結婚行動に関する近年の米国の研究では,若年女性の未婚化について,男性の雇用状況の悪化に伴って結婚市場において結婚可能な男性が減少したためではなく,男性就業者の賃金格差の拡大にその要因を求める実証研究が現れている。本稿では,日本の個票データを用いてこれら 2 つの仮説の妥当性を検証した。その結果,20歳台の男女について,地域の男性の所得格差の拡大は女性の未婚化を促すものの,その効果は観察されない地域の固定効果を考慮すると消滅すること,しかし一方で,地域の固定効果を考慮してもなお,男性の有業率の低下は女性の未婚化と有意な関係があることなどが明らかとなった。