JP2005218317A - 腸管出血性大腸菌の志賀毒素群遺伝子の検出試薬 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 EHECのstx2 RNAに特異的かつ遺伝子型による変異のない位置にある塩基配列と相同的あるいは相補的な配列を有するプライマーを用いることにより、stx2 RNAのみを特異的に増幅させて検出する方法と、stx2 RNAの特定部位に結合するオリゴヌクレオチドによって、前記課題を解決する。
【選択図】 図4
Description
stx2遺伝子に由来するRNAの特定配列を鋳型として、該特定配列に相同的な配列を有する第一のプライマーおよび該特定配列に相補的な配列を有する第二のプライマー(ここで第一または第二のプライマーのいずれか一方のプライマーは5’ 末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列を付加した配列を有する)を用い、RNA依存性DNAポリメラーゼによりcDNAを生成することによりRNA−DNA2本鎖を形成し、
リボヌクレアーゼH作用により該RNA−DNA2本鎖のRNAを分解して1本鎖DNAを生成し、
該1本鎖DNAを鋳型としてDNA依存性DNAポリメラーゼにより前記RNA配列または前記RNA配列に相補的な配列からなるRNAを転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖DNAを生成し、そして
該2本鎖DNAがRNAポリメラーゼ存在下でRNA転写産物を生成し、該RNA転写産物が引き続き前記RNA依存性DNAポリメラーゼによるcDNA合成の鋳型となる、
といった段階を含んで成るRNA増幅工程を利用した検出法において利用するための検出試薬であり、
ここで該第一のプライマーとして配列番号1に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基からなるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基配列からなるオリゴヌクレオチドにおいて1もしくは数個のヌクレオチドが欠失、置換もしくは付加され且つ前記特定配列に相補的な配列に特異的に結合できるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと高ストリンジェント条件下でハイブリダイズし且つ前記特定配列に相補的な配列に特異的に結合できるオリゴヌクレオチド、該第二のプライマーとして配列番号2に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基からなるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基配列からなるオリゴヌクレオチドにおいて1もしくは数個のヌクレオチドが欠失、置換もしくは付加され且つ前記特定配列に特異的に結合できるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと高ストリンジェント条件下でハイブリダイズし且つ前記特定配列に特異的に結合できるオリゴヌクレオチド、を含むことを特徴とする検出試薬に関する。
好適な態様において、前記第二のプライマーは配列番号2の配列のオリゴヌクレオチドである。
更なる好適な態様において、前記第一のプライマーは配列番号1の配列のオリゴヌクレオチドであり、かつ前記第二のプライマーが配列番号2の配列のオリゴヌクレオチドである。
特開2002−253257号公報に記載のオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いて、腸管出血性大腸菌(EHEC)のstx1 RNAおよびstx2 RNAの様々なコピー数による検出を行なった。
反応液の組成(各濃度は最終反応液量30 μLにおける濃度)
60 mM Tris−塩酸緩衝液(pH 8.6)
17 mM 塩化マグネシウム
100 mM(stx1用)または150 mM(stx2用) 塩化カリウム
6 U RNase inhibitor
1 mM DTT
各0.25 mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP
3.6 mM ITP
各3.0 mMのATP、CTP、GTP、UTP
0.16 μMの切断用オリゴヌクレオチド
1.0 μMの第一プライマー
1.0 μMの第二プライマー
25 nMのインターカレーター性色素で標識されたオリゴヌクレオチド
13% DMSO
容量調整用蒸留水
酵素液の組成(各数値は最終反応液量30 μLにおける値)
2.0 % ソルビトール
3.6 μg 牛血清アルブミン
142 U T7RNAポリメラーゼ(インビトロジェン製)
6.4 U AMV逆転写酵素(ライフサイエンス製)
容量調整用蒸留水
(4) 引き続きPCRチューブを直接測定可能な温度調節機能付き蛍光分光光度計を用い、44℃(stx1用)あるいは41℃(stx2用)で保温して、励起波長470 nm、蛍光波長520 nmで、反応溶液を経時的に測定した。
酵素添加時の時刻を0分として、stx1及びstx2の試料の蛍光強度比(所定時刻の蛍光強度値÷バックグラウンドの蛍光強度値)の経時変化をそれぞれ図2(A)および(B)に示した。また、初期RNA量の対数値と立ち上がり時間(蛍光増加比が陰性の平均値に標準偏差の3倍を加えた値の1.2倍になるまでの時間)との関係の結果をstx1及びstx2の試料それぞれについて図3(C)および(D)に示した。なお、初期RNA量はstx1、stx2ともに102 コピー/試験から105 コピー/試験である。
VT1−5S(配列番号4)
VT2−5S(配列番号5)
第一プライマー
VT1−5F(配列番号6)
VT2−5F(配列番号7)
第二プライマー
VT1−6R(配列番号8)
VT2−7R(配列番号2)
インターカレーター性色素で標識されたオリゴヌクレオチド
YO−VT1−S−G(配列番号9)
YO−VT2−S−G(配列番号3)
本願発明のオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いてEHECのstx2 RNAの様々な初期コピー数における検出を行なった。
(1) 実施例1と同様のEHECのstx2 RNAをRNA希釈液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、1 mM EDTA、5mM DTT、0.25 U/μL RNase inhibitor(タカラバイオ製))を用い、105 コピー/5μLから102 コピー/5μLまでとなるよう希釈した。コントロール試験区(陰性)には希釈液のみを用いた。
反応液の組成(各濃度は最終反応液量30 μLにおける濃度)
60 mM Tris−塩酸緩衝液(pH 8.6)
18 mM 塩化マグネシウム
100 mM 塩化カリウム
6 U RNase inhibitor
1 mM DTT
各0.25 mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP
3.6 mM ITP
各3.0 mMのATP、CTP、GTP、UTP
0.16 μMの切断用オリゴヌクレオチド(VT2−12S、配列番号10、3’末端の水酸基はアミノ化されている。)
1.0 μMの第一プライマー(VT2−12F、配列番号11)
1.0 μMの第二プライマー(VT2−7R、配列番号2)
25 nMのインターカレーター性色素で標識されたオリゴヌクレオチド(YO−VT2−S−G、配列番号3、5’末端から12番目の「T」と13番目の「A」との間のリンにインターカレーター性蛍光色素が標識されている。また3’末端の水酸基はグリコール基で修飾されている。)
13% DMSO
容量調整用蒸留水
酵素液の組成(各濃度は最終反応液量30 μLにおける濃度)
2.0% ソルビトール
3.6 μg 牛血清アルブミン
142 U T7RNAポリメラーゼ(インビトロジェン製)
6.4 U AMV逆転写酵素(ライフサイエンス製)
容量調整用蒸留水
酵素添加時の時刻を0分として、試料の蛍光強度比(所定時刻の蛍光強度値÷バックグラウンドの蛍光強度値)の経時変化を図4(A)に示した。また、初期RNA量の対数値と立ち上がり時間(蛍光増加比が陰性の平均値に標準偏差の3倍を加えた値の1.2倍になるまでの時間)との関係の結果を図4(B)に示した。なお、初期RNA量は102 コピー/試験から105 コピー/試験である。
Claims (6)
- 試料中に存在する腸管出血性大腸菌の志賀毒素群遺伝子2型(stx2)の検出において利用するための検出試薬であって、
stx2に由来するRNAの特定配列を鋳型として、該特定配列に相同的な配列を有する第一のプライマーおよび該特定配列に相補的な配列を有する第二のプライマーを用い、RNA依存性DNAポリメラーゼによりcDNAを生成することによりRNA−DNA2本鎖を形成し、ここで該第一または第二のプライマーのいずれか一方のプライマーは5’ 末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列を付加した配列を有するものであり、
リボヌクレアーゼH作用により該RNA−DNA2本鎖のRNAを分解して1本鎖DNAを生成し、
該1本鎖DNAを鋳型としてDNA依存性DNAポリメラーゼにより前記RNAの特定配列または前記RNAの特定配列に相補的な配列からなるRNAを転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖DNAを生成し、そして
該2本鎖DNAがRNAポリメラーゼ存在下でRNA転写産物を生成し、該RNA転写産物が引き続き前記RNA依存性DNAポリメラーゼによるcDNA合成の鋳型となる、
といった段階を含んで成るRNA増幅工程を利用した検出法において利用するための検出試薬であり、ここで該第一のプライマーとして配列番号1に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基からなるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基配列からなるオリゴヌクレオチドにおいて1もしくは数個のヌクレオチドが欠失、置換もしくは付加され且つ前記特定配列に相補的な配列に特異的に結合できるオリゴヌクレオチド、該第二のプライマーとして配列番号2に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基からなるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に示す配列のうち、少なくとも連続した10塩基配列からなるオリゴヌクレオチドにおいて1もしくは数個のヌクレオチドが欠失、置換もしくは付加され且つ前記特定配列に特異的に結合できるオリゴヌクレオチド、を含むことを特徴とする、検出試薬。 - 前記第一のプライマーが配列番号1の配列のオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1記載の検出試薬。
- 前記第二のプライマーが配列番号2の配列のオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1記載の検出試薬。
- 前記第一のプライマーが配列番号1の配列のオリゴヌクレオチドで、前記第二のプライマーが配列番号2の配列のオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1の検出試薬。
- 前記RNA増幅工程がインターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチド存在下で実施され、反応液の蛍光強度を測定することにより腸管出血性大腸菌の検出が行われ、ここで該オリゴヌクレオチドの配列はRNA転写産物の少なくとも一部の配列と相補的であり、該オリゴヌクレオチドがRNA転写産物と相補結合によって、複合体を形成していない場合と比較して蛍光特性が変化するものである、請求項1〜4のいずれか1項記載の検出試薬。
- 前記インターカレーター性色素で標識されたオリゴヌクレオチドが配列番号3に示した少なくとも連続した10塩基以上からなることを特徴とする、請求項5記載の検出試薬。
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