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JP2008169378A - 樹脂組成物 - Google Patents

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JP2008169378A JP2007315404A JP2007315404A JP2008169378A JP 2008169378 A JP2008169378 A JP 2008169378A JP 2007315404 A JP2007315404 A JP 2007315404A JP 2007315404 A JP2007315404 A JP 2007315404A JP 2008169378 A JP2008169378 A JP 2008169378A
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Abstract

【課題】高い周波数領域の不要電磁波を有効に吸収する材料を提供することを目的とする。
【解決手段】六方晶フェライトと樹脂を含む樹脂組成物において、六方晶フェライトが樹脂組成物全量100重量部に対して、50〜98重量部含まれることを特徴とする樹脂組成物。六方晶フェライトとしては、(M型)BaMFe(12−X)19、(Z型)BaβFe2441、(Y型)BaFe1222(式中、MはTi,Co,Ni,Zn,Mn,及びCuからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、また、Baの一部又は全てをSrで置き換えてもよい。)を用いることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁性粉と樹脂から構成される電磁波吸収材料に関する。
本発明は、特に高い周波数領域での電磁波吸収特性に優れる電磁波吸収材料に関する。
一般に電子回路の配線部やCPU等の電子部材は電磁波を発生するが、この電磁波が他の電子部材に影響し誤作動を及ぼす恐れがある。また情報通信で電磁波を送受信する際に、目的とする電磁波以外の不要な電磁波に妨害され、電磁波の送受信に支障をきたすこともある。
このような不要電磁波を吸収して電子機器の誤作動や情報通信の障害を防ぐ手段として、金属微粒子やフェライト等の磁性体を樹脂に配合した複合材料を用いる方法は従来から知られていた(例えば特許文献1参照)。しかし近年、情報通信の高速化と大容量化に伴い、パソコン、携帯電話、DVD等の電子回路の交流周波数や情報通信に用いる電磁波周波数は高くなりつつあり、従来から用いられてきたフェライトや軟磁性金属では効果的な電磁波吸収が困難な場合も生じてきた。
また、高周波数領域の電磁波を利用した新たな情報通信技術も開発されつつある。ここで高周波数領域とは1GHzを超える領域を指す。例えば画像技術分野では画像情報を、ケーブルを介することなく高い周波数の電磁波で空間中を伝送させ、画像機器に送信し、表示する方法も開発されている。自動車用の通信機器では、自動車の前方にある他の自動車や障害物をミリ波領域の電磁波で探知して未然に衝突を防止するシステムが開発されている。
このように従来ではあまり使用されることのなかった高い周波数領域の電磁波を利用するケースが増加しつつあるが、これらの電磁波を送受信する電子機器及び、その周辺機器の誤作動防止、反射波による通信障害等を、簡便かつ有効に防止できる材料が得られていなかった。
特開2005−19846号公報
本発明は、高い周波数領域の不要電磁波を有効に吸収する材料を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決するために磁性粉と樹脂の組成物について鋭意検討した結果、六方晶フェライトを樹脂に混合した組成物が1GHz以上の高い周波数において優れた電波吸収効果を発現することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、以下に記載するとおりの、樹脂組成物、該樹脂組成物からなるシート及び該樹脂組成物を含有する塗料である。
(1)六方晶フェライトと樹脂を含む樹脂組成物において、六方晶フェライトを樹脂組成物全量100重量部に対して、50〜98重量部含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2)上記六方晶フェライトを、90〜95重量部含むことを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物。
(3)上記樹脂が、ポリマー分子鎖中にフッ素原子を持つフッ素樹脂であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)上記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレン−プロペン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロイジオキソール共重合体、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(3)に記載の樹脂組成物。
(5)上記フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体であることを特徴とする(4)に記載の樹脂組成物。
(6)上記テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体における全モノマーユニット数に占めるプロピレンユニット数の割合が30〜50%であることを特徴とする(5)に記載の樹脂組成物。
(7)上記テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体のムーニ−粘度が20〜50ML(1+10)100℃であることを特徴とする(5)又は(6)に記載の樹脂組成物。
(8)上記六方晶フェライトが下記一般式のM型、Z型、及びY型からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物。
(M型)BaMFe(12−X)19
(Z型)BaβFe2441
(Y型)BaFe1222
式中、MはTi,Co,Ni,Zn,Mn,Cuの群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、また、Baの一部又は全てをSrで置き換えてもよい。M型の式中、Xは0〜12の整数で、Z型の式中、βは0.1〜20である。
(9)上記六方晶フェライトとしてM型を含む場合、M型のFe成分とM成分のモル比をFe成分:M成分=10:αで表すとき、1.0≦α≦6.4の条件を満たすことを特徴とする(8)に記載の樹脂組成物。
(10)上記六方晶フェライトとしてM型を含む場合、M型がBa(TiCoZnFe1019で、かつ0.3≦A≦1.5、0.1≦B≦1.0、及び0.1≦C≦0.7の条件を満たすことを特徴とする(8)又は(9)に記載の樹脂組成物。
(11)上記六方晶フェライトとしてZ型を含む場合、Z型のFe成分とM成分のモル比をFe成分:M成分=24:βで表すとき、0.5≦β≦2.6の条件を満たすことを特徴とする(8)に記載の樹脂組成物。
(12)上記六方晶フェライトとしてZ型を含む場合、Z型がBaCoZnFe2441で、かつ0.4≦D≦2.0、及び0.1≦E≦1.0の条件を満たすことを特徴とする(8)又は(11)に記載の樹脂組成物。
(13)上記六方晶フェライトとしてY型を含む場合、Y型がBa(ZnFe1222で、かつ0.35≦F≦1.35の条件を満たすことを特徴とする(8)に記載の樹脂組成物。
(14)上記樹脂組成物全量100重量部に対して、上記樹脂を2〜47重量部、上記六方晶フェライトを50〜95重量部、及び軟磁性フェライト、軟磁性合金、高熱伝導性の無機物、及び導電性物質からなる群から選ばれる1つ又は2つ以上の組み合わせからなる混合物を3〜48重量部含むことを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(15)(1)〜(14)のいずれかに記載の樹脂組成物からなるシート。
(16)(15)に記載のシート表面に粘着層を有する粘着シート。
(17)(1)〜(14)のいずれかに記載の樹脂組成物を含有する塗料。
(18)(17)に記載の塗料を含む層を、樹脂のシート表面に有する電磁波吸収用のシート。
(19)電気製品や電子機器の回路から発生する電磁波を吸収するために使用される(15)、(16)、(18)のいずれかに記載のシート。
本発明の樹脂組成物は、高い周波数領域の不要電磁波を有効に吸収することができる。
本発明について、以下、詳細に説明する。
本発明は六方晶フェライトと樹脂から構成される組成物である。
六方晶フェライトとは結晶格子が六角柱状の形態をとるフェライトであり、c面内、c軸方向では磁気異方性を有することから高い共鳴周波数を示す。
六方晶フェライトは組成や構造の違いにより、(M型)BaMFe(12−X)19、(Z型)BaβFe2441、(Y型)BaFe1222、(W型)BaMFe1627、(X型)BaFe2846、(U型)BaFe3660に分類される。式中、MはTi,Co,Ni,Zn,Mn,及びCuからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、また、Baの一部又は全てをSrで置き換えてもよい。また(M型)式中、Xは0〜12の整数で、βは0.1〜20である。
上記六方晶フェライトの中でも、本発明で使用する六方晶フェライトは、電磁波吸収性の観点から、M型、Y型、Z型が好ましい。
M型フェライトはマグネトプラムバイト型フェライトとも呼ばれ、一般式、BaMFe(12−X)19で表される。式中M成分はTi,Co,Ni,Zn,Mn,及びCuからなる原子群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせである。Baの一部又は全てをSrで置き換えてもよい。
M型フェライト中の、Fe原子モル数に対するM成分のモル数を増やすと、共鳴周波数は低下する。本発明におけるFe原子のモル数に対する好適なM成分のモル数は、Fe成分:M成分=10:αで表すとき1≦α≦6.4の範囲である。αが1以上では電磁波吸収量が高く、6.4以下では電磁波吸収効果が最大となる共鳴周波数が高いため好ましい。
M型フェライトの上記式中、金属元素Mは少なくともCoを含む場合が電磁波吸収量の観点から好ましく、より好ましくは、Ti、Coの組み合わせ、特に好ましくはTi、Co、Znの組み合わせである。
M型フェライトの構造をBa(TiCoZnFe1019で表したときの各成分の好ましい組成範囲は0.3≦A≦1.5、0.1≦B≦1.0、及び0.1≦C≦0.7である。各組成範囲の下限値以上では十分な電磁波吸収量が得られるため好ましく、上限値以下では共鳴周波数が高いため好ましい。
Y型フェライトはフェロックスプラナー型に分類され、一般式BaFe1222で表される。Baの一部又は全てをSrで置き換えてもよく、MはTi,Co,Ni,Zn,Mn,及びCuからなる原子群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであることが好ましい。中でもZnを含む場合は共鳴周波数が高く、電磁波吸収量も大きいことから特に好ましい。
MがZnの場合の構造式をBa(ZnFe1222と表したときのZnの組成は0.35≦F≦1.35の条件を満たすことが好ましい。Fが0.35以上では十分な電磁波吸収量が得られ、1.35以下では共鳴周波数が高いため好ましい。
Z型フェライトもフェロックスプラナー型に分類され、一般式BaβFe2441で表される。Baの一部又は全てをSrで置き換えてもよく、MはTi,Co,Ni,Zn,Mn,及びCuからなる原子群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであることが好ましい。中でも少なくともCoを含む場合が好ましく、さらにCoとZnを含む場合に共鳴周波数が高く、電磁波吸収量も大きいことから特に好ましい。
Z型フェライトのFe成分とM成分のモル比をFe成分:M成分=24:βで表すとき、0.5≦β≦2.6の条件を満たすことが好ましい。βが0.5以上では十分な電磁波吸収量が得られるため好ましく、2.6以下では吸収できる電磁波の周波数が高いため好ましい。
MがCoの場合の構造式をBaCoZnFe2441と表したときの各成分の好ましい組成範囲は0.4≦D≦2.0、及び0.1≦E≦1.0である。各組成範囲の下限値以上では十分な電磁波吸収量が得られるため好ましく、上限値以下では共鳴周波数が高いため好ましい。
六方晶フェライトは粉体であることが好ましい。その粉体の粒径は1〜50μmであることが好ましく、1〜10μmの範囲にあることがより好ましい。1μm以上では取り扱い性が良く、50μm以下では樹脂への分散性が優れている。
六方晶フェライト粉体は粒径が大きいものと小さいものとを混合させて用いると、樹脂と混合させたときの粒子間の空間を減らすことができるため、樹脂に対する充填率を上げることができ、組成物の電磁波吸収量を向上させることができる。
六方晶フェライト粉体粒子の比表面積は、0.3〜2m/gであることが好ましい。0.3m/g以上では樹脂と混合、シート化させたときの柔軟性に優れ、2m/g以下では樹脂に対して高濃度で配合できるためシートの電磁波吸収性を高くできる。
六方晶フェライトの構造は、蛍光X線分析(XRF)によって特定される。具体的には波長分散型蛍光X線分析装置を用い、Fundamental Parameter法による定量分析により求められる。
六方晶フェライト粉体粒子の形態は球状、板状等が挙げられるが、板状の場合、樹脂と混合し、シート化させる段階で六方晶フェライトがシート平面に対して水平に配向しやすくなり、水平に配向させることで、樹脂組成物シートの電磁波吸収量を向上し、シート厚みを薄くすることができるという利点があるため好ましい。
六方晶フェライトの粉体粒子が板状の場合、板の厚みは0.05μm〜5μmであると好ましく、0.1μm〜1μmであるとより好ましい。0.05μm以上では樹脂との混練時に形状を維持できるという利点があり、5μm以下では樹脂組成物のシートを薄くできるので良い。
六方晶フェライトは樹脂との密着性を改良することを目的として、粒子表面をカップリング処理することもできる。
カップリング剤の例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2、2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等のチタン系カップリング剤、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシ−シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシララン、ビニルトノアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロメピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ポリアルキレンオキサイドシラン類、パーフルオロアルキルトリメトキシシラン類等のシリコーンを含有するカップリング剤やアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートのようなアルミニウム系、ジルコニウム系、クロム系、鉄系、スズ系などのカップリング剤の一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
六方晶フェライトとフッ素樹脂の密着性を改良するためには、分子内にF原子を有するカップリング剤、表面処理剤を使用することが好ましい。
六方晶フェライトのpHは7〜9であることが好ましく、より好ましくは7〜8.5である。pHが7〜9の範囲内では樹脂との密着性が良く、六方晶フェライトの組成を高くした場合にも、樹脂組成物のシートの柔軟性は優れる。
六方晶フェライトを金属粉末表面にめっき処理させたフェライトめっき粒子を樹脂と配合させることもできる。
六方晶フェライトの樹脂組成物に対する組成は、樹脂組成物全量100重量部に対して、50〜98重量部であることが必要であり、好ましくは75〜95重量部、より好ましくは90〜95重量部である。50重量部以上では有効な電磁波吸収性能が得られ、98重量部以下では樹脂との複合性に優れる。
六方晶フェライトと混合させる樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のいずれでもよい。熱可塑性樹脂は二重結合又は三重結合等の不飽和基を有するモノマーの重合体及び共重合体を用いることができる。
重合体及び共重合体のモノマーとしてはエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ素化エチレン、アクリロニトリル、無水マレイン酸、酢酸ビニルを挙げることができるが、中でもフッ素化エチレンが好ましい。フッ素化エチレンは下記一般式(B)で表すことができる。
Figure 2008169378
(R1〜R4は、H、F、Cl、炭化水素基、アルコキシ基、H原子の一部又は全てがF原子で置換された炭化水素基又はアルコキシ基の中から任意に選択される。)
これら以外の熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレングリコール、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート等を例として挙げることができる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ビスマレイミド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン等を例として挙げることができる。上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は官能基を有する化合物で変成されたものでもよい。
官能基としてはビニル基、アリル基、カルボキシル基、酸無水基、エステル基、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、エポキシ基、ハロゲンから選ばれる1つ、又は2つ以上を含んでもよい。
上記熱化塑性樹脂や熱硬化性樹脂は分子鎖内にF原子、Cl原子、Br原子を有するものが難燃性に優れており、好ましく用いることができ、中でもフッ素原子を有する樹脂は難燃性、耐薬品性、低吸水性、誘電特性に優れることから特に好ましい。
フッ素原子を有する樹脂ではポリマーの分子構造に占めるフッ素原子の重量比がポリマー全量に対して、10〜70重量%であることが好ましい。10重量%以上では難燃性や耐薬品性、低吸水性、誘電特性に優れ、70重量%以下では六方晶フェライトとの混練が容易である。フッ素原子を持つ樹脂の中でも下記一般式(A)で示される構造を分子鎖内に有するフッ素樹脂と呼ばれるグループが好ましい。
Figure 2008169378
(R1〜R4は、H、F、Cl、炭化水素基、アルコキシ基、H原子の一部又は全てがF原子で置換された炭化水素基又はアルコキシ基の中から任意に選択されるが、少なくとも1個のF原子を有する。nは5以上の整数。)
フッ素樹脂の例としては、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレン−プロペン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロイジオキソール共重合体、ポリビニリデンフルオライド、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられ、中でもテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体とテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体が好ましく用いられ、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体が最も好ましい。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体はテトラフルオロエチレンモノマーとプロピレンモノマーの共重合体であり、両モノマーの組成比によって樹脂の諸特性は変化する。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体の全モノマーユニット数に占めるプロピレンユニット数の好ましい割合は30〜50%である。30%以上では六方晶フェライトを樹脂成分に対して高い濃度で配合することができ、50%以下では組成物の難燃性や耐薬品性、低吸水性、誘電特性が優れている。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体のムーニ−粘度は20〜50ML(1+10)100℃であることが好ましい。20ML(1+10)100℃以上では六方晶フェライトとの組成物のシート強度が優れており、50ML(1+10)100℃以下では六方晶フェライトを高い組成で配合しても、組成物のシートは十分な柔軟性を有する。
ここで、ムーニー粘度とはJIS K6300に従って測定され、測定値の表記方法は例えば、50ML(1+10)100℃の場合では、50Mはムーニー粘度を、Lはローターの形状でL形を、(1+10)は1分間の予熱時間(分)と10分間のローターの回転時間(分)を、100℃は試験温度の100℃を表している。
本発明の組成物には樹脂と六方晶フェライトの他に第三成分として軟磁性フェライト、軟磁性合金、高熱伝導性の無機物、導電性物質の群から選ばれる1つ又は2つ以上の組み合わせからなる混合物を加えることができる。
上記成分の好ましい組成は、樹脂組成物全量100重量部に対して、樹脂2〜47重量部、六方晶フェライト50〜95重量部、第三成分3〜48重量部である。第三成分が3重量部以上では第三成分の特性が発現され、48重量部以下では六方晶フェライトの高周波数領域での電磁波吸収特性が保たれる。
上記軟磁性フェライトの具体例としては、MnFe、CoFe、NiFe、CuFe、ZnFe、MgFe、Fe、Cu−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Zn−フェライト等が挙げられる。
上記軟磁性合金の具体例としては、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Cr、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Cr−Si、Fe−Cr−Al、Fe−Al−Si、Fe−Pt等が挙げられる。上記六方晶フェライトとは異なる磁性体を樹脂組成物に加えることにより、組成物が吸収する電磁波の周波数領域を広げることができる。
上記高熱伝導性の無機物としては、熱伝導率が20W/m・K以上のものが特に好ましく、その具体例としては、シリカ、ベリリア、酸化チタン、ジルコニア、ベンガラ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化鉄等の金属窒化物や銅、アルミニウム等の金属を挙げることができる。上記の高熱伝導性の無機物を加えることにより、電磁波吸収と熱伝導性の機能を兼ね備えた組成物が得られる。
上記導電性物質としては鉄、銅、アルミニウム等の金属が好ましいが、Si、Ge、ZnO、SiC等の半導体を用いることが出来る。
本発明の組成物には難燃性の付与を目的として、有機ハロゲン化物、金属水酸化物、りん化合物等の難燃剤を添加することもできる。
その具体例としては、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモベンジルフェニルエーテル、デカブロモベンジルフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノール、テトラブロモ無水フタル酸、テトラブロモビスフェノールA、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリアリルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、含ハロゲン縮合りん酸エステル、ホスファゼン、塩化パラフィン、パークロロペンタシクロデカン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ほう酸亜鉛、臭化アンモニウム、りん酸チタン等を挙げることができる。
本発明の組成物の製造には加圧ニーダー、バンバリーミキサー、二軸押し出し機、一軸押し出し機、ロールミキサー等の混練機を用いることができる。
組成物をフィルム成形、シート成形等、成形加工する場合は、射出成形、トランスファー成形、プレス成形、Tダイ押し出し成形、カレンダー成形、ロール圧延等の方法を用いることが出来る。これらの成形加工は必要に応じ、磁場や電場存在下で行うことや超音波や電磁波、紫外線を照射しながら行うこともできる。
本発明の組成物は機械的特性や耐溶剤性を向上させることを目的として、樹脂成分を架橋させることもできる。
本発明の組成物を溶剤と混合して均一に分散させた後に、支持体に塗布、乾燥させることによって塗膜状にすることもできる。
本発明の組成物を溶剤と混合して均一に分散させて得られるワニスを布、紙、ガラスクロス等の繊維状シートに含浸させた後、溶剤を揮発させることにより、これらの繊維状シートと組成物の複合体を得ることができる。
本発明の組成物は塗料として用いることもできる。その場合、組成物とトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、プロパノール、シクロヘキサン、ヘキサン等の溶剤を混合して溶液、エマルジョン、懸濁、スラリー、ペースト状態にしたり、硬化性を有する液状のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等に分散させて用いることが好ましい。
上記組成物の塗料を存在させることにより、電磁波吸収機能を付与することができる。具体例としては、樹脂のフィルム、シート成形体等に塗布する場合や、金属構造物に対して電磁波反射を防止するために塗布する場合等が挙げられる。
本発明の組成物は高い周波数領域の電磁波を有効に吸収することができる。本発明における高い周波数領域とは1GHz以上の領域を指し、特に、5GHz以上で顕著な効果を示す。
本発明の組成物からなるシートを対象物に貼ることにより、電磁波吸収機能をその対象物に付与することができる。0.05mm以上ではシートの厚み制御が容易で、電磁波吸収量も十分であり、3mm以下では電子機器等への適用が容易である。
本発明の組成物からなるシートは、粘着層を有することが好ましい。シートが粘着層を有すると、所望の個所に貼り付ける際に有用である。シートに粘着層を付与する方法としては両面テープをシート表面に貼り付ける方法、粘着材をシート面に塗布する方法等が挙げられる。
本発明の組成物からなるシートは、携帯電話、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等の電子機器や情報通信機器の内部に搭載される配線板やCPU、LSI、配線などの部材に貼り付けられ、機器の誤作動の原因となる不要な電磁ノイズの吸収に用いられる。
本発明の組成物からなるシートは、道路上に設置された自動料金収受システムの構造物に貼り付けられたり塗料として塗装されることにより、自動車車載機から発信される電波の反射を防止する用途に用いられる。
本発明の組成物からなるシートは、走行中の自動車に渋滞などの道路交通情報や位置情報、前方の障害物情報を通信する、道路交通情報システムに使用される車載機器及びその周辺部材において、通信障害を防止するために用いられる。
本発明の組成物からなるシートは、建築物や橋梁、鉄塔等の構造物に、レーダー波の反射防止のために用いられる。
本発明の組成物からなるシートは、室内無線通信の漏洩防止を目的として建築物室内の天井や壁に用いられる。
組成物シートの評価を下記(1)〜(5)に示す方法で実施した。
(1)電波吸収特性
<評価方法1>
transmission attenuation power ratio法に従い、測定した。線路幅2.2mm、特性インピーダンス50Ωのマイクロスプリットライン(MSL)上に、MSL基板サイズである幅100mm、縦50mm以上のシートを用いて基板全体を覆い、ネットワークアナライザーを用いてS11,S21のSパラメーター値を求め、次式により、シートによる電磁波減衰量(R)を求める。
(R)=10log〔10S21/10/(1−10S11/10)〕[dB]
この(R)値を表に記した。
<評価方法2>
シートから外形7mm、内径3mmのドーナツ状の試験片を打ち抜き、この試験片を同軸菅に隙間無く挿入する。この同軸菅の端を短絡させた状態でネットワークアナライザーを用いてS11(sample)パラメーターを測定した。また、サンプルを挿入しない空の状態でのS11(base)を測定し、次式から電磁波吸収量を算出した。
〔電磁波吸収量〕=〔S11(sample)〕−〔S11(base)〕(dB)
この電磁波吸収量が最大値となる周波数の値と、その時の吸収量を表に記した。
(2)柔軟性試験
10cm四方の組成物シートを図1のように手で折り曲げ、10秒後に手を離して放置した後のシートの状態を観察する。折り目などもつかず折り曲げる前の元の状態に復元されれば合格(○)、元の状態に復元しなければ不合格(×)である。
(3)耐溶剤試験
1cm四方の組成物シートをトルエン又はクロロホルムに室温で24時間浸漬する。組成物から溶剤中に磁性紛が分離した場合は×、分離しない場合は○とした。
(4)耐熱水性試験(PCT試験)
1cm四方の組成物シートを1.2気圧の飽和水蒸気下に2時間置いた後のシートを折り曲げる。その結果、元のシート状態に復元した場合は合格(○)、シートが破けたり、崩れるなどの破損を起こした場合は不合格(×)である。
(5)燃焼試験
組成物シートの一部を切り出し、ガスバーナーの炎に直接、10秒間接触させ、炎から離して、5秒以上燃焼した場合は×、5秒以上燃えなかった(すぐ消えた)場合は○とした。
(6)熱伝導度試験
迅速熱伝導率測定計 KEMTHRM QTM−D3型(京都電子工業製)を用いた。熱伝導率が既知の標準試料の上に測定対象のシート試料を載せて、標準試料とシートを併せた全体の熱伝導率(Q1)を測定する。基準試料の熱伝導率を(Q2)とすると、次式から偏差(ε)が求められる。
(ε)=[(Q1)−(Q2)]/(Q2)
(ε)をlog(Q2)に対してプロットし、(ε)がゼロになるときの熱伝導率を内挿により求めて、シート試料の熱伝導率を求めた。
なお基準試料には、シリコンゴム(Q2)=0.241(W/m・K)、ゴム板(Q2)=0.536(W/m・K)、石英ガラス(Q2)=1.416(W/m・K)、ジルコニア(Q2)=3.277(W/m・K)を用いた。
実施例で使用した樹脂を表1及び表2に、六方晶フェライトを表3、表4、及び表5に示す。
Figure 2008169378
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[実施例1]
四フッ化エチレン−プロピレン共重合体15g(A−1)を混練機に投入し、窒素雰囲気下、130℃、3分間練った後、M型六方晶フェライト、Ba(Ti0.55Co1.33Zn0.33Fe1019(M−1)135gを樹脂と混練させながら、5分間かけて加えた。この間に試料温度は上昇を続け、最終的には170℃に達した。(M−1)を全量加えた後も10分間、混練を継続し、(A−1)と(M−1)の組成物を得た。組成物全量100重量部に対する各成分の組成は、(A−1)は10重量部(M−1)は90重量部である。次に、圧縮成形機を用いて、200℃、10MPaの条件で5分間、組成物を圧縮成形し、厚み2mmの柔軟性のあるシートを得た。シートの評価結果を表6に示す。
[実施例2]
組成物の原料組成を(A−1)22.5g、(M−1)127.5gを用いたほかは実施例1と同様に行った。組成物全量100重量部に対する各成分の組成は、(A−1)15重量部、(M−1)は85重量部である。シートの評価結果を表6に示す。
[実施例3]
組成物の原料組成を(A−1)4g、(M−1)96gを用いたほかは実施例1と同様に行った。組成物全量100重量部に対する各成分の組成は、(A−1)4重量部、(M−1)は96重量部である。シートの評価結果を表6に示す。
[実施例4]
組成物の原料組成を(A−1)30g、(M−1)120gを用いたほかは実施例1と同様に行い、組成物を得た。組成物全量100重量部に対する各成分の組成は、(A−1)20重量部、(M−1)は80重量部である。シートの評価結果を表6に示す。
[実施例5]
組成物の原料組成を(A−1)60g、(M−1)90gとした他は実施例1と同様に行った。組成物全量100重量部に対する各成分の組成は、(A−1)40重量部、(M−1)は60重量部である。シートの評価結果を表6に示す。
[実施例6]
(M−1)の替りにBa(Ti1.5Co1.0Zn0.4Fe1019のM型六方晶フェライト(M−2)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表6に示す。
[実施例7]
(M−1)の替りにBa(Ti0.40Co0.2Zn0.1Fe1019のM型六方晶フェライト(M−3)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表6に示す。
[実施例8]
(M−1)の替りにBa(Ti0.20Co0.09Zn0.11Fe1019のM型六方晶フェライト(M−4)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表6に示す。
[実施例9]
(M−1)の替りにBa(Ti1.7CoZn0.82Fe1019のM型六方晶フェライト(M−5)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表7に示す。
[実施例10]
(M−1)の替りにBa(Ti0.6Co0.6Fe1019のM型六方晶フェライト(M−6)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表7に示す。
[実施例11]
(M−1)の替りにBa(Ti0.5Co0.5Fe1019のM型六方晶フェライト(M−7)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表7に示す。
[実施例12]
(M−1)の替りにBa(Ti・Mn)Fe1019のM型六方晶フェライト(M−8)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表7に示す。
[実施例13]
(M−1)の替りにBa(Ti・Cu)Fe1019のM型六方晶フェライト(M−9)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表7に示す。
[実施例14]
(M−1)の替りにSr(Ti0.6Co1.3Zn0.3Fe1019(M−10)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表7に示す。
[実施例15]
配合組成を(A−1)30g、(M−1)の替りにBa(Zn0.7Fe1222のY型六方晶フェライト(Y−1)120gとした他は、実施例1と同様に行った。全量を100重量部としたときの各成分の組成は、(A−1)20重量部、(Y−1)80重量部である。シートの評価結果を表8に示す。
[実施例16]
(Y−1)の替りにY型六方晶フェライトBa(Zn0.4Fe1222(Y−2)を用いた他は実施例15と同様に行った。シートの評価結果を表8に示す。
[実施例17]
(Y−1)の替りにY型六方晶フェライトBa(Zn1.3Fe1222(Y−3)を用いた他は実施例15と同様に行った。シートの評価結果を表8に示す。
[実施例18]
(M−1)の替りにY型六方晶フェライトBa(Zn0.1Fe1222(Y−4)を用いて、組成を表5に示す値に変えた他は、実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表8に示す。
[実施例19]
(M−1)の替りにY型六方晶フェライトBa(Zn1.5Fe1222(Y−5)を用いて、組成を表に示す値に変えた他は、実施例2と同様に行った。シートの評価結果を表8に示す。
[実施例20]
(M−1)の替りにZ型六方晶フェライトBaCo1.1Zn0.5Fe2441(Z−1)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表9に示す。
[実施例21]
(M−1)の替りにZ型六方晶フェライトBaCo1.1Zn0.5Fe2441(Z−1)を用いた他は実施例2と同様に行った。シートの評価結果を表9に示す。
[実施例22]
(Z−1)の替りにZ型六方晶フェライトBaCo0.5Zn0.2Fe2441(Z−2)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表9に示す。
[実施例23]
(Z−1)の替りにZ型六方晶フェライトBaCo0.5Zn0.9Fe2441(Z−3)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表9に示す。
[実施例24]
(Z−1)の替りにZ型六方晶フェライトBaCo1.9Zn0.2Fe2441(Z−4)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表9に示す。
[実施例25]
(A−1)の替りに(A−2)を用いた他は、実施例2と同様に行った。シートの評価結果を表10に示す。
[実施例26]
(A−1)の替りに(A−3)を用いた他は、実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表10に示す。
[実施例27]
(A−1)の替りに(A−4)を用いた他は、実施例2と同様に行った。シートの評価結果を表10に示す。
[実施例28]
(A−1)の替りに(A−3)を用い、(M−1)の替りに(Y−1)を用いた他は、実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表10に示す。
[実施例29]
(A−1)の替りに(A−3)を用い、(M−1)の替りに(Z−1)を用いた他は、実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表10に示す。
[実施例30]
(A−1)の替りに(A−4)を用いた他は、実施例3と同様に行った。シートの評価結果を表10に示す。
[実施例31]
(A−1)の替りに(A−5)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表10に示す。
[実施例32]
(A−1)の替りに(A−6)を用いた他は実施例2と同様に行った。シートの評価結果を表10に示す。
[実施例33]
(A−1)の替りに塩素化ポリエチレン(A−7)を用いた。混錬中の初期温度を100℃、最終到達温度を150℃とし、混錬で得られた組成物の圧縮成形時の温度を180℃とした他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表11に示す。
[実施例34]
(A−1)の替りにアクリロニトリルブタジエンゴム(A−8)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表11に示す。
[実施例35]
(A−1)の替りに四フッ化エチレン−エチレン共重合体(A−9)を用いた他は実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表11に示す。
[実施例36]
(A−1)の替りにパーフルオロエチレンポリマー(A−10)を用いた他は、実施例1と同様に行った。シートの評価結果を表11に示す。
[実施例37]
(A−11)15g、(M−1)120g、水酸化マグネシウム15gを樹脂温度120℃で混練し、その混練物を150℃、5MPaで3分間、圧縮プレスして、シートを得た。シートの評価結果を表12に示す。
[実施例38]
(A−11)20g、(M−1)120gを用いた他は、実施例37と同様に行った。シートの評価結果を表12に示す。
[実施例39]
配合組成を(A−1)20g、(M−1)120g、黒鉛10gとした他は実施例1と同様の操作を行った。樹脂組成物全量100重量部に対する各成分の組成は(A−1)13重量部、(M−1)80重量部、黒鉛7重量部である。熱伝導度の測定結果は、1.5W/m.kであり、実施例1で得られたシートの熱伝導度0.8W/m.Kに比べて改良効果が見られた。シートの評価結果を表12に示す。
[実施例40]
配合組成を(A−1)20g、(M−1)120g、アルミナ10gとした他は実施例1と同様の操作を行った。樹脂組成物全量100重量部に対する各成分の組成は(A−1)13重量部、(M−1)80重量部、アルミナ7重量部である。熱伝導度の測定結果は、1.4W/m.kであり、実施例1で得られたシートの熱伝導度0.8W/m.Kに比べて改良効果が見られた。シートの評価結果を表12に示す。
[実施例41]
配合組成を(A−1)30g、(M−1)90g、扁平状センダスト粉末30gとした他は実施例1と同様の操作を行った。樹脂組成物全量100重量部に対する各成分の組成は(A−1)20重量部、(M−1)60重量部、センダスト20重量部である。電波吸収特性<評価方法2>の方法ではセンダスト粉末に由来するピークが0.8GHzに、M−1に由来するピークが10.1GHzに見られた。シートの評価結果を表12に示す。
[比較例1]
(M−1)の替りに立方晶フェライトであるNi−Znフェライトを用いた他は実施例1と同様に行った。シート評価結果を表13に示す。
[比較例2]
(A−1)2gとM型六方晶フェライト(M−2)148gを混練機に仕込み、150℃で混錬を試みたが、均一混合は不可能であった。各成分の組成は組成物全量100重量部に対して、(A−1)1.3重量部(M−2)98.7重量部であった。
[比較例3]
(M−2)の替りに(Y−2)を用いた他は、比較例2と同様に行った。この場合も均一混合することはできなかった。
[比較例4]
(M−2)の替りに(Z−2)を用いた他は、比較例2と同様に行った。この場合も均一混合することはできなかった。
[比較例5]
配合組成を(M−1)90g、(A−1)60gとした他は、実施例1と同様に行った。各成分の組成は組成物全量100重量部に対して、(A−1)60重量部(M−1)40重量部であった。評価結果を表13に示す。
[比較例6]
(M−1)の替りに(Y−1)を用いた他は、比較例5と同様に行った。評価結果を表13に示す。
[比較例7]
(M−1)の替りに(Z−1)を用いた他は、比較例5と同様に行った。評価結果を表13に示す。
Figure 2008169378
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本発明の組成物をシート化したものはパソコン、携帯電話等の電子機器や一般の電気製品内部に貼り付けることにより、回路内で発生する1GHz以上の高周波数領域の不要電磁波を有効に吸収して機器の誤作動を防止するとともに、機器外部への不要電磁波の放射強度を低く抑えることができる。本発明の組成物は航空機や船舶、乗用車から発信されるレーダーを吸収し、乱反射や誤反射による目標物の誤認識を防止する。
本発明で評価した柔軟性試験(折り曲げ試験)の方法を表す図である。

Claims (19)

  1. 六方晶フェライトと樹脂とを含む樹脂組成物において、六方晶フェライトを樹脂組成物全量100重量部に対して、50〜98重量部含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 上記六方晶フェライトを、90〜95重量部含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 上記樹脂が、ポリマー分子鎖中にフッ素原子を持つフッ素樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 上記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレン−プロペン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロイジオキソール共重合体、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 上記フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 上記テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体における全モノマーユニット数に占めるプロピレンユニット数の割合が30〜50%であることを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 上記テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体のムーニ−粘度が20〜50ML(1+10)100℃であることを特徴とする請求項5又は6に記載の樹脂組成物。
  8. 上記六方晶フェライトが下記一般式のM型、Z型、及びY型からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
    (M型)BaMFe(12−X)19
    (Z型)BaβFe2441
    (Y型)BaFe1222
    式中、MはTi,Co,Ni,Zn,Mn,及びCuからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、また、Baの一部又は全てをSrで置き換えてもよい。
    M型の式中、Xは0〜12の整数、Z型の式中、βは0.1〜20である。
  9. 上記六方晶フェライトとしてM型を含む場合、M型のFe成分とM成分のモル比をFe成分:M成分=10:αで表すとき、1.0≦α≦6.4の条件を満たすことを特徴とする請求項8に記載の樹脂組成物。
  10. 上記六方晶フェライトとしてM型を含む場合、M型がBa(TiCoZnFe1019で、かつ0.3≦A≦1.5、0.1≦B≦1.0、及び0.1≦C≦0.7の条件を満たすことを特徴とする請求項8又は9に記載の樹脂組成物。
  11. 上記六方晶フェライトとしてZ型を含む場合、Z型のFe成分とM成分のモル比をFe成分:M成分=24:βで表すとき、0.5≦β≦2.6の条件を満たすことを特徴とする請求項8に記載の樹脂組成物。
  12. 上記六方晶フェライトとしてZ型を含む場合、Z型がBaCoZnFe2441で、かつ0.4≦D≦2.0、及び0.1≦E≦1.0の条件を満たすことを特徴とする請求項8又は11に記載の樹脂組成物。
  13. 上記六方晶フェライトとしてY型を含む場合、Y型がBa(ZnFe1222で、かつ0.35≦F≦1.35の条件を満たすことを特徴とする請求項8に記載の樹脂組成物。
  14. 上記樹脂組成物全量100重量部に対して、上記樹脂を2〜47重量部、上記六方晶フェライトを50〜95重量部、及び軟磁性フェライト、軟磁性合金、高熱伝導性の無機物、及び導電性物質からなる群から選ばれる1つ又は2つ以上の組み合わせからなる混合物を3〜48重量部含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の樹脂組成物からなるシート。
  16. 請求項15に記載のシート表面に粘着層を有する粘着シート。
  17. 請求項1〜14のいずれかに記載の樹脂組成物を含有する塗料。
  18. 請求項17に記載の塗料を含む層を、樹脂のシート表面に有する電磁波吸収用のシート。
  19. 電気製品や電子機器の回路から発生する電磁波を吸収するために使用される請求項15、16、18のいずれかに記載のシート。
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