「ミスター・ヤマダ」とは、富士フイルムが2008年に買収した富山化学工業で理事を務める山田光一氏のことだ。山田氏は1982年に富士写真フイルム(現・富士フイルムホールディングス)に入社し、20年以上写真フィルムの営業を担当。ドイツで写真フィルムのマーケティングに携わっていた際に、戸田雄三・取締役専務執行役員に声をかけられ、医薬の道に転じることになった。 戸田専務が着目したのは、ドイツで品質クレームに細やかに対応し、それを製品開発にフィードバックして営業成績を伸ばしていた、山田氏の高い実務能力だった。富士フイルムは2005年にライフサイエンス事業部を新設。そのトップに就任した戸田専務は医薬事業への本格参入を見据え、最適な人材を探していた。 そんな山田氏の能力が発揮されたのが、エボラ危機だった。 エボラ出血熱には承認された治療薬がなく、昨年、リベリア、シエラレオネ、ギニアといった西アフリカを中