昨今,里親養育に期待が高まる一方で,里親がストレスフルな状況に置かれていることが問題化している.先行研究は危機への対処としての里親本人の意味づけに注目してきたが,社会関係が対処に与える影響は十分に捉えていない.そこで本稿ではインタビュー調査を実施し,里親の危機対処過程を,とくに社会関係の影響に注目して検討した.その結果,里親は家族成員の理解・協力によって困難性を共有し,里親仲間の類似経験や専門家の知識によって困難性を相対化することで,危機に対処していることが明らかになった.また,里親は危機対処の過程を経て,里子や児童相談所職員から肯定的評価を得ることで,役割アイデンティティを強化していることもわかった.以上から,家族内外の社会関係からの道具的,情緒的,情報的サポートがストレッサーの悪影響を緩和し,ケアの受け手や公的な第三者からの評価的サポートが心理状態をつねに安定させることが示唆された.
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