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JP2010077198A - 樹脂組成物 - Google Patents

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JP2010077198A JP2008244534A JP2008244534A JP2010077198A JP 2010077198 A JP2010077198 A JP 2010077198A JP 2008244534 A JP2008244534 A JP 2008244534A JP 2008244534 A JP2008244534 A JP 2008244534A JP 2010077198 A JP2010077198 A JP 2010077198A
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Shoen Ryo
昭淵 梁
Tetsuji Tokiwa
哲司 常盤
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Abstract

【課題】高い周波数領域での電磁波吸収特性に優れる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】構造式:MFe(12-x)Alx19(MはSr、Ba、Mn、Cr、Ca、Zn、およびPbからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、xは、0.1〜0.9である。)で表される六方晶フェライトと、樹脂と、を含み、樹脂組成物全量100質量部に対して50〜98質量部の前記六方晶フェライトを含む樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。本発明は、具体的には、高い周波数領域での電磁波吸収特性に優れる樹脂組成物に関する。
従来より、フェライトおよび樹脂からなる樹脂組成物は電磁波吸収体として、多くの電子通信機器の電磁ノイズによる誤作動対策や電波干渉による通信特性の低下対策に有益な材料として用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
近年、情報通信量の大容量化、高速化のニーズが高まりつつあり、情報通信機器も高い周波数領域での動作が要求されている。
特開2005−19846号公報
高周波数の電波の中でも、60GHz付近の電波は通信特性が良好であることから注目されており、画像の無線伝送をはじめとする多様の通信システムへの応用が検討されている。一般に高周波数領域での無線伝送における課題としては、1)通信機器内の回路間の電磁干渉、2)無線電波同士の干渉、3)動作周波数以外の周波数によるノイズ誤作動等が挙げられ、これらの課題に対して有効な材料が求められている。
斯かる背景のもと、本発明が解決しようとする課題は、高い周波数領域での電磁波吸収特性に優れる樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の含有量で、特定の構造式で表される六方晶フェライトを含む樹脂組成物が高い周波数領域において、優れた電磁波吸収効果を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の樹脂組成物、該樹脂組成物からなるシート、および該樹脂組成物を含有する塗料を提供する。
[1]
下記構造式:
MFe(12-x)Alx19
(MはSr、Ba、Mn、Cr、Ca、Zn、およびPbからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、xは、0.1〜0.9である。)で表される六方晶フェライト(A)と、
樹脂(B)と、を含み、
樹脂組成物全量100質量部に対して50〜98質量部の前記(A)を含む樹脂組成物。
[2]
前記樹脂(B)が、ポリマー分子鎖中にフッ素原子を有するフッ素樹脂である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記樹脂(B)が、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなるシート。
[5]
[4]に記載のシートと、前記シート表面に積層される粘着層と、を有する粘着シート。
[6]
[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する塗料。
[7]
樹脂シートと、前記樹脂シート表面に[6]に記載の塗料を含む層と、を有する電磁波吸収用シート。
[8]
電気製品や電子機器の回路から発生する電磁波を吸収するために使用される[4]、[5]、及び[7]のいずれか1項に記載のシート。
本発明によれば、高い周波数領域において、優れた電磁波吸収効果を有する樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の樹脂組成物は、下記構造式:
MFe(12-x)Alx19
(MはSr、Ba、Mn、Cr、Ca、Zn、およびPbからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、xは、0.1〜0.9である。)で表される六方晶フェライト(A)と、
樹脂(B)と、を含み、
樹脂組成物全量100質量部に対して50〜98質量部の前記(A)を含む樹脂組成物である。
本実施の形態において用いられる六方晶フェライト(A)は下記構造式:
MFe(12-x)Alx19
で表される。
式中、MはSr、Ba,Mn,Cr,Ca,Zn、およびPbからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、中でも、吸収する電磁波の周波数を65GHzにする上で、MはSrであることが好ましい。
式中、xは、吸収する電磁波の周波数を65GHzにする観点から、0.1〜0.9であり、0.2〜0.7であることが好ましく、0.3〜0.6であることがより好ましい。
六方晶フェライト(A)の含有量は、樹脂組成物全量100質量部に対して、50〜98質量部であり、より好ましくは75〜95質量部であり、さらに好ましくは80〜90質量部である。
六方晶フェライト(A)の含有量が50質量部以上であれば電磁波吸収性能に優れる樹脂組成物とすることができ、98質量部以下であれば樹脂(B)との複合性に優れる。
六方晶フェライト(A)は粉体であることが好ましい。六方晶フェライト(A)が粉体である場合、六方晶フェライト(A)の粒径は1〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
六方晶フェライト(A)の粒径が1μm以上であれば取り扱い性が良く、50μm以下であれば樹脂(B)への分散性が優れている。
六方晶フェライト(A)が粉体である場合、粉体粒子の比表面積は、0.3〜2m2/gであることが好ましい。
粉体粒子の比表面積が0.3m2/g以上であれば、樹脂(B)と混合させるとき、および樹脂組成物をシート化させるときの柔軟性に優れ、2m2/g以下であれば樹脂(B)に対して高濃度で配合できるためシートの電磁波吸収性を高くすることができる。
六方晶フェライト(A)のpHは7〜9であることが好ましく、より好ましくは7〜8.5である。pHが7〜9の範囲内であれば、樹脂(B)との密着性が良く、六方晶フェライト(A)の組成を高くした場合にも、樹脂組成物のシートの柔軟性は優れる。六方晶フェライト(A)を金属粉末表面にめっき処理させたフェライトめっき粒子を樹脂(B)と配合することもできる。
本実施の形態において用いられる樹脂(B)は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれも使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、塩化ビニル、四フッ化エチレン、アクリロニトリル、無水マレイン酸、および酢酸ビニルからなる群から選択される1種または2種以上のモノマーの重合体または共重合体、ならびにポリフェニレンエーテル、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレングリコール、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、およびポリアリレート等を挙げることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ビスマレイミド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、およびベンゾシクロブテン等を挙げることができる。
上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は官能基を有する化合物で変成されたものでもよい。
上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の中でも、樹脂組成物としての難燃性、低吸水性、耐薬品性、および誘電特性の観点から、ポリマー分子中にフッ素原子を有するフッ素樹脂が好ましい。
フッ素樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロイジオキソール共重合体、およびプロピレンーテトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
その中でも、耐薬品性、加工性の観点から、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体およびテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体が好ましく、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体がより好ましい。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の全モノマーユニット数に占めるプロピレンユニット数の好ましい割合は30〜50%である。
プロピレンユニット数の割合が30%以上であれば六方晶フェライト(A)を樹脂(B)に対して高い濃度で配合することができ、50%以下であれば、難燃性や耐薬品性、低吸水性、誘電特性が優れる樹脂組成物とすることができる。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体等の樹脂(B)のムーニ−粘度は20〜50ML(1+10)100℃であることが好ましい。
該ムーニー粘度が20ML(1+10)100℃以上であれば、シート強度が優れる樹脂組成物とすることができ、50ML(1+10)100℃以下であれば、六方晶フェライト(A)を高い組成で配合しても、樹脂組成物のシートは十分な柔軟性を有する。
本実施の形態において、ムーニー粘度とはJIS K6300に従って測定され、測定値の表記方法は、50ML(1+10)100℃を例として示すと、50Mはムーニー粘度を、Lはローターの形状でL形を、(1+10)は1分間の予熱時間(分)と10分間のローターの回転時間(分)を、100℃は試験温度の100℃を表している。
樹脂(B)としては、(B)として上述した樹脂を単独で用いても複数種を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態において、六方晶フェライト(A)は樹脂(B)との密着性を改良することを目的として、六方晶フェライト(A)の粒子表面をカップリング処理することもできる。
カップリング剤の例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2、2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、およびイソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等のチタン系カップリング剤;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシ−シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシララン、ビニルトノアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロメピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ポリアルキレンオキサイドシラン類、およびパーフルオロアルキルトリメトキシシラン類等のシリコーンを含有するカップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートのようなアルミニウム系、ジルコニウム系、クロム系、鉄系、スズ系などのカップリング剤の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
六方晶フェライト(A)と、樹脂(B)としてフッ素樹脂と、の密着性を改良するために、分子内にF原子を有するカップリング剤を使用することが好ましい。
本実施の形態の樹脂組成物には目的に応じて添加剤を加えることもできる。添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、および加工助剤等を挙げることができる。
樹脂組成物の製造には加圧ニーダー、バンバリーミキサー、二軸押し出し機、一軸押し出し機、およびロールミキサー等の混練機を用いることができる。
樹脂組成物は六方晶フェライト(A)と樹脂(B)を溶融状態、溶液状態、または固形状態で混合し、複合化することができるが、中でも溶融状態で混合し、複合化させる方法が製造工程の経済性および複合化の均一性の観点から好ましい。
本実施の形態において、樹脂組成物をフィルム成形またはシート成形等の成形加工を行う場合は、射出成形、溶液キャスト法、トランスファー成形、インフレーション成形、Tダイ成形、カレンダー成形、プレス成形、ラバープレス成形、および圧延等の加工法により所望の製品形態に成形することができる。
これらの成形加工は必要に応じ、磁場や電場存在下で行うこともでき、超音波、電磁波および紫外線を照射しながら行うこともできる。
樹脂組成物は機械的特性や耐溶剤性を向上させることを目的として、樹脂(B)成分を架橋させることもできる。
架橋の方法としては、電離性放射線を照射して架橋する方法、および有機過酸化物またはアゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤を用いて架橋する方法を挙げることができる。
有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、およびジアルキルパーオキサイド等の通常架橋用途に使用されている化合物を挙げることができる。
アゾ化合物としては、例えば、アゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、およびアゾアミジン化合物等の通常架橋用途に使用されている化合物を挙げることができる。
樹脂組成物は成形体、フィルム、またはシート等の形態として用いることができる。樹脂(B)の柔軟性を有する特徴を生かした成形体、フィルム、またはシート等の形態とすることができるため、シート等を曲面に貼り付けたり、折り曲げて貼り付けることができる。
成形体、フィルム、またはシート等は、本実施の形態の樹脂組成物からなる成形体、フィルム、またはシートである。
フィルムおよびシートの厚みは、10μm以上であれば、強度が高く取扱性に優れるフィルムまたはシートとすることができ、1cm以下であれば加工性に優れるフィルムまたはシートとすることができる。
本実施の形態において、樹脂組成物は塗料として用いることができる。その場合、樹脂組成物と、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、プロパノール、シクロヘキサン、およびヘキサン等からなる群から選ばれる溶剤と、を混合して、溶液、エマルジョン、懸濁、スラリー、またはペースト状態にしたり、硬化性を有する液状のシリコーン樹脂またはエポキシ樹脂等に分散させて用いることが好ましい。
樹脂組成物を含有する塗料を存在させることにより、電磁波吸収機能を付与することができる。
具体例としては、成形体、フィルム、およびシート等に塗布する場合や、金属構造物に対して電磁波反射を防止するために塗布する場合等を挙げることができる。
本実施の形態において、樹脂シート表面に、樹脂組成物を含有する塗料を塗布して、樹脂シートと、樹脂シート表面に塗料含む層と、を有する電磁波吸収用シートとすることが好ましい。
樹脂シートとしては、一般的に用いられているシートであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレンノキサイド、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリアミド等の樹脂からなるシートであることが好ましい。樹脂シートの厚みは適宜選択することができ、例えば、数μm〜数百μmとすることができる。
塗料を含む層の厚みは、10μm〜0.5mmが好ましい。該厚みが10μm以上であれば十分な電磁波吸収特性が確保でき、0.5mm以下であれば加工性に優れる。
本実施の形態の形態において、樹脂組成物からなるシートは、該シートと、該シート表面に積層される粘着層と、を有する粘着シートとして用いることができる。
シートが粘着層を有すると、所望の個所に貼り付ける際に有用である。シートに粘着層を付与する方法としては、両面テープをシートの表面に貼り付ける方法、粘着材をシート面に塗布する方法等を挙げることができる。
粘着層に使用される粘着材として、特に限定されるものではなく、アクリル系、ゴム系、およびシリコーン系等の公知の粘着材を挙げることができる。
本実施の形態のシートおよびフィルムは、無線通信機器や無線LANの誤作動防止のための電磁波吸収体、電子機器配線板の不要電磁波吸収体として好適に用いることができる。
特に、本実施の形態の樹脂組成物は、周波数65GHzを中心とした50〜70GHzの領域の電磁波を有効に吸収することのできるので、65GHz帯域の高い周波数帯領域で好適に用いることができる。
本実施の形態において、65GHzでの電磁波吸収量が、5dB以上であることが好ましく、10dB以上であることがより好ましい。
以下、本実施の形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる評価方法および測定方法は以下のとおりである。
<シートの柔軟性の評価方法>
10cm四方のシートを図1に示すように手で折り曲げ、10秒後に手を離して放置した後のシートの状態を観察した。
折り目などもつかず折り曲げる前の元の状態に復元されれば合格(○)、折り目などはつくが元の状態に復元される場合は(△)、元の状態に復元されなければ不合格(×)とした。
<シートの耐溶剤性の評価方法>
1cm四方のシートをクロロホルム、トルエン、または10%アンモニア水に室温で24時間浸漬した。
シートから上記溶剤中にフェライトが磁性粉として分離した場合は×、分離しない場合は○とした。
<シートの難燃性の評価方法>
シートの一部を切り出し、ガスバーナーの炎に直接、10秒間接触させ、炎から離して、5秒以上燃焼した場合は×、5秒以上燃焼しなかった(すぐ消えた)場合は○とした。
<シートの電波吸収量の評価方法>
ベクトルネットワークアナライザーE8361A(Agligent Technologies社製)を用いて、自由空間電波吸収量測定法(直線偏波:WR15アンテナ、入射角0°)で測定を行った。測定サンプルとして100mm×50mm、厚み0.5mmのシートを用いた。次いで、上記測定子から電磁波をシートサンプルに照射し、周波数50GHz〜70GHzにおける電磁波の反射減衰量および透過減衰量を測定し、これらの測定値から電磁波吸収量を算出した。
以下の実施例および比較例で使用したフェライトを表1に、樹脂(B)を表2に示す。
Figure 2010077198
Figure 2010077198
[実施例1]
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(B−1) 15gを東洋精機社製のラボプラストミル/ミキサータイプ R30に投入し、樹脂温度135℃、ミキサー回転数50rpmで加熱しながら1分間練った。その後、同条件で練りつづけながら、SrFe11.6Al0.419(A−1) 134gを少しずつ、5分間かけて添加した。
(A−1)の配合量は(A−1)と(B−1)の合計100質量部に対し90質量部であった。添加終了後、そのまま10分間加熱混練を続けることにより、樹脂組成物149gを得た。
得られた樹脂組成物を190℃、10MPaの条件下で5分間圧縮成形し、厚み0.5mmのシートを得た。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例2]
(B−1)を21g、(A−1)を121gで用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、樹脂組成物142gを得た。(A−1)の配合量は(A−1)と(B−1)の合計100質量部に対し85質量部であった。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例3]
(B−1)を9g、(A−1)を146gで用いた以外は。実施例1と同じ操作を行い、樹脂組成物154gを得た。(A−1)の配合量は(A−1)と(B−1)の合計100質量部に対し94質量部であった。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例4]
(B−1)を5g、(A−1)を155gで用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、樹脂組成物160gを得た。(A−1)の配合量は(A−1)と(B−1)の合計100質量部に対し97質量部であった。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例5]
(B−1)を46g、(A−1)を69gで用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、樹脂組成物115gを得た。(A−1)の配合量は(A−1)と(B−1)の合計100質量部に対し60質量部であった。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例6]
(B−1)を53g、(A−1)を53gで用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、樹脂組成物106gを得た。(A−1)の配合量は(A−1)と(B−1)の合計100質量部に対し50質量部であった。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例7]
(B−1)に代えて、エチレン・エチルアクリレート共重合体(B−2)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、シートを得た。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例8]
(B−1)に代えて、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(B−3)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、シートを得た。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例9]
(B−1)に代えて、塩素化ポリエチレン(B−4)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、シートを得た。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例10]
(B−1)に代えて、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(B−5)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、シートを得た。シートの評価結果を表3に示す。
[実施例11]
(A−1)に代えて、SrFe11.1Al0.919(A−2)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、シートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
[実施例12]
(A−1)に代えて、ZnFe11.6Al0.419(A−3)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、シートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
[実施例13]
(A−1)に代えて、CaSrFe11.6Al0.419(A−4)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、シートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
[比較例1]
(B−1)を60g、(A−1)を40gで用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、樹脂組成物 100gを得た。(A−1)の配合量は(A−1)と(B−1)の合計100質量部に対し40質量部であった。シートの評価結果を表4に示す。
[比較例2]
(B−1)を2g、(A−1)を162gで用いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。しかし、シート化ができず、評価を行うことはできなかった。
[比較例3]
(A−1)に代えて、SrFe9Al219(A−5)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行って、シートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
[比較例4]
(A−1)に代えて、Ba(Ti0.6Co1.3Zn0.32Fe1019(A−6)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行って、シートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
[比較例5]
(A−1)に代えて、15NiO,35ZnO,51Fe23(A−7)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行って、シートを得た。シートの評価結果を表4に示す。
Figure 2010077198
Figure 2010077198
表3および表4の結果から、実施例1−13のシートはいずれも、65GHz付近帯域の高い周波数領域で、優れた電子波吸収特性を有していた。
六方晶フェライト(A)の含有量が、50質量部未満である比較例1のシートでは、十分な電磁波吸収特性を有するものではなく、98質量部を超える比較例2では、シート化することができなかった。
また、xが、0.1〜0.9の範囲にない六方晶フェライトを用いた比較例3および4のシートならびにスピネルフェライトを用いた比較例5では、十分な電磁波吸収特性を有するものではなかった。
本発明の樹脂組成物は、例えば、電子機器配線板等の不要電磁波吸収体、情報通信機器の誤作動防止のための電磁波吸収体として好適に使用できる。
本実施の形態のシートの柔軟性の評価方法におけるシートの折り曲げ方を示す図である。

Claims (8)

  1. 下記構造式:
    MFe(12-x)Alx19
    (MはSr、Ba、Mn、Cr、Ca、Zn、およびPbからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、xは、0.1〜0.9である。)で表される六方晶フェライト(A)と、
    樹脂(B)と、を含み、
    樹脂組成物全量100質量部に対して50〜98質量部の前記(A)を含む樹脂組成物。
  2. 前記樹脂(B)が、ポリマー分子鎖中にフッ素原子を有するフッ素樹脂である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂(B)が、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなるシート。
  5. 請求項4に記載のシートと、前記シート表面に積層される粘着層と、を有する粘着シート。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する塗料。
  7. 樹脂シートと、前記樹脂シート表面に請求項6に記載の塗料を含む層と、を有する電磁波吸収用シート。
  8. 電気製品や電子機器の回路から発生する電磁波を吸収するために使用される請求項4、5、及び7のいずれか1項に記載のシート。
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