以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態にかかる静電チャックを表す模式的斜視図である。
図2(a)及び図2(b)は、本実施形態にかかる静電チャックを表す模式的断面図である。
図1では、説明の便宜上、静電チャックの一部において断面図を表している。図2(a)は、例えば図1に表した切断面A1−A1における模式的断面図である。図2(b)は、図2(a)に表した領域B1の模式的拡大図である。
本実施形態にかかる静電チャック10は、セラミック誘電体基板100と、ヒータプレート200と、ベースプレート300と、を備える。
セラミック誘電体基板100は、ベースプレート300と積層方向(Z方向)において離れた位置に設けられている。ヒータプレート200は、ベースプレート300と、セラミック誘電体基板100と、の間に設けられている。
ベースプレート300とヒータプレート200との間には、接着剤403が設けられている。ヒータプレート200とセラミック誘電体基板100との間には、接着剤403が設けられている。接着剤403の材料としては、比較的高い熱伝導性を有するシリコーン等の耐熱性樹脂が挙げられる。接着剤403の厚さは、例えば約0.1ミリメートル(mm)以上、1.0mm以下程度である。接着剤403の厚さは、ベースプレート300とヒータプレート200との間の距離、あるいはヒータプレート200とセラミック誘電体基板100との間の距離と同じである。
セラミック誘電体基板100は、例えば多結晶セラミック焼結体による平板状の基材であり、半導体ウェーハ等の処理対象物Wが載置される第1主面101と、第1主面101とは反対側の第2主面102と、を有する。
ここで、本実施形態の説明においては、第1主面101と第2主面102とを結ぶ方向をZ方向、Z方向と直交する方向の1つをX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向ということにする。Z方向は、ベースプレート300、ヒータプレート200、およびセラミック誘電体基板100の積層方向と実質的に平行である。例えば、Z方向は、第1主面101又は第2主面102に対して実質的に垂直である。本実施形態の説明において、面内方向とは、X方向及びY方向を含む平面と平行な1つの方向である。
セラミック誘電体基板100に含まれる結晶の材料としては、例えばAl2O3、Y2O3及びYAGなどが挙げられる。このような材料を用いることで、セラミック誘電体基板100における赤外線透過性、絶縁耐性及びプラズマ耐久性を高めることができる。
セラミック誘電体基板100の内部には、電極層111が設けられている。電極層111は、第1主面101と、第2主面102と、の間に介設されている。すなわち、電極層111は、セラミック誘電体基板100の中に挿入されるように形成されている。電極層111は、セラミック誘電体基板100に一体焼結されている。
なお、電極層111は、第1主面101と、第2主面102と、の間に介設されていることに限定されず、第2主面102に付設されていてもよい。
静電チャック10は、電極層111に吸着保持用電圧を印加することによって、電極層111の第1主面101側に電荷を発生させ、静電力によって処理対象物Wを吸着保持する。
ヒータプレート200は、ヒータ用電流が流れることによって発熱し、ヒータプレート200が発熱しない場合と比較して処理対象物Wの温度を上げることができる。
電極層111は、第1主面101及び第2主面102に沿って設けられている。電極層111は、処理対象物Wを吸着保持するための吸着電極である。電極層111は、単極型でも双極型でもよい。また、電極層111は、三極型やその他の多極型であってもよい。電極層111の数や電極層111の配置は、適宜選択される。
セラミック誘電体基板100は、電極層111と第1主面101との間の第1誘電層107と、電極層111と第2主面102との間の第2誘電層109と、を有する。セラミック誘電体基板100のうち少なくとも第1誘電層107における赤外線分光透過率は、20%以上であることが好ましい。本実施形態において、赤外線分光透過率は、厚さ1mm換算での値である。
セラミック誘電体基板100のうち少なくとも第1誘電層107における赤外線分光透過率が20%以上あることで、第1主面101に処理対象物Wを載置した状態でヒータプレート200から放出される赤外線がセラミック誘電体基板100を効率良く透過することができる。したがって、処理対象物Wに熱が蓄積し難くなり、処理対象物Wの温度の制御性が高まる。
例えば、プラズマ処理を行うチャンバ内で静電チャック10が使用される場合、プラズマパワーの増加に伴い処理対象物Wの温度は上昇しやすくなる。本実施形態の静電チャック10では、プラズマパワーによって処理対象物Wに伝わった熱がセラミック誘電体基板100に効率良く伝わる。さらに、ヒータプレート200によってセラミック誘電体基板100に伝わった熱が処理対象物Wに効率よく伝わる。したがって、効率良く熱が伝えられ、処理対象物Wを所望の温度に維持しやすくなる。
本実施形態に係る静電チャック10では、第1誘電層107に加え、第2誘電層109における赤外線分光透過率も20%以上あることが望ましい。第1誘電層107及び第2誘電層109の赤外線分光透過率が20%以上あることで、ヒータプレート200から放出される赤外線がさらに効率良くセラミック誘電体基板100を透過することになり、処理対象物Wの温度制御性を高めることができる。
ベースプレート300は、セラミック誘電体基板100の第2主面102側に設けられ、ヒータプレート200を介してセラミック誘電体基板100を支持する。ベースプレート300には、連通路301が設けられている。つまり、連通路301は、ベースプレート300の内部に設けられている。ベースプレート300の材料としては、例えばアルミニウムが挙げられる。
ベースプレート300は、セラミック誘電体基板100の温度調整を行う役目を果たす。例えば、セラミック誘電体基板100を冷却する場合には、連通路301へ冷却媒体を流入させる。流入した冷却媒体は、連通路301を通過し、連通路301から流出する。これにより、冷却媒体によってベースプレート300の熱を吸収し、その上に取り付けられたセラミック誘電体基板100を冷却することができる。
一方、セラミック誘電体基板100を加熱する場合には、連通路301内に加熱媒体を入れることも可能である。または、ベースプレート300に図示しないヒータを内蔵させることも可能である。このように、ベースプレート300によりセラミック誘電体基板100の温度が調整されると、静電チャック10で吸着保持される処理対象物Wの温度を容易に調整することができる。
また、セラミック誘電体基板100の第1主面101側には、必要に応じて凸部113が設けられている。互いに隣り合う凸部113の間には、溝115が設けられている。溝115は、互いに連通している。静電チャック10に搭載された処理対象物Wの裏面と、溝115と、の間には、空間が形成される。
溝115には、ベースプレート300及びセラミック誘電体基板100を貫通する導入路321が接続されている。処理対象物Wを吸着保持した状態で導入路321からヘリウム(He)等の伝達ガスを導入すると、処理対象物Wと溝115との間に設けられた空間に伝達ガスが流れ、処理対象物Wを伝達ガスによって直接加熱もしくは冷却することができるようになる。
図3は、本実施形態のヒータプレートを表す模式的斜視図である。
図4(a)及び図4(b)は、本実施形態のヒータプレートを表す模式的斜視図である。
図5は、本実施形態のヒータプレートを表す模式的分解図である。
図3は、本実施形態のヒータプレートを上面(セラミック誘電体基板100の側の面)から眺めた模式的斜視図である。図4(a)は、本実施形態のヒータプレートを下面(ベースプレート300の側の面)から眺めた模式的斜視図である。図4(b)は、図4(a)に表した領域B2における模式的拡大図である。
図5に表したように、本実施形態のヒータプレート200は、第1の支持板210と、第1の樹脂層220と、ヒータエレメント(発熱層)230と、第2の樹脂層240と、第2の支持板270と、給電端子280と、を有する。また、ヒータプレート200は、後述する樹脂部223を有する(図6参照)。図3に表したように、第1の支持板210の面211(上面)は、ヒータプレート200の上面を形成する。図4に表したように、第2の支持板270の面271(下面)は、ヒータプレート200の下面を形成する。第1の支持板210及び第2の支持板270は、ヒータエレメント230などを支持する支持板である。この例において、第1の支持板210及び第2の支持板270は、第1の樹脂層220と、ヒータエレメント230と、第2の樹脂層240と、を挟み、これらを支持する。
第1の支持板210は、セラミック誘電体基板100とベースプレート300との間に設けられている。第2の支持板270は、第1の支持板210とベースプレート300との間に設けられている。第1の樹脂層220は、第1の支持板210と、第2の支持板270と、の間に設けられている。第2の樹脂層240は、第1の樹脂層220と第2の支持板270との間に設けられている。ヒータエレメント230は、第1の樹脂層220と第2の樹脂層240との間に設けられている。
第1の支持板210は、比較的高い熱伝導率を有する。第1の支持板210の材料としては、例えばアルミニウム、銅、およびニッケルの少なくともいずれかを含む金属や、多層構造のグラファイトなどが挙げられる。一般に二律背反の関係にある「処理対象物の面内温度均一性」と「高スループット」とを両立させる観点、及びチャンバへの汚染や磁性の観点から、第1の支持板210の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金が適している。第1の支持板210の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば約0.1mm以上、5.0mm以下程度である。より好ましくは、第1の支持板210の厚さは、例えば0.3mm以上、1.0mm以下程度である。第1の支持板210は、ヒータプレート200の面内の温度分布の均一化を向上させる。第1の支持板210は、ヒータプレート200の反りを抑制する。第1の支持板210は、ヒータプレート200とセラミック誘電体基板100との間の接着の強度を向上させる。
処理対象物Wの処理プロセスでは、RF(Radio Frequency)電圧(高周波電圧)が印加される。高周波電圧が印加されると、ヒータエレメント230は、高周波の影響を受けて発熱することがある。すると、ヒータエレメント230の温度制御性が低下する。
これに対して、本実施形態では、第1の支持板210は、ヒータエレメント230およびバイパス層250を高周波から遮断する。これにより、第1の支持板210は、ヒータエレメント230が異常温度に発熱することを抑制することができる。
第2の支持板270の材料、厚さ、および機能は、求められる性能、寸法などに応じて自由に設定することができる。例えば、第2の支持板270の材料、厚さ、および機能は、第1の支持板210の材料、厚さ、および機能とそれぞれ同じとすることができる。第1の支持板210は、第2の支持板270と電気的に接合されている。ここで、本願明細書において「接合」という範囲には、接触が含まれる。第2の支持板270と、第1の支持板210と、の間の電気的な接合の詳細については、後述する。
このように、第1の支持板210及び第2の支持板270は、比較的高い熱伝導率を有する。これにより、第1の支持板210及び第2の支持板270は、ヒータエレメント230から供給される熱の熱拡散性を向上させる。また、第1の支持板210及び第2の支持板270は、適度な厚さ及び剛性を有することにより、例えば、ヒータプレート200の反りを抑制する。さらに、第1の支持板210及び第2の支持板270は、例えば、ウェーハ処理装置の電極などに印加されるRF電圧に対するシールド性を向上させる。例えば、ヒータエレメント230に対するRF電圧の影響を抑制する。このように、第1の支持板210及び第2の支持板270は、熱拡散の機能と、反り抑制の機能と、RF電圧に対するシールドの機能と、を有する。
第1の樹脂層220の材料としては、例えばポリイミドやポリアミドイミドなどが挙げられる。第1の樹脂層220の厚さ(Z方向の長さ)は、20μm以上、0.20mm以下程度であり、例えば50μmである。第1の樹脂層220は、第1の支持板210とヒータエレメント230とを互いに接合する。第1の樹脂層220は、第1の支持板210とヒータエレメント230との間を電気的に絶縁する。このように、第1の樹脂層220は、電気絶縁の機能と、面接合の機能と、を有する。
第2の樹脂層240の材料および厚さは、第1の樹脂層220の材料および厚さとそれぞれ同程度である。
第2の樹脂層240は、ヒータエレメント230と第2の支持板270とを互いに接合する。第2の樹脂層240は、ヒータエレメント230と第2の支持板270との間を電気的に絶縁する。このように、第2の樹脂層240は、電気絶縁の機能と、面接合の機能と、を有する。
ヒータエレメント230の材料としては、例えばステンレス、チタン、クロム、ニッケル、銅、およびアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属などが挙げられる。ヒータエレメント230の厚さ(Z方向の長さ)は、10μm以上、0.20mm以下程度であり、例えば30μmである。ヒータエレメント230は、第1の支持板210および第2の支持板270とは電気的に絶縁されている。
ヒータエレメント230は、電流が流れると発熱し、処理対象物Wの温度を制御する。例えば、ヒータエレメント230は、処理対象物Wを所定の温度に加熱する。例えば、ヒータエレメント230は、処理対象物Wの面内の温度分布を均一にする。例えば、ヒータエレメント230は、処理対象物Wの面内の温度に意図的に差をつける。ヒータエレメント230は、帯状のヒータ電極239を有する。
給電端子280は、ヒータエレメント230と電気的に接合されている。ヒータプレート200がベースプレート300とセラミック誘電体基板100との間に設けられた状態において、給電端子280は、ヒータプレート200からベースプレート300へ向かって設けられている。給電端子280は、静電チャック10の外部から供給された電力をヒータエレメント230に供給する。
ヒータプレート200は、複数の給電端子280を有する。図3〜図5に表したヒータプレート200は、8つの給電端子280を有する。給電端子280の数は、「8」には限定されない。1つの給電端子280は、1つのヒータ電極239と電気的に接合されている。孔273は、第2の支持板270を貫通している。給電端子280は、孔273を通してヒータ電極239と電気的に接合されている。
図5に表した矢印Caおよび矢印Cbのように、電力が静電チャック10の外部から給電端子280に供給されると、電流は、図5に表した矢印Ccのように、ヒータエレメント230の所定のゾーン(領域)を流れる。ヒータエレメント230のゾーンの詳細については、後述する。ヒータエレメント230へ流れた電流は、図5に表した矢印Caおよび矢印Cbのように、給電端子280へ流れ、給電端子280から静電チャック10の外部へ流れる。
このように、ヒータエレメント230と給電端子280との接合部には、電流がヒータエレメント230に入る部分と、電流がヒータエレメント230から出る部分と、が存在する。つまり、ヒータエレメント230と給電端子280との接合部には、ペアが存在する。図3〜図5に表したヒータプレート200は8つの給電端子280を有するため、ヒータエレメント230と給電端子280との接合部には、4つのペアが存在する。
本実施形態によれば、ヒータエレメント230は、第1の支持板210と、第2の支持板270と、の間に設けられている。これにより、ヒータプレート200の面内の温度分布の均一化を向上させ、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。また、第1の支持板210および第2の支持板270は、ヒータエレメント230(および後述のバイパス層250)を高周波から遮断し、ヒータエレメント230が異常温度に発熱することを抑制することができる。
前述したように、給電端子280は、ヒータプレート200からベースプレート300へ向かって設けられている。そのため、ベースプレート300の下面303(図2(a)および図2(b)参照)の側からソケットなどと呼ばれる部材を介して給電端子280に電力を供給することができる。これにより、静電チャック10が設置されるチャンバ内に給電端子280が露出することを抑えつつ、ヒータの配線が実現される。
次に、本実施形態のヒータプレート200の製造方法について、説明する。
本実施形態にかかるヒータプレート200の製造方法では、例えば、まずアルミニウムの機械加工を行うことで、第1の支持板210および第2の支持板270を製造する。第1の支持板210および第2の支持板270の検査は、例えば三次元測定器などを用いて行われる。
次に、例えば、ポリイミドフィルムをレーザ、機械加工、型抜き、あるいは溶解などによりカットすることで、第1の樹脂層220、第2の樹脂層240及び樹脂部223を製造する。第1の樹脂層220、第2の樹脂層240、樹脂部223の検査は、例えば目視などを用いて行われる。
次に、ステンレス、チタン、クロム、ニッケル、銅、およびアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属をフォトリソグラフィ技術や印刷技術を利用しエッチング、機械加工、型抜きなどによりカットすることで、ヒータパターンを形成する。これにより、ヒータエレメント230を製造する。また、ヒータエレメント230の抵抗値の測定などが行われる。
続いて、ヒータプレート200の各部材を積層した積層体を圧着する。
このようにして、本実施形態のヒータプレート200が製造される。
なお、製造後のヒータプレート200に対しては、検査などが適宜行われる。
本実施形態に係るヒータプレート200の構造について、図面を参照しつつ、さらに説明する。
図6は、本実施形態のヒータプレートの一部を表す断面図である。
図7は、本実施形態のヒータプレートの写真像である。図7では、図6に表した領域B3に対応する断面を観察している。
本実施形態において、ヒータ電極239は、複数の領域に独立して配置されている。例えば、図6に表したように、ヒータ電極239(ヒータエレメント230)は、第1の導電部21と、第2の導電部22と、を有する。第2の導電部22は、面内方向Dp(例えばX方向)において第1の導電部21と離間している。第1の導電部21及び第2の導電部22は、ヒータ電極239の一部である。第1の導電部21と第2の導電部22との間の距離(第1の導電部21と第2の導電部22との間の離間部分235の幅L8)は、例えば、500μm以上である。このように、ヒータ電極239が、複数の領域に配置されることによって、処理対象物Wの面内の温度を各領域ごとに制御することができる。なお、ヒータ電極239のパターンの具体例については、図21(a)、図21(b)及び図22に関して後述する。
例えば、第1の導電部21の上面は、第1の樹脂層220と接し、第1の導電部21の下面は、第2の樹脂層240と接する。例えば、第2の導電部22の上面は、第1の樹脂層220と接し、第2の導電部22の下面は、第2の樹脂層240と接する。
ヒータプレート200は、第1の樹脂部221(樹脂部223)を有する。第1の樹脂部221は、Z方向において、第1の樹脂層220と第2の樹脂層240との間に設けられる。例えば、第1の樹脂部221の上面は、第1の樹脂層220と接し、第1の樹脂部221の下面は、第2の樹脂層240と接する。第1の樹脂部221は、面内方向Dpにおいて、第1の導電部21と第2の導電部22との間に設けられる。換言すれば、樹脂部223は、各ヒータ電極239の間のそれぞれに設けられる。第1の樹脂部221は、第1の導電部21及び第2の導電部22と離間している。
すなわち、第1の樹脂層220は、第1の導電部21と第2の導電部22との間において、第2の樹脂層240と第1の樹脂部221を介して接している。
第1の樹脂部221(樹脂部223)は、第1の樹脂層220及び第2の樹脂層240とは異なる樹脂層である。例えば、第1の樹脂部221は、第1の樹脂層220の材料とは異なる材料を含む。異なる材料とは、組成が異なる材料、物性(例えば融点やガラス転移点など)が異なる材料、又は熱履歴が異なる材料である。熱履歴が異なる2つの材料間には界面が存在する。第1の樹脂部221は、第2の樹脂層240の材料とは異なる材料を含む。第1の樹脂部221の熱履歴は、第1の樹脂層220及び第2の樹脂層240の熱履歴と異なる。第1の樹脂部221の組成は、第1の樹脂層220及び第2の樹脂層240の組成と異なる。
例えば、第1の樹脂部221が第1の樹脂層220に含まれる成分と異なる成分を含む場合、第1の樹脂部221の材料は第1の樹脂層220の材料と異なる。第1の樹脂部221が第1の樹脂層220の成分と同じ成分を含む場合でも、第1の樹脂部221における当該成分の組成比(濃度)が第1の樹脂層220における当該成分の組成比(濃度)と異なる場合、第1の樹脂部221の材料は第1の樹脂層220の材料と異なる。また、例えば、第1の樹脂層220が複数の層を含む場合でも、当該複数の層の少なくともいずれかの材料と第1の樹脂部221の材料とが異なる場合、第1の樹脂部221の材料は、第1の樹脂層220の材料と異なる。第1の樹脂部221のガラス転移点(又は融点)は、例えば、第1の樹脂層220のガラス転移点(又は融点)よりも低い。第1の樹脂部221の材料と第2の樹脂層220の材料とが異なるという場合も、上記と同様である。
例えば、第1の樹脂部221の材料には、ポリイミドやシリコーン、エポキシ、アクリルなどが用いられる。例えば、ポリイミドフィルム、発砲接着剤シート、シリコーン又はエポキシを含む接着剤などを用いることができる。
第1の導電部21は、面内方向Dpにおける側端部21a(第1の側端部)を有する。側端部21aは、第1の樹脂部221側の端部(第2の導電部22側の端部)である。
同様に、第2の導電部22は、面内方向Dpにおける側端部22aを有する。側端部22aは、第1の樹脂部221側の端部(第1の導電部21側の端部)である。
第1の樹脂部221は、面内方向Dpにおける側端部221aと、側端部221bと、を有する。側端部221aは、第1の導電部21側の端部であり、側端部221bは、第2の導電部22側の端部である。
ヒータプレート200は、空間部23a及び空間部23bを有する。
空間部23a(第1の空間部)は、少なくとも、第1の導電部21の側端部21a、第1の樹脂層220、第2の樹脂層240、及び、第1の樹脂部221(側端部221a)によって区画された(囲まれた)空間である。空間部23aは、面内方向Dpにおいて側端部21aと隣接しており、第1の導電部21と第1の樹脂部221との間に位置する。
同様に、空間部23bは、少なくとも、第2の導電部22の側端部22a、第1の樹脂層220、第2の樹脂層240、及び、第1の樹脂部221(側端部221b)によって区画された(囲まれた)空間である。空間部23bは、面内方向Dpにおいて側端部22aと隣接しており、第2の導電部22と第1の樹脂部221との間に位置する。
空間部23aのZ方向に沿った長さL2は、第1の導電部21のZ方向に沿った長さL1以下である。同様に、空間部23bのZ方向に沿った長さは、第2の導電部22のZ方向に沿った長さ以下である。
ヒータ電極239に電流が流れて、ヒータプレート200が発熱すると、ヒータ電極239の熱膨張が生じる。例えば、第1の樹脂層220の熱膨張係数と、ヒータ電極239の熱膨張係数とは、異なることがある。また、例えば、第1の樹脂層220の温度と、ヒータ電極239の温度とは、異なることがある。このため、ヒータ電極239が熱膨張によって変形すると、第1の樹脂層220に応力が掛かる。この応力によって、第1の樹脂層220とヒータ電極239との剥離が生じることがある。剥離が生じた領域においては、ヒータ電極239から処理対象物Wへの熱伝導が阻害される。このため、処理対象物Wの温度が局所的に低下することがある。
同様に、第2の樹脂層240とヒータ電極239とが剥離することがある。剥離が生じた領域においては、例えば、ヒータ電極239から冷却媒体への熱伝導が阻害される。このため、処理対象物Wの温度が局所的に上昇することがある。処理対象物Wに局所的な温度の変化が生じると、エッチングなどの加工の精度が低くなる。その結果、半導体チップなどの歩留まりが低下することがある。
これに対して、実施形態に係る静電チャックにおいては、複数の領域に分離して設けられたヒータ電極239の各側端部に、空隙(空間部23a、23bなど)が設けられている。これにより、例えば、ヒータ電極239(第1の導電部21等)は、空隙に向かって膨張することができる。ヒータ電極239が熱膨張によって変形しても、空隙が埋められるため、第1の樹脂層220及び第2の樹脂層240に掛かる応力を低減することができる。これにより、ヒータ電極239と第1の樹脂層220との剥離、及び、ヒータ電極239と第2の樹脂層240との剥離を抑制することができる。したがって、負荷に対する耐性を向上させ、信頼性を向上させることができる。
また、剥離によって熱伝導が局所的に阻害されることを抑制し、処理対象物Wの局所的な温度変化を抑制することができる。すなわち、温度均一性及び温度制御性を向上させ、処理対象物の温度を安定して制御することができる。エッチングなどの加工精度及び歩留まりを向上させることができる。
また、第1の樹脂層220と第2の樹脂層240との間に第1の樹脂部221(樹脂部223)を設けることによって、第1の支持板210と第2の支持板270と間における熱容量や熱伝導をコントロールすることができる。例えば、第1の樹脂部221(樹脂部223)の材料や形状を調整することでヒータプレートの熱伝導や熱容量を調整することができる。これにより、温度均一性と熱伝導性とを両立することができる。
図8は、本実施形態のヒータプレートの一部を表す断面図である。
図8では、図6に示した第1の導電部21の面内方向Dpにおける両端を含む領域を示す。
図8に示した例では、ヒータプレート200は、第2の樹脂部222(樹脂部223)をさらに有する。第2の樹脂部222は、Z方向において、第1の樹脂層220と第2の樹脂層240との間に設けられる。例えば、第2の樹脂部222の上面は、第1の樹脂層220と接し、第2の樹脂部222の下面は、第2の樹脂層240と接する。第2の樹脂部222の材料及び厚さは、それぞれ、第1の樹脂部221の材料及び厚さと同様とすることができる。
第1の導電部21は、面内方向Dpにおいて、第1の樹脂部221と第2の樹脂部222との間に位置する。第1の導電部21は、第1の樹脂部221及び第2の樹脂部222から離間している。
第1の導電部21は、面内方向Dpにおける側端部21b(第2の側端部)を有する。側端部21bは、第2の樹脂部222側の端部である。つまり、側端部21bは、側端部21aとは反対側の端部である。
第2の樹脂部222は、面内方向Dpにおける側端部222aを有する。側端部222aは、第1の導電部21側の端部である。
ヒータプレート200は、空間部23cをさらに有する。
空間部23c(第2の空間部)は、少なくとも、第1の導電部21の側端部21b、第1の樹脂層220、第2の樹脂層240、及び第2の樹脂部222(側端部222a)に区画された(囲まれた)空間である。空間部23cは、面内方向Dpにおいて側端部21bと隣接しており、第1の導電部21と第2の樹脂部222との間に位置する。
空間部23cのZ方向に沿った長さL3は、第1の導電部21のZ方向に沿った長さL1以下である。
なお、実施形態においては、第2の樹脂部222は、必ずしも設けられなくてもよい。すなわち、空間部23cは、第1の導電部21と、第1の樹脂層220と、第2の樹脂層240とによって区画された空間であってもよい。
このように空間部23c(第2の空間部)を設けることにより、第1の導電部21は、熱によって膨張しても、空間部23cを埋めるように変形する。これにより、図6に関する説明と同様に、第1の樹脂層220及び第2の樹脂層240に掛かる応力を低減することができる。また、図8に示したように、第1の導電部21の両端に空隙を設けることにより、信頼性、温度均一性及び温度制御性などをより向上させることができる。
図9は、本実施形態のヒータプレートの一部を表す断面図である。
図9は、図6〜図8に関して前述した空間部23aの形状を説明する拡大図である。
この例では、第1の導電部21の厚さ(Z方向に沿った長さ)は、第1の樹脂部221の厚さと同じとしている。
図9に示した断面(Z方向に対して平行な断面)においては、第1の樹脂層220は、第1の導電部21と第1の樹脂部221との間において、第2の樹脂層240と離れている(交わらない)。また、この断面において、空間部23aの形状は、4つの頂点Pt1〜Pt4を有する。なお、頂点とは、空間部の断面形状(輪郭)が不連続に折れ曲がる点(角)である。頂点Pt1において、第1の樹脂層220と第1の樹脂部221とが交わる。頂点Pt2において、第1の樹脂層220と第1の導電部21とが交わる。頂点Pt3において、第2の樹脂層240と第1の樹脂部221とが交わる。頂点Pt4において、第2の樹脂層240と第1の導電部21とが交わる。
空間部23aが上記のような形状であることにより、例えば3つの頂点を有する三角形に比べて、第1の樹脂層220と第2の樹脂層240との間の空間が狭くならない。これにより、ヒータエレメント(第1の導電部21)が熱によって変形したときに、第1の樹脂層220及び第2の樹脂層240に掛かる応力が低減しやすい。
図9に示したように、空間部23aは、面内方向Dpにおける両端部(端部Ep1及び端部Ep2)と、端部Ep1と端部Ep2との間に位置する中央部Cp1と、を有する。中央部Cp1のZ方向に沿った長さL4は、端部Ep1(又は端部Ep2)のZ方向に沿った長さL5よりも短い。
すなわち、空間部23aは、Z方向において窪んでおり、面内方向Dpにおいて広がっている。面内方向Dpに空間が広がっていることで熱膨張を緩和しやすい。また、空間部がZ方向に窪んでおり、かつ、空間が確保されていることで、熱膨張の緩和と、縦方向への熱の伝達性向上を両立させることが可能となる。
この例では、空間部23aは、空間部23aの面内方向Dpにおける中央部に近づくにつれて、上側及び下側から潰された形状を有している。すなわち、空間部23aと第1の樹脂層220との境界は、面内方向Dpにおいて中央部Cp1に近づくにつれて、図9に示した仮想面Pn1(仮想線)に近づく。また、空間部23aと第2の樹脂層240との境界は、面内方向Dpにおいて中央部Cp1に近づくにつれて、仮想面Pn1に近づく。なお、仮想面Pn1は、第1導電部21のZ方向における中央付近を通り、面内方向Dpに平行な面である。
図10は、本実施形態の別のヒータプレートの一部を表す断面図である。
図10に示した例では、第1の樹脂部221のZ方向に沿った長さL6(厚さ)は、第1の導電部21のZ方向に沿った長さL1よりも短い。
実施形態においては、第1の樹脂部221のZ方向に沿った長さL6は、第1の導電部21のZ方向に沿った長さL1以下が望ましい。
第1の樹脂部221(樹脂部223)が厚すぎると、例えば各部材を圧着してヒータエレメントを製造するときに、樹脂層(第1の樹脂層220又は第2の樹脂層240)とヒータエレメント(第1の導電部21)との密着性が低下する可能性がある。第1の樹脂部221(樹脂部223)の厚さを抑えることによって、樹脂層とヒータエレメントとの密着性を確保することができる。これにより、第1の樹脂層220や第2の樹脂層240が第1の導電部21から離れることを防げる。ヒータエレメントと樹脂層とを密着性させることができるため、設計通りの均熱性と耐電圧特性を実現できる。また、ヒータエレメントと樹脂層との密着性を確保することにより、第1の支持板210の上面に凹凸が形成される。このため、ヒータエレメントと処理対象物との間の距離を短くすることができる。これにより、処理対象物の温度を上昇させる速度を向上させることができる。したがって、「ヒータの加熱性能(昇温速度)」と、「温度均一性」「耐電圧信頼性」と、の両立が可能となる。
図11(a)及び図11(b)は、本実施形態のヒータプレートの変形例の一部を表す断面図である。
図11(a)に表した例においては、空間部23aは、中央部Cp1に近づくにつれて、下側から潰された形状を有している。すなわち、空間部23aと第2の樹脂層240との境界は、面内方向Dpにおいて中央部Cp1に近づくつれて、図11(a)に示した仮想面Pn2(仮想線)に近づく。また、空間部23aと第1の樹脂層220との境界は、仮想面Pn2に沿って延びている。なお、仮想面Pn2は、第1の導電部21の上面21Uを通り、面内方向Dpに延在する面である。上面21Uは、第1の樹脂層220と対向する面であり、第1の導電部21は、上面21Uにおいて第1の樹脂層220と接している。空間部23bも、同様に、下側から潰された形状を有している。
図11(b)に表した例においては、空間部23aは、中央部Cp1に近づくにつれて、上側から潰された形状を有している。すなわち、空間部23aと第1の樹脂層220との境界は、面内方向Dpにおいて中央部Cp1に近づくにつれて、図11(b)に示した仮想面Pn3(仮想線)に近づく。また、空間部23aと第2の樹脂層240との境界は、仮想面Pn3に沿って延びている。なお、仮想面Pn3は、第1の導電部21の下面21Lを通り、面内方向Dpに延在する面である。下面21Lは、第2の樹脂層240と対向する面であり、第1の導電部21は、下面21Lにおいて第2の樹脂層240と接している。空間部23bも、同様に、下側から潰された形状を有している。
空間部23a、23bが上側及び下側のいずれか一方から潰された形状であることにより、両側から潰された形状に比べて、圧着時に空間部23a、23bの大きさを確保しやすい。圧着条件や積層体の構成(材料など)を調整することにより、空間部23a、23bの形状を調整することができる。
図11(a)及び図11(b)に表した例では、上面21Uの面内方向Dpに沿った長さ(幅)は、下面21Lの面内方向Dpに沿った長さと略同じである。
図12(a)及び図12(b)は、本実施形態のヒータプレートの変形例の一部を表す断面図である。
図12(a)及び図12(b)に表した例においては、ヒータ電極239の上面の幅は、ヒータ電極239の下面の幅と異なる。ヒータ電極239の端部は、上下で長さが異なる。
具体的には、例えば、第1の導電部21の上面21Uの面内方向Dpに沿った長さL7は、第1の導電部21の下面21Lの面内方向Dpに沿った長さL9とは異なる。
図12(a)は、ヒータ電極239の下面の幅が、ヒータ電極239の上面の幅よりも広い例を示す。例えば、長さL9は、長さL7よりも長い。
この場合、ヒータ電極239の上面に接触する層に加わる応力を低減し、ヒータ電極239の上面に接触する層の剥離を抑制することができる。また、静電チャックにおいては、ヒータ電極239の下方に設けられたベースプレート300に熱が逃げやすく、上下方向において熱分布に偏りが生じることがある。これに対して、図12(a)に示したように、ヒータ電極239の下面が広いことにより、ヒータ電極239の下方を熱しやすくすることができる。これにより、上下方向における熱分布の偏りを抑制することができる。
図12(b)は、ヒータ電極239の上面の幅が、ヒータ電極239の下面の幅よりも広い例を示す。例えば、長さL7は、長さL9よりも長い。
この場合、ヒータ電極239の下面に接触する層に加わる応力を低減し、ヒータ電極239の下面に接触する層の剥離を抑制することができる。また、ヒータ電極239の上面が広いことにより、ヒータ電極239の上方を熱しやすくすることができる。ヒータ電極239の下面が狭いことにより、ヒータ電極239の下方を冷ましやすくすることができる。これにより、温度追従性(ランプレート)を向上させることができる。なお、温度追従性とは、ヒータの出力等を変化させて設定温度を変化させた時の、処理対象物の温度の追従性であり、加熱性能(昇温速度)に関係する。
ヒータ電極239は、上面と下面とをつなぐ側面を有する。側面は、ヒータ電極239と隣接する空間部(空隙)に接する面である。この側面は、ヒータ電極239の上面及び下面のうち面内方向に沿った幅が広い方の面よりも粗い。
例えば、第1の導電部21は、上面21Uと下面21Lとをつなぐ側面S1及び側面S2を有する。側面S1は、第1の空間部23aと接する面である。側面S2は、側面S1の反対側の面である。側面S1及び側面S2のそれぞれは、上面21U及び下面21Lの少なくともいずれかよりも粗い。例えば、図12(a)に表した例では、側面S1及び側面S2のそれぞれは、下面21Lよりも粗い。また、図12(b)に表した例では、側面S1及び側面S2のそれぞれは、上面21Uよりも粗い。
側面が導電部の上面および下面の少なくともいずれかより粗いことにより、側面からの熱拡散が良くなり、均熱性や温度追従性といった熱的特性を向上させることができる。
図13(a)及び図13(b)は、本実施形態のヒータプレートの変形例の一部を表す断面図である。これらの図は、第1の導電部21の形状を説明する拡大図である。
図13(a)、図13(b)は、それぞれ、図12(a)に示した第1の導電部21、図12(b)に示した第1の導電部21を示す。
図13(a)及び図13(b)に表したように、Z方向に対して平行な断面において、側面S1及び側面S2のそれぞれは、曲線状である。
図13(a)の例では、側面S1及び側面S2は、それぞれ、凹曲面(下に向かって凹)である。図13(b)の例では、側面S1及び側面S2は、それぞれ、凹曲面(上に向かって凹)である。側面S1及び側面S2は、平面状でもよい。
側面S1及び側面S2の上記のような曲面の形状を調整することにより、例えば、空間部23aや空間部23cを広くしたり、第1の樹脂層220及び第2の樹脂層240に形成される凹凸を大きくしたりできる。これにより、加熱性能(昇温速度)、温度均一性、耐電圧信頼性をより向上させることができる。
また、上面21Uと側面S1との間の角度θ1は、下面21Lと側面S1との間の角度θ2と異なる。これにより、熱膨張によるヒーター変形による樹脂層への応力の緩和によるヒーターエレメントに近接する樹脂層の剥離の低減と、均熱性や温度追従性といった熱的特性を両立することができる。
図14(a)〜図14(d)は、本実施形態のヒータプレートの変形例の一部を表す断面図である。
第1の支持板210は、第1の支持部SP1と、第2の支持部SP2と、を含む。第1の支持部SP1は、Z方向において第1の導電部21と並ぶ。第2の支持部SP2は、Z方向において空間部23aと並ぶ。
同様に、第2の支持板270は、第3の支持部SP3と、第4の支持部SP4と、を含む。第3の支持部SP3は、Z方向において第1の導電部21と並ぶ。第4の支持部SP4は、Z方向において空間部23aと並ぶ。
図14(a)〜図14(c)に示すように、第2の支持部SP2と第4の支持部SP4との間の長さL10(距離)は、第1の支持部SP1と第3の支持部SP3との間の長さL11(距離)よりも短い。すなわち、第1の支持板210及び第2の支持板270の少なくともいずれかには、凹凸が形成されている。
図14(a)は、第1の支持板210及び第2の支持板270の両方に凹凸が形成された例を示す。この例では、第1の支持部SP1及び第3の支持部SP3はフラットであり、第2の支持部SP2及び第4の支持部SP4は窪んでいる。
図14(b)は、第1の支持板210に凹凸が形成され、第2の支持板270には凹凸が形成されていない例を示す。この例では、第1の支持部SP1、第3の支持部SP3及び第4の支持部SP4はフラットであり、第2の支持部SP2は窪んでいる。
図14(c)は、第2の支持板270に凹凸が形成され、第1の支持板210には凹凸が形成されていない例を示す。この例では、第1の支持部SP1、第2の支持部SP2及び第3の支持部SP3はフラットであり、第4の支持部SP4は窪んでいる。
このような支持板の凹凸は、ヒータエレメント(第1の導電部21)と、ヒータエレメントを挟む部材との密着性が高いことにより形成される。この密着性が高いことにより、例えば、ばらつきを抑制し、熱伝導を制御しやすい。例えば設計通りの均熱性や耐電圧特性を実現できる。また、第1の支持板210に凸部が形成されることにより、ヒータエレメントと処理対象物との間の距離を短くすることができる。これにより、処理対象物の温度を上昇させる速度を向上させることができる。また、支持板にフラットな部分を形成することにより、接着剤403の厚さをコントロールしやすく、ばらつきを低減できる。
図14(d)においては、長さL10は、長さL11と実質的に同じである。実質的に同じとは、例えば、長さL10が長さL11の0.9倍以上1.1倍以下程度である。図14(d)においては、第1の支持板210及び第2の支持板270は、フラットである。これにより、ヒータプレート200、セラミック誘電体基板100及びベースプレート300を接合する接着剤403の厚さのばらつきを低減することができ、面内の熱伝達を均一化することが可能となる。
また、ヒータエレメントと処理対象物との距離が全面において近くなり、処理対象物の温度を上昇させる速度を向上させることができる。したがって、「ヒータの加熱性能(昇温速度)」と、「温度均一性」と、の両立が可能となる。
図15は、本実施形態のヒータプレートの変形例を表す模式的分解図である。
図15に表したように、ヒータプレート200は、バイパス層250と、第3の樹脂層260と、を有していてもよい。バイパス層250は、第2の樹脂層240と第2の支持板270との間に設けられている。第3の樹脂層260は、バイパス層250と、第2の支持板270と、の間に設けられている。これ以外については、図15に表した変形例のヒータプレートには、上述のヒータプレートと同様の説明を適用できる。なお、図15では、説明の便宜上、樹脂部223の図示を省略している。
第3の樹脂層260は、バイパス層250と第2の支持板270とを互いに接合する。第3の樹脂層260は、バイパス層250と第2の支持板270との間を電気的に絶縁する。このように、第3の樹脂層260は、電気絶縁の機能と、面接合の機能と、を有する。第3の樹脂層260の材料および厚さは、第1の樹脂層220の材料および厚さとそれぞれ同程度である。
この例では、第2の樹脂層240は、ヒータエレメント230とバイパス層250とを互いに接合する。第2の樹脂層240は、ヒータエレメント230とバイパス層250との間を電気的に絶縁する。
バイパス層250は、第1の支持板210と略平行に配置され、第2の支持板270と略平行に配置されている。バイパス層250は、複数のバイパス部251を有する。バイパス層250は、例えば8つのバイパス部251を有する。バイパス部251の数は、「8」には限定されない。バイパス層250は、板状を呈する。バイパス層250の面(バイパス部251の面251a)に対して垂直にみたときに、バイパス層250の面積は、ヒータエレメント230の面積(ヒータ電極239の面積)よりも広い。この詳細については、後述する。
バイパス層250は、導電性を有する。バイパス層250は、第1の支持板210および第2の支持板270とは電気的に絶縁されている。バイパス層250の材料としては、例えばステンレスを含む金属などが挙げられる。バイパス層250の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば約0.03mm以上、0.30mm以下程度である。バイパス層250の厚さは、第1の樹脂層220の厚さよりも厚い。バイパス層250の厚さは、第2の樹脂層240の厚さよりも厚い。バイパス層250の厚さは、第3の樹脂層260の厚さよりも厚い。
例えば、バイパス層250の材料は、ヒータエレメント230の材料と同じである。一方で、バイパス層250の厚さは、ヒータエレメント230の厚さよりも厚い。そのため、バイパス層250の電気抵抗は、ヒータエレメント230の電気抵抗よりも低い。これにより、バイパス層250の材料がヒータエレメント230の材料と同じ場合でも、バイパス層250がヒータエレメント230のように発熱することを抑えることができる。つまり、バイパス層250の電気抵抗を抑え、バイパス層250の発熱量を抑えることができる。なお、バイパス層250の電気抵抗を抑え、バイパス層250の発熱量を抑える手段は、バイパス層250の厚さではなく、体積抵抗率が比較的低い材料を用いることで実現されてもよい。すなわち、バイパス層250の材料は、ヒータエレメント230の材料と異なってもよい。バイパス層250の材料としては、例えばステンレス、チタン、クロム、ニッケル、銅、およびアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属などが挙げられる。
給電端子280は、バイパス層250を介してヒータエレメント230と電気的に接合されている。1つの給電端子280は、1つのバイパス層250と電気的に接合されている。図15に表した矢印C1および矢印C2のように、電力が静電チャック10の外部から給電端子280に供給されると、電流は、給電端子280からバイパス層250へ流れる。図15に表した矢印C3および矢印C4のように、バイパス層250へ流れた電流は、バイパス層250からヒータエレメント230へ流れる。図15に表した矢印C5および矢印C6のように、ヒータエレメント230へ流れた電流は、ヒータエレメント230の所定のゾーン(領域)を流れ、ヒータエレメント230からバイパス層250へ流れる。図15に表した矢印C7および矢印C8のように、バイパス層250へ流れた電流は、バイパス層250から給電端子280へ流れる。図15に表した矢印C9のように、給電端子280へ流れた電流は、静電チャック10の外部へ流れる。
前述したように、バイパス層250は、ヒータエレメント230と、第2の支持板270と、の間に設けられている。つまり、バイパス層250は、ヒータエレメント230と、ベースプレート300と、の間に設けられている。ステンレスの熱伝導率は、アルミニウムの熱伝導率および銅の熱伝導率よりも低い。そのため、バイパス層250は、ヒータエレメント230から供給された熱が第2の支持板270へ伝わることを抑制する。つまり、バイパス層250は、バイパス層250からみて第2の支持板270の側に対する断熱効果を有し、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
バイパス層250は、給電端子280の配置に対してより大きい自由度を持たせることができる。バイパス層250が設けられることで、バイパス層250が設けられていない場合と比較して熱容量が大きい給電端子をヒータエレメント230に直接接合させなくともよい。これにより、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。また、バイパス層250が設けられていない場合と比較して薄いヒータエレメント230に給電端子280を接合させなくともよい。これにより、ヒータプレート200の信頼性を向上させることができる。
次に、図15に表したヒータプレートの製造方法について説明する。
図16(a)及び図16(b)は、本実施形態の製造方法の一例を例示する模式的断面図である。
図17は、本実施形態の製造方法の他の一例を例示する模式的断面図である。
図16(a)は、バイパス層とヒータエレメントとを接合する前の状態を表す模式的断面図である。図16(b)は、バイパス層とヒータエレメントとを接合した後の状態を表す模式的断面図である。図17は、バイパス層と給電端子との接合工程の一例を例示する模式的断面図である。
まず、図5に関して説明した製造方法と同様にして、ヒータプレート200の各部材を準備する。続いて、図16(a)および図16(b)に表したように、ヒータエレメント230とバイパス層250との接合を行う。ヒータエレメント230とバイパス層250との接合は、はんだ付け、ろう付け、溶接、あるいは接触などにより行われる。図16(a)に表したように、第2の樹脂層240には、孔241が設けられている。孔241は、第2の樹脂層240を貫通している。例えば、図16(a)に表した矢印C11のように、バイパス層250の側からスポット溶接を行うことで、ヒータエレメント230とバイパス層250とを接合する。
なお、ヒータエレメント230とバイパス層250との接合は、溶接には限定されない。例えば、ヒータエレメント230とバイパス層250との接合は、レーザ光を利用した接合、半田付け、ろう付け、あるいは接触などにより行われてもよい。その後、ヒータプレート200の各部材を積層した積層体を圧着する。
続いて、図17に表したように、給電端子280とバイパス層250との接合を行う。給電端子280とバイパス層250との接合は、溶接、レーザ、はんだ付け、あるいはろう付けなどにより行われる。図17に表したように、第2の支持板270には、孔273が設けられている。孔273は、第2の支持板270を貫通している。これは、図4(b)に関して前述した通りである。第3の樹脂層260には、孔261が設けられている。孔261は、第3の樹脂層260を貫通している。図17に表した矢印C13のように、第2の支持板270から第1の支持板210へ向かって溶接、レーザ、はんだ付け、あるいはろう付けなどを行うことで、給電端子280とバイパス層250とを接合する。
このようにして、本実施形態のヒータプレート200が製造される。
以下の説明においては、ヒータプレートがバイパス層250及び第3の樹脂層260を有する場合を例に挙げる。但し、実施形態においては、図5〜図14に関して説明したヒータプレートと同様に、バイパス層250及び第3の樹脂層260を省略してもよい。バイパス層250及び第3の樹脂層260以外の構成は、同様であるため、詳細な説明は省略する。
図18は、本実施形態にかかる静電チャックを表す模式的分解図である。
図19(a)及び図19(b)は、静電チャックを表す電気回路図である。
図19(a)は、第1の支持板と第2の支持板とが電気的に接合された例を表す電気回路図である。図19(b)は、第1の支持板と第2の支持板とが電気的に接合されていない例を表す電気回路図である。
図18および図19(a)に表したように、第1の支持板210は、第2の支持板270と電気的に接合されている。第1の支持板210と第2の支持板270との接合は、例えば、溶接、レーザ光を利用した接合、半田付け、あるいは接触などにより行われる。
例えば、図19(b)に表したように、第1の支持板210が第2の支持板270と電気的に確実に接合されていないと、第1の支持板210が第2の支持板270と電気的に接合されたり、あるいは電気的に接合されなかったりすることがある。すると、プラズマを発生させたときのエッチングレートにばらつきが生ずることがある。また、第1の支持板210が第2の支持板270と電気的に接合されていなくとも、プラズマを発生させると電流がヒータエレメント230に流れ、ヒータエレメント230が発熱することがある。言い換えれば、第1の支持板210が第2の支持板270と電気的に確実に接合されていないと、ヒータエレメント230がヒータ用電流以外の電流により発熱することがある。
これに対して、本実施形態にかかる静電チャック10では、図19(a)に表したように、第1の支持板210は、第2の支持板270と電気的に接合されている。これにより、電流が第1の支持板210から第2の支持板270へ流れ、あるいは電流が第2の支持板270から第1の支持板210へ流れ、プラズマを発生させたときのエッチングレートにばらつきが生ずることを抑えることができる。また、ヒータエレメント230がヒータ用電流以外の電流により発熱することを抑えることができる。
さらに、ヒータエレメント230およびバイパス層250を高周波から遮断することができる。これにより、ヒータエレメント230が異常温度に発熱することを抑制することができる。また、ヒータプレート200のインピーダンスを抑えることができる。
次に、本実施形態のヒータプレート200の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図20(a)及び図20(b)は、本実施形態のヒータプレートの具体例を表す模式的平面図である。
図21(a)、図21(b)及び図22は、本具体例のヒータエレメントを例示する模式的平面図である。
図23(a)及び図23(b)は、本具体例のバイパス層を例示する模式的平面図である。
図24(a)及び図24(b)は、本具体例のヒータプレートの一部を模式的に表す拡大図である。
図20(a)は、本具体例のヒータプレートを上面から眺めた模式的平面図である。図20(b)は、本具体例のヒータプレートを下面から眺めた模式的平面図である。図21(a)は、ヒータエレメントの領域の一例を例示する模式的平面図である。図21(b)及び図22は、ヒータエレメントの領域の他の一例を例示する模式的平面図である。
図23に表したように、バイパス層250の複数のバイパス部251のうちの少なくともいずれかは、縁部に切り欠き部253を有する。図23に表したバイパス層250では、4個の切り欠き部253が設けられている。切り欠き部253の数は、「4」には限定されない。
複数のバイパス層250のうちの少なくともいずれかが切り欠き部253を有するため、第2の支持板270は、第1の支持板210と接触可能である。
図20(a)および図20(b)に表したように、第1の支持板210は、領域B11〜領域B14および領域B31〜領域B34において第2の支持板270と電気的に接合されている。なお、領域B11〜領域B14のそれぞれは、領域B31〜領域B34のそれぞれと対応している。つまり、図20(a)〜図22に表した具体例では、第1の支持板210は、4つの領域で第2の支持板270と電気的に接合されており、8つの領域で第2の支持板270と電気的に接合されているわけではない。
図24(a)及び図24(b)は、領域B31(領域B11)の一例を表す拡大図である。図24(a)は、領域B31の模式的平面図であり、図24(b)は、領域B31の模式的断面図である。図24(b)は、図24(a)の切断面A2−A2を模式的に表す。なお、他の領域B12〜領域B14および領域B32〜領域B34は、領域B11、B31と同様であるから、詳細な説明は省略する。
図24(a)及び図24(b)に表したように、領域B31には、接合領域JAが設けられている。接合領域JAは、第1の支持板210と第2の支持板270とを互いに接合する。接合領域JAは、バイパス層250の切り欠き部253に対応して第1の支持板210及び第2の支持板270の外縁に設けられる。接合領域JAは、例えば、第2の支持板270側からレーザ溶接することによって形成される。これにより、接合領域JAは、スポット状に形成される。接合領域JAは、第1の支持板210側から形成してもよい。なお、接合領域JAの形成方法は、レーザ溶接に限ることなく、他の方法でもよい。接合領域JAの形状は、スポット状に限ることなく、楕円状、半円状、または角形状などでもよい。
第1の支持板210が第2の支持板270と接合された接合領域JAの面積は、第1の支持板210の面211(図3参照)の面積よりも狭い。接合領域JAの面積は、面211の面積からヒータエレメント230の面積を引いた差分の面積よりも狭い。換言すれば、接合領域JAの面積は、第1の支持板210のうちの面211と平行な平面に投影した時にヒータエレメント230と重ならない領域の面積よりも狭い。第1の支持板210が第2の支持板270と接合された接合領域JAの面積は、第2の支持板270の面271(図4(a)参照)の面積よりも狭い。接合領域JAの面積は、面271の面積からヒータエレメント230の面積を引いた差分の面積よりも狭い。換言すれば、接合領域JAの面積は、第2の支持板270のうちの面271と平行な平面に投影した時にヒータエレメント230と重ならない領域の面積よりも狭い。
スポット状に形成された接合領域JAの直径は、例えば、1mm(0.5mm以上3mm以下)である。一方、第1の支持板210及び第2の支持板270の直径は、例えば、300mmである。第1の支持板210及び第2の支持板270の直径は、保持する処理対象物Wに応じて設定される。このように、接合領域JAの面積は、第1の支持板210の面211の面積及び第2の支持板270の面271の面積に比べて十分に小さい。接合領域JAの面積は、例えば、面211の面積(面271の面積)の1/5000以下である。ここで、接合領域JAの面積とは、より詳しくは、第1の支持板210の面211と平行な平面に投影した時の面積である。換言すれば、接合領域JAの面積は、上面視における面積である。
この例では、領域B11〜領域B14および領域B31〜領域B34に対応した4つの接合領域JAが設けられる。接合領域JAの数は、4つに限らない。接合領域JAの数は、任意の数でよい。例えば、30°おきに12個の接合領域JAを第1の支持板210及び第2の支持板270に設けてもよい。また、接合領域JAの形状は、スポット状に限らない。接合領域JAの形状は、楕円状、角状、または線状などでもよい。接合領域JAは、例えば、第1の支持板210及び第2の支持板270の外縁に沿う環状に形成してもよい。
第2の支持板270は、孔273(図4(b)および図17参照)を有する。一方で、第1の支持板210は、給電端子280を通す孔を有していない。そのため、第1の支持板210の面211の面積は、第2の支持板270の面271の面積よりも広い。
図21(a)に表した具体例では、ヒータ電極239は、略円を描くように配置されている。ヒータ電極239は、第1の領域231と、第2の領域232と、第3の領域233と、第4の領域234と、に配置されている。第1の領域231は、ヒータエレメント230の中央部に位置する。第2の領域232は、第1の領域231の外側に位置する。第3の領域233は、第2の領域232の外側に位置する。第4の領域234は、第3の領域233の外側に位置する。
第1の領域231に配置されたヒータ電極239は、第2の領域232に配置されたヒータ電極239とは電気的に接合されていない。第2の領域232に配置されたヒータ電極239は、第3の領域233に配置されたヒータ電極239とは電気的に接合されていない。第3の領域233に配置されたヒータ電極239は、第4の領域234に配置されたヒータ電極239とは電気的に接合されていない。つまり、ヒータ電極239は、複数の領域において互いに独立した状態で設けられている。
例えば、図5に関して説明した第1の導電部21は、第2の領域232に配置されたヒータ電極239であり、第2の導電部22は、第3の領域233に配置されたヒータ電極239である。あるいは、第1の導電部21が、第3の領域233に配置されたヒータ電極239であり、第2の導電部22が、第4の領域234に配置されたヒータ電極239であってもよい。
図21(b)に表した具体例では、ヒータ電極239は、略扇形の少なくとも一部を描くように配置されている。ヒータ電極239は、第1の領域231aと、第2の領域231bと、第3の領域231cと、第4の領域231dと、第5の領域231eと、第6の領域231fと、第7の領域232aと、第8の領域232bと、第9の領域232cと、第10の領域232dと、第11の領域232eと、第12の領域232fと、に配置されている。任意の領域に配置されたヒータ電極239は、他の領域に配置されたヒータ電極239とは電気的に接合されていない。つまり、ヒータ電極239は、複数の領域において互いに独立した状態で設けられている。図21(a)および図21(b)に表したように、ヒータ電極239が配置される領域は、特には限定されない。
図22に表した具体例では、ヒータエレメント230がさらに多くの領域を有する。図20のヒータエレメント230では、図22(a)で示した第1の領域231が、さらに4つの領域231a〜231dに分割されている。また、図22(a)で示した第2の領域232が、さらに8つの領域232a〜232hに分割されている。また、図22(a)で示した第3の領域233が、さらに8つの領域233a〜233hに分割されている。そして、図22(a)で示した第4の領域234が、さらに16の領域234a〜234pに分割されている。このように、ヒータ電極239が配置されるヒータエレメント230の領域の数及び形状は、任意でよい。
図23(a)に表したように、バイパス層250のバイパス部251は、扇形を呈する。複数の扇形のバイパス部251が互いに離間して並べられ、バイパス層250は、全体として略円形を呈する。図23(a)に表したように、隣り合うバイパス部251の間の離間部分257は、バイパス層250の中心259から径方向に延在している。言い換えれば、隣り合うバイパス部251の間の離間部分257は、バイパス層250の中心259から放射状に延在している。バイパス部251の面251aの面積は、離間部分257の面積よりも広い。バイパス層250の面積(バイパス部251の面251aの面積)は、ヒータエレメント230の面積(ヒータ電極239の面積)よりも広い。
図23(b)に表したように、バイパス層250の複数のバイパス部251の形状は、例えば、湾曲した扇形状でもよい。このように、バイパス層250に設けられる複数のバイパス部251の数及び形状は、任意でよい。
図20(a)〜図23(b)に関する以下の説明では、図21(a)に表したヒータエレメント230の領域を例に挙げる。ヒータ電極239が略円を描くように配置され、複数の扇形のバイパス部251が互いに離間して並べられている。そのため、バイパス部251の面251aに対して垂直にみたときに、ヒータ電極239は、隣り合うバイパス部251の間の離間部分257と交差する。また、バイパス部251の面251aに対して垂直にみたときに、隣り合うヒータエレメント230の各領域(第1の領域231、第2の領域232、第3の領域233、および第4の領域234)の間の離間部分235は、隣り合うバイパス部251の間の離間部分257と交差する。
図20(a)および図20(b)に表したように、ヒータエレメント230とバイパス層250との接合部255a〜255hのそれぞれと、ヒータプレート200の中心203と、を結ぶ複数の仮想線は、互いに重ならない。言い換えれば、ヒータエレメント230とバイパス層250との接合部255a〜255hは、ヒータプレート200の中心203からみて互いに異なる方向に配置されている。図20(b)に表したように、給電端子280は、接合部255a〜255hのそれぞれと、ヒータプレート200の中心203と、を結ぶ仮想線の上に存在する。
接合部255a、255bは、第1の領域231に配置されたヒータ電極239とバイパス層250とを接合する部分である。接合部255a、255bは、第1の領域231に対応している。接合部255aおよび接合部255bのいずれか一方は、電流がヒータエレメント230に入る部分である。接合部255aおよび接合部255bのいずれか他方は、電流がヒータエレメント230から出る部分である。
接合部255c、255dは、第2の領域232に配置されたヒータ電極239とバイパス層250とを接合する部分である。接合部255c、255dは、第2の領域232に対応している。接合部255cおよび接合部255dのいずれか一方は、電流がヒータエレメント230に入る部分である。接合部255cおよび接合部255dのいずれか他方は、電流がヒータエレメント230から出る部分である。
接合部255e、255fは、第3の領域233に配置されたヒータ電極239とバイパス層250とを接合する部分である。接合部255e、255fは、第3の領域233に対応している。接合部255eおよび接合部255fのいずれか一方は、電流がヒータエレメント230に入る部分である。接合部255eおよび接合部255fのいずれか他方は、電流がヒータエレメント230から出る部分である。
接合部255g、255hは、第4の領域234に配置されたヒータ電極239とバイパス層250とを接合する部分である。接合部255g、255hは、第4の領域234に対応している。接合部255gおよび接合部255hのいずれか一方は、電流がヒータエレメント230に入る部分である。接合部255gおよび接合部25hのいずれか他方は、電流がヒータエレメント230から出る部分である。
接合部255a、255bは、ヒータプレート200の中心203を中心とし接合部255c、255dを通る円とは異なる円の上に存在する。接合部255a、255bは、ヒータプレート200の中心203を中心とし接合部255e、255fを通る円とは異なる円の上に存在する。接合部255a、255bは、ヒータプレート200の中心203を中心とし接合部255g、255hを通る円とは異なる円の上に存在する。
接合部255c、255dは、ヒータプレート200の中心203を中心とし接合部255e、255fを通る円とは異なる円の上に存在する。接合部255c、255dは、ヒータプレート200の中心203を中心とし接合部255g、255hを通る円とは異なる円の上に存在する。
接合部255e、255fは、ヒータプレート200の中心203を中心とし接合部255g、255hを通る円とは異なる円の上に存在する。
図20(a)および図20(b)に表したように、ヒータプレート200は、リフトピン孔201を有する。図20(a)および図20(b)に表した具体例では、ヒータプレート200は、3つのリフトピン孔201を有する。リフトピン孔201の数は、「3」には限定されない。給電端子280は、リフトピン孔201からみてヒータプレート200の中心203の側の領域に設けられている。
本具体例によれば、ヒータ電極239が、複数の領域に配置されているため、処理対象物Wの面内の温度を各領域ごとに独立して制御することができる。これにより、処理対象物Wの面内の温度に意図的に差をつけることができる(温度制御性)。
図25(a)及び図25(b)は、本実施形態のヒータプレートの表面の形状を説明する模式図である。
図25(a)は、本発明者が第2の支持板270の面271の形状を測定した結果の一例を例示するグラフ図である。図25(b)は、本実施形態のヒータプレート200の表面の形状を説明する模式的断面図である。
前述したように、ヒータプレート200の各部材は、積層された状態で圧着される。このとき、図25(b)に表したように、第1の支持板210の面211(上面)には、第1の凹凸が生ずる。および第2の支持板270の面271(下面)には、第2の凹凸が生ずる。また、第1の支持板210の面213(下面)には、第3の凹凸が生ずる。第2の支持板270の面275(上面)には、第4の凹凸が生ずる。
本発明者は、第2の支持板270の面271の形状を測定した。測定結果の一例は、図25(a)に表した通りである。図25(a)および図25(b)に表したように、第1の支持板210の面211(上面)の形状および第2の支持板270の面271の形状は、ヒータエレメント230の形状あるいはヒータエレメント230の配置にならっている。ヒータエレメント230の形状とは、ヒータエレメント230の厚さおよびヒータエレメント230の幅(ヒータ電極239の幅)をいう。
第1の支持板210の面211の凹部211a(第1の凹凸の凹部211a)と、第2の支持板270の面271の凹部271a(第2の凹凸の凹部271a)と、の間のZ方向の距離D1は、第1の支持板210の面211の凸部211b(第1の凹凸の凸部211b)と、第2の支持板270の面271の凸部271b(第2の凹凸の凸部271b)と、の間のZ方向の距離D2よりも短い。
第1の支持板210の面211の凹部211aと、第1の支持板210の面211の凸部211bと、の間のZ方向の距離D3(第1の支持板210の面211の凹凸高さ:第1の凹凸の高さ)は、第2の支持板270の面271の凹部271aと、第2の支持板270の面271の凸部271bと、の間のZ方向の距離D4(第2の支持板270の面271の凹凸高さ:第2の凹凸の高さ)よりも短い。つまり、第1の支持板210の面211の凹凸高さ(第1の凹凸の高さ)は、第2の支持板270の面271の凹凸高さ(第2の凹凸の高さ)よりも低い。
第1の支持板210の面213の凹部213aと、第1の支持板210の面213の凸部213bと、の間のZ方向の距離D8(第1の支持板210の面213の凹凸高さ)は、第2の支持板270の面275の凹部275aと、第2の支持板270の面275の凸部275bと、の間のZ方向の距離D9(第2の支持板270の面275の凹凸高さ)よりも短い。つまり、第1の支持板210の面213の凹凸高さは、第2の支持板270の面275の凹凸高さよりも低い。
第2の支持板270の面271の凹部271aの幅は、ヒータ電極239(例えば第1の導電部21)と樹脂部223(例えば第1の樹脂部221)との間の領域の幅と同程度である。第2の支持板270の面271の凹部271aの幅は、例えば、隣り合うヒータ電極239と樹脂部の間の領域の幅の0.25倍以上2.5倍以下である。
第2の支持板270の面271の凸部271bの幅は、例えば、ヒータ電極239の幅
と同程度、または、樹脂部223の幅と同程度である。第2の支持板270の面271の凸部271bの幅は、例えば、ヒータ電極239の幅の0.8倍以上1.2倍以下である。
また、第2の支持板270の面271の凹凸高さD4は、ヒータエレメント230の厚さ(ヒータ電極239の厚さ)と同程度、または、樹脂部223の厚さと同程度である。第2の支持板270の凹凸高さD4は、例えば、ヒータエレメント230の厚さの0.8倍以上1.2倍以下である。
同様に、第1の支持板210の面211の凹部211aの幅は、ヒータ電極239(例えば第1の導電部21)と樹脂部223(例えば第1の樹脂部221)との間の領域の幅と同程度である。第1の支持板210の面211の凸部211bの幅は、ヒータ電極239の幅と同程度、または、樹脂部223の幅と同程度である。一方、第1の支持板210の面211の凹凸高さD3は、ヒータエレメント230の厚さよりも低い。
第2の支持板270の面271の高さは、凸部271bから隣接する凹部271aに向かって、なだらかに変化する。第2の支持板270の面271の高さは、例えば、凸部271bの幅方向の中心から、隣接する凹部271aの幅方向の中心に向かって連続的に減少する。凸部271bの幅方向の中心とは、より詳しくは、面271のうちのヒータ電極239の幅方向の中心とZ方向において重なる位置、または、面271のうち樹脂部223の幅方向の中心とZ方向において重なる位置である。凹部271aの幅方向の中心とは、より詳しくは、面271のうちの隣り合うヒータ電極239と樹脂部223との間の領域の幅方向の中心とZ方向において重なる位置である。
このように、第2の支持板270の面271の高さは、ヒータ電極239や樹脂部223と重なる部分を頂点とし、ヒータ電極239や樹脂部223と重ならない部分を最下点とする波状に変化する。同様に、第1の支持板210の面211の高さは、ヒータ電極239や樹脂部223と重なる部分を頂点とし、ヒータ電極239や樹脂部223と重ならない部分を最下点とする波状に変化する。
本実施形態によれば、第1の支持板210の面211が第1の凹凸を有するため、第1の支持板210とヒータエレメント230との間の接着面積をより広くすることができ、第1の支持板210とヒータエレメント230との間の接着強度を向上させることができる。また、その第1の凹凸によって、第1の支持板210と接着剤403との接着面積もより広くすることができる。これにより、第1の支持板210と接着剤403との接合強度も向上させることができる。また、第1の支持板210が凹凸を有することにより、第1の支持板210の剛性が高くなる。このため、第1の支持板210が薄くてもヒータプレート200の反りや変形を低減することができる。これにより、例えば一般に背反の関係にある、「ヒータプレートの反りの低減」と、高スループットに影響する「熱容量の低減」と、を両立することができる。また、第2の支持板270の面271が第2の凹凸を有するため、第2の支持板270とバイパス層250との間の接着面積をより広くすることができ、第2の支持板270とバイパス層250との間の接着強度を向上させることができる。また、その第2の凹凸によって、第2の支持板270と接着剤403との接着面積もより広くすることができる。これにより、第2の支持板270と接着剤403との接合強度も向上させることができる。また、第2の支持板270が凹凸を有することにより、第2の支持板270の剛性が高くなる。このため、第2の支持板270が薄くてもヒータプレート200の反りや変形を低減することができる。これにより、例えば一般に背反の関係にある、「ヒータプレートの反りの低減」と、高スループットに影響する「熱容量の低減」と、を両立することができる。さらに、第1の支持板210の面211が第1の凹凸を有するため、ヒータエレメント230と処理対象物Wとの間の距離をより短くすることができる。これにより、処理対象物Wの温度を上昇させる速度を向上させることができる。
なお、例えば圧着条件や積層体の構成(材料など)によって、第1、2の凹凸高さを制御することができる。
また、ヒータエレメント230は発熱するため、ヒータエレメント230自体に熱歪が生じやすい。これに対して、図25(b)に示した具体例では、ヒータエレメント230側に位置する第1の支持板210における凹凸(歪)は、バイパス層250側に位置する第2の支持板270における凹凸(歪)よりも小さい。熱歪が生じやすいヒータエレメント230側の構造的な歪を小さくすることにより、熱歪による応力によってヒータプレート全体に掛かる負荷を抑制することができる。
図26(a)及び図26(b)は、本実施形態の変形例にかかる静電チャックを表す模式的断面図である。
図26(a)は、本実施形態の変形例にかかる静電チャックを表す模式的断面図である。図26(b)は、本変形例のヒータプレートを表す模式的断面図である。図26(a)および図26(b)は、例えば図1に表した切断面A1−A1における模式的断面図に相当する。
図26(a)に表した静電チャック10aは、セラミック誘電体基板100と、ヒータプレート200aと、べースプレート300と、を備える。セラミック誘電体基板100およびべースプレート300は、図1および図2に関して前述した通りである。
図26(b)に表したように、本具体例のヒータプレート200aは、複数のヒータエレメントを有する。図26(b)に表したヒータプレート200aは、第1の樹脂層220と、第1のヒータエレメント(発熱層)230aと、第2の樹脂層240と、第2のヒータエレメント(発熱層)230bと、第3の樹脂層260と、バイパス層250と、第4の樹脂層290と、第2の支持板270と、を有する。
第1の樹脂層220は、第1の支持板210と、第2の支持板270と、の間に設けられている。第1のヒータエレメント230aは、第1の樹脂層220と、第2の支持板270と、の間に設けられている。第2の樹脂層240は、第1のヒータエレメント230aと、第2の支持板270と、の間に設けられている。第2のヒータエレメント230bは、第2の樹脂層240と、第2の支持板270と、の間に設けられている。第3の樹脂層260は、第2のヒータエレメント230bと、第2の支持板270と、の間に設けられている。バイパス層250は、第3の樹脂層260と、第2の支持板270と、の間に設けられている。第4の樹脂層290は、バイパス層250と、第2の支持板270と、の間に設けられている。つまり、本具体例では、第1のヒータエレメント230aは、第2のヒータエレメント230bとは異なる層に独立した状態で設けられている。
第1の支持板210と、第1の樹脂層220と、第2の樹脂層240と、第3の樹脂層260と、バイパス層250と、第2の支持板270と、のそれぞれの材料、厚さ、および機能は、図3〜図5及び図15に関して前述した通りである。第1のヒータエレメント230aおよび第2のヒータエレメント230bのそれぞれの材料、厚さ、および機能は、図3〜図5に関して前述したヒータエレメント230と同じである。第4の樹脂層290は、図3〜図5に関して前述した第1の樹脂層220と同じである。
ヒータプレート200aは、図6等に関して説明したヒータプレート200と同様に、樹脂部223(図26において不図示)を含む。各樹脂部223は、第1のヒータエレメント230aの隣合う2つのヒータ電極間、及び、第2のヒータエレメント230bの隣合う2つのヒータ電極間に設けられる。
本変形例によれば、第1のヒータエレメント230aが第2のヒータエレメント230bとは異なる層において独立して配置されているため、処理対象物Wの面内の温度を所定の領域ごとに独立して制御することができる。
図27(a)、図27(b)及び図28は、本実施形態の第1の支持板の変形例を表す模式的平面図である。
図29は、本変形例のヒータプレートを表す模式的断面図である。
図27(a)は、第1の支持板が複数の支持部に分割された一例を表す。図27(b)及び図28は、第1の支持板が複数の支持部に分割された他の一例を表す。
図29では、説明の便宜上、図27(a)に表したヒータプレートと、第1の支持板の上面の温度のグラフ図と、を併せて表している。図29に表したグラフ図は、第1の支持板の上面の温度の一例である。図29に表したグラフ図の横軸は、第1の支持板210aの上面の位置を表している。図29に表したグラフ図の縦軸は、第1の支持板210aの上面の温度を表している。なお、図29では、説明の便宜上、樹脂部223、バイパス層250および第3の樹脂層260を省略している。
図27(a)および図27(b)に表した変形例では、第1の支持板210aは、複数の支持部に分割されている。より具体的には、図27(a)に表した変形例では、第1の支持板210aは、同心円状に複数の支持部に分割され、第1の支持部216と、第2の支持部217と、第3の支持部218と、第4の支持部219と、を有する。図27(b)に表した変形例では、第1の支持板210bは、同心円状かつ放射状に複数の支持部に分割され、第1の支持部216aと、第2の支持部216bと、第3の支持部216cと、第4の支持部216dと、第5の支持部216eと、第6の支持部216fと、第7の支持部217aと、第8の支持部217bと、第9の支持部217cと、第10の支持部217dと、第11の支持部217eと、第12の支持部217fと、を有する。
図28に表した変形例において、第1の支持板210cは、さらに多くの支持部を有する。図26の第1の支持板210cでは、図27(a)で示した第1の支持部216が、さらに4つの支持部216a〜216dに分割されている。また、図27(a)で示した第2の支持部217が、さらに8つの支持部217a〜217hに分割されている。また、図27(a)で示した第3の支持部218が、さらに8つの領域218a〜218hに分割されている。そして、図27(a)で示した第4の支持部219が、さらに16の支持部219a〜219pに分割されている。このように、第1の支持板210に設けられる支持部の数及び形状は、任意でよい。
第1の樹脂層220と、ヒータエレメント230と、第2の樹脂層240と、バイパス層250と、第3の樹脂層260と、第2の支持板270と、給電端子280と、のそれぞれは、図3〜図5及び図15に関して前述した通りである。
図27(a)〜図29に関する以下の説明では、図27(a)に表した第1の支持板210aを例に挙げる。図29に表したように、第1の支持部216は、ヒータエレメント230の第1の領域231の上に設けられ、ヒータエレメント230の第1の領域231に対応している。第2の支持部217は、ヒータエレメント230の第2の領域232の上に設けられ、ヒータエレメント230の第2の領域232に対応している。第3の支持部218は、ヒータエレメント230の第3の領域233の上に設けられ、ヒータエレメント230の第3の領域233に対応している。第4の支持部219は、ヒータエレメント230の第4の領域234の上に設けられ、ヒータエレメント230の第4の領域234に対応している。
第1の支持部216は、第2の支持部217とは電気的に接合されていない。第2の支持部217は、第3の支持部218とは電気的に接合されていない。第3の支持部218は、第4の支持部219とは電気的に接合されていない。
本変形例によれば、第1の支持板210a、210b、210cの面内において意図的に径方向の温度差を設けることができる(温度制御性)。例えば図29に表したグラフ図のように、第1の支持部216から第4の支持部219にわたってステップ状に温度差を設けることができる。これにより、処理対象物Wの面内において意図的に温度差を設けることができる(温度制御性)。
本実施形態に係るヒータプレート200の構造について、図面を参照しつつ、さらに説明する。
図30(a)〜図30(d)は、本実施形態のヒータプレートの変形例の一部を表す断面図である。
図30(a)は、ヒータエレメント230の一部を表し、図30(b)は、バイパス層250の一部を表す。また、図30(c)は、ヒータエレメント230及びバイパス層250の一部を表し、図30(d)は、ヒータエレメント230及びバイパス層250の変形例を表す。
図30(a)及び図30(c)に表したように、各ヒータ電極239のそれぞれは、第1面P1(上面)と、第2面P2(下面)と、を有する。例えば、第1の導電部21は、上面21U(第1面P1)と、下面21L(第2面P2)と、を有する。
第1面P1の幅W1は、第2面P2の幅W2と異なる。この例において、第1面P1の幅W1は、第2面P2の幅W2よりも狭い。すなわち、ヒータ電極239の幅は、上方(セラミック誘電体基板100側)に向かうほど狭くなる。
図30(b)及び図30(c)に表したように、バイパス部251(バイパス層250)は、第3の導電部23と、第4の導電部24と、を有する。第4の導電部24は、面内方向Dp(例えばX方向)において第3の導電部23と離間している。第3の導電部23及び第4の導電部24は、バイパス部251の一部である。
各バイパス部251のそれぞれは、第3面P3(上面)と、第4面P4(下面)と、を有する。第3面P3は、第2の樹脂層240と対向する。第4面P4は、第3面P3と反対側を向く。すなわち、第4面P4は、第3の樹脂層260と対向する。
第3面P3の幅W3は、第4面P4の幅W4と異なる。この例において、第3面P3の幅W3は、第4面P4の幅W4よりも狭い。すなわち、バイパス部251の幅は、上方(セラミック誘電体基板100側)に向かうほど狭くなる。この例において、第3面P3の第4面P4に対する幅の大小関係は、第1面P1の第2面P2に対する幅の大小関係と同じである。
各バイパス部251は、第3面P3と第4面P4とを接続する一対の側面SF2を有する。各側面SF2は、例えば、凹曲面状である。各側面SF2は、例えば、平面状でもよい。第3面P3と側面SF2との成す角度θ3は、第4面P4と側面SF2との成す角度θ4と異なる。また、側面SF2の表面粗さは、第3面P3及び第4面P4の少なくとも一方の表面粗さよりも粗い。
ヒータプレート200は、樹脂部224をさらに有する。樹脂部224は、第3の導電部23と第4の導電部24との間に設けられる。換言すれば、樹脂部224は、各バイパス部251のそれぞれの間に設けられる。樹脂部224は、各バイパス部251の間に充填される。樹脂部224の材料は、第2の樹脂層240の材料と異なる。樹脂部224の材料は、第3の樹脂層260の材料と異なる。樹脂部224の組成は、第2の樹脂層240及び第3の樹脂層260の組成と異なる。樹脂部224の熱履歴は、第2の樹脂層240及び第3の樹脂層260の熱履歴と異なる。樹脂部224の物性(例えば融点やガラス転移点など)は、第2の樹脂層240及び第3の樹脂層260の物性と異なる。
例えば、樹脂部224が第2の樹脂層240に含まれる成分と異なる成分を含む場合、樹脂部224の材料は第2の樹脂層240の材料と異なる。樹脂部224が第2の樹脂層240の成分と同じ成分を含む場合でも、樹脂部224における当該成分の組成比(濃度)が第2の樹脂層240における当該成分の組成比(濃度)と異なる場合、樹脂部224の材料は第2の樹脂層240の材料と異なる。また、例えば、第2の樹脂層240が複数の層を含む場合でも、当該複数の層の少なくともいずれかの材料と樹脂部224の材料とが異なる場合、樹脂部224の材料は、第2の樹脂層240の材料と異なる。樹脂部224のガラス転移点(又は融点)は、例えば、第2の樹脂層240のガラス転移点(又は融点)よりも低い。樹脂部224の材料と第3の樹脂層260の材料が異なるという場合も、上記と同様である。例えば、ポリイミドフィルム、発砲接着剤シート、シリコーン又はエポキシを含む接着剤などを用いることができる。
樹脂部224には、例えば、ポリイミドやシリコーン、エポキシ、アクリルなどが用いられる。例えば、ポリイミドフィルム、発砲接着剤シート、シリコーン又はエポキシを含む接着剤などを用いることができる。
第3面P3は、例えば、第2の樹脂層240に接触する。第4面P4は、例えば、第3の樹脂層260に接触する。
静電チャック10では、第3面P3の第4面P4に対する幅の大小関係が、第1面P1の第2面P2に対する幅の大小関係と同じである。そして、静電チャック10では、第1面P1及び第3面P3の幅が、第2面P2及び第4面P4の幅よりも狭い。この場合、Z方向における熱分布のバラツキをより抑制することができる。
なお、図30(a)〜図30(c)では、バイパス層250の上にヒータエレメント230を設けている。これに限ることなく、例えば、図30(d)に表したように、ヒータエレメント230の上にバイパス層250を設けてもよい。
図31(a)〜図31(d)は、本実施形態のヒータプレートの変形例の一部を表す断面図である。
図31(a)及び図31(c)に表したように、この例において、第1面P1の幅W1は、第2面P2の幅W2よりも広い。すなわち、ヒータ電極239の幅は、下方(べースプレート300側)に向かうほど狭くなる。同様に、図31(b)及び図31(c)に表したように、第3面P3の幅W3は、第4面P4の幅W4よりも広い。バイパス部251の幅は、下方に向かうほど狭くなる。
この例では、第3面P3の第4面P4に対する幅の大小関係が、第1面P1の第2面P2に対する幅の大小関係と同じであり、第1面P1及び第3面P3の幅が、第2面P2及び第4面P4の幅よりも広い。この場合には、第1面P1及び第3面P3側において熱を持ち易くするとともに、第2面P2及び第4面P4側において熱を冷まし易くし、温度追従性をより向上させることができる。また、図31(d)に表したように、バイパス層250をヒータエレメント230の上に設けてもよい。
図32(a)〜図32(d)は、本実施形態のヒータプレートの変形例の一部を表す断面図である。
図32(a)及び図32(c)に表したように、この例において、第1面P1の幅W1は、第2面P2の幅W2よりも狭い。一方、図32(b)及び図32(c)に表したように、第3面P3の幅W3は、第4面P4の幅W4よりも広い。この例において、第3面P3の第4面P4に対する幅の大小関係は、第1面P1の第2面P2に対する幅の大小関係と反対である。
このように、第3面P3の第4面P4に対する幅の大小関係は、第1面P1の第2面P2に対する幅の大小関係と反対でもよい。この場合、バイパス層250の熱膨張によって加わる応力の方向を、ヒータエレメント230の熱膨張によって加わる応力の方向と逆向きにすることができる。これにより、応力の影響をより抑制することができる。なお、図32(d)に表したように、バイパス層250をヒータエレメント230の上に設けてもよい。
図33(a)〜図33(d)は、本実施形態のヒータプレートの変形例の一部を表す断面図である。
図33(a)〜図33(c)に表したように、第1面P1の幅W1を、第2面P2の幅W2より広くし、第3面P3の幅W3を、第4面P4の幅W4より狭くしてもよい。また、図33(d)に表したように、バイパス層250をヒータエレメント230の上に設けてもよい。
図34(a)及び図34(b)は、ヒータプレートのシミュレーション結果の一例を表す説明図である。
図34(a)は、シミュレーションに用いたヒータ電極239のヒータパターンの一部を表す。図34(b)は、シミュレーション結果の一例を表す断面図である。
シミュレーションでは、図34(a)に表したヒータ電極239に電流を流した時の発熱量をCAE(Computer Aided Engineering)解析した。図34(b)では、発熱量の解析結果をハッチングの濃淡で表している。図34(b)では、ハッチングの濃淡の薄い部分が温度の低いところを表し、濃くなるに従って温度が高くなることを表している。
シミュレーションでは、ヒータ電極239において温度の高くなりやすいホットスポットHSPについてCAE解析を行った。図34(b)は、ホットスポットHSPのG1−G2線断面を表す。なお、シミュレーションモデルでは、バイパス層250が、セラミック誘電体基板100とヒータエレメント230との間に設けられている。また、第1の樹脂層220、第2の樹脂層240、及び第3の樹脂層260を便宜的に1つの層(ポリイミド層)にまとめて図示している。また、シミュレーションでは、ヒータ電極239の幅を一定とした。すなわち、シミュレーションにおいては、第1面P1の幅W1は、第2面P2の幅W2と実質的に同じである。
ホットスポットHSPは、略円形のヒータプレート200の最外周に位置している。ホットスポットHSPは、他の部分と曲率が反転した部分である。ホットスポットHSPでは、円弧の内側の部分が、ヒータプレート200の外周側を向いている。
円弧状に湾曲したヒータ電極239では、外側に比べて内側の方が経路が短く、抵抗も低くなる。このため、円弧状のヒータ電極239では、内側の方が外側よりも電流密度が高くなり、温度も高くなる傾向にある。従って、図34(b)に表したように、ホットスポットHSPでは、円弧の内側であるヒータプレート200の外周側の方が中心側よりも温度が高くなっている。また、ホットスポットHSPでは、他の部分と曲率が反転しているため、中心側の径の大きい部分にも比較的電流が流れやすい。このため、ホットスポットHSPでは、他の部分と比べて温度が上がり易い。
このように、円弧状に湾曲したヒータ電極239では、内側の部分と外側の部分とで温度分布にムラが生じる。このような温度分布のムラによって、ヒータ電極239において熱歪が生じる。この際、例えば、第1の導電部21の側端部に空間部を設けることにより、こうした熱歪によって第1の樹脂層220及び第2の樹脂層240に掛かる応力を低減することができる。
また、図34(b)に表したように、ヒータ電極239では、セラミック誘電体基板100側(上側)の方が、べースプレート300側(下側)よりも温度が高くなり易い。これは、ベースプレート300側に熱が逃げるためである。例えば、ヒータ電極239の直上に温度の高い部分が局所的に生じてしまう場合などには、図30(a)などに表したように、第1面P1の幅W1を、第2面P2の幅W2よりも狭くする。これにより、前述のように、Z方向における熱分布のバラツキを抑制することができる。例えば、ヒータ電極239の直上に温度の高い部分が局所的に生じてしまうことを抑制し、均熱性をより向上させることができる。
図35(a)及び図35(b)は、本実施形態の給電端子の具体例を表す模式的平面図である。
図35(a)は、本具体例の給電端子を表す模式的平面図である。図35(b)は、本具体例の給電端子の接合方法を例示する模式的平面図である。
図35(a)および図35(b)に表した給電端子280は、ピン部281と、導線部283と、支持部285と、接合部287と、を有する。ピン部281は、ソケットなどと呼ばれる部材と接続される。ソケットは、静電チャック10の外部から電力を供給する。導線部283は、ピン部281と支持部285とに接続されている。支持部285は、導線部283と接合部287とに接続されている。図35(b)に表した矢印C14のように、接合部287は、ヒータエレメント230またはバイパス層250と接合される。
導線部283は、給電端子280にかかる応力を緩和する。すなわち、ピン部281は、ベースプレート300に固定される。一方で、接合部287は、ヒータエレメント230またはバイパス層250と接合される。ベースプレート300と、ヒータエレメント230またはバイパス層250と、の間には、温度差が生ずる。そのため、ベースプレート300と、ヒータエレメント230またはバイパス層250と、の間には、熱膨張の差が生ずる。そのため、熱膨張の差に起因する応力が給電端子280にかかることがある。熱膨張の差に起因する応力は、例えばベースプレート300の径方向にかかる。導線部283は、この応力を緩和することができる。なお、接合部287と、ヒータエレメント230またはバイパス層250と、の接合は、溶接、レーザ光を利用した接合、半田付け、あるいはろう付けなどにより行われる。
ピン部281の材料としては、例えばモリブデンなどが挙げられる。導線部283の材料としては、例えば銅などが挙げられる。導線部283の径D5は、ピン部281の径D8よりも小さい。導線部283の径D5は、例えば約0.3mm以上、2.0mm以下程度である。支持部285の材料としては、例えばステンレスなどが挙げられる。支持部285の厚さD6(Z方向の長さ)は、例えば約0.5mm以上、2.0mm以下程度である。接合部287の材料としては、例えばステンレスなどが挙げられる。接合部287の厚さD7(Z方向の長さ)は、例えば約0.05mm以上、0.50mm以下程度である。
本具体例によれば、ピン部281の径D8が導線部283の径D5よりも大きいため、ピン部281は、比較的大きい電流をヒータエレメント230に供給することができる。また、導線部283の径D5がピン部281の径D8よりも小さいため、導線部283は、ピン部281よりも変形しやすく、ピン部281の位置を接合部287の中心からずらすことができる。これにより、ヒータプレート200とは異なる部材(例えばベースプレート300)に給電端子280を固定することができる。
支持部285は、例えば、溶接、レーザ光を利用した接合、半田付け、ロウ付けなどにより導線部283および接合部287と接合されている。これにより、給電端子280にかかる応力を緩和しつつ、ヒータエレメント230またはバイパス層250に対してより広い接触面積を確保することができる。
図36は、本実施形態のヒータプレートの変形例を表す模式的分解図である。
図36に表したように、この例では、バイパス層250が、第1の支持板210とヒータエレメント230との間に設けられる。より詳しくは、バイパス層250が、第1の支持板210と第1の樹脂層220との間に設けられ、第3の樹脂層260が、第1の支持板210とバイパス層250との間に設けられる。
このように、バイパス層250は、第1の支持板210とヒータエレメント230との間に設けてもよい。すなわち、バイパス層250は、ヒータエレメント230とセラミック誘電体基板100との間に設けてもよい。
この場合においても、バイパス層250により、ヒータエレメント230から供給された熱の拡散性を向上させることができる。例えば、処理対象物Wの面内方向(水平方向)における熱拡散性を向上させることができる。これにより、例えば、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
なお、バイパス層250は、例えば、第1の支持板210とヒータエレメント230との間、及び、ヒータエレメント230と第2の支持板270との間の双方に設けてもよい。すなわち、ヒータプレート200は、第1の支持板210とヒータエレメント230との間、及び、ヒータエレメント230と第2の支持板270との間のそれぞれに設けられた2つのバイパス層250を有してもよい。
図37は、本実施形態の給電端子の変形例を表す模式的断面図である。
この例では、実施形態に係る静電チャックは、前述の給電端子280の代わりに給電端子280aを有する。給電端子280aは、給電部(本体部)281aと、端子部281bと、を有する。給電端子280aは、例えば、コンタクトプローブである。
例えば、ベースプレート300には、孔390が設けられる。筒状のスリーブ283aは、孔390に対して固定される。給電端子280aは、スリーブ283aの内部に設けられ、例えば螺合などによりベースプレート300に対して固定される。
給電部281aには、ヒータエレメント230に外部から電力を供給するソケット285aを接続することができる。
端子部281bは、給電端子280aの先端に設けられ、ヒータエレメント230又はバイパス層250に接触する。端子部281bは、給電部281aに対して摺動可能であり、給電端子280aは伸縮可能である。また、給電端子280aは、給電部281aに対して固定されたバネを内部に有する。端子部281bは、そのバネにより、給電端子280aが伸びるように付勢されている。
端子部281bは、ヒータプレート200(ヒータエレメント230又はバイパス層250)に押圧される。このとき、給電端子280aは、バネの弾性力に抗して縮んだ状態である。言い換えれば、端子部281bは、バネの弾性力によってヒータエレメント230又はバイパス層250へ向かう方向に付勢され、押し当てられている。これにより、ソケット285aは、給電端子280aを介して、ヒータエレメント230又はバイパス層250と電気的に接続される。ヒータエレメント230又はバイパス層250には、給電端子280a及びソケット285aを介して、外部から電力が供給される。
このような給電端子280aを用いた場合は、給電端子を溶接などで接合する場合に比べて、給電のために設けられる孔(ベースプレート300の孔390や、第2の支持板270の孔273)の径を小さくすることができる。
図38は、本発明の他の実施の形態にかかるウェーハ処理装置を表す模式的断面図である。
本実施形態にかかるウェーハ処理装置500は、処理容器501と、上部電極510と、図1〜図37に関して前述した静電チャック(例えば、静電チャック10)と、を備えている。処理容器501の天井には、処理ガスを内部に導入するための処理ガス導入口502が設けられている。処理容器501の底板には、内部を減圧排気するための排気口503が設けられている。また、上部電極510および静電チャック10には高周波電源504が接続され、上部電極510と静電チャック10とを有する一対の電極が、互いに所定の間隔を隔てて平行に対峙するようになっている。
本実施形態にかかるウェーハ処理装置500において、上部電極510と静電チャック10との間に高周波電圧が印加されると、高周波放電が起こり処理容器501内に導入された処理ガスがプラズマにより励起、活性化されて、処理対象物Wが処理されることになる。尚、処理対象物Wとしては、半導体基板(ウェーハ)を例示することができる。但し、処理対象物Wは、半導体基板(ウェーハ)には限定されず、例えば、液晶表示装置に用いられるガラス基板等であってもよい。
高周波電源504は、静電チャック10のベースプレート300と電気的に接続される。ベースプレート300には、前述のように、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。すなわち、ベースプレート300は、導電性を有する。これにより、高周波電圧は、上部電極410とベースプレート300との間に印加される。
また、この例のウェーハ処理装置500では、ベースプレート300が、第1の支持板210及び第2の支持板270と電気的に接続されている。これにより、ウェーハ処理装置500では、第1の支持板210と上部電極510との間、及び、第2の支持板270と上部電極510との間にも高周波電圧が印加される。
このように、各支持板210、270と上部電極510との間に高周波電圧を印加する。これにより、ベースプレート300と上部電極510との間のみに高周波電圧を印加する場合に比べて、高周波電圧を印加する場所を処理対象物Wにより近付けることができる。これにより、例えば、より効率的かつ低電位でプラズマを発生させることができる。
ウェーハ処理装置500のような構成の装置は、一般に平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置と呼ばれるが、本実施形態にかかる静電チャック10は、この装置への適用に限定されるわけではない。例えば、ECR(Electron Cyclotron Resonance) エッチング装置、誘電結合プラズマ処理装置、ヘリコン波プラズマ処理装置、プラズマ分離型プラズマ処理装置、表面波プラズマ処理装置、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )装置などのいわゆる減圧処理装置に広く適応することができる。また、本実施形態にかかる静電チャック10は、露光装置や検査装置のように大気圧下で処理や検査が行われる基板処理装置に広く適用することもできる。ただし、本実施形態にかかる静電チャック10の有する高い耐プラズマ性を考慮すると、静電チャック10をプラズマ処理装置に適用させることが好ましい。尚、これらの装置の構成の内、本実施形態にかかる静電チャック10以外の部分には公知の構成を適用することができるので、その説明は省略する。
図39は、本発明の他の実施の形態にかかるウェーハ処理装置の変形例を表す模式的断面図である。
図39に表したように、高周波電源504は、第1の支持板210と上部電極510との間、及び、第2の支持板270と上部電極510との間のみに電気的に接続してもよい。この場合にも、高周波電圧を印加する場所を処理対象物Wに近付け、効率的にプラズマを発生させることができる。
図40は、本発明の他の実施の形態にかかるウェーハ処理装置の変形例を表す模式的断面図である。
図40に表したように、この例では、高周波電源504が、ヒータエレメント230と電気的に接続されている。このように、高周波電圧は、ヒータエレメント230と上部電極510との間に印加してもよい。この場合にも、高周波電圧を印加する場所を処理対象物Wに近付け、効率的にプラズマを発生させることができる。
高周波電源504は、例えば、各給電端子280を介してヒータエレメント230と電気的に接続する。例えば、高周波電圧をヒータエレメント230の複数の領域(例えば、図21(a)に表した第1の領域231〜第4の領域234)に選択的に印加する。これにより、高周波電圧の分布を制御することができる。
高周波電源504は、例えば、第1の支持板210と第2の支持板270とヒータエレメント230とに電気的に接続してもよい。高周波電圧は、第1の支持板210と上部電極510との間、第2の支持板270と上部電極510との間、及び、ヒータエレメント230と上部電極510との間のそれぞれに印加してもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ヒータプレート200、200a、200bなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやヒータエレメント230、第1のヒータエレメント230a、第2のヒータエレメント230b、およびバイパス層250の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
第1の発明は、処理対象物が載置されるセラミック誘電体基板と、積層方向において前記セラミック誘電体基板と離れた位置に設けられ前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレートと、前記セラミック誘電体基板と前記ベースプレートとの間に設けられたヒータプレートと、を備え、前記ヒータプレートは、前記セラミック誘電体基板と前記ベースプレートとの間に設けられ金属を含む第1の支持板と、前記第1の支持板と前記ベースプレートとの間に設けられ金属を含む第2の支持板と、前記第1の支持板と前記第2の支持板との間に設けられた第1の樹脂層と、前記第1の樹脂層と前記第2の支持板との間に設けられた第2の樹脂層と、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層との間に設けられた樹脂部と、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層との間に設けられ、第1の導電部と、前記積層方向に対して垂直な面内方向において前記第1の導電部と離間した第2の導電部と、を有し、電流が流れることにより発熱するヒータエレメントと、前記第1の導電部の前記面内方向における第1の側端部と、前記第1の樹脂層と、前記第2の樹脂層と、前記樹脂部と、によって区画された第1の空間部と、を有し、前記第1の樹脂層は、前記第1の導電部と前記第2の導電部との間において、前記第2の樹脂層と、前記樹脂部を介して接しており、前記第1の支持板は、前記積層方向において前記第1の導電部と並ぶ第1の支持部と、前記積層方向において前記第1の空間部と並ぶ第2の支持部と、を含み、前記第2の支持板は、前記積層方向において前記第1の導電部と並ぶ第3の支持部と、前記積層方向において前記第1の空間部と並ぶ第4の支持部と、を含み、前記第2の支持部と前記第4の支持部との間の距離は、前記第1の支持部と前記第3の支持部との間の距離よりも短いことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、ヒータエレメントの第1の導電部の端部に、第1の空間部(空隙)が設けられている。ヒータエレメントが熱膨張しても、第1の導電部は、第1の空間部を埋めるように変形する。このため、ヒータエレメントが熱膨張により変形したときに、第1の樹脂層及び第2の樹脂層に掛かる応力を低減することができる。したがって、ヒータエレメントと第1の樹脂層との剥離、及び、ヒータエレメントと第2の樹脂層との剥離を抑制することができる。従って、負荷に対する耐性が高く、信頼性を向上させることができる。剥離によって生じる処理対象物の温度変化を抑制することができる。
また、この静電チャックによれば、第1の支持板及び第2の支持板の少なくともいずれかに凹凸が形成される。このような凹凸は、ヒータエレメント(第1の導電部)と、ヒータエレメントを挟む部材との密着性が高いことにより形成される。密着性が高いことにより、設計通りの均熱性や耐電圧特性を実現できる。また、第1の支持板に凸部が形成されることにより、ヒータエレメントと処理対象物との間の距離を短くすることができる。これにより、処理対象物の温度を上昇させる速度を向上させることができる。したがって、「ヒータの加熱性能(昇温速度)」と、「温度均一性」「耐電圧信頼性」と、の両立が可能となる。