを用いた処理においては、ハロゲンガスなどの腐食性ガスが多用されている。このため、腐食性ガスやプラズマに晒されるセラミック基板には、高い耐食性が要求される。従って、セラミック基板は、腐食性ガスやプラズマに対する耐食性がある材料、例えば、アルミナやイットリアを主成分とする材料からなることが好ましい。このようにすれば、セラミック基板の腐食を防止できるため、セラミック基板の長寿命化を図ることができる。
また、セラミック焼結体には、底部及び一対の側壁を有する配線収容部が形成されている。なお配線収容部は、底部の表面よりも一対の側壁の表面が滑らかであることが好ましく、換言すると、底部の表面は一対の側壁の表面よりも表面粗さRaが大きいことが好ましい。このようにすれば、底部と発熱体配線との接触面積が大きくなり、セラミック焼結体と発熱体配線との密着性が向上するため、セラミック焼結体と発熱体配線との界面でのクラックの発生を防止できる。特に、底部の表面粗さRaは2μm以上10μm以下であり、一対の側壁の表面粗さRaは0.5μm以上3μm以下であることが好ましい。仮に、底部の表面粗さRaが2μm未満であると、底部と発熱体配線との接触面積がさほど大きくならず、セラミック焼結体と発熱体配線との密着性が低下するため、セラミック焼結体と発熱体配線との界面でクラックが発生する可能性がある。一方、底部の表面粗さRaが10μmよりも大きいと、配線収容部の体積が部位によって変化しやすくなるため、発熱体配線の体積を一定に保つことができなくなる。その結果、発熱体配線の抵抗値や発熱温度のバラツキが増大し、セラミック基板の表面の温度分布が不均一になる可能性がある。また、一対の側壁の表面粗さRaが0.5μm未満であると、たとえ底部の表面粗さが2μm以上であったとしても、側壁と発熱体配線との接触面積が小さくなりすぎてしまう。このため、セラミック焼結体と発熱体配線との密着性を十分に確保することができず、セラミック焼結体と発熱体配線との界面でクラックが発生する可能性がある。一方、一対の側壁の表面粗さRaが3μmよりも大きいと、底部の表面が一対の側壁の表面よりも表面粗さRaが小さくなる可能性がある。
なお、表面粗さRaの調整は、底部の表面や側壁の表面に凹凸を形成することによって行われる。具体的に言うと、例えば金型プレスを用いて配線収容部を形成する場合、金型の表面に設けた凹凸によって、底部及び側壁の表面に凹凸を形成することができる。また、レーザー加工によって配線収容部を形成する場合、レーザーの照射パターンを調整することにより、底部及び側壁の表面に凹凸を形成することができる。なお、底部及び側壁の表面に凹凸を形成した場合、発熱体配線の表面にも凹凸が形成されるようになる。
さらに、配線収容部には、金属焼結体からなる発熱体配線が埋設されている。金属焼結体を構成する材料としては特に限定されないが、同時焼成法によって金属焼結体及びセラミック焼結体を形成する場合、金属焼結体中の金属粉末はセラミック焼結体の焼成温度よりも高融点である必要がある。例えば、セラミック焼結体がいわゆる高温焼成セラミック(例えばアルミナ等)からなる場合には、金属焼結体中の金属粉末として、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等やそれらの合金が選択可能である。セラミック焼結体がいわゆる低温焼成セラミック(例えばガラスセラミック等)からなる場合には、金属焼結体中の金属粉末として、銅(Cu)または銀(Ag)等やそれらの合金が選択可能である。また、セラミック焼結体が高誘電率セラミック(例えばチタン酸バリウム等)からなる場合には、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等やそれらの合金が選択可能である。なお、金属焼結体は、金属粉末を含むメタライズペーストを用い、従来周知の手法、例えば印刷法等により配線収容部に充填された後、焼成することで形成される。
なお、発熱体配線は、配線収容部からはみ出して配線収容部の幅方向に延びるはみ出し部を有することが好ましい。即ち、配線収容部にメタライズペーストを充填してはみ出し部を有する発熱体配線を形成する場合には、配線収容部にメタライズペーストを充填し、配線収容部からメタライズペーストの一部を溢れさせる必要がある。このとき、多量のメタライズペーストが配線収容部に流れ込むため、配線収容部に未充填部分が生じにくくなる。また、発熱体配線がはみ出し部を有するとともに、セラミック基板が、表面にて開口する配線収容部が形成されたセラミック層を積層した構造を有する場合、配線収容部の開口部は角が除去されたなだらかな形状を呈しており、はみ出し部は開口部を覆うように配置されていることが好ましい。このようにすれば、配線収容部の開口部がはみ出し部を受ける形状となるため、はみ出し部が隣接するセラミック層の間に挟まれることに起因してセラミック層同士の接着が阻害されることを防止できる。
上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、上記手段1に記載の発熱体配線を有するセラミック基板の製造方法であって、セラミックグリーンシートに対してレーザー加工を施して、底部及び一対の側壁を有するとともに配線収容部の幅方向に沿って切断したときの断面形状が逆台形状である配線収容部を形成する収容部形成工程と、前記配線収容部にメタライズペーストを充填して、後に発熱体配線となるべき未焼結配線部を形成するペースト充填工程と、前記セラミックグリーンシートを積層して、前記未焼結配線部を積層体内部に埋め込む積層工程と、前記積層体を焼成して前記未焼結配線部及び前記セラミックグリーンシートを焼結させる焼成工程とを含むことを特徴とする発熱体配線を有するセラミック基板の製造方法がある。
従って、上記手段2の製造方法によれば、ペースト充填工程において、配線収容部にメタライズペーストを充填して未焼結配線部を形成するため、未焼結配線部の厚さを十分に確保することができる。その結果、未焼結配線部の厚さにバラツキが生じたとしても、未焼結配線部を焼結させて得られる発熱体配線の抵抗値や発熱温度が変化しにくくなるため、セラミック基板の表面の温度分布を均一にしやすくなる。しかも、収容部形成工程では、断面形状が逆台形である配線収容部を形成している。その結果、配線収容部の深さに対して配線収容部の幅が十分に大きくなるため、ペースト充填工程を行う際に、配線収容部に対するメタライズペーストの充填量が多すぎたとしても、メタライズペーストは、基板面方向に逃げるために厚さ方向に広がりにくくなる。即ち、メタライズペーストの充填量のバラツキに関係なく、未焼結配線部の厚さが安定し、未焼結配線部を焼結させて得られる発熱体配線の抵抗値も安定するため、発熱体配線の発熱温度がよりいっそう均一になり、セラミック基板の表面の温度分布がよりいっそう均一になる。
以下、発熱体配線を有するセラミック基板の製造方法を説明する。
収容部形成工程では、セラミックグリーンシートに対してレーザー加工を施して、底部及び一対の側壁を有するとともに配線収容部の幅方向に沿って切断したときの断面形状が逆台形状である配線収容部を形成する。ここで、レーザー加工としては周知の技術を採用することができ、具体例としては、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、UVレーザーなどを用いたレーザー加工が挙げられる。なお、従来のレーザー加工は、炭酸ガスレーザーを用いたものが主流であったが、セラミックグリーンシートに対して微細加工を行おうとしても、出力が強すぎるために困難である。よって、レーザー加工は、例えばUVレーザーを用いたレーザー加工であることが好ましい。UVレーザーは比較的低出力であるため、薄くて変形しやすいセラミックグリーンシートに対して配線収容部を容易に形成できる。また、UVレーザーは微細加工に向いているため、配線収容部の断面形状を逆台形状にしたり、底部と一対の側壁との境界部を角のない湾曲した表面形状にしたりすることが容易である。
続くペースト充填工程では、配線収容部にメタライズペーストを充填して、後に発熱体配線となるべき未焼結配線部を形成する。配線収容部にメタライズペーストを充填する方法としては、スクリーン印刷によって配線収容部にメタライズペーストを印刷する方法や、ディスペンサを用いて配線収容部にメタライズペーストを注入する方法などが挙げられるが、特には、非接触式ディスペンサからメタライズペーストを滴下することによって、配線収容部にメタライズペーストを注入する方法を採用することが好ましい。なお、配線収容部の体積と同等量のメタライズペーストを充填することは困難である。そこで、ペースト充填工程では、配線収容部からメタライズペーストがはみ出すようにして充填を行うことが好ましい。このようにすれば、配線収容部からメタライズペーストをはみ出させることによって、未焼結配線部の体積を一定に保つことができるため、未焼結配線部を焼結させて得られる発熱体配線の抵抗値が安定し、発熱体配線の発熱温度のバラツキが低減され、セラミック基板の表面の温度分布がよりいっそう均一になる。
なお、ペースト充填工程において、配線収容部からメタライズペーストがはみ出すようにして充填を行う場合、収容部形成工程では、主として配線収容部に底部を形成する第1のレーザー加工と、第1のレーザー加工よりも緩やかな照射条件を設定し、主として配線収容部の開口部となるべき箇所を除去する第2のレーザー加工とを行うことが好ましい。このようにすれば、配線収容部の開口部を角が除去されたなだらかな形状とすることができるため、配線収容部の開口部がはみ出し部を受ける形状となる。よって、はみ出し部が隣接するセラミックグリーンシートの間に挟まれることに起因してセラミックグリーンシート同士の接着が阻害されることを防止できる。なお、収容部形成工程では、第1のレーザー加工を行った後で第2のレーザー加工を行ってもよいし、第2のレーザー加工を行った後で第1のレーザー加工を行ってもよい。
続く積層工程では、セラミックグリーンシートを積層して、未焼結配線部を積層体内部に埋め込む。続く焼成工程では、積層体を焼成して未焼結配線部及びセラミックグリーンシートを焼結させる。この時点で、所望のセラミック基板を得ることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施形態の静電チャック1は、吸着面11に半導体ウェハ2(ワーク)を吸着するための装置である。静電チャック1は、セラミック基板10と、セラミック基板10の接合面12側に接着剤層20を介して接合される金属ベース30とを備えている。なお、本実施形態の接着剤層20は、シリコーン樹脂からなる接着剤であり、接着剤層20の厚さは300μmに設定されている。本実施形態において、接着剤層20の熱伝導率は0.16W/(m・K)、熱膨張係数は約200ppm/℃となっている。なお、接着剤層20の熱膨張係数は、0℃〜ガラス転移温度(Tg)間の測定値の平均値をいう。
図1,図2に示されるように、金属ベース30は、アルミニウムを主成分とする材料からなっている。本実施形態において、金属ベース30の熱伝導率は236W/(m・K)、熱膨張係数は約23ppm/℃となっている。なお、金属ベース30の熱膨張係数は、0℃〜ガラス転移温度(Tg)間の測定値の平均値をいう。また、金属ベース30は、直径340mm×厚さ20mmの略円板状である。金属ベース30は、第1面31と、第1面31の反対側に位置する第2面32とを有している。
また、金属ベース30は、平面視渦巻状をなす冷却水流路71,72を内部に有している。各冷却水流路71,72には、セラミック基板10を冷却する冷却水が流れるようになっている。なお、内周側の冷却水流路71には、第2面32にて開口する複数の冷却水通路73が設けられている。さらに、金属ベース30は、同金属ベース30の厚さ方向に延びる直径3.0mmの連通穴33を備えている。この連通穴33には、外部配管(図示略)を介してヘリウムガスが供給されるようになっている。連通穴33は、第1面31側の端部が第1面31にて開口する一方、第2面32側の端部が第2面32にて開口している。
図1,図2に示されるように、セラミック基板10は、直径400mm×厚さ3.0mmの略円板状である。セラミック基板10は、吸着面11と、金属ベース30に接合される接合面12とを有している。セラミック基板10は、アルミナを主成分とするセラミック焼結体からなり、6層のセラミック層13,14,15,16,17,18を積層した構造を有している。本実施形態において、セラミック基板10の熱伝導率は32W/(m・K)、熱膨張係数は7.7ppm/℃となっている。なお、セラミック基板10の熱膨張係数は、30℃〜250℃間の測定値の平均値をいう。
また、セラミック基板10は、冷却用ガス流路41を内部に有している。冷却用ガス流路41には、吸着面11に吸着された半導体ウェハ2を冷却するヘリウムガスが流れるようになっている。そして、冷却用ガス流路41は、第4層のセラミック層16内に、セラミック基板10の面方向に延びる複数の横穴42を備えている。各横穴42は、断面矩形状をなし、セラミック基板10の厚さ方向の長さが0.5mm以上1.5mm以下(本実施形態では1.0mm)に設定されるとともに、セラミック基板10の面方向の長さが1.0mmに設定されている。
図1,図2に示されるように、冷却用ガス流路41は、第1層のセラミック層13内に、一対の円環状ガス流路43,44と、両円環状ガス流路43,44同士を連結する複数の連結ガス流路45とを備えている。両円環状ガス流路43,44は、厚さ方向の長さが0.05mmであって、面方向の長さが1.5mmとなる断面矩形状をなし、セラミック基板10の中心部C1(図3参照)に対して平面視同心円状に配置されている。また、外周側の円環状ガス流路44には、吸着面11にて開口する複数のガス噴出口46が設けられている。また、各連結ガス流路45は、厚さ方向の長さが0.05mmであって、面方向の長さが1.5mmとなる断面矩形状をなし、中心部C1を基準として等角度(120°)間隔で配置されるとともに、中心部C1から外周部に向かって放射状に延びている。
さらに図1,図2に示されるように、冷却用ガス流路41は、セラミック基板10の厚さ方向に延びる縦穴47,48,49をさらに備えている。内周側の縦穴47は、直径が0.5mmであり、吸着面11側の端部が円環状ガス流路43に連通する一方、接合面12側の端部が横穴42に連通している。同じく内周側の縦穴49は、直径が2.0mmであり、吸着面11側の端部が縦穴47と横穴42との連通部分に連通する一方、接合面12側の端部が連通穴33に連通している。また、外周側の縦穴48は、直径が0.5mmであり、吸着面11側の端部が円環状ガス流路44に連通する一方、接合面12側の端部が横穴42に連通している。
図1,図2に示されるように、第3層のセラミック層15には、セラミック基板10の面方向に沿って延びるとともにセラミック層15の表面にて開口する溝部51が形成されている。そして、溝部51には、半導体ウェハ2を吸着面11に吸着させる吸着用配線50が埋設されている。吸着用配線50は、タングステンを主成分として形成された金属焼結体からなる層である。本実施形態において、吸着用配線50の熱伝導率は174W/(m・K)、熱膨張係数は4.5ppm/℃となっている。吸着用配線50の熱膨張係数は、0℃〜100℃間の測定値の平均値をいう。
なお、吸着用配線50は、第3層〜第5層のセラミック層15〜17を貫通するビアホール導体(図示略)の上端面に電気的に接続され、ビアホール導体の下端面は、セラミック層17の裏面上に形成された第1パッド(図示略)に電気的に接続されている。さらに、第6層のセラミック層18の所定箇所には、第1パッドを露出させる第1開口部(図示略)が形成され、第1パッドの表面上には、第1端子ピン(図示略)がロウ付け、はんだ付け、導電性接着剤などによって接合されている。第1端子ピンは、金属ベース30に設けられた第1凹部(図示略)内に収容されている。そして、第1端子ピンには、外部端子(図示略)が接合された状態で電圧が印加されるようになっている。
図1,図2,図4に示されるように、第6層のセラミック層18には、セラミック基板10の面方向に沿って延びるとともにセラミック層18の表面にて開口する溝部61(配線収容部)が形成されている。そして、溝部61には、セラミック基板10を加熱するヒータ配線60(発熱体配線)が埋設されている。ヒータ配線60は、中心部C1に対して平面視渦巻状に配置されている(図3参照)。また、ヒータ配線60は、タングステンを主成分として形成された金属焼結体からなる層である。本実施形態において、ヒータ配線60の熱伝導率は174W/(m・K)、熱膨張係数は4.5ppm/℃となっている。ヒータ配線60の熱膨張係数は、0℃〜100℃間の測定値の平均値をいう。
なお、ヒータ配線60は、第5層のセラミック層17の裏面上に形成された第2パッド(図示略)に電気的に接続されている。さらに、第6層のセラミック層18の所定箇所には、第2パッドを露出させる第2開口部(図示略)が形成され、第2パッドの表面上には、第2端子ピン(図示略)がロウ付け、はんだ付け、導電性接着剤などによって接合されている。第2端子ピンは、金属ベース30に設けられた第2凹部(図示略)内に収容されている。そして、第2端子ピンには、外部端子(図示略)が接合された状態で電圧が印加されるようになっている。
次に、溝部61及びヒータ配線60の構成を詳細に説明する。なお、溝部51及び吸着用配線50は、溝部61及びヒータ配線60と略共通の構成を有しているため、詳細な説明を省略する。
図4に示されるように、溝部61は、底部62及び一対の側壁63を有している。溝部61は、同溝部61の幅方向に沿って切断したときの断面形状が逆台形状であり、深さ(セラミック基板10の厚さ方向の長さ)が100μm、上端部における幅(セラミック基板10の面方向の長さ)が400μm、底部62における幅(面方向の長さ)が360μmに設定されている。また、底部62と両側壁63との境界部64は、角のない湾曲した表面形状を有している。さらに、溝部61の開口部67は、角68(図5参照)が除去されたなだらかな形状を呈している。なお、底部62の表面は、第6層のセラミック層18の表面と平行になっている。そして、底部62の表面に対する開口部67の表面の傾斜角度は、底部62の表面に対する側壁63の表面の傾斜角度よりも小さくなっている。具体的に言うと、底部62の表面に対する側壁63の表面の傾斜角度は、45°以上90°以下であり、底部62の表面に対する開口部67の表面の傾斜角度は、2°以上30°以下である。また、側壁63の表面は、底部62の表面よりも滑らかである。換言すると、底部62の表面は側壁63の表面よりも表面粗さRaが大きくなっている。本実施形態では、底部62の表面粗さRaが10μmであり、側壁63の表面粗さRaが3μmである。また、開口部67の表面粗さRaは、側壁63の表面粗さRaと等しくなっている。なお、表面粗さRaは、底部62、側壁63及び開口部67の表面に凹凸を形成することによって調節される。
一方、図4に示されるように、ヒータ配線60は、溝部61の幅方向に沿って切断したときの断面形状が溝部61と同じ逆台形状であって、溝部61と略同じ寸法を有している。なお、ヒータ配線60は、溝部61からはみ出して溝部61の幅方向に延びるはみ出し部65を有している。はみ出し部65は、側壁63との接続部分からのはみ出し量が50μm以上250μm以下に設定されており、溝部61の開口部67を覆うように配置されている。はみ出し部65のはみ出し量は、ヒータ配線60の上端部における幅(400μm)の8分の1以上1.5分の1以下である。また、はみ出し部65の深さは、溝部61の深さ(100μm)の10分の1以上2分の1以下であり、本実施形態では38μmに設定されている。
なお、本実施形態の静電チャック1を使用する場合には、吸着用配線50に3kVの電圧を印加して静電引力を発生させ、発生した静電引力を用いて半導体ウェハ2を吸着面11に吸着させる。このとき、冷却用ガス流路41を流れるヘリウムガスが、ガス噴出口46から吸着面11と半導体ウェハ2の裏面との間に供給され、半導体ウェハ2が冷却される。また、ヒータ配線60に電圧を印加してセラミック基板10を加熱することにより、吸着面11に吸着されている半導体ウェハ2が加熱される。
次に、静電チャック1の製造方法を説明する。
まず以下の手順でスラリーを調製する。アルミナ粉末(92重量%)に、MgO(1重量%)、CaO(1重量%)、SiO2(6重量%)を混合し、ボールミルで50〜80時間湿式粉砕した後、脱水乾燥することにより、粉末を得る。次に、得られた粉末に、メタクリル酸イソブチルエステル(3重量%)、ブチルエステル(3重量%)、ニトロセルロース(1重量%)、ジオクチルフタレート(0.5重量%)を加え、さらにトリクロロエチレン、n−ブタノールを溶剤として加えた後、ボールミルで湿式混合することにより、アルミナグリーンシート81(図5参照)を形成する際の出発材料となるスラリーを得る。
次に、このスラリーを、減圧脱泡した後、離型性の支持体(図示略)上に流し出して冷却することにより、溶剤を発散させる。その結果、厚さ300μmの第1層〜第6層のアルミナグリーンシート81(セラミックグリーンシート)が形成される。なお、アルミナグリーンシート81は、セラミック層13〜18となるべき未焼結セラミック層である。第2層,第3層のアルミナグリーンシート81には、縦穴47,48を形成するための貫通孔が設けられ、第5層,第6層のアルミナグリーンシート81には、縦穴49を形成するための貫通孔が設けられる。また、第1層のアルミナグリーンシート81には、円環状ガス流路43,44及び連結ガス流路45を形成するための貫通孔が設けられ、第4層のアルミナグリーンシート81には、横穴42を形成するための貫通孔が設けられる。さらに、第6層のアルミナグリーンシート81には、第1開口部及び第2開口部を形成するための貫通孔が設けられる。また、第3層〜第5層のアルミナグリーンシート81には、ビアホール導体を形成するための貫通孔が設けられる。なお、各貫通孔は、アルミナグリーンシート81を型抜きまたは機械加工することにより形成される。
また、上記したアルミナグリーンシート81用の粉末に、タングステン粉末をボールミルで混合する。これをアルミナグリーンシート81の作製時と同様の方法によってスラリー状にし、図8に示すメタライズペースト82を得る。なお、メタライズペースト82をロールミルを用いて作製してもよい。また、メタライズペースト82の粘度は、後の充填を考慮して、100cps程度に調整される。
続く溝部形成工程(収容部形成工程)では、UVレーザーを照射するレーザー加工機(図示略)を用いて、アルミナグリーンシート81に対してレーザー加工を施し、溝部61を形成する。なお、詳細な説明は省略するが、溝部51の形成も溝部61の形成に準拠して行われる。
詳述すると、まず、第1のレーザー加工を行い、溝部61の底部62を形成する(図5,図6参照)。また、底部62の形成に伴い、溝部61を構成する一対の側壁63も形成される。なお、溝部61の深さ(100μm)は、UVレーザーの出力と、単位面積当りのUVレーザーの出力回数(打点回数)とによって調整される。具体的に言うと、底部62を形成する際には、UVレーザーの出力及び出力回数を一定にした状態で、レーザー加工機を溝部61の幅方向に移動させる。また、側壁63を形成する際には、例えば境界部64から開口部67となるべき箇所に向けてレーザー加工機を移動させ、レーザー加工機が開口部67となるべき箇所に近づくに従って、UVレーザーの出力を低下させるとともに、UVレーザーの出力回数を減少させる。その結果、側壁63が形成されるとともに、境界部64が角のない湾曲した表面形状となる。なお、境界部64が角のない湾曲した表面形状となるのは、溝部61を形成するための貫通孔を設けたアルミナグリーンシート81を積層することによって溝部61を形成するからではなく、1枚のアルミナグリーンシート81をレーザー加工することによって溝部61を形成するからである。また、この時点では、溝部61の開口部67となるべき箇所が、角68(図5参照)を有する形状を呈している。さらに、底部62及び側壁63の凹凸は、レーザー加工プログラムに基づいてUVレーザーの出力間隔(打点間隔)を調整する制御を行うことにより、形成される。具体的に言うと、打点間隔を狭くすると表面粗さRaが小さくなり、打点間隔を広くすると表面粗さRaが大きくなる。よって本実施形態では、底部62の凹凸を形成する際の打点間隔を30μmとしている。なお、側壁63は打点の裾(即ち、UVレーザーの外周縁)によって形成される。その結果、側壁63に打点中心の凹みが存在しなくなるため、側壁63は底部62よりも平滑な面となる。本実施形態では、底部62の表面粗さRaが10μmとなり、側壁63の表面粗さRaが3μmとなる。なお、アルミナグリーンシート81の表面(及び裏面)の表面粗さRaは、1μmである。よって、この時点では、アルミナグリーンシート81の表面よりも側壁63の表面が粗く、側壁63の表面よりも底部62の表面が粗くなっている。
次に、第2のレーザー加工を行い、溝部61の開口部67となるべき箇所(具体的には角68)を除去する(図7参照)。なお、第2のレーザー加工は、第1のレーザー加工よりも緩やかな照射条件に設定した状態で行われる。具体的に言うと、角68を除去する際には、側壁63の境界部64寄りの箇所を形成する際よりも、UVレーザーの出力を低下させるとともに、UVレーザーの出力回数を減少させる。そして、例えば開口部67と側壁63との境界部となるべき箇所から開口縁66となるべき箇所に向けてレーザー加工機を移動させ、レーザー加工機が開口縁66となるべき箇所に近づくに従って、UVレーザーの出力を低下させるとともに、UVレーザーの出力回数を減少させる。その結果、開口部67となるべき箇所が、角68が除去されたなだらかな形状を呈するようになる。また、開口部67の凹凸は、レーザー加工プログラムに基づいてUVレーザーの出力間隔(打点間隔)を調整する制御を行うことにより、形成される。本実施形態では、開口部67が、側壁63と同様に打点の裾によって形成される。その結果、開口部67に打点中心の凹みが存在しなくなるため、開口部67は底部62よりも平滑な面となる。本実施形態では、開口部67の表面粗さRaが3μmとなる。
続くペースト充填工程では、第6層のアルミナグリーンシート81の上面上に、非接触式のディスペンサ83を用いて溝部61にメタライズペースト82を充填(注入)し、後にヒータ配線60となるべき未焼結配線部84を形成する(図8,図9参照)。なお、詳細な説明は省略するが、溝部51へのメタライズペースト82の充填も溝部61へのメタライズペースト82の充填に準拠して行われる。詳述すると、ペースト充填工程では、ディスペンサ83を溝部61が延びる方向に移動させながら、ディスペンサ83からメタライズペースト82を滴下することによって、溝部61にメタライズペースト82を注入する。なお、溝部61の幅が広すぎて充填しきれない場合は、再度ディスペンサ83を溝部61の始端から終端に移動させながらメタライズペースト82を充填する工程(2回充填)や、ディスペンサ83を溝部61の終端から始端に戻しながらメタライズペースト82を充填する工程(往復充填)などを行う。そして、注入したメタライズペースト82の上端を、アルミナグリーンシート81の表面と同じ高さに到達させる。なお、底部62の表面はアルミナグリーンシート81の表面などよりも粗いため、メタライズペースト82と底部62との密着が十分に確保される。しかも、アルミナグリーンシート81の表面よりも側壁63の表面が粗いため、メタライズペースト82と側壁63との密着も十分に確保される。
また、ペースト充填工程では、溝部61からメタライズペースト82がはみ出すようにして充填を行う。具体的に言うと、注入したメタライズペースト82の上端がアルミナグリーンシート81の表面と同じ高さに到達した後、溝部61に充填できないメタライズペースト82は、溝部61からはみ出して溝部61が延びる方向に移動する。その結果、メタライズペースト82の大部分が底部62と一対の側壁63とからなる空間内に充填されるとともに、メタライズペースト82の一部が開口部67を覆うように配置される。この後、充填されたメタライズペースト82を乾燥する。
さらに、第3層〜第5層のアルミナグリーンシート81に設けられた貫通孔内に、ビアホール導体となるメタライズペースト82を印刷塗布する。また、第5層のアルミナグリーンシート81の裏面上に、第1パッド及び第2パッドとなるメタライズペースト82を印刷塗布する。この後、印刷されたメタライズペースト82を乾燥する。
続く積層工程では、冷却用ガス流路41、第1,第2開口部及びビアホール導体が形成されるように各貫通孔を位置合わせした状態で、第1層〜第6層のアルミナグリーンシート81を熱圧着(積層)し、厚さを約5mmとした積層体を形成する。その結果、後に吸着用配線50となるべき未焼結配線部や後にヒータ配線60となるべき未焼結配線部84が、積層体の内部に埋め込まれる。さらに、積層体を、所定の円板状(本実施形態では、直径400mmの円板状)にカットする。
続く焼成工程では、上記積層体を大気中にて250℃で10時間脱脂し、さらに還元雰囲気中1600℃にて所定時間焼成する。その結果、後に吸着用配線50となるべき未焼結配線部を構成するタングステンと、後にヒータ配線60となるべき未焼結配線部84を構成するタングステンと、アルミナグリーンシート81を構成するアルミナとが同時焼結し、所望構造のセラミック基板10が得られる(図10参照)。この焼成により、寸法が約20%小さくなるため、セラミック基板10の厚さは約4mmとなる。それに伴い、底部62の表面粗さRaが10μmとなり、側壁63及び開口部67の表面粗さRaが3μmとなる。その後、セラミック基板10の表裏両面を研磨することにより、セラミック基板10の厚さを3mmにする加工を行うとともに、吸着面11の平面度を30μm以下とする加工を行う。
次に、端子ピンにニッケルめっきを施し、ニッケルめっきを施した端子ピンを第1,第2パッドに対してロウ付け、はんだ付け、導電性接着剤などによって接合することにより、セラミック基板10を完成させる。その後、接着剤層20を介してセラミック基板10を金属ベース30に接合すれば、静電チャック1が完成する。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の静電チャック1によれば、ヒータ配線60が溝部61に埋設されているため、例えばスクリーン印刷によってセラミック層18の表面上にヒータ配線60を形成する場合に比べて、ヒータ配線60の厚さを十分に確保することができる。その結果、ヒータ配線60の厚さにバラツキが生じたとしても、ヒータ配線60の抵抗値や発熱温度が変化しにくくなるため、セラミック基板10の吸着面11の温度分布を均一にしやすくなる。
しかも、溝部61は、断面形状が逆台形となっており、溝部61の深さ(100μm)に対して溝部61の幅(400μm)が十分に大きくなっている。よって、溝部61にメタライズペースト82を充填してヒータ配線60を形成する際に、メタライズペースト82の充填量が多すぎたとしても、メタライズペースト82は、セラミック基板10の面方向に逃げるために厚さ方向に広がりにくくなる。即ち、メタライズペースト82の充填量のバラツキに関係なく、ヒータ配線60の厚さが安定し、ヒータ配線60の抵抗値も安定するため、ヒータ配線60の発熱温度がよりいっそう均一になり、吸着面11の温度分布がよりいっそう均一になる。
また、溝部61の境界部64は、角のない湾曲した形状を有しているため、メタライズペースト82を充填する際に気泡を噛み込みにくくなる。よって、気泡の噛み込みに起因してセラミック層18とヒータ配線60との界面にクラックが発生するなどの不具合を防止することができる。
(2)特開昭62−5685号公報に記載の従来技術では、溝部にメタライズペーストを充填して微細な配線を形成する技術(ファインライン技術)が開示されている。しかしながら、ファインライン技術においては、配線が密集していることから、配線同士の絶縁確保が重要視されるため、溝部からメタライズペーストをはみ出させることは不可能に近い。さらに、ファインライン技術においては、メタライズペーストの充填量の過不足が問題になることはないため、配線の抵抗値にバラツキが生じる可能性が高い。そこで本実施形態では、はみ出し部65を設けてメタライズペースト82の充填量を一定にしている。このため、ヒータ配線60の抵抗値や発熱温度が均一になる。
(3)本実施形態では、ヒータ配線60の断面形状が溝部61と同じ逆台形状である。このため、ヒータ配線60が発生する熱を溝部61外に放出しやすくなるため、セラミック基板10の加熱効率が向上する。
(4)一般的に、ヒータ配線60を太くすると、セラミック層18との熱膨張係数差が大きくなるために、セラミック層18とヒータ配線60との界面でクラックが発生しやすくなる。そこで本実施形態では、底部62の表面粗さRaを側壁63の表面粗さRaよりも大きくして、底部62とヒータ配線60との接触面積を大きくすることにより、セラミック層18とヒータ配線60との密着性を向上させている。このため、ヒータ配線60を太くしたとしても、セラミック層18とヒータ配線60との界面でのクラックの発生を防止することができる。
(5)本実施形態のセラミック基板10は、セラミックグリーンシートの成形技術(即ち、セラミック層13〜18の成形技術)が確立されているアルミナを主成分とする材料からなるため、冷却用ガス流路41、吸着用配線50及びヒータ配線60などを容易に形成することができる。また、本実施形態の金属ベース30は、微細加工が可能な金属材料(本実施形態ではアルミニウム)からなるため、冷却水流路71,72を容易に形成することができる。また、金属材料は熱伝導性に優れているため、冷却水流路71,72を流れる冷却水を用いてセラミック基板10を効果的に冷却することができる。
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の第2のレーザー加工において、境界部64から開口縁66となるべき箇所に向けてレーザー加工機を移動させることにより、溝部61の境界部64における深さを、溝部61の底部62における深さよりも深くしてもよい。即ち、第1のレーザー加工及び第2のレーザー加工の両方において、境界部64に対してUVレーザーを照射させるようにしてもよい。このようにすれば、底部62とヒータ配線60との接触面積がよりいっそう大きくなるため、セラミック層18とヒータ配線60との密着性がよりいっそう向上する。
・上記実施形態のペースト充填工程では、溝部61がメタライズペースト82によって完全に満たされており、溝部61に注入したメタライズペースト82の上端面がアルミナグリーンシート81の表面と同じ高さに到達していた。しかし、メタライズペースト82の上端をアルミナグリーンシート81の表面から突出させてもよいし、アルミナグリーンシート81の表面から突出させずに低い位置に止めておいてもよい。
・上記実施形態のセラミック基板10は、アルミナを主成分とする材料からなっていたが、例えばイットリアを主成分とする材料からなっていてもよい。なお、イットリアは、半導体の製造時に多用されるプラズマや腐食性ガスに対する耐食性が、アルミナよりも優れている。よって、セラミック基板10をイットリアによって形成すれば、吸着面11の腐食をより確実に防止でき、吸着面11の平面度がよりいっそう低下しにくくなるため、静電チャックのさらなる長寿命化を図ることができる。
・上記実施形態では、セラミック基板10の構成を静電チャック1に適用していたが、セラミックヒータなどの他の装置に適用してもよい。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)上記手段1において、前記セラミック基板は、表面及び裏面を有する複数のセラミック層を積層してなり、前記配線収容部は、前記セラミック層の表面にて開口していることを特徴とする発熱体配線を有するセラミック基板。
(2)上記手段2において、前記収容部形成工程では、前記セラミックグリーンシートの表面よりも前記側壁の表面を粗くするとともに、前記側壁の表面よりも前記底部の表面を粗くすることを特徴とする発熱体配線を有するセラミック基板の製造方法。
(3)上記手段1に記載の発熱体配線を有するセラミック基板と、前記セラミック基板に接合される金属ベースとを備え、前記セラミック基板は、内部に吸着用配線層を有しており、前記吸着用配線層に電圧を印加させた際に生じる静電引力を用いてワークを前記セラミック基板の表面に吸着させることを特徴とする静電チャック。
10…セラミック基板
13,14,15,16,17,18…セラミック焼結体としてのセラミック層
60…発熱体配線としてのヒータ配線
61…配線収容部としての溝部
62…底部
63…側壁
64…境界部
65…はみ出し部
67…配線収容部の開口部
81…セラミックグリーンシートとしてのアルミナグリーンシート
82…メタライズペースト
84…未焼結配線部
68…角
13,14,15,16,17,18…セラミック焼結体としてのセラミック層
60…発熱体配線としてのヒータ配線
61…配線収容部としての溝部
62…底部
63…側壁
64…境界部
65…はみ出し部
67…配線収容部の開口部
81…セラミックグリーンシートとしてのアルミナグリーンシート
82…メタライズペースト
84…未焼結配線部
68…角
Claims (8)
- 基板面方向に沿って延びる配線収容部が形成されたセラミック焼結体と、金属焼結体からなり前記配線収容部に埋設された発熱体配線とを備えるセラミック基板であって、
前記配線収容部は、底部及び一対の側壁を有するとともに、配線収容部の幅方向に沿って切断したときの断面形状が逆台形状であり、前記底部と前記一対の側壁との境界部は、角のない湾曲した表面形状を有していることを特徴とする発熱体配線を有するセラミック基板。 - 前記底部の表面は前記一対の側壁の表面よりも表面粗さRaが大きいことを特徴とする請求項1に記載の発熱体配線を有するセラミック基板。
- 前記底部の表面粗さRaが2μm以上10μm以下であり、前記一対の側壁の表面粗さRaが0.5μm以上3μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の発熱体配線を有するセラミック基板。
- 前記発熱体配線は、前記配線収容部からはみ出して前記配線収容部の幅方向に延びるはみ出し部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発熱体配線を有するセラミック基板。
- 前記配線収容部の開口部は角が除去されたなだらかな形状を呈しており、前記はみ出し部は前記開口部を覆うように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の発熱体配線を有するセラミック基板。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発熱体配線を有するセラミック基板の製造方法であって、
セラミックグリーンシートに対してレーザー加工を施して、底部及び一対の側壁を有するとともに配線収容部の幅方向に沿って切断したときの断面形状が逆台形状である配線収容部を形成する収容部形成工程と、
前記配線収容部にメタライズペーストを充填して、後に発熱体配線となるべき未焼結配線部を形成するペースト充填工程と、
前記セラミックグリーンシートを積層して、前記未焼結配線部を積層体内部に埋め込む積層工程と、
前記積層体を焼成して前記未焼結配線部及び前記セラミックグリーンシートを焼結させる焼成工程と
を含むことを特徴とする発熱体配線を有するセラミック基板の製造方法。 - 前記ペースト充填工程では、前記配線収容部から前記メタライズペーストがはみ出すようにして充填を行うことを特徴とする請求項6に記載の発熱体配線を有するセラミック基板の製造方法。
- 前記収容部形成工程では、主として前記配線収容部に底部を形成する第1のレーザー加工と、前記第1のレーザー加工よりも緩やかな照射条件を設定し、主として前記配線収容部の開口部となるべき箇所を除去する第2のレーザー加工とを行うことを特徴とする請求項6または7に記載の発熱体配線を有するセラミック基板の製造方法。
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