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JP2007168292A - 内装材用基材 - Google Patents

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JP2007168292A
JP2007168292A JP2005369887A JP2005369887A JP2007168292A JP 2007168292 A JP2007168292 A JP 2007168292A JP 2005369887 A JP2005369887 A JP 2005369887A JP 2005369887 A JP2005369887 A JP 2005369887A JP 2007168292 A JP2007168292 A JP 2007168292A
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Abstract

【課題】 曲げ剛性、寸法安定性、加熱成形性、などの内装材としての実用特性を保持しつつ、少ない厚みで、会話周波数領域において優れた吸音性能を有する内装材用基材を提供する。
【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの片面に、多層表皮材が積層されてなる内装材用基材であって、多層表皮材を、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルムを、編布または不織布表皮材と非吸音性軟質ウレタンとの間に介在させてなる多層表皮材とし、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを、連続気泡率の高いポリプロピレン系樹脂発泡層の両面に、補強層を、特に無機繊維シートとポリエチレン系樹脂フィルムからなる複合シートを積層することにより、上記特性を有する内装材用基材を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、家屋、車輌または航空機などの室内に用いられる内装材用基材に関する。さらに詳しくは、本発明は、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性に優れ、さらに、意匠性を必要とする部位に配置された際に優れた吸音性を有する内装材用基材に関する。
従来、自動車天井材として、熱可塑性樹脂発泡体を主体とする基材にウレタンフォームを積層したものや、スチレン−無水マレイン酸共重合体の発泡層の両面にスチレン−無水マレイン酸共重合体の非発泡層を積層した積層シートを所望の形状に成形したものが広く用いられている。それらの自動車天井材は、軽量で断熱性が高く、成形加工性が優れているという特徴がある。
しかしながら、上記のような従来の自動車天井材は、高温に長時間さらされると、耐熱性が不十分であるため、フロント部が自重で垂れ下がったり(ヒートサグ)、変形を生じるなどの問題を発生することがあった。例えば、自動車天井材の場合、フロント部分は直接太陽光が当たるため100℃前後まで温度が上がり、天井材の変形量が大きくなるという問題が発生している。
そこで、これらの問題を解決するために、無機質のガラス繊維とポリオレフィン系樹脂の複合材料をベースとした自動車天井材が使用されるようになってきた(特許文献1、2参照)。しかし、これらの複合材料では、耐熱性という品質は維持できるものの、軽量化が図れない上に、コスト高になるという問題があった。
軽量化を図る為、ポリプロピレン系樹脂発泡シートに無機繊維を含む補強材を積層した成形天井基材も提案されている(特許文献3参照)。しかし、これは、剛性や耐熱性の向上は認められるものの、80〜100℃の耐熱評価温度での剛性の確保、耐熱変形の制御は充分とはいえず、また、内装天井材への寸法精度向上の要求に対して、成形後の収縮、高温時の寸法安定性においても充分な物性の確保は困難であった。
さらに、現在、室内と定義される、区切られた場所、例えば、家屋や車輌や航空機の室内には静寂性を追究するために、内装材として様々な形態の吸音材料が提案されている。これらの吸音材料は、吸音性以外に使用される部位毎で様々な要求品質を満たす必要があるが、例えば車両用内装材を挙げるならば、軽量性、剛性、意匠性、耐熱性、熱成形性、コスト等が挙げられる。
これらの機能を満たす基材として、ガラス繊維と熱可塑性の繊維や樹脂を複合化した基材(例えば、特許文献4等)やウレタンからなる発泡層をガラスマット等の非発泡層でサンドイッチした発泡ウレタン系基材(例えば、特許文献5等)等が提案されてきた。
しかしながら、ガラス繊維と熱可塑性の繊維や樹脂を複合化した基材においては、軽量性、加工性等に問題があり、発泡ウレタン系基材においては、ウレタン樹脂を用いることによるリサイクル性、揮発性有機化合物(VOC)の発生、耐候性等の問題があった。
さらに、室内静寂性においても最もノイズの低減が求められている中周波数領域(例えば、1000〜2000Hz)の吸音性を高めるためには基材厚みを厚くする必要があるため、コスト、スペース、成形性等に問題があった。
上記吸音性を有する基材の提案とは別に、基材の上に吸音材として機能するウレタンや極細繊維を積層することにより吸音性を付与することが提案されている。例えば、基材と表皮の間に吸音層として低通気性ウレタンを設けた車両用内装材(特許文献6参照)や、独立気泡系発泡積層基材に吸音表皮材としてウレタンスラブや極細繊維を積層したものがある(特許文献7参照)。しかし、これらは、いずれも通気抵抗(通気度)が高度に制御された材料を使用しているために高価である。
また、上記の性能をできるだけ満足するように、フェルト材の内部に通気性の膜を層構造に設置したフェルト吸音材(特許文献8参照)や、特定の通気抵抗を有する硬質層を備えた吸音複合体(特許文献9参照)が提案されている。しかし、いずれも、超軽量かつ低コストが求められる部位に使用するには不十分である。また、内装材が薄物(厚みが約10mm以下)の場合、任意の範囲(例えば、垂直入射吸音率測定において約4000Hz以上)で高吸音性能を得るには、通気抵抗のみの規定では制御が難しい。
また、同様の目的のために、貫通孔が形成された皮膜を積層してなる吸音構造体(特許文献10参照)が提案されているが、貫通孔の開口面積がある程度小さくないと、意匠性を求められる部位に使用する場合にはカバー層を積層したとしても、成形加工などの後加工するとカバー層の非接着部、つまりフィルムの貫通孔部上にある部分の浮きが目立ち意匠性を損ねる等の不具合が生じる。
以上のように、内装材において、安価で加工性もよく、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性および意匠性に優れるとともに、室内において厚みが小さくても高い吸音性能を備えて、しかも安定的に吸音性能を付与することは、困難であった。
特開平1−285432号公報 特開平7−68689号公報 特開2003−34192号公報 特開平10−315396号公報 特開平9−277415号公報 特開2002−200942号公報 特開昭55−11947号公報 特許3516372号公報 特許3359645号公報 特開2002−82671号公報
本発明は、安価で加工性もよく、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性及び意匠性に優れると共に、厚みが薄くても高い吸音性を有する内装材用基材を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の(i)〜(iii)を見出し、内装材としての実用特性を保持し、軽量性、吸音性に優れた内装材用基材を提供するに至った。
(i)貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルムを、編布または不織布からなる表皮材と非吸音性軟質ウレタンとの間に介在させることにより、安価で加工性もよく、軽量性、熱成形性及び意匠性に優れると共に、室内において厚みが小さくても特に高周波数領域で高い吸音性能を有する多層表皮材が得られること。
(ii)発泡層として発泡倍率および連続気泡率の高く柔軟な(圧縮勾配が小さい)ポリプロピレン系樹脂発泡シートを用い、発泡層の両側に剛性が高く(引張弾性勾配が大きい)成形加工性が良好な補強層を、特に無機繊維シートおよびポリエチレン系樹脂フィルムからなる複合シートを積層することにより、内装材としての軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性を満足し、連続気泡率の高い発泡層と剛性の高い補強層の積層構造から板・膜振動吸音機構により、特に中周波数領域で優れた吸音性能を発現することができること。
(iii)(i)記載の多層表皮材と(ii)記載の内装材用発泡積層シートを積層することにより、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性、意匠性に優れると共に、中〜高周波数領域で優れた吸音性を有する内装材用基材が得られること。
すなわち、本発明は、
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)の片面に、多層表皮材Bが積層されてなる内装材用基材であって、前記多層表皮材(B)が、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)を、編布または不織布からなる表皮材(b1)と非吸音性軟質ウレタン(b2)との間に介在させてなる多層表皮材であり、かつ、前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)が、連続気泡率が55〜98%であるポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の両面に、補強層(a2)を積層したポリプロピレン系樹脂発泡積層シートであることを特徴とする、内装材用基材(請求項1)、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の発泡倍率が10〜20倍であることを特徴とする、請求項1に記載の内装材用基材(請求項2)、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の23℃での圧縮勾配が、1000〜30000g/cm/cm2であることを特徴とする、請求項1または2に記載の内装材用基材(請求項3)、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、補強層(a2)の23℃での引張弾性勾配が、100〜500MPa・mmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の内装材用基材(請求項4)、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の補強層(a2)が、無機繊維シートおよび熱可塑性樹脂フィルムからなる複合シートであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに内装材用基材(請求項5)、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の補強層(a2)が、無機繊維シートおよびポリエチレン系樹脂フィルムからなる複合シートであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに内装材用基材(請求項6)、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、補強層(a2)である無機繊維シートおよびポリエチレン系樹脂フィルムからなる複合シートが、無機繊維シートを複数のポリエチレン系樹脂フィルムで挟み込んだ構造よりなることを特徴とする、請求項6に記載の内装材用基材(請求項7)、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、ポリエチレン系樹脂フィルムを構成する樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、請求項6または7に記載の内装材用基材(請求項8)、
前記多層表皮材(B)中の、非吸音性軟質ウレタン(b2)の通気抵抗が100N・s・m-3以下であり、かつ、密度が0.03g/cm3以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の内装材用基材(請求項9)、
前記多層表皮材(B)中の、非吸音性軟質ウレタン(b2)の厚みが2mm以上であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の内装材用基材(請求項10)、
前記多層表皮材(B)中の、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)の開口率が0.9〜25%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の内装材用基材(請求項11)、
前記多層表皮材(B)中の、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)の平均孔径が、円相当径1.0〜4.9mmφであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の内装材用基材(請求項12)、
前記多層表皮材(B)中の、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)の通気抵抗が50〜700N・s・m-3であり、かつ、前記多層表皮材Bの総通気抵抗が70〜2500N・s・m-3であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の内装材用基材(請求項13)、
前記多層表皮材(B)の目付が290g/m2以下であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の内装材用基材(請求項14)および
前記多層表皮材(B)中の、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)、編布または不織布からなる表皮材(b1)、および非吸音性軟質ウレタン(b2)が、接着材層を介して、および/または、熱融着によって一体化されていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の内装材用基材(請求項15)
に関する。
本発明の内装材用基材は、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)の片面に、多層表皮材(B)が積層されてなる内装材用基材であって、多層表皮材(B)を、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)を編布または不織布からなる表皮材(b1)と非吸音性軟質ウレタン(b2)との間に、介在させてなる多層表皮材とし、かつ、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)を、連続気泡率の高いポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の両面に、補強層(a2)を、特に無機繊維シートおよびポリエチレン系樹脂フィルムからなる複合シートを積層してなるものとすることにより、曲げ剛性、寸法安定性、加熱成形性、などの内装材としての実用特性を保持しつつ、少ない厚みで、会話周波数領域(中〜高周波数領域)において優れた吸音性を有している。
本発明の内装材用基材は、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)の片面に、多層表皮材(B)が積層されてなる内装材用基材であって、前記多層表皮材(B)が、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)を、編布または不織布からなる表皮材(b1)と非吸音性軟質ウレタン(b2)との間に介在させてなる多層表皮材であり、かつ、前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)が、連続気泡率の高いポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の両面に、補強層(a2)を積層したポリプロピレン系樹脂発泡積層シートである。
本発明においては、前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)の片面に、前記多層表皮材(B)を積層することにより、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性、意匠性に優れると共に、中〜高周波数領域で優れた吸音性を有する内装材用基材を得ることができる。
本発明に係る多層表皮材(B)は、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)を、編布または不織布からなる表皮材(b1)と、非吸音性軟質ウレタン(b2)との間に介在させることにより、安価で加工性もよく、軽量性、熱成形性及び意匠性に優れると共に、室内において厚みが小さくても特に高周波数領域で高い吸音性能を発現することができる。
本発明に係る多層表皮材(B)の吸音性能は、貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)の開口率、非吸音性軟質ウレタン(b2)の厚み、および多層表皮材(B)全体の総通気抵抗によって制御することができる。
本発明における編布または不織布からなる表皮材(a1)の密度は、0.01〜0.50g/cm3が好ましく、0.05〜0.25g/cm3がより好ましい。表皮材の密度が0.01g/cm3未満では、意匠性または耐磨耗性が劣る傾向があり、0.50g/cm3を超えると、軽量性、加工性、成形性等が劣る傾向がある。
本発明における編布または不織布からなる表皮材(a1)の厚みは、0.5〜3mmが好ましく、1〜3mmがより好ましく、1.2〜2.4mmがさらに好ましい。表皮材の厚みが0.5mm未満の場合、透け等の問題が発生し、意匠性が低下する傾向があり、3mmを超える場合、軽量性、成形性またはコストに問題が発生する場合がある。
本発明における編布または不織布からなる表皮材(a1)の目付は、50〜500g/m2が好ましく、50〜200g/m2がより好ましく、コスト、実用性および軽量性の観点から、80〜130g/m2が特に好ましい。
本発明における編布または不織布からなる表皮材(b1)のうちの不織布表皮材は、一般的な内装材用表皮材としての実用特性を有すれば、いずれの材料から構成されていてもよい。不織布を構成する材料としては、例えば、合成繊維、半合成繊維、天然繊維あるいは再生繊維からなる繊維体があげられる。さらに詳しくは、ポリエステル系、ポリプロピレン系、ポリアミド(ナイロン)系、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリアクリロニトリル、モダアクリルなどの合成繊維、羊毛、綿、麻、セルロースなどの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維からなる不織布などが好適に用いられる。
本発明における不織布表皮材は意匠面であるため、本発明における不織布を構成する材料としては、耐磨耗性に優れるものが好ましく、成形加工する部位に設置する場合には成形性に優れるもの程よい。不織布表皮材は前記材料を組み合わせたものでもよい。これらのなかでも、不織布表皮材としては、コストおよび熱成形性の点から、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布が特に好ましい。
本発明における不織布表皮材は、一般の不織布を製造する方法と同様の方法によって製造される。その製造方法により、接合バインダー接着布、ニードルパンチ布、スパンボンド布、スプレファイバー布、またはステッチボンド布などがあげられる。
本発明における不織布表皮材をニードルパンチング加工によって製造する場合には、パンチング回数およびニードルストロークを調整することにより、繊維同士の交絡を高めて繊維体の剛性を上げて意匠性や耐磨耗性を付与することができる。
本発明における不織布表皮材としては、適宜、前記材料に、繊維同士のバインダーとしての機能を有する接着剤(バインダー樹脂)および/または熱融着性繊維(低融点繊維)を混合し、化学的あるいは機械的方法により絡合させて用いることができる。
本発明におけるバインダー樹脂としては、例えば、水溶性、溶剤可溶性、ビスコース液、エマルジョン、合成樹脂粉末などのタイプがあげられるが、耐水性、柔軟性、作業性の観点から、エマルジョンタイプが好ましい。エマルジョンタイプとしては、アクリロニトリル・ブタジエンラテックス、スチレン・ブタジエンラテックス、アクリレート・ラテックス、酢酸ビニル系ラテックスなどが用いられ、これらは1種で使用してもよく、2種以上の混合物としても使用してもよい。
本発明における熱融着性繊維(低融点繊維)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、低融点(例えば、60〜180℃程度、好ましくは110〜160℃)ポリエステル(以下、単に「低融点ポリエステル」と呼ぶことがある)、ポリアミドなどの繊維、あるいは、低融点ポリオレフィンやポリエステル系繊維を鞘成分に、高融点ポリエステル系繊維を芯成分とする芯鞘型繊維が好ましい。これらの中でも、不織布表皮材を構成する合成繊維としてポリエチレンテレンフタレートを使用した際には、リサイクル性の点からは、低融点(例えば60〜180℃程度、好ましくは110〜160℃)ポリエステル繊維(芯鞘型繊維も含む)が特に好ましい。
本発明における不織布表皮材には、さらに、意匠面に樹脂コーティングすることにより、意匠性または耐磨耗性を付与することができる。
本発明における編布または不織布からなる表皮材(b1)のうちの編布表皮材であるニットとしては、例えば、トリコット、ダブルラッセル、ビロード等があげられ、自動車内装材に使用されるものであればいずれも用いることができる。
本発明におけるニットは、一本の糸を使用し、ループを連続的に平面的につづって編み上げたものであり、このループが集合した構造を有しているため、伸縮性に富み、柔軟性があり、しわや折り目がつき難く、多孔性のため保温性が優れており、比重が少なくボリューム感の割には軽い仕上がりを有することができる。ニットは編み方によりさまざまな風合いを持ったものに仕上がり、特に、トリコットはループを布の厚さ方向に連続してつづったものであるため、前述した特徴の他に、編み地がより緻密に仕上がり、フィット感に優れるため、内装材用に特に好ましく使用される。
本発明における非吸音性軟質ウレタン(b2)としては、一般的に内装材として用いられ、クッション性を有するものであれば、いずれの材料でも使用できるが、それらの密度および通気抵抗を適宜組み合わせることにより、吸音性能改善の対象となる吸音周波数域を所望の吸音周波数域に制御することが可能となる。
本発明における非吸音性軟質ウレタン(b2)としては、軽量性およびコストを鑑みて、音波に対して限りなく空気層としての役割を果たすものほど、好ましい。すなわち、本発明における非吸音性軟質ウレタン(b2)としては、密度が小さく、かつ、通気抵抗の小さいものほど、好ましい。
具体的には、本発明における非吸音性軟質ウレタン(b2)の密度は、10〜30kg/m3が好ましく、軽量性およびコストの観点から、13〜20kg/m3が特に好ましい。非吸音性軟質ウレタン(b2)の密度が10kg/m3未満の場合は、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)との界面接着性が実用特性に見合わないほど低下したり、成形加工性が劣る傾向がある。密度が30kg/m3を超える場合は、軽量性、コストが劣る傾向がある。
本発明における非吸音性軟質ウレタン(b2)の通気抵抗は、10〜100N・s・m-3が好ましく、25〜70N・s・m-3がより好ましく、30〜60N・s・m-3がさらに好ましい。非吸音性軟質ウレタン(b2)の通気抵抗が10N・s・m-3より小さい場合は、空隙率が高すぎるため、フィルム(b3)との界面接着性が実用特性に見合わないほど低下したり、形状安定性が劣る傾向がある。通気抵抗が100N・s・m-3よりも大きい場合は、軽量性およびコストに劣る傾向がある。
なお、本発明における通気抵抗とは、空気の材料内部への透過し難さを示す指標であり、JIS L1096に規定されたフラジール試験により、通気度を測定し、次式から通気抵抗を算出できる。ここで、ΔPは測定時の対象材料の前後での圧力差を示している。
Figure 2007168292
本発明における非吸音性軟質ウレタン(b2)の厚みは、2〜10mmが好ましく、軽量性、コストおよび吸音性の観点から、3〜7mmが特に好ましい。非吸音性軟質ウレタン(b2)の厚みが2mm未満の場合は、十分な吸音性能が発現せず、該構成体にする吸音効果が小さい傾向がある。厚みが10mmを超える場合には、軽量性、コストに劣る他、成形するような部位に用いる場合には形状追随性に劣る傾向がある。
本発明における貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)の開口率は、0.9〜25%が好ましく、5〜25%がより好ましく、8〜22%がさらに好ましい。貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)の開口率が0.9%未満の場合は、フィルムが音波に対して反射板として働くために所望の吸音特性が得られない傾向があり、開口率が25%を超える場合は、意匠面である表皮材との接着面積が小さくなるために表皮材の浮きが発生し意匠性の問題や実用特性としての界面接着性の問題が発生する傾向がある。
なお、開口率とは、フィルム面内にどの程度の貫通孔が存在するかの指標であり、貫通孔の直径(面積)および数を求めることにより測定できる。
一般的には、以下のようにして、開口率を計算することができる。
(a)貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)を、スケールと共に写真撮影して、適当な倍率にて引き延ばしたものを得る。
(b)得られた写真の上にOHPシートを置き、貫通孔に対応する部分を黒インキで塗りつぶして写しとる(一次処理)。
(c)画像処理装置(例えば、(株)ピアス製、PIAS−II)に一次処理画像を取り込み、濃色部分と淡色部分を、即ち黒インキで塗られた部分か否かを識別する。
(d)画像解析計算機能中の「FRACTAREA(面積率)」を用い、画像全体に占める貫通孔の面積比を次式により求める。
Figure 2007168292
ただし、本実施例における貫通孔は全て円形に設けたため、30mm×30mmのフィルムの中にある貫通孔の直径(実施例に用いたものは、全て円である)の平均値および貫通孔の数を測り、以下の式から開口率を求めた。
Figure 2007168292
本発明における貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)の貫通孔の平均孔径(直径)は、円相当径として1.0〜4.9mmφであることが好ましく、2.0〜4.9mmφがより好ましく、2.5〜4.9mmφがさらに好ましい。貫通孔の孔径が1.0mmφ未満の場合は、フィルムが音波に対して反射板として働くために所望の吸音特性が得られない傾向がある。貫通孔の孔径が4.9mmφを超える場合は、意匠面である表皮材との接着面積が小さくなるために表皮材の浮きが発生し、意匠性の問題や実用特性としての界面接着性の問題が発生する傾向がある。
なお、貫通孔の円相当径とは、貫通孔の面積からその貫通孔が円である場合に相当する直径であり、貫通孔の面積を求めることにより測定できる。例えば、前記画像解析計算機能を利用することにより、測定することができる。
本発明において、フィルムに貫通孔を設ける方法としては、例えば、熱針(ローラー)に通すことにより溶かして開ける方法、パンチングによって機械的に開ける方法があげられるが、熱針を用いる方が一般的である。
本発明における貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)の通気抵抗は、50〜700N・s・m-3が好ましく、100〜500N・s・m-3がより好ましく、150〜500N・s・m-3がさらに好ましい。通気抵抗が50N・s・m-3未満の場合は、フィルムが無いのと同様に音波が透過するために所望の吸音特性が得られない傾向がある。通気抵抗が700N・s・m-3を超える場合は、音波に対して反射板として働くために所望の吸音特性が得られない傾向がある。
本発明における貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)の材質としては、例えば、本内装材用積層体が成形加工される部位に配置される場合は、その加工性から、熱可塑性樹脂製のフィルムを用いることが好ましい。樹脂製フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、並びに、それらの共重合体または変性体などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂やその共重合体、熱可塑性エラストマーを混合させたもの等が挙げられる。これらのフィルムは、単層であっても、複数のフィルムを組み合わせた多層フィルムであってもよい。
これらの中では、低コストおよび成形性の面から、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂およびそれらの共重合体または変性体からなる、単層の樹脂フィルムが好ましい。
本発明における貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)の厚みとしては、10〜200μmが好ましく、20〜40μmがより好ましい。貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)の厚みが200μmを超える場合は、軽量性が低下し、成形性が低下する傾向があり、10μm未満の場合は、成形延伸の過程で破断する傾向がある。
本発明における貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)は、実用特性および吸音性の観点から、編布または不織布からなる表皮材(b1)と非吸音性軟質ウレタン(b2)との間に介在し、一体化されている必要がある。
本発明における貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)を、編布表皮材または不織布表皮材(b1)と軟質ウレタン(b2)との間に介在・一体化させる方法としては、例えば、接着剤を介した方法、不織布の加工に一般的に用いられるニードルパンチング加工、フィルム自体の熱融着による方法等があげられ、また、上記方法を複合化した方法等が挙げられる。
接着剤の例としては、例えば、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤やウレタン系接着剤や熱可塑性樹脂のラテックス等が挙げられる。また、貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(b3)にコロナ処理を施して接着性を改善する方法も有効である。熱融着させる場合は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂(共重合体又はその変性体を含む)製のフィルムを用いて熱融着させるのが好ましい。
本発明における多層表皮材(B)の総通気抵抗としては、70〜2500N・s・m-3であることが好ましく、280〜2000N・s・m-3がより好ましい。この範囲外では、フィルムの貫通孔部付近の空気が効率的に振動することができず、高吸音性能は望めない可能性がある。すなわち、多層表皮材(B)の総通気抵抗が70N・s・m-3未満では、音波は抵抗なく通過するために減衰しない傾向があり、2500N・s・m-3を超える場合は、音波は材料内に侵入し難くなるために高吸音性能は望めない傾向がある。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)は、連続気泡率が高く、柔軟な(圧縮勾配が小さい)ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の両面に、剛性が高く(引張弾性勾配が大きい)成形加工性が良好な補強層(a2)を積層させることにより、内装材基材としての軽量性、剛性、耐熱性および熱成形性を満足しつつ、その積層構造から板・膜振動吸音機構により、特に中周波数領域で優れた吸音性能を発現することができる。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)としては、例えば、線状のポリプロピレン系樹脂(以下、このポリプロピレン系樹脂のことを「原料ポリプロピレン系樹脂」ということもある)に電子線を照射して長鎖分岐を導入したもの(例えば、サンアロマー社製HMS−PP)を基材樹脂としたもの、または、原料ポリプロピレン系樹脂、イソプレン単量体、ジビニルベンゼン等のラジカル重合性単量体およびラジカル重合開始剤を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂を基材樹脂としたものが、好ましく用いられる。
これらのうちでは、原料ポリプロピレン系樹脂、イソプレン単量体およびラジカル重合開始剤を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂を基材樹脂としたものが、外観美麗で加熱成形性に優れた発泡シートを容易に得ることができることから、好ましい。
本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂発泡層(1次発泡シート)(a1)の基材樹脂として用いられるイソプレン単量体を用いた改質ポリプロピレン系樹脂は、例えば、特開平11−172016号公報、等に記載されている方法により得ることができる。さらに、ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル開始剤とを溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂を用いたポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の製造方法は、例えば、特開平11−228726号公報、特開平11−349722号公報、特開2000−109591号公報等に記載されている製造方法により得ることができる。
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)を、連続気泡率の高いものとすることにより、発泡層(a1)自身が吸音性能を発現すること、および、柔軟性が増すことにより、積層される剛性の高い補強層の板・膜振動が起こりやすくなり、高い吸音性能を発現することができる。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の連続気泡率は、55〜98%が好ましく、70〜95%がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡層(10)の連続気泡率が55%未満の場合、発泡層が剛直となり、剛性の高い補強層を積層しても、良好な板・膜振動吸音機構が発現せず、良好な吸音性能は得られない傾向がある。逆に、連続気泡率が98%を超える場合、発泡層の曲げ剛性が極端に低下し、剛性の高い補強層を積層しても内装材用基材としての実用特性を満たさなくなる可能性がある。
なお、本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡層の連続気泡率とは、ASTM D−2859に準拠して独立気泡率を測定・算出した後、連続気泡率(%)=100−独立気泡率(%)により算出した値である。
ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)において、55〜98%の連続気泡率を達成する方法としては、例えば、押出発泡工程または、その後の機械的加工工程において、以下のような操作を採用することができる。
押出発泡工程においては、例えば、(イ)押出機での温度条件、(ロ)発泡剤量、(ハ)ポリプロピレン系樹脂よりも耐熱性の低い(ガラス転移温度Tgまたは融点Tmの低い)樹脂の混合量、を調整すればよい。さらに、具体的には、(イ)に関しては、押出時の樹脂温度を高温側に設定することにより、シートの厚み方向に対して全体的に連続気泡層を設けることができる。(ロ)に関しては、発泡剤圧入量をポリプロピレン系樹脂100重量部に対して5〜10重量部と、通常の独立気泡系ポリプロピレン系樹脂発泡層作製時の1.5〜2倍に設定すればよい。ただし、発泡剤圧入量を大きくしすぎると、可塑化が進み、ポリマー同士のせん断発熱が起こりにくくなるために、逆に連続気泡率が低下する場合がある。(ハ)に関しては、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称すことがある)等の低融点ポリオレフィンを、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して1〜20重量部混合すればよい。なお、これら(イ)〜(ハ)を組み合わせてもよい。
また、押出発泡工程後の機械的加工工程としては、例えば、圧縮プレス、孔空け加工、スリット加工等の操作が有効である。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の発泡倍率(「1次発泡倍率」とも称す場合がある)としては、10〜20倍が好ましく、12〜18倍がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡層の発泡倍率が10倍未満の場合、ポリプロピレン系樹脂発泡層が剛直になり、剛性の高い補強層(a2)を積層しても、良好な板・膜振動吸音機構を発現せず、良好な吸音性能は得られない傾向がある。一方、発泡倍率が20倍を超える場合、発泡層の曲げ剛性が極端に低下し、剛性の高い補強層(a2)を積層しても内装材用基材としての実用特性を満たさなくなる場合がある。なお、本発明における発泡倍率は、JIS K7222に準拠して測定した値である。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の圧縮勾配は、1000〜30000g/cm/cm2が好ましく、より好ましくは1000〜20000g/cm/cm2、さらに好ましくは2500〜20000g/cm/cm2である。ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の圧縮勾配が1000g/cm/cm2未満の場合、内装材用基材としての構造剛性を維持することが困難となる傾向があり、一方、圧縮勾配が30000g/cm/cm2を超える場合、十分な吸音性を発現することが困難となる傾向がある。
なお、本発明における圧縮勾配とは、圧縮弾性の大小を示す1つの指標であるが、発泡層の厚み方向に圧縮試験を行った場合に得られる応力−歪曲線の初期変化部において、一次直線とみなせる部分の勾配、つまり初期の傾きの値を、試験サンプルの断面積で割った値(単位面積当たり、歪1cm当たりの圧縮荷重)である。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の厚さ(以下、「一次厚み」と称する場合がある)は、内装材として配置される部位によって異なるが、例えば、自動車天井材の場合は、3〜7mmが好ましく、3〜6mmがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の厚さが3mmより小さくなると、自動車車体への取り付け時のハンドリング性が悪くなったり、曲げ剛性も低下する場合が多い。逆に、7mmより大きくなると、成形時の形状発現性が悪くなったり、小スペース性が劣ることになる傾向がある。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の目付は、150〜350g/ m2が好ましく、150〜250g/m2がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の目付が100g/m2より小さい場合には、前記発泡倍率および厚みを得ようとすると発泡層の曲げ剛性が低下する傾向があり、350g/m2より大きい場合には、軽量性に劣る傾向がある。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の補強層(a2)は、特に成形後の成形体の寸法安定性、耐熱性、剛性を向上させる目的で使用するものであるが、中音域での吸音性発現に対しても重要な役割を発現する。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の補強層(a2)の23℃での引張弾性勾配は、100〜500MPa・mmが好ましく、100〜400MPa・mmがより好ましく、200〜400MPa・mmがさらに好ましい。補強層(a2)の23℃での引張弾性勾配が100MPa・mm未満では、十分な剛性が発現しない傾向があり、また、500MPa・mmを超えると、良好な吸音性が発現しない傾向がある。
なお、本発明における引張弾性勾配とは、一般的な引張試験を行った場合に得られる応力−歪曲線の初期変化部において、一次直線とみなせる部分、つまり初期勾配から得られた引張弾性率Emに、材料の厚みdを掛けた値である。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の補強層(a2)としては、例えば、無機繊維が熱可塑性樹脂系繊維結束剤により部分的に結合された無機繊維シート、熱可塑性樹脂フィルムと無機繊維シートからなる複合繊維シート、タルク、雲母等の無機粒子を含有する熱可塑性樹脂シート、熱可塑性樹脂フィルムと金属繊維シートからなる複合繊維シート、金属粒子を含有する熱可塑性樹脂シート等があげられる。
これらのうちでも、熱可塑性樹脂フィルムと無機繊維シートからなる複合繊維シートが、ポリプロピレン系樹脂発泡層との接着性、高温時の寸法安定性に優れる点から好ましい。
本発明における補強層(a2)中の無機繊維シートを構成する無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、バサルト繊維、アルミナ繊維等が挙げられ、これらの無機繊維は、同種または異種のものと混合して、もしくは多層に積層して用いても良い。これらの無機繊維の中では、加工性、汎用性、コストの点から、ガラス繊維が好ましい。
本発明におけるガラス繊維シートとしては、ガラスストランドを所定の長さに切断してガラスチョップドストランドを得た後、多数のガラスチョップドストランドを搬送コンベア上に均一に分散するように堆積させ、次いで、上から熱可塑性樹脂エマルジョンからなるバインダー樹脂(繊維結束剤)を散布してから加熱、冷却することによって固着するガラス繊維マット、およびガラス繊維を解繊した状態でバインダー樹脂(繊維結束剤)である熱可塑性樹脂エマルジョンを含む水中に分散させ、これを掬い取り乾燥させる方法、いわゆる抄造法により得られるガラス繊維ペーパーのいずれをも使用可能である。また、例えば、開繊されたガラス繊維をニードルパング法等の機械的方法で絡めたガラス繊維不織布、連続したガラスストランドで製造されるサーフェイシングマットやコンティニュウアスストランドマット等の、各種ガラス繊維不織布も使用可能である。
本発明における無機繊維シートを形成する無機繊維の繊維径は、5〜20μmが好ましく、8〜15μmがより好ましい。繊維径が5μmよりも細いと、得られる積層発泡シートの機械的強度が不足する場合があり、また、20μmよりも太いと、ポリプロピレン系樹脂発泡シートと積層一体化するのが困難となる場合がある。
本発明における無機繊維シートを形成する無機繊維の繊維長は、30〜100mmが好ましく、30〜50mmがより好ましい。繊維長が30mmよりも短いと、補強効果が低下する傾向があり、100mmよりも長いと、発泡シートと積層一体化するのが困難となる場合がある。
本発明における無機繊維シート単位面性当りの質量(目付)は、20〜150g/m2が好ましく、30〜100g/m2がより好ましい。目付が20g/m2よりも軽くなると補強効果が低下する傾向があり、150g/m2よりも重くなると、製造単価が高くなると共に、得られる発泡積層シートのトータル目付が増加し、軽量性が損なわれる傾向がある。ここで、目付が20〜50g/m2程度の場合はガラス繊維ペーパーを用い、100g/m2近辺またはそれ以上の場合はガラスマットを用いるのが現実的である。
本発明における無機繊維シートは、熱可塑性樹脂フィルムより複合化される。熱可塑性樹脂フィルムは、ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)と無機繊維シートとの接着および、成形体の外観を改良する働きを担うと同時に、無機繊維シートと複合化することにより、成形体の寸法安定性、耐熱性、剛性の向上および加熱成形性を改良する働きを担う。
本発明における熱可塑性樹脂フィルムの基材樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ナイロン、ポリエステル等の樹脂があげられる。これらのなかでも、ポリプロピレン系樹脂発泡層との熱融着性が良い点から、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムが特に好ましい。さらに、成形性の点からポリエチレン系樹脂が特に好ましい。
すなわち、本発明では、複合繊維シートを構成する熱可塑性樹脂フィルムの基材樹脂として、発泡シートを構成する基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂よりも、耐熱性、特に融点の低いポリエチレン系樹脂を使用することにより、熱融着によって自動車内装材の実用特性上問題のない強固な接着性が得られ、しかも、ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)にダメージを与えずに、前記複合シートに残留歪を生じさせない加熱成形が可能となり、成形体の外観を改善することができる。さらに、ポリエチレン系樹脂フィルムと無機繊維シートを複合化することにより、剛性、耐熱性が向上し、発泡シートの寸法変化、動きを抑制することが可能となり、成形体の寸法安定性、耐熱性、剛性を向上させることができる。
本発明におけるポリエチレン系樹脂フィルムを構成するポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超超低密度ポリエチレン(ULDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)等が挙げられる。
これらのポリエチレン系樹脂のなかでも、ポリプロピレン系樹脂発泡シートとの熱融着性がよく、成形性の面から融点がポリプロピレン発泡シートの融点よりも低い点から、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。
本発明のポリエチレン系樹脂フィルムを構成するポリエチレン系樹脂の融点は、ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)を構成するポリプロピレン系樹脂の融点よりも、少なくとも20℃低いことが好ましく、少なくとも30℃低いことがより好ましい。ポリエチレン系樹脂の融点と該ポリプロピレン系樹脂の融点の差が20℃よりも小さい場合、ポリプロピレン系樹脂発泡シートへの繊維複合シートの積層時および加熱成形時に、フィルム層に歪を発生させない温度まで加熱した際に、ポリプロピレン系発泡シートにダメージを与え、すなわち、該発泡シートの表層付近の気泡が破泡するため、得られた自動車内装材は、繊維複合シート面側の表面がでこぼこした、表面性が劣ったものとなる傾向がある。
なお、本発明における樹脂の融点は、JIS K 7121に則り、示差走査熱量測定(DSC)により測定したものであり、2つ以上の樹脂を併用した場合には、その相加平均値を採用した。
本発明におけるポリエチレン系樹脂フィルムは、無機繊維シートの片面または両面に配置積層されて用いられる。
本発明においては、ポリエチレン系樹脂フィルムが無機繊維シートの片面のみに積層された場合にも、ポリプロピレン系樹脂発泡シート(a1)および無機繊維シートとの積層時の加熱・加圧工程において、フィルムを構成するポリエチレン系樹脂が溶融されて、無機繊維シート内を通過し、無機繊維シートの反対側に滲み出すことにより、接着および成形体の外観の改良が可能となる。そのため、ポリエチレン系樹脂フィルムが無機繊維シートの片面のみに積層される場合、ポリエチレン系樹脂フィルムは、無機繊維シートとポリプロピレン系樹脂発泡層との間に積層されても構わないし、無機繊維シートの外側に積層されても構わない。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂発泡層と複合繊維シートとの接着を確実にすること、および成形体の外観をより美麗にすることの観点から、無機繊維シートを複数のポリエチレン系樹脂フイルムで挟み込むような、無機繊維シートの両面にポリエチレン系樹脂フィルムを配置積層する構造が好ましい。
本発明におけるポリエチレン系樹脂フィルムの厚みは、特に限定されないが、無機繊維シートの両面に配置積層する場合は、通常30〜200μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。ポリエチレン系樹脂フィルムの厚みが30μmよりも薄いと、シートの表面性が悪化する傾向があり、200μmよりも厚くなると、発泡積層シートの強度は向上するものの、軽量化が損なわれる傾向がある。
本発明において、ポリエチレン系樹脂フィルムが無機繊維シートの片面のみに積層された場合には、ポリプロピレン系樹脂発泡層と積層する際に、ポリエチレン系樹脂フィルムを溶融させて無機繊維シートを通過させる必要があり、該通過樹脂分を考慮して、ポリエチレン系樹脂フィルムの厚みを厚く調整することが好ましい。この際、ポリエチレン系樹脂フィルムを構成するポリエチレン系樹脂の230℃での荷重2.16kg/cm2におけるメルフローレートは、大きくなるほど無機繊維シートを通過し易くなり、5〜20g/10分が好ましく、7〜15g/10分がより好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)と補強層(a2)との積層方法に関しては、熱融着による積層、接着剤を介した積層、等があげられる。
さらに、本発明において、ポリプロピレン系樹脂発泡層、ポリエチレン系樹脂フィルムおよび、無機繊維シートの積層方法としては、以下のような方法があげられる。例えば、[1]ポリプロピレン系樹脂発泡層、ポリエチレン系樹脂フィルム単体および、無機繊維シートを重ね合わせたものを、ポリエチレン系樹脂フィルムの融点以上の温度にて加熱した後、プレス、ロール等によって圧縮、冷却することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを得ることができる。[2]予め、無機繊維シートとポリエチレン系樹脂フィルムを重ね合わせたものをポリエチレン系樹脂フィルムの融点以上の温度にて加熱し、プレス、ロール等によって圧縮、冷却して複合繊維シートを得た後に、ポリプロピレン系樹脂発泡層と積層して、以降を同様の工程によりポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを得ることができる。[3]押出ラミネート法により、無機繊維シート上に溶融状態のポリエチレン系樹脂をフィルム状に押出し、フィルムの融点以上の温度にてポリエチレン系樹脂フィルムと無機繊維シートとポリプロピレン系樹脂発泡層をロールで加圧、冷却しながら複合化することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを得ることができる。[4]押出ラミネート法により、無機繊維シート上にポリエチレン系樹脂をフィルム状に押出し、フィルムの融点以上の温度にてポリエチレン系樹脂フィルムと、予め無機繊維シートとポリエチレン系樹脂フィルムが重ね合わせられたポリプロピレン系樹脂発泡層をロールで加圧、冷却しながら複合体とすることにより、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを得ることができる。[5]押出ラミネート法により、予め無機繊維シートとポリエチレン系樹脂フィルムが積層された複合繊維シート上に、ポリエチレン系樹脂をフィルム状に押出し、フィルムの融点以上の温度にて複合繊維シートとポリエチレン系樹脂フィルムとポリプロピレン系樹脂発泡層をロールにて加圧、冷却しながら複合体とすることにより、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを得ることができる。
これらの積層方法の中でも、[3]、[4]および[5]の押出ラミネート法は、溶融状態のポリエチレン系樹脂を加圧と同時に冷却するため、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの熱によるダメージを低減することが可能であり、好ましい。
本発明においては、前記多層表皮材Bおよびポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)を積層することにより、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性、意匠性に優れると共に、中〜高周波数領域で優れた吸音性を有する内装材用基材を得ることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)と多層表皮材(B)を積層させる方法としては、例えば、附形前に接着剤等により予め接着する方法、附形前にホットメルトフィルムにより予め接着する方法、附形前または附形時にポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの最外層であるポリエチレン系樹脂フィルム層を溶融軟化させ、アンカー効果により多層表皮材Bの被接着面である非吸音性軟質ウレタン層(b2)と接合する方法などが挙げられる。
これらの中でも、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)の最外層であるポリエチレン系樹脂フィルム層を溶融軟化させ、非吸音性軟質ウレタン層(b2)と接合する方法が、コスト、生産工程の簡略化の点から好ましい。
その際に、非吸音性軟質ウレタン層(b2)の被接着面に、予めポリエチレン系樹脂フィルムを熱ロール等で圧着しておき、軟質ウレタン層(b2)とポリプロピレン系発泡積層シート(A)上のポリエチレン系樹脂フィルム同士を溶融軟化させて接着する方法が、接着強度、接着の信頼性を高める意味で好ましい。
以上述べてきた、本発明における内装材用基材の実施形態の具体例を、図面に基づいて改めて説明する。ただし、本発明の内装材用基材は、これらにより何ら制限を受けるものではない。
図1は、本発明の1実施形態に係る内装材用基材(30)の構成を示すものであり、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(28)の片面に、多層表皮材(5)が積層されてなるものである。ここで、多層表皮材(5)は、貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(3)を、不織布表皮材(1)と非吸音性軟質ウレタン(2)との間に介在させてなる多層表皮材である。ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(28)は、ポリプロピレン系樹脂発泡層(10)の両面に、ポリエチレン系樹脂フィルム(16、18、20、22)に挟み込まれた無機繊維シート(12、14)からなる複合繊維シート(24、26)が形成されてなるポリプロピレン系樹脂発泡積層シートであり、前記ポリプロピレン系樹脂発泡シート(28)と多層表皮材(5)は、ポリエチレン系樹脂フィルム(18)を介して積層されてなる。
図2は、本発明の1実施形態に係る内装材用基材(32)の構成を示すものであり、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(28)の片面に、多層表皮材(6)が積層されてなるものである。ここで、多層表皮材(6)は、貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム(3)を、編布表皮材(4)と非吸音性軟質ウレタン(2)との間に介在させてなる多層表皮材(6)である。ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(28)は、ポリプロピレン系樹脂発泡層(10)の両面に、無機繊維シート(12、14)とポリエチレン系樹脂フィルム(16、18)の複合繊維シートが形成されてなるポリプロピレン系樹脂発泡積層シートであり、前記ポリプロピレン系樹脂発泡シート(28)と多層表皮材(6)は、ポリエチレン系樹脂フィルム(18)を介して積層されてなる。
本発明の内装材用基材から、賦形された内装材を成型する方法としては、例えば、上下にヒーターを有する加熱炉の中央に、内装材基材(多層表皮材とポリプロピレン系樹脂(1次)発泡積層シートとの積層体)をクランプして導き、成形に適した温度になるように加熱して2次発泡させた後、温度調節した金型にてプレス冷却し、賦形する方法が挙げられる。
本発明における成形方法の例としては、具体的には、例えば、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの方法が挙げられる。
本発明における内装材基材の成形温度領域は、無機繊維シートと複合化されるポリエチレン系樹脂フィルムの融点より高く、かつ、ポリプロピレン系樹脂発泡層の構成樹脂の融点よりも低い温度に設定することより、深絞り成形においても2次発泡積層シートに破れ等が発生せず、発泡層の破泡等による外観不良等がない良好な自動車内装材を得ることができる。具体的には、成形温度領域としては、135〜155℃が好ましく、140〜150℃がより好ましい。
ここで、1次積層発泡シートを加熱により2次発泡させる際には、2次発泡シートの厚みが、加熱前後で1次発泡シートの厚みに対して、1.1〜4倍になるよう2次発泡させることが好ましく、さらには1.2〜3倍に2次発泡させるのが好ましい。
以上、本発明に係る内装材用基材の実施態様を種々説明したが、本発明は上述の態様に限定されるものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施し得るものである。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
なお、本発明で使用する数値については、以下の測定方法により測定される。
(残響室法吸音率)
JIS A1409「残響室法吸音率の測定方法」に準じ、日東紡音響エンジニアリング社製9m3残響室内に、サイズ0.7m×0.7mのサンプルを背後空気層0mmで床面に設置し、測定マイク位置5点且つ各点繰り返し3回にて残響時間を測定した。得られた残響時間の平均値から、以下の式で吸音率を求め、残響室法吸音率とした。
Figure 2007168292
式中、V:残響室体積=9m3、S:サンプル表面積=0.49m2、Tm:サンプル挿入時残響時間(秒)、T0:サンプルを挿入しない時の残響時間(秒)を示す。
(引張弾性勾配)
実施例または比較例にて用いた複合シートから、幅50mm×長さ150mmの試験片をそれぞれ3枚切り出し、(株)島津製作所製オートグラフDSS−2000を用い、JIS K7127に準じ、23℃において、チャック間距離100mm、引張速度2mm/minにて引張試験を行い、引張弾性率Em(MPa)を求めた。
他方、複合シートの厚みd(mm)は、マイクロダイヤルゲージ(ピーコック(株)製)を用いて測定した。
複合シートの引張弾性率勾配は、次式により算出した。
Figure 2007168292
それぞれの試験片について測定を実施し、得られた測定値の相加平均値を算出した。
(圧縮勾配)
実施例または比較例にて得られたポリプロピレン系樹脂発泡層から、幅30mm×長さ30mmの試験片を切り出し、(株)島津製作所社製オートグラフDSS−2000を用いて、圧縮速度2mm/minにて発泡層の厚み方向に圧縮試験を行った。得られた応力−歪曲線の初期変化部において、一次直線とみなせる部分の勾配、つまり初期傾きの値を、試験サンプルの面積で割った値(単位面積当たり、歪量1cm当たりの圧縮荷重)を、圧縮勾配とした。
試験は各実施例、比較例において3点の試験片を用いて行い、得られた測定値の相加平均値を算出した。
(曲げ弾性勾配)
曲げ剛性の一指標として、曲げ弾性勾配を評価した。
得られたポリプロピレン系発泡積層シートにおいて、長さ方向(MD方向)、巾方向(TD方向)にそれぞれ3枚切り出し、150mm×50mmの発泡積層シート試験片を切り出し、(株)島津製作所社製オートグラフDSS−2000を用い、JIS K7171に準じて、両端自由支持でスパン長100mmの中心部に、R3.2mmのくさびにて50mm/分の速度で荷重をかけていき、その荷重と歪の関係を示す曲線を得た。
得られた応力−歪曲線の初期変化部において、一次直線とみなせる部分の勾配、つまり初期傾きの値(歪量1cm当たりの曲げ荷重)を、曲げ弾性勾配とした。
それぞれの試験片について測定を実施し、長さ方向、巾方向の相加平均の値を算出した。
(厚み)
サンプルに対し、幅方向に20ヵ所の厚さをマイクロダイヤルゲージ(ピーコック(株)製)を用いて測定し、その測定値の平均値を算出した。
(発泡倍率)
得られた1次原反の密度dfをJIS K7222に準じて測定し、別途、ポリプロピレン系樹脂の密度dpをJIS K7112に準じて測定し、発泡倍率=dp/dfの式により算出した。
(連続気泡率)
得られた1次原反に対し、マルチピクノメーター(ベックマン社製)を用いて、ASTM D−2859に準じて測定し、独立気泡率(%)を求めた。連続気泡率(%)=100−独立気泡率(%)の式により、算出した。
(通気抵抗)
JIS L1096に規定されたフラジール試験機を用いて、通気度を測定し、次式により通気抵抗を計算した。ここで、ΔPは測定時の対象材料の前後での圧力差を示している。
Figure 2007168292
(開口率)
貫通孔は全て円形に設けたため、30mm×30mmのフィルムの中にある貫通孔の直径(実施例に用いたものは、全て円である)の平均値および貫通孔の数を測り、以下の式により、開口率を求めた。
Figure 2007168292
表1に、実施例および比較例の内装材用基材の、構成および物性一覧表を示した。
Figure 2007168292
なお、表1〜表2に示した各符号に関する記載は次のとおりである。
PP :ポリプロピレン樹脂
PPE :ポリフェニレンエーテル樹脂
PE :ポリエチレン樹脂。
(実施例1)
<多層表皮材の作製>
不織布表皮材(b1)として、PET系繊維を主成分とする厚み1mm、目付130g/m2および通気抵抗76.2(N・s・m-3)である(株)オーツカ社製不織布(b1−1)を用いた。軟質ウレタン(b2)としては、厚み5mm、目付75g/m2および通気抵抗39.2(N・s・m-3)である軟質ウレタン(日清紡(株)製、ピーチウレタン C24H)を用いた。貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)としては、厚み30μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)製、T.U.X L−LDPE TCS#25)に両面コロナ処理を施し、熱針ロールに通すことにより孔径3mmφかつピッチ10mmの貫通孔を設けて(開口率8.2%)、通気抵抗を154.7(N・s・m-3)としたフィルムを用いた。接着層(b4)としては、厚み25μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)製、T.U.X L−LDPE TCS#25)を用いた。
430mm×430mmに切り出した上記材料を、(b1−1)、(b3)、(b2)、(b4)の順序に敷き合わせ、金属平板間に挟み、圧力0.05MPaとなるように重しを乗せた状態で、恒温槽中に静置し、該恒温槽内の温度を昇温速度5℃/分で100℃から150℃まで昇温した後、自然放冷することによって(b1−1)、(b3)、(b2)、(b4)層が一体化された多層表皮材(B−1)を得た。なお、多層表皮材(B−1)中の(b1−1)、(b3)および(b2)層の総通気抵抗は、541.3(N・s・m-3)であった。
<発泡積層シートの作製>
プロピレン単独重合体(線状ホモポリプロピレン、三井化学工業(株)製F113G、融点158℃、230℃でのメルフローレート(MFR)0.5g/10分)100部に対して、ラジカル開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを0.6部配合し、リボンブレンダーを用いて5分間混合攪拌した。この混合物を、2軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX44)のホッパーから50kg/hrの供給速度で供給し、押出機途中に設けた導入部より、定量ポンプを用いてイソプレンモノマーを0.5kg/hrの速度(プロピレン単独重合体100部に対して1.0部となる割合)で供給し、ストランド状に押し出し、ストランドを水冷後に細断することにより得た改質ポリプロピレン系樹脂を得た。
なお、前記2軸押出機は、同方向2軸タイプであり、スクリュー径が44mmφであり、最大スクリュー有効長(L/D)が38であった。この2軸押出機のシリンダー部の設定温度イソプレン単量体圧入以降は200℃とし、スクリュー回転速度を150rpmに設定した。
得られた改質ポリプロピレン系樹脂80%およびポリプロピレン樹脂(三井化学工業(株)製、F113G)20%からなる混合樹脂100重量部に対して、ブレンドオイル0.05部および、気泡造核剤としてタルク(日本タルク(株)製、タルカンパウダーPK−S)0.1重量部を、リボンブレンダーを用いて攪拌混合して配合物を得た。得られた配合物を65−90mmφタンデム型押出機に供給し、230℃に設定した第1段押出機(65mmφ)中で溶融させた後、iso−ブタンを主成分とする発泡剤<iso−ブタン/n−ブタン=85/15(重量比)>を改質プロピレン系樹脂および前記プロピレン系樹脂の合計100重量部に対して6部圧入混合し、190℃に設定した第2弾押出機(90mmφ)中で冷却し、圧力10MPaでサーキュラーダイスにより大気圧下に押出し、引き取りロールを介して、巻取りロールにロール状に巻取り、一次厚み3.7mm、一次発泡倍率18倍、連続気泡率74%および目付け195g/m2のポリプロピレン系樹脂発泡シートを得た。
他方、目付100g/m2のガラスマット(日本電気硝子(株)製、ガラスチョップドストランドマット100−SH/G)および、2枚の50g/m2の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)製、T.U.X L−LDPE TCS#50、融点103℃、115℃)の間に挟み込むように繰り出し、両方のロールが160℃に加熱された熱ロールであり、クリアランス2.0mmにて0.2MPaの圧力で挟圧されたロール間に通し、ガラスマット/ポリエチレンフィルム複合シートを得た。
次いで、前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよび前記ガラスマット/ポリエチレン複合シートをそれぞれ繰り出し、重ね合わせた状態で、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム面側を160℃に加熱された熱ロールとし、ポリプロピレン系樹脂発泡シート面側を未加熱ロールとした、クリアランス3.5mmにて0.2MPaの圧力で挟圧されたロール間に通し、片面に繊維複合シートが積層されたポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを得た。また、同様の操作を繰り返して、両面に繊維複合シートが積層されたポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)を得た。得られたポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)の厚みは3.5mmであり、目付は595g/m2であった。
<内装材用基材の作製>
前記多層表皮材(B−1)および430mm×430mmに切り出したポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)をポリエチレンフィルム面同士が接するように重ね合わせ、四方をクランプして150℃の恒温槽中で10分間加熱し、クランプを恒温槽より取り出し、23℃に温調された平板金型を用いてクリアランス8.0mm、圧力0.5MPaの条件にて成形プレスすることにより、厚み約8.5mm[多層表皮材(B−1)の厚み5.0mm、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)の厚み3.5mm]の内装材用基材(C−1)を得た。
得られた内装材用基材(C−1)について、補強層(繊維複合シート)の23℃の引張弾性勾配、発泡層の圧縮勾配、発泡積層シートの曲げ弾性勾配の結果を表1に、内装用基材の残響室法吸音率測定の結果を、表2および図3に示す。
(実施例2)
<多層表皮材の作製>
実施例1と同様な方法にて、多層表皮材(B−1)を得た。
<発泡積層シートの作製>
実施例1と同様な方法にて、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)を得た。
<内装材用基材の作製>
430mm×430mmに切り出した前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)のみの四方をクランプして、150℃の恒温槽中で10分間加熱後、恒温槽より取り出し、成形附形時に多層表皮材(B−1)のポリエチレンフィルム面とポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)のポリエチレンフィルム面が接するようにして一体化させる方法にて、23℃に温調された平板金型を用いてクリアランス8.0mm、圧力0.5MPaの条件にて成形プレスすることにより、厚み約8.7mm[多層表皮材(B−1)の厚み5.2mm、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)の厚み3.5mm]の内装材用基材(C−2)を得た。
得られた内装材用基材(C−2)について、補強層(繊維複合シート)の23℃での引張弾性勾配、発泡層の圧縮勾配、発泡積層シートの曲げ弾性勾配の結果を表1に、内装用基材の残響室法吸音率測定の結果を、表2および図3に示す。
(実施例3)
<多層表皮材の作製>
不織布表皮(b1−1)の代わりに、編布表皮材(b1−2)であるPET系繊維を主成分とする厚み1mm、目付100g/m2および通気抵抗140.2(N・s・m-3)である第一編物(株)製ニットを用いた以外は、実施例1と同様にして、(b1−2)、(b3)、(b2)、(b4)層が一体化された多層表皮材(B−2)を得た。なお、多層表皮材(B−2)中の(b1−2)、(b3)および(b2)層の総通気抵抗は530.2(N・s・m-3)であった。
<発泡積層シートの作製>
実施例1と同様な方法にて、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)を得た。
<内装材用基材の作製>
前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)の四方をクランプして150℃の恒温槽中で10分間加熱後、恒温槽より取り出し、成形附形部で多層表皮材(B−2)のポリエチレンフィルム面とポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)のポリエチレンフィルム面が接するようにして一体化させる方法にて、23℃に温調された平板金型にてクリアランス8.0mmで0.5MPaの圧力にて成形プレスした。金型クリアランス8.0mmで成形プレスすることにより、厚み約8.7mm[多層表皮材(B−2)の厚み5.2mm、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A−1)の厚み3.5mm]の内装材用基材(C−2)を得た。
得られた内装材用基材(C−2)について、補強層(繊維複合シート)の23℃での引張弾性勾配、発泡層の圧縮勾配および発泡積層シートの曲げ弾性勾配の測定結果を表1に、内装用基材の残響室法吸音率測定の結果を、表2および図3に示す。
(比較例1)
<多層表皮材の作製>
不織布表皮材(b1)として、PET系繊維を主成分とする厚み1mm、目付130g/m2および通気抵抗76.2(N・s・m-3)である(株)オーツカ社製不織布(b1−1)を用いた。軟質ウレタン(b2)としては、厚み5mm、目付75g/m2および通気抵抗39.2(N・s・m-3)である軟質ウレタン(日清紡(株)製、ピーチウレタン C24H)を用いた。貫通孔を設けず通気性のないフィルム(b3’)として、厚み30μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)製 T.U.X L−LDPE TCS#25)に両面コロナ処理を施したフィルムを用いた。
前記材料を、(b1−1)、(b3’)、(b2)の順序に敷き合わせ、実施例1と同様の操作により、(b1)、(b3’)および(b2)層が一体化された、総通気抵抗4300(N・s・m-3)の多層表皮材(B−3)を得た。
<発泡積層シートの作製>
PPE樹脂成分40重量%およびPS樹脂成分60重量%となるように、変性PPE樹脂<日本GEプラスチックス(株)製、ノリルEFN4230:PPE成分/PS成分=70/30(重量比)>57.1重量部およびPS樹脂<A&Mスチレン(株)製、ポリスチレンG8102:PS成分100%>42.9重量部を混合した混合樹脂100重量部に対して、タルク(日本タルク(株)製、タルカンパウダーPK−S)0.32重量部をリボンブレンダーで攪拌混合した。得られた配合物を65−90mmφタンデム型押出機に供給し、290℃に設定した第1段押出機(65mmφ)中で溶融させた後、iso−ブタンを主成分とする発泡剤iso−ブタンを主成分とする発泡剤<iso−ブタン/n−ブタン=85/15(重量比)>3.6重量部を前記混合樹脂の合計100重量部に対して6部圧入混合し、195℃に設定した第2弾押出機(90mmφ)中で冷却し、圧力16MPaでサーキュラーダイスにより大気圧下に押出し、引き取りロールを介して、巻取りロールにロール状に巻取り、一次厚み2.3mm、一次発泡倍率16倍、連続気泡率10%、平均気泡径0.15mmおよび目付け150g/m2の変性PPE系樹脂発泡層を得た。
次いで、該変性PPE系発泡層を巻き取りロールより繰り出しながら、メタクリル酸変性ポリスチレン<A&Mスチレン(株)製、ポリスチレンG9001:PS成分/メタクリル酸=92/8(重量比)>50重量部および、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)<A&Mスチレン(株)製、ポリスチレンH8117:PS成分/ゴム成分=87.5/12.5(重量比)>50重量部を混合した混合樹脂を、押出機にて溶融混練(樹脂温度が245℃)し、Tダイを用いてフィルム状に押出し、一方で、異音防止用の不織布として、目付25g/m2のウォーターニードルパンチ不織布<(株)ユウホウ社製、セレスS8020)を供給し、溶融状態にあるフィルム状の非発泡層をPPE系発泡層およびウォーターニードルパンチ不織布で挟み込む形でバインダーロールにより積層し、目付150g/m2の耐熱PS系樹脂室外側非発泡層を形成した。
さらに、前記積層面とは裏面側に、PPE系樹脂成分20重量%およびPS系樹脂成分80重量%となるようにPPE樹脂<日本GEプラスチックス(株)製、ノリルEFN4230:PPE成分/PS成分=70/30(重量比)>28.6重量部、PS樹脂<A&Mスチレン(株)製、ポリスチレンG8102:PS成分100%>66.4重量部及びHIPS樹脂<A&Mスチレン(株)製、H8117>5.0重量部を混合した混合樹脂を、押出機にて溶融混練(樹脂温度250℃)し、Tダイを用いてフィルム状に押し出し、目付120g/m2の変性PPE系樹脂室内側非発泡層を形成した。
以上のようにして、変性PPE系樹脂発泡積層シート(A−3)を得た。
<内装材用基材の作製>
前記変性PPE系樹脂発泡積層シート(A−3)の変性PPE系樹脂室内側非発泡層に、アクリロニトリル−スチレン系ラテックス(固形分50%)とスチレン−ブタジエン系樹脂ラテックスを4:6の重量分率で混合したポリスチレン系樹脂ラテックス接着剤を、WET時の塗布量40g/m2塗布し、塗布面と前記多層表皮材(B−3)のウレタン発泡層面が接するようにして張り合わせ、ラテックスが乾燥固化することにより変性PPE系樹脂発泡積層シート(A−3)と多層表皮材(B−3)を接着させた。
これを、四方クランプして150℃の恒温槽中で10分間加熱後、恒温槽より取り出し、23℃に温調された平板金型を用いてクリアランス8.0mmで0.5MPaの圧力にて成形プレスした。金型クリアランス10.0mmで成形プレスすることにより、厚み約10.7mm[多層表皮材(B−3)の厚み4.7mm 変性PPE系樹脂発泡積層シート(A−3)の厚み6.0mm]の内装材用基材(C−4)を得た。
得られた内装材用基材(IX)について、室内側非発泡層の23℃の引張弾性勾配、発泡層の圧縮勾配および発泡積層シートの曲げ弾性勾配の結果を表1に、内装用基材の残響室法吸音率の測定結果を、表2および図3に示す。
(参考例1)
多層表皮材A−1単体での残響室法吸音率の測定結果を、表2および図3に示す。
(参考例2)
<多層表皮材の作製>
実施例1と同様な方法にて、多層表皮材(B−1)を得た。
<発泡積層シートの作製>
比較例1と同様な方法にて、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡積層シート(A−3)を得た。
<内装材用基材の作製>
比較例1と同様な方法にて、厚み約10.7mm[多層表皮材(B−1)の厚み4.7mm 変性PPE系樹脂発泡積層シート(A−3)の厚み6.0mm]の内装材用基材(C−5)を得た。
得られた内装材用基材(C−5)について、室内側非発泡層の23℃の引張弾性勾配、発泡層の圧縮勾配および発泡積層シートの曲げ弾性勾配の結果を表1に、内装用基材の残響室法吸音率の測定結果を、表2および図3に示す。
Figure 2007168292
表1および図3から明らかなように、本発明の内装材用基材(実施例)は、連続気泡率の低い変性PPE系樹脂発泡層からなる従来の内装材用基材に対して、通気性をもたせないフィルムを、編布または不織布表皮材と非吸音性軟質ウレタンとの間に介在させない多層表皮材を用いた系(比較例1)に比べて、吸音性能に優れ、特に、室内の静寂性を確保するための吸音性能、即ち、残響室法吸音率測定において1000〜2000Hz付近での吸音性能に優れる。また、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルムを、編布または不織布表皮材と非吸音性軟質ウレタンとの間に介在させてなる多層表皮材を用いる場合にも、連続気泡率の高いポリプロピレン系樹脂発泡層を有する発泡積層シートを用いることにより、連続気泡率の低い変性PPE系樹脂発泡層からなる従来の内装材用基材を用いた系(参照例2)に比べて、吸音性能に優れ、特に、室内の静寂性を確保するための吸音性能、即ち、残響室法吸音率測定において1000〜2000Hz付近での吸音性能に優れる。
本発明に係る内装材用基材の1実施形態を示す部分断面説明図である。 本発明に係る内装材用基材の1実施形態を示す部分断面説明図である。 本発明に係る内装材用基材の残響室法吸音率の測定値を示すグラフである。
符号の説明
1 不織布表皮材
2 非吸音性軟質ウレタン
3 貫通孔を設けて通気性を持たせたフィルム
4 編布表皮材
5 多層表皮材
6 多層表皮材
10 ポリプロピレン系樹脂発泡層
12 無機繊維シート
14 無機繊維シート
16 ポリエチレン系樹脂フィルム
18 ポリエチレン系樹脂フィルム
20 ポリエチレン系樹脂フィルム
22 ポリエチレン系樹脂フィルム
24 複合繊維シート
26 複合繊維シート
28 ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート
30 内装材用基材
32 内装材用基材

Claims (15)

  1. ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)の片面に、多層表皮材Bが積層されてなる内装材用基材であって、前記多層表皮材(B)が、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)を、編布または不織布からなる表皮材(b1)と非吸音性軟質ウレタン(b2)との間に介在させてなる多層表皮材であり、かつ、前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)が、連続気泡率が55〜98%であるポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の両面に、補強層(a2)を積層したポリプロピレン系樹脂発泡積層シートであることを特徴とする、内装材用基材。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の発泡倍率が10〜20倍であることを特徴とする、請求項1に記載の内装材用基材。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、ポリプロピレン系樹脂発泡層(a1)の23℃での圧縮勾配が、1000〜30000g/cm/cm2であることを特徴とする、請求項1または2に記載の内装材用基材。
  4. 前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、補強層(a2)の23℃での引張弾性勾配が、100〜500MPa・mmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の内装材用基材。
  5. 前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の補強層(a2)が、無機繊維シートおよび熱可塑性樹脂フィルムからなる複合シートであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに内装材用基材。
  6. 前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の補強層(a2)が、無機繊維シートおよびポリエチレン系樹脂フィルムからなる複合シートであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに内装材用基材。
  7. 前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、補強層(a2)である無機繊維シートおよびポリエチレン系樹脂フィルムからなる複合シートが、無機繊維シートを複数のポリエチレン系樹脂フィルムで挟み込んだ構造よりなることを特徴とする、請求項6に記載の内装材用基材。
  8. 前記ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート(A)中の、ポリエチレン系樹脂フィルムを構成する樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、請求項6または7のいずれかに記載の内装材用基材。
  9. 前記多層表皮材(B)中の、非吸音性軟質ウレタン(b2)の通気抵抗が100N・s・m-3以下であり、かつ、密度が0.03g/cm3以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の内装材用基材。
  10. 前記多層表皮材(B)中の、非吸音性軟質ウレタン(b2)の厚みが2mm以上であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の内装材用基材。
  11. 前記多層表皮材(B)中の、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)の開口率が0.9〜25%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の内装材用基材。
  12. 前記多層表皮材(B)中の、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)の平均孔径が、円相当径1.0〜4.9mmφであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の内装材用基材。
  13. 前記多層表皮材(B)中の、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)の通気抵抗が50〜700N・s・m-3であり、かつ、前記多層表皮材Bの総通気抵抗が70〜2500N・s・m-3であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の内装材用基材。
  14. 前記多層表皮材(B)の目付が290g/m2以下であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の内装材用基材。
  15. 前記多層表皮材(B)中の、貫通孔を設けて通気性をもたせたフィルム(b3)、編布または不織布からなる表皮材(b1)、および非吸音性軟質ウレタン(b2)が、接着材層を介して、および/または、熱融着によって一体化されていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の内装材用基材。
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