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コラム

「レシピにアレンジを加えることが大事」 モデル・亜希さんが教える“自分の味”を作り出すコツ

クックパッドニュース編集部

日本No.1レシピサイト「クックパッド」編集部

クックパッドのポッドキャスト番組「ぼくらはみんな食べている」。食や料理に熱い思いを持ち活躍するゲストを迎え、さまざまな話を語ります。クックパッド初代編集長の小竹貴子がパーソナリティを務めます。今回は、料理家の亜希さんがゲストの後編です。

料理を作っていることで“心が整う”

小竹:料理には「作る」「食べる」「食べてもらう」の3つがありますが、亜希さんはどれが好きですか?

亜希さん(以下、敬称略):若いときは「食べる」が1番で「食べてもらう」が2番、「作る」が3番でしたけど、今は断トツで「作る」が1番で、「食べてもらう」「作る」の順番ですね。

小竹:それはどのタイミングで変わったのですか?

亜希:もちろん食べてもらうために作るのですが、作っている時間がすごく心が整うんです。なんかいい人になった感じ(笑)。

小竹:そっちの整うなのですね(笑)。

亜希:私は普段はがさつですが、料理の仕込みは繊細なんです。だから、例えば元気だから作ることができるとか、そういうところに転換できるようになってきたんです。

小竹:うんうん。

亜希:朝起きて胃が重かったら、やっぱり作りたくない。朝起きてちゃんと作れるのは、自分を律して元気だからだと改めて感じると、作るのはすごいことなのではないかと思って。だから、食べてもらっている顔を見るよりは、作っている自分の時間のほうが私は好きです。

自家製のぬか漬け(亜希さんのInstagramより)

小竹:じゃあ、朝のお弁当作りは最高ですね。

亜希:整うし達成感はあるし、最高に自分を上げられる時間です。お弁当がない日よりも、お弁当があって、そのノルマを達成したときのほうが、その後もいい仕事ができたりします。

小竹:私は切っているときに集中しているのがすごく好きです。綺麗に切れたときに自分で自分を褒めています(笑)

亜希:自分で自分に合格点を出すのは大事ですよね。私は朝5時に起きて動かす自分の手や胃の調子とか、健康のパラメーターもくっついているので、お弁当にはいろいろなエキスが入っています。

手作りのお弁当(亜希さんのInstagramより)

“舌コピ”には絶対の自信がある

小竹:食べるのも好きですか?

亜希:好きですけど、食べるのは本当に最後です。味見になっちゃっていますね。私の「食べる」は外で食べることですね。家で食べるのは味見くらいです。

小竹:外ではどういう料理を食べるのですか?

亜希:最近は料理の仕事も多いから研究をしたいので、多国籍料理も行きますし、フレンチも行きますし、アジア料理も行きます。今まではお寿司とかお蕎麦とかが多かったですが、ちょっと角度を変えたりもしていますね。

小竹:お店に行くと、「これ家で作れるかも」と思うこともありますよね。

亜希:すごく感じますね。だから、音楽の人は耳コピができますけど、私は絶対に“舌コピ”ができると思う。「誰よりも私の舌はすごいのよ」と言っている人と対決したい(笑)。

小竹:“舌コピ”対決ですか(笑)。最近“舌コピ”したものはありますか?

亜希:“舌コピ”だけだと真似になってしまうから、そこにアレンジを加えると自分だけのものになるとは思っています。今年の夏にロスに行ってアメリカの料理を結構食べたのですが、盛り付けも大きくて大胆な料理が多かったので、そういうのを見ると“舌コピ”だけではなく“目コピ”もしたくなりますね(笑)。

小竹:料理家としてのレストランの楽しみ方になっていますね。

亜希:そうなんです。だから、外で食べて誰かの味を知るというのは大事ですね。自分の家のものだけだと視野も狭くなるし、同じもののルーティンにもなってしまいますからね。

レシピを軸にしてアレンジすることが大事

小竹:テレビ番組で料理を作ることもあるから、アイデアの幅を広げていく必要もありますよね。

亜希:そうそう。どんどん広げていかないと、本当になくなってしまうので。安くておいしくてリピートできて手軽に作れるというものを考えています。

小竹:忙しい人が多いですしね。

亜希:1日お家にいる方の料理と仕事で7時台に帰ってくる方の料理って絶対に違うと思うんです。だから、そこをうまく中和させながらメニューを考えていかないと。時間があれば誰でもできるので、そこを工夫しながらやっています。

小竹:レシピはどういうところから考えているのですか?

亜希:テレビ番組の場合は、お題を振られます。それが逆にゲーム感覚でできるというか、お題をもらってちゃんとクリアできると、それがまた自信につながってもいきます。

小竹:うんうん。

亜希:例えば、秋の食材で作るというお題なら、何が今動いているか、何が安いのかなどをまずは探り始めます。さらに、旬のものは体にもいいとか、そういうところからもいろいろと動かしていきますね。

『きょうの料理』で作った夏野菜のマリネ(亜希さんのInstagramより)

小竹:フレンチドレッシングを使ったチキンのレシピをテレビで観たのですが、あれはどういった感じで浮かんだのですか?

亜希:あの番組はおかげさまで14~5回くらいやっていて、最近では月2回のレギュラーコーナーになりました。ということは、毎日どこかにアンテナを張っていなきゃいけないのですが、忙しいと買い物をする時間が少ないので、お題を振られたらまずは自分の冷蔵庫を開けるんです。そして、日の目を浴びていないものを探します。

小竹:あのレシピの場合はフレンチドレッシングですね。

亜希:そう。フレンチドレッシングは酸っぱすぎて嫌だと言われて、冷蔵庫の奥に行っていました。それを見つけ出して「これは使えるな!」というところからの発想です。だから、まずは自分の冷蔵庫を開けて人気がないものを出してくる。

小竹:これまでの日常の引き出しを活用しているのですね。

亜希:それがリアルだと思うんです。乾物とかお菓子ももう輪ゴムで閉じていて、そろそろ賞味期限も近いようなものを探し出す。そういう部分で本当にリアルを求めていきたいと思ったので、そこからの発想が今は多いです。

小竹:亜希さんのYouTubeを見ていたら、レシピの分量を紹介するときに、映像で言っていることとテキストの内容が違っていることもあって…(笑)。

亜希:そこは本当にすみません(笑)。私の中で料理はスピードが大事なんです。自分のタイミングで調味料を入れたいし、自分のタイミングでひっくり返したい。「今から入れますね」と言って、ゆっくりとやっている時間が私にはないんです。

小竹:うんうん。

亜希:現場では絶対においしいままで食べてもらいたい。テレビ用とか雑誌用だから味をつけないみたいなことはしたくなくて、私は全て味をつけて、おいしいと思って提供できる状況を作っているので、計量スプーンでやっている時間が本当にないんです。

小竹:私もレシピがない状態で料理をするのが本当は一番楽しいと思っています。だから、全て「適量」にしたらどうかと思うこともあります。

亜希:でも、それだとやっぱり作れないですよ。だから、私はクックパッドのレシピとか世の中に出ているレシピは、一応軸として支えで置きます。これにいかに自分でアレンジできるかがポイントだと思うんです。自分の家の味を堂々と出せるのが家庭の味だと思うので。

小竹:そうですね。

亜希:私はクックパッドのレシピももちろん見ますけど、それに2~3品足します。ベースがあって、そこに肉付けするのが一番おいしいものが作れる気がするから、クックパッドは神様だと思っています(笑)。

小竹:だから、著書がベースで動画は亜希さんなりのアレンジがあるという感じですよね?

亜希:そうですそうです(笑)。だから、私の周りにいる人は本当に疲れているだろうなって、やっとわかるようになりました。全て撮影した後で見返して、ここで何杯入れたなとかってやっているのでね…。

“料理”は人と人の距離を縮めてくれる

小竹:亜希さんの家のキッチンはすごく綺麗だと聞きました。

亜希:そうなんです。寝る前にシンクも全て綺麗にします。水垢も嫌なんです。でも、私が寝た後に誰かが納豆を食べていて、朝起きると納豆パックが置いてあったりすると、テンションが一気に下がります。キッチンは神聖なる場所なんです。

小竹:掃除機はどうでもいいけどキッチンは綺麗にする(笑)。

亜希:掃除機はしません。シンクだけはピカピカで、下に納豆が落ちていても大丈夫。シンクに納豆はダメ、足元に納豆はOKです(笑)。

小竹:私はキッチンはそこまで綺麗ではないですが、冷蔵庫は綺麗にしています。こだわりが人それぞれあるのでしょうね。

亜希:うちの母はレンジの横に醤油とか塩とか調味料をバーッと並べていて、炒めものをすると油が飛ぶんですけど、それも平気な人だったんです。よく料理番組とかを見ると、そういうお家はたくさんある。子ども的にはきっとあれが一番落ち着くはずなんです。だけど、私はそこは綺麗に隠しておきたいんですよね。

小竹:キッチンを綺麗にしておくことに何かこだわりがある?

亜希:もちろん衛生面でも、ご飯を食べたらお腹を壊したなんて嫌じゃないですか。でも、人の家に行ったときには、キッチンが生きていて毎日動いているからこそいろいろなものが山積みなんだと感じると、すごく温かい気持ちになります。だけど、自分ではやっぱりできないんですよね。

小竹:うんうん。

亜希:気持ちを律するというか、自分の中で神の領域なので、きちんとそこは気持ち良くやりたいんですよね。

小竹:亜希さんにとって、料理とは何ですか?

亜希:人と人の距離感を縮める最も健康的な表現力かなと思います。好きになった人とチューするとか抱き合うとか、そういうことよりももっとベースにあるのは、料理したものを一緒に食べること。一番心が通い合って距離が近くなる気がします。

小竹:自分が作ってあげると喜びもありますしね。

亜希:BEAMSのAK+1をやっているときに、みなさんに1年間の お礼を込めて手料理を振る舞ったんです。そのときに男性スタッフが「今日は亜希さんの料理を食べられてすごくうれしかったけど、妻に悪い気がして…。浮気しているような気持ちになる」って言ったんです。

小竹:はいはい。

亜希:どれだけ真面目な人なのって思ったのですが、それだけほかの女性の手作り料理、しかも奥さんお友達とかではなく会ったこともない女性の手料理を食べるというのは、すごく魔力があるんだなと思ったんです。それだけ人の心を動かす力が料理にはある。

小竹:たしかに。

亜希:テレビの仕事でも、スタジオに行ってコメントを読んでお疲れ様と言って帰るより、一緒に料理をすることで呼び方も変わるんです。あだ名で呼んだり、マミーと呼ばれたり、そういうちょっとした心の通いや会話の通いが生まれますね。

小竹:最後に、今後やってみたいことや挑戦してみたいことを教えてください。

亜希:子どもたちも成長して1人の時間 が増えていく中で、一番やりたいことはご飯屋さんを作っていきたいです。まずはキッチンカーもいいかなと思っていたのですが、キッチンカーは暑い日も寒い日もあるから大変かなって…。

小竹:トイレにも行けないですもんね。

亜希:たしかにそうですね。なので、ご飯屋さんはやりたいです。でも、それがどういうメニューかとかも全然なくて、メニューがないお店をやりたいです。

小竹:メニューがない?

亜希:あそこにあれがあるから行くということではなくて、今日は何があるかわからないけど亜希さんに会いたいなとか、そういう会話も含めて、あるもので今日はこれだよと言って作るみたいな。でも、それだけやるので料金は高めに設定します(笑)。

小竹:亜希さんのお店ならみんな来ますよ。

亜希:自分ができることは、その日の体調やその日にあるもの次第だったりするので、お膳で出す和食屋さんみたいなことではなくて、ちょっと今までにないようなお店をやってみたいです。

小竹:ファッションより食のほうがチャレンジしてみたい?

亜希:ファッションはずっと続けていきたい1つではありますが、温暖化もあったりして、自分のやりたいことと売れるものが違ったりもするのでね。料理に関してはとにかくもっと突き詰めたいという発展途上な感じです。

(TEXT:山田周平)

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【ゲスト】

第15回・第16回(10月4日・18日配信) 亜希さん

1969年、福井県生まれ。モデル、アパレルブランド「AK+1」のディレクションを務めながら、情報番組のコメンテーターを務めるなど幅広く活躍する。大学生と高校生のスポーツ男児に作り続ける豪快な家庭料理やお弁当は、雑誌やテレビなどで話題に。明るく飾らない人柄が、幅広い層の女性に支持を得ている。YouTube『亜希の母ちゃん食堂』を配信中。著書に『家 ごはんと野球』(CCCメディアハウス)、『亜希の『ふたが閉まるのか?』弁当 』(オレンジページ)、『お弁当が知ってる家族のおはなし』(集英社)、『亜希のことば』(講談社)がある。

Instagram: @shokatsu0414
Youtube: @thebapartment4513

【パーソナリティ】 

クックパッド株式会社 小竹 貴子

クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。 趣味は料理🍳仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。

X: @takakodeli
Instagram: @takakodeli

執筆者情報

クックパッドニュース編集部

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