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JP2007170316A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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JP2007170316A JP2005371266A JP2005371266A JP2007170316A JP 2007170316 A JP2007170316 A JP 2007170316A JP 2005371266 A JP2005371266 A JP 2005371266A JP 2005371266 A JP2005371266 A JP 2005371266A JP 2007170316 A JP2007170316 A JP 2007170316A
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Abstract

【課題】クラッチ及び手動変速機を搭載したMT車において、車両発進時のエンストやもたつきを防止しながら運転者の要求に応じた発進性能を実現できるようにする。
【解決手段】車両の情報等に基づいて車両の発進に必要な最小発進クランク軸トルクを算出すると共に、運転者の要求(アクセル開度等)に応じて要求クランク軸トルクを算出し、車両発進時と判定されたときには、要求クランク軸トルクと最小発進クランク軸トルクのうちの大きい方を目標クランク軸トルクとして設定する。これにより、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルクよりも小さい場合には、最小発進クランク軸トルクを目標クランク軸トルクとして、車両発進時のエンストやもたつきを防止する。一方、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルク以上の場合には、要求クランク軸トルクをそのまま目標クランク軸トルクとして、運転者の要求に応じた発進性能を実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関のクランク軸の出力を動力伝達系を介して車軸に伝達する車両に適用される内燃機関の制御装置に関するものである。
従来より、クラッチ及び手動変速機(マニュアルトランスミッション:MT)を搭載したMT車においては、停車中の車両を発進させる際に、運転者がクラッチペダルを踏み込んでクラッチを切った状態からアクセルペダルを踏み込みながらクラッチペダルをゆっくりと戻してクラッチを軽く繋いだ半係合状態(いわゆる半クラッチ)にすることで、内燃機関のストール(いわゆるエンスト)を防止しながら車両を発進させるようにしている。このような一連の発進操作をスムーズに行うには、ある程度の熟練が必要で運転者の技量に委ねられていた。
そこで、特許文献1(特開2001−73842号公報)に記載されているように、目標トルクを実現するように内燃機関を制御するトルク制御を実行するシステムにおいて、内燃機関の回転速度とアクセル開度に応じて要求トルクを算出し、発進状態であると判定されたときに、内燃機関の回転速度とアクセル開度に応じて発進アシスト量を算出し、要求トルクを平滑処理した平滑処理後の要求トルクに発進アシスト量を加算して目標トルクを設定することで、車両発進時のエンストやもたつきを防止しながら円滑な発進を確保するようにしたものがある。
また、特許文献2(特開2001−73837号公報)に記載されているように、アイドル運転状態からクラッチ操作のみで車両を発進させるアイドル発進モードであると判定されたときに要求トルクを発生させるように内燃機関を制御することで、アイドル発進モード時のエンストを防止するようにしたものもある。
特開2001−73842号公報(第2頁等) 特開2001−73837号公報(第2頁等)
しかし、上記特許文献1の技術では、車両発進時にアクセル開度に応じた要求トルク(つまり運転者の要求トルク)を平滑処理した平滑処理後の要求トルクに発進アシスト量を加算して目標トルクを設定するため、運転者の要求トルクが十分に大きい場合(つまりエンストやもたつきを防止できるトルクの場合)でも、平滑処理後の要求トルクに発進アシスト量を加算して目標トルクを設定することになる。その結果、運転者の要求トルクと目標トルクとの間にずれが生じて、運転者の要求に応じた発進加速性能を実現できなくなってしまい、MT車の魅力を低下させてしまう可能性がある。
また、上記特許文献2の技術は、アイドル運転状態からクラッチ操作のみで車両を発進させるアイドル発進モード時のエンスト対策であり、アクセルペダルを踏み込んで車両を発進させる通常の車両発進時にはエンストやもたつきを防止することができない。
本発明は、これらの事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、車両発進時のエンストやもたつきを防止しながら運転者の要求に応じた発進加速性能を実現することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関のクランク軸の出力を動力伝達系を介して車軸に伝達する車両において、車両の情報に基づいて該車両の発進に必要な最小発進車軸トルクを最小発進車軸トルク算出手段により算出して、この最小発進車軸トルクと動力伝達系の変速状態とに基づいて最小発進クランク軸トルクを最小発進クランク軸トルク算出手段により算出すると共に、運転者の要求に基づいて要求クランク軸トルクを要求クランク軸トルク算出手段により算出する。そして、動力伝達系の情報と車両の情報とに基づいて車両発進時であるか否かを車両発進時判定手段により判定し、車両発進時であると判定されたときに発進時目標クランク軸トルク設定手段により最小発進クランク軸トルクと要求クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定するようにしたものである。
この構成では、車両発進時に、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルクよりも小さい場合には、車両の発進に必要な最小発進クランク軸トルクを車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定することができ、この車両発進時の目標クランク軸トルクに応じて内燃機関の運転状態を制御することで車両発進時のエンストやもたつきを防止することができる。一方、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルク(つまりエンストやもたつきを防止できるクランク軸トルク)以上の場合には、運転者の要求に応じた要求クランク軸トルクをそのまま車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定することができ、運転者の要求に応じた発進加速性能を実現することができる。
尚、前記請求項1に係る発明では、最小発進車軸トルクを最小発進クランク軸トルクに換算した上で、車両発進時であると判定されたときに最小発進クランク軸トルクと要求クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定するようにしたが、請求項2のように、最小発進車軸トルクを最小発進クランク軸トルクに換算する処理(最小発進クランク軸トルク算出手段)を省略すると共に、要求クランク軸トルクの代わりに要求車軸トルクを算出し、車両発進時であると判定されたときに最小発進車軸トルクと要求車軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標車軸トルクに設定し、この車両発進時の目標車軸トルクを動力伝達系の変速状態に基づいて車両発進時の目標クランク軸トルクに換算するようにしても良い。このようにしても、前記請求項1と同様の効果を得ることができる。
また、最小発進車軸トルクの算出に関しては、請求項3のように、車両重量と重力加速度と車輪半径に基づいて最小発進車軸トルクを算出するようにしても良い。一般に、車両重量と重力加速度に応じて車輪の接地面に掛かる荷重が変化してころがり抵抗や摩擦力が変化するため、車両重量と重力加速度を用いれば、ころがり抵抗や摩擦力に打ち勝って車両を発進させるのに必要な最小発進駆動力を算出することができ、この最小発進駆動力に車輪半径を乗算すれば、最小発進車軸トルクを求めることができる。従って、車両重量と重力加速度と車輪半径を用いれば、最小発進車軸トルクを精度良く算出することができる。
ところで、車両を発進させる際に、まだ、クラッチが動力伝達可能でない状態や手動変速機がニュートラル状態のときに車両発進時であると判定して、要求クランク軸トルクと最小発進クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定すると、内燃機関の回転速度が吹き上ってしまい、運転者に不快感を与えてしまう可能性がある。
この対策として、請求項4のように、クラッチペダルの操作量が所定値以下(つまりクラッチが動力伝達可能な状態)で且つ車速が所定値以下(つまり車速がほぼ0)で且つ手動変速機のシフトレバーの操作位置がニュートラル位置以外(つまり手動変速機が動力伝達可能な状態)のときに車両発進時であると判定するようにすると良い。このようにすれば、車両発進時であると判定されたときに、要求クランク軸トルクと最小発進クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定しても、既にクラッチ及び手動変速機が動力伝達可能な状態になっているため、内燃機関の回転速度が吹き上ることを防止でき、運転者に不快感を与えないようにすることができる。
また、ステアリング角に応じて車両進行方向に対する車輪の角度が変化してころがり抵抗が変化し、路面傾斜角に応じて勾配抵抗が変化するため、ステアリング角や路面傾斜角に応じて車両の発進に必要な車軸トルクが変化する。そこで、請求項5のように、ステアリング角及び/又は路面傾斜角に基づいて最小発進車軸トルクを補正するようにしても良い。このようにすれば、ステアリング角や路面傾斜角に応じて車両の発進に必要な車軸トルクが変化するのに対応して最小発進車軸トルクを補正することができ、最小発進車軸トルクの算出精度を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を2つの実施例1,2を用いて説明する。
本発明の実施例1を図1及び図2に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて車両の駆動システムの概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11のクランク軸12が、クラッチ13を介して手動変速機14の入力軸15に連結され、この手動変速機14の出力軸16が、デファレンシャルギヤ17を介して車輪19の車軸18に連結されている。これらクラッチ13、手動変速機14、デファレンシャルギヤ17等から動力伝達系が構成されている。エンジン11のクランク軸12の出力トルクは、手動変速機14の複数のギヤで変速されて車軸18に伝達され、この車軸18により車輪19が駆動される。また、クラッチ13は、図示しないクラッチペダルの操作によって係合/遮断が操作され、手動変速機15は、図示しないシフトレバーの操作によって変速段が切り換えられる。
エンジン11には、クランク軸12が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ20が取り付けられ、このクランク角センサ20の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。更に、クラッチ13の係合/遮断を操作するクラッチペダルの操作量がクラッチスイッチ21(クラッチ操作量検出手段)によって検出され、手動変速機14の変速段を切り換え操作するシフトレバーの操作位置がシフトスイッチ22(シフト操作位置検出手段)によって検出される。尚、クラッチスイッチ21は、クラッチペダルの操作量に応じて出力信号の大きさが変化するものでも良いし、或は、クラッチペダルの操作量が所定値以下であるか否かによってオン/オフが切り換わるものでも良い。
また、アクセルセンサ23によってアクセル開度(アクセルペダルの操作量)が検出され、車速センサ24(車速検出手段)によって車速が検出される。また、車両の乗車人数、積載荷物量、燃料量等によって変化する車両重量が車両重量センサ25(車両重量検出手段)によって検出される。この車両重量センサ25は、例えば、サスペンション装置のストローク量を検出することで車両重量を検出する。尚、乗車人数を検出する乗車人数センサ、積載荷物量を検出する積載荷物量センサ、燃料タンク内の燃料量を検出する燃料センサ等のうちの少なくとも1つの出力信号に基づいて車両重量を判定するようにしても良い。
これら各種のセンサやスイッチの出力は、制御回路(以下「ECU」と表記する)26に入力される。このECU26は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、アクセル開度等に基づいて目標クランク軸トルクを算出し、この目標クランク軸トルクを実現するようにエンジン11の燃料噴射量、吸入空気量、点火時期等を制御する。
その際、ECU26は、後述する図2の目標クランク軸トルク設定プログラムを実行することで、車両の情報(例えば車両重量、重力加速度、車輪19の半径)に基づいて車両の発進に必要な最小発進車軸トルクを算出し、この最小発進車軸トルクを動力伝達系の変速状態(トータルギア比)に基づいて最小発進クランク軸トルクに換算すると共に、アクセル開度(運転者の要求)とエンジン回転速度とに応じて要求クランク軸トルクを算出する。そして、動力伝達系の情報(例えばクラッチ13や手動変速機14の状態)と車両の情報(例えば車速)とに基づいて車両発進時であるか否かを判定し、車両発進時であると判定されたときに要求クランク軸トルクと最小発進クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定する。
これにより、車両発進時に、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルクよりも小さい場合には、車両の発進に必要な最小発進クランク軸トルクを車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定して、この車両発進時の目標クランク軸トルクに応じてエンジン11の運転状態(例えば燃料噴射量、スロットル開度、点火時期等)を制御することで車両発進時のエンストやもたつきを防止する。一方、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルク(つまりエンストやもたつきを防止できるクランク軸トルク)以上の場合には、運転者の要求に応じた要求クランク軸トルクをそのまま車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定して、運転者の要求に応じた発進性能を実現する。
以下、ECU26が実行する図2の目標クランク軸トルク設定プログラムの処理内容を説明する。
図2に示す目標クランク軸トルク設定プログラムは、ECU26の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、現在の車両重量と重力加速度と車輪19の半径とに基づいて、車両の発進に必要な最小発進車軸トルク(エンストやもたつきを防止できる車軸トルク)をマップ又は数式等により算出する。
一般に、車両重量と重力加速度に応じて車輪19の接地面に掛かる荷重が変化してころがり抵抗や摩擦力が変化するため、車両重量と重力加速度を用いれば、ころがり抵抗や摩擦力に打ち勝って車両を発進させるのに必要な最小発進駆動力を算出することができ、この最小発進駆動力に車輪19の半径を乗算すれば、最小発進車軸トルクを求めることができる。従って、車両重量と重力加速度と車輪19の半径を用いれば、最小発進車軸トルクを精度良く算出することができる。このステップ101の処理が特許請求の範囲でいう最小発進車軸トルク算出手段としての役割を果たす。
尚、重力加速度や車輪19の半径はほぼ一定と見なせるため、重力加速度や車輪19の半径を固定値に設定して、車両重量のみに応じて最小発進車軸トルクを算出するようにしても良い。
最小発進車軸トルクを算出した後、ステップ102に進み、最小発進車軸トルクを動力伝達系の変速状態であるトータルギヤ比で除算して、車両の発進に必要な最小発進クランク軸トルク(エンストやもたつきを防止できるクランク軸トルク)を求める。
最小発進クランク軸トルク=最小発進車軸トルク÷トータルギヤ比
ここで、トータルギヤ比は、クランク軸12の回転速度と車軸18の回転速度との比であり、車両発進時の手動変速機14の変速比とデファレンシャルギヤ17の減速比等に基づいて算出される。このステップ102の処理が特許請求の範囲でいう最小発進クランク軸トルク算出手段としての役割を果たす。
この後、ステップ103に進み、アクセル開度(運転者の要求)とエンジン回転速度とに応じた要求クランク軸トルクをマップ又は数式等により算出する。このステップ103の処理が特許請求の範囲でいう要求クランク軸トルク算出手段としての役割を果たす。
この後、ステップ104〜106で、車両発進時であるか否かを、例えば、次の(1) 〜(3) の条件を全て満たすか否かによって判定する。
(1) クラッチペダルの操作量が所定値以下(つまりクラッチ13が動力伝達可能な状態)であること(ステップ104)
ここで、クラッチ13が動力伝達可能な状態とは、クラッチ13が軽く繋がった半係合状態(いわゆる半クラッチ)を含むものとする。
(2) 車速が所定値以下(つまり車速がほぼ0)であること(ステップ105)
(3) シフトレバーの操作位置がニュートラル位置以外(つまり手動変速機14が動力伝達可能な状態)であること(ステップ106)
これら(1) 〜(3) の条件を全て満たせば、車両発進時であると判定するが、上記(1) 〜(3) の条件のうちのいずれか1つでも満たさない条件があれば、車両発進時ではないと判定する。これらのステップ104〜106の処理が特許請求の範囲でいう車両発進時判定手段としての役割を果たす。
これらのステップ104〜106で、車両発進時であると判定された場合には、ステップ107に進み、要求クランク軸トルクと最小発進クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定する。
つまり、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルクよりも小さい場合には、最小発進クランク軸トルクを車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定する。
目標クランク軸トルク=最小発進クランク軸トルク
一方、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルク以上の場合には、要求クランク軸トルクを車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定する。
目標クランク軸トルク=要求クランク軸トルク
このステップ107の処理が特許請求の範囲でいう発進時目標クランク軸トルク設定手段としての役割を果たす。
その後、上記ステップ104〜106で、車両発進時ではないと判定されたときには、ステップ108に進み、要求クランク軸トルクをそのまま目標クランク軸トルクとして設定する。
目標クランク軸トルク=要求クランク軸トルク
以上説明した本実施例1では、車両発進時であると判定されたときに、要求クランク軸トルクと最小発進クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定するようにしたので、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルクよりも小さい場合には、車両の発進に必要な最小発進クランク軸トルクを車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定することができ、車両発進時のエンストやもたつきを防止することができる。一方、要求クランク軸トルクが最小発進クランク軸トルク(つまりエンストやもたつきを防止できるクランク軸トルク)以上の場合には、運転者の要求に応じた要求クランク軸トルクをそのまま車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定することができ、運転者の要求に応じた発進加速性能を実現することができる。
ところで、車両を発進させる際に、まだ、クラッチ13が動力伝達可能でない状態や手動変速機14がニュートラル状態のときに車両発進時であると判定して、要求クランク軸トルクと最小発進クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定すると、エンジン回転速度が吹き上ってしまい、運転者に不快感を与えてしまう可能性がある。
この対策として、本実施例1では、クラッチペダルの操作量が所定値以下(つまりクラッチ13が動力伝達可能な状態)で且つ車速が所定値以下(つまり車速がほぼ0)で且つシフトレバーの操作位置がニュートラル位置以外(つまり手動変速機14が動力伝達可能な状態)のときに車両発進時であると判定するようにしたので、車両発進時であると判定されたときに、要求クランク軸トルクと最小発進クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定しても、既にクラッチ13及び手動変速機14が動力伝達可能な状態になっているため、エンジン回転速度が吹き上ることを防止でき、運転者に不快感を与えないようにすることができる。
次に、図3を用いて本発明の実施例2を説明する。
前記実施例1では、最小発進車軸トルクを最小発進クランク軸トルクに換算した上で、車両発進時であると判定されたときに要求クランク軸トルクと最小発進クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定するようにしたが、本実施例2では、最小発進車軸トルクを最小発進クランク軸トルクに換算する処理を省略すると共に、要求クランク軸トルクの代わりに要求車軸トルクを算出し、車両発進時であると判定されたときに要求車軸トルクと最小発進車軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標車軸トルクとして選択し、この車両発進時の目標車軸トルクを動力伝達系の変速状態(トータルギア比)に基づいて車両発進時の目標クランク軸トルクに換算するようにしている。
本実施例2では、図3に示す目標クランク軸トルク設定プログラムを所定周期で実行し、まず、ステップ201で、現在の車両重量と重力加速度と車輪19の半径とに基づいて最小発進車軸トルクをマップ又は数式等により算出した後、ステップ202に進み、アクセル開度と車速とに応じた要求車軸トルクをマップ又は数式等により算出する。このステップ202の処理が特許請求の範囲でいう要求車軸トルク算出手段としての役割を果たす。
この後、ステップ203〜205で、車両発進時であるか否かを前記実施例1のステップ104〜106と同じ方法で判定する。これらのステップ203〜205で、車両発進時であると判定された場合には、ステップ206に進み、要求車軸トルクと最小発進車軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標車軸トルクとして設定する。
つまり、要求車軸トルクが最小発進車軸トルクよりも小さい場合には、最小発進車軸トルクを車両発進時の目標車軸トルクとして設定する。
目標車軸トルク=最小発進車軸トルク
一方、要求車軸トルクが最小発進車軸トルク以上の場合には、要求車軸トルクを車両発進時の目標車軸トルクとして設定する。
目標車軸トルク=要求車軸トルク
この後、ステップ208に進み、目標車軸トルクを動力伝達系の変速状態であるトータルギヤ比で除算して、車両発進時の目標クランク軸トルクを求める。
目標クランク軸トルク=目標車軸トルク÷トータルギヤ比
これらのステップ206、208の処理が特許請求の範囲でいう発進時目標クランク軸トルク算出手段としての役割を果たす。
その後、上記ステップ203〜205で、車両発進時ではないと判定されたときには、ステップ207に進み、要求車軸トルクをそのまま目標車軸トルクとして設定する。
目標車軸トルク=要求車軸トルク
この後、ステップ208に進み、目標車軸トルクをトータルギヤ比で除算して目標クランク軸トルクを求める。
目標クランク軸トルク=目標車軸トルク÷トータルギヤ比
以上説明した本実施例2では、車両発進時であると判定されたときに、要求車軸トルクと最小発進車軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標車軸トルクとして選択し、この目標車軸トルクをトータルギヤ比に基づいて車両発進時の目標クランク軸トルクに換算するようにしたので、要求車軸トルクが最小発進車軸トルクよりも小さい場合には、最小発進車軸トルク(=目標車軸トルク)に基づいて車両発進時の目標クランク軸トルクを設定することができ、車両発進時のエンストやもたつきを防止することができる。一方、要求車軸トルクが最小発進車軸トルク以上の場合には、要求車軸トルク(=目標車軸トルク)に基づいて車両発進時の目標クランク軸トルクを設定することができ、運転者の要求に応じた発進加速性能を実現することができる。
尚、上記各実施例1,2では、車両重量と重力加速度と車輪19の半径とに基づいて最小発進車軸トルクを算出するようにしたが、その最小発進車軸トルクをステアリング角や路面傾斜角に応じて補正するようにしても良い。ステアリング角に応じて車両進行方向に対する車輪の角度が変化してころがり抵抗が変化し、路面傾斜角に応じて勾配抵抗が変化するため、ステアリング角や路面傾斜角に応じて車両の発進に必要な車軸トルクが変化する。従って、ステアリング角や路面傾斜角に応じて最小発進車軸トルクを補正すれば、ステアリング角や路面傾斜角に応じて車両の発進に必要な車軸トルクが変化するのに対応して最小発進車軸トルクを補正することができ、最小発進車軸トルクの算出精度を向上させることができる。
本発明の実施例1における車両の駆動システムの概略構成図である。 実施例1の目標クランク軸トルク設定プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の目標クランク軸トルク設定プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…クランク軸、13…クラッチ、15…手動変速機、18…車軸、19…車輪、21…クラッチスイッチ(クラッチ操作量検出手段)、22…シフトスイッチ(シフト操作位置検出手段)、24…車速センサ(車速検出手段)、25…車両重量センサ(車両重量検出手段)、26…ECU(最小発進車軸トルク算出手段,最小発進クランク軸トルク算出手段,要求クランク軸トルク算出手段,車両発進時判定手段,発進時目標クランク軸トルク設定手段,要求車軸トルク算出手段,発進時目標クランク軸トルク算出手段)

Claims (5)

  1. 内燃機関のクランク軸の出力を動力伝達系を介して車軸に伝達する車両において、
    前記車両の情報に基づいて該車両の発進に必要な最小発進車軸トルクを算出する最小発進車軸トルク算出手段と、
    前記最小発進車軸トルクを前記動力伝達系の変速状態に基づいて最小発進クランク軸トルクに換算する最小発進クランク軸トルク算出手段と、
    運転者の要求に基づいて要求クランク軸トルクを算出する要求クランク軸トルク算出手段と、
    前記動力伝達系の情報と前記車両の情報とに基づいて車両発進時であるか否かを判定する車両発進時判定手段と、
    前記車両発進時判定手段により車両発進時であると判定されたときに前記最小発進クランク軸トルクと前記要求クランク軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標クランク軸トルクとして設定する発進時目標クランク軸トルク設定手段と
    を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関のクランク軸の出力を動力伝達系を介して車軸に伝達する車両において、
    前記車両の情報に基づいて該車両の発進に必要な最小発進車軸トルクを算出する最小発進車軸トルク算出手段と、
    運転者の要求に基づいて要求車軸トルクを算出する要求車軸トルク算出手段と、
    前記動力伝達系の情報と前記車両の情報とに基づいて車両発進時であるか否かを判定する車両発進時判定手段と、
    前記車両発進時判定手段により車両発進時であると判定されたときに前記最小発進車軸トルクと前記要求車軸トルクのうちの大きい方を車両発進時の目標車軸トルクに設定し、この車両発進時の目標車軸トルクを前記動力伝達系の変速状態に基づいて車両発進時の目標クランク軸トルクに換算する発進時目標クランク軸トルク算出手段と
    を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 車両重量を検出する車両重量検出手段を備え、
    前記最小発進車軸トルク算出手段は、前記車両重量と重力加速度と車輪半径に基づいて前記最小発進車軸トルクを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. クラッチを操作するクラッチペダルの操作量を検出するクラッチ操作量検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、手動変速機を操作するシフトレバーの操作位置を検出するシフト操作位置検出手段とを備え、
    前記車両発進時判定手段は、前記クラッチペダルの操作量が所定値以下で且つ車速が所定値以下で且つ前記シフトレバーの操作位置がニュートラル位置以外のときに車両発進時であると判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記最小発進車軸トルク算出手段は、ステアリング角及び/又は路面傾斜角に基づいて前記最小発進車軸トルクを補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
JP2005371266A 2005-12-26 2005-12-26 内燃機関の制御装置 Pending JP2007170316A (ja)

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