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JP2007301774A - 自動車内装材用基材及び自動車内装材 - Google Patents

自動車内装材用基材及び自動車内装材 Download PDF

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JP2007301774A
JP2007301774A JP2006130847A JP2006130847A JP2007301774A JP 2007301774 A JP2007301774 A JP 2007301774A JP 2006130847 A JP2006130847 A JP 2006130847A JP 2006130847 A JP2006130847 A JP 2006130847A JP 2007301774 A JP2007301774 A JP 2007301774A
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Abstract

【課題】 変性PPE系樹脂を基材とする発泡積層シートを用いて、ガラスフリー軽量性、リサイクル性および耐熱性に優れ、燃焼性または吸音特性がより改善され、高温接着安定性に優れた自動車内装材用基材および、該自動車内装材用基材を成形してなる自動車内装材を提供する。
【解決手段】変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とする発泡層の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層を積層した発泡積層シートに、意匠面となる表皮材として単層表皮材または、通気性表皮材の当該裏面に多層繊維体を層状に配置することにより、上記特性を有する自動車内装材用基材および自動車内装材を得ることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、単層表皮材または吸音特性の優れた積層表皮材を積層してなる変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡層をベースとする自動車内装材用基材及び自動車内装材に関する。
自動車等の車両用用途に用いられる内装材分野においては、車内の快適性を追求して吸音特性の付与が望まれている。一方、内装材の意匠面には安価な不織布表皮材が多用されているが、該不織布表皮材に吸音特性を付与することは技術的なハードルが高い。
そこで、高価ではあるが、スラブウレタン等の多孔質材料および通気性表皮材からなる積層体が用いられている(特許文献1)。しかし、上記の如き異種材料である上に、熱硬化性樹脂であることから、積層体は高価なだけでなく、リサイクルが困難であるという問題を内在する。
更に、近年繊維構造を改良した吸音材の開発が進められている。例えば、繊維径を細くすることにより、吸音性の付与を行われている(特許文献2)。しかし、繊維径を細くすることにより、加工性の低下と着色によるカラ−化が困難であるという問題を抱えている。
また、車両用吸音材としての性能を高めるために、表皮に嵩高で柔軟性を有する低密度不織布材を積層する技術が開示されている(特許文献3)。しかし、単純に繊維がランダム配向した低密度不織布を、トリコットクロスなどの表皮材に積層するだけでは未だ充分に満足できる吸音特性は得られないので、更なる改良が望まれる。
但し、ここでいうランダム配向とは、以下に定義する平面率とクロス率を調整していないもののことをいう。
平面率とは、平面方向に多層に配置されている繊維の割合である。その測定方法としては、積層表皮材をカットし、多層繊維部断面におけるSEM写真を取り、多層繊維部分の厚みを一辺とする正方形の任意の場所に、厚み方向を上下とした平面に縦線と横線を十字に描き、縦線と横線とに交差する繊維数を数え(縦線と交差した繊維数をa、横線と交差した繊維数をbとする)、以下の式により算出される。(但し、算出に当たっては、5箇所以上で計測し、その平均値をとる。)
Figure 2007301774
クロス率とは、表皮材の長さ方向の繊維と交差して配置される繊維の割合であり、多層繊維体を形成する繊維積層体の流れ(長手)方向に供給される繊維量Qと、流れ方向とは垂直な方向(巾方向)から供給される繊維量Pとの比率として、繊維の交差状態を定義した。(但し、繊維の供給がすべて流れ方向と異なる場合においては、最も多層繊維体の長さ方向に近いものをQとし、その他のものをPとした。)
Figure 2007301774
また、特許文献3は、トリコットクロスなどの表皮材と、低密度不織布との異種の材料を組み合わせることを内容としているが、異種材料の組み合わせはどうしてもコスト高となる。
このことから、できるだけ同種の材料を組み合わせてコストを低くすると共に、更に吸音特性を向上させることが望まれる。
こうした目的のために、不織布表皮材と、同種の不織布とを組み合わせる場合には、その寸法安定性や構造剛性、コスト等を考慮すれば、それぞれの不織布の製造については、実用的な観点からは、必然的に、平面率の調整されていないニードルパンチング加工を施すことが多い。しかしながら、このニードルパンチング加工を施すと、その結果として繊維が厚み方向に立ってしまうことになることから、入射音の垂直透過性を増大させることに帰結してしまう。更に、こうして製造された、これら2種の不織布を積層して、吸音特性の優れた積層表皮材を製造する積層工程においても、その接着性とコストおよび加工性を考慮すれば、この積層工程も必然的にニードルパンチング加工を施すことになってしまう。そうすると、繊維がさらに厚み方向に立ってしまうことになるので、より一層入射音の垂直透過性を増大させることに帰結してしまう。このような理由から、平面率の調整されていない不織布を用いて吸音特性の優れた積層表皮材を得ようとしても、効果的な吸音特性向上は望めないのが従来技術の限界であった。
他方、自動車内装材用基材および自動車内装材として、ウレタンフォームにガラス繊維を積層したシートあるいはポリプロピレン樹脂にガラス繊維を混合または積層した積層シートが、広く用いられている。それらの自動車天井材は、成形加工性・耐熱特性にすぐれているという特徴がある。しかしながら、上記のような従来の自動車天井材は、ガラス繊維を構成材料とするため環境適合性(すなわち、リサイクル性、特にサーマルリサイクル性)に問題がある。更に、これらの複合材料では、ガラス繊維を用いているため、軽量化が図れず燃費が上がることによるCO2量の増加という面においても環境適合性に劣るものであった。
このような問題を解決するため、軽量で耐熱性のある変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下「変性PPE系樹脂」と記す。)発泡層の両面に、変性PPE系樹脂非発泡層を積層した発泡積層シートを用いた自動車天井材用発泡積層シートが提案されている(特許文献4)。この変性PPE系樹脂を用いた自動車天井材用発泡積層シートは、耐熱性に優れ、軽量であるだけでなく、ガラスフリーの素材で構成されているため、リサイクル性を含み環境適合性の高い素材として提案されている。
更に、自動車の内装材に対しては、火災発生時に車内に取り残された人身の安全確保のため難燃規制が課せられている。ところが、上記の変性PPE系樹脂発泡積層シートなどの耐熱性樹脂発泡積層シートを天井材として用いた場合には、ガラスフリーであるが故に、規制に合致する難燃性を得るための種々の工夫がなされてきてはいるが、より環境に優しく、安価であって有効な解決方法は未だ見出されるに至っていない。
そこで、積層シートに難燃剤を添加する方法が検討されたが、製造が煩雑であり材料コストや製造コストの上昇を引き起こす。特許文献5においては天然繊維を用いる方法が開示されているが、現在の難燃性を得るために、難燃性の熱可塑性樹脂被膜を用いる必要があり、最近の環境適合性を求める要請に反する結果となると共に、材料コストや製造コストの上昇にも繋がる。
近年の環境適合性に対する強い要請の中で、ガラスフリーで且つ良好な難燃性が得られる方法の出現が待望されている。
また、変性PPE系発泡積層シートを使用して成形された自動車内装材は、表皮材を積層する際、安価で耐熱性が適度にある接着剤として、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤が多用されている。ポリオレフィン系ホットメルト接着剤は、ベース樹脂であるポリオレフィン樹脂が種々の表皮材との接着性を維持させている場合、一方、自動車内装用基材においては、アミド系またはエステル系添加剤を接着剤へ配合することにより比較的高温での表皮材との接着性を維持させている。しかし、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤では、100℃程度の高温に耐えうる表皮材との接着性が得られていない。
更に、最近では自動車のエンジン音の低下や車内の防音効果の向上に伴い、車内の静けさがクローズアップされてきている。ところが、上記変性PPE系樹脂発泡積層シートなどの耐熱性樹脂発泡積層シートを自動車内装材として、自動車に装着した場合、クーラーなどで車内を急冷した際や、凹凸のある路面での走行時や、急カーブでの走行時等において異音を発生させるという問題があった。この問題を解決するために、ウレタン系発泡シートを予め天井用内装材に積層したり、自動車内装材の成形加工時にクラフトテープを貼付して対応しているが、これらの方法は、いずれも作業が繁雑であったり、材料コストや製造コストの上昇を引き起こすため、これらに代わる方法の出現が待望されている。
以上のように、これらの要求品質をすべて満足できる材料が見出されていないのが現状であり、新しい材料の出現が待望されている。
特開昭55−11947号公報 特開平6−122349号公報 特開平14−215169号公報 実開平4−11162号公報 特公平4−81505号公報
本発明の目的は、変性PPE系樹脂を基材とする発泡積層シートによるガラスフリー軽量性、リサイクル性および耐熱性に優れ、耐燃焼性または吸音特性がより改善され、高温接着安定性に優れた自動車内装材用基材および、該自動車内装材用基材を成形してなる自動車内装材を提供するものである。
本発明者は、上記問題を解決するべく鋭意研究の結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、「PPE系樹脂」と記す)およびポリスチレン系樹脂(以下、「PS系樹脂」と記す)との混合樹脂である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、「変性PPE系樹脂」と記す)を基材樹脂として特定の炭化水素系発泡剤を発泡剤として用いて押出発泡して得られた発泡層の両面に、発泡層基材樹脂よりガラス転移温度が低い耐熱性樹脂にゴム成分が含有された非発泡層を形成した積層発泡シートを用い、表皮層として、単層表皮材または、通気性表皮材の裏面に、繊維構造を調整した多層繊維体を積層することにより実用特性および吸音特性付与の両立を図れた積層表皮材を積層することによって、ガラスフリーで軽量、リサイクル性および耐熱性に優れ、難燃性または吸音特性がより改善された自動車内装材用基材および自動車内装材を得ることができることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡層の両面に、非発泡層を積層してなる積層発泡シートの、室内側非発泡層に表皮材が接着剤層を介して積層され、室外側非発泡層に異音防止層が積層されてなる自動車用内装材用基材であって、
前記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡層が、ポリフェニレンエーテル系樹脂25〜70重量部およびポリスチレン系樹脂75〜30重量部との混合樹脂である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とし、該変性ポリフェニレン系樹脂100重量部に対し炭化水素系発泡剤2〜5重量部を用いて押出発泡して得られた、厚み1〜5mmおよび発泡倍率3〜20倍である発泡シートであり、
前記非発泡層が、発泡シートの基材樹脂よりガラス転移温度Tgが低い耐熱性樹脂100重量部に対し、ゴム成分0.3〜15重量部含有した、厚み50〜300μmの非発泡層であり、
前記表皮材が、合成繊維および再生繊維を含む目付100〜300g/m2の単層表皮材または、通気性表皮材の少なくとも一方の面に、合成繊維および再生繊維を含む繊維を層状に多層に配置された状態に形成して得られる多層繊維体が積層された、目付100〜300g/m2の積層表皮材であり、
かつ、異音防止層が、目付10〜100g/m2のポリオレフィン系フィルムまたは目付10〜60g/m2のポリエステル系不織布である、自動車内装材用基材(請求項1)、
積層表皮材中の多層繊維体が、平面方向に多層に配置されている繊維の割合(平面率)が50%以上であり、表皮材の長さ方向の繊維と交差して配置される繊維の割合(クロス率)が50〜200%であり、
かつ、ポリエステル系繊維80〜20重量%および、天然繊維または再生繊維20〜80重量%を含む多層不織布である、請求項1に記載の自動車内装材用基材(請求項2)、
単層表皮材が、ポリエステル系繊維85〜98重量%およびレーヨン系繊維15〜2重量%含む単層不織布である、請求項1に記載の自動車内装材用基材(請求項3)、
積層表皮材を積層する接着剤層が、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合樹脂またはカルボキシ変性スチレン−ブタジエン系共重合樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材(請求項4)、
炭化水素系発泡剤が、イソブタンである、請求項1〜4いずれか1項に記載の自動車内装材用基材(請求項5)、
非発泡層を構成する耐熱樹脂が、耐熱ポリスチレン系樹脂および/または変性ポリフェニレンエーテル系樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材(請求項6)、
室内側非発泡層中のゴム成分含有量が、室外側非発泡層中のゴム成分含有量よりも少ない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材(請求項7)、
室内側非発泡層中のゴム成分含有量が、該耐熱性樹脂100重量部に対して0.3〜3重量部である請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材(請求項8)、
異音防止層としてのポリエステル系不織布が、非発泡層樹脂へのアンカー効果により積層されてなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材(請求項9)、および
請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材を、成形してなる自動車内装材(請求項10)に関する。
本発明の自動車内装材用基材は、耐熱性を有する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材とする発泡積層シートに対して、相溶性を有する熱可塑性樹脂を介し、単層表皮材または、室内の静寂性を確保するための適度な吸音特性(特に高周波側)を保持した積層表皮材を積層してなるオールプラスチック素材であり、軽量性、リサイクル性および耐熱性に優れ、難燃性または吸音特性(特に高周波側)が改善されると共に、自動車内装材に要求される諸特性を満たすものである。
本発明に係る吸音特性の優れた自動車内装材用基材および自動車内装材について、図を用いて説明する。
図1は、本発明の1実施形態に係る自動車内装材用基材の構成を示すものであり、PPE系樹脂およびPS系樹脂の混合樹脂である変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層(室内側非発泡層12および室外側非発泡層14)が積層され、室内側非発泡層12の表面に熱可塑性樹脂接着剤層22を介して、単層表皮材27が積層され、室外側非発泡層14の表面に異音防止層18が積層されてなる。
図2は、本発明の1実施形態に係る自動車内装材用基材の構成を示すものであり、PPE系樹脂およびPS系樹脂の混合樹脂である変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層(室内側非発泡層12および室外側非発泡層14)が積層され、室内側非発泡層12の表面に熱可塑性樹脂接着剤層22を介して、通気性表皮材20および多層繊維体24からなる積層表皮材26が積層され、室外側非発泡層14の表面に異音防止層18が積層されてなる。
図3は、本発明の1実施形態に係る自動車内装材用基材および自動車内装材の構成を示すものであり、PPE系樹脂とPS系樹脂の混合樹脂である変性PPE系樹脂を基材樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層(室内側非発泡層12および室外側非発泡層14)が積層され、室内側非発泡層12の表面に熱可塑性樹脂接着剤層22を介して、通気性表皮材20および多層繊維体24からなる積層表皮材26が積層され、室外側非発泡層14の表面に接着剤層16を介して異音防止層18が積層されてなる。
本発明における発泡層10の基材樹脂として使用される変性PPE系樹脂中のPPE系樹脂としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレンー1,4−エーテル)、 ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)等があげられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
本発明における発泡層10の基材樹脂として使用される変性PPE系樹脂中のPS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン等を主成分とする樹脂である。したがって、PS系樹脂は、スチレンまたはスチレン誘導体だけからなる単独重合体に限らず、他の単量体と共重合することにより得られた共重合体であってもよい。
また、前記PPE系樹脂に重合、好ましくはグラフト重合させるスチレン系単量体の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。これらのうちではスチレンが、汎用性、コストの点から好ましい。
本発明における発泡層10に使用される基材樹脂である変性PPE系樹脂のPPE系樹脂とPS系樹脂との混合割合(PPE系樹脂とPS系樹脂との合計が100重量部)は、PPE系樹脂25〜70重量部およびPS系樹脂75〜30重量部が好ましく、PPE系樹脂35〜60重量部およびPS系樹脂65〜40重量部がより好ましく、PPE系樹脂38〜58重量部およびPS系樹脂62〜42重量部がさらに好ましい。変性PPE系樹脂中のPPE系樹脂が25重量部よりも少ないと、耐熱性が劣る傾向にあり、PPE系樹脂が70重量部よりも多いと、加熱流動時の粘度が上昇し発泡成形が困難になる傾向がある。
本発明の発泡層10を得る際に使用される発泡剤としては、炭化水素系発泡剤が好ましく、例えば、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロフロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロジフロロエタンなどがあげられる。これらのなかでも、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等の発泡剤の溶解度を示すKB値が20以上50以下であることが好ましい。特に、イソブタン及びイソブタンとノルマルブタンの混合体であって、イソブタンの比率の高いものが発泡剤の適度な溶解性および発泡剤の逸散性が小さく、発泡層の経時変化に伴う発泡性の変化が小さいことから好ましい。
また、この範囲よりもKB値の高いものと低いものとを2種以上適宜混合して、前記範囲としたものも使用することができる。 本発明の発泡層10を得る際の炭化水素系発泡剤の使用量は、変性PPE系樹脂100重量部に対して、2〜5重量部であることが好ましい。炭化水素系発泡剤の使用量が2重量部より少ないと、成形時のニ次発泡倍率が低くなりすぎることも有り得、良好な成形性を得るのに影響を与える傾向があり、5重量部を超えると、押出発泡が不安定になったり、発泡シートの表面荒れが発生する傾向がある。
本発明における変性PPE系樹脂発泡層10(1次発泡層)の厚さとしては、1〜5mmが好ましく、1.5〜3.5mmがより好ましい。1次発泡層の厚さが1mm未満では、強度および断熱性に劣り自動車内装材用発泡積層シートとして適当でない場合がある。一方、5mmを超えると、成形加熱時に熱がかかる際に発泡(2次発泡)するが、発泡層10の厚み方向の中心部まで伝わり難く、そのため充分な加熱が行なえず、成形性が悪くなる場合がある。また、充分な加熱を行うべく加熱時間を長くすると、発泡層表面のセルに破泡等が生じ、製品として許容できるものが得られ難くなる場合がある。
本発明における変性PPE系樹脂発泡層10(1次発泡層)の発泡倍率は、3〜20倍が好ましく、5〜15倍がより好ましい。1次発泡層の発泡倍率が3倍未満では、柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易い傾向があり、また、軽量化の効果が少ない。1次発泡層の発泡倍率が20倍を越えると、強度が低下したり、中心部まで加熱しにくいために成形性が低下する傾向がある。
本発明における変性PPE系樹脂発泡層10(1次発泡層)の独立気泡率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。独立気泡率が70%未満では、断熱性、剛性に劣ると共に、成形加熱によって目的とする2次発泡倍率を得ることが困難となり、成形性に劣る傾向がある。
本発明における変性PPE系樹脂発泡層10(1次発泡層)のセル径、0.05〜0.9mmが好ましく、0.1〜0.7mmがより好ましい。セル径が0.05mm未満では、充分な強度が得られ難くなる傾向があり、0.9mmを超えると、断熱性に劣る傾向がある。
本発明における発泡層10(1次発泡層)中の残存揮発成分量は、発泡層全重量に対して1〜5重量%が好ましく、2〜4重量%がより好ましい。残存揮発成分量が1重量%未満では、2次発泡倍率が低くなりすぎることも有り得るため、良好な成形性を得るのに影響を与える場合がある。また、残存揮発成分量が5重量%を越えると、非発泡層との間に空気だまりが発生したり、経時による寸法安定性が悪くなる傾向がある。
なお、残存揮発成分の量は、ガスクロマトグラフィーにより測定しても良いが、通常、発泡層試験片を、変性PPE系樹脂が軟化し始める温度以上、かつ変性PPE系樹脂の分解温度以下の温度範囲で加熱して、揮発成分を充分に揮発させ、加熱前後の重量差により測定することができる。
本発明において使用される発泡層10の基材樹脂には、必要に応じて気泡調整剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤等を添加してもよい。
本発明に係る自動車内装材用基材には、発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂の非発泡層12および14が積層される。これら非発泡層12および14のうち、室内側非発泡層12は、その一方の表面に積層される積層表皮材26の加熱収縮を抑制する働きと、他方の表面にある発泡層10が成形時に延伸され扁平となったセルが加熱時に扁平率を解消する方向に形状を変化させることによる加熱収縮を抑制する働きを有する。また、室外側非発泡層14は、発泡層10の加熱収縮を抑制する働きを有する。
ここで、発泡層10の加熱収縮は、セル形状、養生によるセル内圧の変化、独立気泡率、加熱温度等により大きく影響され、その収縮を制御することは非常に困難である。しかしながら、高温下での成形体の変形は発泡層10の加熱収縮に大きく左右されるため、発泡層10の加熱収縮を発泡層10の両面に積層された非発泡層12および14により抑制することが重要となる。
他方、本発明の非発泡層には、2次発泡させた積層シートを自動車内装材として成形する際のパンチング加工や、積層シートや成形体を輸送する際に、非発泡層12または14の割れなどを防止する観点から、ゴム成分が含有される。非発泡層中のゴム成分の含有量は、耐熱樹脂100重量部に対して、0.3〜15重量部が好ましく、0.4〜13重量部がより好ましく、0.6〜11重量部がさらに好ましい。
本発明におけるゴム成分としては、天然ゴム、合成ゴムのようなゴムや、ゴム粒子のまわりにスチレン、メチルメタクリレートなどのオレフィン二重結合を持つ単量体をグラフト重合させたものなどが好適に使用される。ゴムの具体例としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴムなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうちでも、PS系樹脂、耐熱PS系樹脂、変性PPE樹脂との相溶性の高さ、汎用性などの観点から、スチレン−ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
本発明において、発泡層10の加熱収縮率を制御するためには、非発泡層は剛性が大きいほど効果があり、非発泡層12および14の剛性は、非発泡層中に含まれるゴム成分量が少なくなるほど大きくなる傾向がある。
しかしながら、非発泡層中に含まれるゴム成分量を少なくすると耐衝撃性が悪化するため、非発泡層中のゴム成分量の調整が重要となる。
本発明における非発泡層を構成する耐熱性樹脂中のゴム成分の含有量を、室内側非表面層12と室外側非表面層14とで差を設け、室内側非表面層12のゴム含有量を室外側非表面層14のゴム含有量よりも少なくすることが好ましい。
すなわち、室外側非発泡層14は表皮材等緩衝材が積層されていないため、ゴム成分量を少なくして耐衝撃性を悪化させると、トリミング時の割れの発生等の問題が生じる。このため、室外側非発泡層14には適当量のゴム成分が必要となる。
これに対して、室内側非発泡層12は、熱可塑性樹脂接着剤層22を介して積層表皮材26が積層され、積層表皮材26が緩衝材としての働きを担う為、ゴム成分が実質的に含めれなくてもトリミング時の割れの発生等などの問題はない。ここで、実質的にゴム成分が含まれないとは、上記効果を満たす範囲でゴム成分が含まれる場合をいい、例えば、0.3〜3重量部であり、好ましくは0.3重量%以上1.5重量%未満であり、より好ましくは0.3重量%以上0.8重量%未満である。
一方、高温下での成形体の変形は、非発泡層12および14に存在する残留歪みが緩和することによっても発生すると考えられる。非発泡層12および14の残留歪みを低減させるためには、成形温度を高くすること、また、非発泡層12および14の耐熱性を下げることが有効と考えられるが、成形温度を高くすると、発泡層10で破泡が生じたり、表面荒れや非発泡層の剥離が発生する可能性がある。また、非発泡層12および14の耐熱性を下げると、発泡層の収縮を制御することが困難になる可能性がある。
これに対して、本発明においては、非発泡層12および14のガラス転移温度を発泡層10のガラス転移温度よりも低い温度とすることにより、成形性および耐熱性がより一層優れた積層シートが得られることができる。
ここで、発泡層10に対して、非発泡層12および14のガラス転移温度をどの程度低くするかは、得られる自動車内装材用基材に要求される耐熱温度、および該基材を成形するに際しての成形温度及び成形方法等により適宜に設定されるものである。
本発明において非発泡層12および14に用いられる熱可塑性樹脂としては、PS系樹脂、耐熱PS系樹脂、変性PPE系樹脂などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いられるが、発泡層10の基材樹脂との接着性の観点から、変性PPE系樹脂、耐熱PS系樹脂が好ましく使用される。
本発明における室内側非発泡層12および室外側非発泡層14は、同一基材樹脂からなる熱可塑性樹脂であっても良く、相互に異なる基材樹脂からなる熱可塑性樹脂であっても良い。例えば、室内側非発泡層12および室外側非発泡層14が、共にPPE系樹脂、あるいは、室内側非発泡層12が耐熱PS系樹脂、室外側非発泡層14がPPE系樹脂など、要求される性能や、コスト等により適宜選択される。
前記非発泡層を構成する樹脂の内、例えば、室内側非発泡層12として変性PPE系樹脂を、室外側非発泡層14として耐熱PS系樹脂を用い、発泡層10として変性PPE系樹脂を用いる場合、室内側非発泡層12および室外側非発泡層14のガラス転移温度は発泡層10のガラス転移温度の5℃〜50℃以下であることが好ましい。
本発明における室内側非発泡層12として変性PPE系樹脂を使う場合は、上述の発泡層10の場合と同様に、PPE系樹脂に対してスチレン系化合物を主体とする単量体またはその重合体で重合または混合による変性を行ったものであり、例えば、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂、PPE系樹脂にスチレン系単量体を重合させたPPE−スチレン共重合体、この共重合体とPS系樹脂またはPPE系樹脂との混合物、その共重合体とPPE系樹脂とPS系樹脂との混合物などが挙げられる。これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂が、製造が容易であるなどの点から好ましい。
これらPPE系樹脂、PS系樹脂またはスチレン系単量体の具体例や好ましいものの例示や、PS系樹脂やスチレン単量体と重合可能な単量体の具体例、それを使用する理由などは、発泡層10において説明した場合と同様である。ただし、PS系樹脂の好ましい具体例として、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)で代表されるスチレン−ブタジエン共重合体が、非発泡層12および14の耐衝撃性改善効果が大きいという点から好ましい。
本発明における室外側非発泡層14として耐熱PS系樹脂を使う場合は、使用される耐熱PS系樹脂としては、スチレンまたはその誘導体と他の単量体との共重合体であり、耐熱性の改善効果を有し、スチレンまたはその誘導体と共重合可能な単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体およびその酸無水物、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル化合物またはその誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
また、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させる際に、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加して重合させたものと、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体およびその酸無水物、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル化合物との共重合体であってもよい。このうちでは、スチレン−無水マレイン酸系共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタアクリル酸系共重合体およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体が、耐熱性改善効果、汎用性、コストの面から好ましい。
耐熱PS系樹脂は単独で用いても良く、あるいは2種類以上組み合わせても良い。また、耐熱PS系樹脂は他の熱可塑性樹脂とブレンドして用いてもよく、ブレンドする熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、HIPS、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミドやそれらの共重合体などがあげられる。このうちでは汎用性、均一分散が可能であること、非発泡層の耐衝撃性改善効果が大きいこと、コストの面等からHIPSが好ましい。HIPSとしては公知のものが使用でき、ゴム成分の含有量は通常1〜15重量%である。
本発明における非発泡層12および14の厚みは、50〜300μmが好ましく、75〜200μmがより好ましい。非発泡層の厚さが50μmより薄いと、強度、剛性、耐熱性などが低下する傾向があり、300μmより厚いと、発泡積層シートの成形性が劣る傾向にある。
本発明における非発泡層を構成する耐熱性樹脂には、必要に応じて、充填剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤等を単独又は2種以上組み合わせて添加してもよい。
本発明に係る自動車内装材は、図1〜3に例示するように、接着剤層16を介さずに(図1および2)、または、、室外側非発泡層14の表面に接着剤層16を介して(図3)異音防止層18が設けられている。この異音防止層18は、基材樹脂がポリオレフィン系樹脂であってフィルムの場合には、異音防止効果を有するので、以下異音防止フィルムと表現することがある。すなわち、この異音防止フィルムは、自動車に装着した場合、車内をクーラー等で急冷した際、また、凹凸のある路面での走行中や急カ−ブでの走行中に発生する異音を防止するのに効果を発揮する。
本発明における異音防止フィルムの基材樹脂としては、摺動性に優れる結晶性樹脂であるポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール系樹脂が好ましい。更に好ましくは、コスト、汎用性、フィルム加工の容易さから、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
本発明における異音防止フィルムの基材樹脂として使用されるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等の単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンとメタアクリレート、アクリレート、ブテン等のオレフィンと共重合できる単量体との共重合体、またこれらの混合物等からなるポリエチレン系樹脂、プロピレンの単独重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレンとメタアクリレート、アクリレート、ブテン等のオレフィンと共重合できる単量体との共重合体、またはこれらの混合物等からなるポリプロピレン系樹脂が好ましい。これらの中では、摺動性が良好で、しかも材料費が安価である点から、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン、ホモポリプロピレン、あるいはエチレン−プロピレン共重合体がさらに好ましい。
また、異音防止フィルムをカーボンブラック等の顔料などの着色剤で着色することにより、耐光性を増すことが可能となるので、サンルーフを有する車等には好ましい。
異音防止フィルムを非発泡層14に積層する方法としては、接着剤層16を介さずに積層する方法(図1および2)、接着剤層16を介して積層する方法(図3)があげられる。
異音防止フィルムを非発泡層14に接着剤層16を介さずに積層するには、次に示すように積層フィルムからなる異音防止フィルムを使用するのが好ましい。すなわち、ポリオレフィン系樹脂フィルム−ポリスチレン系樹脂フィルムからなる積層フィルムを用い、耐熱PS系樹脂からなる非発泡層14に対して効果的な熱接着が可能なポリスチレン系樹脂を基材樹脂とするフィルムを室内側に配し、室外側に摺動性に優れるポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とするフィルムを配し、この積層フィルムを、耐熱PS系樹脂からなる非発泡層14に熱接着するのが好ましい。
接着剤層16を介して積層する際に、使用される接着剤層としては、少なくとも分子間力、水素結合、共有結合等の化学的な結合で非発泡層14と異音防止フィルムを接着させる働きを有するものが用いられる。
接着剤層16の具体例としては、例えば、酢酸ビニル系、セルロース系、アクリル系、ポリアミド系、ポリビニルアセテート系等の熱可塑性接着剤、ウレタン系、メラミン系、フェノール系、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、シリコーンゴム系等のゴム系接着剤、でんぷん、たん白質、天然ゴム等の天然物系接着剤、ホットメルト接着剤があげられる。また、ホットメルト接着剤の具体例としては、ポリオレフィン系、変性ポリオレフィン系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、ポリアミド系、ポリエステル系、熱可塑性ゴム系、スチレン−ブタジエン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系等などの樹脂を成分とする物があげられる。
ポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とするフィルムの厚さとしては、10〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とするフィルムの厚さが10μmより薄いと、異音防止効果が得られない場合がある。一方、100μmより厚いと、ポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とするフィルム層の成形時の歪みによって、内装材に耐熱変形が生じたり、コストが無駄に増加したりする場合がある。
ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とするフィルムの厚さとしては、10〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とするフィルムの厚さが10μmより薄いと、室外側非発泡層14との安定した接着性が得られない場合がある。一方、100μmより厚いと、大量の熱量を与えれば非発泡層14との安定した接着性を得ることができるが、大幅な生産性の低下を引き起こしたり、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とするフィルム層の成形時の歪みによって、内装材に耐熱変形が生じる懸念がある。
本発明においては、異音防止層18は、不織布層として設けることもできる。異音防止用不織布層は、自動車に装着した場合、車内をクーラー等で急冷した際、また、凹凸のある路面での走行中や急カ−ブでの走行中に発生する異音を防止するのに効果を発揮する。
一方で、本発明の自動車内装材は、異音防止用の不織布を介して自動車に装着されるため、特に非発泡層と異音防止用の不織布の界面において、自動車内装材の自重を支え、長期間の使用、過酷な環境下の使用においても脱落のない安定な接着性が求められる。
本発明における異音防止用不織布層は、原料繊維を、接着剤、溶融繊維あるいは機械的方法により接合させた布状物であれば、いずれの種類でも用いることができる。原料繊維の種類も特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、あるいは天然繊維のいずれも用いることができる。具体的には、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル等の合成繊維や、羊毛、木綿、セルロース等の天然繊維を使用することができる。これらの中でも、リサイクル性等の観点から、ポリエステル繊維が好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。これらの繊維は、単独で使用することも、2種以上組み合わせて使用することもできる。不織布の種類は、その製造加工方法により、接合バインダー接着布、ニードルパンチ布、スパンボンド布、スプレファイバー布、ウォーターパンチ布、あるいはステッチボンド布が挙げられ、いずれの不織布も用いることができる。このうち、長繊維フィラメントからなるスパンボンド布、ウォーターパンチ布が好ましい。フィラメントがけん縮性があり、強度が高く、柔らかな風合いを有し、音を吸収するのに都合がよい。
本発明における異音防止用不織布層は、品質及びコストを考慮すると、10〜60g/m2の目付を有していることが好ましく、20〜40g/m2の目付を有していることがより好ましい。異音防止用不織布層の目付が10g/m2未満では、不織布層を設けた箇所において、室外側非発泡層14の表面が部分的に露出し、有効な異音防止効果などは得られないことがある。一方、目付が60g/m2を超えると、不織布層の成形歪みによって、内装材に耐熱変形が生じたり、コストが無駄に増加したりする場合がある。
本発明における異音防止用不織布層18を室外側非発泡層14に積層する方法としては、接着剤層16を介さずに積層する方法(図1および2)、異音防止フィルムと同様に接着剤層16を介して積層する方法(図3)があげられる。
異音防止用不織布層18を室外側非発泡層14に接着剤層16を介さずに積層する場合においては、前記したごとき室外側非発泡層14の基材樹脂を加熱して溶融させ、溶融した室外側非発泡層14の基材樹脂を、発泡層10と不織布層18との間で圧することにより、室外側非発泡層14の基材樹脂が適度に異音防止用不織布層18に染み込み、このことで生ずるアンカー効果によって良好な接着性を得るのが好ましい実施態様である。このようにして圧着された異音防止用不織布層は、自動車に装着され、長期間の使用、過酷な環境下での使用においても脱落のない安定な接着を得ることができる。
接着剤層16を介して積層する際に、使用される接着剤層としては、少なくとも分子間力、水素結合、共有結合等の化学的な結合で室外側非発泡層14と異音防止フィルムを接着させる働きを有するものが用いられる。
接着剤層16の具体例としては、酢酸ビニル系、セルロース系、アクリル系、ポリアミド系、ポリビニルアセテート系等の熱可塑性接着剤、ウレタン系、メラミン系、フェノール系、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤、クロロプレンゴム系、二トリルゴム系、シリコーンゴム系等のゴム系接着剤、でんぷん、たん白質、天然ゴム等の天然物系接着剤、ホットメルト接着剤があげられる。また、ホットメルト接着剤の具体例としては、例えば、ポリオレフィン系、変性ポリオレフィン系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、ポリアミド系、ポリエステル系、熱可塑性ゴム系、スチレン−ブタジエン共重合体系(以下、「SB系」と称す)、スチレン−イソプレン共重合体系などの樹脂を成分とするものがあげられる。
本発明の自動車内装材用基材は、例えば、室内側非発泡層12の表面に熱可塑性樹脂接着剤層22を介して、図2および3に示すように、通気性表皮材20および多層繊維体24からなる積層表皮材26が、または、図1に示すように、単層表皮材27が積層されている。
本発明においては、積層表皮材26を積層することにより、高周波域(例えば4000Hz以上)の吸音特性の優れた内装用基材及び内装材を得ることができる。
本発明においては、単層層表皮材27を積層することにより、難燃性の熱可塑性樹脂被膜を用いることなく、製造コストを抑えつつ良好な難燃性が得ることができる。
本発明における熱可塑性樹脂接着剤層22としては、室内側非発泡層12の構成樹脂と相溶性の熱可塑性樹脂が使用され、具体例としては、PS系樹脂、耐熱PS系樹脂、変性PPE系樹脂、SB系樹脂および酸変性SB系樹脂があげられる。この中でも、加工性、汎用性およびコストの点から、PS系樹脂、SB系樹脂およびカルボキシ変性SB系樹脂が特に好ましい。
接着樹脂としてのPS系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、例えば、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン等を主成分とする樹脂である。従って、PS系樹脂はスチレンまたはスチレン誘導体だけからなる単独重合体に限らず他の単量体と共重合することによって作られた共重合体であってもよい。
接着樹脂としてのSB系樹脂は、スチレンまたはその誘導体とブタジエンの単量体の共重合体であり、単量体の比率による組成以外に、ブタジエンの二重構造に基づく分子構造(1,2付加構造、1,4付加構造(シスおよびトランス)、橋掛け構造)を持ち、ゴム的な性質は、1,4付加構造から齎されている。橋掛け構造は多すぎるとゴム的な伸び特性を失い、少ないと耐溶剤性等の特性が発揮されないため、この橋掛け構造の量調整、分子量の設計により最終的な樹脂物性が設計される。
接着樹脂としてのカルボキシ変性SB系樹脂は、スチレンおよびブタジエンの単量体と不飽和カルボン酸の単量体の共重合体であり、使用される不飽和カルボン酸の単量体としては、一塩基酸および二塩基酸のいずれを使用することも可能で、例えばマレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等があげられる。
接着剤層22としてSB系樹脂またはカルボキシ変性SB系樹脂を使用する際は、室内側非発泡層12の構成樹脂と相溶性を有し、高温下においても積層表皮材26が剥離することの無い耐熱性を有するものが好ましく、具体的には、樹脂中のスチレン系成分含有量が60重量%以上のものが好ましい。
熱可塑性樹脂接着剤層16と積層表皮材26または単層表皮材27の接着方法としては、(イ)接着樹脂希釈溶液(ラテックス)を室内側非発泡層12表面に塗布し、未乾燥状態の塗布面に積層表皮材26または単層表皮材27を積層した状態で乾燥し、仮接着させた後、加熱プレスすることにより接着させる方法、(ロ)積層表皮材26または単層表皮材27に予め接着樹脂希釈溶液を塗布し、未乾燥状態の塗布面に室内側非発泡層12を積層した状態で乾燥し、仮接着させた後、加熱プレスすることで接着させる方法、(ハ)積層表皮材26または単層表皮材27に予め接着樹脂希釈溶液を塗布し乾燥させ、塗布面と室内側非発泡層12が接するように配置して、加熱プレスすることで接着させる方法、(ニ)接着樹脂希釈溶液を室内側非発泡層12表面に塗布し乾燥させ、塗布面と積層表皮材26または単層表皮材27が接するように配置して、加熱プレスすることで接着させる方法、ホ)接着樹脂接着剤層の構成樹脂希釈溶液を室内側非発泡層12表面および積層表皮材26または単層表皮材27に塗布し乾燥させ、塗布面同士が接する様に配置して、加熱プレスすることで接着させる方法、(ヘ)積層表皮材26または単層表皮材27に予め接着樹脂希釈溶液を塗布し、乾燥させ乾燥状態の塗布面に溶融状態にある室内側非発泡層12が接する様に発泡層10と積層表皮26または単層表皮材27で挟み込み圧着させることで積層接着させる方法、等があげられる。
接着樹脂の希釈溶液は、有機溶剤を使用したものも使用可能であるが、表皮材の表面近傍に接着剤層を偏在させることが可能なこと、作業環境負荷の低減の点から、水を溶剤として使用した樹脂エマルジョンタイプであるラテックスが特に好ましい。
ラテックスとしては、カーペットバッキング用、塗工紙用、不織布繊維処理用として当業者に知られるいずれのラテックスを使用することが可能である。ラテックス原液中の固形分濃度としては、通常40重量%以上であるが、塗布量および塗布方法にあわせ、任意に水で希釈した後使用することが可能である。但し、ラテックス水希釈溶液の固形分濃度が低すぎると、工程内での乾燥が不十分となり、接着不良を引き起こす可能性があるため20重量%以上が好ましい。
ラテックスの塗布方法としては、各種ロールコーター、スプレー、泡噴霧等の方法があげられ、塗布量、塗布面の形状により選択される。
ラテックスには、配合添加剤として、必要に応じて、安定剤、老化防止剤、加硫促進剤、分散剤、充填剤、増粘剤、着色剤、消泡剤、ゲル化剤、凍結防止剤、軟化剤、増粘樹脂等が含まれる。
PS系樹脂ラテックス、SB系樹脂ラテックスおよびカルボキシ変性SB系樹脂ラテックスは、単独の使用も可能であるが、内装材としての種々の要求特性を満たすためには、数種のラテックスを混合して使用することが好ましい。
熱可塑性樹脂接着剤層22の構成樹脂塗布量は、使用する熱可塑性樹脂の種類、必要とされる積層表皮材26または単層表皮材27との接着強度により任意に選択されるが、一般的に1m2当たり0.5〜20gが好ましく、は3.0〜10gがより好ましい。熱可塑性樹脂接着剤層22の構成樹脂塗布量が0.5gより少ないと、接着性の改善効果が発現されない可能性が有り、熱可塑性樹脂接着剤層22の構成樹脂塗布量が20gより多いと、成形時に積層表皮材26または単層表皮材27より熱可塑性樹脂接着剤層22が染み出して金型を汚染する可能性がある。
本発明における積層表皮材26を構成する多層繊維体24は、繊維を層状に多層に配置された状態に形成されたものである。多層繊維体24は、平面の一方向から繊維を供給し、解きほぐしながらマット状にしたものを何層にも層状に重ね、熱風を吹き付ける、ニードルパンチング加工を施すなどにより一体化して得られるものをいう。よって、一般の不織布を製造する際の前工程であるウェブの製造と同様の方法等によって得られるものである。ただし、多層繊維体24を得るための前述した製造方法はその一例であって、繊維を層状に多層に配置された状態に形成する方法であれば、特に制限されることはない。
また、本発明でいう繊維の交差程度が大きい(クロス率の高い)多層繊維体とは、一般的な平面一方向から繊維を供給するのとは異なり、平面流れ方向および巾方向の両方向から繊維を供給し、解きほぐしながらマット状にしたものを何層にも層状に重ね、熱風を吹き付ける、ニードルパンチング加工を施すなどにより一体化して得られるものをいう。クロス率の高い多層繊維体24についても、これらの製造方法はその一例であって、繊維を層状に多層に配置された状態に形成する方法であれば特に制限されることはない。
本発明の繊維を層状に形成して得られる多層繊維体24の素材としては、原料繊維の種類も特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、天然繊維あるいは再生繊維のいずれをも用いることができる。
本発明でいう合成繊維とは、合成繊維と半合成繊維とを含めた概念で用いている。合成繊維の具体例としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリアミド(ナイロン)系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維等があげられる。また、バインダーとしての機能をもつ熱融着性繊維を混合して用いることもできる。
本発明における半合成繊維の具体例としては、例えば、セルロース系繊維、蛋白質系繊維等があげられ、これら繊維の1種または2種以上混合したものを使用することができる。
本発明における再生繊維の具体例としては、例えば、レーヨン系繊維、特殊レーヨン系繊維、キュプラ等があげられ、これら繊維の1種または2種以上混合したものを使用することができる。
上記した不織布を構成する原料繊維の中でも、強度、耐熱性、耐光性及び燃焼性の点から、合成繊維としては、ポリエステル系繊維を使用することが好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が最も好ましい。更に、該合成繊維に混紡する再生繊維として、レーヨン系繊維が経済性の面で最も好ましい。
本発明における原料繊維としては、コストおよび加工性を鑑みた場合、ポリエステル系繊維が好ましく、加熱成形時の形状維持性が良い点から、ポリエチレンテレフタレート繊維がより好ましい。
更に、過酷な加熱成形プレス(例えば、表皮一体加熱成形)に晒される場合には、レーヨン等の再生繊維または天然繊維を混合することが、加熱成形時の形状維持性が改善される点から、好ましい。さらに、コストおよび加工性も鑑みた場合、レーヨン等の再生繊維または天然繊維を20%〜80%混合することが好ましく、40〜70%混合することがより好ましい。
本発明における多層繊維体24には、バインダーとして熱融着性繊維を使用することが好ましい。熱融着性繊維の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、低融点(例えば、60℃〜180℃程度)ポリエステル(以下、単に「低融点ポリエステル」と呼ぶことがある)、ポリアミド等の繊維や、低融点ポリオレフィンやポリエステル系繊維を鞘成分に、高融点ポリエステル系繊維を芯成分とする芯鞘型の繊維が好ましく、合成繊維としてポリエチレンテレフタレートを使用した際は、同種ポリマーである低融点(例えば、60℃〜180℃程度)ポリエステル系繊維(芯鞘型繊維も含む)を用いた方が、リサイクル性等から特に好ましい。繊維体全体における熱融着性繊維の混合量としては、5〜30%が好ましい。繊維体全体における熱融着性繊維の混合量が30%より多いと、繊維同士の結束力の増大や繊維塊の発生により、繊維部の振動が抑制されることによる吸音性能の低下を招いたり、繊維体の厚みばらつきを生じる場合がある。また、混合量が5%未満では、熱融着性繊維を混合する効果が認められない場合がある。
本発明における多層繊維体24を構成する繊維の太さとしては、1デニール(1.1デシテックス)〜10デニール(11.1デシテックス)が好ましく、2デニール(2.2デシテックス)〜7デニール(7.7デシテックス)がより好ましい。繊維の太さが1デニール未満では、繊維配向の形状維持性が悪くなったり、繊維体全体のへたりが大きくなる傾向がある。また、10デニールより大きいと、繊維体中の繊維間隙が大きくなり、入射音波の垂直透過性が増し吸音性能の低下を招いたり、繊維間のバラけ、皺等を招く場合がある。
本発明における多層繊維体24を構成する繊維目付けとしては、50〜300g/m2が好ましく、コスト、実用性、軽量性から、100〜200g/m2が特に好ましい。
上記素材を用いて多層繊維体24を製造するには、一般の不織布を製造する際の前工程であるウェブの製造と同様の方法を採用することができる。
すなわち、例えば、前記したように、平面一方向から繊維を供給し、解きほぐしながらカード方式によりマット状にしたものを何層にも層状に重ね、熱風を吹き付ける、ニードルパンチング加工を施すなどにより一体化して得ることができる。
また、本発明でいうクロス率の高い多層繊維体24についても、例えば、前記したように、一般的な平面一方向から繊維を供給するのとは異なり、平面流れ方向と巾方向の両方向から繊維を供給し、解きほぐしながらカード方式によりマット状にしたものを何層にも層状に重ね、熱風を吹き付ける、ニードルパンチング加工を施すなどにより一体化して得ることができる。
通常の不織布の製造においては、上述のようにして得られた多層繊維体24に対して、さらにニードルパンチング加工等によって、該多層繊維体24を構成する繊維同士を絡み合わせる。該多層繊維体24を構成する繊維同士を絡み合わせることにより、剛性、加工性、寸法安定性といった実用特性が付与される。
しかしながら、通常の不織布の製造方法では、上記ニードルパンチング加工の工程によってほぼ平面配置されていた繊維は、殆どが厚みと平行な方向に再配置されてしまう。このことにより、入射音に対して垂直透過性が増大し、単純に入射した音がそのまま反射される率も増大することで大幅な吸音性能の低下を招く結果となってしまう。
そのため、カード方式によりマット状とすることにより得られた繊維を層状に多層に配置された状態に形成された多層繊維体24は、前記ニードルパンチング加工工程において、通常よりもニードルパンチの数を少なくし、深さを浅くする方向で調整し、平面配置された繊維を多く残すことにより、平面配置された繊維量、すなわち平面率の大きい多層繊維体24を得ることが出来る。
本発明においては、多層繊維体24と通気性表皮材20とを積層する方法によっては、繊維の配置が変化することもあるが、多層繊維体24と通気性表皮材20とを積層した後において、最終的に、多層繊維体24中の繊維の平面方向へ配置された繊維量(平面率)が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、66%以上であることがさらに好ましい。多層繊維体24中の繊維の平面率を50%以上とすることにより、ランダムな方向へ配置された繊維よりも、平面方向へ配置された繊維が多い構造となり、入射する音に対して繊維積層構造が効率的に働き良好な吸音性が発現する。
更に、多層繊維体24を製造する際の繊維の供給において、流れ方向への供給と、その直角方向への供給における交差の程度(クロス率)を大きくした多層繊維体24は、繊維同士の交絡性が向上していることから、吸音性の発現に対しても有効であり、大きな効果を発揮する。
本発明における多層繊維体24のクロス率は、50〜200%が好ましく、繊維同士の交絡性が向上していることから吸音性能の発現に対しても有効であり大きな効果を発揮する、75〜150%がより好ましい。
本発明の多層繊維体24は、平面率を高く調整したり、クロス率を大きく調整することにより、もっぱら吸音性能を高めることを目的としていることから、通常の不織布表皮材に比して、吸音性能は高いものの、表面性も意匠性もどちらかというと不十分となりやすく、表皮材としての機能を持つに至らない場合がある。
このため、本発明においては、多層繊維体24は、通常の表面性も意匠性の優れた通気性表皮材20と積層一体化することにより、表皮材としての機能を付与し、合わせて本発明の目的である吸音性能をも付与することが可能となる。
なお、多層繊維体24と通気性表皮材20とを積層する方法によっては、繊維の配置が変化し、平面率に影響する場合がある旨を上に記述したが、それは、次のことを意味する。すなわち、後述するように多層繊維体24と通気性表皮材20とを接着剤で積層する場合には、多層繊維体24の繊維の配置すなわち平面率が変化することはないが、多層繊維体24と通気性表皮材20とをニードルパンチング加工により積層する場合には、多層繊維体24の繊維の配置は変化する。しかし、本発明における多層繊維体24の平面率は多層繊維体24と通気性表皮材20とを積層した後の最終的な多層繊維体24の平面率をいうということを述べたものである。
次に、通気性表皮材20および単層表皮材27としては、上記多層繊維体24と同じもの、類似のものを用いても良いが、通気性表皮材20および単層表皮材27は、表皮材として室内側ないしは表面側に露出して使用されることになるので、多層繊維体よりも装飾性、意匠性に優れたものを用いることはもちろんのこと、耐磨耗性等の内装材としての一般的な実用特性を加味する必要がある。つまり、従来の自動車内装材用表皮材として用いられるものが使用できる。その具体例としては、例えば、クロス、ニット、不織布からなるもの、ニットと不織布の構成体からなるもの、ニットとウレタンと不織布の構成体からなるもの等、自動車の内装材用の表皮材として不織布を構成要素としたものはいずれも用いることができる。
通気性表皮材20および単層表皮材27の主たる構成要素として機能する不織布層は、原料繊維を、接着剤、溶融繊維、あるいは機械的方法により接合または絡合させた布状物、シート状物であれば、いずれの種類でも用いることができる。
本発明において、通気性表皮材20および単層表皮材27としての不織布を構成する原料繊維としては、原料繊維の種類も特に限定されず、合成繊維(熱融着性繊維を含む)、半合成繊維、天然繊維あるいは再生繊維のいずれをも用いることができるが、合成繊維と再生繊維とを混合(本発明では、簡単に「混紡」と称する場合がある)して得られるものを用いることが好ましい。
合成繊維(熱融着性繊維を含む)、半合成繊維、天然繊維あるいは再生繊維の具体例としては、多層繊維体24で用いられるものと同様である。
不織布の種類は、その製造加工方法により、接合バインダー接着布、ニードルパンチ布、スパンボンド布、スプレファイバー布、ウォーターパンチ布、あるいはステッチボンド布が挙げられ、いずれの不織布も用いることができる。このうち、フィラメントがけん縮性があり、強度が高く、柔らかな風合いを有する点より、ニードルパンチ布、ウォーターパンチ布が好ましい。
本発明において、単層表皮材27として用いる不織布の好ましい態様としては、ポリエステル系繊維および再生繊維を混合するが、その場合の再生繊維の混合割合は、表皮材総重量の2〜15重量%の割合で再生繊維を混合することが好ましい。再生繊維の配合量が2重量%未満では、表皮材の難燃性の確保が困難となる傾向があり、15重量%を越えると、難燃性に優れるが、耐光性の悪化につながり易い傾向がある。
通気性表皮材20および単層表皮材27を構成する要素として用いるニットとしては、トリコット、ダブルラッセル、ビロード等、自動車内装材に使用されるものであればいずれも用いることができる。
ニットは、一本の糸を使用し、ループを連続的に平面的につづって編み上げたものであり、このループが集合した構造を有しているため、伸縮性に富み、柔軟性があり、しわや折り目がつき難く、多孔性のため保温性が優れており、比重が少なくボリューム感の割には軽い仕上がりを有することができる。ニットは編み方によりさまざまな風合いをもったものに仕上がり、特にトリコットはループを布の厚さ方向に連続してつづったものであるため、前述した特長のほかに、編み地がより緻密に仕上がり、フィット感に優れるため、自動車内装用に特に好ましく使用される。
ニットを構成する原料繊維は、前述した不織布と同様な合成繊維及び半合成繊維や天然繊維、再生繊維などが使用される。
本発明における通気性表皮材20の目付けは50〜300g/m2が好ましく、コスト、実用性、軽量性から、50〜150g/m2が特に好ましい。
本発明における単層表皮材27として用いる不織布は、品質およびコストを考慮すると、100〜300g/m2の目付けを有していることが好ましく、実用性、軽量性の観点から100〜200g/m2の目付けを有していることが好ましい。単層表皮材27の目付けが100g/m2未満では、内装材としての充分な感触を得ることができない場合がある。一方、300g/m2を超えると、表皮材の成形歪みが熱変形に影響を与える場合がある。
通気性表皮材20および単層表皮材27として用いる不織布の原料繊維を相互に接合させ、そして、表皮材の耐磨耗性を確保するために、接着剤としてバインダー樹脂を表皮材の表面又は裏面より塗布、塗工などにより、含浸させる方法が一般に行われている。この場合、一般的には、難燃性を確保するために、当該バインダー樹脂に難燃剤を混合して使用するかまたは、ハロゲン含有バインダー樹脂を用いる方法がとられる。しかしながら、こうした方法においては、難燃剤を含むバインダー樹脂または、ハロゲン含有バインダー樹脂を表皮材の意匠面(表面)より含浸しようとすると、難燃剤又は樹脂の影響により表皮材の調色が非常に困難となる。従って、難燃剤を含むバインダー樹脂、または、ハロゲン含有バインダー樹脂を含浸する場合においては、表皮材の意匠反対面(裏面)より含浸せざるを得ない。また、表皮の耐磨耗性を確保のため、難燃剤を含むバインダー樹脂、または、ハロゲン含有バインダー樹脂の量を増やさざるを得ない。
こうした事実に対し、本発明では、変成ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とする発泡積層シートを用い、かつ、表皮材として合成繊維中に再生繊維を混紡した不織布を用いることにより、難燃性が向上する。このため、不織布の原料繊維を接合させるバインダー樹脂として、難燃剤を含むバインダー樹脂、または、ハロゲン含有バインダー樹脂を用いることなく、難燃剤非含有バインダー樹脂、または、ハロゲン非含有バインダー樹脂を用いることが可能となる。
これらバインダー樹脂は透明性が良いことから調色性に優れており、不織布の意匠面(表面)より含浸でき、少量のバインダー樹脂の含浸のみで表皮材としての不織布の耐磨耗性を確保できるようになる。本発明ではこうした構成により、良好な難燃性が確保できると共に、軽量にして意匠性に優れ、環境適合性に優れた良好な表皮材が使用できる。
ここで、表皮材の意匠面(表面)というのは、本発明の自動車内装材用発泡積層シートを自動車内装材として使用した場合、自動車の室内側面という意味である。従って、表皮材の意匠反対面(裏面)というのは、自動車の室外側面という意味である。
バインダー樹脂としては、水溶性、溶剤可溶性、ビスコース液、エマルジョン、合成樹脂粉末などのタイプがあげられるが、耐水性、柔軟性、作業性の観点から、エマルジョンのものが好ましい。エマルジョンタイプとして、アクリロ・ニトリル・ブタジエンラテックス、スチレン・ブタジエンラテックス、アクリレート・ラテックス、酢酸ビニル系ラテックスなどが用いられ、これらは1種または2種以上の混合物としても用いることができる。
本発明において、通気性表皮材20として不織布が用いられる場合、上記多層繊維体24と同一の製造工程で製造することができる。ニードルパンチング加工におけるパンチング回数・ニードルストロークを調整することで繊維同士の交絡を高めて繊維体剛性を上げて意匠性や耐磨耗性を付与することができる。更に、意匠性や耐磨耗性を付与することができる。
本発明における通気性表皮材20と多層繊維体24との積層方法としては、接着剤を用いて積層する方法、または軽くニードリング加工する方法、熱融着性繊維混合し加熱融着により積層する方法等が一般に用いることができる。更に、これらの積層方法の2種以上を併用して積層一体化することもできる。
通気性表皮材20と多層繊維体24との積層の際に使用される接着剤としては、吸音性を発現させるため、通気性を有することが好ましい。通気性を有する接着剤層を介した接着方法としては、低融点ポリエチレン、低融点ポリエステル、ポリアミド等の網目状構造を有するが故に通気性を有する不織布タイプのホットメルト接着剤を介して、多層繊維体24と通気性表皮材を仮止めし、熱風を吹き付けることにより上述の通気性ホットメルト接着剤の溶融により加熱一体化させる方法や、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系の接着材層を介在させる方法や、アクリロニトリル・ブタジエン系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、アクリレート系ラテックス等のラテックスを通気性表皮材または多層繊維体24の被接着面表面に塗布し多層繊維体24と通気性表皮材を貼り合わせ圧着した後、乾燥させることにより一体化させる方法等があげられる。
なお、ラテックスを通気性表皮材20および/または多層繊維体24の被接着面に塗布し、乾燥して得られる接着剤層は良好な通気性を有している。
また、多層繊維体24の素材に含まれることもある上述のバインダー繊維の量を調整することにより、通気性表皮材20と多層繊維体24を接着する場合もある。
上記通気性表皮材20と多層繊維体24の接着方法は、単独で用いても良いし、複数の方法を組み合わせて用いても良い。
本発明における積層表皮材26としては、品質およびコストを考慮すると、100〜300g/m2の目付けを有していることが好ましく、成形延伸による透けの観点から125〜300g/m2の目付けを有していることが好ましい。積層表皮材27の目付けが100g/m2未満では、内装材としての充分な感触を得ることができない場合がある。一方、300g/m2を超えると、表皮材の成形歪みが熱変形に影響を与える場合がある。
本発明の積層表皮材26においては、通気性表皮材20および多層繊維体24の密度も、吸音性に大きな影響を与える。つまり、通気性表皮材20の密度は、多層繊維体24の密度の1倍以上が好ましく、さらには、通気性表皮材20および多層繊維体24の密度に差を設けることにより、いっそう吸音性改善効果が増すことができる。具体的には、通気性表皮材20の密度が、多層繊維体24の密度の1.5倍以上であることがより好ましい。以上のような密度の差を設けることにより、通気性表皮材20は、通気性表皮材としての機能が付与されると共に、積層表皮材26全体として高い吸音性能が発揮される。
更には、多層繊維体24は、低密度の方が好ましく、0.1g/cm3以下であることが好ましい。
次に、本発明の自動車内装材の製造法について説明する。
本発明において使用される発泡層10(1次発泡層)は、各種の添加剤を加えた変性PPE系樹脂を押出機により150℃〜400℃で溶融・混練し、次いで、150〜400℃、3〜50MPaの高温高圧下で該樹脂100重量部に対して炭化水素系発泡剤2〜5重量部を圧入した後、発泡最適温度(150〜300℃)に調節して、サーキュラーダイなどを使い低圧帯(通常は大気中)に押出した後、マンドレルなどに接触させて、例えば、0.5〜40m/分の速度で引き取りながらシート状に成形し、カット後、巻き取るなどの方法により製造することができる。
発泡層10に、室内側非発泡層12または室外側非発泡層14を積層する方法としては、熱ロールを用いて発泡層10表面にフィルムを熱融着させる熱ラミネート法、発泡層10表面にTダイにより溶融した樹脂を直接押出し、発泡層10表面にフィルムを成形する押出ラミネート法等がある。
ただし、発泡層10に、室外側非発泡層14および異音防止層18を積層する方法としては、予め発泡成形して、供給される発泡層10の上面または下面に、押出機から供給される溶融状態の室外側非発泡層14の基材樹脂を発泡層10と異音防止層18で挟み込む形で層状に積層し、冷却ローラーなどによって圧着する方法が好ましい。その理由としては、特に異音防止層18として異音防止用の不織布を使用する場合、室外側非発泡層14の基材樹脂が適度に不織布層に染み込み、アンカー効果によって良好な接着性が得られ、自動車に装着した際、長期間の使用、過酷な環境下での使用においても脱落のない安定な接着性が得られること、一工程で発泡層10、室外側非発泡層14、異音防止層18が同時に積層されるため、作業の繁雑さが解消されること、また、実質的に接着剤層を用いないため製造コストの増加を抑制することが可能であること、等が挙げられる。中でも、発泡層10の押出発泡シート成形と室外側非発泡層14の押出、異音防止層18をインラインで行って積層する方法が製造工程の簡略化できる点が望ましい。
積層表皮材20の発泡積層シートとの接着方法としては、熱可塑性樹脂接着剤層22による接着樹脂希釈溶液(ラテックス)を非発泡層12表面に塗布し、未乾燥状態の塗布面に積層表皮材26を積層した状態で乾燥し、仮接着させた後、加熱プレスすることにより接着させる方法があげられる。
得られた自動車内装材用基材から自動車内装材である成形した2次発泡積層成形体を成形する方法としては、上下にヒーターを持つ加熱炉の中央に発泡積層シートをクランプして導き、成形に適した温度(例えば、120〜200℃)に加熱して2次発泡させた後、温度調節した金型を用いて成形される。
成形方法の具体例としては、例えば、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの方法があげられる。
前述の(1次)発泡シートを加熱2次発泡させる際には、1次発泡シート[発泡倍率:3〜20倍、好ましくは5〜15倍、厚さ:1〜5mm、好ましくは、1.5〜3.5mm]に対して、通常1.2〜4倍に2次発泡させるが、さらには1.5〜3倍に2次発泡させるのが好ましい[この結果、2次発泡後のシート倍率は、3.6〜80倍、好ましくは7.5〜45倍、更に好ましくは10〜40倍、厚さは、1.2〜20.0mm、好ましくは、2.25〜10.5mm、更に好ましくは3.0〜7.0mmとなる]。
以上、本発明に係る自動車内装材用基材の実施態様を種々説明したが、本発明は、上述の態様に限定されるものではない。例えば、自動車内装材用基材は、用途として電車などの内装材用基材にも使用することができ、広義に解釈されるべきものである。その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施し得るものである。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
実施例および比較例に用いた樹脂を、表1に示す。
Figure 2007301774
なお、表1に示した原材料に関する各符号は、以下のとおりである。
PPE :ポリフェニレンエ−テル樹脂
PS :ポリスチレン樹脂
SMAA共重合体 :メタアクリル酸変性ポリスチレン樹脂
HIPS :ハイインパクトポリスチレン樹脂
PSラテックス :PS樹脂ラテックス
ASラテックス :スチレン−ブタジエン共重合体樹脂
カルボキシ変性SB :カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体樹脂
異音防止層 :PET系ウオーターニードル不織布
異音防止フィルム :線状低密度ポリエチレン系樹脂−ポリスチレン系樹脂積層フィル異音防止層 :パウダーホットメルト付きPET系スパンボンド不織布
実施例および比較例で行った評価方法を、以下に示す。
(発泡層および成形体の厚さ)
得られた1次発泡シート(変性PPE系樹脂発泡層)、および成形体の幅方向に20ヶ所の厚さを測定し、その測定値の平均値を算出した。
(発泡倍率)
1次発泡シート(変性PPE系樹脂発泡層)の密度dfをJIS K 7222に準じて測定し、変性PPE系樹脂の密度dpを JIS K 7112に準じて測定し、次式より求めた。
発泡倍率=dp/df
(独立気泡率)
得られた1次発泡シート(変性PPE系樹脂発泡層)の独立気泡率は、ASTMD−2859に準じて、マルチピクノメーター(ベックマン社製)を用いて測定した。
(セル径)
得られた1次発泡シート(変性PPE系樹脂発泡層)の断面を光学顕微鏡造影を印刷、ステンレスゲージを用いて20個のセル径を測定し、その測定値の平均値を算出した。
(目付)
得られた1次発泡シート(変性PPE系樹脂発泡層)の押出方向の5ヶ所より、100mm×100mmの大きさの試験片を切り出し、それらの重量を測定した後、平均値を算出し、m2当たりに換算した。ラテックスの塗布量について、塗布前後の表皮材及び異音防止層を長手方向より100mm×100mmの大きさの試験片を切り出し、その重量差を測定した後、平均値を算出した。
(耐衝撃性試験)
プラグ成形後、トリミング型にてトリミングをした自動車内装材の割れを目視にて観察した。
(実車耐熱試験)
図4に示すような自動車内装材(幅930mm×長さ1424mm)30を自動車天井部(カットボディ)に装着し、サンバイザー、ルームミラー、ルームランプ、ガニッシュ、ピラーを介して実車と同等となるように固定した。なお、図中34はアシストグリップ取付穴、36はサンバイザー取付穴、38はサンバイザー留め取付穴、32はルームミラー取付穴、40は室内灯取付穴である。
次に、自動車内装材を自動車天井部に組み付け、自動車内装材のフロント端末の巾方向中央部に刻印し、刻印した点から基準点までの高さ(h0)を測定した。
その後、85±2℃に設定した恒温室に、自動車内装材を取り付けた自動車天井部を投入した後、24時間保持し、恒温室から取り出して室温に戻した後、自動車内装材のフロント端末部の巾方向中央部に刻印した点と基準点までの高さ(h)を測定した。初期の高さh0と耐熱後の高さh1の差(h0−h1)より、耐熱変形を求めた。さらに、自動車内装材の一般部については変形の有無を目視にて確認し、脱落及び基材と異音防止層及び表皮剤層の浮きの有無確認も目視にて実施した。
判定の基準としては、自動車内装材としての実用性を考慮して、以下の基準を用いた。
(走行試験)
自動車内装材を自動車に装着させ、通常の自動車に使用方法で1ヶ月間異音の発生及び内装材の脱落及び基材と異音防止層及び表皮材の浮きの発生の有無を調査した。
(表皮材常温剥離試験)
内装材から150mm×25mmの試験片を採取し、積層された表皮材を短辺に平行に適当量引き剥がし、引き剥がされた表皮材および内装用基材を引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフDSS−2000)のつかみにとりつけ、引張速度200mm/minで引き剥がし剥離強さを求めた。
判定の基準としては内装材としての実用性を考慮して、以下の基準を用いた。
○・・ 4.9N/25mm以上、
×・・ 4.9N/25mm未満。
(表皮材耐熱クリープ剥離試験)
内装材から150mm×25mmの試験片を採取し、積層された表皮材を短辺に平行に適当量引き剥がし、引き剥がした部分の端部をマーキングする。
内装材を固定した状態で、引き剥がされた表皮材に100gの錘を釣るし、100℃恒温槽中に24時間放置し、マーキング部分からの剥離長を測定した。
判定の基準としては内装材としての実用性を考慮して、以下の基準を用いた。
○・・ 10mm未満、
×・・ 10mm以上。
(垂直入射吸音率)
ASTM−E−1050に規定された垂直入射吸音率測定装置を用いて測定した。
(燃焼試験)
自動車内装材を自動車用材料に適用される自動車安全基準、自動車内装材料の燃焼基準(FMVSS302)に従い、自動車内装材より切出した巾100mm、長さ350mmのサンプル片をn数=10にて燃焼速度試験を行った。得られた燃焼速度の中で最大値を燃焼速度とした。
実施例で使用した材料の一覧表を表1に示し、実施例で製造した多層表皮材の構成に関する一覧表を、表2に示す。
Figure 2007301774
(実施例1)
PPE樹脂成分40重量%,PS樹脂成分60重量%となるようにPPE樹脂(A)57.1重量部とPS樹脂(B)42.9重量部とを混合した混合樹脂100部に対してiso−ブタンを主成分とする発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15)3.4重量部およびタルク0.32重量部を押出機により混練し、サーキュラーダイスにより押出し、引き取りロールを介して巻取りロールにロール状に巻き取り、一次厚み2.0mm、一次発泡倍率12.9倍、独立気泡率88%、セル径0.17mmおよび目付け150g/m2の一次発泡シート(変性PPE系樹脂発泡層)を得た。
次いで、該一次発泡シートをロールより繰り出しながら、メタアクリル酸変性ポリスチレン系樹脂(C)50.0重量部およびHIPS樹脂(D)50.0重量部を混合した混合樹脂を、樹脂温度が245℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイを用いてフィルム状に押し出し、該一次発泡シートの片面に厚さ150μmの耐熱PS系樹脂非発泡層を形成した。この非発泡層積層と同時に、耐熱PS系樹脂非発泡層の形成と共に表面に異音防止フィルム(J)を繰り出し熱接着によりロールで圧することにより、異音防止フィルムの積層された耐熱PS系樹脂非発泡層を形成したシートを得た。
耐熱PS系樹脂非発泡層を形成した該一次発泡シートをロールから繰り出しながら、PPE系樹脂成分20重量%となるようにPPE樹脂(A)28.6重量部、PS樹脂(B)66.4重量部およびHIPS樹脂(D)5.0重量部を混合した混合樹脂を、樹脂温度が265℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイを用いてフィルム状に押し出し、耐熱PS系樹脂非発泡層を形成したシートの反対面に厚さ120μmの変性PPE系樹脂非発泡層を積層し、自動車内装用基材である積層発泡シートを得た。
一方で、繊度2デニール(2.2デシテックステックス)、カット長51mmのポリエチレンテレフタレ−ト(東洋紡績(株)製、タイプ707)繊維93重量部、および繊度4デニール(4.4デシテックステックス)カット長51mm低融点ポリエチレンテレフタレ−ト(東洋紡績(株)製、タイプEE7)繊維7重量部を混合した繊維を、流れ方向と直角方向の2方向から等量をカード方式により供給しマット状に散布し、その後、パンチ回数とストロークを調整されたニードルパンチング加工を施し、目付100g/m2且つ密度0.083g/cm3に調整し、温度200℃の熱風を5分間吹き付け、常温に戻すことにより、多層繊維体(L)を得た。
上記多層繊維体(L)と、繊度2デニール(2.2デシテックステックス)、カット長51mmのポリエチレンテレフタレ−ト(東洋紡績(株)製、タイプ707)90重量部および繊度7デニール(7.8デシテックス)カット長51mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、タイプCD7.8デシテックス×51mm)10重量部からなる目付130g/m2且つ密度0.129g/cm3の通気性表皮材(M)をニードリングのパンチ回数とストロークを調整し積層一体化することにより、多層繊維体(L)部分の繊維配置が平面率70%かつクロス率100%に調整された積層表皮材(N)を得た。
得られた積層発泡シートの変性PPE系樹脂非発泡層を形成した面にカルボキシ変性SB樹脂ラテックス(H)(固形分濃度が40wt%になるように水で希釈調整したラテックス)をスプレーにて1平方メートル当たり20g塗布(表面付着カルボキシ変性SB樹脂濃度9.8g/m2)した後、塗布面に前記記載の積層表皮材を貼り付け、ロールにて圧着した後、100℃恒温槽中で30分乾燥させ、積層表皮材が仮止めされた発泡積層シートを得た。
上記積層表皮材が積層させた自動車内装用基材の四方をクランプし加熱炉に入れ、表皮材表面が160℃、基材裏(室外側非発泡層)面の表面温度が135℃になるよう加熱し、60℃に温調したクリアランス5.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し、割れのない外観の良好な自動車内装材を得た。
得られた自動車内装材について、実車耐熱試験を行ったところ、耐熱変形量が自動車内装材のフロント端末部で−0.5mmかつ内装材の一般部の耐熱変形に関しても目視で観察されなかった。さらに内装材の脱落及び基材と異音防止層及び表皮材層の浮きは発生していなかった。一方で、走行試験を行ったところ、異音の発生もなく、内装材の脱落及び基材と異音防止フィルム及び積層表皮材の浮きの発生もなかった。
また、得られた自動車内装材の一般部よりサンプルを切り出し、表皮材常温剥離試験、表皮材耐熱クリープ剥離試験、燃焼性試験および垂直入射吸音率試験を実施した。その試験結果を、表3に示す。
(実施例2)
実施例1と同様な方法にて、一次発泡シートを得た。
次いで、該一次発泡シートをロールより繰り出しながら、PPE系樹脂成分5重量%となるようにPPE樹脂(A)7.0重量部、SMAA共重合体(C)34.0重量部、HIPS樹脂(D)57.0重量部および黒顔料(E)を2.0重量部混合した混合樹脂を、樹脂温度が265℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイを用いてフィルム状に押し出し、該一次発泡シートの片面に厚さ150μmの耐熱PS系樹脂非発泡層を形成した。この非発泡層積層と同時に、耐熱PS系樹脂非発泡層の表面に異音防止層(I)を非発泡層樹脂のアンカー効果にて積層し、異音防止層の積層された耐熱PS系樹脂非発泡層を形成したシートを得た。
この耐熱PS系樹脂非発泡層を形成したシートの反対面に、PPE系樹脂成分10重量%となるようにPPE樹脂(A)14.0重量部、PS樹脂(B)81.1重量部およびHIPS樹脂(D)4.9重量部を混合した混合樹脂を、樹脂温度が265℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイを用いてフィルム状に押し出し、耐熱PS系樹脂非発泡層を形成したシートの反対面に厚さ120μmの変性PPE系樹脂非発泡層を形成し、積層発泡シートを得た。
一方で、繊度2デニール、カット長51mmのポリエチレンテレフタレ−ト(東洋紡績(株)製、タイプ707)繊維93重量部、および繊度4デニールカット長51mm低融点ポリエチレンテレフタレ−ト(東洋紡績(株)製、タイプEE7)繊維7重量部を混合した繊維を流れ方向と直角方向の2方向から等量をカード方式により供給しマット状に散布し、その後、パンチ回数とストロークを調整されたニードルパンチング加工を施し、目付130g/m2且つ密度0.129g/cm3に調整し、温度200℃の熱風を5分間吹き付け、常温に戻すことにより多層繊維体(O)を得た。
上記多層繊維体(O)と繊度2デニール、カット長51mmのポリエチレンテレフタレ−ト(東洋紡績(株)製、タイプ707)90重量部と繊度7デニール、カット長51mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、タイプCD7.8デシテックス×51mm)10重量部からなる目付130g/m2且つ密度0.129g/cm3の通気性表皮材(P)をニードリングのパンチ回数とストロークを調整し積層一体化することにより、多層繊維体(O)部分の繊維配置が平面率70%かつクロス率100%に調整された積層表皮材(Q)を得た。
得られた積層発泡シートの変性PPE系樹脂非発泡層を形成した面にロールコーターを用い、PS樹脂ラテックス(F)20重量%およびカルボキシ変性SB樹脂ラテックス(H)80重量%になるよう混合した混合溶液樹脂ラテックスを1平方メートル当たり16.6g塗布(表面付着PS樹脂濃度8.1g/m2)し、他方より繰り出した前記記載の積層表皮材をロールにより積層、乾燥熱処理を施し、積層表皮材と一体化された自動車内装用基材を得た。
上記積層表皮材が積層させた自動車内装用基材の四方をクランプし加熱炉に入れ、表皮材表面が160℃、基材裏(室外側非発泡層)面の表面温度が135℃になるよう加熱し、60℃に温調したクリアランス8.0mmの金型にてプラグ成形を行った後、トリミング、パンチング加工を施し、割れのない外観の良好な自動車内装材を得た。
得られた自動車内装材について、実車耐熱試験を行ったところ、耐熱変形量が自動車内装材のフロント端末部で+1.0mmかつ内装材の一般部の耐熱変形に関しても目視で観察されなかった。さらに内装材の脱落及び基材と異音防止層及び表皮材層の浮きは発生していなかった。一方で、走行試験を行ったところ、異音の発生もなく、内装材の脱落及び基材と異音防止層及び積層表皮材の浮きの発生もなかった。
また、得られた自動車内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材常温剥離試験、表皮材耐熱クリープ剥離試験、燃焼性試験および垂直入射吸音率試験を実施した。その試験結果を、表3に示す。
(実施例3)
実施例1と同様な方法にて、一次発泡シートを得た。
次いで、この発泡シートをロールより繰り出しながら、PPE系樹脂成分10重量%となるようにPPE樹脂(A)14.3重量部、HIPS樹脂(D)85.7重量部、を混合した混合樹脂を樹脂温度が265℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイを用いてフィルム状に押し出し、発泡シートの片面に厚さ120μmの変成PPE系樹脂非発泡層を形成した。この非発泡層積層と同時に、変成PPE系樹脂非発泡層の形成と共にパウダーホットメルト付き異音防止層(K)目付15g/m2のパウダー面と該非発泡層面を接する様、繰り出し熱接着によりロールで圧することで、異音防止層の積層された変成PPE系樹脂非発泡層を形成したシートを得た。
この耐熱PS系樹脂非発泡層を形成したシートの反対面にPPE系樹脂成分15重量%となるようにPPE樹脂(A)21.4重量部、PS樹脂(B)73.6重量部、HIPS樹脂(D)5.0重量部を混合した混合樹脂を樹脂温度が265℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイを用いてフィルム状に押し出し、耐熱PS系樹脂非発泡層を形成したシートの反対面に厚さ120μmの変成PPE系樹脂非発泡層を形成し、積層発泡シートを得た。
一方で、繊度2デニール、カット長51mmのポリエチレンテレフタレ−ト(東洋紡績(株)製、タイプ707)繊維35重量部、および繊度4デニールカット長51mm低融点ポリエチレンテレフタレ−ト(東洋紡績(株)製、タイプEE7)繊維15重量部、繊度3デニール(3.3デシテックス)、カット長51mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、タイプCD3.3デシテックス×51mm)50重量部を混合した繊維を、流れ方向と直角方向の2方向から等量をカード方式により供給しマット状に散布し、その後、パンチ回数とストロークを調整されたニードルパンチング加工を施し、目付100g/m2且つ密度0.083g/cm3に調整し、温度200℃の熱風を5分間吹き付け、常温に戻すことにより多層繊維体(R)を得た。
上記多層繊維体(R)と繊度2デニール、カット長51mmのポリエチレンテレフタレ−ト(東洋紡績(株)製、タイプ707)90重量部と繊度7デニール、カット長51mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、タイプCD7.8デシテックス×51mm)10重量部からなる目付100g/m2且つ密度0.083g/cm3の通気性表皮材(S)をニードリングのパンチ回数とストロークを調整し積層一体化することにより、多層繊維体(R)部分の繊維配置が平面率70%かつクロス率100%に調整された積層表皮材(T)を得た。
得られた積層発泡シートの変性PPE系樹脂非発泡層を形成した面にロールコーターを用い、AS樹脂ラテックス(F)20重量%、カルボキ変性SB樹脂ラテックス(H)80重量%になるよう混合した混合溶液樹脂ラテックスを1平方メートル当たり16.6g塗布(表面付着PS樹脂濃度8.1g/m2)し、他方より繰り出した前記記載の積層表皮材とをロールにより積層、乾燥熱処理を施し積層表皮材と一体化された自動車内装用基材を得た。
得られた自動車内装材について、実車耐熱試験を行ったところ、耐熱変形量が自動車内装材のフロント端末部で+0.7mmかつ内装材の一般部の耐熱変形に関しても目視で観察されなかった。さらに内装材の脱落及び基材と異音防止層及び表皮材層の浮きは発生していなかった。一方で、走行試験を行ったところ、異音の発生もなく、内装材の脱落及び基材と異音防止層及び積層表皮材の浮きの発生もなかった。
また、得られた自動車内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材常温剥離試験、表皮材耐熱クリープ剥離試験、燃焼性試験および垂直入射吸音率試験を実施した。その試験結果を、表3に示す。
(実施例4)
実施例3と同様な方法にて積層発泡シート得た。
一方で、ポリエステル繊維2デニール×51mmを90重量%、レーヨン繊維2デニール×51mmを10重量%に配合した面目付145g/m2のウェブを使用し、ニードルパンチング処理をウェブの上下面より300本/cm2施し、ニードルパンチ不織布マットを得た。当該ニードルパンチ不織布マットの裏面(意匠面の反対面であって、1次発泡積層シートとの積層面)にアクリルバインダー樹脂10g/m2を塗布により付着せしめ、乾燥熱処理を施し、レーヨン繊維が含有された面目付155g/m2のポリステル系不織布表皮(U)を得た。
得られた積層発泡シートの変性PPE系樹脂非発泡層を形成した面にカルボキシ変性SB樹脂ラテックス(H)(固形分濃度が40wt%になるように水で希釈調整したラテックス)をスプレーにて1平方メートル当たり20g塗布(表面付着SB樹脂濃度9.8g/m2)した後、塗布面に前記記載のポリステル系不織布表皮材を貼り付け、ロールにて圧着した後、100℃恒温槽中で30分乾燥させ、表皮材が仮止めされた発泡積層シートを得た。
上記表皮材が積層させた自動車内装用基材の四方をクランプし加熱炉に入れ、表皮材表面が140℃となるように60秒加熱した。その後、変成PPE系樹脂非発泡層が室内側になるように金型に配置し、金型クリアランス5.0mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、割れのない外観の良好な自動車内装材を得た。
得られた自動車内装材について、実車耐熱試験を行ったところ、耐熱変形量が自動車内装材のフロント端末部で+1.0mmかつ内装材の一般部の耐熱変形に関しても目視で観察されなかった。さらに内装材の脱落及び基材と異音防止層及び表皮材層の浮きは発生していなかった。一方で、走行試験を行ったところ、異音の発生もなく、内装材の脱落及び基材と異音防止層及び表皮材の浮きの発生もなかった。
また、得られた自動車内装材の一般部よりサンプルを切出し、表皮材常温剥離試験、表皮材耐熱クリープ剥離試験、燃焼性試験を実施した。その試験結果を、表3に示す。
Figure 2007301774
図1は、本発明にかかる自動車内装材の一実施態様を示す要部拡大断面模式説明図である。 図2は、本発明にかかる自動車内装材の一実施態様を示す要部拡大断面模式説明図である。 図3は、本発明にかかる自動車内装材の一実施態様を示す要部拡大断面模式説明図である。 図4は、本発明に係る自動車内装材の平面説明図である。
符号の説明
10:発泡層
12:室内側非発泡層
14:室外側非発泡層
16:接着剤フィルム層
18:異音防止層
20:通気性表皮材
22:接着剤層
24:多層繊維体
26:積層表皮材
27:単層表皮材
30:自動車内装材
32:ルームミラー取付穴
34:アシトトグリップ取付穴
36:サンバイザー取付穴
38:サンバイザー留め取付穴
40:室内灯取付穴
a:フロント端末
b:リア端末

Claims (10)

  1. 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡層の両面に、非発泡層を積層してなる積層発泡シートの、室内側非発泡層に表皮材が接着剤層を介して積層され、室外側非発泡層に異音防止層が積層されてなる自動車用内装材用基材であって、
    前記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡層が、ポリフェニレンエーテル系樹脂25〜70重量部およびポリスチレン系樹脂75〜30重量部との混合樹脂である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とし、該変性ポリフェニレン系樹脂100重量部に対し炭化水素系発泡剤2〜5重量部を用いて押出発泡して得られた、厚み1〜5mmおよび発泡倍率3〜20倍である発泡シートであり、
    前記非発泡層が、発泡シートの基材樹脂よりガラス転移温度Tgが低い耐熱性樹脂100重量部に対し、ゴム成分0.3〜15重量部含有した、厚み50〜300μmの非発泡層であり、
    前記表皮材が、合成繊維および再生繊維を含む目付100〜300g/m2の単層表皮材または、通気性表皮材の一方の面に、合成繊維および再生繊維を含む繊維を層状に多層に配置された状態に形成して得られる多層繊維体が積層された、目付100〜300g/m2の積層表皮材であり、
    かつ、異音防止層が、目付10〜100g/m2のポリオレフィン系フィルムまたは目付10〜60g/m2のポリエステル系不織布である、
    自動車内装材用基材。
  2. 積層表皮材中の多層繊維体が、平面方向に多層に配置されている繊維の割合(平面率)が50%以上であり、表皮材の長さ方向の繊維と交差して配置される繊維の割合(クロス率)が50〜200%であり、
    かつ、ポリエステル系繊維80〜20重量%および、天然繊維または再生繊維20〜80重量%を含む多層不織布である、請求項1に記載の自動車内装材用基材。
  3. 単層表皮材が、ポリエステル系繊維85〜98重量%およびレーヨン系繊維15〜2重量%を含む単層不織布である、請求項1に記載の自動車内装材用基材。
  4. 炭化水素系発泡剤が、イソブタンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材。
  5. 非発泡層を構成する耐熱樹脂が、耐熱ポリスチレン系樹脂および/または変性ポリフェニレンエーテル系樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材。
  6. 室内側非発泡層中のゴム成分含有量が、室外側非発泡層中のゴム成分含有量よりも少ない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材。
  7. 室内側非発泡層中のゴム成分含有量が、該耐熱性樹脂100重量部に対して0.3〜3重量部である請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材。
  8. 積層表皮材を積層する接着剤層が、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合樹脂またはカルボキシ変性スチレン−ブタジエン系共重合樹脂である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材。
  9. 異音防止層としてのポリエステル系不織布が、非発泡層樹脂へのアンカー効果により積層されてなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動車内装材用基材を、成形してなる自動車内装材。
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