近畿大と大阪歯科大は28日、歯の主成分を使って極めて薄いシートを作ることに成功し、ばんそうこうのように歯に張る治療法の共同研究を始めたと発表した。知覚過敏症や子どもの虫歯予防、歯の汚れを落として白くする審美などを対象に臨床研究を行う計画だ。 歯や骨の主成分である「ハイドロキシアパタイト」は、歯や骨の疾患に対して副作用の少ない治療材料と注目されるが、硬くて曲げにくく、患部に密着するよう加工するのが難しかった。 近畿大の本津茂樹・生物理工学部長は、真空の容器中で、ハイドロキシアパタイトをレーザー光で分解し、食塩成分でできた板の上に結晶化させることに成功。食塩を水で溶かすと厚さ0・02ミリ以下の薄い膜ができた。大阪歯大の吉川一志准教授は、薄い膜が歯の表面に付着することを実験で確認。この膜は歯に合わせた形に加工できるという。