JP2004122545A - 熱成形性芯材及びこれを用いた自動車用内装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性、非通気性及び吸音性に優れている熱成形性芯材及びこれを用いた自動車用内装材を提供する。
【解決手段】本発明の熱成形性芯材Aは、耐熱性繊維を絡合させ且つ該耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂によって結着させてなる多孔質材1の表面に、上記多孔質材1中の熱可塑性樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度を有する熱可塑性樹脂からなる表側合成樹脂層2と、ホットメルト樹脂3層とが表側合成樹脂層2を内側にして積層一体化されていると共に、裏面に上記多孔質材中の熱可塑性樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層4が積層一体化され、上記ホットメルト樹脂層3の表面から上記表側合成樹脂層2の裏面に達する多数の貫通孔5が形成されてなる熱成形性芯材であって、上記貫通孔5の開口面積が0.2mm2 以上で且つ3mm2 未満であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の熱成形性芯材Aは、耐熱性繊維を絡合させ且つ該耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂によって結着させてなる多孔質材1の表面に、上記多孔質材1中の熱可塑性樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度を有する熱可塑性樹脂からなる表側合成樹脂層2と、ホットメルト樹脂3層とが表側合成樹脂層2を内側にして積層一体化されていると共に、裏面に上記多孔質材中の熱可塑性樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層4が積層一体化され、上記ホットメルト樹脂層3の表面から上記表側合成樹脂層2の裏面に達する多数の貫通孔5が形成されてなる熱成形性芯材であって、上記貫通孔5の開口面積が0.2mm2 以上で且つ3mm2 未満であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた吸音性及び熱成形性を有する熱成形性芯材及びこの熱成形性芯材を用いた外観が美麗な自動車用内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車用内装材は、軽量性、剛性、耐熱性、非通気性等の種々の性能が要求される。このような自動車用内装材の芯材としては、特許文献1に、無機繊維と熱可塑性樹脂繊維を主材料として形成されたマット状物の少なくとも一外方に、前記熱可塑性樹脂繊維より融点の高い耐熱剛性樹脂層と、熱活性樹脂層とがこの順に積層されてなる熱成形性芯材が提案されている。そして、この熱成形性芯材は、その一面に表面材が積層一体化された上で所望形状に成形されて自動車用内装材として用いられる。
【0003】
しかしながら、熱活性樹脂層が積層されていない熱成形性芯材の面に表面材を積層一体化する場合には、表面材と熱成形性芯材との間に接着剤層又はホットメルト樹脂層を介在させる必要があるが、熱成形性芯材を成形する過程において、表面材と熱成形性芯材との間に介在させた接着材層又はホットメルト樹脂層がマット状物内に含浸、吸収されてしまって表面材と熱成形性芯材との一体化が不十分となるといった問題があった。
【0004】
又、熱活性樹脂層が積層された熱成形性芯材の面に表面材を積層一体化すると、室内側となる表面材側において音が発生した場合、音がマット状物へ進入、吸収されるのを耐熱剛性樹脂層が阻害するために、吸音性が低下するといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特許公報第2872896号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性、非通気性及び吸音性に優れている熱成形性芯材及びこれを用いた自動車用内装材を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱成形性芯材Aは、図1に示したように、耐熱性繊維を絡合させ且つ該耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂によって結着させてなる多孔質材1の表面に、上記多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる表側合成樹脂層2と、ホットメルト樹脂層3とが表側合成樹脂層2を内側にして積層一体化されていると共に、裏面に上記多孔質材1中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層4が積層一体化され、上記ホットメルト樹脂層3の表面から上記表側合成樹脂層2の裏面に達する多数の貫通孔5が形成されてなる熱成形性芯材であって、上記貫通孔5の開口面積が0.2mm2 以上で且つ3mm2 未満であることを特徴とする。
【0008】
本発明の熱成形性芯材Aに用いられる多孔質材1は、耐熱性繊維を絡合させ且つ該耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂によって結着させてなり、全体に亘って連続した空隙を有している。
【0009】
このような多孔質材1としては、例えば、イ)耐熱性繊維或いは耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させ且つ繊維同士を熱可塑性樹脂で結着させてなるもの、ロ)耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させ且つ上記熱可塑性樹脂繊維の一部又は全部を溶融させて繊維同士を結着させたもの等が挙げられる。
【0010】
なお、上記多孔質材1の空隙率は、小さいと、得られる熱成形性芯材Aの吸音性及び軽量性が低下し、又、大きいと、得られる熱成形性芯材Aの機械的強度が低下するので、50〜95%が好ましい。
【0011】
上記耐熱性繊維としては、熱成形性芯材Aの製造或いは成形工程において加えられる熱によって溶融しないものであれば、特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、セラミック繊維等の無機繊維;ジュート繊維、ケナフ繊維等の天然繊維が挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0012】
そして、耐熱性繊維は、熱成形性芯材Aに要求される物性に応じて適宜選択すればよく、具体的には、熱成形性芯材Aの曲げ強度、厚さ回復性等の機械的強度が重視される場合には無機繊維を用いるのが好ましく、熱成形性芯材Aのサーマルリサイクル性が重視される場合には天然繊維を用いるのが好ましい。
【0013】
上記無機繊維の長さは、短すぎても長すぎても、得られる熱成形性芯材Aの熱成形性が低下することがあるので、5〜250mmが好ましく、50〜150mmの長さの無機繊維が多孔質材1を構成する全繊維中に70重量%以上含有されているのがより好ましい。
【0014】
又、上記無機繊維の直径は、細いと、得られる熱成形性芯材Aの曲げ強度、厚み回復性等の機械的強度が低下することがあり、又、太いと、得られる熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、5〜25μmが好ましく、7〜15μmがより好ましい。
【0015】
更に、上記天然繊維の長さは、短すぎても長すぎても、得られる熱成形性芯材Aの曲げ強度、厚み回復性などの機械的強度が低下するので、3〜200mmが好ましく、5〜150mmがより好ましい。又、上記天然繊維の直径は、200μm以下のものが一般的であり、10〜150μmが好ましい。
【0016】
又、上記熱可塑性樹脂繊維としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなる繊維が挙げられ、熱成形性芯材Aの製造時に一部又は全体が溶融して耐熱性繊維同士を結着することができるものが好ましい。
【0017】
そして、上記熱可塑性樹脂繊維の長さ及び太さは、上記耐熱性繊維と均一に且つ容易に絡合される程度に調整されることが好ましく、具体的には、長さは5〜200mmが好ましく、20〜100mmがより好ましく、更に、太さは、直径5〜70μmが好ましく、直径15〜40μmがより好ましい。
【0018】
更に、上記耐熱性繊維を相互に結着する熱可塑性樹脂としては、耐熱性繊維同士を結着することができれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、飽和ポリエステル、これらの変性物等が挙げられる。
【0019】
又、上記多孔質材1中における耐熱性繊維と熱可塑性樹脂(溶融した熱可塑性樹脂繊維を含む)の重量割合(耐熱性繊維:熱可塑性樹脂)は、耐熱性繊維が少ないと、得られる熱成形性芯材Aの耐熱性が低下することがあり、又、耐熱性繊維が多いと、耐熱性繊維相互の結着力が低下し、得られる熱成形性芯材Aの剛性が低下することがあるので、5:1〜1:5が好ましい。
【0020】
更に、多孔質材1の見掛け密度は、小さいと、得られる熱成形性芯材Aの曲げ強度等の機械的強度が低下することがあり、又、大きいと、得られる熱成形性芯材Aの吸音性及び軽量性が低下することがあるので、0.01〜0.2g/cm3 が好ましい。
【0021】
そして、上記多孔質材の表面には、この多孔質材1中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる表側合成樹脂層2と、ホットメルト樹脂層3とが表側合成樹脂層2を内側(多孔質材1側)にして積層一体化されている。なお、本発明において、熱可塑性樹脂の融点とは、JIS K0064に準拠して測定されたものをいう。
【0022】
上記表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂は、上述のように、その融点が多孔質材1の耐熱性繊維同士を結着している熱可塑性樹脂の融点よりも高いものに限定され、多孔質材1の耐熱性繊維同士を結着している熱可塑性樹脂の融点よりも30℃以上高いものが好ましく、50℃以上高いものがより好ましい。
【0023】
このような表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、6−ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、これらの変性物等が挙げられる。
【0024】
そして、上記表側合成樹脂層2の厚さは、薄いと、熱成形性芯材Aの熱成形時に多孔質材1中の耐熱性繊維が表側合成樹脂層2を突き破り易くなり、又、厚いと、熱成形性芯材Aの軽量性が低下するので、3〜25μmが好ましい。
【0025】
又、上記ホットメルト樹脂層3を構成するホットメルト樹脂としては、その融点が上記表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも低いものが好ましく、上記表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂の融点より20℃以上低いものがより好ましく、多孔質材1の耐熱性繊維同士を結着している熱可塑性樹脂の融点よりも低いものが特に好ましい。
【0026】
これにより、表側合成樹脂層2を溶融させることなくホットメルト樹脂層3を溶融させることができ、即ち、この溶融したホットメルト樹脂層3が多孔質材1中に含浸するのを非溶融状態の表側合成樹脂層2により確実に阻止して表側合成樹脂層2上にホットメルト樹脂層3を確実に存在させ、このホットメルト樹脂層3上に図2に示したように後述する表面材6を強固に積層一体化することができる。
【0027】
このようなホットメルト樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、飽和ポリエステル、変性ポリエチレン、共重合ポリアミド等が挙げられる。
【0028】
更に、上記ホットメルト樹脂のメルトフローレート(以下、「MFR」という)は、小さいと、ホットメルト樹脂と表面材6との間のアンカー効果が低下して接着性が低下することがあり、又、大きいと、表面材6が不織布である場合、ホットメルト樹脂が表面材6に含浸されてしまって接着性が低下することがあるので、0.5〜20が好ましく、2〜15がより好ましい。なお、ホットメルト樹脂のMFRは、JIS K 7210に準拠し、温度190℃、荷重21.2Nの条件下で測定したものである。
【0029】
そして、上記ホットメルト樹脂層3の厚さは、薄いと、表面材6を積層させる際に表面材6との接着性が低下することがあり、又、厚いと、熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、20〜100μmが好ましい。
【0030】
更に、上記ホットメルト樹脂層3及び上記表側合成樹脂層2には、その全面に亘って略均等な密度でもってホットメルト樹脂層3の表面から表側合成樹脂層2の裏面に達する多数の貫通孔5が形成されている。なお、貫通孔5の形状は、特に限定されず、例えば、真円形、楕円形、矩形状、六角形等が挙げられるが、真円形、楕円形が好ましく、真円形がより好ましい。
【0031】
上記貫通孔5の大きさは、小さいと、熱成形性芯材Aを熱成形する際にホットメルト樹脂が貫通孔5を埋めてしまって熱成形性芯材Aの吸音性が低下することがあり、又、大きいと、低周波領域での吸音性が低下したり、更に、ホットメルト樹脂層3における貫通孔5が形成されている部分とそうでない部分での表面材6との間の接着性が不均一となることがあり、特に、表面材が不織布から形成され且つ目付が190g/m2 以下である場合には、更に、ホットメルト樹脂の表面材6への含浸度合いが表面材6の面方向に不均一になってしまい表面材6に凹凸が生じ、表面材6の外観が損なわれたり、或いは、貫通孔5を通過した状態に熱成形性芯材Aを切断した際、貫通孔5部分の表面材6に浮きが発生して熱成形性芯材Aの外観が低下することがあるので、0.2mm2 以上で且つ3mm2 未満に限定され、0.75mm2 以上で且つ3mm2 未満が好ましい。なお、上記貫通孔5の開口面積とは、貫通孔5の表側開口端の面積をいう。
【0032】
又、任意の貫通孔5とこの貫通孔5に最も近い貫通孔5との距離(ピッチ)は、小さいと、熱成形性芯材Aの機械的強度が低下することがあり、又、大きいと、熱成形性芯材Aの吸音性が低下することがあるので、1〜15mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。
【0033】
なお、貫通孔5、5間の距離とは、貫通孔5が円形状である場合にはその中心間の距離から各々の貫通孔5の半径分を減じた距離をいい、貫通孔5が非円形状である場合には、この貫通孔5を完全に包囲し得る最も小さな真円の中心間の距離から各々の真円の半径を減じた距離をいう。
【0034】
更に、ホットメルト樹脂層3の表面積に対する貫通孔5の開口合計面積の割合は、小さいと、熱成形性芯材Aの吸音性が低下することがあり、又、大きいと、ホットメルト樹脂層3と表面材6との接着性が低下することがあるので、1〜80%が好ましく、3〜30%がより好ましい。
【0035】
又、上記多孔質材1の裏面には、この多孔質材1の耐熱性繊維同士を結着している熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層4が積層一体化されており、この裏側合成樹脂層4には表側合成樹脂層2とは異なり貫通孔は形成されておらず、裏側合成樹脂層4によって熱成形性芯材Aに非通気性を付与している。
【0036】
この裏側合成樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂は、上記表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂と同様の熱可塑性樹脂が用いられ、表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂と同一のものであっても異種類のものであってもよく、厚さも表側合成樹脂層2と同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
上記裏側合成樹脂層4の厚みは、薄いと、熱成形性芯材Aの成形時に多孔質材1を構成する耐熱性繊維が裏側合成樹脂層4を突き破ってしまい、熱成形性芯材Aの非通気性が損なわれることがあり、又、厚いと、熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、3〜25μmが好ましい。
【0038】
又、上記裏側合成樹脂層4上にも、上記表側合成樹脂層2と同様に上記ホットメルト樹脂層が積層一体化されていてもよい。
【0039】
更に、上記多孔質材1と上記表裏合成樹脂層2、4との間及び上記表側合成樹脂層2と上記ホットメルト樹脂層3との間に接着層を介在させることによって両者をより強固に積層一体化させてもよい。そして、この接着層を構成する接着性樹脂としては、特に限定されず、酸変性ポリエチレン、共重合ポリアミド、共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0040】
次に、上記熱成形性芯材Aの製造方法について説明する。この熱可塑性芯材Aの製造方法としては、特に限定されず、例えば、イ)熱可塑性樹脂シート(1a)、この熱可塑性樹脂シート(1a)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2a)及びホットメルト樹脂シートをこの順で積層一体化してなる表側積層シートを一枚作製し、この表側積層シートに両面間に亘って貫通する貫通孔を貫設する一方、上記熱可塑性樹脂シート(1a)と同様の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂シート(1b)上にこの熱可塑性樹脂シート(1b)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2b)を積層一体化させてなる裏側積層シートを一枚作製する。一方、耐熱性繊維或いは耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させてなる不織マットを別途用意し、この不織マットの表面に表側積層シートをそのホットメルト樹脂シートが外側となるように積層すると共に、他面に裏側積層シートをその熱可塑性樹脂シート(2b)が外側となるように積層して積層体を製造する。しかる後、この積層体を、上記熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)及びホットメルト樹脂シート更に熱可塑性樹脂繊維がある場合には熱可塑性樹脂繊維が溶融し且つ熱可塑性樹脂シート(2a)(2b)が溶融しない温度に加熱した上で、上記積層体を厚み方向に圧縮し、溶融状態の熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)のみを不織マット内に含浸させ、次に、積層体を厚み方向に拡開させ、耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂で結着させて熱成形性芯材Aを製造する製造方法。ロ)耐熱性繊維或いは耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させてなる不織マットを用意し、この不織マットの両面に熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)を積層させる。一方、この熱可塑性樹脂シート(1a)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2a)上にホットメルト樹脂シートを積層一体化してなる積層シートを1枚作製し、この積層シートに両面間に亘って貫通する貫通孔を貫設する。そして、上記不織マットの熱可塑性樹脂シート(1a)上に積層シートを、熱可塑性樹脂シート(1b)上にこの熱可塑性樹脂シート(1b)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2b)を積層して積層体を製造する。しかる後、この積層体を、上記熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)及びホットメルト樹脂シート更に熱可塑性樹脂繊維がある場合には熱可塑性樹脂繊維が溶融し且つ熱可塑性樹脂シート(2a)(2b)が溶融しない温度に加熱した上で、上記積層体を厚み方向に圧縮し、溶融状態の熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)のみを不織マット内に含浸させ、次に、積層体を厚み方向に拡開させ、耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂で結着させて熱成形性芯材Aを製造する製造方法等が挙げられる。ここで、上記熱可塑性樹脂シート(2a)が熱成形性芯材Aの表側合成樹脂層を、上記熱可塑性樹脂シート(2b)が熱成形性芯材Aの裏側合成樹脂層を、上記熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)を構成する熱可塑性樹脂及び溶融した熱可塑性樹脂繊維が多孔質材1中の熱可塑性樹脂を構成する。
【0041】
なお、上記積層シートに貫通孔を貫設する方法としては、特に限定されず、例えば、積層シートにパンチによって貫通孔を貫設する方法、積層シートに部分的に熱を加えることによって積層シートの所定部分を溶融開口させて貫通孔を貫設する方法等が挙げられ、任意の大きさの貫通孔を精度良く貫設することができることから、積層シートにパンチによって貫通孔を貫設する方法が好ましい。
【0042】
又、上記不織マットの両面に積層させる熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)の厚みは、薄いと、不織マット内に熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)が含浸しても耐熱性繊維相互の結着力が不足し、得られる熱成形性芯材Aの機械的強度が低下することがあり、又、厚いと、得られる熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、30〜700μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。
【0043】
更に、上記製造方法において、不織マットの両面に積層させた熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)は不織マット内に含浸して不織マットを構成する耐熱性繊維を相互に結着するが、熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)の全てを不織マット内に含浸させる必要はなく、得られる熱成形性芯材Aの多孔質材1の表面に、貫通孔5が連結、連通している状態であればよく、熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)の一部が得られる熱成形性芯材Aの多孔質材1表面に残存していてもよい。
【0044】
又、上述の熱可塑性樹脂シート(1a)、熱可塑性樹脂シート(2a)及びホットメルト樹脂シートからなる積層シート、熱可塑性樹脂シート(1b)及び熱可塑性樹脂(2b)からなる積層シートの製造方法としては、特には限定されず、従来公知の任意の方法が採用され、例えば、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられ、各層を構成する樹脂をダイ内に同時押出した後、Tダイ等から吐出させる共押出法が経済的で好ましい。
【0045】
更に、不織マットの両面に熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)を積層する方法としては、特に限定されず、従来公知の任意の方法が採用され、例えば、不織マットの両面に熱可塑性樹脂シートを押出ラミネートする方法、熱可塑性樹脂シートを不織マットの両面に熱ラミネートする方法等が挙げられる。
【0046】
又、上記積層体の厚み方向への圧縮条件は、特に限定されず、圧縮圧力が0.2〜1MPaであり、圧縮時間が2〜10秒であるのが好ましい。
【0047】
そして、上記積層体を厚み方向に拡開させる方法としては、例えば、イ)ポリテトラフルオロエチレンで被覆された鋼板やガラスクロスシートからなる一対の挟着体間に積層体を挟み、この挟着体を通じて積層体の両面を真空吸引して、積層体の両面を一対の挟着体の対向内面の夫々に吸着させた状態で挟着体間の距離を拡げることによって積層体を厚み方向に拡開させる方法、ロ)耐熱性繊維の弾性回復力によって積層体の厚みを自然に拡開させる方法等が挙げられる。
【0048】
ここで、上記イ)の方法を採用する場合には、積層体が挟着体の内面に安定的に吸着した状態とするために、不織マットの裏側に積層させた熱可塑性樹脂シート(2b)上に積層体の加熱時には溶融して粘性を発現するが、冷却すると粘性を発現しない粘着樹脂層を積層させておけば、積層体を挟着体の内面に粘着樹脂層を介して安定的に吸着させておくことができる。
【0049】
上記の如くして得られた熱成形性芯材Aは、図2に示したように、そのホットメルト樹脂層3上に表面材6が積層一体化されると共に所望形状に成形されて自動車用内装材Bとして好適に用いることができる。
【0050】
上記表面材6としては、特に限定されず、例えば、無機繊維、天然繊維、合成繊維又はこれらを混合した混合繊維を絡合させてなる不織布が挙げられ、合成繊維を絡合させてなる不織布が好ましい。上記天然繊維としては、例えば、綿、羊毛、麻等が挙げられ、上記合成繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられ、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、又は、ポリエステル繊維とポリプロピレン繊維との混合繊維が好ましい。
【0051】
そして、上記表面材6として不織布を使用することによって、熱成形性芯材Aのホットメルト樹脂層3の一部を表面材6内部に進入させてアンカー効果により表面材6とホットメルト樹脂層3とを強固に接着一体化することができ、よって、表面材6をホットメルト樹脂層3上に確実に積層させた状態で熱成形性芯材Aを複雑な形状に確実に成形することができる。
【0052】
更に、上記表面材6の目付は、大きいと、熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、190g/m2 以下が好ましく、185g/m2 以下がより好ましい。
【0053】
【実施例】
(実施例1)
ガラス繊維(長さ:40〜75mm、直径:9μm)と、ポリプロピレン繊維(長さ:64mm、直径:35μm、融点:162℃)とを重量比が3:2となるように混合し、カードマシンに供給してマット状物を製造し、このマット状物にニードルパンチを1cm2 当たり20箇所に施して不織マット(目付:約550g/m2 、厚さ:約7.5mm)を得た。
【0054】
一方、少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン(融点:135℃、MFR:7)と、6−ナイロン(融点:230℃)と、直鎖状低密度ポリエチレン(融点:125℃、MFR:10)とをこの順序で共押出して積層シートを2枚製造した。なお、積層シートにおいて、少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン層の厚みは120μm、6−ナイロン層の厚みは10μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚みは60μmであった。
【0055】
そして、上記積層シートのうちの一枚の積層シートの全面に、開口面積が1.8mm2 の真円形の貫通孔を多数、前後左右に隣接する貫通孔同士のピッチが5mmの間隔で前後左右方向に格子状に積層シートの両面間に亘って貫通した状態に形成した。
【0056】
次に、上記不織マットの表面に貫通孔を貫設した積層シートをその高密度ポリエチレン層を内側にして積層すると共に、裏面に貫通孔を貫設していない積層シートをその高密度ポリエチレン層を内側にして積層して積層体を形成した。なお、積層体は、その目付が約890g/m2 で且つ厚さが約8mmであった。
【0057】
そして、表面がポリテトラフルオロエチレンで被覆された一対のガラスクロスシート間に上記積層体を挟着した上で約200℃に保持された熱風式加熱炉に供給して5分間加熱した。
【0058】
しかる後、上記積層体をガラスクロスシート間に挟着させた状態のまま、一対の平板プレス間に挟み、上記積層体をその厚みが1mmとなるまで圧縮し、その状態で5秒間放置した後、ガラスクロスシート間に挟着させたまま積層体を平板プレスから取り外し、ガラスクロスシートを通じて積層体の両面を真空吸引して積層体の両面がガラスクロスシートの対向内面に密着した状態を維持しつつ、積層体をその厚みが5.5mmとなるまで厚み方向に0.5mm/秒の速度で拡開し、続いて、この厚みを維持したまま5分間空冷した後にガラスクロスシートを取り除いて熱成形性芯材を得た。
【0059】
得られた熱成形性芯材は、ガラス繊維が絡合し且つこのガラス繊維同士が少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン及び全てのポリプロピレン繊維が溶融して得られたポリプロピレンによって結着された全体的に連続した空隙を有する多孔質材の表裏面の夫々に、6−ナイロンからなる表裏合成樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレンからなるホットメルト樹脂層とが表裏合成樹脂層を内側にして積層一体化されてなり、表側のホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面、即ち、多孔質材の表面に達する多数の貫通孔が全面的に且つ均一に形成されていた。なお、上記熱成形性芯材は、その厚みが5.0mm、目付が890g/m2 、貫通孔の開口面積が1.8mm2 、ホットメルト樹脂層の表面積に対する貫通孔の開口合計面積の割合は10%、多孔質材の空隙率は93%、多孔質材の見掛け密度は0.12g/cm3 、表側合成樹脂層の厚みは10μm、裏側合成樹脂層の厚みは10μm、ホットメルト樹脂層の厚みは、60μmであった。
【0060】
(実施例2)
少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン(融点:135℃、MFR:7)と、6−ナイロン(融点:230℃)と、共重合ポリアミド(融点:80〜115℃)とをこの順序で共押出して積層シートを2枚製造したこと以外は実施例1と同様にして熱成形性芯材を得た。
【0061】
なお、上記積層シートにおいて、少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン層の厚みは120μm、6−ナイロン層の厚みは20μm、共重合ポリアミド層の厚みは60μmであった。
【0062】
得られた熱成形性芯材は、ガラス繊維が絡合し且つこのガラス繊維同士が少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン及び全てのポリプロピレン繊維が溶融して得られたポリプロピレンによって結着された全体的に空隙を有する多孔質材の表裏面の夫々に、6−ナイロンからなる表裏合成樹脂層と、共重合ポリアミドからなるホットメルト樹脂層とが表裏合成樹脂層を内側にして積層一体化されてなり、表側のホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面、即ち、多孔質材の表面に達する多数の貫通孔が全面的に且つ均一に形成されていた。なお、上記熱成形性芯材は、その厚みが5.0mm、目付が890g/m2 、貫通孔の開口面積が1.8mm2 、ホットメルト樹脂層の表面積に対する貫通孔の開口合計面積の割合は10%、多孔質材の空隙率は93%、多孔質材の見掛け密度は0.12g/cm3 、表側合成樹脂層の厚みは20μm、裏側合成樹脂層の厚みは20μm、ホットメルト樹脂層の厚みは60μmであった。
【0063】
(比較例1)
積層シートのうちの一枚の積層シートの全面に、開口面積が12mm2 の真円形の貫通孔を多数、前後左右方向に7mm間隔で格子状に積層シートの両面間に亘って貫通した状態に貫設したこと以外は実施例1と同様にして熱成形性芯材を製造した。
【0064】
得られた熱成形性芯材は、ガラス繊維が絡合し且つこのガラス繊維同士が少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン及びポリプロピレン繊維が溶融して得られたポリプロピレンによって結着された全体的に空隙を有する多孔質材の表裏面の夫々に、6−ナイロンからなる表裏合成樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレンからなるホットメルト樹脂層とが表裏合成樹脂層を内側にして積層一体化されてなり、表側のホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面、即ち、多孔質材の表面に達する多数の貫通孔が全面的に且つ均一に形成されていた。なお、上記熱成形性芯材は、その厚みが5.0mm、目付が860g/m2 、貫通孔の開口面積が12mm2 、ホットメルト樹脂層の表面積に対する貫通孔の開口合計面積の割合は26%、多孔質材の空隙率は93%、多孔質材の見掛け密度は0.12g/cm3 、表側合成樹脂層の厚みは10μm、裏側合成樹脂層の厚みは10μm、ホットメルト樹脂層の厚みは60μmであった。
【0065】
(比較例2)
積層シートのうちの一枚の積層シートの全面に、該積層シートの表面に100℃に加熱された針を押圧することによって、開口面積が0.13mm2 の真円形の貫通孔を多数、前後左右方向に7mm間隔で格子状に積層シートの両面間に亘って貫通した状態に貫設したこと以外は実施例1と同様にして熱成形性芯材を製造した。
【0066】
得られた熱成形性芯材は、ガラス繊維が絡合し且つこのガラス繊維同士が少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン及びポリプロピレン繊維が溶融して得られたポリプロピレンによって結着された全体的に空隙を有する多孔質材の表裏面の夫々に、6−ナイロンからなる表裏合成樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレンからなるホットメルト樹脂層とが表裏合成樹脂層を内側にして積層一体化されて形成されており、積層シートに形成した貫通孔は、直鎖状低密度ポリエチレンによって埋まっていた。なお、上記熱成形性芯材は、その厚みが5.0mm、目付が910g/m2 、多孔質材の空隙率は93%、多孔質材の見掛け密度は0.12g/cm3 、表側合成樹脂層の厚みは10μm、裏側合成樹脂層の厚みは10μm、ホットメルト樹脂層の厚みは60μmであった。
【0067】
(自動車用内装材の作製)
実施例1、2及び比較例1、2の熱成形性芯材における表側のホットメルト樹脂層上に、ポリエステル繊維を絡合させてなる目付185g/m2 の不織布からなる表面材を積層し、熱成形性芯材と表面材とをそれらの外周縁部をホッチキスによって一体化した後、熱成形性芯材をその裏面が180℃に、表面材の表面温度が約190℃となるように加熱した上でプレス成形して、熱成形性芯材の表側のホットメルト樹脂層上に表面材が積層一体化してなる自動車用内装材を作製した。
【0068】
又、比較例3として、比較例1の熱成形性芯材の表側のホットメルト樹脂層上に、ポリエステル繊維を絡合させてなる目付300g/m2 の不織布からなる表面材を積層し、熱成形性芯材と表面材とをそれらの外周縁部をホッチキスによって一体化した後、熱成形性芯材をその裏面が180℃に、表面材の表面温度が約190℃となるように加熱した上でプレス成形して、熱成形性芯材の表側のホットメルト樹脂層上に表面材が積層一体化してなる自動車用内装材を作製した。
【0069】
上記自動車用内装材の吸音性、非通気性、外観及び表面材剥がれを以下の方法で測定し、その結果を表1に示した。
【0070】
(自動車内装材の吸音性)
自動車用内装材からその厚みが4mmである部分を切り出し、表面材側からの吸音性をJIS A1405に準拠して2kHz及び4kHzでの吸音性を測定した。
【0071】
(非通気性)
自動車用内装材における任意部分の透気度(cm3 /cm2 ・秒)をデンソメータ(テスター産業社製)により、圧力0.0015MPaで測定した。
【0072】
(外観)
自動車用内装材の表面材表面に貫通孔の凹凸に起因した凹凸が生じているか否かを目視にて観察し、以下の基準により判断した。
○・・・表面材の表面に凹凸は生じていなかった。
×・・・表面材の表面に凹凸が生じていた。
【0073】
(表面材剥がれ)
自動車用内装材の外周縁部にウォータージェットを噴射した後に、表面材が表側のホットメルト樹脂層から剥離しているか否かを目視にて観察した。
○・・・表面材はホットメルト樹脂層から剥離していなかった。
×・・・表面材がホットメルト樹脂層から剥離していた。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
本発明の熱成形性芯材は、ホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面に達する多数の貫通孔が形成されており、この貫通孔の開口面積を0.2以上で且つ3mm2 未満に限定していることから、ホットメルト樹脂層の表面は平坦性に優れており、ホットメルト樹脂層上に積層一体化される表面材の目付が例えば、190g/m2 以下といった小さいものであっても表面材の表面に凹凸は生じず、熱成形性芯材のホットメルト樹脂層上に表面材を美麗な状態に積層一体化することができる。
【0076】
しかも、上記貫通孔は、ホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面に達した状態に貫設されており、ホットメルト樹脂層側からの音は、貫通孔が貫設されて振動し易くなったホットメルト樹脂層及び表側合成樹脂層が振動することにより吸収されると共に貫通孔を通じて円滑に多孔質材中に吸収され、よって、本発明の熱成形性芯材は優れた吸音性を有する。
【0077】
更に、表側合成樹脂層は、多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂から構成されていることから、熱成形性芯材の成形時においても溶融することはなく、よって、表側合成樹脂層上のホットメルト樹脂層は成形時においても多孔質材内に吸収されることなく表側合成樹脂層上に確実に存在する。
【0078】
従って、ホットメルト樹脂層上に表面材を積層一体化させた場合にあっても、表面材とホットメルト樹脂層との一体化した状態を確実に維持しつつ、熱成形性芯材を所望形状に成形することができる。
【0079】
更に、熱成形性芯材の多孔質材の裏面には、この多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層が積層一体化されていることから、熱成形性芯材は非通気性に優れており、熱成形性芯材の表裏面方向に空気が流通するのを確実に遮断し、熱成形性芯材中にその厚み方向に空気が流通し、この空気中に含まれる塵等によってホットメルト樹脂層上に積層一体化した表面材が汚染されるのを防止し、或いは、熱成形性芯材の裏面側から表面側に伝達する音を減衰させることができて遮音性にも優れている。
【0080】
又、ホットメルト樹脂層の表面積に対する貫通孔の開口合計面積の割合が1〜80%である場合や、任意の貫通孔とこの貫通孔に最も近い貫通孔との距離が1〜15mmである場合には、熱成形性芯材は、優れた吸音性及び軽量性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱成形性芯材の断面模式図である。
【図2】本発明の自動車用内装材の断面模式図である。
【符号の説明】
1 多孔質材
2 表側合成樹脂層
3 ホットメルト樹脂層
4 裏側合成樹脂層
5 貫通孔
6 表面材
A 熱成形性芯材
B 自動車用内装材
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた吸音性及び熱成形性を有する熱成形性芯材及びこの熱成形性芯材を用いた外観が美麗な自動車用内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車用内装材は、軽量性、剛性、耐熱性、非通気性等の種々の性能が要求される。このような自動車用内装材の芯材としては、特許文献1に、無機繊維と熱可塑性樹脂繊維を主材料として形成されたマット状物の少なくとも一外方に、前記熱可塑性樹脂繊維より融点の高い耐熱剛性樹脂層と、熱活性樹脂層とがこの順に積層されてなる熱成形性芯材が提案されている。そして、この熱成形性芯材は、その一面に表面材が積層一体化された上で所望形状に成形されて自動車用内装材として用いられる。
【0003】
しかしながら、熱活性樹脂層が積層されていない熱成形性芯材の面に表面材を積層一体化する場合には、表面材と熱成形性芯材との間に接着剤層又はホットメルト樹脂層を介在させる必要があるが、熱成形性芯材を成形する過程において、表面材と熱成形性芯材との間に介在させた接着材層又はホットメルト樹脂層がマット状物内に含浸、吸収されてしまって表面材と熱成形性芯材との一体化が不十分となるといった問題があった。
【0004】
又、熱活性樹脂層が積層された熱成形性芯材の面に表面材を積層一体化すると、室内側となる表面材側において音が発生した場合、音がマット状物へ進入、吸収されるのを耐熱剛性樹脂層が阻害するために、吸音性が低下するといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特許公報第2872896号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性、非通気性及び吸音性に優れている熱成形性芯材及びこれを用いた自動車用内装材を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱成形性芯材Aは、図1に示したように、耐熱性繊維を絡合させ且つ該耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂によって結着させてなる多孔質材1の表面に、上記多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる表側合成樹脂層2と、ホットメルト樹脂層3とが表側合成樹脂層2を内側にして積層一体化されていると共に、裏面に上記多孔質材1中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層4が積層一体化され、上記ホットメルト樹脂層3の表面から上記表側合成樹脂層2の裏面に達する多数の貫通孔5が形成されてなる熱成形性芯材であって、上記貫通孔5の開口面積が0.2mm2 以上で且つ3mm2 未満であることを特徴とする。
【0008】
本発明の熱成形性芯材Aに用いられる多孔質材1は、耐熱性繊維を絡合させ且つ該耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂によって結着させてなり、全体に亘って連続した空隙を有している。
【0009】
このような多孔質材1としては、例えば、イ)耐熱性繊維或いは耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させ且つ繊維同士を熱可塑性樹脂で結着させてなるもの、ロ)耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させ且つ上記熱可塑性樹脂繊維の一部又は全部を溶融させて繊維同士を結着させたもの等が挙げられる。
【0010】
なお、上記多孔質材1の空隙率は、小さいと、得られる熱成形性芯材Aの吸音性及び軽量性が低下し、又、大きいと、得られる熱成形性芯材Aの機械的強度が低下するので、50〜95%が好ましい。
【0011】
上記耐熱性繊維としては、熱成形性芯材Aの製造或いは成形工程において加えられる熱によって溶融しないものであれば、特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、セラミック繊維等の無機繊維;ジュート繊維、ケナフ繊維等の天然繊維が挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0012】
そして、耐熱性繊維は、熱成形性芯材Aに要求される物性に応じて適宜選択すればよく、具体的には、熱成形性芯材Aの曲げ強度、厚さ回復性等の機械的強度が重視される場合には無機繊維を用いるのが好ましく、熱成形性芯材Aのサーマルリサイクル性が重視される場合には天然繊維を用いるのが好ましい。
【0013】
上記無機繊維の長さは、短すぎても長すぎても、得られる熱成形性芯材Aの熱成形性が低下することがあるので、5〜250mmが好ましく、50〜150mmの長さの無機繊維が多孔質材1を構成する全繊維中に70重量%以上含有されているのがより好ましい。
【0014】
又、上記無機繊維の直径は、細いと、得られる熱成形性芯材Aの曲げ強度、厚み回復性等の機械的強度が低下することがあり、又、太いと、得られる熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、5〜25μmが好ましく、7〜15μmがより好ましい。
【0015】
更に、上記天然繊維の長さは、短すぎても長すぎても、得られる熱成形性芯材Aの曲げ強度、厚み回復性などの機械的強度が低下するので、3〜200mmが好ましく、5〜150mmがより好ましい。又、上記天然繊維の直径は、200μm以下のものが一般的であり、10〜150μmが好ましい。
【0016】
又、上記熱可塑性樹脂繊維としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなる繊維が挙げられ、熱成形性芯材Aの製造時に一部又は全体が溶融して耐熱性繊維同士を結着することができるものが好ましい。
【0017】
そして、上記熱可塑性樹脂繊維の長さ及び太さは、上記耐熱性繊維と均一に且つ容易に絡合される程度に調整されることが好ましく、具体的には、長さは5〜200mmが好ましく、20〜100mmがより好ましく、更に、太さは、直径5〜70μmが好ましく、直径15〜40μmがより好ましい。
【0018】
更に、上記耐熱性繊維を相互に結着する熱可塑性樹脂としては、耐熱性繊維同士を結着することができれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、飽和ポリエステル、これらの変性物等が挙げられる。
【0019】
又、上記多孔質材1中における耐熱性繊維と熱可塑性樹脂(溶融した熱可塑性樹脂繊維を含む)の重量割合(耐熱性繊維:熱可塑性樹脂)は、耐熱性繊維が少ないと、得られる熱成形性芯材Aの耐熱性が低下することがあり、又、耐熱性繊維が多いと、耐熱性繊維相互の結着力が低下し、得られる熱成形性芯材Aの剛性が低下することがあるので、5:1〜1:5が好ましい。
【0020】
更に、多孔質材1の見掛け密度は、小さいと、得られる熱成形性芯材Aの曲げ強度等の機械的強度が低下することがあり、又、大きいと、得られる熱成形性芯材Aの吸音性及び軽量性が低下することがあるので、0.01〜0.2g/cm3 が好ましい。
【0021】
そして、上記多孔質材の表面には、この多孔質材1中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる表側合成樹脂層2と、ホットメルト樹脂層3とが表側合成樹脂層2を内側(多孔質材1側)にして積層一体化されている。なお、本発明において、熱可塑性樹脂の融点とは、JIS K0064に準拠して測定されたものをいう。
【0022】
上記表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂は、上述のように、その融点が多孔質材1の耐熱性繊維同士を結着している熱可塑性樹脂の融点よりも高いものに限定され、多孔質材1の耐熱性繊維同士を結着している熱可塑性樹脂の融点よりも30℃以上高いものが好ましく、50℃以上高いものがより好ましい。
【0023】
このような表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、6−ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、これらの変性物等が挙げられる。
【0024】
そして、上記表側合成樹脂層2の厚さは、薄いと、熱成形性芯材Aの熱成形時に多孔質材1中の耐熱性繊維が表側合成樹脂層2を突き破り易くなり、又、厚いと、熱成形性芯材Aの軽量性が低下するので、3〜25μmが好ましい。
【0025】
又、上記ホットメルト樹脂層3を構成するホットメルト樹脂としては、その融点が上記表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも低いものが好ましく、上記表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂の融点より20℃以上低いものがより好ましく、多孔質材1の耐熱性繊維同士を結着している熱可塑性樹脂の融点よりも低いものが特に好ましい。
【0026】
これにより、表側合成樹脂層2を溶融させることなくホットメルト樹脂層3を溶融させることができ、即ち、この溶融したホットメルト樹脂層3が多孔質材1中に含浸するのを非溶融状態の表側合成樹脂層2により確実に阻止して表側合成樹脂層2上にホットメルト樹脂層3を確実に存在させ、このホットメルト樹脂層3上に図2に示したように後述する表面材6を強固に積層一体化することができる。
【0027】
このようなホットメルト樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、飽和ポリエステル、変性ポリエチレン、共重合ポリアミド等が挙げられる。
【0028】
更に、上記ホットメルト樹脂のメルトフローレート(以下、「MFR」という)は、小さいと、ホットメルト樹脂と表面材6との間のアンカー効果が低下して接着性が低下することがあり、又、大きいと、表面材6が不織布である場合、ホットメルト樹脂が表面材6に含浸されてしまって接着性が低下することがあるので、0.5〜20が好ましく、2〜15がより好ましい。なお、ホットメルト樹脂のMFRは、JIS K 7210に準拠し、温度190℃、荷重21.2Nの条件下で測定したものである。
【0029】
そして、上記ホットメルト樹脂層3の厚さは、薄いと、表面材6を積層させる際に表面材6との接着性が低下することがあり、又、厚いと、熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、20〜100μmが好ましい。
【0030】
更に、上記ホットメルト樹脂層3及び上記表側合成樹脂層2には、その全面に亘って略均等な密度でもってホットメルト樹脂層3の表面から表側合成樹脂層2の裏面に達する多数の貫通孔5が形成されている。なお、貫通孔5の形状は、特に限定されず、例えば、真円形、楕円形、矩形状、六角形等が挙げられるが、真円形、楕円形が好ましく、真円形がより好ましい。
【0031】
上記貫通孔5の大きさは、小さいと、熱成形性芯材Aを熱成形する際にホットメルト樹脂が貫通孔5を埋めてしまって熱成形性芯材Aの吸音性が低下することがあり、又、大きいと、低周波領域での吸音性が低下したり、更に、ホットメルト樹脂層3における貫通孔5が形成されている部分とそうでない部分での表面材6との間の接着性が不均一となることがあり、特に、表面材が不織布から形成され且つ目付が190g/m2 以下である場合には、更に、ホットメルト樹脂の表面材6への含浸度合いが表面材6の面方向に不均一になってしまい表面材6に凹凸が生じ、表面材6の外観が損なわれたり、或いは、貫通孔5を通過した状態に熱成形性芯材Aを切断した際、貫通孔5部分の表面材6に浮きが発生して熱成形性芯材Aの外観が低下することがあるので、0.2mm2 以上で且つ3mm2 未満に限定され、0.75mm2 以上で且つ3mm2 未満が好ましい。なお、上記貫通孔5の開口面積とは、貫通孔5の表側開口端の面積をいう。
【0032】
又、任意の貫通孔5とこの貫通孔5に最も近い貫通孔5との距離(ピッチ)は、小さいと、熱成形性芯材Aの機械的強度が低下することがあり、又、大きいと、熱成形性芯材Aの吸音性が低下することがあるので、1〜15mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。
【0033】
なお、貫通孔5、5間の距離とは、貫通孔5が円形状である場合にはその中心間の距離から各々の貫通孔5の半径分を減じた距離をいい、貫通孔5が非円形状である場合には、この貫通孔5を完全に包囲し得る最も小さな真円の中心間の距離から各々の真円の半径を減じた距離をいう。
【0034】
更に、ホットメルト樹脂層3の表面積に対する貫通孔5の開口合計面積の割合は、小さいと、熱成形性芯材Aの吸音性が低下することがあり、又、大きいと、ホットメルト樹脂層3と表面材6との接着性が低下することがあるので、1〜80%が好ましく、3〜30%がより好ましい。
【0035】
又、上記多孔質材1の裏面には、この多孔質材1の耐熱性繊維同士を結着している熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層4が積層一体化されており、この裏側合成樹脂層4には表側合成樹脂層2とは異なり貫通孔は形成されておらず、裏側合成樹脂層4によって熱成形性芯材Aに非通気性を付与している。
【0036】
この裏側合成樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂は、上記表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂と同様の熱可塑性樹脂が用いられ、表側合成樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂と同一のものであっても異種類のものであってもよく、厚さも表側合成樹脂層2と同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
上記裏側合成樹脂層4の厚みは、薄いと、熱成形性芯材Aの成形時に多孔質材1を構成する耐熱性繊維が裏側合成樹脂層4を突き破ってしまい、熱成形性芯材Aの非通気性が損なわれることがあり、又、厚いと、熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、3〜25μmが好ましい。
【0038】
又、上記裏側合成樹脂層4上にも、上記表側合成樹脂層2と同様に上記ホットメルト樹脂層が積層一体化されていてもよい。
【0039】
更に、上記多孔質材1と上記表裏合成樹脂層2、4との間及び上記表側合成樹脂層2と上記ホットメルト樹脂層3との間に接着層を介在させることによって両者をより強固に積層一体化させてもよい。そして、この接着層を構成する接着性樹脂としては、特に限定されず、酸変性ポリエチレン、共重合ポリアミド、共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0040】
次に、上記熱成形性芯材Aの製造方法について説明する。この熱可塑性芯材Aの製造方法としては、特に限定されず、例えば、イ)熱可塑性樹脂シート(1a)、この熱可塑性樹脂シート(1a)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2a)及びホットメルト樹脂シートをこの順で積層一体化してなる表側積層シートを一枚作製し、この表側積層シートに両面間に亘って貫通する貫通孔を貫設する一方、上記熱可塑性樹脂シート(1a)と同様の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂シート(1b)上にこの熱可塑性樹脂シート(1b)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2b)を積層一体化させてなる裏側積層シートを一枚作製する。一方、耐熱性繊維或いは耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させてなる不織マットを別途用意し、この不織マットの表面に表側積層シートをそのホットメルト樹脂シートが外側となるように積層すると共に、他面に裏側積層シートをその熱可塑性樹脂シート(2b)が外側となるように積層して積層体を製造する。しかる後、この積層体を、上記熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)及びホットメルト樹脂シート更に熱可塑性樹脂繊維がある場合には熱可塑性樹脂繊維が溶融し且つ熱可塑性樹脂シート(2a)(2b)が溶融しない温度に加熱した上で、上記積層体を厚み方向に圧縮し、溶融状態の熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)のみを不織マット内に含浸させ、次に、積層体を厚み方向に拡開させ、耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂で結着させて熱成形性芯材Aを製造する製造方法。ロ)耐熱性繊維或いは耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合繊維を絡合させてなる不織マットを用意し、この不織マットの両面に熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)を積層させる。一方、この熱可塑性樹脂シート(1a)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2a)上にホットメルト樹脂シートを積層一体化してなる積層シートを1枚作製し、この積層シートに両面間に亘って貫通する貫通孔を貫設する。そして、上記不織マットの熱可塑性樹脂シート(1a)上に積層シートを、熱可塑性樹脂シート(1b)上にこの熱可塑性樹脂シート(1b)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂シート(2b)を積層して積層体を製造する。しかる後、この積層体を、上記熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)及びホットメルト樹脂シート更に熱可塑性樹脂繊維がある場合には熱可塑性樹脂繊維が溶融し且つ熱可塑性樹脂シート(2a)(2b)が溶融しない温度に加熱した上で、上記積層体を厚み方向に圧縮し、溶融状態の熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)のみを不織マット内に含浸させ、次に、積層体を厚み方向に拡開させ、耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂で結着させて熱成形性芯材Aを製造する製造方法等が挙げられる。ここで、上記熱可塑性樹脂シート(2a)が熱成形性芯材Aの表側合成樹脂層を、上記熱可塑性樹脂シート(2b)が熱成形性芯材Aの裏側合成樹脂層を、上記熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)を構成する熱可塑性樹脂及び溶融した熱可塑性樹脂繊維が多孔質材1中の熱可塑性樹脂を構成する。
【0041】
なお、上記積層シートに貫通孔を貫設する方法としては、特に限定されず、例えば、積層シートにパンチによって貫通孔を貫設する方法、積層シートに部分的に熱を加えることによって積層シートの所定部分を溶融開口させて貫通孔を貫設する方法等が挙げられ、任意の大きさの貫通孔を精度良く貫設することができることから、積層シートにパンチによって貫通孔を貫設する方法が好ましい。
【0042】
又、上記不織マットの両面に積層させる熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)の厚みは、薄いと、不織マット内に熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)が含浸しても耐熱性繊維相互の結着力が不足し、得られる熱成形性芯材Aの機械的強度が低下することがあり、又、厚いと、得られる熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、30〜700μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。
【0043】
更に、上記製造方法において、不織マットの両面に積層させた熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)は不織マット内に含浸して不織マットを構成する耐熱性繊維を相互に結着するが、熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)の全てを不織マット内に含浸させる必要はなく、得られる熱成形性芯材Aの多孔質材1の表面に、貫通孔5が連結、連通している状態であればよく、熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)の一部が得られる熱成形性芯材Aの多孔質材1表面に残存していてもよい。
【0044】
又、上述の熱可塑性樹脂シート(1a)、熱可塑性樹脂シート(2a)及びホットメルト樹脂シートからなる積層シート、熱可塑性樹脂シート(1b)及び熱可塑性樹脂(2b)からなる積層シートの製造方法としては、特には限定されず、従来公知の任意の方法が採用され、例えば、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられ、各層を構成する樹脂をダイ内に同時押出した後、Tダイ等から吐出させる共押出法が経済的で好ましい。
【0045】
更に、不織マットの両面に熱可塑性樹脂シート(1a)(1b)を積層する方法としては、特に限定されず、従来公知の任意の方法が採用され、例えば、不織マットの両面に熱可塑性樹脂シートを押出ラミネートする方法、熱可塑性樹脂シートを不織マットの両面に熱ラミネートする方法等が挙げられる。
【0046】
又、上記積層体の厚み方向への圧縮条件は、特に限定されず、圧縮圧力が0.2〜1MPaであり、圧縮時間が2〜10秒であるのが好ましい。
【0047】
そして、上記積層体を厚み方向に拡開させる方法としては、例えば、イ)ポリテトラフルオロエチレンで被覆された鋼板やガラスクロスシートからなる一対の挟着体間に積層体を挟み、この挟着体を通じて積層体の両面を真空吸引して、積層体の両面を一対の挟着体の対向内面の夫々に吸着させた状態で挟着体間の距離を拡げることによって積層体を厚み方向に拡開させる方法、ロ)耐熱性繊維の弾性回復力によって積層体の厚みを自然に拡開させる方法等が挙げられる。
【0048】
ここで、上記イ)の方法を採用する場合には、積層体が挟着体の内面に安定的に吸着した状態とするために、不織マットの裏側に積層させた熱可塑性樹脂シート(2b)上に積層体の加熱時には溶融して粘性を発現するが、冷却すると粘性を発現しない粘着樹脂層を積層させておけば、積層体を挟着体の内面に粘着樹脂層を介して安定的に吸着させておくことができる。
【0049】
上記の如くして得られた熱成形性芯材Aは、図2に示したように、そのホットメルト樹脂層3上に表面材6が積層一体化されると共に所望形状に成形されて自動車用内装材Bとして好適に用いることができる。
【0050】
上記表面材6としては、特に限定されず、例えば、無機繊維、天然繊維、合成繊維又はこれらを混合した混合繊維を絡合させてなる不織布が挙げられ、合成繊維を絡合させてなる不織布が好ましい。上記天然繊維としては、例えば、綿、羊毛、麻等が挙げられ、上記合成繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられ、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、又は、ポリエステル繊維とポリプロピレン繊維との混合繊維が好ましい。
【0051】
そして、上記表面材6として不織布を使用することによって、熱成形性芯材Aのホットメルト樹脂層3の一部を表面材6内部に進入させてアンカー効果により表面材6とホットメルト樹脂層3とを強固に接着一体化することができ、よって、表面材6をホットメルト樹脂層3上に確実に積層させた状態で熱成形性芯材Aを複雑な形状に確実に成形することができる。
【0052】
更に、上記表面材6の目付は、大きいと、熱成形性芯材Aの軽量性が低下することがあるので、190g/m2 以下が好ましく、185g/m2 以下がより好ましい。
【0053】
【実施例】
(実施例1)
ガラス繊維(長さ:40〜75mm、直径:9μm)と、ポリプロピレン繊維(長さ:64mm、直径:35μm、融点:162℃)とを重量比が3:2となるように混合し、カードマシンに供給してマット状物を製造し、このマット状物にニードルパンチを1cm2 当たり20箇所に施して不織マット(目付:約550g/m2 、厚さ:約7.5mm)を得た。
【0054】
一方、少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン(融点:135℃、MFR:7)と、6−ナイロン(融点:230℃)と、直鎖状低密度ポリエチレン(融点:125℃、MFR:10)とをこの順序で共押出して積層シートを2枚製造した。なお、積層シートにおいて、少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン層の厚みは120μm、6−ナイロン層の厚みは10μm、直鎖状低密度ポリエチレン層の厚みは60μmであった。
【0055】
そして、上記積層シートのうちの一枚の積層シートの全面に、開口面積が1.8mm2 の真円形の貫通孔を多数、前後左右に隣接する貫通孔同士のピッチが5mmの間隔で前後左右方向に格子状に積層シートの両面間に亘って貫通した状態に形成した。
【0056】
次に、上記不織マットの表面に貫通孔を貫設した積層シートをその高密度ポリエチレン層を内側にして積層すると共に、裏面に貫通孔を貫設していない積層シートをその高密度ポリエチレン層を内側にして積層して積層体を形成した。なお、積層体は、その目付が約890g/m2 で且つ厚さが約8mmであった。
【0057】
そして、表面がポリテトラフルオロエチレンで被覆された一対のガラスクロスシート間に上記積層体を挟着した上で約200℃に保持された熱風式加熱炉に供給して5分間加熱した。
【0058】
しかる後、上記積層体をガラスクロスシート間に挟着させた状態のまま、一対の平板プレス間に挟み、上記積層体をその厚みが1mmとなるまで圧縮し、その状態で5秒間放置した後、ガラスクロスシート間に挟着させたまま積層体を平板プレスから取り外し、ガラスクロスシートを通じて積層体の両面を真空吸引して積層体の両面がガラスクロスシートの対向内面に密着した状態を維持しつつ、積層体をその厚みが5.5mmとなるまで厚み方向に0.5mm/秒の速度で拡開し、続いて、この厚みを維持したまま5分間空冷した後にガラスクロスシートを取り除いて熱成形性芯材を得た。
【0059】
得られた熱成形性芯材は、ガラス繊維が絡合し且つこのガラス繊維同士が少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン及び全てのポリプロピレン繊維が溶融して得られたポリプロピレンによって結着された全体的に連続した空隙を有する多孔質材の表裏面の夫々に、6−ナイロンからなる表裏合成樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレンからなるホットメルト樹脂層とが表裏合成樹脂層を内側にして積層一体化されてなり、表側のホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面、即ち、多孔質材の表面に達する多数の貫通孔が全面的に且つ均一に形成されていた。なお、上記熱成形性芯材は、その厚みが5.0mm、目付が890g/m2 、貫通孔の開口面積が1.8mm2 、ホットメルト樹脂層の表面積に対する貫通孔の開口合計面積の割合は10%、多孔質材の空隙率は93%、多孔質材の見掛け密度は0.12g/cm3 、表側合成樹脂層の厚みは10μm、裏側合成樹脂層の厚みは10μm、ホットメルト樹脂層の厚みは、60μmであった。
【0060】
(実施例2)
少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン(融点:135℃、MFR:7)と、6−ナイロン(融点:230℃)と、共重合ポリアミド(融点:80〜115℃)とをこの順序で共押出して積層シートを2枚製造したこと以外は実施例1と同様にして熱成形性芯材を得た。
【0061】
なお、上記積層シートにおいて、少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン層の厚みは120μm、6−ナイロン層の厚みは20μm、共重合ポリアミド層の厚みは60μmであった。
【0062】
得られた熱成形性芯材は、ガラス繊維が絡合し且つこのガラス繊維同士が少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン及び全てのポリプロピレン繊維が溶融して得られたポリプロピレンによって結着された全体的に空隙を有する多孔質材の表裏面の夫々に、6−ナイロンからなる表裏合成樹脂層と、共重合ポリアミドからなるホットメルト樹脂層とが表裏合成樹脂層を内側にして積層一体化されてなり、表側のホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面、即ち、多孔質材の表面に達する多数の貫通孔が全面的に且つ均一に形成されていた。なお、上記熱成形性芯材は、その厚みが5.0mm、目付が890g/m2 、貫通孔の開口面積が1.8mm2 、ホットメルト樹脂層の表面積に対する貫通孔の開口合計面積の割合は10%、多孔質材の空隙率は93%、多孔質材の見掛け密度は0.12g/cm3 、表側合成樹脂層の厚みは20μm、裏側合成樹脂層の厚みは20μm、ホットメルト樹脂層の厚みは60μmであった。
【0063】
(比較例1)
積層シートのうちの一枚の積層シートの全面に、開口面積が12mm2 の真円形の貫通孔を多数、前後左右方向に7mm間隔で格子状に積層シートの両面間に亘って貫通した状態に貫設したこと以外は実施例1と同様にして熱成形性芯材を製造した。
【0064】
得られた熱成形性芯材は、ガラス繊維が絡合し且つこのガラス繊維同士が少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン及びポリプロピレン繊維が溶融して得られたポリプロピレンによって結着された全体的に空隙を有する多孔質材の表裏面の夫々に、6−ナイロンからなる表裏合成樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレンからなるホットメルト樹脂層とが表裏合成樹脂層を内側にして積層一体化されてなり、表側のホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面、即ち、多孔質材の表面に達する多数の貫通孔が全面的に且つ均一に形成されていた。なお、上記熱成形性芯材は、その厚みが5.0mm、目付が860g/m2 、貫通孔の開口面積が12mm2 、ホットメルト樹脂層の表面積に対する貫通孔の開口合計面積の割合は26%、多孔質材の空隙率は93%、多孔質材の見掛け密度は0.12g/cm3 、表側合成樹脂層の厚みは10μm、裏側合成樹脂層の厚みは10μm、ホットメルト樹脂層の厚みは60μmであった。
【0065】
(比較例2)
積層シートのうちの一枚の積層シートの全面に、該積層シートの表面に100℃に加熱された針を押圧することによって、開口面積が0.13mm2 の真円形の貫通孔を多数、前後左右方向に7mm間隔で格子状に積層シートの両面間に亘って貫通した状態に貫設したこと以外は実施例1と同様にして熱成形性芯材を製造した。
【0066】
得られた熱成形性芯材は、ガラス繊維が絡合し且つこのガラス繊維同士が少量の無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する高密度ポリエチレン及びポリプロピレン繊維が溶融して得られたポリプロピレンによって結着された全体的に空隙を有する多孔質材の表裏面の夫々に、6−ナイロンからなる表裏合成樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレンからなるホットメルト樹脂層とが表裏合成樹脂層を内側にして積層一体化されて形成されており、積層シートに形成した貫通孔は、直鎖状低密度ポリエチレンによって埋まっていた。なお、上記熱成形性芯材は、その厚みが5.0mm、目付が910g/m2 、多孔質材の空隙率は93%、多孔質材の見掛け密度は0.12g/cm3 、表側合成樹脂層の厚みは10μm、裏側合成樹脂層の厚みは10μm、ホットメルト樹脂層の厚みは60μmであった。
【0067】
(自動車用内装材の作製)
実施例1、2及び比較例1、2の熱成形性芯材における表側のホットメルト樹脂層上に、ポリエステル繊維を絡合させてなる目付185g/m2 の不織布からなる表面材を積層し、熱成形性芯材と表面材とをそれらの外周縁部をホッチキスによって一体化した後、熱成形性芯材をその裏面が180℃に、表面材の表面温度が約190℃となるように加熱した上でプレス成形して、熱成形性芯材の表側のホットメルト樹脂層上に表面材が積層一体化してなる自動車用内装材を作製した。
【0068】
又、比較例3として、比較例1の熱成形性芯材の表側のホットメルト樹脂層上に、ポリエステル繊維を絡合させてなる目付300g/m2 の不織布からなる表面材を積層し、熱成形性芯材と表面材とをそれらの外周縁部をホッチキスによって一体化した後、熱成形性芯材をその裏面が180℃に、表面材の表面温度が約190℃となるように加熱した上でプレス成形して、熱成形性芯材の表側のホットメルト樹脂層上に表面材が積層一体化してなる自動車用内装材を作製した。
【0069】
上記自動車用内装材の吸音性、非通気性、外観及び表面材剥がれを以下の方法で測定し、その結果を表1に示した。
【0070】
(自動車内装材の吸音性)
自動車用内装材からその厚みが4mmである部分を切り出し、表面材側からの吸音性をJIS A1405に準拠して2kHz及び4kHzでの吸音性を測定した。
【0071】
(非通気性)
自動車用内装材における任意部分の透気度(cm3 /cm2 ・秒)をデンソメータ(テスター産業社製)により、圧力0.0015MPaで測定した。
【0072】
(外観)
自動車用内装材の表面材表面に貫通孔の凹凸に起因した凹凸が生じているか否かを目視にて観察し、以下の基準により判断した。
○・・・表面材の表面に凹凸は生じていなかった。
×・・・表面材の表面に凹凸が生じていた。
【0073】
(表面材剥がれ)
自動車用内装材の外周縁部にウォータージェットを噴射した後に、表面材が表側のホットメルト樹脂層から剥離しているか否かを目視にて観察した。
○・・・表面材はホットメルト樹脂層から剥離していなかった。
×・・・表面材がホットメルト樹脂層から剥離していた。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
本発明の熱成形性芯材は、ホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面に達する多数の貫通孔が形成されており、この貫通孔の開口面積を0.2以上で且つ3mm2 未満に限定していることから、ホットメルト樹脂層の表面は平坦性に優れており、ホットメルト樹脂層上に積層一体化される表面材の目付が例えば、190g/m2 以下といった小さいものであっても表面材の表面に凹凸は生じず、熱成形性芯材のホットメルト樹脂層上に表面材を美麗な状態に積層一体化することができる。
【0076】
しかも、上記貫通孔は、ホットメルト樹脂層の表面から表側合成樹脂層の裏面に達した状態に貫設されており、ホットメルト樹脂層側からの音は、貫通孔が貫設されて振動し易くなったホットメルト樹脂層及び表側合成樹脂層が振動することにより吸収されると共に貫通孔を通じて円滑に多孔質材中に吸収され、よって、本発明の熱成形性芯材は優れた吸音性を有する。
【0077】
更に、表側合成樹脂層は、多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂から構成されていることから、熱成形性芯材の成形時においても溶融することはなく、よって、表側合成樹脂層上のホットメルト樹脂層は成形時においても多孔質材内に吸収されることなく表側合成樹脂層上に確実に存在する。
【0078】
従って、ホットメルト樹脂層上に表面材を積層一体化させた場合にあっても、表面材とホットメルト樹脂層との一体化した状態を確実に維持しつつ、熱成形性芯材を所望形状に成形することができる。
【0079】
更に、熱成形性芯材の多孔質材の裏面には、この多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層が積層一体化されていることから、熱成形性芯材は非通気性に優れており、熱成形性芯材の表裏面方向に空気が流通するのを確実に遮断し、熱成形性芯材中にその厚み方向に空気が流通し、この空気中に含まれる塵等によってホットメルト樹脂層上に積層一体化した表面材が汚染されるのを防止し、或いは、熱成形性芯材の裏面側から表面側に伝達する音を減衰させることができて遮音性にも優れている。
【0080】
又、ホットメルト樹脂層の表面積に対する貫通孔の開口合計面積の割合が1〜80%である場合や、任意の貫通孔とこの貫通孔に最も近い貫通孔との距離が1〜15mmである場合には、熱成形性芯材は、優れた吸音性及び軽量性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱成形性芯材の断面模式図である。
【図2】本発明の自動車用内装材の断面模式図である。
【符号の説明】
1 多孔質材
2 表側合成樹脂層
3 ホットメルト樹脂層
4 裏側合成樹脂層
5 貫通孔
6 表面材
A 熱成形性芯材
B 自動車用内装材
Claims (6)
- 耐熱性繊維を絡合させ且つ該耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂によって結着させてなる多孔質材の表面に、上記多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる表側合成樹脂層と、ホットメルト樹脂層とが表側合成樹脂層を内側にして積層一体化されていると共に、裏面に上記多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層が積層一体化され、上記ホットメルト樹脂層の表面から上記表側合成樹脂層の裏面に達する多数の貫通孔が形成されてなる熱成形性芯材であって、上記貫通孔の開口面積が0.2mm2 以上で且つ3mm2 未満であることを特徴とする熱成形性芯材。
- ホットメルト樹脂層の表面積に対する貫通孔の開口合計面積の割合が1〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の熱成形性芯材。
- 任意の貫通孔とこの貫通孔に最も近い貫通孔との距離が1〜15mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱成形性芯材。
- 耐熱性繊維を絡合させ且つ該耐熱性繊維同士を熱可塑性樹脂によって結着させてなる多孔質材の表面に、上記多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる表側合成樹脂層と、ホットメルト樹脂層とが表側合成樹脂層を内側にして積層一体化されていると共に、裏面に上記多孔質材中の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂からなる裏側合成樹脂層が積層一体化され、上記ホットメルト樹脂層の表面から上記表側合成樹脂層の裏面に達する多数の貫通孔が形成されてなると共に、上記貫通孔の開口面積が0.2mm2 以上で且つ3mm2 未満である熱成形性芯材のホットメルト樹脂層上に表面材が積層一体化され且つ所望形状に成形されてなることを特徴とする自動車用内装材。
- 表面材が、目付190g/m2 以下の不織布であることを特徴とする請求項4に記載の自動車用内装材。
- 表面材が、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維又はこれらの混合繊維を絡合させてなる不織布からなることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の自動車用内装材。
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