JP2004279217A - タイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法、タイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行う。更には、タイヤ空気圧点検、タイヤ溝点検による予測と実施に基づくタイヤトータル管理方法を提供する。
【解決手段】タイヤ空気圧低減警告アダプタを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法であって、タイヤ空気圧低減警告アダプタは、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認し得る表示体を備え、表示体の外周面にタイヤ空気圧の低下率が20%を上限とするゲージが設けられており、点検時のタイヤ空気圧の低下率に基づいてタイヤ空気圧充填を実施する。
【選択図】 図3
【解決手段】タイヤ空気圧低減警告アダプタを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法であって、タイヤ空気圧低減警告アダプタは、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認し得る表示体を備え、表示体の外周面にタイヤ空気圧の低下率が20%を上限とするゲージが設けられており、点検時のタイヤ空気圧の低下率に基づいてタイヤ空気圧充填を実施する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法、タイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
社団法人日本自動車タイヤ協会が定期的に実施している路上タイヤ点検結果(2002年度)によると、タイヤ点検を行った車両は、高速道路3,169台、一般道路5,408台の合計8,577台で、これらの点検車両のうちタイヤに整備不良があったものは1,566台(不良率18,1%)との発表がされている。不良項目別にみると、不良率ワースト1位は「空気圧不適正」で6.9%、次いで「タイヤ溝不足」4.9%、「偏摩耗」4.3%となっている。また、車両グループ別にみると、不良率ワースト1位は「特殊車」で24.3%、次いで「貨物車」21.4%、「乗用車」16.2%となっている。
【0003】
今回の路上タイヤ点検結果をみても、タイヤ整備不良の上位項目は「空気圧不適正」、「タイヤ溝不足」が挙がっているのが現状であり、タイヤ整備不良が原因と考えられる事故の低減や、燃費削減による環境問題の改善を図るためにも、これらの「空気圧不適正」、「タイヤ溝不足」に対する問題意識を高めるとともに、タイヤをトータルで管理する必要性が認められる。
【0004】
このような状況下、車両を所有する個人又は法人、特に、複数の車両を所有する運送会社やバス会社にとって、車両のタイヤの交換・ローテーションの時期、空気圧低下の状態等を点検して管理することは安全面から極めて重要である。個人又は法人から車両の管理を受託したタイヤメーカーの販売店等では、定期的に車両のタイヤの残溝、空気圧測定等の点検を行ない、タイヤの交換時期を判断してタイヤの交換を行っている。これらの管理は、従来、管理帳票に記入するなどして行われているが、このような作業は非常に煩雑であるとともに、記入の漏れ又は誤り等も発生するため、信頼性に欠けるという問題がある。
【0005】
本願出願人は、このような問題を解決するために、「タイヤ溝の点検によるタイヤ交換並びにローテーション管理システム」を開発し、既に特許出願を行っている(特許文献1参照)。このシステムは、点検開始時にバスやトラック等の車両に装着されている個々のタイヤの残溝深さを点検し、所定の計測期間中の走行距離に応じて生ずるタイヤ溝の摩耗深さの点検値からコンピューターを用い、タイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、計測期間中のタイヤの平均残溝深さから高速道路での走行が可能な残溝深さ3.2mmを差し引いた数値にタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出し、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可月数を算出し、タイヤの使用可月数からタイヤ交換並びにローテーションの時期の予測と、要する費用の概算を算出し、タイヤ交換並びにローテーションの時期の予測と、要する費用の概算から車両に装着されている個々のタイヤの履歴データを記録し且つ、ローテーションの実施により変更されるタイヤの位置表示データを記録すると共に、ユーザーへ早めに履歴データを通知案内することにより、交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることを目的とする。
【0006】
また、本願出願人は、タイヤバルブ又はチューブレスホイルに装着してタイヤ空気圧の減少状況を視認する「タイヤ空気圧警報器」を開発して特許出願を行っている(特許文献2参照)。しかし、この警報器は、タイヤ空気圧の色別情報を表示した周面が表示体の頭部の周囲に位置するため、半球状体の表示体の頭部鏡面の一部にしか色が写し出されない場合があり、窓体から視認しづらいので、この点に更に改良を加えた「タイヤ空気圧低減警告アダプタ」を開発し、既に特許出願を行っている(特願2002−252922号参照)。このアダプタは、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を容易に視認し得る表示体を備え、簡易な構造であるが故に廉価で製造でき、しかも一度バルブ口金に装着しておけば、以後は目で確認するだけでよいというように簡単容易にタイヤの空気圧の状態を知ることが可能であり、しかも複輪タイヤの内側のタイヤのように奥まった位置にあるタイヤであっても容易にその空気圧を視認することが可能となる。
【0007】
一方、正確にタイヤの交換やローテイション時期を予測/算出してタイヤ管理を行う方法を提供する方法として、「車両タイヤの管理方法」が開示されている(特許文献3参照)。この管理方法は、車両のタイヤもしくはタイヤの周辺部分に装着された、タイヤ状態の管理項目を感知/測定するセンサー部分と、その測定値を記憶する情報記憶部分とを有するタイヤセンサー・情報記憶装置と、データ処理装置とを用いた、車両タイヤの管理方法であって、前記データ処理装置は、前記タイヤセンサー・情報記憶装置により測定されたタイヤ状態の管理項目の測定値と、入力された過去の気候条件データ測定値とに基づいて、トレッド溝深さの摩耗率を算出し、タイヤ交換またはタイヤローテイションの時期を予測するものである。
【0008】
この方法によると、摩耗率を種々のパラメータで補正することによりタイヤトレッドの摩耗過程を正確に把握し、正確にタイヤの交換やローテイション時期を予測/算出することができる。しかしながら、タイヤセンサー・情報記憶装置の信頼性や製造コスト・維持コスト等の問題により、実用的な方法であるとは言えないばかりでなく、上述したように不良率ワースト1位の「空気圧不適正」に対する適切な措置、すなわちタイヤ空気圧管理を簡単に行うことができない。
【0009】
また、タイヤ交換時期等の車輌管理を委託する運送会社等の顧客の業務に支障を来たすような事態を回避できるようにすることを目的とするシステムとして、「車輌管理システム、このシステムに使用する管理データ入出力用端末、及び記録媒体」が開示されている(特許文献4参照)。このシステム等は、複数の車輌管理業務所に設けられた管理データ入出力用端末と、データベースを制御するホストコンピュータと、を通信回線又は情報記録媒体を介して繋いで成る車輌管理システムであって、上記各管理データ入出力用端末は、車輌を登録するための登録データ、初期設定データ、定期点検結果データ、残溝限界値を入力してデータベースに転送する手段を備え、上記ホストコンピュータは、上記初期設定データと定期点検結果データとに基づいて、タイヤの使用限界に至るまでの走行可能推定距離又はタイヤの使用状況を表す集計結果のうちの少なくとも一方を求めるものである。
【0010】
このタイヤの管理システムによれば、管理を受託した車輌管理会社下の複数の車輌管理業務所及び車輌管理会社の本社や支社は、管理を受託した車輌の状況を統括的に把握できる。しかしながら、作業者が車輌の点検を行った後に作成された点検結果診断表をみなければ、車輌ごとの空気圧の異常なタイヤを発見することができないばかりでなく、空気圧低下の予測と、それに対応した実施を簡単に管理することができない。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−183260号公報
【特許文献2】
特開2002−372471号公報
【特許文献3】
特開2002−131191号公報
【特許文献4】
特開2002−32470号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、タイヤ整備不良率ワースト1位の「空気圧不適正」の問題に対して、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことを目的とする。更には、「空気圧不適正」及び「タイヤ溝不足」の問題を総合的に解決するため、タイヤ空気圧点検、タイヤ溝点検による予測と実施に基づくタイヤトータル管理方法を提供することを目的とし、ひいては交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることを可能とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、タイヤバルブ又はチューブレスホイルに装着したタイヤ空気圧低減警告アダプタを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法であって、タイヤ空気圧低減警告アダプタは、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認し得る表示体を備え、前記表示体の外周面にタイヤ空気圧の低下率が20%を上限とするゲージが設けられており、点検時のタイヤ空気圧の低下率に基づいてタイヤ空気圧充填を実施することを特徴とする。
【0014】
これにより、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認して異常の有無を直ちに確認することができるとともに、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことが可能となる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、コンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法であって、コンピュータのデータ処理部は、記憶部に記憶された車両に装着されている各タイヤのタイヤ空気圧充填値と、時間の経過に対応したタイヤ空気圧低下値とに基づいて、タイヤ空気圧の低下率が20%を上限としてタイヤ空気圧充填の時期を予測することを特徴とする。
【0016】
これにより、タイヤ空気圧充填の時期を予測して「空気圧不適正」に対する問題意識を高めることができるとともに、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、コンピュータを用いたタイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーション管理方法と、請求項1に記載のタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法とを組み合わせたタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法であって、コンピュータのデータ処理部は、記憶部に記憶された所定の計測期間を空けて測定された2回の点検データに基づいて車両に装着されているタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、タイヤの有効残溝値とタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出し、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可能月数を算出し、タイヤの使用可能月数からタイヤ交換及びローテーションの時期と費用を予測し、次いで、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーションの履歴データに基づいてタイヤ交換及びローテーションの時期及び費用の予測と実施とを比較し得る管理データを作成し、また、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ空気圧の点検データに基づいてタイヤ空気圧の管理データを作成し、更に、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の各管理データに基づいて一元管理データを作成することを特徴とする。
【0018】
これにより、従来のタイヤ管理システムでは解決できなかったタイヤ空気圧点検、タイヤ溝点検による予測と実施に基づくタイヤトータル管理が可能となり、ひいては交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることに繋がる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、コンピュータを用いたタイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーション管理方法と、請求項2に記載のコンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法とを組み合わせたタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法であって、コンピュータのデータ処理部は、記憶部に記憶された所定の計測期間を空けて測定された2回の点検データに基づいて車両に装着されているタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、タイヤの有効残溝値とタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出し、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可能月数を算出し、タイヤの使用可能月数からタイヤ交換及びローテーションの時期と費用を予測し、次いで、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーションの履歴データに基づいてタイヤ交換及びローテーションの時期及び費用の予測と実施とを比較し得る管理データを作成し、また、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ空気圧の点検データに基づいてタイヤ空気圧充填の時期の予測と実施とを比較し得る管理データを作成し、更に、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の各管理データに基づいて一元管理データを作成することを特徴とする。
【0020】
これにより、従来のタイヤ管理システムでは解決できなかったタイヤ空気圧点検、タイヤ溝点検による予測と実施に基づくタイヤトータル管理が可能となり、ひいては交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることに繋がる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について、図面及び表を参酌しながら説明する。
【0022】
図1は、タイヤトータル管理方法の仕組みを示す概念図である。
【0023】
図1に示すように、個人又は法人から車両の管理を受託したタイヤメーカーの販売店等の営業所には、データ処理装置10が設置されており、データ処理装置10は、通信回線20を経由して複数の作業者用端末装置30に接続されている。データ処理装置10は、点検データや履歴データ等を記憶するメモリ15と、タイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧充填の所定の管理データを作成するデータ処理部14と、各種データの入出力を行うための入力部11・出力部12と、インターフェイス回路13とを備えている。
【0024】
本発明にかかるタイヤ管理方法おいては、車両の管理を希望する個人又は法人が対象顧客となる。個人の場合は、それぞれ車両を営業所に持ち込んで個別に管理することになるが、法人の場合は、相当数の車両を保有する運送会社又はバス会社等が対象となるので、作業者が各会社に出張訪問して管理するようにする。したがって、作業者用端末装置30は、各作業者が出張訪問先でデータ処理装置10との間において、点検データ・履歴データ・管理データの送受信を行う必要があるため、各種データの入出力を行うための入力部・出力部を備え、かつ、通信回線20に接続できる携帯端末装置であることが好ましい。また、コンプレッサー(空気圧充填器)、タイヤチェンジャー搭載車を用いて作業者が各会社に出張訪問する場合には、タイヤ管理方法により獲得された予測に基づいてタイヤ空気圧充填、タイヤ交換・ローテーションの実施をすることができる。
【0025】
次に、本発明にかかるタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の一例について説明する。このタイヤ管理方法では、タイヤ空気圧低減警告アダプタを用いてタイヤ空気圧点検を行う点が特徴となる。
【0026】
図2は、タイヤ空気圧低減警告アダプタの使用状態を示す説明図である。
【0027】
図2に示すように、50はタイヤ空気圧低減警告アダプタ、51は外枠体、52は頭部、53は鏡面体、54は表示体、55a〜55dは基準線である。
【0028】
外枠体51の本体内には、タイヤバルブのバルブコアを押圧してタイヤバルブを開放しタイヤ内の圧力空気をベロー部材(図示省略)内に導入するバルブコア押圧部(図示省略)が設けられており、空密な外枠体51の頭部52は透明素材から形成されている。鏡面体53は、ベロー部材の上面に取り付けられており、ベロー部材内の空気圧が低減した場合、ベロー部材が収縮又は押圧されて鏡面体53が下動すると、鏡面体53内に没入している表示体54が現出し、タイヤ空気圧の低減状態を外枠体51の頭部52から視認することができる。
【0029】
表示体54の外周面には、タイヤ空気圧の圧力状態を定量的に確認できるように、ゲージ(基準線55a〜55dの表示)が設けられている。すなわち、タイヤ空気圧が5%低下したときは55aまで鏡面体53の上面位置が下動し(表示レベルA:低下率5%未満とする)、その後、10%低下したときは55bの位置(表示レベルB:低下率5〜10%未満とする)、15%低下したときは55cの位置(表示レベルC:低下率10〜15%未満とする)、20%低下したときは55dの位置(表示レベルD:低下率15〜20%とする)まで順次下動する。なお、ゲージにおける基準線表示は、本実施例で示した例に限定されるものではなく、例えば、低下率10%、低下率20%の2本の基準線を設けたものであってもよい。
【0030】
図3は、タイヤ空気圧低減警告アダプタを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
先ず、タイヤ空気圧低減警告アダプタ50をタイヤバルブ又はチューブレスホイルに装着し(S10)、タイヤ空気圧点検を随時行うことができるようにしておく。車両の運転者又は点検作業者は、タイヤ空気圧の低減状態を確認する際、表示体54のゲージを外枠体51の頭部52から視認するだけで、異常の有無を直ちに確認することができる。そして、表示体54のゲージが低下率10%未満(表示レベルA又はB)を表示している場合(S11)、必要に応じて異常チェックを実施する(S12)。また、表示体54のゲージが低下率10〜15%未満(表示レベルC)を表示している場合(S13)、必要に応じて異常チェックを実施する(S12)。この表示レベルCでは、直ちに空気圧充填が必要となる状況ではないが、危機管理の意識を持って早めに空気圧充填を実施することが望ましい。表示体54のゲージが低下率15〜20%(表示レベルD)を表示している場合(S13)、空気圧不足による交通事故等を未然に防止するため、早期に空気圧充填を実施する(S14)。これにより、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認して異常の有無を直ちに確認することができる。
【0032】
次に、空気圧点検と空気圧充填の実施をしたとき、点検データをデータ処理装置10に入力し(S15)、データ処理部14により管理データを作成する(S16)。これらの点検データや管理データはメモリ15に記憶されており、報告時に帳票に出力し(S17)、これに従ってタイヤ空気圧充填実施のチェックを行う(S18)。本件の管理データの一例については、表1に基づいて説明する。
【0033】
【表1】
【0034】
表1において、車両ナンバーごとに装着されているタイヤの空気圧は920kPaに設定されていることを示し、車両ナンバー18−79の場合、表示レベルCの空気圧低減状態であるが、10月15日に空気圧充填を実施し、その時の空気圧が800kPaであったことを示している。そして、表示レベルDの空気圧低減状態になっている2月10日に次の空気圧充填を実施し、その時の空気圧が760kPaであったことを示している。更に、表示レベルDの空気圧低減状態になっている6月20日に次の空気圧充填を実施し、その時の空気圧が750kPaであったことを示している。
【0035】
また、本発明にかかるタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の他の例について説明する。このタイヤ管理方法では、コンピュータを用いてタイヤ空気圧充填時期の予測を行う点が特徴となる。
【0036】
図4は、コンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
先ず、空気圧点検を行って(S20)、空気圧充填を実施する(S21)。そして、その点検データをデータ処理装置10に入力する(S22)。
【0038】
ここで、データ処理部14は、タイヤ空気圧充填値と、時間の経過に対応したタイヤ空気圧低下値とに基づいて、タイヤ空気圧の低下率が20%を上限としてタイヤ空気圧充填の時期の予測値を算出する(S23)。そして、この予測値に従って、予測と実施を比較し得る管理データを作成する(S24)。これらの点検データや管理データはメモリ15に記憶されており、報告時に帳票に出力し(S25)、これに従ってタイヤ空気圧充填実施のチェックを行う(S26)。本件の管理データの一例については、表2に基づいて説明する。
【0039】
【表2】
【0040】
表2において、車両ナンバーごとに装着されているタイヤの空気圧は920kPaに設定されていることを示し、タイヤ空気圧が毎月30〜50kPa低下することが推定されるため、例えば、毎月の低下値を平均40kPaと設定したときのタイヤ空気圧の低下率が20%を超えないようにタイヤ空気圧充填期間を4ヶ月と予測し、定期的に空気圧充填実施を行うようにしている。車両ナンバー18−79の場合、10月15日に空気圧充填を実施し、その時の空気圧800kPa/低下率13%であったことを示している。そして、次回の空気圧充填の時期を2月15日と予測し、これに対して、2月10日に空気圧充填を実施し、その時の空気圧が760kPa/低下率17%であったことを示している。更に、次回の空気圧充填の時期を6月10日と予測し、これに対して、6月20日に空気圧充填を実施し、その時の空気圧が750kPa/低下率18%であったことを示している。
【0041】
なお、本実施例においては、時間の経過に対応したタイヤの空気圧低下値が一定であると仮定し、タイヤ空気圧充填期間を4ヶ月と予測している。ただし、タイヤ空気圧低下値は、外気温の影響を受けて変動するものであるため、夏場と冬場における気温差を考慮して空気圧低下値に差異を設けて管理することもできる。
【0042】
次に、本発明にかかるタイヤトータル管理方法について説明する。このタイヤトータル管理方法では、タイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の各管理データに基づいてタイヤを一元管理する点が特徴となる。
【0043】
図5は、タイヤトータル管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0044】
最初に、タイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーションの管理方法について説明する。
【0045】
先ず、所定の計測期間を空けて2回溝点検を実施し(S30、S31)、これらの点検データをデータ処理装置10に入力する(S32)。
【0046】
ここで、データ処理部14は、車両に装着されているタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、タイヤの有効残溝値とタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出する(S33)。次いで、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可能月数を算出する(S34)。そして、このタイヤの使用可能月数に従って、タイヤ交換及びローテーションの時期と費用の予測値を算出する(S35)、また、この予測値に従って、予測と実施を比較し得る管理データを作成する(S36)。これらの点検データや管理データはメモリ15に記憶されており、報告時に帳票に出力し(S37)、これに従ってタイヤ交換及びローテーション実施のチェックを行う(S38)。本件の管理データの一例については、表3乃至表7に基づいて説明する。
【0047】
【表3】
【0048】
表3に示すように、第1回目タイヤ点検時に、車両走行距離メーター(297,985キロ)を記録し、車両ナンバーごとに装着されている個々のタイヤ(タイヤ装着位置は、表8の上欄に示す2・D−4方式)の外溝2本と内溝2本の残溝深さをデジタルデプスゲージでそれぞれ測定し、これらの点検データをデータ処理装置10に入力する。また、個々のタイヤの空気圧の点検及び充填データについても、データ処理装置10に入力しておく。
【0049】
表3における期待値とは、タイヤの残溝深さ1mm当たりで6,000キロ走行すると予測した場合に、平均残溝深さ15.9mmから高速道路での走行可能な残溝深さである3.2mmを差し引いたタイヤの使用可能な12.7mmを6,000キロに乗ずると76,200キロ走行可能となり、月間走行距離を3,900キロと予測すると、タイヤ推定寿命の残存月数が約20ケ月になり、表3ではタイヤ装着位置3.4.5.6.7.8のタイヤ6本については残存月数が短く、タイヤ交換の時期が迫っていることを示している。
【0050】
【表4】
【0051】
表4に示すように、第2回目タイヤ点検時に、第1回目と同様に車両走行距離メーター(307,315キロ)を記録し、車両ナンバーごとに装着されている個々のタイヤの外溝2本と内溝2本の残溝深さをデジタルデプスゲージで測定し、これらの点検データをデータ処理装置10に入力する。また、個々のタイヤの空気圧の点検データについても、データ処理装置10に入力しておく。
【0052】
表4において、車両ナンバー18−79の車両は、第1回目点検時の車両走行距離メーターが297,985キロを現示し、所定の適正な期間を空けて測定した第2回目点検時の積算車両走行距離メーターが307,315キロを現示していることから、測定期間中の走行距離が9,330キロであることを示している。また、第2回目点検時のタイヤ装着位置1のタイヤの平均残溝深さが14.8mmであるので、表3において測定した第1回目点検時の平均残溝深さ15.9mmとの差1.1mmは測定期間中の走行距離9,330キロ中におけるタイヤ溝の摩耗深さであり、走行距離9,330キロを1.1mmで除し、タイヤ溝1mm当たりの走行距離8,113キロが算出される。
【0053】
表4に示す予測値におけるタイヤの推定寿命(タイヤの走行可能距離)は、計測期間中のタイヤ溝の平均残溝深さ14.8mmから高速道路での走行限界である残溝深さ3.2mmを差引き、その数値11.6mmにタイヤ溝1mm当たりの走行距離8,113キロを乗じて93,706キロが算出される。また、タイヤの使用可月数は、タイヤの推定寿命93,706キロを予測月間走行距離3,900キロで除して24ケ月であることが算出される。
【0054】
【表5】
【0055】
表5に示すように、タイヤ交換時期の予測は、表4において車両ナンバー18−79の場合、6月の点検で使用可月数が0ケ月である装着位置8のタイヤについてタイヤ交換時期が直ぐ迫っていることを予測し、装着位置6のタイヤの使用可月数が1ケ月後の7月に迫っていることを予測し、装着位置5のタイヤの使用可月数が4ケ月後の10月に迫っていることを予測し、装着位置4のタイヤの使用可月数が5ケ月後の11月に迫っていることを予測し、装着位置3のタイヤの使用可月数が6ケ月後の12月に迫っていることを予測している。これらの予測に基づいて、装着位置7のタイヤを含めて装着位置8.6.5.4.3.7の合計6本のタイヤ交換を10月に実施したことを示している。
【0056】
【表6】
【0057】
表6に示すように、タイヤ交換費用の予測と実施は、表5と対応させたものであり、表4において車両ナンバー18−79の場合、10月に単価30,000円のタイヤ6本を交換して合計180,000円を計上したことを示している。
【0058】
【表7】
【0059】
表7に示すように、タイヤ交換・ローテーションの予測と実施は、表4において車両ナンバー18−79の場合、積算走行距離メーターが316,235キロを現示する10月にタイヤ交換を実施しているため、タイヤローテーションを行う必要がある目安走行距離(20.000キロ)が積算走行距離メーターに現示する336,000キロ(3月)であると予測し、積算走行距離メーターが332,835キロを現示した2月時点でタイヤローテーションを実施したことを示している。
【0060】
最後に、タイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーションの管理方法と、上述したタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法とを組み合わせたタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法について説明する。
【0061】
図5に示すタイヤトータル管理方法の処理手順を示すフローチャートにおいて、上述したようにデータ処理部14は、タイヤ交換及びローテーションの時期と費用の予測値を算出し、この予測値に従って予測と実施を比較し得る管理データを作成し(S36)、この管理データと、空気圧点検によるタイヤ管理方法により取得された管理データとを組み合わせることにより、データ処理部14は、タイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の一元管理データを作成する(S39)。この一元管理データはメモリ15に記憶されており、報告時に帳票に出力し(S40)、これに従ってタイヤ交換及びローテーション、空気圧充填実施のトータルチェックを行う(S41)。
【0062】
【表8】
【0063】
表8に示すタイヤ交換及びローテーション、空気圧管理履歴書は、表5・表7に示すタイヤ交換とタイヤローテーションの予測と実施の管理データ、表2に示すタイヤ空気圧の予測と実施の管理データ、に基づいて作成されたものであり、車両ナンバー18−79について積算走行距離メーターが316,235キロを現示している10月15日に、タイヤの装着位置3.4.5.6.7.8の合計6本のタイヤを交換し、同時に4本のタイヤ1−9、2−10のタイヤローテーションと10本のタイヤ空気圧充填を実施したことを示している。この時点において、タイヤローテーションとタイヤ空気圧充填の次回予測が表の右欄に表示されている。また、2月10日には、積算走行距離メーターが332,835キロを現示しており、4本のタイヤ1−3、2−4のタイヤローテーションと10本のタイヤ空気圧充填を実施したことを示している。
【0064】
【表9】
【0065】
表9に示すように、タイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧管理履歴書(費用)は、表8に対応するもので、10月15日にタイヤ交換の金額180,000円、ローテーションの金額1,600円をそれぞれ計上したことを示している。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認して異常の有無を直ちに確認することができるとともに、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことが可能となる。
【0067】
また、請求項2に記載の発明によれば、タイヤ空気圧充填の時期を予測して「空気圧不適正」に対する問題意識を高めることができるとともに、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことが可能となる。
【0068】
さらに、請求項3及び請求項4に記載の発明によれば、従来のタイヤ管理システムでは解決できなかったタイヤ空気圧点検、タイヤ溝点検による予測と実施に基づくタイヤトータル管理が可能となり、ひいては交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることに繋がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤトータル管理方法の仕組みを示す概念図である。
【図2】タイヤ空気圧低減警告アダプタの使用状態を示す説明図である。
【図3】タイヤ空気圧低減警告アダプタを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】コンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】タイヤトータル管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 データ処理装置
11 入力部
12 出力部
13 インターフェイス回路
14 データ処理部
15 メモリ
20 通信回線
30 端末装置
50 タイヤ空気圧低減警告アダプタ
51 外枠体
52 頭部
53 鏡面体
54 表示体
55 基準線
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法、タイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
社団法人日本自動車タイヤ協会が定期的に実施している路上タイヤ点検結果(2002年度)によると、タイヤ点検を行った車両は、高速道路3,169台、一般道路5,408台の合計8,577台で、これらの点検車両のうちタイヤに整備不良があったものは1,566台(不良率18,1%)との発表がされている。不良項目別にみると、不良率ワースト1位は「空気圧不適正」で6.9%、次いで「タイヤ溝不足」4.9%、「偏摩耗」4.3%となっている。また、車両グループ別にみると、不良率ワースト1位は「特殊車」で24.3%、次いで「貨物車」21.4%、「乗用車」16.2%となっている。
【0003】
今回の路上タイヤ点検結果をみても、タイヤ整備不良の上位項目は「空気圧不適正」、「タイヤ溝不足」が挙がっているのが現状であり、タイヤ整備不良が原因と考えられる事故の低減や、燃費削減による環境問題の改善を図るためにも、これらの「空気圧不適正」、「タイヤ溝不足」に対する問題意識を高めるとともに、タイヤをトータルで管理する必要性が認められる。
【0004】
このような状況下、車両を所有する個人又は法人、特に、複数の車両を所有する運送会社やバス会社にとって、車両のタイヤの交換・ローテーションの時期、空気圧低下の状態等を点検して管理することは安全面から極めて重要である。個人又は法人から車両の管理を受託したタイヤメーカーの販売店等では、定期的に車両のタイヤの残溝、空気圧測定等の点検を行ない、タイヤの交換時期を判断してタイヤの交換を行っている。これらの管理は、従来、管理帳票に記入するなどして行われているが、このような作業は非常に煩雑であるとともに、記入の漏れ又は誤り等も発生するため、信頼性に欠けるという問題がある。
【0005】
本願出願人は、このような問題を解決するために、「タイヤ溝の点検によるタイヤ交換並びにローテーション管理システム」を開発し、既に特許出願を行っている(特許文献1参照)。このシステムは、点検開始時にバスやトラック等の車両に装着されている個々のタイヤの残溝深さを点検し、所定の計測期間中の走行距離に応じて生ずるタイヤ溝の摩耗深さの点検値からコンピューターを用い、タイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、計測期間中のタイヤの平均残溝深さから高速道路での走行が可能な残溝深さ3.2mmを差し引いた数値にタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出し、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可月数を算出し、タイヤの使用可月数からタイヤ交換並びにローテーションの時期の予測と、要する費用の概算を算出し、タイヤ交換並びにローテーションの時期の予測と、要する費用の概算から車両に装着されている個々のタイヤの履歴データを記録し且つ、ローテーションの実施により変更されるタイヤの位置表示データを記録すると共に、ユーザーへ早めに履歴データを通知案内することにより、交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることを目的とする。
【0006】
また、本願出願人は、タイヤバルブ又はチューブレスホイルに装着してタイヤ空気圧の減少状況を視認する「タイヤ空気圧警報器」を開発して特許出願を行っている(特許文献2参照)。しかし、この警報器は、タイヤ空気圧の色別情報を表示した周面が表示体の頭部の周囲に位置するため、半球状体の表示体の頭部鏡面の一部にしか色が写し出されない場合があり、窓体から視認しづらいので、この点に更に改良を加えた「タイヤ空気圧低減警告アダプタ」を開発し、既に特許出願を行っている(特願2002−252922号参照)。このアダプタは、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を容易に視認し得る表示体を備え、簡易な構造であるが故に廉価で製造でき、しかも一度バルブ口金に装着しておけば、以後は目で確認するだけでよいというように簡単容易にタイヤの空気圧の状態を知ることが可能であり、しかも複輪タイヤの内側のタイヤのように奥まった位置にあるタイヤであっても容易にその空気圧を視認することが可能となる。
【0007】
一方、正確にタイヤの交換やローテイション時期を予測/算出してタイヤ管理を行う方法を提供する方法として、「車両タイヤの管理方法」が開示されている(特許文献3参照)。この管理方法は、車両のタイヤもしくはタイヤの周辺部分に装着された、タイヤ状態の管理項目を感知/測定するセンサー部分と、その測定値を記憶する情報記憶部分とを有するタイヤセンサー・情報記憶装置と、データ処理装置とを用いた、車両タイヤの管理方法であって、前記データ処理装置は、前記タイヤセンサー・情報記憶装置により測定されたタイヤ状態の管理項目の測定値と、入力された過去の気候条件データ測定値とに基づいて、トレッド溝深さの摩耗率を算出し、タイヤ交換またはタイヤローテイションの時期を予測するものである。
【0008】
この方法によると、摩耗率を種々のパラメータで補正することによりタイヤトレッドの摩耗過程を正確に把握し、正確にタイヤの交換やローテイション時期を予測/算出することができる。しかしながら、タイヤセンサー・情報記憶装置の信頼性や製造コスト・維持コスト等の問題により、実用的な方法であるとは言えないばかりでなく、上述したように不良率ワースト1位の「空気圧不適正」に対する適切な措置、すなわちタイヤ空気圧管理を簡単に行うことができない。
【0009】
また、タイヤ交換時期等の車輌管理を委託する運送会社等の顧客の業務に支障を来たすような事態を回避できるようにすることを目的とするシステムとして、「車輌管理システム、このシステムに使用する管理データ入出力用端末、及び記録媒体」が開示されている(特許文献4参照)。このシステム等は、複数の車輌管理業務所に設けられた管理データ入出力用端末と、データベースを制御するホストコンピュータと、を通信回線又は情報記録媒体を介して繋いで成る車輌管理システムであって、上記各管理データ入出力用端末は、車輌を登録するための登録データ、初期設定データ、定期点検結果データ、残溝限界値を入力してデータベースに転送する手段を備え、上記ホストコンピュータは、上記初期設定データと定期点検結果データとに基づいて、タイヤの使用限界に至るまでの走行可能推定距離又はタイヤの使用状況を表す集計結果のうちの少なくとも一方を求めるものである。
【0010】
このタイヤの管理システムによれば、管理を受託した車輌管理会社下の複数の車輌管理業務所及び車輌管理会社の本社や支社は、管理を受託した車輌の状況を統括的に把握できる。しかしながら、作業者が車輌の点検を行った後に作成された点検結果診断表をみなければ、車輌ごとの空気圧の異常なタイヤを発見することができないばかりでなく、空気圧低下の予測と、それに対応した実施を簡単に管理することができない。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−183260号公報
【特許文献2】
特開2002−372471号公報
【特許文献3】
特開2002−131191号公報
【特許文献4】
特開2002−32470号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、タイヤ整備不良率ワースト1位の「空気圧不適正」の問題に対して、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことを目的とする。更には、「空気圧不適正」及び「タイヤ溝不足」の問題を総合的に解決するため、タイヤ空気圧点検、タイヤ溝点検による予測と実施に基づくタイヤトータル管理方法を提供することを目的とし、ひいては交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることを可能とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、タイヤバルブ又はチューブレスホイルに装着したタイヤ空気圧低減警告アダプタを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法であって、タイヤ空気圧低減警告アダプタは、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認し得る表示体を備え、前記表示体の外周面にタイヤ空気圧の低下率が20%を上限とするゲージが設けられており、点検時のタイヤ空気圧の低下率に基づいてタイヤ空気圧充填を実施することを特徴とする。
【0014】
これにより、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認して異常の有無を直ちに確認することができるとともに、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことが可能となる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、コンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法であって、コンピュータのデータ処理部は、記憶部に記憶された車両に装着されている各タイヤのタイヤ空気圧充填値と、時間の経過に対応したタイヤ空気圧低下値とに基づいて、タイヤ空気圧の低下率が20%を上限としてタイヤ空気圧充填の時期を予測することを特徴とする。
【0016】
これにより、タイヤ空気圧充填の時期を予測して「空気圧不適正」に対する問題意識を高めることができるとともに、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、コンピュータを用いたタイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーション管理方法と、請求項1に記載のタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法とを組み合わせたタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法であって、コンピュータのデータ処理部は、記憶部に記憶された所定の計測期間を空けて測定された2回の点検データに基づいて車両に装着されているタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、タイヤの有効残溝値とタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出し、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可能月数を算出し、タイヤの使用可能月数からタイヤ交換及びローテーションの時期と費用を予測し、次いで、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーションの履歴データに基づいてタイヤ交換及びローテーションの時期及び費用の予測と実施とを比較し得る管理データを作成し、また、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ空気圧の点検データに基づいてタイヤ空気圧の管理データを作成し、更に、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の各管理データに基づいて一元管理データを作成することを特徴とする。
【0018】
これにより、従来のタイヤ管理システムでは解決できなかったタイヤ空気圧点検、タイヤ溝点検による予測と実施に基づくタイヤトータル管理が可能となり、ひいては交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることに繋がる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、コンピュータを用いたタイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーション管理方法と、請求項2に記載のコンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法とを組み合わせたタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法であって、コンピュータのデータ処理部は、記憶部に記憶された所定の計測期間を空けて測定された2回の点検データに基づいて車両に装着されているタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、タイヤの有効残溝値とタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出し、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可能月数を算出し、タイヤの使用可能月数からタイヤ交換及びローテーションの時期と費用を予測し、次いで、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーションの履歴データに基づいてタイヤ交換及びローテーションの時期及び費用の予測と実施とを比較し得る管理データを作成し、また、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ空気圧の点検データに基づいてタイヤ空気圧充填の時期の予測と実施とを比較し得る管理データを作成し、更に、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の各管理データに基づいて一元管理データを作成することを特徴とする。
【0020】
これにより、従来のタイヤ管理システムでは解決できなかったタイヤ空気圧点検、タイヤ溝点検による予測と実施に基づくタイヤトータル管理が可能となり、ひいては交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることに繋がる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について、図面及び表を参酌しながら説明する。
【0022】
図1は、タイヤトータル管理方法の仕組みを示す概念図である。
【0023】
図1に示すように、個人又は法人から車両の管理を受託したタイヤメーカーの販売店等の営業所には、データ処理装置10が設置されており、データ処理装置10は、通信回線20を経由して複数の作業者用端末装置30に接続されている。データ処理装置10は、点検データや履歴データ等を記憶するメモリ15と、タイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧充填の所定の管理データを作成するデータ処理部14と、各種データの入出力を行うための入力部11・出力部12と、インターフェイス回路13とを備えている。
【0024】
本発明にかかるタイヤ管理方法おいては、車両の管理を希望する個人又は法人が対象顧客となる。個人の場合は、それぞれ車両を営業所に持ち込んで個別に管理することになるが、法人の場合は、相当数の車両を保有する運送会社又はバス会社等が対象となるので、作業者が各会社に出張訪問して管理するようにする。したがって、作業者用端末装置30は、各作業者が出張訪問先でデータ処理装置10との間において、点検データ・履歴データ・管理データの送受信を行う必要があるため、各種データの入出力を行うための入力部・出力部を備え、かつ、通信回線20に接続できる携帯端末装置であることが好ましい。また、コンプレッサー(空気圧充填器)、タイヤチェンジャー搭載車を用いて作業者が各会社に出張訪問する場合には、タイヤ管理方法により獲得された予測に基づいてタイヤ空気圧充填、タイヤ交換・ローテーションの実施をすることができる。
【0025】
次に、本発明にかかるタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の一例について説明する。このタイヤ管理方法では、タイヤ空気圧低減警告アダプタを用いてタイヤ空気圧点検を行う点が特徴となる。
【0026】
図2は、タイヤ空気圧低減警告アダプタの使用状態を示す説明図である。
【0027】
図2に示すように、50はタイヤ空気圧低減警告アダプタ、51は外枠体、52は頭部、53は鏡面体、54は表示体、55a〜55dは基準線である。
【0028】
外枠体51の本体内には、タイヤバルブのバルブコアを押圧してタイヤバルブを開放しタイヤ内の圧力空気をベロー部材(図示省略)内に導入するバルブコア押圧部(図示省略)が設けられており、空密な外枠体51の頭部52は透明素材から形成されている。鏡面体53は、ベロー部材の上面に取り付けられており、ベロー部材内の空気圧が低減した場合、ベロー部材が収縮又は押圧されて鏡面体53が下動すると、鏡面体53内に没入している表示体54が現出し、タイヤ空気圧の低減状態を外枠体51の頭部52から視認することができる。
【0029】
表示体54の外周面には、タイヤ空気圧の圧力状態を定量的に確認できるように、ゲージ(基準線55a〜55dの表示)が設けられている。すなわち、タイヤ空気圧が5%低下したときは55aまで鏡面体53の上面位置が下動し(表示レベルA:低下率5%未満とする)、その後、10%低下したときは55bの位置(表示レベルB:低下率5〜10%未満とする)、15%低下したときは55cの位置(表示レベルC:低下率10〜15%未満とする)、20%低下したときは55dの位置(表示レベルD:低下率15〜20%とする)まで順次下動する。なお、ゲージにおける基準線表示は、本実施例で示した例に限定されるものではなく、例えば、低下率10%、低下率20%の2本の基準線を設けたものであってもよい。
【0030】
図3は、タイヤ空気圧低減警告アダプタを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
先ず、タイヤ空気圧低減警告アダプタ50をタイヤバルブ又はチューブレスホイルに装着し(S10)、タイヤ空気圧点検を随時行うことができるようにしておく。車両の運転者又は点検作業者は、タイヤ空気圧の低減状態を確認する際、表示体54のゲージを外枠体51の頭部52から視認するだけで、異常の有無を直ちに確認することができる。そして、表示体54のゲージが低下率10%未満(表示レベルA又はB)を表示している場合(S11)、必要に応じて異常チェックを実施する(S12)。また、表示体54のゲージが低下率10〜15%未満(表示レベルC)を表示している場合(S13)、必要に応じて異常チェックを実施する(S12)。この表示レベルCでは、直ちに空気圧充填が必要となる状況ではないが、危機管理の意識を持って早めに空気圧充填を実施することが望ましい。表示体54のゲージが低下率15〜20%(表示レベルD)を表示している場合(S13)、空気圧不足による交通事故等を未然に防止するため、早期に空気圧充填を実施する(S14)。これにより、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認して異常の有無を直ちに確認することができる。
【0032】
次に、空気圧点検と空気圧充填の実施をしたとき、点検データをデータ処理装置10に入力し(S15)、データ処理部14により管理データを作成する(S16)。これらの点検データや管理データはメモリ15に記憶されており、報告時に帳票に出力し(S17)、これに従ってタイヤ空気圧充填実施のチェックを行う(S18)。本件の管理データの一例については、表1に基づいて説明する。
【0033】
【表1】
【0034】
表1において、車両ナンバーごとに装着されているタイヤの空気圧は920kPaに設定されていることを示し、車両ナンバー18−79の場合、表示レベルCの空気圧低減状態であるが、10月15日に空気圧充填を実施し、その時の空気圧が800kPaであったことを示している。そして、表示レベルDの空気圧低減状態になっている2月10日に次の空気圧充填を実施し、その時の空気圧が760kPaであったことを示している。更に、表示レベルDの空気圧低減状態になっている6月20日に次の空気圧充填を実施し、その時の空気圧が750kPaであったことを示している。
【0035】
また、本発明にかかるタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の他の例について説明する。このタイヤ管理方法では、コンピュータを用いてタイヤ空気圧充填時期の予測を行う点が特徴となる。
【0036】
図4は、コンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
先ず、空気圧点検を行って(S20)、空気圧充填を実施する(S21)。そして、その点検データをデータ処理装置10に入力する(S22)。
【0038】
ここで、データ処理部14は、タイヤ空気圧充填値と、時間の経過に対応したタイヤ空気圧低下値とに基づいて、タイヤ空気圧の低下率が20%を上限としてタイヤ空気圧充填の時期の予測値を算出する(S23)。そして、この予測値に従って、予測と実施を比較し得る管理データを作成する(S24)。これらの点検データや管理データはメモリ15に記憶されており、報告時に帳票に出力し(S25)、これに従ってタイヤ空気圧充填実施のチェックを行う(S26)。本件の管理データの一例については、表2に基づいて説明する。
【0039】
【表2】
【0040】
表2において、車両ナンバーごとに装着されているタイヤの空気圧は920kPaに設定されていることを示し、タイヤ空気圧が毎月30〜50kPa低下することが推定されるため、例えば、毎月の低下値を平均40kPaと設定したときのタイヤ空気圧の低下率が20%を超えないようにタイヤ空気圧充填期間を4ヶ月と予測し、定期的に空気圧充填実施を行うようにしている。車両ナンバー18−79の場合、10月15日に空気圧充填を実施し、その時の空気圧800kPa/低下率13%であったことを示している。そして、次回の空気圧充填の時期を2月15日と予測し、これに対して、2月10日に空気圧充填を実施し、その時の空気圧が760kPa/低下率17%であったことを示している。更に、次回の空気圧充填の時期を6月10日と予測し、これに対して、6月20日に空気圧充填を実施し、その時の空気圧が750kPa/低下率18%であったことを示している。
【0041】
なお、本実施例においては、時間の経過に対応したタイヤの空気圧低下値が一定であると仮定し、タイヤ空気圧充填期間を4ヶ月と予測している。ただし、タイヤ空気圧低下値は、外気温の影響を受けて変動するものであるため、夏場と冬場における気温差を考慮して空気圧低下値に差異を設けて管理することもできる。
【0042】
次に、本発明にかかるタイヤトータル管理方法について説明する。このタイヤトータル管理方法では、タイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の各管理データに基づいてタイヤを一元管理する点が特徴となる。
【0043】
図5は、タイヤトータル管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0044】
最初に、タイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーションの管理方法について説明する。
【0045】
先ず、所定の計測期間を空けて2回溝点検を実施し(S30、S31)、これらの点検データをデータ処理装置10に入力する(S32)。
【0046】
ここで、データ処理部14は、車両に装着されているタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、タイヤの有効残溝値とタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出する(S33)。次いで、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可能月数を算出する(S34)。そして、このタイヤの使用可能月数に従って、タイヤ交換及びローテーションの時期と費用の予測値を算出する(S35)、また、この予測値に従って、予測と実施を比較し得る管理データを作成する(S36)。これらの点検データや管理データはメモリ15に記憶されており、報告時に帳票に出力し(S37)、これに従ってタイヤ交換及びローテーション実施のチェックを行う(S38)。本件の管理データの一例については、表3乃至表7に基づいて説明する。
【0047】
【表3】
【0048】
表3に示すように、第1回目タイヤ点検時に、車両走行距離メーター(297,985キロ)を記録し、車両ナンバーごとに装着されている個々のタイヤ(タイヤ装着位置は、表8の上欄に示す2・D−4方式)の外溝2本と内溝2本の残溝深さをデジタルデプスゲージでそれぞれ測定し、これらの点検データをデータ処理装置10に入力する。また、個々のタイヤの空気圧の点検及び充填データについても、データ処理装置10に入力しておく。
【0049】
表3における期待値とは、タイヤの残溝深さ1mm当たりで6,000キロ走行すると予測した場合に、平均残溝深さ15.9mmから高速道路での走行可能な残溝深さである3.2mmを差し引いたタイヤの使用可能な12.7mmを6,000キロに乗ずると76,200キロ走行可能となり、月間走行距離を3,900キロと予測すると、タイヤ推定寿命の残存月数が約20ケ月になり、表3ではタイヤ装着位置3.4.5.6.7.8のタイヤ6本については残存月数が短く、タイヤ交換の時期が迫っていることを示している。
【0050】
【表4】
【0051】
表4に示すように、第2回目タイヤ点検時に、第1回目と同様に車両走行距離メーター(307,315キロ)を記録し、車両ナンバーごとに装着されている個々のタイヤの外溝2本と内溝2本の残溝深さをデジタルデプスゲージで測定し、これらの点検データをデータ処理装置10に入力する。また、個々のタイヤの空気圧の点検データについても、データ処理装置10に入力しておく。
【0052】
表4において、車両ナンバー18−79の車両は、第1回目点検時の車両走行距離メーターが297,985キロを現示し、所定の適正な期間を空けて測定した第2回目点検時の積算車両走行距離メーターが307,315キロを現示していることから、測定期間中の走行距離が9,330キロであることを示している。また、第2回目点検時のタイヤ装着位置1のタイヤの平均残溝深さが14.8mmであるので、表3において測定した第1回目点検時の平均残溝深さ15.9mmとの差1.1mmは測定期間中の走行距離9,330キロ中におけるタイヤ溝の摩耗深さであり、走行距離9,330キロを1.1mmで除し、タイヤ溝1mm当たりの走行距離8,113キロが算出される。
【0053】
表4に示す予測値におけるタイヤの推定寿命(タイヤの走行可能距離)は、計測期間中のタイヤ溝の平均残溝深さ14.8mmから高速道路での走行限界である残溝深さ3.2mmを差引き、その数値11.6mmにタイヤ溝1mm当たりの走行距離8,113キロを乗じて93,706キロが算出される。また、タイヤの使用可月数は、タイヤの推定寿命93,706キロを予測月間走行距離3,900キロで除して24ケ月であることが算出される。
【0054】
【表5】
【0055】
表5に示すように、タイヤ交換時期の予測は、表4において車両ナンバー18−79の場合、6月の点検で使用可月数が0ケ月である装着位置8のタイヤについてタイヤ交換時期が直ぐ迫っていることを予測し、装着位置6のタイヤの使用可月数が1ケ月後の7月に迫っていることを予測し、装着位置5のタイヤの使用可月数が4ケ月後の10月に迫っていることを予測し、装着位置4のタイヤの使用可月数が5ケ月後の11月に迫っていることを予測し、装着位置3のタイヤの使用可月数が6ケ月後の12月に迫っていることを予測している。これらの予測に基づいて、装着位置7のタイヤを含めて装着位置8.6.5.4.3.7の合計6本のタイヤ交換を10月に実施したことを示している。
【0056】
【表6】
【0057】
表6に示すように、タイヤ交換費用の予測と実施は、表5と対応させたものであり、表4において車両ナンバー18−79の場合、10月に単価30,000円のタイヤ6本を交換して合計180,000円を計上したことを示している。
【0058】
【表7】
【0059】
表7に示すように、タイヤ交換・ローテーションの予測と実施は、表4において車両ナンバー18−79の場合、積算走行距離メーターが316,235キロを現示する10月にタイヤ交換を実施しているため、タイヤローテーションを行う必要がある目安走行距離(20.000キロ)が積算走行距離メーターに現示する336,000キロ(3月)であると予測し、積算走行距離メーターが332,835キロを現示した2月時点でタイヤローテーションを実施したことを示している。
【0060】
最後に、タイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーションの管理方法と、上述したタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法とを組み合わせたタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法について説明する。
【0061】
図5に示すタイヤトータル管理方法の処理手順を示すフローチャートにおいて、上述したようにデータ処理部14は、タイヤ交換及びローテーションの時期と費用の予測値を算出し、この予測値に従って予測と実施を比較し得る管理データを作成し(S36)、この管理データと、空気圧点検によるタイヤ管理方法により取得された管理データとを組み合わせることにより、データ処理部14は、タイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の一元管理データを作成する(S39)。この一元管理データはメモリ15に記憶されており、報告時に帳票に出力し(S40)、これに従ってタイヤ交換及びローテーション、空気圧充填実施のトータルチェックを行う(S41)。
【0062】
【表8】
【0063】
表8に示すタイヤ交換及びローテーション、空気圧管理履歴書は、表5・表7に示すタイヤ交換とタイヤローテーションの予測と実施の管理データ、表2に示すタイヤ空気圧の予測と実施の管理データ、に基づいて作成されたものであり、車両ナンバー18−79について積算走行距離メーターが316,235キロを現示している10月15日に、タイヤの装着位置3.4.5.6.7.8の合計6本のタイヤを交換し、同時に4本のタイヤ1−9、2−10のタイヤローテーションと10本のタイヤ空気圧充填を実施したことを示している。この時点において、タイヤローテーションとタイヤ空気圧充填の次回予測が表の右欄に表示されている。また、2月10日には、積算走行距離メーターが332,835キロを現示しており、4本のタイヤ1−3、2−4のタイヤローテーションと10本のタイヤ空気圧充填を実施したことを示している。
【0064】
【表9】
【0065】
表9に示すように、タイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧管理履歴書(費用)は、表8に対応するもので、10月15日にタイヤ交換の金額180,000円、ローテーションの金額1,600円をそれぞれ計上したことを示している。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認して異常の有無を直ちに確認することができるとともに、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことが可能となる。
【0067】
また、請求項2に記載の発明によれば、タイヤ空気圧充填の時期を予測して「空気圧不適正」に対する問題意識を高めることができるとともに、タイヤ空気圧の管理を簡単かつ確実な方法で行うことが可能となる。
【0068】
さらに、請求項3及び請求項4に記載の発明によれば、従来のタイヤ管理システムでは解決できなかったタイヤ空気圧点検、タイヤ溝点検による予測と実施に基づくタイヤトータル管理が可能となり、ひいては交通事故防止とタイヤの販売促進を図ることに繋がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤトータル管理方法の仕組みを示す概念図である。
【図2】タイヤ空気圧低減警告アダプタの使用状態を示す説明図である。
【図3】タイヤ空気圧低減警告アダプタを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】コンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】タイヤトータル管理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 データ処理装置
11 入力部
12 出力部
13 インターフェイス回路
14 データ処理部
15 メモリ
20 通信回線
30 端末装置
50 タイヤ空気圧低減警告アダプタ
51 外枠体
52 頭部
53 鏡面体
54 表示体
55 基準線
Claims (4)
- タイヤバルブ又はチューブレスホイルに装着したタイヤ空気圧低減警告アダプタを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法であって、タイヤ空気圧低減警告アダプタは、タイヤ空気圧が低下したときタイヤ空気圧の低下率を視認し得る表示体を備え、前記表示体の外周面にタイヤ空気圧の低下率が20%を上限とするゲージが設けられており、点検時のタイヤ空気圧の低下率に基づいてタイヤ空気圧充填を実施することを特徴とするタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法。
- コンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法であって、コンピュータのデータ処理部は、記憶部に記憶された車両に装着されている各タイヤのタイヤ空気圧充填値と、時間の経過に対応したタイヤ空気圧低下値とに基づいて、タイヤ空気圧の低下率が20%を上限としてタイヤ空気圧充填の時期を予測することを特徴とするタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法。
- コンピュータを用いたタイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーション管理方法と、請求項1に記載のタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法とを組み合わせたタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法であって、コンピュータのデータ処理部は、記憶部に記憶された所定の計測期間を空けて測定された2回の点検データに基づいて車両に装着されているタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、タイヤの有効残溝値とタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出し、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可能月数を算出し、タイヤの使用可能月数からタイヤ交換及びローテーションの時期と費用を予測し、次いで、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーションの履歴データに基づいてタイヤ交換及びローテーションの時期及び費用の予測と実施とを比較し得る管理データを作成し、また、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ空気圧の点検データに基づいてタイヤ空気圧の管理データを作成し、更に、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の各管理データに基づいて一元管理データを作成することを特徴とするタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法。
- コンピュータを用いたタイヤ溝点検によるタイヤ交換及びローテーション管理方法と、請求項2に記載のコンピュータを用いたタイヤ空気圧点検によるタイヤ管理方法とを組み合わせたタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法であって、コンピュータのデータ処理部は、記憶部に記憶された所定の計測期間を空けて測定された2回の点検データに基づいて車両に装着されているタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を算出し、タイヤの有効残溝値とタイヤの残溝1mm当たりの走行距離を乗じてタイヤの推定寿命を算出し、タイヤの推定寿命を予測月間走行距離で除してタイヤの使用可能月数を算出し、タイヤの使用可能月数からタイヤ交換及びローテーションの時期と費用を予測し、次いで、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーションの履歴データに基づいてタイヤ交換及びローテーションの時期及び費用の予測と実施とを比較し得る管理データを作成し、また、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ空気圧の点検データに基づいてタイヤ空気圧充填の時期の予測と実施とを比較し得る管理データを作成し、更に、前記データ処理部は、前記記憶部に記憶されたタイヤ交換及びローテーション、タイヤ空気圧の各管理データに基づいて一元管理データを作成することを特徴とするタイヤ溝点検及びタイヤ空気圧点検によるタイヤトータル管理方法。
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-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003071172A patent/JP2004279217A/ja active Pending
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