府川充男著『組版原論』(太田出版、1996年)は内容もさることながら、その本自体に注ぎ込まれた当時の組版知識・技術の最高峰、最先端が知れるという面でも大変興味深い。組版を論ずる本である以上、その本自体の組版の質も当然問われる。そのことに無自覚に組まれた本も少なくないようだが、『組版原論』は「ここまでやるか!」と思わず感嘆の声を漏らしそうになるほどの自己批評精神と実験精神に貫かれた稀有な本であると強く感じる。 その一端を奥付の上に記載された「組版データ」に窺うことができる。 「組版データ」の一部 これを写しながら、見やすく整理しているだけで、色々と勉強になる。 DTP進行部分 オペーレーション・ソフト 漢字 Talk 7.5.1 アプリケーション・ソフト QuarkXpress 3.3 本文(「BIBLOS外字逍遥」以外)使用書体 海舟明朝(ビー・ユー・ジー) <拗促音小字・丸括弧類等一部記